説明

眼内レンズを用いる患者の処置におけるシクロスポリンの使用

シクロスポリン成分を患者に投与し、眼内レンズを患者の眼に挿入することを含む、患者の処置方法を開示する。本発明の方法により、1つまたは複数の利益を患者に提供しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズを挿入されているか、または眼内レンズを挿入される患者を処置する方法に関する。より具体的には、本発明は、眼内レンズを挿入されているか、または眼内レンズを挿入される患者(ヒトまたは動物)にシクロスポリン成分を投与することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の状態を処置するためのシクロスポリンAおよびシクロスポリンA誘導体の使用が、様々な患者を対象とされている(例えば、Ding他の米国特許第5,474,979号、Garstの米国特許第6,254,860号およびGarstの米国特許第6,350,442号。これらの開示はいずれも参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。加えて、数多くの先行技術特許が、他の状態および/または疾患の処置として、局所投与および/または全身投与されるシクロスポリンの使用を開示している。
【0003】
様々な眼内レンズ(IOL)が広く知られており、これらは、眼の中、例えば眼の角膜上もしくは角膜中、前眼房内、後眼房内などに挿入されて、視力を矯正し、および/または、例えば白内障の状態のために除去された水晶体の代替となる。近年では、多焦点IOL、すなわち、近見視力および遠見視力または遠方視力のために適合化された異なる帯域を有するIOL、ならびに、調節IOL、すなわち、所望されるような近見視力および遠見視力または遠方視力を提供するために眼の中で可動性であるIOLが導入されている。これらのIOLは多くの場合、眼表面から、例えば角膜表面および強膜表面などから眼の中に挿入される。切開、例えば約1mmから約4mmまたはそれ以上の程度の切開が行われうる。必要ならば、水晶体が、例えば従来の広く知られている技術を使用して、例えば水晶体超音波乳化吸引術などを使用して除かれる。IOLは、多くの場合には折り畳まれた形態または巻かれた形態で、眼表面における同じ切開部から眼の中に挿入される。1つまたは複数の縫合を、切開部を閉じるために用いることができる。あるいは、切開部を縫合することなく治癒させることができる。
【0004】
多焦点IOLでは、光エネルギーが近焦点と遠距離焦点または遠焦点との間で分割されることによって、像の質が低下する。このために、像の質における低下と共にコントラスト感度の低下が生じうる。加えて、眼表面における何らかの不規則性、例えば、眼表面トポグラフィーにおける何らかの不規則性もまた、コントラスト感度低下ならびに視力および視覚の質の低下を生じさせることがある。これらの不利益の1つまたは複数により、患者は、移植されたIOLによる著しい不満を持ちうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IOLの使用に伴って生じる上記の問題の1つまたは複数を軽減することが好都合である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
眼内レンズ(IOL)を挿入されているか、または眼内レンズを挿入される患者を処置する新しい方法が見出された。本発明の方法は比較的単純明快であり、また、実質的または過度な患者ストレスを生じさせることなく、外科医または処方医師および患者によって容易かつ効果的に実施することができる。加えて、本発明の方法は、好都合なことに、例えば限定されないが、視覚の質に関して、また、究極的には生活の質に関して、1つまたは複数の利益を患者に提供する。
【0007】
本発明の1つの広い態様において、患者を処置する様々な方法が提供され、これらの方法は、シクロスポリン成分を、眼表面を有する眼を有する患者に投与すること、および、IOLを患者の眼に挿入することを含む。
【0008】
本発明の別の広い態様により、シクロスポリン成分を患者の眼の眼表面に局所適用または投与すること、および、IOLを患者の眼に挿入することを含む、患者を処置する様々な方法が提供される。
【0009】
本発明の方法の1つの実施形態において、IOLを患者の眼の眼表面から挿入し、投与ステップまたは適用ステップは、(1)挿入ステップ後の眼表面の滑らかさを高めるために、および/または、(2)挿入ステップ後の眼表面トポグラフィーの規則性を高めるために、および/または、(3)挿入ステップ後の眼表面の治癒を促進するために効果的である(ただし、(1)、(2)および(3)のそれぞれは、投与または適用ステップを伴わない同一の方法との比較としてである)。
【0010】
本発明の投与または適用ステップは、(A)挿入ステップ後の眼におけるコントラスト感度を高めるために、および/または、(B)挿入ステップ後の眼における波面収差を縮小させるために、および/または、(C)挿入ステップ後の眼における視力を高めるために、および/または、(D)挿入ステップ後の眼における視覚の質を高めるために効果的であり得る(ただし、(A)、(B)、(C)および(D)のそれぞれは、投与または適用ステップを伴わない同一の方法との比較としてである)。
【0011】
投与または局所適用ステップは、挿入ステップの前および/または後において行うことができる。投与ステップは、シクロスポリン成分を患者に全身的投与および/または局所投与することを含むことができる。例えば、本発明の方法では、シクロスポリン成分を挿入ステップの前に全身的投与すること、および、シクロスポリン成分を挿入ステップの後で眼表面に局所適用することを含むことができ、また、その逆も可能である。本発明の方法は、シクロスポリン成分を挿入ステップの前および後に患者に全身的投与すること、および/または、シクロスポリン成分を挿入ステップの前および後に眼の眼表面に局所適用することを含むことができる。
【0012】
本明細書に記載される特徴、また、そのような特徴の2つ以上の組合せのいずれも、そのような組合せに含まれる特徴が互いに矛盾しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【0013】
本発明のこれらおよび他の態様および利点が、下記の詳細な説明、実施例および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の方法では、シクロスポリン成分が、眼内レンズ(IOL)を挿入する手術を受けているか、または受ける予定である患者(ヒトまたは動物)を処置するために用いられる。
【0015】
一般に、本発明の方法は、シクロスポリン成分を、眼表面を有する眼を有する患者に投与すること、および、IOLを患者の眼に挿入することを含む。投与ステップは好都合なことに、眼へのIOLの挿入、および/または眼におけるIOLの存在による有害な影響の1つまたは複数を軽減するために効果的である。
【0016】
本発明を何らかの特定の作用理論に限定することを望まないが、投与または適用されたシクロスポリン成分が、下記の利益の少なくとも1つを提供または促進するのに効果的な量で存在すると考えられる:挿入ステップ後の眼表面を滑らかにすること、挿入ステップ後の眼の治癒を促進すること、挿入ステップ後の角膜着色を軽減するか、または実質的に排除すること、および、挿入ステップ後の視力を高めること(ただし、そのような利益のそれぞれは、投与または適用ステップを伴わない同一の方法との比較としてである)。さらに、IOLが患者の眼において所定の位置にあることにより、眼に入る光のすべてが1つの焦点に集まらないことが考えられる。この場合、眼の上での涙液膜の安定性(組成および量に関する安定性)が、患者のIOLを伴って良好な結果または実質的に最適な結果を得るために重要である。涙液膜安定性の問題は、IOLが挿入される主要な人口統計学的群であり、その年齢のゆえに常に安定した涙液膜を有しないことがある高齢の患者、すなわち約60歳または約65歳または約70歳を越える年齢の患者については特に懸念される。
【0017】
1つの実施形態において、投与または適用されたシクロスポリン成分は、投与または適用ステップを伴わない同一の方法と比較して、より安定した涙液膜を促進または提供することにおいて効果的であり得る。
【0018】
シクロスポリン成分は、(1)挿入ステップ後の眼表面の滑らかさを高めるために、および/または、(2)挿入ステップ後の眼表面トポグラフィーの規則性を高めるために、および/または、(3)挿入ステップ後の眼表面の治癒を促進するために、本発明に従って効果的であり得る。シクロスポリン成分は、(A)挿入ステップ後の眼におけるコントラスト感度を高めるために、および/または、(B)挿入ステップ後の眼における波面収差を縮小させるために、および/または、(C)挿入ステップ後の眼における視力を高めるために、および/または、(D)挿入ステップ後の眼における視覚の質を高めるために効果的であり得る(ただし、(A)、(B)、(C)および(D)のそれぞれは、投与または適用ステップを伴わない同一の方法との比較としてである)。
【0019】
1つの有用な実施形態において、シクロスポリン成分は、(1)、(2)および(3)の少なくとも1つ、ならびに、(A)、(B)、(C)および(D)の少なくとも1つを提供または促進するために効果的である。
【0020】
いずれにせよ、シクロスポリン成分を、本発明に従って、眼内レンズを患者の眼に挿入することとの組合せで使用することは効果的であり、また、1つまたは複数の実質的な利益を患者に提供することができる。
【0021】
1つの実施形態において、本発明の投与ステップは、シクロスポリン成分を患者の眼に、例えば、患者の眼の眼表面に局所適用することを含む。局所的な適用または投与は、ヒトまたは動物の他の身体部分をシクロスポリン成分に実質的にさらすことなく、シクロスポリン成分を効果的な量で眼に提供することを可能にする。
【0022】
シクロスポリン成分の全身濃度または血中濃度を低くすることもまた、効果的でありうる。好ましくは、検出可能な濃度のシクロスポリン成分が、処置されている患者の血液において実質的に存在しない。シクロスポリン成分の血中濃度は、好都合には、有効な液体クロマトグラフィー/質量分析−質量分析(VLC/MS-MS)法を使用して測定することができ、そのような試験は0.1ng/mlのシクロスポリン成分検出限界を有する。
【0023】
1つの実施形態において、本発明の方法では、ヒトまたは動物患者の血液は0.1ng/ml以下のシクロスポリン成分の濃度を有する。
【0024】
1つの実施形態において、シクロスポリン成分は、患者を処置するための併用処置の一部として患者に投与することができる。例えば、シクロスポリン成分を、患者を処置することにおいて効果的な1つまたは複数の他の処置剤と共に患者に投与することができる。そのような1つまたは複数の他の処置剤を、シクロスポリン成分と一緒に同じ組成物において、または、シクロスポリン成分とは異なる組成物において患者に投与することができる。他の有用な処置成分の例には、限定されないが、抗生物質、様々な鎮痛剤、抗炎症剤など、およびこれらの混合物が含まれる。
【0025】
シクロスポリン成分は、眼内レンズを患者の眼に挿入するために用いられる外科的手法(1つまたは複数)の前、その間、および/またはその後において患者に投与することができる。1つの実施形態において、シクロスポリン成分は、眼内レンズ挿入ステップに先立つかまたはその前およびその後の両方で投与される。
【0026】
本発明の方法において効果的である好適なシクロスポリン成分はどれも使用することができる。
【0027】
シクロスポリンは、免疫抑制活性が知られている一群の非極性環状オリゴペプチドである。シクロスポリンA、いくつかの他の副次的な代謝産物、また、シクロスポリンB、シクロスポリンC、シクロスポリンD、シクロスポリンE、シクロスポリンF、シクロスポリンG、シクロスポリンH、シクロスポリンI、シクロスポリンJ、シクロスポリンK、シクロスポリンL、シクロスポリンM、シクロスポリンN、シクロスポリンO、シクロスポリンP、シクロスポリンQ、シクロスポリンR、シクロスポリンS、シクロスポリンT、シクロスポリンU、シクロスポリンV、シクロスポリンW、シクロスポリンX、シクロスポリンYおよびシクロスポリンZが同定されている。加えて、そのようなシクロスポリンの誘導体および塩など、ならびに多くの合成アナログが製造されており、本発明において有用であり得る。例えば、本明細書中で引用したGarstの特許を参照のこと。
【0028】
一般に、市販されている様々なシクロスポリンは、いくつかの個々のシクロスポリンの混合物を含有し得、これらの個々のシクロスポリンはいずれも、約1,200の総分子量を有する、11個のアミノ酸残基からなる環状ペプチド構造を有するが、いくつかのアミノ酸の置換基または立体配置が異なる。
【0029】
本発明において使用される用語「シクロスポリン成分」は、シクロスポリン群の個々のメンバー、その塩、その誘導体、そのアナログ、およびそれらの混合物、ならびに、2つ以上の個々のシクロスポリンの混合物、それらの塩の混合物、それらの誘導体の混合物、それらのアナログの混合物、およびそれらの混合物を包含することが意図される。
【0030】
特に好ましいシクロスポリン成分には、限定されないが、シクロスポリンA、シクロスポリンAの誘導体、シクロスポリンAの塩など、およびそれらの混合物が含まれる。シクロスポリンAが、特に有用なシクロスポリン成分である。
【0031】
シクロスポリンAの化学構造が下記の式Iによって表される:
【化1】

【0032】
本発明において、あるシクロスポリンの「誘導体」という用語は、そのシクロスポリンに十分に類似する構造を有し、その結果、本発明の方法において、そのシクロスポリン(例えば、シクロスポリンA)に実質的に類似する様式または実質的に同一である様式で機能するような化合物を示す。有用なシクロスポリンA誘導体に含まれるのは、限定されないが、下記の((R)-メチルチオ-Sar)3-(4'-ヒドロキシ-MeLeu)-シクロスポリンA誘導体、((R)-(シクロ)アルキルチオ-Sar)3-(4'-ヒドロキシ-MeLeu)4-シクロスポリンA誘導体、および、((R)-(シクロ)アルキルチオ-Sar)3-シクロスポリンA誘導体から選択されるシクロスポリンA誘導体である。
【0033】
これらのシクロスポリン誘導体は、下記の式(II)、(III)および(IV)によってそれぞれ表される:
【0034】
【化2】

【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
式中、Meはメチルである;Alkは2個〜6個のCのアルキレンまたは3個〜6個のCのシクロアルキレンである;Rは、OH、COOH、アルコキシカルボニル、-NR1R2またはN(R3)-(CH2)-NR1R2であり、ここで、R1、R2は、H、アルキル、3個〜6個のCのシクロアルキル、フェニル(ハロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノにより場合により置換されている)、ベンジル、または、5員もしくは6員で1個〜3個のヘテロ原子を有する飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、あるいは、NR1R2は、5員または6員の複素環であって、さらなるN、OまたはSヘテロ原子を有し得、かつ、アルキル化され得、R3はHまたはアルキルであり、nは2〜4であり、アルキル部分は1個〜4個のCを有する。
【0038】
本発明の方法は、処置有効量のシクロスポリン成分を含む好適な組成物または組成物の組合せのいずれかを用いて実施することができる。シクロスポリン成分は、所望される処置効果を、シクロスポリン含有組成物が本発明に従ってヒトまたは動物に投与されるときにもたらすために有効な量で存在する。シクロスポリン成分は、好都合には、組成物の約0.01wt%から約15wt%または約20wt%以上に及ぶ範囲の量で組成物中に存在する。1つの実施形態において、シクロスポリン成分は、組成物の約0.02wt%から約1wt%または約5wt%または約10wt%までの量で存在する。しかしながら、シクロスポリン成分の具体的な量の選択は、投与様式、ヒトまたは動物のサイズおよび状態、ならびに、処置される状態のタイプおよび重篤度を含めて、医療分野で広く知られている様々な要因に従って行われることが意図される。
【0039】
現時点で有用な組成物は、液体、懸濁物、エマルション、半固形物、カプセル、ゲル、ローションおよびクリームなどでありうる。医薬品調製の技術分野における当業者は、シクロスポリン成分を含む好適な組成物を、例えば、1つまたは複数の医薬的に許容される賦形剤(例えば、類似する組成物において従来使用されている賦形剤など)を含む好適な形態(例えば、本明細書に記される様々な形態)で製剤化することができる。当然のことではあるが、使用されるシクロスポリン成分との適合性を有し、かつ、組成物が使用される投与ステップ、あるいは処置されるヒトまたは動物を過度にまたは著しく妨げない組成物成分を使用するように注意しなければならない。
【0040】
例えば、シクロスポリン成分を、水と混合したときにエマルションを形成するキャリアと組み合わせることができる。そのようなエマルションが、例えば、限定されないが、Cavanakの米国特許第4,388,307号(その開示は、本明細書により、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される。様々なキャリア(例えば、限定されないが、グリセリドキャリア)が、物理的不安定性の問題(例えば、シクロスポリン成分が溶液から沈殿することなど)の軽減を助けることができ、また、所望されるならば、より高い血漿中濃度を可能にすることができる。
【0041】
1つの有用な実施形態において、現時点で有用な組成物は疎水性成分を含む。好適な疎水性成分はどれも本発明において用いることができる。好都合には、シクロスポリン成分は疎水性成分に可溶化される。1つの実施形態において、疎水性成分は、現時点で有用なシクロスポリン成分含有組成物(例えば、水中油型エマルション)において不連続相を構成すると見なすことができる。
【0042】
疎水性成分は有効量で存在することができ、例えば、組成物の約0.1wt%〜1.5wt%、0.1wt%〜10wt%、1.0wt%〜1.5wt%、または、1.0wt%〜10wt%の量で存在することができる。
【0043】
好ましくは、疎水性成分は1つまたは複数の油性物質を含む。有用な油性物質の例には、限定されないが、植物油、動物油、鉱油、合成油など、およびそれらの混合物が含まれる。1つの非常に有用な実施形態において、疎水性成分は1つまたは複数の高級脂肪酸グリセリドを含む。疎水性成分がひまし油を含むとき、優れた結果が得られる。
【0044】
他の有用なシクロスポリン成分含有組成物は、シクロスポリン成分を乳化量の脂肪酸グリセリド(例えば、ひまし油など)および界面活性剤(例えば、ポリソルベート80など)との混合物として含む。そのような組成物がDing他の米国特許第5,474,979号に記載されている(その開示は、本明細書により、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。Kaswanの米国特許第4,649,047号およびKaswanの米国特許第5,411,952号もまた参照のこと(これらの開示はいずれも、本明細書により、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0045】
1つの実施形態において、現時点で有用な組成物は自己乳化性であり、このような組成物は、水性媒体にさらされると、撹拌をほとんどまたは全く要さずに、細かい水中油型エマルションを形成する。自己乳化の特性は、細かいエマルションが消化管において形成されるという期待の下に、例えば硬ゼラチンカプセルまたは軟カプセル中におけるような高濃度形態の製剤の投与を可能にする。また、自己乳化性の予備濃厚物を水性媒体と組み合わせることによってエマルションを調製することもできる。
【0046】
先に開示した自己乳化性の系には、シクロスポリン成分が、(i)中鎖トリグリセリドおよび非イオン性界面活性剤の混合物、または、(ii)植物油および部分グリセリド(例えば、ポリグリコール化グリセリドまたは中鎖モノおよびジグリセリドなど)の混合物、または、(iii)植物油および非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80またはPEG-25グリセリルトリオレエート)の混合物と組合せられた系が含まれる。
【0047】
ある種の自己乳化性製剤では、シクロスポリン成分の「ミクロエマルション予備濃厚物」が、シクロスポリン成分を、(I)親水性相、(II)親油性相、および(III)界面活性剤、ならびに場合により増粘剤、酸化防止剤または他の賦形剤と組合せることによって形成される。そのような組成物の例がHauer他の米国特許第5,342,625号に開示される(その開示は、本明細書により、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0048】
加えて、好適な組成物は、シクロスポリン成分を、親油性溶媒を含有しない、親水性溶媒相および1つまたは複数の界面活性剤との組合せとして含むことができる。そのようなシクロスポリン成分含有製剤は安定で、調製が簡便でありうるし、また、良好な薬物動態学的特性を有し得る。
【0049】
本発明において、用語「二成分系」、「二成分組成物」および「賦形剤の二成分系」は、シクロスポリン成分に加えて、少なくとも1つの親水性溶媒および少なくとも1つの界面活性剤の組合せを含有し、親油性溶媒は有しないシクロスポリン含有製剤および組成物を示す。そのような組成物には、さらなる助剤を追加することができるが、親油性溶媒相を含まない限り、依然「二成分」と見なされる。
【0050】
そのような医薬組成物を調製するために、二成分系をシクロスポリン成分と組合せる。親水性相は、シクロスポリン成分を可溶化することができる公知の医薬的に許容される親水性の溶媒または賦形剤の1つまたは複数を含むことができる。親水性化合物の好適な種類には、例えば、限定されないが、医薬的に許容されるアルコール(ポリエチレングリコールを包含する)が含まれる。
【0051】
現時点で有用な組成物において有用な親水性相成分の例には、水、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、約1,000までの分子量を有する低分子量ポリエチレングリコール、グリコール、ジメチルイソソルビドなど、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
組成物は、エタノールおよび類似する溶媒の使用を可能にするために、半固形物として調製し、軟カプセルではなく、硬ゼラチンカプセルの中に入れることができる。
【0053】
1つまたは複数の親水性溶媒を含む親水性相は、典型的には、医薬組成物の約10wt%〜約90wt%を構成する。使用される正確な量は、使用される親水性化合物(1つまたは複数)の性質、存在するシクロスポリン成分の量、投薬形態、処置される状態、および、この技術分野において知られている他の要因に依存して変化しうる。好ましくは、親水性相は組成物の約20wt%〜約80wt%、より好ましくは約30wt%〜約60wt%を構成する。非水性の親水性成分が使用されるとき、水を、組成物の総重量に基づいて約0.5%から約10%まで、または好ましくは約1%から約5%までの範囲のレベルで組成物に配合することができる。
【0054】
知られている医薬的に許容される界面活性剤はどれも使用することができ、これらには、非イオン性、アニオン性、カチオン性およびこれらの組合せが含まれる。非イオン性界面活性剤が好ましく、特に、親水性/親油性バランス(HLB)が10以上であるそのような界面活性剤が好ましい。あるいは、高HLB界面活性剤と低HLB界面活性剤との組合せを利用することができ、この場合、好ましくは、そのような混合された界面活性剤は、界面活性剤の全体としてのHLB(使用された割合に従って加重したもの)がやはり10を越えるような比率で使用される。
【0055】
好適な界面活性剤の例には、天然植物油または硬化植物油(例えば、ひまし油)のポリオキシエチレン誘導体;ポリオキシエチレン−ソルビタン脂肪酸エステル、例えばモノ−、ジ−およびトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリルおよびオレイルエステル;アルキル/ジアルキル硫酸塩、アルキル/ジアルキルスルホン酸塩またはアルキル/ジアルキルスルホコハク酸塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびスルホコハク酸ジオクチルナトリウム;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;リン脂質、例えば、レシチン;天然植物油トリグリセリドおよびポリアルキレンポリオールのエステル交換反応生成物;ソルビタン脂肪酸エステル;ペンタエリトリトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテルおよびエステルなどが含まれるが、これらに限定されない。界面活性剤は単独または組合せで使用することができる。
【0056】
使用することができる具体的な界面活性剤の例には、限定されないが、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、例えば、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレエートのポリオキシル35ひまし油(CREMOPHOR(登録商標)EL、BASF Corporationから入手可能)、およびポリオキシル40硬化ひまし油(CREMOPHOR(登録商標)RH40、BASF Corporationから入手可能);ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのモノ脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(TWEEN(登録商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(TWEEN(登録商標)40)およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(TWEEN(登録商標)20)(すべてICI Surfactants(Wilmington、Del.)から入手可能);ポリオキシエチレングリコール200モノステアレート(MYRJ(登録商標)52、Calgene Chemicals(Skokie、Ill.)から入手可能);HLBが10以上であるポリグリセロールエステル、例えば、デカグリセリルモノおよびジオレエートなど;およびこれらの混合物が含まれる。
【0057】
いくつかの場合において(組成物が半固形物として調製されるときなど)、少なくとも1つのさらなる低HLB界面活性剤を上記の高HLB界面活性剤の1つまたは複数と一緒に使用することが好都合であり得る。使用することができる低HLBの補助的な界面活性剤の例には、ポリグリセロールオレエート(例えば、CAPROL(登録商標)10G40);レシチン類;グリセリルモノオレエートまたはモノリノレートの混合物(例えば、MYVEROL(登録商標)18-99または18-92);プロピレングリコールラウレート;およびソルビタンオレエート、例えば、ソルビタンモノオレエート(SPAN(登録商標)80)、ソルビタントリオレエート(SPAN(登録商標)85)およびソルビタンセスキオレエート(SPAN(登録商標)20)(すべてICI Surfactants(Wilmington、Del.)から入手可能)などが含まれるが、これらに限定されない。界面活性剤相は組成物の約10wt%〜90wt%を構成することができる。好ましくは、界面活性剤は組成物の約20wt%〜約70wt%、より好ましくは約40wt%〜約60wt%を構成する。
【0058】
所望されるならば、現時点で有用な組成物はさらに、他の医薬的に許容される賦形剤を含むことができ、その例は、浸透圧調節成分、緩衝剤成分、多価電解質成分、増粘剤、増量剤、希釈剤、矯味矯臭剤、着色剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤または抗真菌剤など)、pHを調節するための酸および/または塩基など、ならびにそれらの混合物である。そのような添加剤は、存在するならば、典型的には、組成物の約0.01wt%〜約10wt%を構成することができる。そのような添加剤には、類似する医薬組成物に使用される従来のおよび/または広く知られている添加剤が含まれる。例えば、好適な増粘剤には、この技術分野において知られている増粘剤、例えば、医薬的に許容されるポリマーおよび/または無機増粘剤が含まれる。そのような薬剤には、ポリアクリレートホモポリマーおよびコポリマー;セルロースおよびセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;ポリビニル樹脂;シリケートなど、ならびに、それらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
所望されるときには、シクロスポリン含有組成物は、より高い割合で適切な増粘剤または凝固剤を加えることによって、液体製剤ではなく、むしろ半固形物として調製することができる。上記のように、そのような製剤は、(軟ゼラチンカプセルではなく)硬ゼラチンカプセルのための充填物として特に有用でありうる。半固形組成物の調製のために好適である凝固剤には、約1,000を越える分子量を有するポリエチレングリコール、例えば、PEG1450およびPEG3350;ステアリルアルコール;およびコロイド状二酸化ケイ素(CAB-O-SIL(登録商標)M-5、Cabot(Tuscola、Ill.)から入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。半固形状態は、多くの場合、約8wt%または約10wt%ないし約15wt%または約25wt%の凝固剤を加えることによって得ることができる。必要とされる凝固剤の実際の量は、存在する他の賦形剤の物理的特性に依存しうる。
【0060】
本明細書の他の箇所で別途記されるような場合を除き、シクロスポリン成分含有組成物は、例えば、この技術分野において知られている方法のいずれかによって、局所投与および/または全身的投与することができる。そのような方法には、全身的投与、例えば、シクロスポリン成分含有組成物を水性媒体(例えば、水、ミルクまたはジュース)と混合することによって形成される懸濁物の経口投与、軟ゼラチンカプセルまたは硬ゼラチンカプセルに入れられたシクロスポリン成分含有組成物の経口投与;非経口投与(これには、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内へのシクロスポリン成分含有組成物の注射または注入が含まれる);および/または、局所投与方法、例えば、シクロスポリン成分を含む軟膏、滴剤、溶液、懸濁物またはエマルションの局所投与などが含まれるが、これらに限定されない。患部組織領域(1つまたは複数)への局所投与のために意図される局所用製剤を直接調製することができ、または、シクロスポリン成分含有濃厚物を希釈剤(例えば、水性の希釈剤)と組合せることによって調製することができる。そのような局所用製剤は、必要に応じて、例えば、シクロスポリン成分の吸収速度の一貫性を調節するために、さらなる賦形剤を含むことができる。
【0061】
現時点で有用な組成物の調製において、成分は、完全な混合を確実にするために混合または穏やかに撹拌しながら、任意の順序で組合せることができる。
【0062】
シクロスポリン成分は、所望される処置効果の提供に必要なように、十分な量で、十分な期間にわたって投与することができる。具体的な処置有効投薬量レベルは、処置される具体的な状態、状態の重篤度、用いられる具体的なシクロスポリン成分の活性、用いられる具体的なシクロスポリン成分含有組成物、投与時間および投与方法、処置の継続期間、ならびに、医療分野で広く知られている他の要因を含む数多くの要因に依存し得る。
【0063】
1つの有用な実施形態において、シクロスポリン成分は、IOL挿入ステップの前においては、約1日または約1週間ないし約3週間または約4週間またはそれ以上の範囲の期間にわたって、また、IOL挿入ステップの後においては、約1週間または約1ヶ月ないし約2ヶ月または約4ヶ月またはそれ以上の範囲の期間にわたって、1日に1回、2回または3回、水中油型エマルション(例えば、Allergan, Inc.によってRestasis(登録商標)の商品名で販売されるシクロスポリンA含有エマルション)として眼の眼表面に局所適用される。
【0064】
眼内レンズ(IOL)挿入ステップは、利益(例えば、限定されないが、視力の向上)を患者にもたらすように、IOLを眼に配置するために有効ないずれかの好適な様式で行うことができる。多くのそのような挿入ステップがこの技術分野では広く知られており、従来的である。従って、そのようなIOL挿入ステップの詳細な説明または記載はここでは行わない。
【0065】
一般に、IOL挿入ステップは、IOLを、例えば、折り畳まれた形態または巻かれた形態で、眼表面(例えば、強膜)における小さい切開部を通して、所望の眼内位置(例えば、限定されないが、前眼房、後眼房、または他の眼内位置)に入れることを含む。眼の切開部は、約1mmまたは約2mmないし約5mmまたは約7mmまたはそれ以上に及ぶことがあり、多くの場合、約2mm〜約4mmの範囲である。IOL挿入ステップの後、手術器具が眼から除かれ、切開部を治癒させる。1つまたは複数の縫合を、切開部の治癒を促進させるために施すことができる。1つの実施形態において、切開部は縫合されないままにされる。
【0066】
いくつかの実施形態において、挿入ステップに先立って、水晶体(白内障の状態を有するなど、損傷または傷害を受けている場合がある)が除かれる水晶体摘出ステップが行われる。数多くの従来の広く知られている水晶体摘出方法のいずれかを用いることができる。IOLを挿入するために使用される切開部は、水晶体摘出のための切開部と同じでありうる。
【0067】
眼に挿入されるIOLは、いずれかの好適なIOLであり得、その多くが従来の、この技術分野で広く知られたものである。そのようなレンズは多くの場合、1つまたは複数の視力矯正(例えば、球面補正および円柱面補正など)を提供するように構造化され得、および/または、多焦点および/または調節可能であり得る光学部を含む。IOLは、柔軟なポリマー材料(例えば、シリコーンおよびアクリレートなど)から作製される光学部を、ポリメチルメタクリレートおよび同様の材料から作製されるハプティック(haptic)または固定部材(IOLを眼において所定の位置に維持することを容易にする)とともに含むように、折り畳み可能または巻き込み可能または変形可能でありうる。本発明による有用なIOLの具体的な例には、限定されないが、AlconによってRestorの商品名で販売されるIOL、Advanced Medical OpticsによってReZoomの商品名で販売されるIOL、および、EyeonicxによってCrystalensの商品名で販売されるIOLが含まれる。
【0068】
以下の限定されない実施例により、本発明のいくつかの態様が説明される。
【実施例1】
【0069】
60歳から75歳の5名のヒト患者群が、その眼の片方において白内障であると判定された。水晶体をその眼から手術により除き、従来の多焦点IOLを、除かれた水晶体の代わりに各眼の後嚢に挿入することが決定された。
【0070】
手術前の少なくとも2週間の間、各患者は、手術を受ける眼に対して1日に2回、Allergan, Inc.によってRestasis(登録商標)の商品名で販売されるシクロスポリンA含有エマルションの1滴またはそれ以上を局所適用した。このエマルションは、0.05wt%のシクロスポリンA、1.25wt%のひまし油、1.0wt%のポリソルベート80および水を含んでいた。
【0071】
各眼の水晶体を、3mm(ミリメートル)の切開部を眼の強膜に形成することを含んだ従来の水晶体超音波乳化吸引手法を使用して除いた。従来の手術法を使用して、多焦点IOLを各眼の空になった後嚢に配置した。IOLは、折り畳むかまたは巻いて、上記の「切開部」から眼の中に入れた。レンズを眼に適正に配置したら、切開部を、縫合することなく治癒させた。
【0072】
手術後、各患者は、1日に2回、3ヶ月間、上記のシクロスポリンA含有エマルションの1滴またはそれ以上を眼に局所適用した。
【0073】
各患者を、手術後3ヶ月で検査し、最良矯正視力(近方および遠方の両方)の測定を行った。加えて、コントラスト感度(眩輝試験を伴う場合および伴わない場合)、ならびに、裸眼視力および最良矯正視力の評価を行った。
【0074】
これらの測定および評価の結果を、シクロスポリンA処置を伴うことなく行われた比較患者での比較眼内レンズ挿入手術と比較した。そのような比較により、シクロスポリンAを使用した上記のような5名の患者の外科的処置眼は、シクロスポリンAを使用しなかった比較患者の同様に外科的に処置された眼と比較して、眼表面トポグラフィーの規則性の改善、コントラスト感度の改善、および、波面収差の縮小を示したことがわかった。
【実施例2】
【0075】
多焦点眼内レンズ(IOL)を用いる白内障手術を受ける患者における視覚の質に対する、局所シクロスポリンA(0.05%)(Restasis;Allergan Inc.;Irvine、CA)の効果を評価する。
【0076】
方法:ReZoom(登録商標)IOL(AMO、Santa Ana、CA)が両眼に移植された20名の患者の40の眼における視覚の質に対する、シクロスポリンA(0.05%)と人工涙液との効果を比較するための、多施設無作為化盲検前向き臨床試験。盲検試験薬物を、一方の眼において、1日に2回、手術前の1ヶ月間および手術後の2ヶ月間にわたって点眼し、他方の眼には、人工涙液を無作為に投与した。UCVA、BCVA、高コントラスト照明および低コントラスト照明の下での薄明視コントラスト感度および明所視コントラスト感度、ならびに、トポグラフィーを、各眼における移植後2ヶ月で片方ずつ測定した。
【0077】
結果:第2の眼の移植から2ヶ月後において、シクロスポリンA投与眼は、シクロスポリンA非投与眼と比較して、著しく改善された薄明視コントラスト感度および明所視コントラスト感度を有し、また、シクロスポリンA処置眼では、UCVAおよびBCVAの改善傾向が認められた。
【0078】
結論:シクロスポリンA(0.05%)の手術前および手術後使用により、視覚結果が、ReZoom(登録商標)多焦点IOL移植患者において著しく改善された。
【0079】
本発明を様々な具体的な実施例および実施形態に関して記載したが、本発明はそれらに限定されず、本発明は特許請求の範囲内において様々に実施されうると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロスポリン成分を患者の眼の眼表面に局所適用すること、および
眼内レンズを患者の該眼に挿入すること
を含む患者の処置方法。
【請求項2】
眼内レンズは眼表面から挿入し、局所適用ステップは、局所適用ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼表面の滑らかさを高めるのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
局所適用ステップは、局所適用ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼におけるコントラスト感度を高めるのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
局所適用ステップは、局所適用ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼における波面収差を縮小させるのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
眼内レンズは眼表面から挿入し、局所適用ステップは、局所適用ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼表面トポグラフィーの規則性を高めるのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
眼内レンズは眼表面から挿入し、局所適用ステップは、局所適用ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼表面の治癒を促進するのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
局所適用ステップは、局所適用ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼における視力を高めるのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
局所適用ステップは、局所適用ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼における視覚の質を高めるのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
局所適用ステップを挿入ステップの前または後に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
局所適用ステップを挿入ステップの前および後の両方において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
シクロスポリン成分が、眼表面に局所適用されるエマルション中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
シクロスポリン成分が、眼表面に局所適用される組成物中に約0.01wt%〜約1wt%の範囲での量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
シクロスポリン成分が、シクロスポリン、シクロスポリン誘導体、それらの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
シクロスポリン成分が、シクロスポリンA、シクロスポリンAの誘導体、それらの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
シクロスポリン成分がシクロスポリンAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
シクロスポリン成分を、眼表面を有する眼を有する患者に投与すること、および
眼内レンズを患者の該眼に挿入すること
を含む患者の処置方法。
【請求項17】
眼内レンズは眼表面から挿入し、投与ステップは、投与ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼表面の滑らかさを高めるのに有効である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
投与ステップは、投与ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼におけるコントラスト感度を高めるのに有効である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
投与ステップは、投与ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼における波面収差を縮小させるのに有効である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
眼内レンズは眼表面から挿入し、投与ステップは、投与ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼表面トポグラフィーの規則性を高めるのに有効である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
眼内レンズは眼表面から挿入し、投与ステップは、投与ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼表面の治癒を促進するのに有効である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
投与ステップは、投与ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼における視力を高めるのに有効である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
投与ステップは、投与ステップを伴わない同一の方法と比較して、挿入ステップ後の眼における視覚の質を高めるのに有効である、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
投与ステップを挿入ステップの前または後に行う、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
投与ステップを挿入ステップの前および後の両方において行う、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
投与ステップが、シクロスポリン成分を患者に全身的投与することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
投与ステップが、シクロスポリン成分を患者の眼の眼表面に局所適用することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
シクロスポリン成分が、患者に投与される組成物中に約0.01wt%〜約15wt%の範囲の量で存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
シクロスポリン成分が、シクロスポリン、シクロスポリン誘導体、それらの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
シクロスポリン成分が、シクロスポリンA、シクロスポリンAの誘導体、それらの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
シクロスポリン成分がシクロスポリンAを含む、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2010−525929(P2010−525929A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507544(P2010−507544)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062325
【国際公開番号】WO2008/137617
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED