説明

眼底画像解析システム、及び眼底画像解析プログラム

【課題】眼底画像データを解析し、画素値プロファイルに基づいて緑内障の症状を識別し、診断のための有益な情報を提供することが可能な眼底画像解析システム、及び眼底画像解析プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】解析システム1の解析コンピュータ2は、被験者の眼底画像データ3の入力を受付ける眼底画像データ入力受付手段11、視神経乳頭領域Dを含む解析対象領域Aを抽出する解析対象抽出手段12、血管領域Bを特定し、消去する血管消去画像作成手段13、血管消去画像データ5を画像変換する変換処理手段16、視神経乳頭領域D及び網膜領域Rの間の輪郭点OPを形成する輪郭点形成手段17、画素値プロファイル7を作成するプロファイル作成手段18、画素値プロファイル7を正常時と比較し、緑内障の症状を識別する緑内障識別手段19とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼底画像解析システム、及び眼底画像解析プログラムに関するものであり、特に、被験者の眼底を撮影した眼底画像データを利用し、主として緑内障等の眼科系疾患の診断に関する有益な情報を医師に対して提供し、当該診断の支援をすることが可能な眼底画像解析システム、及び眼底画像解析プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、眼球に対して外部から光を照射し、眼球を通してその奥の眼底の状態を観察することが行われている。光を照射して撮影された眼底画像からは、視神経乳頭領域や視神経乳頭陥凹領域(詳細は後述する)の大きさ、及びこれらの比率、さらには血管の交叉状態等の情報を得ることができ、緑内障等の眼科系疾患及び糖尿病等のその他の疾病の診断を医師が下すことができる有益な情報である。この眼底画像を利用した診断手法は、外部から光を照射して画像を撮像するだけであり、被験者(患者)に肉体的な負担を強いることのない非侵襲的な手法であり、小児や高齢者に対しても適用しやすい診断手法である。さらに、眼底画像を取得する機器(眼底カメラ)は、比較的簡易な装置から構成され、現在の医療機関においては広く普及している検査機器の一つである。
【0003】
ここで、眼底画像による診断の具体的な例(緑内障の診断)について説明する。眼底カメラによって撮影された眼底画像は、一般に眼底全体が黄赤褐色を呈し、被験者の視線の約15度内方向(換言すると鼻側方向)の位置に、1.2mm〜1.7mmの円形状または卵形状の眼底領域よりも明度の高い画素で示される視神経乳頭(Disc)の領域が観察され、さらにその内側には、視神経乳頭辺縁部よりもさらに明るく白っぽい領域で観察される円形状の小さな視神経乳頭陥凹(Cup)の領域が観察される。ここで、視神経乳頭と視神経乳頭陥凹の間の領域をリム(Rim)と呼ぶ。
【0004】
緑内障が進行すると、眼圧の上昇によって視神経乳頭が圧迫されて凹む症状が見られる。この結果、リムの幅が狭くなる傾向があるため、緑内障の症状が疑われる指針の一つとして、上述の視神経乳頭(D)と視神経乳頭陥凹(C)の領域の直径(または半径)の比率の値が用いられている。すなわち、それぞれが略円形状を呈して構成されるため、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域の直径または半径比(=Cup/Disc比:以下、「C/D比」と称す)の値が一定の基準を超えるか否かによっておおよその判断を下すことができる。緑内障の場合、視神経乳頭陥凹領域が肥大化する傾向が強いため、C/D比が大きくなる傾向が強く、一般に、C/D比=0.6以上の場合には視神経乳頭陥凹領域の肥大化が認められ、緑内障の症状が疑われることとなる。
【0005】
一方、C/D比が0.6よりも小さい値の場合、緑内障の可能性は低いものと判断される。また、0.6よりも小さな場合であっても、左右のそれぞれの眼底画像のC/D比の差が0.2以上ある場合にも、同様に緑内障の症状が疑われることもある。なお、緑内障の診断において、C/D比による判定は絶対的なものではなく、その他の検査結果、及び医師の所見等によって総合的に判断されるものである。ここで、緑内障の症状の可能性が高いその他要因を例示すると、1)眼圧値が常に25mmHgを常に越えている、2)”眼が重い感じがする”など高眼圧による症状がある、3)経過とともに視神経乳頭所見が変化する、4)経過とともに網膜神経線維層欠損が拡大する、等が挙げられる。すなわち、C/D比の値は緑内障の症状を診断するための有益な情報の一つとして用いられるものであり、係る値によって緑内障が直裁されるわけではない。
【0006】
ここで、C/D比を求める場合、一般に現像された眼底画像に定規をあて、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域のそれぞれの直径等を直接測定することが行われている。また、この測定作業を簡易化するために、緑内障判定用の専用スケール(例えば、特許文献1参照)を利用することもある。しかしながら、これらの定規や専用スケールの使用は、測定者の違いによる測定誤差が生じやすく、信頼性を有する精度の高いデータとして測定することが困難であった。
【0007】
上記課題を解決するため、本願出願人等は、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域を、画像解析技術を利用して周囲との画素値の違いによって特定し、特定されたそれぞれの領域について、真円で近似した場合の近似円を当て嵌めることによりC/D比を精度良く算出する技術を開発し、既に開示している(特許文献2参照)。これにより、C/D比の算出及び判定作業を自動化することができ、特に、健康診断等の多人数の眼底画像をまとめて診断する場合に、医師に対して診断のための有益な情報を提供し、緑内障の診断に係る時間を飛躍的に短縮することができることを可能としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の診断手法は、下記に掲げるような問題点を生じる可能性があった。すなわち、画像解析技術を利用し、各領域の抽出及び近似円の特定を自動化するものは、確かにC/D比の算出を容易にするものであり、医師等の作業を簡略化することができた。しかしながら、視神経乳頭及び視神経乳頭陥凹領域は、必ずしも真円形状ではなく、楕円形状や一部が歪に突出している場合も多かった。そのため、各領域が真円形状であると仮定して近似円の特定を行っているため、求められたC/D比の精度が高くならない場合もあった。特に、緑内障の症状が進行し、視神経乳頭陥凹領域が真円から著しく逸脱している場合には、合致する近似円の特定が困難となり、医師に対して有益な情報を提供することができない場合もあった。
【0009】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、眼底を撮影した眼底画像データを画像解析技術を応用して解析処理し、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域をそれぞれ特定し、C/D比を算出することなく、画素値プロファイルに基づいて緑内障の症状の可能性を判定し、医師に対して有益な情報を提供し、診断を支援することが可能な眼底画像解析システム、及び眼底画像解析プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の眼底画像解析システムは、「被験者の眼底を撮影した眼底画像データを取得し、解析コンピュータを利用して前記眼底画像データの解析を行うことにより、医師による緑内障の診断を支援するための情報を提供可能な眼底画像解析システムであって、前記解析コンピュータは、眼底カメラを利用して取得された前記被験者の前記眼底画像データの入力を受付ける眼底画像データ入力受付手段と、受付けた前記眼底画像データから、画素値の違いを利用して視神経乳頭領域を含む解析対象領域を特定し、対象領域データを抽出する解析対象抽出手段と、抽出した前記対象領域データから、緑色成分の画素値の違いを利用して血管領域を特定し、特定された前記血管領域の画素値を周囲の網膜領域より補間して血管消去画像データを作成する血管消去画像作成手段と、作成された前記血管消去画像データに対し、RGB値を輝度値に変換する処理を行う輝度値変換処理手段、及び変換された輝度値変換画像に対し、濃度階調を変換する処理を行う濃度階調変換手段を有し、前記血管消去画像データの前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の輝度値差を大きくする変換処理手段と、前記変換処理手段によって処理された変換画像データから、前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の境界を検出し、前記視神経乳頭領域の輪郭点を形成する輪郭点形成手段と、形成された前記輪郭点に基づいて、前記視神経乳頭領域を縦断するベースラインを設定し、前記ベースライン上の青色成分の画素値をプロットした画素値プロファイルを作成するプロファイル作成手段と、作成された前記画素値プロファイルの左右の裾長さに応じて緑内障の症状を識別する緑内障識別手段と」を主に具備して構成されている。
【0011】
ここで、眼底画像データとは、眼底カメラを利用して被験者の眼底の状態を撮影した画像情報であり、デジタルカメラ等によって眼底の状態を撮影した電子データをそのまま利用するものであっても、或いは銀塩写真からなる眼底画像をスキャニングして電子化したものであっても構わない。また、眼底画像データ入力受付手段は、上記手法によって撮影または取得された眼底画像データを、解析コンピュータを利用して解析処理するための読込手段であり、CD−R、HDD、USBメモリ等の記憶媒体に予め記憶されたものを読込装置を利用して読込むものや、或いは送信された眼底画像データを通信ネットワークを介して受信し、受付けるものであっても構わない。
【0012】
さらに、解析対象抽出手段とは、解析対象となる視神経乳頭及びその内側に存在する視神経乳頭陥凹の領域を含む解析対象領域を特定し、これを抽出するものである。ここで、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域は、その周囲の領域(網膜領域)よりも明度の高い画素で示されるため、周知の画像解析技術(例えば、二値化処理法等)を利用し、画素値の違いを利用して当該領域を含んだ解析対象領域を容易に特定することが可能となる。
【0013】
一方、血管消去画像作成手段とは、対象領域データとして抽出された解析対象領域に含まれる血管領域を除去するものである。ここで、視神経乳頭領域等には複数の血管が走行しているため、後述する輪郭点の形成や画素値プロファイルの作成に視神経乳頭領域と網膜領域との境界付近を血管が隠したり、画素値プロファイルの値に影響を与えることがある。そこで、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域よりも濃色で表示される血管領域を画素値の違い、特に、緑色成分の画素値の違いを利用して血管領域を特定し、対象領域データから除去するとともに、除去された消去領域を周囲の網膜領域から補間して血管消去画像データが作成される。これにより、本来血管が存在していた領域は、網膜領域と近似する画素で表示される。
【0014】
さらに、変換処理手段とは、輝度値に変換する輝度値変換処理手段及び濃度階調変換を行う濃度階調変換手段の二つの手段を有して構成されている。これにより、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域とそれ以外の領域(網膜領域)との輝度値差を大きくし、両者の区別をより明確にすることができる。
【0015】
さらに、輪郭点形成手段とは、変換画像データから画素値の違いを利用して視神経乳頭領域の全周囲の境界を検出するものである。すなわち、視神経乳頭領域は略円形状を呈するため、それぞれの位置で特定された輪郭点を結合することにより、視神経乳頭領域の輪郭を示すことができる。そして、視神経乳頭領域を縦断するベースライン上の画素値をプロットした画素値プロファイルが作成される。このとき、ベースライン上の画素値は、青色成分の画素値に対してプロットがなされる。当該ベースラインは、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域を通過し、両端が特定された輪郭点として指定されている。そのため、画素値プロファイルは、一般に最も明度の高い視神経乳頭陥凹領域を頂上として山型の凸形状を呈することとなる。このとき、視神経乳頭陥凹領域の肥大化が進行している場合(緑内障の可能性が高い場合)には、視神経乳頭陥凹領域の左右サイド(裾に相当)に形成される視神経乳頭領域に相当する画素値プロファイルの範囲が狭くなり、換言すれば、山型形状の左右の裾長さが短くなることが確認される。一方、視神経乳頭陥凹領域が肥大化していない場合(緑内障の可能性が低い場合)、平坦な裾が続き、視神経乳頭陥凹領域のみが鋭く上方に突出した画素値プロファイルとなる。これにより、左右の裾長さに応じて緑内障の症状を識別することが緑内障識別手段において可能となる。
【0016】
したがって、本発明の眼底画像解析システムによれば、従来のC/D比の算出と異なり、作成された画素値プロファイルの左右の裾長さに応じて緑内障の症状の識別判定を行うことができる。これにより、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域の境界を判定する必要がなく、精度の高い判定を行うことができる。
【0017】
さらに、本発明の眼底画像解析システムは、上記構成に加え、「前記解析対象抽出手段は、前記眼底画像データの全ての領域に対し、特定する前記解析対象領域の占める比率が予め規定され、前記比率に従って前記解析対象領域の画素数の閾値を決定するpタイル法を利用するpタイル抽出手段」を具備するものであっても構わない。
【0018】
したがって、本発明の眼底画像解析システムによれば、画像解析技術において領域を特定するために使用されているpタイル法を応用し、解析対象領域の特定及び抽出が行われる。ここで、眼底の網膜領域に対する視神経乳頭領域の占める比率は大凡の範囲で特定されることが予め知られ、その値を規定することにより解析対象領域を容易に特定することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明の眼底画像解析システムは、上記構成に加え、「前記輪郭点形成手段は、前記変換画像データに対してキャニーフィルタ処理を実行し、前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の境界を強調するエッジ強調手段と、エッジが強調された前記変換画像データに対して膨脹処理を実行し、孤立点を除去する膨脹・孤立点除去手段と、前記孤立点の除去された前記変換画像データから前記視神経乳頭領域の重心点を特定する重心点特定手段と、特定された前記重心点から前記エッジに向かって360度探索し、前記重心点から最短距離に位置する前記エッジを輪郭点候補として指定する候補指定手段と、指定された複数の輪郭点候補に対して膨脹処理を実行して結合し、微小領域を面積判定処理によって除去することにより、前記視神経乳頭領域の前記輪郭点を決定する輪郭点決定手段と」をさらに具備するものであっても構わない。
【0020】
したがって、本発明の眼底画像解析システムによれば、輪郭点を形成するために、周知のキャニーフィルタ(Cannyフィルタ)による処理によってエッジを強調し、膨脹処理及び孤立点除去によって輪郭点を決定するための精度をさらに高め、重心点からの候補に基づいて再び膨脹処理と面積判定処理を行って輪郭点以外を除去することにより最終的に輪郭点を決定することができる。
【0021】
一方、本発明の眼底画像解析プログラムは、「眼底カメラを利用して被験者の眼底を撮影して取得された眼底画像データの入力を受付ける眼底画像データ入力受付手段、受付けた前記眼底画像データから、画素値の違いを利用して視神経乳頭領域を含む解析対象領域を特定し、対象領域データを抽出する解析対象抽出手段、抽出した前記対象領域データから、緑色成分の画素値の違いを利用して血管領域を特定し、特定された前記血管領域の画素値を周囲の網膜領域の画素値より補間して血管消去画像データを作成する血管消去画像作成手段、作成された前記血管消去画像データに対し、RGB値を輝度値に変換する処理を行う輝度値変換処理手段、及び変換された輝度値変換画像に対し、濃度階調を変換する処理を行う濃度階調変換手段を有し、前記血管消去画像データの前記視神経乳頭領域及び網膜領域の間の輝度値差を大きくする変換処理手段、前記変換処理手段によって処理された変換画像データから、前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の境界を検出し、前記視神経乳頭領域の輪郭点を形成する輪郭点形成手段、形成された前記輪郭点に基づいて、前記視神経乳頭領域を縦断するベースラインを設定し、前記ベースライン上の青色成分の画素値をプロットした画素値プロファイルを作成するプロファイル作成手段、及び作成された前記画素値プロファイルの左右の裾長さに応じて緑内障の症状を識別する緑内障識別手段として、医師による緑内障の診断を支援するための情報を提供可能な眼底画像解析コンピュータを機能させる」ものから主に構成され、さらに、「前記眼底画像データの全ての領域に対し、特定する前記解析対象領域の占める比率が予め規定され、前記比率に従って前記解析対象領域の画素数の閾値を決定するpタイル法を利用するpタイル抽出手段を有する前記解析対象抽出手段として」或いは「前記変換画像データに対してキャニーフィルタ処理を実行し、前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の境界を強調するエッジ強調手段、エッジが強調された前記変換画像データに対して膨脹処理を実行し、孤立点を除去する膨脹・孤立点除去手段、前記孤立点の除去された前記変換画像データから前記視神経乳頭領域の重心点を特定する重心点特定手段、特定された前記重心点から前記エッジに向かって360度探索し、前記重心点から最短距離に位置する前記エッジを輪郭点候補として指定する候補指定手段、及び指定された複数の輪郭点候補に対して膨脹処理を実行して結合し、微小領域を面積判定処理によって除去することにより、前記視神経乳頭領域の前記輪郭点を決定する輪郭点決定手段を有する前記輪郭点形成手段として」、眼底画像解析コンピュータを機能させるものであっても構わない。
【0022】
したがって、本発明の眼底画像解析プログラムによれば、上記プログラムを実行することにより、解析コンピュータが眼底画像解析システムによる優れた作用を奏することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の効果として、取得した眼底画像データから画素値プロファイルを作成することにより、視神経乳頭領域及び視神経乳頭陥凹領域のそれぞれの直径(または半径)の値を求めることなく、画素値プロファイルの左右の裾長さによって緑内障の症状の識別を行うことができる。これにより、画像解析技術によりC/D比を算出していた従来の手法に比べ、緑内障の症状の識別精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の眼底画像解析システムにおける解析コンピュータの機能的構成を示すブロック図である。
【図2】解析コンピュータによる解析処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】(a)眼底画像データ、及び(b)血管消去画像データを示す説明図である。
【図4】(a)輝度値変換処理、及び(b)濃度階調変換処理を示す説明図である。
【図5】(a)キャニーフィルタ処理、(b)膨脹処理、(c)孤立点除去処理、(d)輪郭点候補探索処理、(e)膨脹処理、(f)面積判定処理、(g)輪郭点決定の画像一例をそれぞれ示す説明図である。
【図6】(a)緑内障、(b)正常眼底の画素値プロファイルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態である眼底画像解析システム1(以下、単に「解析システム1」と称す)について、図1乃至図6に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の解析システム1における解析コンピュータ2の機能的構成を示すブロック図であり、図2は解析コンピュータ2による解析処理の流れを示すフローチャートであり、図3乃至図5は各処理による画像の一例を示す説明図であり、図6は(a)緑内障、(b)正常眼底の画素値プロファイルの一例を示す説明図である。
【0026】
本実施形態の解析システム1は、図1乃至図6に示すように、被験者の眼底を撮影した眼底画像データ3を画像解析技術を応用して解析し、解析コンピュータ2によって緑内障の症状を識別し、医師が診断を行うための有益な情報を提供可能とするものである。解析コンピュータ2は、その機能的構成として、図1に示すように、周知の眼底カメラ(図示しない)を利用して撮影された被験者の電子化された眼底画像データ3の入力を受付ける眼底画像データ入力受付手段11と、受付けた眼底画像データ3から視神経乳頭領域D及びその内側の視神経乳頭陥凹領域Cを含む画像解析の解析対象領域Aを特定し、対象領域データ4として抽出する解析対象抽出手段12と、抽出した領域対象データ4から血管領域Bを緑色成分の画素値の違いを利用して特定し、特定された血管領域Bの画素値を周囲の網膜領域より補間して血管消去画像データ5を作成する血管消去画像作成手段13と、作成された血管消去画像データ5に対し、RGB値を輝度値に変換する処理を行う輝度値変換処理手段14及び濃度階調変換する濃度階調変換素処理手段15を有する変換処理手段16と、変換処理手段16によって処理された変換画像データ6から、視神経乳頭領域D及びその外側の網膜領域Rの間の境界を検出し、視神経乳頭領域Dの輪郭点OPを形成する輪郭点形成手段17と、形成された輪郭点OPに基づいて、視神経乳頭領域D及び視神経乳頭陥凹領域Cを縦方向に縦断して通過するベースラインLを設定し、当該ベースラインL上の青色成分の画素値をそれぞれベースラインLに沿ってプロットした画素値プロファイル7を作成するプロファイル作成手段18と、作成された画素値プロファイル7の左右の裾長さWを検討し、正常眼底との比較から、緑内障の症状を識別する緑内障識別手段19とを主に具備する。
【0027】
ここで、解析対象抽出手段12は、pタイル法を利用したpタイル抽出手段20をさらに具備している(詳細は後述する)。このとき、解析対象領域Aに対し、視神経乳頭領域Dは、周囲の網膜領域Rよりも明るい画素で示されるため、上記pタイル法による特定が容易となる。また、解析対象領域Aを特定するために、pタイル法と併用し、視神経乳頭領域Dの円形度、面積、及び色情報の特徴をさらに用いるものであっても構わない。
【0028】
また、輪郭点形成手段17は、変換処理手段16によって画像処理された変換画像データ6から、視神経乳頭領域Dの輪郭点OPを特定し、全周を囲った輪郭OLを形成するものである。具体的に説明すると、変換画像データ6をキャニーフィルタ(Canny Filter)によって処理し、視神経乳頭領域Dと網膜領域Rとの間の境界(エッジ)を強調するエッジ強調手段21と、エッジEの強調された変換画像データ6’に対して膨脹処理を実行し、さらに孤立点を除去する膨脹・孤立点除去手段22と、視神経乳頭領域Dの中から重心点Cを特定する重心点特定手段23と、特定された重心点Cから強調されたエッジEに向かって360度探索し、重心点Cから最短距離に位置するエッジEをそれぞれ輪郭点候補OP’として指定する候補指定手段24と、指定された複数の輪郭点候補OP’に対して膨脹処理を実行して結合し、さらに微小領域を面積判定処理によって除去することにより、視神経乳頭領域の輪郭点OPを決定する輪郭点決定手段25とを有している。
【0029】
ここで、解析コンピュータ2には、市販のパーソナルコンピュータ及びその周辺機器を利用することが可能であり、その他の一般的構成として、読込んだ眼底画像データ3及び各処理によって生成される各画像データ6等を記憶若しくは一時的に保存するための記憶手段26、処理結果を表示するための液晶ディスプレイ等の表示手段(図示しない)に表示信号を信号制御して送出するための表示制御手段27、及び解析コンピュータ2に対し、各種指令及びデータの入力等を行うとともに、解析コンピュータ2を操作するためのキーボード等の操作手段(図示しない)と接続し、操作手段を介して入力された操作入力信号を受付ける操作制御手段28等の機能的構成を有している。
【0030】
次に、本実施形態の解析システム1による眼底画像データ3の画像解析による緑内障の症状の識別処理の一例を図2のフローチャート、図3乃至図5の各処理における画像例、及び図6の画素値プロファイル7に基づいて説明する。
【0031】
始めに、解析コンピュータ2は、眼底カメラによって撮影され、電子データ化された被験者の眼底に係る眼底画像データ3を、当該眼底画像データ3が予め記憶されたHDD等の記憶媒体から取得し、これを受付ける(ステップS1:図3(a))。
【0032】
そして、解析対象抽出手段12によって、視神経乳頭領域Dを含む解析対象領域Aを抽出する(ステップS2:図3(a))。ここで、解析対象抽出手段12は、pタイル法を利用したpタイル抽出手段20によって抽出が行われる。pタイル法は画像解析処理における周知の手法の一つであり、具体的に示すと、始めに画像全体の面積S、解析対象領域Aの面積S’と設定し、画像全体に対する解析対象領域Aの面積の比率p=S’/Sを算出する。このとき、解析対象領域Aの画素が画像全体の画素よりも明るい場合には、濃度値の大きい方から画素数を数え、一方、解析対象領域Aの画素が画像全体の画素よりも暗い場合には、濃度値の小さい方から数え、そのときの画素数をN’として、画像全体の画素数をNで示した場合、N’/N=pの値を満たす濃度値を閾値として決定する。これにより、解析対象領域Aを係る閾値に従って抽出する処理を行うものである。ここで、解析対象領域Aの大部分を占める視神経乳頭領域Dの画素は、周囲の網膜領域Rの画素よりも明るいため、上記pタイル法による特定が容易に行われ、対象領域データ4として抽出される。このとき、解析対象領域Aの特定の際に視神経乳頭領域Dの円形度、面積、及び色情報の特徴をさらに利用するものであっても構わない。
【0033】
そして、血管消去画像作成手段13によって、抽出された解析対象領域Aに係る対象領域データ4に含まれ、眼底を走行する複数の血管領域Bを画像解析によって消去し、周囲の網膜領域Rにより消去した領域を補間する処理を行う(ステップS3)。ここで、血管領域Bは、一般に網膜領域Rや視神経乳頭領域D等に比べ、濃色で表示されるため、当該血管領域Bは容易に特定することができる。このとき、血管領域Bの特定には、カラー画像で示される対象領域データ4に含まれる緑成分の画素値の違いを利用して行われる。そして、特定された血管領域Bを対象領域データ4から消去するとともに、消去した領域を周囲の網膜領域Rの画素値を使用して補間することにより、血管領域Bの存在しない血管消去画像データ5が形成される(図3(b))。
【0034】
そして、生成された血管消去画像データ5に対し、変化処理手段16によって視神経乳頭領域Dとその他の領域(網膜領域R)との輝度値差を大きくする処理を行う。具体的に説明すると、まずカラー画像で示される血管消去画像データ5に含まれる赤色成分、緑色成分、青色成分のRGB値を輝度値に変換する処理を行う(ステップS4:図4(a))。これにより、各色成分の画素値が強調され、特に視神経乳頭領域Dを示す各画素値が一定の値を示すように強調される。その後、濃度階調変換処理手段15によって、輝度値に変換処理後の血管消去画像データ5’に対し、濃度階調変換処理を行う(ステップS5:図4(b))。係る二つの処理を有する変換処理手段16によって、視神経乳頭領域Dとその周りを囲む網膜領域Rとの相対的な輝度値差が大きくなる(画素値プロファイル参照)。
【0035】
その後、上記処理によって得られた変換画像データ6から視神経乳頭領域Dの輪郭点OPを形成する処理を行う。具体的には、変換画像データ6に対し、キャニーフィルタ(Canny Filter)処理を実行し、視神経乳頭領域D及び網膜領域Rの境界のエッジE(屈曲点)を強調するエッジ強調処理を行う(ステップS6:図5(a))。なお、キャニーフィルタ処理及び係る処理を規定したキャニー法は、画像解析処理において周知の技術であるため、ここでは詳細な説明を省略する。そして、キャニーフィルタ処理後の画像(図5(a))に対し、膨脹処理を行う(ステップS7:図5(b))。ここで、膨脹処理とは、図形成分の境界が接する背景成分中の画素の値を図形成分の画素の値に変換し1画素分膨らませることにより、図形成分中の雑音成分(特に、孤立点N)を顕著に表示することが可能な処理である。そして、膨脹処理後の画像(図5(b))
から孤立点を除去する処理を行う(ステップS8:図5(c))。
【0036】
そして、孤立点除去処理後の画像(図5(c))から、視神経乳頭領域Dにおける重心点Cを特定(ステップS9)、当該重心点Cから360度方向に探索を行い、探索されたエッジEを輪郭点候補OP’として指定し(ステップS10:図5(d))、複数の輪郭点候補OP’に対し、さらに膨脹処理及び面積判定処理を実行する(ステップS11:図5(e)及び図5(f))ことにより、最終的に輪郭点OPを決定する(ステップS12:図5(g))。
【0037】
その後、輪郭点OPが特定された視神経乳頭領域Dを縦断するベースラインBLを設定し(図5(g)、ベースラインBL上の眼底画像データ3の青色成分の画素値をプロットした画素値プロファイル7を作成する(ステップS13:図6(a))。ここで、図6(a)において、縦軸は青色成分の画素値を示し、横軸はベースラインBLの座標を示している。すなわち、横軸の左右の軸端が上記処理によって特定された視神経乳頭領域Dと網膜領域Rとの境界に相当する輪郭点OPとなる。
【0038】
そして、作成された画素値プロファイル7に基づいて緑内障の識別が行われ、識別結果を含む識別データ30が記憶される(ステップS14)。ここで、緑内障の識別は、画素値プロファイル7の左右の裾長さWによって判定される。すなわち、緑内障の疑いがある場合、リムの幅が狭くなるため、画像上では図6(a)に示されるように、裾長さWがほとんどない画素値プロファイルが形成される。
【0039】
一方、正常な視神経乳頭領域Dは、視神経乳頭陥凹領域Cの周辺にリムが形成される。すなわち、画素値プロファイル7’は、図6(b)に示されるように、裾長さWが大きくなる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の解析システム1により、被験者から取得した眼底画像データ3から、各種画像処理工程を経て、上記の画素値プロファイル7を形成することにより、緑内障の症状を識別することが可能となる。なお、緑内障の最終的な診断は、その他の検査状況等を勘案し、専門の眼科医により総合的に判断されるものであり、本システムはその診断を行うための有益な情報を医師に対して提供することができるものである。これにより、健康診断などによって取得した多数の眼底画像データ3について診断を行う場合の一次的な判断を解析コンピュータ2によって行うことができる。
【0041】
特に、従来の眼底画像データ3に対する画像解析技術に比べ、視神経乳頭陥凹領域Cの正確な特定を省略することができる。すなわち、C/D比の算出を省略することが可能となる。これにより、従来はC/D比を算出する際に必要であった視神経乳頭領域D及び視神経乳頭陥凹領域Cの測定による誤差の可能性を排除することができ、高い精度での緑内障の識別が可能となる。
【0042】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0043】
すなわち、本実施形態の解析システム1において、眼底画像データ3から対象領域データ4を抽出し、その後、血管領域Bの消去及び補間を行うことにより、血管消去画像データ5を生成するものを示したが、これに限定されるものではなく、係る処理の順序を逆にするものであっても構わない。また、眼底画像データ3が比較的小さい面積を対象とするものであれば、対象領域データ4の抽出を省略し、眼底画像データ3の全体について血管領域Bを特定し、血管消去画像データ5を生成するものであっても構わない。なお、図3乃至図4において、説明を簡略化するために対象領域データ4の抽出後の眼底画像データ3の全体を表示した画像を例示している。
【符号の説明】
【0044】
1 解析システム(眼底画像解析システム)
2 解析コンピュータ
3 眼底画像データ
4 対象領域データ
5,5’ 血管消去画像データ
6 変換画像データ
7 画素値プロファイル
11 眼底画像データ入力受付手段
12 解析対象抽出手段
13 血管消去画像作成手段
14 輝度値変換処理手段
15 濃度階調変換処理手段
16 変換処理手段
17 輪郭点形成手段
18 プロファイル作成手段
19 緑内障識別手段
20 pタイル抽出手段
21 エッジ強調手段
22 膨脹・孤立点除去手段
23 重心点特定手段
24 候補指定手段
25 輪郭点決定手段
A 解析対象領域
B 血管領域
BL ベースライン
C 視神経乳頭陥凹領域
D 視神経乳頭領域
E エッジ
OP 輪郭点
OP’ 輪郭点候補
R 網膜領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2004−49259号公報
【特許文献2】特開2006−263127号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の眼底を撮影した眼底画像データを取得し、解析コンピュータを利用して前記眼底画像データの解析を行うことにより、医師による緑内障の診断を支援するための情報を提供可能な眼底画像解析システムであって、
前記解析コンピュータは、
眼底カメラを利用して取得された前記被験者の前記眼底画像データの入力を受付ける眼底画像データ入力受付手段と、
受付けた前記眼底画像データから、画素値の違いを利用して視神経乳頭領域を含む解析対象領域を特定し、対象領域データを抽出する解析対象抽出手段と、
抽出した前記対象領域データから、緑色成分の画素値の違いを利用して血管領域を特定し、特定された前記血管領域の画素値を周囲の網膜領域より補間して血管消去画像データを作成する血管消去画像作成手段と、
作成された前記血管消去画像データに対し、RGB値を輝度値に変換する処理を行う輝度値変換処理手段、及び変換された輝度値変換画像に対し、濃度階調を変換する処理を行う濃度階調変換手段を有し、前記血管消去画像データの前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の輝度値差を大きくする変換処理手段と、
前記変換処理手段によって処理された変換画像データから、前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の境界を検出し、前記視神経乳頭領域の輪郭点を形成する輪郭点形成手段と、
形成された前記輪郭点に基づいて、前記視神経乳頭領域を縦断するベースラインを設定し、前記ベースライン上の青色成分の画素値をプロットした画素値プロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
作成された前記画素値プロファイルの左右の裾長さに応じて緑内障の症状を識別する緑内障識別手段と
を具備することを特徴とする眼底画像解析システム。
【請求項2】
前記解析対象抽出手段は、
前記眼底画像データの全ての領域に対し、特定する前記解析対象領域の占める比率が予め規定され、前記比率に従って前記解析対象領域の画素数の閾値を決定するpタイル法を利用するpタイル抽出手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の眼底画像解析システム。
【請求項3】
前記輪郭点形成手段は、
前記変換画像データに対してキャニーフィルタ処理を実行し、前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の境界を強調するエッジ強調手段と、
エッジが強調された前記変換画像データに対して膨脹処理を実行し、孤立点を除去する膨脹・孤立点除去手段と、
前記孤立点の除去された前記変換画像データから前記視神経乳頭領域の重心点を特定する重心点特定手段と、
特定された前記重心点から前記エッジに向かって360度探索し、前記重心点から最短距離に位置する前記エッジを輪郭点候補として指定する候補指定手段と、
指定された複数の輪郭点候補に対して膨脹処理を実行して結合し、微小領域を面積判定処理によって除去することにより、前記視神経乳頭領域の前記輪郭点を決定する輪郭点決定手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼底画像解析システム。
【請求項4】
眼底カメラを利用して被験者の眼底を撮影して取得された眼底画像データの入力を受付ける眼底画像データ入力受付手段、受付けた前記眼底画像データから、画素値の違いを利用して視神経乳頭領域を含む解析対象領域を特定し、対象領域データを抽出する解析対象抽出手段、抽出した前記対象領域データから、緑色成分の画素値の違いを利用して血管領域を特定し、特定された前記血管領域の画素値を周囲の網膜領域の画素値より補間して血管消去画像データを作成する血管消去画像作成手段、作成された前記血管消去画像データに対し、RGB値を輝度値に変換する処理を行う輝度値変換処理手段、及び変換された輝度値変換画像に対し、濃度階調を変換する処理を行う濃度階調変換手段を有し、前記血管消去画像データの前記視神経乳頭領域及び網膜領域の間の輝度値差を大きくする変換処理手段、前記変換処理手段によって処理された変換画像データから、前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の境界を検出し、前記視神経乳頭領域の輪郭点を形成する輪郭点形成手段、形成された前記輪郭点に基づいて、前記視神経乳頭領域を縦断するベースラインを設定し、前記ベースライン上の青色成分の画素値をプロットした画素値プロファイルを作成するプロファイル作成手段、及び作成された前記画素値プロファイルの左右の裾長さに応じて緑内障の症状を識別する緑内障識別手段として、医師による緑内障の診断を支援するための情報を提供可能な眼底画像解析コンピュータを機能させることを特徴とする眼底画像解析プログラム。
【請求項5】
前記眼底画像データの全ての領域に対し、特定する前記解析対象領域の占める比率が予め規定され、前記比率に従って前記解析対象領域の画素数の閾値を決定するpタイル法を利用するpタイル抽出手段を有する前記解析対象抽出手段として、前記眼底画像解析コンピュータをさらに機能させることを特徴とする請求項4に記載の眼底画像解析プログラム。
【請求項6】
前記変換画像データに対してキャニーフィルタ処理を実行し、前記視神経乳頭領域及び前記網膜領域の間の境界を強調するエッジ強調手段、エッジが強調された前記変換画像データに対して膨脹処理を実行し、孤立点を除去する膨脹・孤立点除去手段、前記孤立点の除去された前記変換画像データから前記視神経乳頭領域の重心点を特定する重心点特定手段、特定された前記重心点から前記エッジに向かって360度探索し、前記重心点から最短距離に位置する前記エッジを輪郭点候補として指定する候補指定手段、及び指定された複数の輪郭点候補に対して膨脹処理を実行して結合し、微小領域を面積判定処理によって除去することにより、前記視神経乳頭領域の前記輪郭点を決定する輪郭点決定手段を有する前記輪郭点形成手段として、前記眼底画像解析コンピュータをさらに機能させることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の眼底画像解析プログラム。





【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−158279(P2010−158279A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−710(P2009−710)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16〜20年度、文部科学省、地域科学技術振興施策、委託研究(知的クラスター創成事業、岐阜・大垣地域ロボティック先端医療クラスター)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【出願人】(506158197)公立大学法人 滋賀県立大学 (29)