説明

眼科レンズを製造する方法

【課題】コンタクトレンズモールド組立体を形成するようモールドセクションを互いに効率的に且つ高精度に結合する方法を提供すること。
【解決手段】重合性組成物を収容するキャビティを形成するモールド組立体を、第1モールド部と第2モールド部で形成し、各モールド部の周辺領域を通過する細長い要素を配置する。この細長い要素を第1モールド部と第2モールド部に溶接することによって、眼科レンズモールド組立体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科レンズを製造する方法に関する。特に、本発明は、コンタクトレンズモールド組立体を形成するようモールドセクションを互いに結合する方法に特徴を有する眼科レンズを製造する方法に関する。
【0002】
なお、本願は、2006年3月31日に出願された米国特許出願第60/803,524号明細書の権益主張出願であり、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
オフサルミックレンズ、例えば眼内レンズ及びコンタクトレンズを製造する一方法は、注型成形(キャストモールディング)による方法である。コンタクトレンズの注型成形は、周知である。これについては、例えば、アプルトン等(Appleton et al.)の米国特許第5,466,147号明細書、モーリス(Morris)の米国特許第6,405,993号明細書、及びディーン(Dean)の米国特許第6,732,993号明細書を参照されたい。
【0004】
コンタクトレンズ注型成形法では、単一のコンタクトレンズ製品を成形する単一のモールド組立体が、製造されるべきレンズの前方面を形成する凹状光学面を備えた雌型モールドセクションと、製造されるべきレンズの後方面を形成する凸状光学面を備えた雄型モールドセクションとを有する。かくして、雄型モールドセクションと雌型モールドセクションを互いに組み立てると、雌型セクションの凹面と雄型セクションの凸面との間にコンタクトレンズの形をしたキャビティが形成される。
【0005】
レンズを注型成形する方法は、次の通りである。重合性レンズ材料、例えばモノマー材料又は他のレンズ前駆物質材料をコンタクトレンズモールドセクションの凹面上に配置する。これは、通常、或る量のレンズ前駆物質材料をモールド半部又はモールドセクション上に小出しすることにより行われる。
【0006】
いったん満たされると、第2のモールドセクションを第1のモールドセクションと接触状態に配置してレンズ前駆物質材料の入ったレンズ形キャビティを形成する。
【0007】
第1のモールドセクションと第2のモールドセクションの結合の一形式は、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションの締まり嵌めを利用する。例えば、第2のモールドセクションを第2のモールドセクションの一部に作用する第1のモールドセクションの一部により得られる圧力嵌めによって第1のモールドセクションに対して定位置に保持するのが良い。
【0008】
別の形式の結合は、点接触(ポイントコンタクト)結合と呼ばれている。点接触モールドセクションでは、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションを互いに接触状態に配置し、これらには、2つのモールドセクションを互いに保持する追加の結合機構体が必要である。例えば、2つの点接触モールドセクションを互いに保持するには、モールドセクションを互いに物理的にクランプするのが良い。別法として、2つのモールドセクションの一部を互いに融着することにより2つの点接触モールドセクションを互いに保持することができる。例えば、米国特許第5,759,318号明細書は、2つのモールドセクションを互いに固定するための超音波エネルギーの使用を記載している。
【0009】
コンタクトレンズモールド組立体を形成するために用いられる結合方式は、モールドセクションを製造するために用いられる材料の種類に関連している場合が多い。例えば、弾性又は柔軟性の高いポリマー材料、例えば比較的非極性又は疎水性のポリマー樹脂が、締まり嵌め状態のモールドセクションを形成するために用いられる場合がある。これとの比較の上で、剛性又は不撓性の高いポリマー材料、例えば比較的極性又は親水性のポリマー材料を用いると、点接触モールドセクションを形成することができる。
【0010】
コンタクトレンズモールド組立体を形成するために2つのモールドセクションを閉鎖した後、コンタクトレンズ前駆物質材料を硬化させるのに、例えば、熱及び(又は)光若しくは他の適当な重合手段を充填状態のモールド組立体に加え、それにより、モールドセクション相互間に重合コンタクトレンズ製品を作る。次に、コンタクトレンズ製品をモールドセクションから取り出す。コンタクトレンズ製品は、未完成のコンタクトレンズである場合が多く、かかる未完成のコンタクトレンズに1つ又は2つ以上の仕上げステップ、例えば従来型仕上げステップ、例えば抽出及び(又は)水和を施して最終のコンタクトレンズを得る。
【0011】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの形成にあたり、比較的親水性のポリマー樹脂又は極性樹脂、例えば“Soarlite S”(日本国ニッポン・ゴーセイ・リミテッド)を用いることが、コンタクトレンズに表面処理又はポリマー内部湿潤剤を必要としないで、眼科的に望ましい表面湿潤性を備えたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するのに有益である。
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,466,147号明細書
【特許文献2】米国特許第6,405,993号明細書
【特許文献3】米国特許第6,732,993号明細書
【特許文献4】米国特許第5,759,318号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
注型成形法と関連した1つの問題は、特にレンズ前駆物質材料をモールドセクション相互間に配置した後であってその重合前におけるモールドセクションの適正な配置及び固定を維持できるかどうかである。超音波エネルギーを用いて2つのモールドセクションを互いに固定する場合、レンズカップ(例えば、レンズ前駆物質材料の入っているモールドセクションの領域)に不透明化、点食(ピッチング)、又は気泡生成が生じる場合がある。さらに、レンズ前駆物質材料が実質的に一様な厚さを有し、又は、換言すると、レンズカップの一領域のところのレンズ前駆物質材料が別のこれとは異なる領域に対して厚くなることによりレンズが望ましくないプリズム部を有するということがないモールド組立体を形成することも又困難な場合がある。
【0014】
加うるに、重合コンタクトレンズ製品が潜在的にもろい性質のものなので、モールドセクションは、レンズ製品を破損させず又は損傷させないで分離可能である必要がある。
【0015】
かくして、レンズを製造するより効果的で且つ信頼性の高い方法及びシステム、例えば、コンタクトレンズの製造中にモールドセクションを結合する方法及びシステムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の方法及びシステムは、一般に、コンタクトレンズ前駆物質材料、例えばシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ前駆物質材料で満たされたモールド組立体の個々のコンタクトレンズモールドセクションを互いに固定して固定充填状態のモールドセクションが1又は2以上の下流側のコンタクトレンズ製造ステップ、例えば、前駆物質材料の重合を含めてこのステップまで互いに対して固定されたままであるようにする技術に関する。かかるシステム及び方法は、コンタクトレンズ、例えば、毎日装用されるレンズや長時間又は連続して装用されるレンズを含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの自動化製造に適している。本発明の方法及びシステムは、モールド組立体のコンタクトレンズ形キャビティから半径方向に遠ざかって位置する複数の接触溶接部又はスポット溶接部を形成するステップを含む。
【0017】
本発明の広義の特徴では、オフサルミックレンズ、例えば、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法及びシステムが提供される。本発明の方法及びシステムは、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間に複数個の中空スポット溶接部を形成して第1のモールドセクションと第2のモールドセクションをモールド組立体として固定するのに効果的である。この方法は、1つ又は2つ以上のボアを第1のモールドセクションの別個の領域内に形成し、1つ又は2つ以上のボアを第2のモールドセクションの別個の領域に形成するステップを含む。第1のモールドセクションのボアは、モールドセクションの領域を完全に貫通して延びる。第2のモールドセクションのボアは、第2のモールドセクションの一部にしか延びない。例えば、ボアは、モールドセクションを完全には貫通していない。ボアは、その領域のモールド材料を軟化させ又は溶融させることにより形成される。軟化又は溶融状態のモールド材料は、ボアから流れる。軟化又は溶融モールド材料は、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間の空間を占め、モールド材料が冷え又は硬化すると、このモールド材料は、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間の溶接部又は取付け部として働く。本発明の方法及びシステムでは、両方のモールドセクションを完全に貫通するボアを形成することなく、溶融モールド材料のストリンギング(糸曳き)と関連せず、且つ(或いは)かかるモールド組立体から得られた重合レンズに欠陥を生じさせることなく、2つの点接触モールドセクションを互いに取り付けることができる。
【0018】
本明細書で説明するように、熱又は超音波エネルギーを含むエネルギーを加えてモールド材料の一部分が軟化し又は溶融するようにすることによりボアをモールドセクションに形成することができる。エネルギーを連続的又は脈動的に送り出すことができる。本発明の方法及びシステムの実施形態は、冷却剤をボアに又はその近くに送り出してボア形成要素及び溶融モールド材料を冷却するステップを含むのが良い。本発明の方法及びシステムの実施形態は、ボアを構造が実質的に同一の2つのモールドセクションに形成するステップを含むのが良い。本発明の方法及びシステムの実施形態は、ボア形成要素の先端部をモールドセクション中に通すステップを含むのが良い。先端部は、本明細書において説明するボアを形成するのに効果的な遠位端部を有する。或る特定の実施形態では、この先端部は、平らな遠位端面を備えた円錐形遠位端部を有する。他の実施形態では、先端部は、平らな遠位端面を備えたノミで彫った遠位端部を有する。他の実施形態では、先端部は、ドーム状又は凸状遠位端面を有する。或る特定の実施形態では、先端部は、先端部の遠位端面まで延びるボアを有する。ボアは、冷却剤、例えば空気又はガスを先端部の遠位端部及びモールドセクションの周りの領域に送り出すのに効果的である。或る特定の実施形態では、ボアの形成中、所望量の圧力を第1及び第2のモールドセクションに与えるのにクランプ装置が用いられる。本発明のシステムの一実施形態では、システムは、ハウジングと、ヒータカートリッジと、スリーブと、先端部とを有する。先端部は、スリーブに取り付けられ又はスリーブから延びる。スリーブは、ヒータカートリッジを収容し、スリーブは、ハウジングに取り付けられる。或る特定の実施形態では、先端部は、スリーブに解除自在に取り付けられる。先端部は、プラスチック材料を軟化させ又は加熱するのに効果的な種々の材料で作られたものであるのが良い。適当な先端部材料の例としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、及び銅、ニッケル、青銅を含む元素の合金、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態によれば、2つのモールドセクションを互いに取り付ける方法が提供される。かかる方法は、コンタクトレンズを製造できるように寸法決めされると共に構成された第1及び第2のモールドセクションを用意するステップと、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションをこれらの間にキャビティ、例えば、コンタクトレンズの形をしたキャビティを形成するよう互いに配置するステップとを有するのが良い。第1及び第2のモールドセクションは、それぞれ、キャビティの外方に延びる第1及び第2の周辺領域を有する。
【0020】
本発明の方法の実施形態は、端の開口したボアを第1の周辺領域に形成すると共に端の閉じられたボアを第2の周辺領域に形成するステップを更に有する。ボアの形成ステップは、エネルギーを第1及び第2の周辺領域に及ぼし、それにより、第1及び第2のモールドセクションのうちの少なくとも一方からの材料が軟化すると共に(或いは)第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間の空間内に堆積するようにするステップを含むのが良い。堆積状態の材料は、第1及び第2の周辺領域と接触状態にあり、それにより、モールドセクションは、ボアに隣接した領域が互いに融着状態になる。第1及び第2の周辺領域に加えられるエネルギーは、熱エネルギー、超音波エネルギー、及びこれらの組合せから成る群から選択されるのが良い。
【0021】
形成ステップは、第1及び第2の周辺領域上の互いに異なる場所で少なくとも1回繰り返されるのが良い。幾つかの実施形態では、形成ステップは、複数個の、例えば、少なくとも2つ、例えば3つの端の開口したボアと複数個の、例えば少なくとも2つ、例えば3つの端の閉じられたボアをそれぞれ第1及び第2の周辺領域に実質的に同時に形成するステップを含む。ダウンストリーム(下流側)加工中におけるモールド組立体の安定性を促進するため、端の開口した及び端の閉じられたボアは、キャビティの周りに実質的に等間隔を置いて位置するのが良い。
【0022】
本発明の更に特定の特徴によれば、形成ステップでは、細長い要素を第1の周辺領域中に通して第2の周辺領域内に入れ、次いで、細長い要素を第1及び第2の周辺領域から取り出す。かくして、端の開口したボア及び端の閉じられたボアの形成は、第1の周辺領域を貫通し、第2の周辺領域中に部分的に延びる単一の通路又は空所を形成することにより行われる。換言すると、通路又は空所は、第2の周辺領域又は第2のモールドセクションの周辺領域を完全には貫通しない。
【0023】
この方法は、配合物、例えばコンタクトレンズ配合物、例えばコンタクトレンズ前駆物質配合物を第1及び第2のモールドセクションのうちの少なくとも一方上に施して第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間に形成されたキャビティがこの配合物を収容するようにするステップを更に有するのが良い。配合物は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ前駆物質配合物であるのが良い。
【0024】
本発明の方法、システム及びモールド組立体に用いられるコンタクトレンズモールドセクションは各々、レンズの形をした部分又は表面と、レンズの形をした部分又は表面を包囲するフランジ又は周辺領域とを有する。フランジ又は周辺領域は、レンズ形表面から半径方向に延びるフランジ又は周辺領域であると理解されたい。例えば、コンタクトレンズを形成するモールド組立体は、第1及び第2のモールドセクションを有するのが良く、第1のモールドセクションは、コンタクトレンズの前方面を形成する全体として円錐形のレンズ形表面を有し、第2のモールドセクションは、コンタクトレンズの後方面を形成する全体として凸状のレンズ形表面を有する。第1のモールドセクションは、雌型モールドセクションであり、第2のモールドセクションは、雄型モールドセクションであると理解されたい。第1及び第2のモールドセクションは、これらをモールド組立体として互いに結合すると、第1のモールドセクションのレンズ形表面と第2のモールドセクションのレンズ形表面との間にレンズ形キャビティを形成する。モールド組立体は、組立て状態のモールドセクションのフランジの表面が互いに接触状態にある1つ又は2つ以上の領域を有する。第1及び第2のモールドセクションは、互いに結合されると、2つのモールドセクションの周辺領域に沿って少なくとも1つの接触領域を形成する。幾つかの実施形態では、接触領域は、周方向領域であり、他の実施形態では、接触領域は、非周方向接触領域を含み、1つ又は2つ以上の隙間が、非周方向接触領域を分離する。
【0025】
或る特定の実施形態では、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションは、互いに対して実質的に同一の構造のものである。換言すると、雌型モールドセクションと雄型モールドセクションは、実質的に同一であり、各々、凹状レンズ形成面及び凸状レンズ形成面を有する。例えば、モールドセクションは各々、コンタクトレンズの前方面を形成する第1のレンズ形表面とコンタクトレンズの後方面を形成する実質的にこれと反対側の第2のレンズ形表面の両方を有する。
【0026】
コンタクトレンズの形成方法は、レンズ前駆物質配合物をモールドセクションのレンズ形表面上に配置するステップを更に有するのが良い。配合物は、少なくとも1種類の重合性組成物、例えば、シリコーン含有重合性組成部を有する重合性コンタクトレンズ前駆物質材料を含むのが良い。
【0027】
雌型モールドセクションが重合性組成物をいったん受け入れると、雄型モールドセクションを雌型モールドセクションと接触状態に配置して重合性コンタクトレンズ前駆物質配合物がモールドセクション相互間のレンズ形キャビティを占めた状態でコンタクトレンズモールド組立体を形成する。次に、充填状態の互いに結合されたモールドセクションを本明細書の他の場所で説明するような方法を用いて互いに固定し又は接合する。
【0028】
本明細書の方法の幾つかの実施形態では、モールドセクションを互いに固定するのに、第1及び第2のモールドセクションの周辺領域相互間の接触点のところに複数個の互いに間隔を置いたボアを形成する。ボアは、熱エネルギー又は超音波エネルギー、若しくはこれらの組合せを用いて形成される。例えば、熱又は超音波エネルギーをレンズ形キャビティの周りの別々の領域に及ぼすことにより、2つのモールドセクションを第1及び第2のモールドセクションの周辺領域相互間に形成された2つ又は3つ以上の中空スポット溶接部によって互いに固定することができる。
【0029】
一実施形態では、形成ステップは、加熱状態の先端部を備えた付勢状態の細長い要素を第1の周辺領域に通し、そして、好ましくは第2の周辺領域の厚さを完全には貫通しないで第2の周辺領域中に通すステップを含む。加熱状態の先端部により、モールドセクションの一部分、例えば周辺領域の一部分は、溶融又は軟化状態になる。溶融状態のモールド材料は、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間の空間を占め、かかる溶融モールド材料は、冷えると、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間に溶接部又は取付け部を形成する。第1及び第2のモールドセクションに入り込んだ後、細長い要素は、周辺領域から引き出される。パルス化熱又は連続熱により細長い要素の先端部又は遠位端部を加熱するのが良い。また、超音波エネルギーを細長い要素に及ぼしても良い。例えば、超音波エネルギーを細長い要素の遠位先端部から輻射させてモールド材料の溶融又は軟化を生じさせるのが良い。
【0030】
或る特定の実施形態では、細長い要素の遠位先端部は、テーパし又は尖っている。
【0031】
モールドセクションは、好ましくは、かかる熱エネルギー又は超音波エネルギーを用いて効果的に接合できる材料から成る。例えば、幾つかの実施形態では、モールドセクションは、溶接に適した材料であるエチレンビニルアルコール(EVOH)から成る。理解されるべきこととして、レンズモールドセクション、例えば本発明の方法、システム、及び組立体の接触点モールドセクションを製造するのに他の材料を用いても良い。
【0032】
本発明の他の方法は、種々の種類のエネルギーをモールド組立体に差し向けてボア形成ステップを達成する方式を採用しても良い。例えば、合焦赤外線、高周波エネルギー及び(又は)他の摩擦による加熱形式を周辺領域に適用してボアを形成し、それにより、ボアのすぐ周りのモールドセクション接触領域の材料を溶融させ、次に冷却することにより第1の周辺領域と第2の周辺領域を互いに融着させても良い。
【0033】
加うるに、或る特定の実施形態では、例えばボア形成ステップ中、組立て状態のモールドセクションに係合してこれらを定位置に保持するような構造のクランプ、例えば、空気圧により作動可能なクランプを用いてボア形成ステップ中、組立て状態のモールドセクションを定位置に保持する。雄型モールドセクションと雌型モールドセクションとの間に別の装置又は方法、例えば、プレート又は他の適当な構造体を用いる機械的クランプを用いても良い。
【0034】
好ましくは、ボアの形成により作られた融着又は溶接領域は、モールド組立体のレンズキャビティの周りに連続したリングを形成しない。それどころか、別々の溶接又は取付け領域、例えば、キャビティ周囲に沿って別々の互いに間隔を置いた「点」に約3つの融着又は溶接領域が設けられる。かくして、第1及び第2のモールドセクションは、実際には、スポット溶接される。モールド組立体相互間の溶接部は、本明細書において説明する中空スポット溶接部として説明できる。
【0035】
有利には、1つ又は複数の融着領域は、モールド組立体にモールド組立体が偶発的に位置合わせ不良又は分離状態にならないようにして1種類又は2種類以上の融着後手順を施すことができるようモールドセクションを互いに十分にしっかりと保持する。かかる融着後手順としては、例えば、モールド組立体に重合放射線を当ててレンズ形キャビティ内のレンズ前駆物質材料を重合させること、モールド組立体を種々の融着後加工ステーション相互間で機械的に持ち上げたり他の仕方で運搬することを含む場合がある。
【0036】
例えば、モールドセクションをいったん充填し、組み立て、そして接合すると、モールド組立体のレンズ形キャビティ内の重合性組成物は、重合コンタクトレンズ製品を形成するよう硬化され又は重合する。幾つかの実施形態では、前駆物質配合物を重合させるのに、モールド組立体を重合のための光、例えば紫外線に当てる。次に、モールドセクションを脱型し又は分離して例えばセパレータ、切断装置、例えば刃又は他の器具を1つ又は複数の融着領域に通し又は差し向け、モールドセクションのうちの一方をコンタクトレンズ製品から取り外すことによりコンタクトレンズ製品を露出させるのが良い。
【0037】
本発明の別の特徴では、オフサルミックレンズを製造するのに有用なシステムが提供される。このシステムは、主要構成要素として、モールド組立体を実質的に固定された場所に担持し又は支持するよう構成された表面を有する。モールド組立体は、本明細書の他の場所で説明するオフサルミックレンズモールド組立体、例えば、互いに組み立てられた第1のモールドセクション及び第2のモールドセクションを有するコンタクトレンズモールド組立体であるのが良く、組み立てられた第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間にはレンズ形キャビティが形成され、第1及び第2のモールドセクションは、それぞれ、レンズ形キャビティの外方に延びる第1及び第2の周辺領域を有する。
【0038】
このシステムは、遠位先端部を備えた細長い要素を有し、細長い要素は、遠位先端部が例えば遠位側の方向に第1のモールドセクションの第1の周辺領域を貫通し、そして、第2のモールドセクションの第2の周辺領域中に延び、次に、例えば近位側への方向で第2の周辺領域及び第1の周辺領域から出るように上述の表面に対して位置決めされると共にこれに対して動くことができる。
【0039】
或る特定の実施形態では、このシステムは、複数個の細長い要素を有し、これら細長い要素は各々、遠位先端部が第1の周辺領域を通り、そして、他の1つ又は複数の細長い要素がそのように通る場所から間隔を置いた、例えば等間隔を置いた場所で第2の周辺領域に入るよう位置決めされている。
【0040】
このシステムは、1つ又は複数の細長い要素に作動的に結合されていて、その遠位端部が第1の周辺領域を貫通して第2の周辺領域に入ることができるようにするのに効果的なエネルギーを1つ又は複数の細長い要素に与えるエネルギー源を更に有している。エネルギー源は、熱エネルギー又は超音波エネルギーのうちの少なくとも一方を1つ又は複数の細長い要素に与える。
【0041】
幾つかの実施形態では、エネルギー源は、遠位先端部が第1及び第2の周辺領域に入ってこれから出る際にエネルギーを細長い要素に連続的に与える。他の実施形態では、エネルギー源は、遠位先端部が第1及び第2の周辺領域に入ってこれから出る際にエネルギーを細長い要素に間欠的に与える。
【0042】
特に有利な実施形態では、エネルギー源は、熱エネルギーを細長い要素に与える。加うるに、このシステムは、細長い要素に作動的に結合されていて、細長い要素を第1及び第2の周辺領域から出す時点で又はその後に、結果的に得られた端の閉じられたボア及び端の開口したボアを冷却するのに効果的な冷却組立体を更に有するのが良い。
【0043】
このシステムは、細長い要素に作動的に結合されていて、細長い要素の遠位先端部を第1及び第2の周辺領域に入れたり出したりするような構造の駆動組立体を更に有するのが良い。駆動組立体は、ロスモーション(loss motion)ばねを含むのが良い。
【0044】
かかるシステムは、自動的に且つ(或いは)ロボットにより動作するよう構成されているのが良い。
【0045】
本明細書において説明する各特徴及び全ての特徴並びにかかる特徴のうちの2つ又は3つ以上の各組合せ及び全ての組合せは、かかる組合せに含まれる特徴が相互に矛盾しない限り、本発明の範囲に含まれる。加うるに、任意の特徴又は特徴の組合せは、本発明の実施形態から具体的に排除できる。
【0046】
本発明の上記特徴及び他の特徴は、特に添付の図面と関連して考慮すると以下の説明及び特許請求の範囲で明らかであり、添付の図面において、同一の部分は、同一の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】本発明の実施形態によるモールド組立体の平面図であり、モールド組立体が、第1のモールドセクション及び第2のモールドセクションを有し、第1のモールドセクション及び第2のモールドセクションが、これらの間にコンタクトレンズの形をしたキャビティを形成するよう組み立てられると共に本明細書において開示する方法及びシステムを用いて互いに固定されている状態を示す図である。
【図1B】本発明の実施形態によるモールド組立体の断面図であり、モールド組立体が、第1のモールドセクション及び第2のモールドセクションを有し、第1のモールドセクション及び第2のモールドセクションが、これらの間にコンタクトレンズの形をしたキャビティを形成するよう組み立てられると共に本明細書において開示する方法及びシステムを用いて互いに固定されている状態を示す図である。
【図1C】本発明の実施形態によるモールド組立体の拡大断面図であり、モールド組立体が、第1のモールドセクション及び第2のモールドセクションを有し、第1のモールドセクション及び第2のモールドセクションが、これらの間にコンタクトレンズの形をしたキャビティを形成するよう組み立てられると共に本明細書において開示する方法及びシステムを用いて互いに固定されている状態を示す図である。
【図2】熱エネルギーを用いて本発明のモールド組立体を製造するシステムを示す図である。
【図3】超音波エネルギーを用いて本発明のモールド組立体を製造する別のシステムを示す図である。
【図4】本発明の方法及びシステムで用いられる冷却システムの渦管の図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明を代表的にはコンタクトレンズの製造に有用な方法及びシステムに関して説明するが、理解されるべきこととして、本発明の方法及びシステムは、これらに適当な改造を施して、他の形式のオフサルミックレンズ及び一般に他の成形可能な物品の製造に役に立ち得る。
【0049】
図示の実施形態では、本発明のシステム、方法、組立体、及びこれらのコンポーネントは、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ又はシリコーンヒドロゲル材料から成るコンタクトレンズの製造に有用であるように設計されると共に(或いは)構成されている。例えば、本発明のシステム、方法、及びこれらのコンポーネントは、長時間装用されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ及び(又は)毎日装用されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するのに特に有用である。しかしながら、本明細書において説明するように、本発明の方法及びシステムは、成形可能な又は重合性材料を含む他の生体医用器具を製造するためにも使用できる。
【0050】
本発明の広義の一特徴では、コンタクトレンズの製造方法が提供される。この方法は、一般に、以下のステップ、即ち、各々がレンズの形をした表面を含む第1及び第2のモールドセクションであって、第1及び第2のモールドセクションが、これらの間にレンズの形をしたキャビティを形成するよう互いに結合され又は配置されるよう構成された第1及び第2のモールドセクションを用意するステップと、レンズ前駆物質材料、例えば重合性レンズ前駆物質配合物を一方のモールドセクションのレンズ形キャビティ内に設けるステップと、第1及び第2のモールドセクションを互いに結合し又は配置するステップと、結合状態の第1及び第2のモールドセクションを互いに融着させるステップと、レンズ形キャビティ内の重合性組成物が重合してレンズの形をした製品を形成するようにするステップのうちの少なくとも1つを有する。
【0051】
次に図1A、図1B、及び図1Cを参照すると、オフサルミックレンズ、例えばシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するのに有用なモールド又は成形組立体20が提供されている。図1B及び図1Cに示すように、モールド組立体20は、主要構成要素として、第1のモールドセクション22及び第2のモールドセクション24を有している。図示のように組み立てられると、第1のモールドセクション22と第2のモールドセクション24との間にはコンタクトレンズの形をしたキャビティ26が形成される。
【0052】
第1のモールドセクション22は、第1のキャビティ表面36を有する。第1のキャビティ表面36は、コンタクトレンズの後方面を形成する凸面である。第2のモールドセクション24は、第2のキャビティ表面38を有している。第2のキャビティ表面38は、コンタクトレンズの前方面を形成する凹面である。
【0053】
これらの図に示されたモールド組立体20では、第1のモールドセクション22と第2のモールドセクション24は、構造が実質的に同一であり、互いに固定される前に形成される。換言すると、モールドセクション22,24は、第1のモールドセクション22及び第2のモールドセクション24が各々、前方レンズ表面を形成する第1のレンズ形表面と後方レンズ表面を形成する実質的に反対側の第2のレンズ形表面の両方を有している点において「汎用」モールドセクションと称することができる。一般に、かかる汎用モールドセクションは、互いに対して重さ、半径又は他の特性の相違は、約5%以下であろう。
【0054】
他の実施形態では、本発明のモールド組立体は、汎用モールドセクションではない第1及び第2のモールドセクションを有しても良いことは理解されるべきである。例えば、第1及び第2のモールドセクションは、実質的に同一の構造のものでなくても良く、又、これらの別々の構造に合わせて設計された機械又は機器に使用されるようになっていても良い。
【0055】
第1のモールドセクション22は、第1のキャビティ表面36の外方に延びる第1の周辺領域42を更に有し、第2のモールドセクション24は、第2のキャビティ表面38の外方に延びる第2の周辺領域44を有している。第1のモールドセクション22と第2のモールドセクション24は、第1及び第2の周辺領域のところで互いに接触している。2つのモールドセクションは互いに固定する前に、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションをレンズ形キャビティの周りの周方向接触点のところにルーズに配置する。
【0056】
次に図1Cを参照すると、モールドセクション22,24を本発明の方法の特徴に従って互いに融着し又は取り付けると、第1の周辺領域42は、端の開口したボア52を有し、第2の周辺領域44は、端の閉じられたボア54を有する。
【0057】
端の開口したボア52は、本発明の開示の目的上、一般に、モールドセクションの周辺領域の厚さ全体を貫通するボア又はチャネルにより構成されるのが良い。かくして、第1のモールドセクション22の端の開口したボア52は、モールドセクションの露出面のところに開口部を有し、又、第2のモールドセクションから離れて考えてみた場合、モールドセクションの反対側の表面に開口部を有している。
【0058】
比較すると、端の閉じられたボア54は、本発明の開示の目的上、一般に、モールドセクションの一方の表面に開口した端を有すると共に開口した端の下の或る深さ位置のところに閉じられた端を有するボア又はチャネルに構成されるのが良い。端の閉じられたボアは、モールドセクションの厚さ全体を貫通しているわけではない。これは、例えば、モールドセクションの窪み又は凹みと呼ぶことができる。
【0059】
組立て状態の第1及び第2のモールドセクション22,24に端の開口したボア52及び端の閉じられたボア54を形成することにより、モールドセクション22,24相互間に別々の融着領域が得られる。端の開口したボア52と端の閉じられたボア54は、一緒になって、開口部57a及び閉鎖端又は末端57bを備えた単一のチャネル57を構成している。
【0060】
本明細書において詳細に説明するように、チャネル57の形成中、第1のモールドセクション22及び第2のモールドセクション24のうちの少なくとも一方からのモールド材料は、モールドセクション22,24を互いに取り付けるのに効果的である。第1及び第2のモールドセクション22,24の取付け領域Aは、第1及び第2の周辺領域42,44にそれぞれ形成されたボア52,54に実質的に隣接して設けられる。
【0061】
次に図1Aを参照すると、組立て状態のモールド組立体20では、複数個のかかるボア(例えば、チャネル57)が、第1及び第2の周辺領域42,44に形成されている。例えば、モールド組立体20の平面図は、第1のモールドセクション22の外面62を示している。図示のように、この特定の例の組立体20は、チャネル開口部57aによりそれぞれ図面中に特定される3つの間隔を置いた、例えば、等間隔を置いたチャネルを有する。チャネル57は、第2の周辺領域の端の閉じられたボア(図1Aでは見えず)と整列した第1の周辺領域42の端の開口したボアを有している。
【0062】
本発明の方法は、第1及び第2のモールドセクション、例えば、モールドセクション22,24を互いに配置してこれらの間にレンズ形キャビティを形成するステップと、オフサルミックレンズ配合物を第1及び第2のモールドセクションのうちの少なくとも一方に被着させてレンズ形キャビティが配合物を収容するようにするステップとを有するのが良い。オフサルミックレンズ配合物は、オフサルミックレンズ配合物及びオフサルミックレンズ前駆物質配合物から成る群から選択された配合物である。
【0063】
図示の実施形態では、コンタクトレンズ前駆物質配合物は、キャビティ内に設けられる。配合物は、シリコーンヒドロゲルの製造に有用な1種類又は2種類以上のシリコーン含有成分を有するのが良い。例えば、モールド組立体のコンタクトレンズ形キャビティ内に入れられる本発明の重合性組成物は、ポリシロキサニルジメタクリレートシリコーンモノマー又はポリシロキサニルジメタクリレートシリコーンモノマーとポリジメチルシロキサンメタクリレート誘導体の組合せを含むのが良い。適当な配合物の例としては、国際公開第2006/026474号パンフレットに記載されているものが挙げられる。重合性レンズ前駆物質配合物を、放射線、例えば、紫外線を用いてモールド組立体内で重合させて重合シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製品を形成するのが良い。
【0064】
当業者には理解されるように、場合によっては適当な改造が施された本発明の方法及びシステムを他の処方の重合性組成物から形成された他の形式の成形レンズの脱型に利用することができ、かかる全ての改造方法及びシステムは、本発明の範囲に含まれると考えらえる。
【0065】
本発明の方法は、端の開口したボアを第1のモールドセクションの周辺領域に形成すると共に端の閉じられたボアを第2のモールドセクションの周辺領域に形成して第1及び第2のモールドセクションのうちの少なくとも一方からの材料、例えば、材料の軟化若しくは溶融泡状突起又は溶融ポリマー材料が軟化して他方のモールドセクションに取り付けられ又はこれと融着状態になるようにするステップを有する。例えば、形成ステップ中、軟化材料は、第1及び第2のモールドセクションの周辺ゾーン相互間の空間内に堆積するようになる。この方法は、モールド組立体内の配合物に配合物からオフサルミックレンズ製品を形成するのに効果的な条件を与えるステップを更に有するのが良い。例えば、この方法は、レンズ前駆物質配合物を重合させ又は硬化させるステップを有するのが良い。
【0066】
図示の実施形態では、モールド組立体は、図1B及び図1Cに示す第1のモールドセクション22及び第2のモールドセクション24を有し、形成ステップ中に形成されるボアは、本明細書において説明するチャネル57を構成し、各チャネルは、端の開口したボア52及び端の閉じられたボア54により構成される。
【0067】
ボア形成ステップは、好ましくは、エネルギーを第1の周辺領域42及び第2の周辺領域44に与えるステップを有する。エネルギーは、熱エネルギー、超音波エネルギー、電波エネルギー、光エネルギー、例えばレーザエネルギー、及びこれらの種々の組合せから成る群から選択されるのが良い。
【0068】
次に図1C及び図2を参照すると、本発明の関連の特徴では、オフサルミックレンズを製造するのに有用なシステム70が提供される。このシステム70は、主要構成要素として、モールド組立体、例えばモールド組立体20を実質的に固定された場所に担持し又は支持するよう構成された表面72と、端の開口したボア52及び端の閉じられたボア54を第1及び第2のモールドセクション22,24の周辺領域42,44に形成するのに有用な機構体74とを有する。図示のように、表面72は、第2のモールドセクションの異形表面と実質的に同形の輪郭を有するのが良く、したがって、モールド組立体20は表面72内に嵌まり込むようになる。
【0069】
ボアを形成する機構体74は、遠位先端部77を備えた少なくとも1つの細長い要素76を有し、この遠位先端部は、遠位先端部77が第1の周辺領域42を通り(遠位側方向78に)、そして第2の周辺領域44内に入るよう表面72に対して位置決めされると共にこれに対して動くことができる。遠位先端部77は、端の閉じられたボア54を形成するよう第2の周辺領域44内に部分的にしか入らない。換言すると、端の閉じられたボア54は、周辺領域44の厚さ全体を完全に貫通しているわけではない。
【0070】
遠位先端部77が第2の周辺領域44内に入り込んだ後、次に、細長い要素76は、方向を反転し、第2の周辺領域44及び第1の周辺領域42から出る(近位側方向82に)。これにより、端の開口したボア52及び端の閉じられたボア54で構成されたチャネル57が得られると共に第1の周辺領域42と第2の周辺領域44との間に融着領域Aが生じる。
【0071】
ボア52,54(例えば、チャネル57)を本明細書において説明する仕方で形成するプロセスにより、第1のモールドセクション22と第2のモールドセクション24は、モールドセクション22,24相互間の別個の「点」又は別個の領域のところで互いに融着され又は固定されるようになる。
【0072】
例えば、細長い要素76を、例えば熱、超音波又はこれらの組合せにより付勢するのが良い。好ましい実施形態では、細長い要素76の遠位先端部77(図1C)を加熱し、先端部77をモールドセクション22,24内に通しているときに、加熱状態の先端部77により、モールド材料の一部分が、溶融又は軟化状態になる。細長い要素76を周辺領域から引っ込めると、溶融又は軟化状態のモールド材料の泡状突起が先端部77によって支持され、そして、第1の周辺領域42と第2の周辺領域44との間の接触領域を形成し、それにより、細長い要素76の引き抜きにより形成されたボアに隣接して溶接部又は融着領域が生じる。
【0073】
細長い要素76又はその先端部77をパルス化状態のパルス熱又は連続熱により加熱しても良い。好ましくは、細長い要素76は、サイクル時間を減少させるために迅速的に加熱できたり冷却できる銅又は他の適当な材料から成る。また、超音波エネルギーを細長い要素76に与えても良い。例えば、超音波エネルギーを細長い要素の遠位先端部から輻射させてモールド材料の溶融又は軟化を生じさせることができる。
【0074】
好ましくは、システム70は、細長い要素76を新たに形成されたボアから引っ込めたときに、溶融状態のモールドセクション材料の「ストリンギング(糸曳き)」が生じないように構成されている。例えば、細長い要素にポート(図示せず)を設けるのが良く、このポートは、ストリンギングを減少させるために、冷却剤(例えば、空気又は他のガス)のバーストをその先端部77に送る。
【0075】
図示の実施形態では、細長い要素76及びこれにより形成されるチャネル57の直径は、約0.5mm〜約2.0mm、例えば約1.5mmである。詳細な実施形態では、細長い要素76の遠位先端部77は、平らな遠位端部を備えた円錐形の形をしている。他の考えられる形態としては、ノミで彫った端部及びドーム状円錐形端部が挙げられる。
【0076】
図示の実施形態では、システム70は、3つの好ましくは等間隔を置いた融着領域(例えば図1A参照)を形成するための複数の細長い要素76、具体的には、3つの細長い要素76を有する。細長い要素76は各々、その遠位先端部77が第1の周辺領域42を通り、そして、他の細長い要素76がそのように通る場所から間隔を置いた場所で第2の周辺領域44に入るよう位置決めされている。
【0077】
好ましくは、システム70は、細長い要素76に作動的に結合されていて、エネルギー、例えば熱エネルギーを細長い要素76に与えるエネルギー源86を更に有している。このエネルギーは、細長い要素76の遠位先端部77が第1の周辺領域42を貫通して第2の周辺領域44に入り込むことができるようにするのに効果的である。システム70では、エネルギー源86は、細長い要素76に連結された個々のカートリッジヒータ88を有する。例示のカートリッジヒータは、英国クーパー・ツールズ(Cooper Tools)社から市販されており、これについては、http:/www.cooperhandtools.com/europe/contact_us/index.htmを参照されたい。特定の一実施形態では、改造型WSD151電子制御ディジタルはんだ付けステーションを用いて細長い要素を加熱するのが良い。温度制御装置を50℃〜550℃まで調節することができる。
【0078】
幾つかの実施形態では、エネルギー源86は、ボアの形成中、エネルギーを細長い要素76に連続的に与える。他の実施形態では、エネルギー源86は、遠位先端部72が第1の周辺領域42及び第2の周辺領域44に入って出る際にエネルギーを細長い要素76に間欠的に与える。
【0079】
ボア形成ステップ中、細長い要素76に与えられるエネルギーは、レンズ形キャビティ26内に入っているコンタクトレンズ配合物に対して著しい影響又は悪影響を生じさせるに足るほどのエネルギー量よりも少ない量のエネルギーである。例えば、細長い要素76が図示のような加熱カートリッジ88により加熱される本発明の実施形態では、細長い要素76から輻射された熱は、キャビティ26の周縁部89のところに位置したレンズ配合物をそれほど加熱させない(図1C参照)。同様に、超音波エネルギーがボアを形成するために用いられる本発明の実施形態では、超音波エネルギーは、レンズ配合物中には輻射せず、そのキャビテーションを生じさせない。
【0080】
幾つかの実施形態では、冷却組立体90が提供される。冷却組立体90は、細長い要素76に作動的に結合され、この冷却組立体は、細長い要素66を第1の周辺領域42及び第2の周辺領域44から出す時点で又はその後に、結果的に得られた端の閉じられたボア54及び端の開口したボア52を冷却するのに効果的である。
【0081】
別の例として、冷却組立体は、渦管装置200(図4)、例えば、ミーチ・エア・テクノロジー(Meech Air Technology)社(英国)から市販されている渦管を有するのが良い。渦管200は、入口210を介して圧縮空気を受け入れる。圧縮空気は、チャンバ204内に差し向けられ、このチャンバは、ジェネレータを収容している。空気は、ジェネレータに差し向けられ、そして空気は、装置(例えば、熱交換管202)の長手方向中心軸線回りにスピンする。回転中の空気柱は、柱の中心部と比較して柱の外部の方が温度が高い。温かい空気が渦管装置の一方の端部208(加熱空気出口)に向かって抜かれ、低温空気は、反対側の端部206(低温空気出口)の方に差し向けられる。導管、例えば可撓性チューブが、コンタクトレンズモールド組立体内に形成されたスポット溶接部の方に冷却された空気を効果的に送るために、渦管の低温空気出口から発熱体の方に向かって延びている。渦管は、空気を−60℃に冷却することができ、又、空気を110℃に加熱することができる。スポット溶接部の近くの空気温度を例えば約40℃だけ減少させることにより、スポット溶接手順につきもののストリンギングを減少させ又はサイクル時間を減少させ、或いはこれら両方を行い、それにより、生産効率を高めることができる。3つの発熱体を有する溶接装置の場合、3つの冷却ノズルを発熱体の近くに設けるのが良い。発熱体及び冷却ノズルの数の他の組合せも又可能である。
【0082】
システム70は、好ましくは、サーボモータ95a、スライダ95b及び細長い要素76に作動的に結合された駆動組立体94を更に有し、この駆動組立体は、細長い要素76の遠位先端部77を第1の周辺領域42及び第2の領域44に入れたり出したりする機構体となっている。細長い要素76は、モールド組立体20に対する要素76の内方及び外方運動を減衰させるために例えばロスモーションばね機構体を用いてばね押しされるのが良い。
【0083】
加うるに、システム70は、ボア形成ステップ中、モールド組立体20を表面72に当接保持するのに効果的な空気圧クランプ95c又は他の要素を更に有するのが良い。クランプ95cは、第1の周辺領域42の表面(例えば、上面)に接触する平らな又は平坦な遠位端面を有するものとして示されている。加うるに、クランプ95cの図示の実施形態は、細長い要素76を収容する複数個の切欠き又は孔を有する。クランプ95cは、約0ニュートン〜約2000ニュートンの圧力/力を送り出すのに効果的であるのが良い。好ましい実施形態では、クランプ95cは、ボア形成ステップの際に、約150ニュートンの力をモールド組立体20に及ぼす。
【0084】
クランプ95cは、自動補正機構体を更に有する。自動補正機構体を有するクランプは、互いに平行なモールド部材のインターフェイス表面と一緒にモールド部材を保持するのに効果的である。この種の結合を行うことにより、重合レンズ材料のフラッシュリング及びレンズプリズム作用(prisming)を軽減することができる。理解できることとして、クランプ95cは、モールド閉鎖中、フラッシュリング及び望ましくないレンズプリズム部(例えば、重合レンズ製品の所々厚くなった部分)の形成を減少させるよう構成されている。
【0085】
本発明のシステムは、適当な改造を施した状態で、自動的に、例えばロボットにより動作するよう構成でき、かくして、コンタクトレンズの大量生産ラインに組み込まれると、特に有益である。
【0086】
本発明の他の特徴では、モールドセクションのうち一方は、組立て状態のモールドセクションの充填レンズ形キャビティの外方に設けられる別個の接触領域又は接触点を形成する突出部を有するのが良い。ボアは、一般に、これら接触点のところに形成される。
【0087】
本発明の幾つかの実施形態では、モールドセクションの周辺領域は、突出部相互間に設けられた1つ又は2つ以上の凹み領域、アンダーカット領域(図示せず)、例えばダブテール形アンダーカット領域を有する。アンダーカット領域は、個々のモールドセクションを成形するために用いられるプロセスの副産物であるのが良い。
【0088】
システム70は、大量生産/高速レンズ製造システムへの適合性が高い。当業者には知られていて理解される適当な改造を施して、本発明のシステムは、例えばシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造システムの一部として自動的に且つ(或いは)ロボットにより動作するよう構成できる。
【0089】
次に図3を参照すると、本発明の別のシステムが、全体を符号170で示されている。
本明細書で明示することを除き、システム170は、システム70とほぼ同じであり、システム70の特徴に対応したシステム170の特徴は、対応の参照符号に100を足して示されている。
【0090】
システム170は、システム70と実質的に同一であるが、主要な差異は、熱エネルギーに代えて超音波エネルギーを用いていること、又は、熱エネルギーを超音波エネルギーと関連して利用していることである。
【0091】
例えば、システム170は、主要構成要素として、振動エネルギー、特に超音波エネルギーをもたらすよう構成されると共に効果的なエネルギー組立体96と、トランスデューサ96aを備えたエネルギー組立体96に作動的に結合されていて、超音波エネルギーをエネルギー組立体96から細長い部材176に伝えるのに効果的なホーン98とを有し、これら細長い部材176は、端の開口したボア及び端の閉じられたボアをモールドセクション周辺領域に形成するよう本明細書の他のところで説明すると共に図示したようにモールドセクションを周辺領域に出入りする。
【0092】
特に、図3に示す例示のシステム170では、細長い要素176を備えたホーン98をサーボモータ195a/スライダ195b組立体によりモールド組立体120に接触させ、ついには、一連のロスモーションばね102が圧縮されるようにする。トランスデューサ96aからの超音波パルスの作動時に、熱を細長い要素176により生じさせ、これら細長い要素は、ロスモーション圧縮力の結果としてモールドセクションを溶融して通り、かくして、本明細書の別のところで説明したようにモールドを互いに融着させ又は溶接する。次に、ホーン98及び細長い部材176を、例えば溶融領域の冷却後にモータ195aにより引っ込め、かくして、モールドセクションを互いに密着させる。次に、結合状態のモールド組立体120を表面172から取り出す。
【0093】
細長い部材176に与えられる超音波エネルギーは、代表的には、約20kHz〜約40kHz以上であるのが良い。
【0094】
例示のシステム70,170を3つの細長い部材76,176のみを有するものとして全体的に説明したが、理解されるべきこととして、本発明の他の実施形態は、2本以下の細長い部材又は4本以上の細長い部材又は要素を有しても良い。
【0095】
本発明の図示の実施形態では、モールド組立体は、超音波溶接に適した材料であるポリエチレンビニルアルコール(EVOH)から成る。理解されるべきこととして、他の材料、例えば他の極性樹脂又は接触点モールド材料を本明細書において説明するレンズモールドセクションの製造に使用できる。
【0096】
幾つかの要因が、熱及び(又は)超音波エネルギーによる材料の溶接性に影響を及ぼす場合がある。一要因は、モールドセクション材料の融点又は軟化点であり、材料の溶融温度又は軟化温度が高ければ高いほど、溶接を生じさせるのに必要なエネルギーはそれだけ一層多くなる。別の要因は、溶接されるべき材料の剛性であり、これは、一般に、エネルギーを接合インターフェイスに送る材料の性能に影響を及ぼす。代表的には、剛性の高い材料は、超音波伝達性能が良好である。
【0097】
本明細書の開示に鑑みて、本発明の方法の実施形態を次のように説明することができる。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法は、重合性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ前駆物質配合物を収容したコンタクトレンズ形キャビティを有するコンタクトレンズモールド組立体を用意するステップを有する。モールド組立体は、凹状レンズ形成面を備えた第1のモールドセクション及び凹状レンズ形成面の方に差し向けられた凸状レンズ形成面を備える第2のモールドセクションとを有する。各モールドセクションは、それぞれのレンズ形成面の各々から半径方向に遠ざかって間隔を置いて位置する周辺領域を有し、コンタクトレンズモールド組立体は、コンタクトレンズ形キャビティから半径方向外方に間隔を置いた周辺領域を有するようになっている。この方法は、1つ又は2つ以上の加熱状態の要素を第1及び第2のモールドセクションの各々の周辺領域中に差し向けることにより、複数の別々のスポット溶接部を第1のモールドセクションの周辺領域と第2のモールドセクションの周辺領域との間でコンタクトレンズモールド組立体の周辺領域に形成するステップを更に有する。これらスポット溶接部は、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションを互いに物理的に結合するのに効果的である。幾つかの実施形態では、加熱状態の要素を第1のモールドセクションと第2のモールドセクションの両方の周辺領域を完全に貫通して差し向けてコンタクトレンズモールド組立体の周辺領域に連続して端の開口したボアを形成する。他の実施形態では、加熱状態の要素は、モールドセクションのうちの一方を完全には貫通せず、それにより、本明細書において説明したように、この一方のモールドセクションの周辺領域には端の閉じられたボアが形成される。本方法は、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションとの間に形成されたスポット溶接部を冷却するステップを更に有するのが良い。例えば、この方法は、冷却されたガス、例えば、空気を渦管装置からスポット溶接部の内の1つ又は2つ以上の方に差し向けるステップを有するのが良い。発熱体をコンタクトレンズモールド組立体から取り出すのが良く、組立体を重合を可能にする量の放射線に当てて重合性シリコーンヒドロゲル配合物が重合して重合シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製品を形成するようにするのが良い。次に、重合シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製品の入ったモールド組立体を、例えば、第1のモールドセクションと第2のモールドセクションを機械的に分離することにより脱型し、次に、重合シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製品をモールドセクションのうちの一方から取り出し、この取り出しを行うには、例えば、重合シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製品及びモールドセクションを液体に接触させる。次に、取り出した製品を抽出配合物、例えばアルコールのような溶剤に接触させて製品から抽出可能な物質を除去し、次に、水性配合物に接触させて水和コンタクトレンズを生じさせる。次に、水和コンタクトレンズをパッケージに移し、このパッケージを次に、密封して滅菌する。
【0098】
或る特定の好ましい実施形態を本明細書において説明したが、本発明は、かかる実施形態には限定されず、改造例及び変形例が当業者には明らかであることは言うまでもない。
【0099】
例えば、本発明のモールドクロージャシステムの追加の実施形態は、熱を利用して2つのモールド部材を複数の別々の領域で互いに溶接するステップを有しても良い。一実施形態では、熱を組立て状態のモールドの別々の領域の外周縁部に与えて組立て状態のモールドの外周部に沿ってぐるりと設けられた複数の接触溶接部を形成しても良い。この実施形態では、2つのモールド部材を互いに取り付けるのにボアホールは不要である。
【0100】
別の実施形態は、発熱体又は加熱状態の要素を用いてモールド部材のうちの一方にのみボアホールを形成するステップを有しても良い。例えば、加熱可能な要素を上側モールド部材中に通し、そして、下側モールド部材にボアホールを形成しないで引っ込めても良い。例えば、加熱可能な要素により提供される熱は、モールド材料を溶融させるのに十分であるのが良く、したがって、第1のモールド部材から得られる溶融状態のモールド材料は、溶けて第2のモールド部材に接触し、溶融材料が第1のモールド部材と第2のモールド部材との間で冷えるときにスポット溶接部を形成することができるようになっている。かくして、ボアを第2のモールド部材に形成することなく、ボアを第1のモールド部材に形成することにより溶接部を得ることができる。
【符号の説明】
【0101】
20 モールド組立体
22 第1のモールドセクション
24 第2のモールドセクション
26 キャビティ
42 第1の周囲領域
44 第3の周囲領域
52 端の開口したボア
54 端の閉じられたボア
57 チャネル
70 製造システム
76 細長い要素
200 渦管装置
202 熱交換管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科レンズを製造する方法であって、前記方法は、
第1キャビティ面および第1周辺領域が設けられた第1モールド部を準備するにあたり、前記第1周辺領域が前記第1キャビティ面から外方向へ延在して第1周辺領域の外周端縁に及んでいるように準備する工程と、
第2キャビティ面および第2周辺領域が設けられた第2モールド部を準備するにあたり、前記第2周辺領域が前記第2キャビティ面を起点に外方向に延在して第2周辺領域の外周端縁に及んでいるように準備する工程と、
前記第1モールド部及び前記第2モールド部のうち少なくとも一方に重合性組成物を供与する工程と、
前記第1モールド部と前記第2モールド部とを互い結合させることで両モールド部の間に重合性組成物を収容するキャビティを画定し、前記第1キャビティ面と前記第1周辺領域の外周端縁との間で前記第1周辺領域に沿った不連続で、互いから離隔した複数の位置、及び前記第2キャビティ面と前記第2周辺領域の外周端縁との間で前記第2周辺領域に沿った不連続で、互いから離隔した複数の位置において、前記第1モールド部と前記第2モールド部に細長い要素を通過させて、分離して間隔を置いた溶接部を形成し、該分離して間隔を置いた溶接部はモールド組立体の前記キャビティの周囲に連続したリングを形成せず、前記細長い要素が前記第1モールド部と前記第2モールド部を効率的に物理的連結をして前記モールド組立体を形成する工程と、
前記モールド組立体に収容された重合性組成物を、重合性組成物から眼科レンズを形成するのに有効な諸条件に置く工程とを含んでいる方法。
【請求項2】
前記眼科レンズはコンタクトレンズであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重合性組成物は重合性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ配合物を含有しており、前記方法はシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造する方法を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
モールド部を付着させる前記工程は、モールド組立体の前記キャビティを取巻く位置で尚且つ前記第1周辺領域と前記第2周辺領域の間に不連続の互いに離隔した付着領域を設けることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
モールド部を付着させる前記工程は少なくとも3箇所の不連続な互いに離隔した領域にエネルギーを供与する工程を含んでおり、前記少なくとも3箇所の不連続な互いに離隔した領域は前記第1周辺領域および前記第2周辺領域に沿って互いから等距離に離隔されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細長い要素に与えるエネルギーは、熱エネルギーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記細長い部材の遠位先端部は先細り状または尖点を成していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1モールド部および前記第2モールド部は極性樹脂を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1モールド部および前記第2モールド部はポリエチレンビニルアルコール(EVOH)を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1モールド部および前記第2モールド部は実質的に同一の構造ではないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、モールド部を付着させる前記工程の期間中、前記第1モールド部および前記第2モールド部をクランプで圧締めして適所に保持する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
モールド部を付着させる前記工程の結果として前記第1モールド部が前記第2モールド部に付着し、それにより前記モールド組立体が付着工程に後続する1工程以上の処置を受けることができるようにしている間も、モールド組立体が不慮の不整合または分離を被ることが無いようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
眼科レンズを製造する方法であって、
モールド組立体を担架する形状にされた表面の実質的に固定位置にモールド組立体を設置するにあたり、第1モールド部および第2モールド部を一緒に配置することで両モールド相互の間にキャビティを画定するように前記モールド組立体を構成し、前記キャビティは重合性組成物を収容し、前記キャビティから外方向に延びて第1モールド部の外周端縁に及んでいる第1周辺領域が第1モールド部に設けられており、前記キャビティから外方向に延びて第2モールド部の外周端縁に及んでいる第2周辺領域が第2モールド部に設けられているようにモールド組立体を設置する工程と、
複数の不連続な、互いに離隔した領域にエネルギーを供与するにあたり、前記複数の不連続な互いに離隔した領域は第1周辺領域に沿ってキャビティーと第1モールド部の外周端縁との間に配置されており尚且つ第2周辺領域に沿ってキャビティと第2モールド部の外周端縁との間に配置されており、エネルギーが効果的に両モールド部を物理的連結させるように供与する工程とを含み、
前記エネルギーが効果的に両モールド部を物理的連結させるように供与する工程が、前記第1周辺領域と前記第2周辺領域の間に少なくとも二箇所の溶接を行い、該少なくとも二箇所の溶接は、互いに間隔を置き、連続したリングを形成せず、
前記少なくとも二箇所の溶接が、少なくとも二箇所の中空スポット溶接を包含し、前記少なくとも二箇所の中空スポット溶接が、少なくとも二カ所の溶接が、前記第1周辺領域に設けられた端部開放型の穿孔および前記第2周辺領域に設けられた端部閉鎖型の穿孔によって形成されていることを特徴とする方法。
【請求項14】
エネルギーを供与する前記工程はエネルギーを連続供与する工程を含んでいることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エネルギーを供与する前記工程は熱エネルギーを供与する工程を含んでいることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
熱エネルギーを供与する前記工程は、遠位先端部が設けられている1本の細長い部材を利用して前記第1周辺領域および前記第2周辺領域のうちの少なくとも一方に由来する物質を軟化させ、第1周辺領域と第2周辺領域の間に蓄積させ、または、軟化させて尚且つ蓄積させる工程を含んでいることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
熱エネルギーを供与する前記工程は、前記第1周辺領域を介して前記第2周辺領域に1本の細長い部材を通す工程を含んでいることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
エネルギーを供与する前記工程は少なくとも3箇所の不連続な互いに離隔した領域にエネルギーを供与する工程を含んでおり、前記少なくとも3箇所の不連続な互いに離隔した領域は前記第1周辺領域および前記第2周辺領域に沿って互いから等距離に離隔されていることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1モールド部および前記第2モールド部は実質的に同一の構造であり、コンタクトレンズの製造に好適な寸法および構成に設定されていることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記モールド組立体はポリエチレンビニルアルコール(EVOH)を含有しており、モールド組立体はシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの製造に好適な寸法および構成に設定されており、前記重合性組成物は重合性シリコーンハイドロゲル配合物であり、更に、前記方法はシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−80262(P2013−80262A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8830(P2013−8830)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2007−169726(P2007−169726)の分割
【原出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508316416)クーパーヴィジョン インターナショナル ホウルディング カンパニー リミテッド パートナーシップ (13)
【Fターム(参考)】