説明

眼科撮影装置

【課題】眼科撮影装置において、撮影ユニットを揺動させる場合でもモニターが見やすいようにする。
【解決手段】撮影ユニット7は、被検眼Eを中心として水平方向に揺動できるようにアーム部材6によって支持されており、被検眼Eを中心として上下方向B2に揺動(俯仰)できるようにレール部材8aによって支持されている。モニター手段9は、アーム部材6に取り付けられてて撮影ユニット7には取り付けられていないため、該撮影ユニット7を上下に揺動(俯仰)させた場合でもその角度(画面の角度)は変化せず、モニター手段9は見やすい位置に保持される。一方、撮影ユニット7を水平方向に揺動した場合にはモニター手段9は一緒に揺動するので、撮影ユニット7とモニター手段9とが離れてしまうことが無く、モニター手段9は見やすい位置に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼を撮影手段により撮影するように構成した眼科撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検眼の眼底や前眼部などを撮影する眼科撮影装置としては種々の構成のものが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図4は、従来の眼科撮影装置の構成の一例を示す模式図であり、符号Eは被検眼を示し、符号100は、該被検眼Eを撮影するための撮影手段を示し、符号101は、撮影に必要な種々の情報を表示するモニター手段を示す。また、図5は、従来の眼科撮影装置の構成の他の例を示す模式図であり、符号200は、被検眼を撮影するための撮影手段を示し、符号201は、撮影に必要な種々の情報を表示するモニター手段を示す。
【0004】
また、このような眼科撮影装置においては被検眼を正面から撮影するだけでなく、撮影手段を揺動させて被検眼を斜めの方向から撮影できるものもあった。図4中の符号102は、前記撮影手段100を鉛直軸A1の周りに揺動させる首振り手段を示し、符号102は、前記撮影手段100を俯仰する(つまり、矢印B2の方向に揺動させる)俯仰手段を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−26097号公報
【特許文献2】特開2008−272259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の眼科撮影装置においてはモニター手段101,201が撮影手段100,200に取り付けられているため、該撮影手段100,200を俯仰させた場合にはモニター手段101,201も一緒に上方又は下方に揺動されてしまい、該モニター手段101,201の角度が変わって表示が見にくくなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消することのできる眼科撮影装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、図1に例示するものであって、被検眼(E)を撮影手段(7)により撮影するように構成された眼科撮影装置(1)において、
被検眼(E)の前眼部にほぼ接している略鉛直な第1軸(A1)を中心として略水平方向(図2の矢印B1参照)に揺動するように支持された首振り手段(6)と、
該首振り手段(6)に取り付けられると共に、被検眼(E)の前眼部にほぼ接している略水平な第2軸(図2の符号A2参照)を中心として略上下方向(B2)に揺動するように前記撮影手段(7)を支持する俯仰手段(8)と、
前記首振り手段(6)に取り付けられて、前記第1軸(A1)を中心として前記撮影手段(7)と一体的に揺動するように構成されたモニター手段(9)と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記モニター手段(9)は、前記撮影手段(7)のファインダー部(7a)と略同じ方向を向くように配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記首振り手段(6)は、略水平方向(B1)に揺動するように支持されたアーム部材であり、
前記俯仰手段(8)は、前記第2軸(A2)を中心とした仮想円弧(C)に沿うように湾曲されたレール部材(8a)と、該レール部材(8a)上を転動するように前記撮影手段(7)に回転自在に支持された転動輪(不図示)と、該転動輪を適宜転動させると共に該転動を禁止して前記撮影手段(7)を前記レール部材(8a)上の所望の位置に停止させる操作部材(8b)と、からなることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記モニター手段(9)は、前記首振り手段(6)上における略水平な第3軸(A3)を中心として略上下方向(B3)に揺動できるように前記首振り手段(6)に取り付けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明において、前記モニター手段(9)はタッチパネルであることを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1乃至3に係る発明によれば、前記モニター手段は、前記撮影手段には取り付けられていないので、該撮影手段を俯仰させた場合でも該モニター手段は上方又は下方に揺動されることはなく、表示が見にくくなってしまうことは無い。また、該モニター手段は前記首振り手段に取り付けられているので、前記撮影手段を略水平方向に揺動させた場合には該撮影手段と一体的に揺動されるので、検者が視認し易い位置に配置されることとなる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、画面を見やすいようにモニター手段の角度調整をすることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、モニター手段を使って種々の指示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明に係る眼科撮影装置の構成の一例を示す正面図である。
【図4】図4は、従来の眼科撮影装置の構成の一例を示す模式図である。
【図5】図5は、従来の眼科撮影装置の構成の他の例を示す模式図である。
【図6】図6は、第1軸等の位置を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1乃至図3に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
本発明に係る眼科撮影装置は、被検者の被検眼を撮影及び観察するための装置であって、
図1に符号1で例示するように、被検者の顔を支持する顔支持手段2A,2Bと、該顔支持手段2A,2Bが搭載される基台3と、を備えている。なお、前記顔支持手段2A,2Bとしては、被検者の顎を載せるための顎台(符号2A参照)や、被検者の額を当てるための額当て部(符号2B参照)等を挙げることができる。
【0020】
また、この基台3には、昇降手段(不図示)及びスライド手段(同じく不図示)を介して架台4が搭載されており、該架台4を昇降させたり前後左右にスライド(水平移動)させたりできるように構成されている。図示の装置においては、これらの昇降手段及びスライド手段の操作をジョイスティック5により行うようになっているが、もちろんこれに限られるものではなく、他の操作手段によって行うようにしても良い。
【0021】
さらに、上述の架台4には、被検眼Eの前眼部にほぼ接している(厳密にいうと前眼部の虹彩位置にほぼ相当する瞳位置を通る)略鉛直な軸(図1及び図6に符号A1で示す軸であって、以下、“第1軸”とする)を中心として略水平方向(図2の矢印B1参照)に揺動するように首振り手段6が支持されており、該首振り手段6には、被検眼Eを撮影又は観察するための撮影手段7が俯仰手段8を介して支持されている。この俯仰手段8は、被検眼Eの前眼部にほぼ接している(瞳位置を通る)略水平な軸(図2及び図6に符号A2で示す軸であって、以下、“第2軸”とする)を中心として前記撮影手段7を略上下方向(図1の矢印B2参照)に揺動(俯仰)できるように該撮影手段7を支持している。つまり、該撮影手段7は、前記架台4上に搭載されているので被検眼Eに応じた位置に昇降及び/又は水平移動させることができる。また、前記撮影手段7は上述のように首振り手段6及び俯仰手段8によって支持されているため、被検眼Eを正面から撮影するだけでなく斜めの方向からも撮影できる。なお、前記撮影手段7の内部には照明光学系や撮影光学系が格納されているが、それらについての説明は省略する。また、図示の首振り手段6としては、前記第1軸A1を中心として略水平方向B1に揺動するように支持されたアーム部材を挙げることができる。さらに、図示の俯仰手段8としては、
・ 前記第2軸A2を中心とした仮想円弧Cに沿うように湾曲されたレール部材8aと、
・ 該レール部材8a上を転動するように前記撮影手段7に回転自在に支持された転動輪(不図示)と、
・ 該転動輪を適宜転動させると共に該転動を禁止して前記撮影手段7を前記レール部材8a上の所望の位置に停止させる操作部材8bと、
により構成したものを挙げることができる。なお、図6中の符号Dは、被検眼Eの光軸(基準光軸)を示す。
【0022】
一方、前記俯仰手段8や前記撮影手段7にではなく前記首振り手段6にはモニター手段9が取り付けられていて、該モニター手段9は、前記第1軸A1を中心として前記撮影手段7と一体的に揺動するように構成されている。したがって、このモニター手段9は、
・ 前記撮影手段7が該首振り手段6によって略水平方向B1に揺動される場合には該撮影手段7と共に一体的に揺動し、
・ 前記撮影手段7が前記俯仰手段8によって俯仰される場合には、揺動されずに静止する、
こととなる。このモニター手段9としては、液晶モニター等の公知のモニターを挙げることができ、該モニター手段9には、被検眼Eの観察や撮影に必要な画像を表示すれば良く、例えば、
・ 被検眼Eに位置合わせをする際の画像や、
・ ピント合わせをする際の画像や、
・ 赤外光を使って撮影している被検眼の画像や、
・ 撮影情報
等を表示すれば良い。また、このモニター手段9は、前記撮影手段7のファインダー部7aと略同じ方向を向くように配置しておくと良い(つまり、図3に示すように、検者の方向を向くように配置すると良い)。さらに、該モニター手段9をタッチパネルとしても良く、その場合には、種々のボタン(例えば、固視方法の選択のためのボタン)を該モニター手段9に表示するようにすると良い。そのようにした場合には、モニター手段9を使って種々の指示を行うことができる。なお、図示のモニター手段9は、前記首振り手段6上における略水平な軸(図1に符号A3で示す軸であって、以下、“第3軸”とする)を中心として略上下方向B3に揺動できるように該首振り手段6に取り付けておくと良い。そのようにした場合には、画面を見やすいようにモニター手段9の角度調整をすることができる。
【0023】
本発明によれば、前記モニター手段9は、前記撮影手段7には取り付けられていないので、該撮影手段7を俯仰させた場合でも該モニター手段9は上方又は下方に揺動されることはなく、表示が見にくくなってしまうことは無い。また、該モニター手段9は前記首振り手段6に取り付けられているので、前記撮影手段7を略水平方向B1に揺動させた場合には該撮影手段7と一体的に揺動されるので、検者が視認し易い位置に配置されることとなる。
【0024】
なお、本発明に係る眼科撮影装置は、眼底を撮影するための眼科撮影装置のみならず、前眼部を撮影するための眼科撮影装置や、その他の部分を撮影するための眼科撮影装置を含むものとする。
【符号の説明】
【0025】
1 眼科撮影装置
6 首振り手段
7 撮影手段
7a ファインダー部
8 俯仰手段
8a レール部材
8b 操作部材
9 モニター手段
A1 第1軸
A2 第2軸
A3 第3軸
B1 略水平方向
B2 略上下方向
E 被検眼(E)
P 被検眼瞳位置(P)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼を撮影手段により撮影するように構成された眼科撮影装置において、
被検眼の前眼部にほぼ接している略鉛直な第1軸を中心として略水平方向に揺動するように支持された首振り手段と、
該首振り手段に取り付けられると共に、被検眼の前眼部にほぼ接している略水平な第2軸を中心として略上下方向に揺動するように前記撮影手段を支持する俯仰手段と、
前記首振り手段に取り付けられて、前記第1軸を中心として前記撮影手段と一体的に揺動するように構成されたモニター手段と、
を備えたことを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項2】
前記モニター手段は、前記撮影手段のファインダー部と略同じ方向を向くように配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科撮影装置。
【請求項3】
前記首振り手段は、略水平方向に揺動するように支持されたアーム部材であり、
前記俯仰手段は、前記第2軸を中心とした仮想円弧に沿うように湾曲されたレール部材と、該レール部材上を転動するように前記撮影手段に回転自在に支持された転動輪と、該転動輪を適宜転動させると共に該転動を禁止して前記撮影手段を前記レール部材上の所望の位置に停止させる操作部材と、からなる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の眼科撮影装置。
【請求項4】
前記モニター手段は、前記首振り手段上における略水平な第3軸を中心として略上下方向に揺動できるように前記首振り手段に取り付けられた、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の眼科撮影装置。
【請求項5】
前記モニター手段はタッチパネルである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の眼科撮影装置。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−45083(P2012−45083A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188109(P2010−188109)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)