眼科測定装置
【課題】 利便性が高く、安定した測定結果を得ることができる。
【解決手段】 被検者眼に向けて測定光を投光する投光光学系、外気と接する光透過部材を介して,被検者眼からの測定光の反射光を受光素子によって受光する受光光学系、を有する測定光学系と、測定光学系を収納すると共に、被検者眼側において光透過部材を保持する装置本体と、を備え、受光素子からの出力信号に基づいて被検者眼の眼特性を測定する眼科測定装置において、外気と接する光透過部材の結露を除去する結露除去手段を備える。
【解決手段】 被検者眼に向けて測定光を投光する投光光学系、外気と接する光透過部材を介して,被検者眼からの測定光の反射光を受光素子によって受光する受光光学系、を有する測定光学系と、測定光学系を収納すると共に、被検者眼側において光透過部材を保持する装置本体と、を備え、受光素子からの出力信号に基づいて被検者眼の眼特性を測定する眼科測定装置において、外気と接する光透過部材の結露を除去する結露除去手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者眼の測定を行う眼科測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼眼底に測定光束を投光し、その反射光を受光して被検者眼の測定を行う眼科測定装置が知られている。例えば、眼屈折力測定装置(オートレフラクトメータ)、が挙げられる。
【0003】
眼屈折力測定装置としては、眼底に測定光を投光し、その眼底反射光を所定の指標パターン像(例えば、リング像、シャックハルトマン像)として二次元撮像素子に撮像させ、そのパターン像に基づいて被検眼の眼屈折力(波面収差を含む)を測定するものが知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−89715公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、眼科測定装置において、被検眼の眼前に配置された測定窓(例えば、対物レンズ、保護ガラス、等)に結露や曇りがあると、測定光が結露で反射されることや、遮られることによって、測定精度の低下か測定結果が取得できない可能性がある。
【0006】
例えば、上記特許文献1のような装置において、被検眼の眼前に配置された測定窓に結露や曇りがあると、測定光が結露で反射され、本来検出すべき指標像以外の余分な指標像が検出される恐れがあり、誤った指標像に基づいて測定結果が出力されてしまう可能性がある。
【0007】
そして、眼科測定装置において、結露は、測定窓の被検眼側(外気と接している面)に生じる。現在、これらの対処方法として、装置本体を駆動させてから、結露が自然に蒸発するまで、所定の時間を待つことや綿棒等を用いて結露を拭き取るという方法がある。しかし、結露が自然に蒸発するまで、所定の時間を待つことは、待機する時間が長いことで測定開始が可能となる状態になるまでに時間がかかり、検者にとって、ストレスを感じる原因となる。また、綿棒等を用いて結露を拭き取るという方法は、測定窓を傷つけてしまうことや拭きムラがでることが原因により、本来検出すべき指標像以外の余分な指標像が検出される恐れがあり、誤った測定結果が出力される。また、測定をすることができないという不都合が生じる。
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑み、利便性が高く、安定した測定結果を得ることができる眼科測定装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0010】
(1) 被検者眼に向けて測定光を投光する投光光学系、外気と接する光透過部材を介して,被検者眼からの前記測定光の反射光を受光素子によって受光する受光光学系、を有する測定光学系と、前記測定光学系を収納すると共に、被検者眼側において前記光透過部材を保持する装置本体と、を備え、前記受光素子からの出力信号に基づいて被検者眼の眼特性を測定する眼科測定装置において、外気と接する光透過部材の結露を除去する結露除去手段を備えることを特徴とする。
(2) 前記測定光学系は、被検眼に測定光束を投光しその反射光束を指標パターン像として二次元撮像素子に撮像させる測定光学系であって、前記二次元撮像素子に撮像された各指標パターン像に基づいて被検眼の眼特性を測定することを特徴とする(1)の眼科測定装置。
(3) 前記測定光学系は、被検眼の眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかの眼科測定装置。
(4) 前記結露除去手段は、熱を発生させる発熱体を有し、前記光透過部材を加熱することにより結露を除去する加熱ユニットであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの眼科測定装置。
(5) 前記装置本体は、前記光透過部材を保持するためのホルダーを有し、さらに、前記ホルダーと前記装置本体との間には、前記装置本体に熱が移動されるのを防止するための断熱部材が設けられていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの眼科測定装置。
(6) 前記光透過部材は、前記測定光学系の対物レンズより被検者側に配置された薄板状の光透過部材であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの眼科測定装置。
(7) 前記結露除去手段は、空気を吹き出す送風機を有し、前記光透過部材に空気を吹き付けることにより結露を除去する送風ユニットであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの眼科測定装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利便性の高い眼科測定装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、眼科測定装置として、眼屈折力測定装置(オートレフラクトメータ)を例として挙げて説明する。
【0013】
概して、眼屈折力測定装置は、被検眼眼底に測定光束を投光し、その眼底反射光束を指標パターン像として二次元撮像素子に撮像させる眼屈折力測定光学系を備え、二次元撮像素子に撮像された各指標パターン像に基づいて被検眼の眼屈折力を測定する。
【0014】
図1は、本装置の光学系及び制御系の概略構成図である。装置本体100は、測定光学系10を収納する。測定光学系10は、眼Eの瞳孔中心部を介して眼Eの眼底Efにスポット状の測定光束(測定指標)を投影する投光光学系(投影光学系)10aと、眼底Efから反射された眼底反射光を瞳孔周辺部を介してリング状に取り出し、二次元撮像素子に指標パターン像(リング状の眼底反射像)を受光(撮像)させる受光光学系10bと、から構成される。
【0015】
投影光学系10aは、測定光学系10の光軸L1上に配置された,測定光源11,リレーレンズ12,ホールミラー13,及び対物レンズ14を含む。光源11は、正視眼の眼底Efと光学的に共役な位置関係となっている。また、ホールミラー13の開口は、眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置関係となっている。
【0016】
受光光学系10bは、投影光学系10aの対物レンズ14,ホールミラー13が共用され、ホールミラー13の反射方向の光軸L1上に配置された,リレーレンズ16及び全反射ミラー17と、全反射ミラー17の反射方向の光軸L1上に配置された受光絞り18,コリメータレンズ19,リングレンズ20,及びエリアCCD等からなる二次元撮像素子22を含む。受光絞り18及び撮像素子22は、眼底Efと光学的に共役な位置関係となっている。リングレンズ20は、リング状に形成されたレンズ部と、レンズ部以外の領域に遮光用のコーティングを施した遮光部と、から構成され、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置関係となっている。撮像素子22からの出力は、画像メモリ71を介して演算制御部70に入力される。
【0017】
なお、測定光学系10は上記のものに限らず、瞳孔周辺部から眼底Efにリング状の測定指標を投影し、瞳孔中心部から眼底反射光を取り出し、二次元撮像素子にリング状の眼底反射像を受光させる構成等、周知のものが使用できる。また、連続的なリング像でなく、間欠的なリング像を取り出す構成であってもよく、点像が略リング状に並べられた眼底反射像を取り出す構成であってもよい。
【0018】
また、装置本体100は、光透過部材を保持するためのホルダー(本実施形態では、対物レンズホルダー61)を有しており、被検者眼側において、光透過部材(本実施形態では、対物レンズ14)を保持する。対物レンズ14は、外気と接しているため、対物レンズ14の眼E側の面に結露が生じる場合がある。そのため、対物レンズ14には、結露を除去するための結露除去手段が備えられている。本実施形態においては、結露を除去する結露除去手段として、熱を発生させる発熱体を有した加熱ユニット60が備えられる。そして、外気と接する対物レンズ14を加熱することにより結露を除去する。
【0019】
図2は、加熱ユニット60の斜方構成図(図2(a))と対物レンズホルダー61内(図2(b))の構成図を示している。加熱ユニット60は、対物レンズホルダー61、断熱部材(断熱板)63、熱伝導シート65、発熱体としてのヒータ66、固定板67、レンズ押さえ68、を備えている。
【0020】
対物レンズホルダー61は、熱伝導率の高い部材(例えば、アルミニウム)で形成されており、レンズ押さえ68を用いて、対物レンズが装着される。
【0021】
2つのヒータ(例えば、抵抗器)66は、例えば、対物レンズホルダー61の被検眼側に設けられる。そして、ヒータ66は、熱伝導シート65を介して、固定板67によって対物レンズホルダー61に固定されている。
【0022】
熱伝導シート65は、例えば、シリコンシートが用いられる。シリコンシートは、密着性が高いため、ヒータ66と対物レンズホルダー61に隙間を作ることなく密着することができ、熱エネルギーを効率的に移動させることを可能にする。本実施形態では、ヒータ66と対物レンズホルダー61に挟まれて配置され、ヒータ66により発熱された熱エネルギーを対物レンズホルダー61に効率よく移動させる。
【0023】
断熱板63は、例えば、セラミックやプラスチックの材料のものが用いられる。装置本体100への熱エネルギーの移動を小さくする。そして、加熱ユニット60によって加熱される被加熱部材(対物レンズホルダー61)と装置本体100との間に設置されている。本実施例において、断熱板63は、装置本体100と対物レンズホルダー61の間に設置され、熱エネルギーが装置本体100に移動されることを防ぐ。
【0024】
対物レンズ14とホールミラー13との間には、固視標呈示光学系30からの固視標光束を眼Eに導き、被検眼Eの前眼部からの反射光を観察光学系50に導くダイクロイックミラー29が配置されている。ダイクロイックミラー29は、測定光学系10に用いられる測定光束の波長を透過する。
【0025】
固視標呈示光学系30は、固視標呈示用可視光源31,固視標を持つ固視標板32,投光レンズ33,ダイクロイックミラー29、対物レンズ14、を含む。光源31及び固視標板32は、光軸L2方向に移動されることにより、被検眼Eの雲霧を行う。
【0026】
眼Eの前眼部の前方には、眼Eの角膜Ecにリング指標を投影するための近赤外光を発するリング指標投影光学系45と、眼Eの角膜Ecに無限遠指標を投影することにより被検眼に対する作動距離方向のアライメント状態を検出するための近赤外光を発する作動距離指標投影光学系46が観察光軸に対して左右対称に配置されている。なお、リング投影光学系45は、眼Eの前眼部を照明する前眼部照明としても用いられる。また、角膜形状測定用の指標としても利用できる。
【0027】
観察光学系50は、固視標呈示光学系30の対物レンズ14、ダイクロイックミラー29が共用され、ハーフミラー35、撮像レンズ51、及び二次元撮像素子52を備える。撮像素子52からの出力は、制御部70に入力される。これにより、被検眼Eの前眼部像は二次元撮像素子52により撮像され、モニタ7上に表示される。なお、この観察光学系50は被検眼Eの角膜に形成されるアライメント指標像を検出する光学系を兼ね、制御部70によりアライメント指標像の位置が検出される。
【0028】
制御部70には、ヒータ66、画像メモリ71、撮像素子52、メモリ75、モニタ7、複数のスイッチを持ち測定の各種設定に用いられるスイッチ部80等が接続されている。制御部70は、装置全体の制御を行うと共に、眼屈折値の算出や角膜形状の算出等を行う。なお、メモリ75は、リング像に基づいて眼屈折力を算出するための演算プログラム等を記憶できる。
【0029】
以上のような構成を備える装置の測定動作について説明する。まず、被検者の顔を図示なき顔支持ユニットに固定させ、固視標32を固視するよう指示した後、被検眼に対するアライメントを行う。
【0030】
制御部70は、測定開始信号の入力に基づき光源11を点灯させる。光源11から出射された測定光は、リレーレンズ12から対物レンズ14までを介して眼底Efに投影され、眼底Ef上で回転するスポット状の点光源像を形成する。
【0031】
眼底Ef上に形成された点光源像の光は、反射・散乱されて被検眼Eを射出し、対物レンズ14によって集光され、ダイクロイックミラー29から全反射ミラー17までを介して受光絞り18の開口上で再び集光され、コリメータレンズ19にて略平行光束(正視眼の場合)とされ、リングレンズ20によってリング状光束として取り出され、リング像として撮像素子22に受光される。
【0032】
このとき、はじめに眼屈折力の予備測定が行われ、予備測定の結果に基づいて光源31及び固視標板32が光軸L2方向に移動されることにより、被検眼Eに対して雲霧がかけられる。その後、雲霧がかけられた被検眼に対して眼屈折力の測定が行われる。
【0033】
図3は、測定の際に撮像素子22に撮像されたリング像である。撮像素子22からの出力信号は、画像メモリ71に画像データ(測定画像)として記憶される。その後、制御部70は、画像メモリ71に記憶された測定画像に基づいて各経線方向にリング像の位置を特定(検出)する。この場合、制御部70は、輝度信号の波形を所定の閾値にて切断し、その切断位置での波形の中間点や、輝度信号の波形のピーク、輝度信号の重心位置などを求めることによりリング像の位置を特定する。次に、制御部70は、特定されたリング像の像位置に基づいて、最小二乗法等を用いて楕円を近似する。そして、制御部70は、近似した楕円の形状から各経線方向の屈折誤差が求め、これに基づいて被検眼の眼屈折値、S(球面度数)、C(柱面度数)、A(乱視軸角度)の各値が演算し、測定結果をモニタ7に表示する。
【0034】
以下に、測定窓(以下の説明では、対物レンズを例に用いる)に結露がある場合の処理について説明する。本来、光源11から出射された測定光は、対物レンズ14を介して被検眼眼底に照射され、その眼底反射光がリング像として撮像素子22に受光される。しかし、対物レンズ14の被検眼側表面に結露がある場合、光源11から出射された光は、対物レンズ14上の結露等で反射され、もう一つのリング像として撮影素子22に受光される。これにより、眼底反射光によるリング像と対物レンズ14からの反射光によるリング像が混在し、リング像が2つあらわれることがある(図4参照)。
【0035】
図4において、前述の汚れや曇りなどによるリング像をS1、眼底からの反射によるリング像をS2とする。リング像S1は、光学設計上、所定の屈折度数(例えば、−18D前後)を持つ被検眼を測定したときと同じ大きさのリング像として撮像される。なお、−18D前後は、本光学設計によるもので、異なる光学設計においては、必ずしもこれに限るものではない。
【0036】
リング像S2は、被検眼の屈折力によって大きさが変化するため、図4(a)に示すようにリング像S1より外側に現れる場合や、図4(b)のようにリング像S1の内側に現れる場合がある。このとき、眼底からの反射光量(リング像S2)が対物レンズ表面での反射光量(リング像S1)よりも多い場合は、リング像S2に基づいて眼屈折力が測定される。しかし、眼底からの反射光(リング像S2)よりも対物レンズ表面での反射光(リング像S1)の方が強い場合、リング像S1に基づいて測定結果が算出され、被検眼の眼屈折力を測定することができない。特に、白内障などのような眼内混濁などにより眼底からの反射光量が得られ難い場合に、上記のような誤検出が生じやすい。すなわち、測定光学系を構成する光透過部材(例えば、対物レンズ14)からの反射光によって形成されたリング像は、測定のノイズとなる。このため、結露を迅速に除去して、測定を行う必要がある。
【0037】
ここで、結露の発生について説明する。従来、結露は、外気温度と内部温度との差が大きい場合に生じる。例えば、外気の温度が高く、内部の空気の温度が低い場合に、外気が内部の空気によって冷やされ、レンズ等に水滴となって付着することによって生じる。また、湿度は、空気中に含まれる水蒸気の量を示しており、湿度が高くなると結露が発生しやすくなる。すなわち、湿度が高くになることにより、温度の差が少なくても結露が発生しやすくなる。
【0038】
本実施形態の場合、構造部品の温度等により内部の空気が冷やされ、装置本体100内の空気の温度が低い状態において、例えば、エアコン等の使用により、外気の温度が高くなると、装置本体内の空気によって外気が冷やされる。そして、対物レンズ14に水滴となって付着することによって結露が生じる。また、加湿器等の使用により、湿度が高くなり、少しの温度差で結露が生じやすい状態となり、結露が生じる場合がある。
【0039】
本実施例においては、対物レンズ14を加熱することにより、結露が暖められ水蒸気になり空気中に発散される。また、対物レンズ14が加熱されることにより、対物レンズと外気の温度の温度差が少なくなることにより、外気中の水分は対物レンズ14に水滴となって付着する結露はなくなる。
【0040】
以下、結露を除去する手順について説明する。検者によって、図示無き装置本体の電源が入れられると、制御部70は、ヒータ66の駆動を開始する。制御部70により、ヒータ66が駆動されると、ヒータ66が発熱をする。そして、ヒータ66の発熱による熱エネルギーは、熱伝導シート65を介して、対物レンズホルダー61に移動され、対物レンズホルダー61を介して対物レンズ14が加熱される。このとき、装置本体100と対物レンズホルダー61の間には、断熱板63が設置されているから、熱エネルギーの装置本体100へ移動が抑制される。これにより、温度の低下が抑制され、効率よく対物レンズホルダー61が加熱される。このようにして、対物レンズ14が加熱されることによって、結露がスムーズに除去される。
【0041】
なお、制御部70は、ヒータ66を所定の時間、駆動させた後、ヒータ66の駆動を停止させ、対物レンズの加熱が終了する。所定の時間は、予め、結露を蒸発させるために十分な時間を実験やシミュレーションにより求めておくことで設定される。なお、本実施形態においては、所定の時間だけヒータ66を駆動させた後、停止させる構成としたがこれに限定されない。もちろん、装置の電源が入れられている間、停止することなく、ヒータ66の駆動させる構成でもよい。
【0042】
以上のように、外気と接する光透過部材を加熱することにより、結露を迅速に除去可能となり、検者が装置本体の電源を入れてから、測定可能となるまでの時間が短縮される。また、結露が除去されることにより、誤った測定結果が出力されることを防ぐことができる。
【0043】
なお、上記のような結露除去は、測定光軸L1から距離の異なる複数の指標パターン像として眼底反射光を撮像素子22に撮像させる測定光学系10を有する眼屈折力測定装置において、特に有用である。図5は、眼Eの瞳上から複数のリング光束を取り出すためのリング状のリング光学部材の一例を示す図である。
【0044】
例えば、リングレンズ23は、リングレンズ20の代わりに測定光学系10の光路における被検眼前眼部と略共役な位置に配置される。そして、投影光学系10aで照明された眼底の微小領域からの反射光を測定光軸L1から距離の異なる複数の測定光束に分割し、それぞれ撮像素子22の撮像面に集光させる。これにより測定光軸から距離の異なる複数のリングパターン像が撮像素子22に受光される。すなわち、図5(a)及び(b)に示すように、リングレンズ23は、平板上に円筒レンズをリング状に2つ形成した第1レンズ部23a及び第2レンズ部23bと、このレンズ部以外を遮光のためのコーティングを施した遮光部23cより構成されている。この遮光部23cにより、径が異なる2つのリングが形成された二重リング状開口が形成される。そして、各リング開口に対応する円環状の第1レンズ部23a及び第2レンズ部23bが光軸L1を中心として、同心円状にそれぞれ異なる半径にて形成されている。なお、実施例においては、第2レンズ部23bの半径が第1レンズ23aの半径よりも大きい半径を持つように構成されている。リングレンズ23は、例えば、遮光部23cが被検眼瞳孔と共役位置(共役位置とは、厳密に共役である必要はなく、測定精度との関係で必要とされる精度で共役であれば良い)となるように受光光学系に設けられている。このため、眼底からの反射光は瞳孔周辺部から第1レンズ部23a及び第2レンズ部23bに対応した大きさでリング状に取り出される。リングレンズ23に平行光束が入射すると、その焦点位置に配置された撮像素子22上には、リングレンズ23と同じサイズのリング像が集光する。なお、リング状開口を持つ遮光部23cは、リングレンズ23の近傍に別部材で構成しても良い。
【0045】
この場合、結露が発生すると、撮像素子22上の指標像は、4重以上になり、指標像の判別が非常に困難である。そこで、上記構成のような結露除去手段を設けることにより、結露が除去され、良好な多重リング像が得られる。これにより、結露が発生する条件下であっても、瞳孔上の異なる領域における眼屈折力が好適に測定される。
【0046】
なお、本実施形態においては、外気と接する光透過部材の結露を除去する結露除去手段として、加熱ユニット60を用いたがこれに限定されない。例えば、外気と接する光透過部材に空気を吹き付けることにより結露を除去する送風ユニットを用いてもよい。この場合、空気を吹き出す送風機を用いて、光透過部材に空気を吹き付け、結露を蒸発させる。
【0047】
なお、本実施形態においては、外気と接する光透過部材として、対物レンズ例として説明したがこれに限定されない。例えば、図6に示すように、対物レンズ14よりも手前(被検眼側)に薄板状の光透過部材(例えば、カバーガラス69)を設置する。この場合、外気と接する光透過部材はカバーガラス69となり、カバーガラス69に結露が生じる。そして、このような構成は、結露を除去する効果を向上させる手段にもなる。例えば、対物レンズ14よりも厚みの薄い光透過部材(カバーガラス69)を用いて、対物レンズ14よりも手前(被検眼側)にカバーガラス69を設置する。この場合、対物レンズ14よりも厚みの薄い光透過部材に結露を生じさせる構成とすることで、結露をスムーズに除去可能となる。すなわち、結露が生じる光透過部材の厚みや外形が小さくなると、結露を除去するために必要となる熱量が少なくなるため、結露蒸発までの時間が短くなる。このような構成とすることで、装置によって、対物レンズ14の厚みや外径が大きくなっても、少ない熱量で、結露除去の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、対物レンズホルダー61を介して、対物レンズ14を加熱する構成としたがこれに限定されない。対物レンズ14を加熱できる構成であればよい。例えば、対物レンズ14と発熱体を連結し、加熱する構成でもよい。この場合、対物レンズ14に直接連結されているため、発熱体が測定の妨げになる可能性があり、対物レンズ14において、測定に使用される領域を避けて連結されることが望ましい。
【0049】
なお、測定光学系10は上記のものに限らず、被検者眼眼底に向けて測定光を投光する投光光学系と,測定光の眼底での反射によって取得される反射光を受光素子によって受光する受光光学系と,を有する測定光学系であればよい。例えば、眼屈折力測定光学系は、シャックハルトマンセンサーを備えた構成であってもよい。もちろん、他の測定方式の装置が利用されてもよい(例えば、スリットを投影する位相差方式の装置)。
【0050】
なお、本実施形態においては、眼科測定装置として、測定光学系が被検眼の眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系を例として挙げて説明したがこれに限定されない。被検眼に測定光束を投光しその反射光束を指標パターン像として二次元撮像素子に撮像させる測定光学系であって、二次元撮像素子に撮像された各指標パターン像に基づいて被検眼の眼特性を測定する測定光学系であればよい。例えば、ケラト投影光学系により角膜形状を測定する角膜形状測定装置が考えられる。
【0051】
また、これらに限定されるものではない。被検者眼に向けて測定光を投光する投光光学系と、被検者眼からの測定光の反射光を受光素子によって受光する受光光学系を有した被検者眼を測定するための測定光学系を用いて、受光素子からの出力信号に基づいて被検者眼の眼特性を測定する眼科測定装置であれば適用可能である。例えば、光干渉光学系により眼軸長を測定する眼軸長測定装置が考えられる。
【0052】
なお、本実施形態においては、装置本体の電源が入れられると、制御部70は、ヒータ66の駆動を開始する構成としたが、これに限定されない。例えば、温度センサと湿度センサを設ける構成としてもよい。この場合、温度センサは、装置の設置条件下における温度を計測する。温度センサは、装置本体100の内側又は外側の少なくともいずれかに設けられる。好ましくは、装置内外の温度が計測され、装置内外の温度差が計測される。また、湿度センサは、装置の設置条件下における湿度を計測する。湿度センサは、装置本体100の内側又は外側の少なくともいずれかに設けられる。好ましくは、装置内外の湿度が計測され、装置内外の湿度差が計測される。
【0053】
そして、温度センサ及び湿度センサの測定結果に基づいて、加熱ユニット60の駆動が制御される。この場合、メモリ75には、予め、実験又はシミュレーション等により求められた、結露が発生する所定の温度及び所定の湿度の相関関係がテーブルと及びして記憶されている。制御部70は、温度及び湿度が結露発生の条件に達しているか否かを判定する。制御部70は、温度及び湿度が結露発生の条件に達していた場合に、ヒータ66を駆動させる。もちろん、例えば、温度又は湿度の少なくとも一方の条件の判定によって駆動を制御してもよく、所定の条件の下で、駆動される構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本装置の光学系及び制御系の概略構成図である。
【図2】加熱ユニットの斜方構成図と対物レンズホルダー内の構成図を示す図である。
【図3】撮像素子に撮像されたリング像を示す図である。
【図4】対物レンズに汚れや曇り等がある場合のリング像を示す図である。
【図5】瞳上から複数のリング光束を取り出すためのリング光学部材の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の変容例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
7 モニタ
10 測定光学系
10a 投光光学系
10b 受光光学系
14 対物レンズ
30 固視標呈示光学系
45 リング指標投影光学系
46 作動距離指標投影光学系
50 観察光学系
60 加熱ユニット
70 制御部
75 メモリ
100 装置本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者眼の測定を行う眼科測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼眼底に測定光束を投光し、その反射光を受光して被検者眼の測定を行う眼科測定装置が知られている。例えば、眼屈折力測定装置(オートレフラクトメータ)、が挙げられる。
【0003】
眼屈折力測定装置としては、眼底に測定光を投光し、その眼底反射光を所定の指標パターン像(例えば、リング像、シャックハルトマン像)として二次元撮像素子に撮像させ、そのパターン像に基づいて被検眼の眼屈折力(波面収差を含む)を測定するものが知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−89715公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、眼科測定装置において、被検眼の眼前に配置された測定窓(例えば、対物レンズ、保護ガラス、等)に結露や曇りがあると、測定光が結露で反射されることや、遮られることによって、測定精度の低下か測定結果が取得できない可能性がある。
【0006】
例えば、上記特許文献1のような装置において、被検眼の眼前に配置された測定窓に結露や曇りがあると、測定光が結露で反射され、本来検出すべき指標像以外の余分な指標像が検出される恐れがあり、誤った指標像に基づいて測定結果が出力されてしまう可能性がある。
【0007】
そして、眼科測定装置において、結露は、測定窓の被検眼側(外気と接している面)に生じる。現在、これらの対処方法として、装置本体を駆動させてから、結露が自然に蒸発するまで、所定の時間を待つことや綿棒等を用いて結露を拭き取るという方法がある。しかし、結露が自然に蒸発するまで、所定の時間を待つことは、待機する時間が長いことで測定開始が可能となる状態になるまでに時間がかかり、検者にとって、ストレスを感じる原因となる。また、綿棒等を用いて結露を拭き取るという方法は、測定窓を傷つけてしまうことや拭きムラがでることが原因により、本来検出すべき指標像以外の余分な指標像が検出される恐れがあり、誤った測定結果が出力される。また、測定をすることができないという不都合が生じる。
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑み、利便性が高く、安定した測定結果を得ることができる眼科測定装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0010】
(1) 被検者眼に向けて測定光を投光する投光光学系、外気と接する光透過部材を介して,被検者眼からの前記測定光の反射光を受光素子によって受光する受光光学系、を有する測定光学系と、前記測定光学系を収納すると共に、被検者眼側において前記光透過部材を保持する装置本体と、を備え、前記受光素子からの出力信号に基づいて被検者眼の眼特性を測定する眼科測定装置において、外気と接する光透過部材の結露を除去する結露除去手段を備えることを特徴とする。
(2) 前記測定光学系は、被検眼に測定光束を投光しその反射光束を指標パターン像として二次元撮像素子に撮像させる測定光学系であって、前記二次元撮像素子に撮像された各指標パターン像に基づいて被検眼の眼特性を測定することを特徴とする(1)の眼科測定装置。
(3) 前記測定光学系は、被検眼の眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかの眼科測定装置。
(4) 前記結露除去手段は、熱を発生させる発熱体を有し、前記光透過部材を加熱することにより結露を除去する加熱ユニットであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの眼科測定装置。
(5) 前記装置本体は、前記光透過部材を保持するためのホルダーを有し、さらに、前記ホルダーと前記装置本体との間には、前記装置本体に熱が移動されるのを防止するための断熱部材が設けられていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの眼科測定装置。
(6) 前記光透過部材は、前記測定光学系の対物レンズより被検者側に配置された薄板状の光透過部材であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの眼科測定装置。
(7) 前記結露除去手段は、空気を吹き出す送風機を有し、前記光透過部材に空気を吹き付けることにより結露を除去する送風ユニットであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの眼科測定装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利便性の高い眼科測定装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、眼科測定装置として、眼屈折力測定装置(オートレフラクトメータ)を例として挙げて説明する。
【0013】
概して、眼屈折力測定装置は、被検眼眼底に測定光束を投光し、その眼底反射光束を指標パターン像として二次元撮像素子に撮像させる眼屈折力測定光学系を備え、二次元撮像素子に撮像された各指標パターン像に基づいて被検眼の眼屈折力を測定する。
【0014】
図1は、本装置の光学系及び制御系の概略構成図である。装置本体100は、測定光学系10を収納する。測定光学系10は、眼Eの瞳孔中心部を介して眼Eの眼底Efにスポット状の測定光束(測定指標)を投影する投光光学系(投影光学系)10aと、眼底Efから反射された眼底反射光を瞳孔周辺部を介してリング状に取り出し、二次元撮像素子に指標パターン像(リング状の眼底反射像)を受光(撮像)させる受光光学系10bと、から構成される。
【0015】
投影光学系10aは、測定光学系10の光軸L1上に配置された,測定光源11,リレーレンズ12,ホールミラー13,及び対物レンズ14を含む。光源11は、正視眼の眼底Efと光学的に共役な位置関係となっている。また、ホールミラー13の開口は、眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置関係となっている。
【0016】
受光光学系10bは、投影光学系10aの対物レンズ14,ホールミラー13が共用され、ホールミラー13の反射方向の光軸L1上に配置された,リレーレンズ16及び全反射ミラー17と、全反射ミラー17の反射方向の光軸L1上に配置された受光絞り18,コリメータレンズ19,リングレンズ20,及びエリアCCD等からなる二次元撮像素子22を含む。受光絞り18及び撮像素子22は、眼底Efと光学的に共役な位置関係となっている。リングレンズ20は、リング状に形成されたレンズ部と、レンズ部以外の領域に遮光用のコーティングを施した遮光部と、から構成され、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置関係となっている。撮像素子22からの出力は、画像メモリ71を介して演算制御部70に入力される。
【0017】
なお、測定光学系10は上記のものに限らず、瞳孔周辺部から眼底Efにリング状の測定指標を投影し、瞳孔中心部から眼底反射光を取り出し、二次元撮像素子にリング状の眼底反射像を受光させる構成等、周知のものが使用できる。また、連続的なリング像でなく、間欠的なリング像を取り出す構成であってもよく、点像が略リング状に並べられた眼底反射像を取り出す構成であってもよい。
【0018】
また、装置本体100は、光透過部材を保持するためのホルダー(本実施形態では、対物レンズホルダー61)を有しており、被検者眼側において、光透過部材(本実施形態では、対物レンズ14)を保持する。対物レンズ14は、外気と接しているため、対物レンズ14の眼E側の面に結露が生じる場合がある。そのため、対物レンズ14には、結露を除去するための結露除去手段が備えられている。本実施形態においては、結露を除去する結露除去手段として、熱を発生させる発熱体を有した加熱ユニット60が備えられる。そして、外気と接する対物レンズ14を加熱することにより結露を除去する。
【0019】
図2は、加熱ユニット60の斜方構成図(図2(a))と対物レンズホルダー61内(図2(b))の構成図を示している。加熱ユニット60は、対物レンズホルダー61、断熱部材(断熱板)63、熱伝導シート65、発熱体としてのヒータ66、固定板67、レンズ押さえ68、を備えている。
【0020】
対物レンズホルダー61は、熱伝導率の高い部材(例えば、アルミニウム)で形成されており、レンズ押さえ68を用いて、対物レンズが装着される。
【0021】
2つのヒータ(例えば、抵抗器)66は、例えば、対物レンズホルダー61の被検眼側に設けられる。そして、ヒータ66は、熱伝導シート65を介して、固定板67によって対物レンズホルダー61に固定されている。
【0022】
熱伝導シート65は、例えば、シリコンシートが用いられる。シリコンシートは、密着性が高いため、ヒータ66と対物レンズホルダー61に隙間を作ることなく密着することができ、熱エネルギーを効率的に移動させることを可能にする。本実施形態では、ヒータ66と対物レンズホルダー61に挟まれて配置され、ヒータ66により発熱された熱エネルギーを対物レンズホルダー61に効率よく移動させる。
【0023】
断熱板63は、例えば、セラミックやプラスチックの材料のものが用いられる。装置本体100への熱エネルギーの移動を小さくする。そして、加熱ユニット60によって加熱される被加熱部材(対物レンズホルダー61)と装置本体100との間に設置されている。本実施例において、断熱板63は、装置本体100と対物レンズホルダー61の間に設置され、熱エネルギーが装置本体100に移動されることを防ぐ。
【0024】
対物レンズ14とホールミラー13との間には、固視標呈示光学系30からの固視標光束を眼Eに導き、被検眼Eの前眼部からの反射光を観察光学系50に導くダイクロイックミラー29が配置されている。ダイクロイックミラー29は、測定光学系10に用いられる測定光束の波長を透過する。
【0025】
固視標呈示光学系30は、固視標呈示用可視光源31,固視標を持つ固視標板32,投光レンズ33,ダイクロイックミラー29、対物レンズ14、を含む。光源31及び固視標板32は、光軸L2方向に移動されることにより、被検眼Eの雲霧を行う。
【0026】
眼Eの前眼部の前方には、眼Eの角膜Ecにリング指標を投影するための近赤外光を発するリング指標投影光学系45と、眼Eの角膜Ecに無限遠指標を投影することにより被検眼に対する作動距離方向のアライメント状態を検出するための近赤外光を発する作動距離指標投影光学系46が観察光軸に対して左右対称に配置されている。なお、リング投影光学系45は、眼Eの前眼部を照明する前眼部照明としても用いられる。また、角膜形状測定用の指標としても利用できる。
【0027】
観察光学系50は、固視標呈示光学系30の対物レンズ14、ダイクロイックミラー29が共用され、ハーフミラー35、撮像レンズ51、及び二次元撮像素子52を備える。撮像素子52からの出力は、制御部70に入力される。これにより、被検眼Eの前眼部像は二次元撮像素子52により撮像され、モニタ7上に表示される。なお、この観察光学系50は被検眼Eの角膜に形成されるアライメント指標像を検出する光学系を兼ね、制御部70によりアライメント指標像の位置が検出される。
【0028】
制御部70には、ヒータ66、画像メモリ71、撮像素子52、メモリ75、モニタ7、複数のスイッチを持ち測定の各種設定に用いられるスイッチ部80等が接続されている。制御部70は、装置全体の制御を行うと共に、眼屈折値の算出や角膜形状の算出等を行う。なお、メモリ75は、リング像に基づいて眼屈折力を算出するための演算プログラム等を記憶できる。
【0029】
以上のような構成を備える装置の測定動作について説明する。まず、被検者の顔を図示なき顔支持ユニットに固定させ、固視標32を固視するよう指示した後、被検眼に対するアライメントを行う。
【0030】
制御部70は、測定開始信号の入力に基づき光源11を点灯させる。光源11から出射された測定光は、リレーレンズ12から対物レンズ14までを介して眼底Efに投影され、眼底Ef上で回転するスポット状の点光源像を形成する。
【0031】
眼底Ef上に形成された点光源像の光は、反射・散乱されて被検眼Eを射出し、対物レンズ14によって集光され、ダイクロイックミラー29から全反射ミラー17までを介して受光絞り18の開口上で再び集光され、コリメータレンズ19にて略平行光束(正視眼の場合)とされ、リングレンズ20によってリング状光束として取り出され、リング像として撮像素子22に受光される。
【0032】
このとき、はじめに眼屈折力の予備測定が行われ、予備測定の結果に基づいて光源31及び固視標板32が光軸L2方向に移動されることにより、被検眼Eに対して雲霧がかけられる。その後、雲霧がかけられた被検眼に対して眼屈折力の測定が行われる。
【0033】
図3は、測定の際に撮像素子22に撮像されたリング像である。撮像素子22からの出力信号は、画像メモリ71に画像データ(測定画像)として記憶される。その後、制御部70は、画像メモリ71に記憶された測定画像に基づいて各経線方向にリング像の位置を特定(検出)する。この場合、制御部70は、輝度信号の波形を所定の閾値にて切断し、その切断位置での波形の中間点や、輝度信号の波形のピーク、輝度信号の重心位置などを求めることによりリング像の位置を特定する。次に、制御部70は、特定されたリング像の像位置に基づいて、最小二乗法等を用いて楕円を近似する。そして、制御部70は、近似した楕円の形状から各経線方向の屈折誤差が求め、これに基づいて被検眼の眼屈折値、S(球面度数)、C(柱面度数)、A(乱視軸角度)の各値が演算し、測定結果をモニタ7に表示する。
【0034】
以下に、測定窓(以下の説明では、対物レンズを例に用いる)に結露がある場合の処理について説明する。本来、光源11から出射された測定光は、対物レンズ14を介して被検眼眼底に照射され、その眼底反射光がリング像として撮像素子22に受光される。しかし、対物レンズ14の被検眼側表面に結露がある場合、光源11から出射された光は、対物レンズ14上の結露等で反射され、もう一つのリング像として撮影素子22に受光される。これにより、眼底反射光によるリング像と対物レンズ14からの反射光によるリング像が混在し、リング像が2つあらわれることがある(図4参照)。
【0035】
図4において、前述の汚れや曇りなどによるリング像をS1、眼底からの反射によるリング像をS2とする。リング像S1は、光学設計上、所定の屈折度数(例えば、−18D前後)を持つ被検眼を測定したときと同じ大きさのリング像として撮像される。なお、−18D前後は、本光学設計によるもので、異なる光学設計においては、必ずしもこれに限るものではない。
【0036】
リング像S2は、被検眼の屈折力によって大きさが変化するため、図4(a)に示すようにリング像S1より外側に現れる場合や、図4(b)のようにリング像S1の内側に現れる場合がある。このとき、眼底からの反射光量(リング像S2)が対物レンズ表面での反射光量(リング像S1)よりも多い場合は、リング像S2に基づいて眼屈折力が測定される。しかし、眼底からの反射光(リング像S2)よりも対物レンズ表面での反射光(リング像S1)の方が強い場合、リング像S1に基づいて測定結果が算出され、被検眼の眼屈折力を測定することができない。特に、白内障などのような眼内混濁などにより眼底からの反射光量が得られ難い場合に、上記のような誤検出が生じやすい。すなわち、測定光学系を構成する光透過部材(例えば、対物レンズ14)からの反射光によって形成されたリング像は、測定のノイズとなる。このため、結露を迅速に除去して、測定を行う必要がある。
【0037】
ここで、結露の発生について説明する。従来、結露は、外気温度と内部温度との差が大きい場合に生じる。例えば、外気の温度が高く、内部の空気の温度が低い場合に、外気が内部の空気によって冷やされ、レンズ等に水滴となって付着することによって生じる。また、湿度は、空気中に含まれる水蒸気の量を示しており、湿度が高くなると結露が発生しやすくなる。すなわち、湿度が高くになることにより、温度の差が少なくても結露が発生しやすくなる。
【0038】
本実施形態の場合、構造部品の温度等により内部の空気が冷やされ、装置本体100内の空気の温度が低い状態において、例えば、エアコン等の使用により、外気の温度が高くなると、装置本体内の空気によって外気が冷やされる。そして、対物レンズ14に水滴となって付着することによって結露が生じる。また、加湿器等の使用により、湿度が高くなり、少しの温度差で結露が生じやすい状態となり、結露が生じる場合がある。
【0039】
本実施例においては、対物レンズ14を加熱することにより、結露が暖められ水蒸気になり空気中に発散される。また、対物レンズ14が加熱されることにより、対物レンズと外気の温度の温度差が少なくなることにより、外気中の水分は対物レンズ14に水滴となって付着する結露はなくなる。
【0040】
以下、結露を除去する手順について説明する。検者によって、図示無き装置本体の電源が入れられると、制御部70は、ヒータ66の駆動を開始する。制御部70により、ヒータ66が駆動されると、ヒータ66が発熱をする。そして、ヒータ66の発熱による熱エネルギーは、熱伝導シート65を介して、対物レンズホルダー61に移動され、対物レンズホルダー61を介して対物レンズ14が加熱される。このとき、装置本体100と対物レンズホルダー61の間には、断熱板63が設置されているから、熱エネルギーの装置本体100へ移動が抑制される。これにより、温度の低下が抑制され、効率よく対物レンズホルダー61が加熱される。このようにして、対物レンズ14が加熱されることによって、結露がスムーズに除去される。
【0041】
なお、制御部70は、ヒータ66を所定の時間、駆動させた後、ヒータ66の駆動を停止させ、対物レンズの加熱が終了する。所定の時間は、予め、結露を蒸発させるために十分な時間を実験やシミュレーションにより求めておくことで設定される。なお、本実施形態においては、所定の時間だけヒータ66を駆動させた後、停止させる構成としたがこれに限定されない。もちろん、装置の電源が入れられている間、停止することなく、ヒータ66の駆動させる構成でもよい。
【0042】
以上のように、外気と接する光透過部材を加熱することにより、結露を迅速に除去可能となり、検者が装置本体の電源を入れてから、測定可能となるまでの時間が短縮される。また、結露が除去されることにより、誤った測定結果が出力されることを防ぐことができる。
【0043】
なお、上記のような結露除去は、測定光軸L1から距離の異なる複数の指標パターン像として眼底反射光を撮像素子22に撮像させる測定光学系10を有する眼屈折力測定装置において、特に有用である。図5は、眼Eの瞳上から複数のリング光束を取り出すためのリング状のリング光学部材の一例を示す図である。
【0044】
例えば、リングレンズ23は、リングレンズ20の代わりに測定光学系10の光路における被検眼前眼部と略共役な位置に配置される。そして、投影光学系10aで照明された眼底の微小領域からの反射光を測定光軸L1から距離の異なる複数の測定光束に分割し、それぞれ撮像素子22の撮像面に集光させる。これにより測定光軸から距離の異なる複数のリングパターン像が撮像素子22に受光される。すなわち、図5(a)及び(b)に示すように、リングレンズ23は、平板上に円筒レンズをリング状に2つ形成した第1レンズ部23a及び第2レンズ部23bと、このレンズ部以外を遮光のためのコーティングを施した遮光部23cより構成されている。この遮光部23cにより、径が異なる2つのリングが形成された二重リング状開口が形成される。そして、各リング開口に対応する円環状の第1レンズ部23a及び第2レンズ部23bが光軸L1を中心として、同心円状にそれぞれ異なる半径にて形成されている。なお、実施例においては、第2レンズ部23bの半径が第1レンズ23aの半径よりも大きい半径を持つように構成されている。リングレンズ23は、例えば、遮光部23cが被検眼瞳孔と共役位置(共役位置とは、厳密に共役である必要はなく、測定精度との関係で必要とされる精度で共役であれば良い)となるように受光光学系に設けられている。このため、眼底からの反射光は瞳孔周辺部から第1レンズ部23a及び第2レンズ部23bに対応した大きさでリング状に取り出される。リングレンズ23に平行光束が入射すると、その焦点位置に配置された撮像素子22上には、リングレンズ23と同じサイズのリング像が集光する。なお、リング状開口を持つ遮光部23cは、リングレンズ23の近傍に別部材で構成しても良い。
【0045】
この場合、結露が発生すると、撮像素子22上の指標像は、4重以上になり、指標像の判別が非常に困難である。そこで、上記構成のような結露除去手段を設けることにより、結露が除去され、良好な多重リング像が得られる。これにより、結露が発生する条件下であっても、瞳孔上の異なる領域における眼屈折力が好適に測定される。
【0046】
なお、本実施形態においては、外気と接する光透過部材の結露を除去する結露除去手段として、加熱ユニット60を用いたがこれに限定されない。例えば、外気と接する光透過部材に空気を吹き付けることにより結露を除去する送風ユニットを用いてもよい。この場合、空気を吹き出す送風機を用いて、光透過部材に空気を吹き付け、結露を蒸発させる。
【0047】
なお、本実施形態においては、外気と接する光透過部材として、対物レンズ例として説明したがこれに限定されない。例えば、図6に示すように、対物レンズ14よりも手前(被検眼側)に薄板状の光透過部材(例えば、カバーガラス69)を設置する。この場合、外気と接する光透過部材はカバーガラス69となり、カバーガラス69に結露が生じる。そして、このような構成は、結露を除去する効果を向上させる手段にもなる。例えば、対物レンズ14よりも厚みの薄い光透過部材(カバーガラス69)を用いて、対物レンズ14よりも手前(被検眼側)にカバーガラス69を設置する。この場合、対物レンズ14よりも厚みの薄い光透過部材に結露を生じさせる構成とすることで、結露をスムーズに除去可能となる。すなわち、結露が生じる光透過部材の厚みや外形が小さくなると、結露を除去するために必要となる熱量が少なくなるため、結露蒸発までの時間が短くなる。このような構成とすることで、装置によって、対物レンズ14の厚みや外径が大きくなっても、少ない熱量で、結露除去の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、対物レンズホルダー61を介して、対物レンズ14を加熱する構成としたがこれに限定されない。対物レンズ14を加熱できる構成であればよい。例えば、対物レンズ14と発熱体を連結し、加熱する構成でもよい。この場合、対物レンズ14に直接連結されているため、発熱体が測定の妨げになる可能性があり、対物レンズ14において、測定に使用される領域を避けて連結されることが望ましい。
【0049】
なお、測定光学系10は上記のものに限らず、被検者眼眼底に向けて測定光を投光する投光光学系と,測定光の眼底での反射によって取得される反射光を受光素子によって受光する受光光学系と,を有する測定光学系であればよい。例えば、眼屈折力測定光学系は、シャックハルトマンセンサーを備えた構成であってもよい。もちろん、他の測定方式の装置が利用されてもよい(例えば、スリットを投影する位相差方式の装置)。
【0050】
なお、本実施形態においては、眼科測定装置として、測定光学系が被検眼の眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系を例として挙げて説明したがこれに限定されない。被検眼に測定光束を投光しその反射光束を指標パターン像として二次元撮像素子に撮像させる測定光学系であって、二次元撮像素子に撮像された各指標パターン像に基づいて被検眼の眼特性を測定する測定光学系であればよい。例えば、ケラト投影光学系により角膜形状を測定する角膜形状測定装置が考えられる。
【0051】
また、これらに限定されるものではない。被検者眼に向けて測定光を投光する投光光学系と、被検者眼からの測定光の反射光を受光素子によって受光する受光光学系を有した被検者眼を測定するための測定光学系を用いて、受光素子からの出力信号に基づいて被検者眼の眼特性を測定する眼科測定装置であれば適用可能である。例えば、光干渉光学系により眼軸長を測定する眼軸長測定装置が考えられる。
【0052】
なお、本実施形態においては、装置本体の電源が入れられると、制御部70は、ヒータ66の駆動を開始する構成としたが、これに限定されない。例えば、温度センサと湿度センサを設ける構成としてもよい。この場合、温度センサは、装置の設置条件下における温度を計測する。温度センサは、装置本体100の内側又は外側の少なくともいずれかに設けられる。好ましくは、装置内外の温度が計測され、装置内外の温度差が計測される。また、湿度センサは、装置の設置条件下における湿度を計測する。湿度センサは、装置本体100の内側又は外側の少なくともいずれかに設けられる。好ましくは、装置内外の湿度が計測され、装置内外の湿度差が計測される。
【0053】
そして、温度センサ及び湿度センサの測定結果に基づいて、加熱ユニット60の駆動が制御される。この場合、メモリ75には、予め、実験又はシミュレーション等により求められた、結露が発生する所定の温度及び所定の湿度の相関関係がテーブルと及びして記憶されている。制御部70は、温度及び湿度が結露発生の条件に達しているか否かを判定する。制御部70は、温度及び湿度が結露発生の条件に達していた場合に、ヒータ66を駆動させる。もちろん、例えば、温度又は湿度の少なくとも一方の条件の判定によって駆動を制御してもよく、所定の条件の下で、駆動される構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本装置の光学系及び制御系の概略構成図である。
【図2】加熱ユニットの斜方構成図と対物レンズホルダー内の構成図を示す図である。
【図3】撮像素子に撮像されたリング像を示す図である。
【図4】対物レンズに汚れや曇り等がある場合のリング像を示す図である。
【図5】瞳上から複数のリング光束を取り出すためのリング光学部材の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の変容例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
7 モニタ
10 測定光学系
10a 投光光学系
10b 受光光学系
14 対物レンズ
30 固視標呈示光学系
45 リング指標投影光学系
46 作動距離指標投影光学系
50 観察光学系
60 加熱ユニット
70 制御部
75 メモリ
100 装置本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者眼に向けて測定光を投光する投光光学系、外気と接する光透過部材を介して,被検者眼からの前記測定光の反射光を受光素子によって受光する受光光学系、を有する測定光学系と、
前記測定光学系を収納すると共に、被検者眼側において前記光透過部材を保持する装置本体と、を備え、
前記受光素子からの出力信号に基づいて被検者眼の眼特性を測定する眼科測定装置において、
外気と接する光透過部材の結露を除去する結露除去手段を備えることを特徴とする眼科測定装置。
【請求項2】
前記測定光学系は、被検眼に測定光束を投光しその反射光束を指標パターン像として二次元撮像素子に撮像させる測定光学系であって、前記二次元撮像素子に撮像された各指標パターン像に基づいて被検眼の眼特性を測定することを特徴とする請求項1の眼科測定装置。
【請求項3】
前記測定光学系は、被検眼の眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系であることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかの眼科測定装置。
【請求項4】
前記結露除去手段は、熱を発生させる発熱体を有し、前記光透過部材を加熱することにより結露を除去する加熱ユニットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの眼科測定装置。
【請求項5】
前記装置本体は、前記光透過部材を保持するためのホルダーを有し、
さらに、前記ホルダーと前記装置本体との間には、前記装置本体に熱が移動されるのを防止するための断熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの眼科測定装置。
【請求項6】
前記光透過部材は、前記測定光学系の対物レンズより被検者側に配置された薄板状の光透過部材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの眼科測定装置。
【請求項7】
前記結露除去手段は、空気を吹き出す送風機を有し、前記光透過部材に空気を吹き付けることにより結露を除去する送風ユニットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの眼科測定装置。
【請求項1】
被検者眼に向けて測定光を投光する投光光学系、外気と接する光透過部材を介して,被検者眼からの前記測定光の反射光を受光素子によって受光する受光光学系、を有する測定光学系と、
前記測定光学系を収納すると共に、被検者眼側において前記光透過部材を保持する装置本体と、を備え、
前記受光素子からの出力信号に基づいて被検者眼の眼特性を測定する眼科測定装置において、
外気と接する光透過部材の結露を除去する結露除去手段を備えることを特徴とする眼科測定装置。
【請求項2】
前記測定光学系は、被検眼に測定光束を投光しその反射光束を指標パターン像として二次元撮像素子に撮像させる測定光学系であって、前記二次元撮像素子に撮像された各指標パターン像に基づいて被検眼の眼特性を測定することを特徴とする請求項1の眼科測定装置。
【請求項3】
前記測定光学系は、被検眼の眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系であることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかの眼科測定装置。
【請求項4】
前記結露除去手段は、熱を発生させる発熱体を有し、前記光透過部材を加熱することにより結露を除去する加熱ユニットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの眼科測定装置。
【請求項5】
前記装置本体は、前記光透過部材を保持するためのホルダーを有し、
さらに、前記ホルダーと前記装置本体との間には、前記装置本体に熱が移動されるのを防止するための断熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの眼科測定装置。
【請求項6】
前記光透過部材は、前記測定光学系の対物レンズより被検者側に配置された薄板状の光透過部材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの眼科測定装置。
【請求項7】
前記結露除去手段は、空気を吹き出す送風機を有し、前記光透過部材に空気を吹き付けることにより結露を除去する送風ユニットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの眼科測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−205721(P2012−205721A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73181(P2011−73181)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
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