説明

眼科装置

【課題】 顎載せ紙を用いなくとも顎受け台の衛生度を確保できるとともに、簡単に取り外し可能であり、さらに安定して被検者の顎載せを行うことのできる眼科装置を提供する。
【解決手段】 被検者の顔を支持固定するための顎受け台を有した眼科装置において、所定の厚みにて折り曲げ可能な材料を用いて形成され、顎受け台の上面形状と略同一形状を有するとともに、顎受け台の側面の少なくとも一部を覆う取り付け片が延設され、顎受け台に脱着可能である顎受け台カバーを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顎受け台を有した眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他覚的眼屈折力装置、眼圧計やスリットランプ等、被検眼を観察、測定する眼科装置が知られている。これらの眼科装置は、被検者の顔を支持・固定するために顎受け台を備えているものが多い。従来、このような顎受け台には、顎載せ紙の紙束を取り付けられており、被検者が代わる度に紙を一枚ずつ取り除くことによって、衛生度や清潔感を確保するようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8-38417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように顎受け台に顎載せ紙の紙束を取り付ける場合、紙の枚数が多いときは顎受け台への顎載せが安定して行われ難いという問題がある。また、顎載せ紙がカバーする範囲は限られてしまうとともに、このような紙束の装着には手間がかかる。
上記従来技術の問題点に鑑み、顎載せ紙を用いなくとも顎受け台の衛生度を確保できるとともに、安定して被検者の顎載せを行うことのできる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 被検者の顔を支持固定するための顎受け台を有した眼科装置において、前記顎受け台の上面形状と略同一形状を有するとともに前記顎受け台の側面の少なくとも一部を覆う取り付け片が延設され前記顎受け台に脱着可能である顎受け台カバーを有することを特徴とする。
(2) (1)の眼科装置において、顎受け台カバーの取り付け片の先端は前記顎受け台の縁を越える位置まで延設されているとともに、該顎受け台の縁を巻き込むように形成されていることを特徴とする。
(3) (2)の顎受け台カバーは、変形可能な材料で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、顎載せ紙を用いなくとも顎受け台の衛生度を確保できるとともに、安定して被検者の顎載せを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を適用した顎受け台を有するスリットランプ(細隙灯顕微鏡)の外観斜視図である。なお、本実施形態ではスリットランプを用いているが、これに限るものではなく、被検者の顔を支持固定するために顎受け台を必要とする眼科装置であればよい。顎受け台を必要とする眼科装置としては、例えば、他覚的眼屈折力測定装置、眼圧計、眼底カメラ、角膜形状測定装置等が挙げられる。1は装置本体部(スリットランプ)であり、本体部1は、ジョイスティック2の操作により基台3の水平面上を移動する。10は基台3に固定された顎台支基であり、顎台支基10には被検者の顔を支持固定するための額当て11と顎受け台12が備えられている。顎受け台12は、回転ノブ13を回すことにより、顎台支基10に対して上下動する。なお、図1に示す顎受け台12は、顎受け台カバー20が取り付けられた状態で示されている。
また、図2は、顎受け台12から顎受け台カバー20を取り外した状態を示している。図示するような顎受け台12の形状は、被検者の顎を載せたとき、被検者の顔の支持・固定を好適に行うことができるように、例えば略すり鉢型等の、顎の形状を考慮した形状を有している。
【0007】
図3は、顎受け台20カバーの詳細を示した図である。なお、図3(a)は、顎受け台カバー20の斜視図であり、図3(b)は、顎受け台カバー20を側方から見た図、図3(c)は、顎受け台カバー20の側面断面図である。
図3に示すように、顎受け台カバー20は、被検者の顎を載せる載置面21と、載置面21の端から延びるように形成されている取付片22〜24から構成されている。載置面21は、図2に示すような顎受け台12の上面形状と略一致する形状を有しており、顎受け台12に取り付けた際に、顎受け台12に密着させることができるとともに、顎受け台12における被検者の顎に当たる面をすべて覆うことができるようになっている。
【0008】
また、取付片22は、図3(a)に示すように、顎受け台カバー20の載置面21の端から延設されるとともに、顎受け台12の側面に沿って密着するような形状にて形成されており、顎受け台12に顎受け台カバー20を取り付けた後、カバーの左右へのズレを抑制する。また、取付片23は、載置面21の端から延びるように形成されているとともに、図3(c)に示すように、図2に示す顎受け台12の奥側(検者側)の縁を巻き込むようにして嵌合する形状を有している。さらに取付片24もまた、載置面21の端から延びるように形成されているとともに、顎受け台12の前側(被検者側)の縁を巻き込むようにして嵌合する形状を有している。
このような構成を備える顎受け台カバー20は、所定の肉厚にて折り曲げ可能な柔らかい材料を用いて射出成型にて製作され、その厚さは0.1mm〜数mm程度である。なお、用いる材料は、ポリカーボネート等の滅菌処理が可能な樹脂等を用いることができる。滅菌処理は、例えば煮沸処理やエタノール等によって行われる。
【0009】
図4は、顎受け台12に顎受け台カバー20を取り付ける前と、取り付けた後を示した図である。図4(a)に示すように、顎台支基10に設けられた顎受け台12に、衛生度や清潔感の確保を目的として、顎受け台カバー20が取り付けられる。
【0010】
顎受け台12に顎受け台カバー20を取り付ける場合には、始めに顎受け台カバー20の取付片23を顎受け台12の奥側(紙面向かって右側)に位置する縁12aに嵌合させる。次に、顎受け台カバー20を顎受け台12に対して、上から押し込むことにより、顎受け台カバー20の前側に形成されている取付片24が、顎載せ台12の前側(紙面向かって左側)に位置する縁12bに嵌合し、図4(b)に示すように、顎受け台12に顎受け台カバー20がしっかりと取り付けられる。
【0011】
顎受け台12に取り付けられた顎受け台カバー20の取付片23及び24の先端は、対する顎受け台12の縁12a,12bを超えて巻き込むように内側に向けて延びた状態で嵌合していることにより、顎受け台カバー20は、顎受け台12から容易に外れることがない。
【0012】
また、顎受け台カバー20を顎受け台12から外すときは、折り曲げ可能な成型材料の特性を生かして、取付片の一方を捲るようにすることにより、簡単に外すことができる。顎受けカバー20の使用後は、顎受け台12から使用済みの顎受けカバー20を取り外した後、新しい顎受け台カバー20を取り付けるようにする。使用した顎受け台カバー20は滅菌処理した後、再度用いればよい。このように、簡単に顎受け台に着脱することができるともに、顎受け台と略同一形状を有しているため、使い勝手がよく被検者の顔の支持・固定を好適に行うことができる。
【0013】
また、本実施形態では、顎受け台カバーの取付片を顎受け台の縁を超えて巻き込むようにして嵌合させることにより、簡単に外すことができないようにするものとしているが、これに限るものではなく、別部品を使用することなく顎受け台からカバーが簡単に外れないような構成を有していればよい。例えば、顎受け台に磁石を敷いておき、顎受け台底面に薄い金属板を取り付けたり、顎受け台カバー自体を変形可能な薄い金属板にて形成することにより、顎受けカバーを顎受け台から簡単に外れなくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における眼科装置の外観を示した斜視図である。
【図2】本実施形態における眼科装置に設けられる顎台支基の外観を検者側から見たときの斜視図である。
【図3】本実施形態における顎受け台カバーの構成を示した図である。
【図4】顎受け台にカバーを取り付ける前と後とを示した側面断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 装置本体
10 顎台支基
11 額当て
12 顎受け台
20 顎受け台カバー
21 載置面
22〜24 取付片





【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の顔を支持固定するための顎受け台を有した眼科装置において、前記顎受け台の上面形状と略同一形状を有するとともに前記顎受け台の側面の少なくとも一部を覆う取り付け片が延設され前記顎受け台に脱着可能である顎受け台カバーを有することを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1の眼科装置において、顎受け台カバーの取り付け片の先端は前記顎受け台の縁を越える位置まで延設されているとともに、該顎受け台の縁を巻き込むように形成されていることを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項2の顎受け台カバーは、変形可能な材料で形成されていることを特徴とする眼科装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−34858(P2006−34858A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222904(P2004−222904)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)