説明

眼科装置

【課題】搭載された電気式のコントロールレバー機構のコントロールレバーによる操作性を向上させることのできる眼科装置を提供する。
【解決手段】眼特性測定部(30)を移動させる移動機構(18)と、コントロールレバー13に為された傾倒操作出力する電気式のコントロールレバー機構20と、該コントロールレバー機構20への操作に基づく制御指令を生成して移動機構(18)へと送信する制御機構19と、を備える眼科装置10である。制御機構19は、眼特性測定部(30)の測定光軸を略中心とする所定の領域(Ac)を設定するとともに被検眼Eの中心位置Ecを演算し、中心位置Ecが領域(Ac)内であるときは、コントロールレバー13の傾倒角度に応じて眼特性測定部(30)の移動量を変化させる位置制御を行い、中心位置Ecが領域(Ac)内ではないときは、コントロールレバー13の傾倒角度に応じて眼特性測定部(30)の移動速度を変化させる速度制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントロールレバーの傾倒操作により被検眼に対する眼特性測定部の位置調整が可能な眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼科装置としては、被検者の顔を固定すべく保持する保持部が設けられた基台に対して、被検眼の検査、観察、撮影等を行うための眼特性測定部が3次元方向に移動自在とされ、その保持された被検者の被検眼に対する眼特性測定部の位置をコントロールレバーの傾倒操作により調整可能な構成とされているものがある。このような眼科装置としては、コントロールレバーが傾倒されると、その傾倒方向および傾斜角度に応じて、被検眼(被検者)に対して眼特性測定部が前後左右に機械的に移動する機械式のコントロールレバー機構を搭載したものがある。
【0003】
また、近年では、眼特性測定部を電気的に移動させる移動機構と、コントロールレバーに為された傾倒操作を電気的な信号として出力する電気式のコントロールレバー機構と、そこからの操作信号に基づく制御指令を移動機構へと送信する制御機構と、を搭載する構成の眼科装置が提案されている。そのような眼科装置には、制御機構において、コントロールレバーの傾倒角度における閾値を設定し、傾倒角度が当該閾値よりも小さい場合にはコントロールレバーの傾倒角度の大きさに対して移動距離を対応させた位置制御とし、傾倒角度が当該閾値よりも大きい場合にはコントロールレバーの傾倒角度の大きさに対して移動速度を対応させた速度制御とすることにより、コントロールレバーの傾倒操作による操作性を向上させたものが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−369799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した構成の眼科装置では、被検眼に対する眼特性測定部の位置に拘らずコントロールレバーの傾倒角度に応じて制御方法を切り換えることから、例えば、大きく移動させようとしてコントロールレバーを大きく傾倒させると、その傾倒角度に対応した移動速度のまま眼特性測定部が移動し続けるので、眼特性測定部が被検眼に対する適切な位置を通り過ぎてしまう虞がある。ここで、検者は、コントロールレバーを所定の角度まで傾倒させてその状態を維持した場合、その傾倒角度の大きさに応じた位置へと眼特性測定部を移動させた後、その位置を維持する構成である機械式のコントロールレバー機構の操作感覚に慣れていることから、上記した速度制御による操作感覚に違和感を覚えてしまうので、操作性に向上の余地がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、搭載された電気式のコントロールレバー機構のコントロールレバーによる操作性を向上させることのできる眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被検者の顔を固定すべく保持する保持部が設けられた基台に対して前記被検者の被検眼を測定するための光学系を備える眼特性測定部を電気的に移動させる移動機構と、前記被検眼に対する前記眼特性測定部の位置を調整すべくコントロールレバーに為された傾倒操作を電気的な信号として出力する電気式のコントロールレバー機構と、該コントロールレバー機構からの信号に基づいて前記眼特性測定部の移動のための制御指令を生成して移動機構へと送信する制御機構と、を備える眼科装置であって、前記制御機構は、移動制御処理の切り換えのために前記眼特性測定部の測定光軸を略中心とする所定の大きさの領域を設定するとともに前記被検眼の中心位置を演算し、前記中心位置が前記領域内であるときは、前記コントロールレバーの傾倒角度に応じて前記眼特性測定部の移動量を変化させる位置制御を行い、前記中心位置が前記領域内ではないときは、前記コントロールレバーの傾倒角度に応じて前記眼特性測定部の移動速度を変化させる速度制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の眼科装置によれば、前記中心位置が前記領域内であるときは、前記コントロールレバーの傾倒角度に応じて前記眼特性測定部の移動量を変化させる位置制御を行い、前記中心位置が前記領域内ではないときは、前記コントロールレバーの傾倒角度に応じて前記眼特性測定部の移動速度を変化させる速度制御を行う。
【0009】
すなわち、前記中心位置が前記領域内ではないとき(前記眼特性測定部の測定光軸と前記被検眼の中心位置との間隔が広いとき)は、速度制御とすることで素早い移動を可能とするとともに、前記中心位置が前記領域内であるとき(前記眼特性測定部の測定光軸と前記被検眼の中心位置との間隔が狭くなるとき)は、位置制御とすることで容易に微調整を行うことを可能とすることにより、検者は眼特性測定部の位置をコントロールレバーの傾倒操作により容易に調整することができる。
【0010】
この結果、搭載された電気式のコントロールレバー機構のコントロールレバーによる操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る眼科装置の外観構成の一例を示す模式的な斜視図である。
【図2】被検者側から見た眼科装置を示す正面図である。
【図3】側方から見た眼科装置を示す側面図である。
【図4】眼科装置におけるコントロールレバーの傾倒操作に対する眼特性測定機構の移動制御を説明するためのブロック図である。
【図5】コントロールレバー機構を示す模式的な斜視図である。
【図6】制御機構の制御部におけるコントロールレバーに為された操作に対する装置本体の移動制御処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【図7】ディスプレイに表示された被検眼Eの画像を示す模式図であり、(a)は被検眼Eの中心位置Ecが中央エリアAcから外れている様子を示し、(b)は被検眼Eの中心位置Ecが中央エリアAc内に入っている様子を示している。
【図8】中心位置Ecが中央エリアAc内にあるときの距離制御の一例としての実施例1での距離制御のマップを示す説明図である。
【図9】中心位置Ecが中央エリアAc内にないときの距離制御の一例としての実施例1での速度制御に用いるマップを示す説明図である。
【図10】各位置制御作用の説明のために傾倒操作の一例を表にして示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る眼科装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明に係る眼科装置10の外観構成の一例を示す模式的な斜視図である。図2は、被検者側から見た眼科装置10を示す正面図であり、図3は、側方から見た眼科装置10を示す側面図である。図4は、眼科装置10におけるコントロールレバー13の傾倒操作に対する眼特性測定機構30の移動制御を説明するためのブロック図である。図5は、コントロールレバー機構20を示す模式的な斜視図である。
【0014】
眼科装置10は、複数の種類の検査を行うことができる複合型の眼科装置であり、図1ないし図3に示すように、基台11とその上方に設けられた装置本体12とを備える。基台11には、一方側にコントロールレバー13と測定スイッチ14とが設けられ、他方側に顎受け15と額当て16とが設けられている。装置本体12には、コントロールレバー13および測定スイッチ14が設けられた側の面にディスプレイ17が設けられている。
【0015】
この眼科装置10では、被検者が顎受け15に顎を載置しつつ額当て16に額を当接させて装置本体12に対峙した状態で、被検眼E(図3参照)の検査、観察、撮影等を行うものとされている。このため、顎受け15と額当て16とは、眼科装置10において、被検者の顔を保持する保持部として機能する。
【0016】
コントロールレバー13は、検者(オペレータ)が、後述するように移動可能とされた装置本体12の移動(後述する眼特性測定機構30の調整)のため等に操作する。この操作については、後に詳述する。測定スイッチ14は、被検眼E(図3参照)の検査を開始するとき、顎受け15や額当て16の位置調整のため等に操作される。
【0017】
この眼科装置10では、基本的に、検者がコントロールレバー13や測定スイッチ14が設けられている側に位置して、顎受け15および額当て16に保持された被検者の被検眼Eの各種検査を行う。なお、被検者を開瞼させる場合等は、検者が眼科装置10の側面に位置する場合もある。ここで、以下および各図面では、垂直方向を上下方向(矢印Y参照)とし、その上下方向に直交しつつ検者と被検者とが正対する方向を前後方向(矢印Z参照)とし、上下方向および前後方向に直交する方向を左右方向(矢印X参照)とする。
【0018】
基台11には、本体駆動機構18と制御機構19とコントロールレバー機構20(図4参照)と、図示は略すが電源回路等とが収容されている。基台11は、その本体駆動機構18(図4参照)を介して装置本体12を3次元的にすなわち上下、前後、左右方向に移動可能に保持している。この本体駆動機構18は、図4に示すように、左右方向(図1等の矢印X参照)への移動のための第1駆動部21と、前後方向(図1等の矢印Z参照)への移動のための第2駆動部22と、上下方向(図1等の矢印Y参照)への移動のための第3駆動部23と、制御機構19からの制御指令に応じて各駆動部21、22、23を駆動する駆動回路部24と、を有する。この各駆動部21、22、23は、図示は略すがモータの駆動力を利用して基台11に対して装置本体12を移動させるものであり、駆動回路部24により移動量と移動速度とが調整可能とされている。この本体駆動機構18は、従来の構成と同様であることから、詳細な説明は省略する。本体駆動機構18は、後述するように眼特性測定機構30を用いて被検眼Eの測定を行うために、顎受け15および額当て16に保持された被検者に適合する位置へと装置本体12を基台11に対して移動させる。
【0019】
制御機構19は、制御部25と記憶部26とを有する。この制御機構19は、記憶部26に格納された制御プログラムや各種データ等を適宜読み込んで、後述する眼特性測定機構30による測定(測定制御)、コントロールレバー機構20(コントロールレバー13)に為された操作の判別(レバー動作検出)、コントロールレバー機構20(コントロールレバー13)に為された操作に対する各種移動の切り換え(制御切換判断)、本体駆動機構18への各種移動の指令(駆動制御)、およびディスプレイ17の表示およびその画像内での位置判断(画像表示制御)等を統括的に制御する。
【0020】
コントロールレバー機構20は、図5に示すように、コントロールレバー13への傾倒操作および回転操作により、装置本体12の駆動方向、駆動量、駆動速度を指示するものであり、コントロールレバー13(図1参照)に為された傾倒操作および回転操作を制御機構19の制御部25へと送信する。すなわち、コントロールレバー13が前後方向(矢印F、B参照)に傾倒されると装置本体12を被検眼E(被検者)に対して接近/離間させる(図1の矢印Z参照)指示となり、コントロールレバー13が左右方向(矢印L、R参照)に傾倒されると装置本体12を被検眼Eの眼幅方向に移動させる(図1の矢印X参照)指示となり、コントロールレバー13が左右回り方向(矢印U、D参照)に回転されると装置本体12を上下方向に移動させる(図1の矢印Y参照)指示となる。このため、検者は、後述するように、コントロールレバー13を傾倒操作および回転操作することにより、眼特性測定機構30を用いて被検眼Eの測定を行うべく、顎受け15および額当て16に保持された被検者に適合する位置へと装置本体12(眼特性測定機構30)を基台11に対して三次元方向に移動させることができる。
【0021】
このコントロールレバー機構20は、図4および図5に示すように、コントロールレバー13の左右方向(矢印L、R参照)への傾倒角度を検出する第1ポテンショメータ27と、コントロールレバー13の前後方向(矢印F、B参照)への傾倒角度を検出する第2ポテンショメータ28と、コントロールレバー13の左右回り方向(矢印U、D参照)への回転角度を検出するロータリーエンコーダー29とを有する。第1ポテンショメータ27は、図示は略すがコントロールレバー13の左右方向への傾倒のための回転軸に連結されており、左右いずれかの傾倒方向とその傾倒角度とを検出して制御部25へと送信する。また、第2ポテンショメータ28は、図示は略すがコントロールレバー13の前後方向への傾倒のための回転軸に連結されており、前後いずれかの傾倒方向とその傾倒角度とを検出して制御部25へと送信する。ロータリーエンコーダー29は、図示は略すがコントロールレバー13の左右回り方向への回転のための回転軸に連結されており、左右いずれかの回転方向とその回転角度とを検出して制御部25へと送信する。
【0022】
このコントロールレバー機構20により移動の操作が為される装置本体12にディスプレイ17が設けられている(図1参照)。ディスプレイ17は、図1ないし図3に示すように、コントロールレバー13や測定スイッチ14が設けられている側、すなわち検者が位置する側に位置されている。このディスプレイ17には、制御機構19の制御部25の制御下で、眼特性測定機構30からの画像データに基づく被検眼Eの前眼部像等の画像(図7参照)や、眼特性測定機構30からの各種検査情報等(検者情報、検査条件、検査結果等)が表示される。また、ディスプレイ17は、実施例1では、タッチパネルとされており、制御部25の制御下で、眼科装置10における各種動作のためのソフトウェアキーが表示され、当該ソフトウェアキーの操作により被検眼Eに対するアライメント、各種検査条件の設定、およびディスプレイ17の調整等の各種動作の実行操作が可能とされている。
【0023】
この測定スイッチ14やディスプレイ17上のソフトウェアキーにアライメントの実行のための操作が為される、または後述するようにコントロールレバー13の操作により被検眼Eの中心位置Ec(図7参照)がアライメントエリアAaに入ると、制御機構19の制御部25が本体駆動機構18および眼特性測定機構30に対して制御指令を送信することにより、被検眼Eに対するアライメントが自動的に行われる。この各種検査の測定の際のオートアライメントは、顎受け15および額当て16に保持された被検者すなわち基台11に対して装置本体12を、本体駆動機構18が前後方向(矢印Z参照)、上下方向(矢印Y参照)および左右方向(矢印X参照)に移動させることにより行う。このオートアライメントについては、従来の構成および動作と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0024】
眼科装置10は、眼特性測定とを行うことが可能とされており、それらの測定のための眼特性測定機構30(図4参照)が装置本体12に収容されている。この眼特性測定機構30は、実施例1では、図示は略すが、波面収差を測定する波面センサ光学系と、被検眼Eの屈折状態を他覚的に(被検者の感覚(=自覚)によらずに)測定するレフラクトメータ光学系と、角膜に同心状のプラチドリング像を投影面30a(図2参照)から投影するプラチド光学系と、が同一の測定光軸とされて構成されている。この眼特性測定機構30は、従来の構成と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0025】
また、眼特性測定機構30は、図4に示すように、波面収差の測定のための波面撮影用カメラ31および被検眼Eの前眼部を観察するための前眼部撮影用カメラ32を有し、各カメラで取得した各画像データを制御機構19の制御部25へと出力する。この前眼部撮影用カメラ32からの画像データに基づいて、ディスプレイ17には、制御機構19の制御部25の制御下で、被検眼E(の前眼部)の画像がリアルタイムで表示される(図7参照)。
【0026】
なお、本発明に係る眼科装置に搭載される眼特性測定機構としては、取得した被検眼Eの画像において、被検眼Eの中心位置に眼特性測定部の測定光軸を合わせるために、検者がコントロールレバー13を用いてアライメントを行うものであれば、視力検査、角膜厚検査、角膜トポグラフィ検査、色覚検査、視野検査、前眼部撮影、角膜内皮撮影、眼底撮影、OCT(Optical Coherence Tomography)検査、SLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)検査、超音波検査、放射線検査等であってもよく、実施例1に限定されるものではない。
【0027】
この眼科装置10では、上述したように、眼特性測定機構30での測定を行うために、ディスプレイ17にリアルタイムで表示された被検眼Eの画像を見ながらコントロールレバー13を操作することにより、被検眼Eに対する眼特性測定機構30の位置関係を調整することが可能とされている。これについて以下で説明する。
【0028】
図6は、制御機構19の制御部25におけるコントロールレバー13に為された操作に対する装置本体12の移動制御処理の内容の一例を示すフローチャートである。図7は、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像を示す模式図であり、(a)は被検眼Eの中心位置Ecが中央エリアAcから外れている様子を示し、(b)は被検眼Eの中心位置Ecが中央エリアAc内に入っている様子を示している。図8は、中心位置Ecが中央エリアAc内にあるときの距離制御の一例としての実施例1での距離制御のマップを示す説明図である。図9は、中心位置Ecが中央エリアAc内にないときの距離制御の一例としての実施例1での速度制御に用いるマップを示す説明図である。
【0029】
眼科装置10では、上述したように、被検者が顎受け15に顎を載置しつつ額当て16に額を当接させて装置本体12に対峙した状態で測定を行う。このとき、ディスプレイ17には、図7に示すように、制御部25の制御下で、眼特性測定機構30の前眼部撮影用カメラ32で取得した被検眼Eの画像がリアルタイムで表示される。このとき、制御部25は、被検眼Eの画像に重ねて、被検眼Eの中心位置を示す指標(以下では、中心位置Ecと記載する)と、眼特性測定機構30における測定光軸の周辺を示す指標(以下では、当該指標で表された領域をアライメントエリアAaとする)と、移動制御処理の切り換えの目安となる指標(以下では、当該指標で表された領域を中央エリアAcとする)と、を表示させる。このアライメントエリアAaとは、被検眼Eに対する眼特性測定機構30のアライメントを自動的に行う(オートアライメント)ためのアライメント対象位置を示すものであり、被検眼Eの中心位置Ecが当該エリア内にある状態でオートアライメントを行うことにより眼特性測定機構30による被検眼Eの正確な測定が可能となる。また、中央エリアAcとは、コントロールレバー13の操作により被検眼Eの中心位置Ecに対する眼特性測定機構30の位置調整を行う場合において、中心位置EcをアライメントエリアAa内とするために眼特性測定機構30の位置の微調整を行うことが想定される領域を示すものである。この中央エリアAcは、アライメントエリアAaを含むようにその周辺の所定の大きさ寸法に設定されている。この所定の大きさ寸法は、例えば、中心位置EcがアライメントエリアAaから離間している状況では微調整を行うことが想定され難く素早い移動が求められ、他方、中心位置EcがアライメントエリアAaに近接すると適切にエリア内に移動させるために微調整を行うことが求められることが考えられるので、それらを考慮して容易な操作を可能とするように適宜設定する。
【0030】
本発明に係る眼科装置10では、基本的に、制御機構19の制御部25が、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像において中心位置Ecが中央エリアAcに入っているか否かを判断することにより、すなわち被検眼Eの中心位置Ecと眼特性測定機構30の測定光軸位置との間隔に基づいて、コントロールレバー13への操作に対する眼特性測定機構30の移動の制御を切り換えるものである。以下、この制御機構19の制御部25におけるコントロールレバー13に為された操作に対する装置本体12の移動制御処理の一例である図6のフローチャートの各ステップについて図8および図9を用いて説明する。なお、以下の説明では、制御部25における移動制御処理において、コントロールレバー13への回転操作に対する処理は従来と同様であることから、理解容易のため省略している。また、コントロールレバー13への傾倒操作に対する制御部25での移動制御処理は、上述したように、前後方向(図1等の矢印F、B参照)と左右方向(図1等の矢印L、R参照)とを複合的に判断して行うものであるが、前後方向と左右方向とをそれぞれ判断処理した後に、その処理に基づく両方向への移動を同時に行うことから、以下では理解容易のため一方の方向に対する移動制御処理のみについて説明する。なお、本実施例では、傾倒角度とは、コントロールレバー13の元の状態(中立位置(角度0))に対して、傾倒された状態のコントロールレバー13が為す角度のことをいう。
【0031】
ステップS1では、画像データを取得し、ステップS2へ進む。このステップS1では、図7に示すように、眼特性測定機構30の前眼部撮影用カメラ32で取得した被検眼Eの画像データを取得するとともに、その被検眼Eの画像をリアルタイムでディスプレイ17に表示させる。また、取得した画像データに基づいて、被検眼Eの中心位置Ecを検出し、その中心位置Ecを被検眼Eの画像に重ねて表示させる。さらに、アライメントエリアAaおよび中央エリアAcを被検眼Eの画像に重ねて表示させる。
【0032】
ステップS2では、ステップS1での画像データの取得に続き、コントロールレバー13に為された傾倒角度を検出し、ステップS3へ進む。このステップS2では、コントロールレバー機構20(第1ポテンショメータ27および第2ポテンショメータ28)からの検出信号に基づいて、コントロールレバー13に為された傾倒方向(X軸方向またはZ軸方向において傾倒されていない状態を中心(0)として一方をプラス側、他方をマイナス側とする)を含む傾倒角度を取得し、今回操作角度θ1として格納する。ここで、既に今回操作角度θ1に傾倒角度(データ)が格納されている場合は、その格納されている傾倒角度を前回操作角度θ2として格納してから、取得した傾倒角度を今回操作角度θ1として格納する。
【0033】
ステップS3では、ステップS2での傾倒角度の検出に続き、今回操作角度θ1が0であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS4へ進み、Noの場合はステップS5へ進む。このステップS3では、今回操作角度θ1が0である、すなわちコントロールレバー13が傾倒されていない元の状態(0)であるか否かを判断している。このコントロールレバー13が元の状態(0)である場面としては、何らの操作がなされていないこと、検者が自ら戻すこと、検者がコントロールレバー13を手放したことにより元の状態(0)へと復帰したこと等があげられる。
【0034】
ステップS4では、ステップS3での今回操作角度θ1が0であるとの判断、あるいは、ステップS7での操作角度変化量Δθが0であるとの判断、あるいは、ステップS8での操作角度変化量Δθと今回操作角度θ1との符号が一致していないとの判断、あるいは、ステップS12でのオートアライメントの実行要求がないとの判断、に続き、眼特性測定機構30の現状位置を維持してステップS1へ戻る。このステップS4では、ステップS3においてコントロールレバー13が元の状態(0)に戻されたと判断したことから、本体駆動機構18に対する眼特性測定機構30の移動のための指令を送信しない。これにより、眼特性測定機構30の現状位置が維持される。
【0035】
ステップS5では、ステップS3の今回操作角度θ1が0ではないとの判断に続き、中心位置Ecが中央エリアAc内であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS6へ進み、Noの場合はステップS14へ進む(切換判断部)。このステップS5では、移動制御処理の切り換えのために、中心位置Ecと中央エリアAcとの位置関係の判断を行う。このステップS5(切換判断部)による判断結果は、例えば、中心位置Ecが中央エリアAc内である場合には後述する移動制御部(ステップS10、ステップS11、ステップS15およびステップS16)に対して信号を送信し、かつ中心位置Ecが中央エリアAc内ではない場合には当該移動制御部に対して信号を送信しないものとすることにより、当該移動制御部では、切換判断部からの信号の有無により位置制御(ステップS10およびステップS11)と速度制御(ステップS15およびステップS16)とを切り換えることができる。また、ステップS5では、中心位置Ecが中央エリアAc内であると判断した場合、ディスプレイ17にその旨を表示させ、中心位置Ecが中央エリアAc内ではないと判断した場合、当該その旨の表示を停止させる。このその旨の表示は、中心位置Ecが中央エリアAc内であること(コントロールレバー13の傾倒操作に対する眼特性測定機構30の移動の制御を切り換えたこと)を検者に認識させるものであれば、例えば、文字による表示であってもよく、記号による表示であってもよく、少なくとも一部の画面の色を変化させる表示であってもよい。また、コントロールレバー13の傾倒操作に対する眼特性測定機構30の移動の制御を切り換えたことを検者に認識させるものであれば、その旨の表示に換えて、音や振動等を利用するものであってもよい。
【0036】
ステップS6では、ステップS5での中心位置Ecが中央エリアAc内であるとの判断に続き、操作角度変化量Δθを演算し、ステップS7へ進む。このステップS6では、今回操作角度θ1から前回操作角度θ2を減算することにより、操作角度変化量Δθを演算する。また、ステップS6では、ステップS5で中心位置Ecが中央エリアAc内であると判断したことから、コントロールレバー13が傾倒された際、そのコントロールレバー13が手放されると(付勢力が解除されると)、コントロールレバー13を元の状態(0)に戻すものとする。このようなコントロールレバー13の元の状態(0)への復帰の構造は、従来のものと同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0037】
ステップS7では、ステップS6での操作角度変化量Δθの演算に続き、操作角度変化量Δθが0であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS4へ進み、Noの場合はステップS8へ進む。このステップS7では、操作角度変化量Δθが0である、すなわち所定の時間内(このフローチャートが繰り返される時間間隔)にコントロールレバー13が操作されたか否かを判断している。
【0038】
ステップS8では、ステップS7での操作角度変化量Δθが0ではないとの判断に続き、操作角度変化量Δθと今回操作角度θ1との符号が一致しているか否かを判断し、Yesの場合はステップS9へ進み、Noの場合はステップS4へ進む。このステップS8では、操作角度変化量Δθと今回操作角度θ1との符号が一致しているか否かを判断することにより、傾倒されているコントロールレバー13に新たに為された操作が、傾倒角度を増加させるものや傾倒方向を変更するものであるのか、あるいは、傾倒角度を減少させるものであるのか、を判別している。これは、傾倒角度を増加させるものであると符号が一致し、傾倒角度を減少させるものであると符号が一致せず、傾倒方向を変更するものであると符号が一致することによる。
【0039】
ステップS9では、ステップS8での操作角度変化量Δθと今回操作角度θ1との符号が一致しているとの判断に続き、操作角度変化量Δθが0より大きいか否かを判断し、Yesの場合はステップS10へ進み、Noの場合はステップS11へ進む。このステップS9では、操作角度変化量Δθの操作がプラス側へ向かうものであったのかマイナス側へ向かうものであったのかを判断している。また、ステップS7において操作角度変化量Δθが0ではないことを判断していることから、ステップS9では、操作角度変化量Δθがプラスであるかマイナスであるかを判断していることとなる。
【0040】
ステップS10では、ステップS9での操作角度変化量Δθが0より大きいとの判断に続き、操作角度変化量Δθに応じた移動量を演算して、その移動量分だけプラス側へと眼特性測定機構30を移動させて、ステップS12へ進む(移動制御部)。このステップS10では、図8に示すコントロールレバー13の傾倒角度に対する眼特性測定機構30の移動距離を示すマップを用いて、今回操作角度θ1における眼特性測定機構30の移動距離と、前回操作角度θ2における眼特性測定機構30の移動距離とを求め、その差分を移動量とすることにより、操作角度変化量Δθに応じた移動量を演算する。その後、演算した移動量だけプラス側へと眼特性測定機構30を移動させる制御指令を本体駆動機構18へ向けて送信し、その本体駆動機構18により眼特性測定機構30が移動される。このコントロールレバー13の傾倒角度に対する眼特性測定機構30の移動距離を示すマップとは、コントロールレバー13が元の状態(0)とされているときの眼特性測定機構30の位置を基準として、コントロールレバー13の傾倒角度と眼特性測定機構30の移動量(位置)との関係を示したものである。このため、このステップS10へと移行した時点において、既にコントロールレバー13が傾倒されている場合、基準位置は、図8に示すコントロールレバー13の傾倒角度に対する眼特性測定機構30の移動距離を示すマップに基づいて、判断時点での眼特性測定機構30の位置から逆算することにより特定できることとなる。なお、このマップは、制御機構19において、記憶部26に格納されており、制御部25は、記憶部26から適宜読み出すことにより上記演算を行う。
【0041】
ステップS11では、ステップS9での操作角度変化量Δθが0より小さいとの判断に続き、操作角度変化量Δθに応じた移動量を演算して、その移動量分だけマイナス側へと眼特性測定機構30を移動させて、ステップS12へ進む(移動制御部)。このステップS11は、ステップS10と同様に、図8のコントロールレバー13の傾倒角度に対する眼特性測定機構30の移動距離を示すマップを用いて、操作角度変化量Δθに応じた移動量を演算する。このステップS11とステップS10とでは、中心位置Ecが中央エリアAc内であることから(ステップS5)、コントロールレバー13への傾倒操作に対する眼特性測定機構30の移動を、コントロールレバー13への傾倒角度に対する位置制御としている。
【0042】
ステップS12では、ステップS10およびステップS11での位置制御による眼特性測定機構30の移動、あるいは、ステップS15およびステップS16での速度制御による眼特性測定機構30の移動、に続き、オートアライメントの実行要求があるか否かを判断し、Yesの場合はステップS13へ進み、Noの場合はステップS1へ戻る。実施例1では、中心位置EcがアライメントエリアAa内であると、オートアライメントの実行要求が為されているものと判断する。また、この他にも、オートアライメントの実行を指令する操作が為されているか否かの判断によるものであってもよい。
【0043】
ステップS13では、ステップS12でのオートアライメントの実行要求があるとの判断に続き、オートアライメントを実行して、眼特性測定機構30による測定のための制御に移行する(図6のフローチャートを終了する)。このステップS13では、上述したように、本体駆動機構18を駆動制御することにより、被検眼Eに対するアライメントを自動的に行ういわゆるオートアライメントを実行する。
【0044】
ステップS14では、ステップS5での中心位置Ecが中央エリアAc内ではないとの判断に続き、今回操作角度θ1が0より大きいか否かを判断し、Yesの場合はステップS15へ進み、Noの場合はステップS16へ進む。このステップS14では、ステップS3において今回操作角度θ1が0ではないことを判断していることから、判断時点でのコントロールレバー13の傾倒方向がプラス側であるかマイナス側であるかを判断している。また、ステップS14では、ステップS5で中心位置Ecが中央エリアAc内ではないと判断したことから、コントロールレバー13の傾倒角度が所定の値よりも小さい場合、そのコントロールレバー13が手放されても(付勢力が解除されても)、その角度でのコントロールレバー13の傾倒状態を維持し、コントロールレバー13の傾倒角度が所定の値よりも大きい場合、そのコントロールレバー13が手放されると(付勢力が解除されると)、コントロールレバー13を元の状態(0)に戻すものとする。このようなコントロールレバー13の傾倒状態の維持および元の状態(0)への復帰の構造は、従来のものと同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0045】
ステップS15では、ステップS14での今回操作角度θ1が0より大きいとの判断に続き、今回操作角度θ1に応じた移動速度を演算して、その移動速度でプラス側へと眼特性測定機構30を移動させて、ステップS12へ進む(移動制御部)。このステップS15では、図9に示すコントロールレバー13の傾倒角度に対する眼特性測定機構30の移動速度を示すマップを用いて、今回操作角度θ1における移動速度を演算する。その後、演算した移動速度でプラス側へと眼特性測定機構30を移動させる指令を本体駆動機構18へ向けて送信し、その本体駆動機構18により眼特性測定機構30が移動される。この演算した移動速度での眼特性測定機構30の移動は、コントロールレバー13の傾倒角度の変化を検出する(図9のマップ参照)か、中心位置Ecが中央エリアAc内であると判断される(ステップS5)まで継続される。このコントロールレバー13の傾倒角度に対する眼特性測定機構30の移動速度を示すマップとは、コントロールレバー13の元の状態(0)を基準として、眼特性測定機構30を移動させるための本体駆動機構18における第1駆動部21および第2駆動部22に用いられているモータ(図示せず)の回転速度、すなわち眼特性測定機構30の移動速度と、コントロールレバー13の傾倒角度との関係を示したものである。なお、このマップは、制御機構19において、記憶部26に格納されており、制御部25は、記憶部26から適宜読み出すことにより上記演算を行う。
【0046】
ステップS16では、ステップS14での今回操作角度θ1が0より小さいとの判断に続き、今回操作角度θ1に応じた移動速度を演算して、その移動速度でマイナス側へと眼特性測定機構30を移動させて、ステップS12へ進む(移動制御部)。このステップS16は、ステップS15と同様に、コントロールレバー13の傾倒角度に対する眼特性測定機構30の移動速度を示すマップを用いて、今回操作角度θ1に応じた移動速度を演算する。このステップS16とステップS15とでは、中心位置Ecが中央エリアAc内ではない(ステップS5)ことから、コントロールレバー13への傾倒操作に対する眼特性測定機構30の移動を、コントロールレバー13への傾倒角度に対する速度制御としている。
【0047】
次に、作用を説明する。
【0048】
実施例1の眼科装置10におけるコントロールレバー13の操作に対する眼特性測定機構30の移動作用を、「速度制御作用」と、「第1の位置制御作用」と、「第2の位置制御作用」と、「第3の位置制御作用」と、「第4の位置制御作用」と、「第5の位置制御作用」と、「第6の位置制御作用」と、に分けて説明する。図10は、各位置制御作用の説明のために傾倒操作の一例を表にして示す説明図である。
【0049】
「速度制御作用」
速度制御作用とは、中心位置Ecが中央エリアAc内ではない状況におけるコントロールレバー13の操作に対する眼特性測定機構30の移動制御の作用をいう。本実施例1では、中央エリアAc内に中心位置Ecがない状況では、コントロールレバー13の傾倒操作に対する眼特性測定機構30の移動制御として、コントロールレバー13の傾倒角度に応じて移動速度を変化させる速度制御を行う。
【0050】
すなわち、中央エリアAc内に中心位置Ecがない状況では、コントロールレバー13が傾倒操作されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5へと進み、ステップS5にて中心位置Ecが中央エリアAc内にないと判断してステップS14へと進み、ステップS14を経てステップS15またはステップS16へと進むことにより、コントロールレバー13への傾倒操作に対する速度制御により眼特性測定機構30が移動され、ステップS12を経てステップS1に戻る流れ、もしくは、ステップS12およびステップS13を経て眼特性測定機構30による測定のための制御に移行する流れ、が行われる。
【0051】
上記のように、中央エリアAc内に中心位置Ecがない状況では、コントロールレバー13への傾倒角度に対する速度制御となり、コントロールレバー13の傾倒角度が大きくなるにつれて高い速度となるように(図9参照)、コントロールレバー13の傾倒方向へと眼特性測定機構30を移動させる。
【0052】
このため、検者は、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像において、アライメントエリアAaが中心位置Ec上に位置するように、その移動量に応じてコントロールレバー13を傾倒操作することにより、アライメントエリアAaすなわち眼特性測定機構30を中心位置Ec上へ向けて素早く移動させることができる。これは、検者は、中央エリアAc(アライメントエリアAa)が中心位置Ecから離れている(移動量が大きい)ほど、コントロールレバー13を大きく傾倒させる傾向がある(機械式の操作感覚が同様である)ことから、コントロールレバー13の傾倒角度の大小に応じて移動速度が大小する速度制御(図9参照)とすることにより、違和感を覚えることなく素早くアライメントエリアAaを中心位置Ecに近付けることができることによる。
【0053】
「第1の位置制御作用」
第1の位置制御作用とは、中心位置Ecが中央エリアAc内である状況において、元の状態(0)のコントロールレバー13が傾倒操作された際のコントロールレバー13の操作に対する眼特性測定機構30の移動制御の作用をいう。この第1の位置制御作用の説明のための一例として、図10に示すように、コントロールレバー13が元の状態(0)からプラス側に5度の角度まで傾倒操作されたものとする。本実施例1では、中央エリアAc内に中心位置Ecがある状況では、コントロールレバー13の傾倒操作に対する眼特性測定機構30の移動制御として、コントロールレバー13への傾倒角度に応じて位置(移動量)を変化させる位置制御を行う。
【0054】
すなわち、中央エリアAc内に中心位置Ecがある状況では、コントロールレバー13が傾倒操作されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5へと進み、ステップS5にて中心位置Ecが中央エリアAc内にあると判断してステップS6→ステップS7→ステップS8へと進み、ステップS8で、ステップS6で演算した操作角度変化量Δθの符号と今回操作角度θ1の符号とが一致するか否かを判断する。ここで、元の状態(0)から傾倒された場合、今回操作角度θ1がそのまま操作角度変化量Δθとなることから符号は一致してステップS9へと進み、そのステップS9を経てステップS10またはステップS11へと進むことにより、コントロールレバー13への傾倒操作に対する位置制御により眼特性測定機構30が移動され、ステップS12を経てステップS1に戻る流れ、もしくは、ステップS12およびステップS13を経て眼特性測定機構30による測定のための制御に移行する流れ、が行われる。上記した例では、今回操作角度θ1が+5であり、前回操作角度θ2が0であり、操作角度変化量Δθが+5となることから、今回操作角度θ1での移動距離2mmから前回操作角度θ2での移動距離0mm(図8参照)を減算した値2mmを移動量としてプラス側へ向けて眼特性測定機構30を移動する。
【0055】
上記のように、中央エリアAc内に中心位置Ecがある状況では、コントロールレバー13への傾倒角度に対して移動量(位置)が設定される位置制御となり、コントロールレバー13の傾倒角度に応じた移動量となるように(図8参照)、コントロールレバー13の傾倒方向へと眼特性測定機構30を移動させる。
【0056】
このため、検者は、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像において、アライメントエリアAaが中心位置Ec上に位置するように、その移動量に応じてコントロールレバー13を傾倒操作することにより、眼特性測定機構30を適切に移動させることができる。これは、中心位置Ecが中央エリアAc内であるときは、中心位置EcがアライメントエリアAa内となるように微調整を行うこととなり、そのような微調整では、検者は、コントロールレバー13の傾倒角度の大小に応じて移動量(位置)の調整が可能であることにより、違和感を覚えることなく素早く適切にアライメントエリアAaを中心位置Ec上とすることができることによる。すなわち、機械式のコントロールレバー機構では、コントロールレバー13の傾倒角度の大小に応じて移動量(位置)を調整する構成であることから、検者は、馴染みのある機械式の操作感覚で微調整を行うことができるので、違和感を覚えることなく素早く適切にアライメントエリアAaを中心位置Ec上とすることができる。
【0057】
「第2の位置制御作用」
第2の位置制御作用とは、中心位置Ecが中央エリアAc内である状況において、既に傾倒状態にあるコントロールレバー13が、傾倒角度を増加させるように傾倒操作された際のコントロールレバー13の操作に対する眼特性測定機構30の移動制御の作用をいう。この第2の位置制御作用の説明のための一例として、図10に示すように、コントロールレバー13がプラス側で5度の角度から10度の角度へと傾倒操作されたものとする。
【0058】
すなわち、中央エリアAc内に中心位置Ecがある状況では、コントロールレバー13が傾倒操作されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5へと進み、ステップS5にて中心位置Ecが中央エリアAc内にあると判断してステップS6→ステップS7→ステップS8へと進み、ステップS8で、ステップS6で演算した操作角度変化量Δθの符号と今回操作角度θ1の符号とが一致するか否かを判断する。ここで、傾倒角度を増加させるように傾倒操作された場合、絶対値で見て今回操作角度θ1が前回操作角度θ2よりも大きいことから符号は一致してステップS9へと進み、そのステップS9を経てステップS10またはステップS11へと進むことにより、コントロールレバー13への傾倒操作に対する位置制御により眼特性測定機構30が移動され、ステップS12を経てステップS1に戻る流れ、もしくは、ステップS12およびステップS13を経て眼特性測定機構30による測定のための制御に移行する流れ、が行われる。この例では、今回操作角度θ1が+10であり、前回操作角度θ2が+5であり、操作角度変化量Δθが+5となることから、今回操作角度θ1での移動距離4mmから前回操作角度θ2での移動距離2mm(図8参照)を減算した値2mmを移動量としてプラス側へ向けて眼特性測定機構30を移動する。
【0059】
上記のように、位置制御下で既に傾倒状態にあるコントロールレバー13に傾倒角度を増加させる傾倒操作が為された状況では、今回操作角度θ1での移動距離から前回操作角度θ2での移動距離を減算した値を移動量となるように(図8参照)、コントロールレバー13の傾倒方向へと眼特性測定機構30を移動させる。
【0060】
このため、検者は、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像において、アライメントエリアAaが中心位置Ec上に位置するように、その移動量に応じてコントロールレバー13を傾倒操作することにより、中心位置EcがアライメントエリアAa内となるように眼特性測定機構30を適切に移動させることができる。これは、中心位置Ecが中央エリアAc内であるときは、中心位置EcがアライメントエリアAa内となるように微調整を行うこととなり、そのような微調整では、検者は、コントロールレバー13の傾倒角度の大小に応じて移動量(位置)の調整が可能であるとともに、一度傾倒した状態からさらに傾倒角度を大きくすることによる微調整が可能であることにより、違和感を覚えることなく素早く適切にアライメントエリアAaを中心位置Ec上とすることができることによる。すなわち、機械式のコントロールレバー機構では、コントロールレバー13の傾倒角度の大小に応じて移動量(位置)の調整する構成であるとともに、一度傾倒した状態からさらに傾倒角度を大きくして微調整可能な構成であることから、検者は、馴染みのある機械式の操作感覚で微調整を行うことができるので、違和感を覚えることなく素早く適切にアライメントエリアAaを中心位置Ec上とすることができる。
【0061】
「第3の位置制御作用」
第3の位置制御作用とは、中心位置Ecが中央エリアAc内である状況において、既に傾倒状態にあるコントロールレバー13が、傾倒角度を減少させるように傾倒操作された際のコントロールレバー13の操作に対する眼特性測定機構30の移動制御の作用をいう。この第3の位置制御作用の説明のための一例として、図10に示すように、コントロールレバー13がプラス側で5度の角度から2度の角度へと傾倒操作されたものとする。
【0062】
すなわち、中央エリアAc内に中心位置Ecがある状況では、コントロールレバー13が傾倒操作されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5へと進み、ステップS5にて中心位置Ecが中央エリアAc内にあると判断してステップS6→ステップS7→ステップS8へと進み、ステップS8で、ステップS6で演算した操作角度変化量Δθの符号と今回操作角度θ1の符号とが一致するか否かを判断する。ここで、傾倒角度を減少させるように傾倒操作された場合、絶対値で見て今回操作角度θ1が前回操作角度θ2よりも小さいことから符号は一致せずステップS4へと進み、ステップS1に戻る流れが行われる。この例では、今回操作角度θ1が+2であり、前回操作角度θ2が+5であり、操作角度変化量Δθが−3となることから、操作角度変化量Δθと今回操作角度θ1との符号が一致せず、眼特性測定機構30の判断時点での位置が維持される。
【0063】
上記のように、位置制御下で既に傾倒状態にあるコントロールレバー13に傾倒角度を減少させる傾倒操作が為された状況では、眼特性測定機構30は移動させない。
【0064】
このため、検者は、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像において、アライメントエリアAaが中心位置Ec上に位置するように、その移動量に応じてコントロールレバー13を傾倒操作することにより、中心位置EcがアライメントエリアAa内となるように眼特性測定機構30を適切に移動させることができる。これは、中心位置Ecが中央エリアAc内であるときの微調整において、コントロールレバー13の傾倒方向を変更(プラス側とマイナス側との切換)させていないにも拘らずその傾倒角度の減少に応じて眼特性測定機構30が移動してしまうと、検者は、コントロールレバー13への傾倒操作すなわち自らの意図とは異なる眼特性測定機構30の移動が行われたものと感じてしまうので、違和感を覚えることによる。
【0065】
「第4の位置制御作用」
第4の位置制御作用とは、中心位置Ecが中央エリアAc内である状況において、既に傾倒状態にあるコントロールレバー13が、元の状態(0)に戻された(手放された場合も同様である)際のコントロールレバー13の操作に対する眼特性測定機構30の移動制御の作用をいう。この第4の位置制御作用の説明のための一例として、図10に示すように、コントロールレバー13がプラス側で5度の角度から元の状態(0度の角度)へと戻されたものとする。
【0066】
すなわち、中央エリアAc内に中心位置Ecがある状況では、コントロールレバー13が元の状態に戻されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進み、ステップS3にて今回操作角度θ1が0であると判断してステップS4へと進み、ステップS1に戻る流れが行われる。この例では、今回操作角度θ1が0であることから、前回操作角度θ2が+5であることや、操作角度変化量Δθが−5となること(図6のフローチャートの例では、この演算は行わない)に拘らず、眼特性測定機構30の判断時点での位置が維持される。
【0067】
上記のように、位置制御下で既に傾倒状態にあるコントロールレバー13が元の状態(0度の角度)へと戻された状況では、眼特性測定機構30は移動させない。
【0068】
このため、検者は、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像において、アライメントエリアAaが中心位置Ec上に位置するように、その移動量に応じてコントロールレバー13を傾倒操作することにより、中心位置EcがアライメントエリアAa内となるように眼特性測定機構30を適切に移動させることができる。これは、中心位置Ecが中央エリアAc内であるときは、コントロールレバー13が手放されると(付勢力が解除されると)、コントロールレバー13を元の状態(0)に復帰する構成としていることから、この復帰動作による眼特性測定機構30の移動を防止することができるとともに、コントロールレバー13を一度手放すことにより、微調整後の眼特性測定機構30を基準としてコントロールレバー13を元の状態(0)からの傾倒により更なる微調整を行うことができることによる。なお、この元の状態(0度の角度)へと戻る動作が、コントロールレバー13の手放しではなく、検者が行う操作であっても同様である。
【0069】
「第5の位置制御作用」
第5の位置制御作用とは、中心位置Ecが中央エリアAc内である状況において、既に傾倒状態にあるコントロールレバー13が、傾倒方向を変更させるように傾倒操作された際のコントロールレバー13の操作に対する眼特性測定機構30の移動制御の作用をいう。この第5の位置制御作用の説明のための一例として、図10に示すように、コントロールレバー13がプラス側で5度の角度からマイナス側で5度の角度へと傾倒操作されたものとする。
【0070】
すなわち、中央エリアAc内に中心位置Ecがある状況では、コントロールレバー13が傾倒操作されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5へと進み、ステップS5にて中心位置Ecが中央エリアAc内にあると判断してステップS6→ステップS7→ステップS8へと進み、ステップS8で、ステップS6で演算した操作角度変化量Δθの符号と今回操作角度θ1の符号とが一致するか否かを判断する。ここで、傾倒方向を変更させるように傾倒操作された場合、減算の際に前回操作角度θ2の符号が変更されて今回操作角度θ1に加算されることから符号は一致してステップS9へと進み、そのステップS9を経てステップS10またはステップS11へと進むことにより、コントロールレバー13への傾倒操作に対する位置制御により眼特性測定機構30が移動され、ステップS12を経てステップS1に戻る流れ、もしくは、ステップS12およびステップS13を経て眼特性測定機構30による測定のための制御に移行する流れ、が行われる。この例では、今回操作角度θ1が−5であり、前回操作角度θ2が+5であり、操作角度変化量Δθが−10となることから、今回操作角度θ1での移動距離−2mmから前回操作角度θ2での移動距離2mm(図8参照)を減算した値(絶対値)4mmを移動量としてマイナス側へ向けて眼特性測定機構30を移動する。
【0071】
上記のように、位置制御下で既に傾倒状態にあるコントロールレバー13に傾倒方向を変更させる傾倒操作が為された状況では、今回操作角度θ1での移動距離から前回操作角度θ2での移動距離を減算した値を移動量となるように(図8参照)、コントロールレバー13の傾倒方向へと眼特性測定機構30を移動させる。
【0072】
このため、検者は、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像において、アライメントエリアAaが中心位置Ec上に位置するように、その移動量に応じてコントロールレバー13を傾倒操作することにより、中心位置EcがアライメントエリアAa内となるように眼特性測定機構30を適切に移動させることができる。これは、中心位置Ecが中央エリアAc内であるときの微調整において、コントロールレバー13の傾倒方向を変更(プラス側とマイナス側との切換)させる傾倒操作が為されたときは、検者は、先に行った微調整での移動とは逆側へ向けて眼特性測定機構30を移動させたいと考えている、すなわち当該傾倒操作による移動方向で見て中心位置EcがアライメントエリアAaを行き過ぎてしまい戻す必要があると考えている。この場合であっても微調整であることは同様であるので、コントロールレバー13の傾倒角度の大小に応じて移動量(位置)の調整が可能であると、違和感を覚えることなく素早く適切にアライメントエリアAaを中心位置Ec上とすることができることによる。
【0073】
「第6の位置制御作用」
第6の位置制御作用とは、中心位置Ecが中央エリアAc内である状況において、既に傾倒状態にあるコントロールレバー13が、その傾倒状態を維持された際のコントロールレバー13の操作に対する眼特性測定機構30の移動制御の作用をいう。この第6の位置制御作用の説明のための一例として、図に示すように、コントロールレバー13がプラス側で5度の角度がそのまま維持されたものとする。
【0074】
すなわち、中央エリアAc内に中心位置Ecがある状況では、コントロールレバー13が傾倒操作されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5へと進み、ステップS5にて中心位置Ecが中央エリアAc内にあると判断してステップS6→ステップS7へと進み、ステップS7で、ステップS6で演算した操作角度変化量Δθが0であることを判断してステップS4へと進み、ステップS1に戻る流れが行われる。この例では、操作角度変化量Δθが0であることから、今回操作角度θ1と符号が一致するか否かの判断を行うことなく、眼特性測定機構30の判断時点での位置が維持される。
【0075】
上記のように、位置制御下で既に傾倒状態にあるコントロールレバー13の傾倒角度が維持された状況では、眼特性測定機構30は移動させない。
【0076】
このため、検者は、ディスプレイ17に表示された被検眼Eの画像において、アライメントエリアAaが中心位置Ec上に位置するように、その移動量に応じてコントロールレバー13を傾倒操作することにより、中心位置EcがアライメントエリアAa内となるように眼特性測定機構30を適切に移動させることができる。これは、中心位置Ecが中央エリアAc内であるときの微調整において、コントロールレバー13の傾倒角度を維持している(新たな傾倒動作を行っていない)場合、検者は、現状の眼特性測定機構30の位置を維持することを意図している(機械式の操作感覚も同様である)ことから、速度制御のように眼特性測定機構30の移動が継続されてしまうと、違和感を覚えることによる。また、その傾倒状態であるコントロールレバー13に対して、上記したように傾倒角度を増加させる傾倒操作(第2の位置制御作用)、あるいは、元の状態(0)に戻す操作(第4の位置制御作用)、あるいは、傾倒方向を変更させる傾倒操作(第5の位置制御作用)等を適宜行うことにより、維持された位置から眼特性測定機構30を移動させて微調整を行うことができることにもよる。
【0077】
次に、効果を説明する。
【0078】
実施例1の眼科装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0079】
(1)被検者の顔を固定すべく保持する保持部(15および16)が設けられた基台11に対して前記被検者の被検眼Eを測定するための光学系を備える眼特性測定部(30)を電気的に移動させる移動機構(18)と、前記被検眼Eに対する前記眼特性測定部(30)の位置を調整すべくコントロールレバー13に為された傾倒操作を電気的な信号として出力する電気式のコントロールレバー機構20と、該コントロールレバー機構20からの信号に基づいて前記眼特性測定部(30)の移動のための制御指令を生成して移動機構(18)へと送信する制御機構19と、を備える眼科装置10であって、前記制御機構19は、移動制御処理の切り換えのために前記眼特性測定部(30)の測定光軸を略中心とする所定の大きさの領域(Ac)を設定するとともに前記被検眼Eの中心位置Ecを演算し、前記中心位置Ecが前記領域(Ac)内であるときは、前記コントロールレバー13の傾倒角度に応じて前記眼特性測定部(30)の移動量を変化させる位置制御を行い、前記中心位置Ecが前記領域(Ac)内ではないときは、前記コントロールレバー13の傾倒角度に応じて前記眼特性測定部(30)の移動速度を変化させる速度制御を行う。このため、搭載された電気式のコントロールレバー機構20のコントロールレバー13による操作性を向上させることができる。
【0080】
(2)前記制御機構19は、前記位置制御において、予め設定された前記コントロールレバー13の傾倒角度の変化量と前記眼特性測定部(30)の移動量との対応関係に基づいて移動量を設定し、前記速度制御において、予め設定された前記コントロールレバー13の傾倒角度と前記眼特性測定部(30)の移動速度との対応関係に基づいて移動速度を設定する。このため、前記中心位置Ecが前記領域(Ac)内であるときは、コントロールレバー13の傾倒角度を維持すると現状の眼特性測定部(30)の位置を維持することを可能としつつ検者に馴染みのある機械式の操作感覚に近付けることができるので、適切にエリア内に移動させるために微調整を行うことを容易なものとすることができ、操作性を向上させることができる。
【0081】
(3)前記制御機構19は、前記中心位置Ecが前記領域(Ac)内であるときは、前記コントロールレバー13の傾倒角度を減少させる動作に対しては前記眼特性測定部(30)を移動させない。このため、傾倒角度を減少させた動作による眼特性測定部(30)の移動を防止することができるので、例えば、微調整の際にコントロールレバー13の傾倒角度が僅かに減少してしまったことに伴う中心位置Ecの移動を防止することができ、操作性を向上させることができる。
【0082】
(4)前記コントロールレバー機構20では、前記コントロールレバー13が傾倒操作された状態において、該コントロールレバー13への付勢力が解除されると該コントロールレバー13を元の状態へと復帰させ、前記制御機構19は、前記中心位置Ecが前記領域(Ac)内であるときは、前記コントロールレバー13の元の状態への復帰動作に対しては前記眼特性測定部(30)を移動させない。このため、コントロールレバー13を一度手放すことにより、微調整後の眼特性測定部(30)を基準としてコントロールレバー13を元の状態(0)からの傾倒により更なる微調整を行うことができる。
【0083】
(5)前記制御機構19は、前記中心位置Ecが前記領域内(Ac)であるときは、前記コントロールレバー13の中立位置を中心とし一方の傾倒方向を正側としかつ他方の傾倒方向を負側として前記コントロールレバー13の傾倒角度に応じて移動量を設定し、前記コントロールレバー13の傾倒方向を変更させる動作に対しては、変更後の傾倒角度に応じた移動量から変更前の傾倒角度に応じた移動量を減算した値で、前記コントロールレバー13の傾倒方向へと前記眼特性測定部(30)を移動させる。このため、先に行った微調整での移動とは逆側へ向けた眼特性測定機構30の微調整での移動が可能であるので、操作性を向上させることができる。
【0084】
(6)前記制御機構19は、前記コントロールレバー13への操作に対する前記眼特性測定部(30)の移動の制御を切り換えると、切り換えたことを認識させるための制御を行う。このため、コントロールレバー13の操作時に制御が切り換ったことによる違和感を検者に与えることを抑制することができるので、操作性を向上させることができる。
【0085】
なお、上記した実施例1では、検者は、ディスプレイ17を見ることにより、中心位置Ec、中央エリアAcおよびアライメントエリアAaの位置を把握するものであったが、コントロールレバー13により被検眼Eに対する眼特性測定機構30の位置を調整すべく中心位置Ec、中央エリアAcおよびアライメントエリアAaの位置を把握可能なものであればよく、上記した構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
10 眼科装置
11 基台
13 コントロールレバー
18 (移動機構としての)本体駆動機構
19 制御機構
20 コントロールレバー機構
30 (眼特性測定部としての)眼特性測定機構
E 被検眼
Ec 中心位置
Ac (領域としての)中央エリア


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の顔を固定すべく保持する保持部が設けられた基台に対して前記被検者の被検眼を測定するための光学系を備える眼特性測定部を電気的に移動させる移動機構と、
前記被検眼に対する前記眼特性測定部の位置を調整すべくコントロールレバーに為された傾倒操作を電気的な信号として出力する電気式のコントロールレバー機構と、
該コントロールレバー機構からの信号に基づいて前記眼特性測定部の移動のための制御指令を生成して移動機構へと送信する制御機構と、を備える眼科装置であって、
前記制御機構は、移動制御処理の切り換えのために前記眼特性測定部の測定光軸を略中心とする所定の大きさの領域を設定するとともに前記被検眼の中心位置を演算し、前記中心位置が前記領域内であるときは、前記コントロールレバーの傾倒角度に応じて前記眼特性測定部の移動量を変化させる位置制御を行い、前記中心位置が前記領域内ではないときは、前記コントロールレバーの傾倒角度に応じて前記眼特性測定部の移動速度を変化させる速度制御を行うことを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記制御機構は、前記位置制御において、予め設定された前記コントロールレバーの傾倒角度の変化量と前記眼特性測定部の移動量との対応関係に基づいて移動量を設定し、前記速度制御において、予め設定された前記コントロールレバーの傾倒角度と前記眼特性測定部の移動速度との対応関係に基づいて移動速度を設定することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記制御機構は、前記中心位置が前記領域内であるときは、前記コントロールレバーの傾倒角度を減少させる動作に対しては前記眼特性測定部を移動させないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記コントロールレバー機構では、前記コントロールレバーが傾倒操作された状態において、該コントロールレバーへの付勢力が解除されると該コントロールレバーを元の状態へと復帰させ、
前記制御機構は、前記中心位置が前記領域内であるときは、前記コントロールレバーの元の状態への復帰動作に対しては前記眼特性測定部を移動させないことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記制御機構は、前記中心位置が前記領域内であるときは、前記コントロールレバーの中立位置を中心とし一方の傾倒方向を正側としかつ他方の傾倒方向を負側として前記コントロールレバーの傾倒角度に応じて移動量を設定し、前記コントロールレバーの傾倒方向を変更させる動作に対しては、変更後の傾倒角度に応じた移動量から変更前の傾倒角度に応じた移動量を減算した値で、前記コントロールレバーの傾倒方向へと前記眼特性測定部を移動させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記制御機構は、前記コントロールレバーへの操作に対する前記眼特性測定部の移動の制御を切り換えると、切り換えたことを認識させるための制御を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の眼科装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−200946(P2010−200946A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49219(P2009−49219)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)