眼鏡の製造方法
【課題】高次収差すなわちゼルニケ多項式の3次又はより高次数で表現される収差は、レンズでは補正できず、またレンズ製造上の制限及び費用のため、焦点ぼけ及び乱視矯正は通常段階的であった。
【解決手段】患者の眼の視覚パラメータの取得、1以上の装着された光学要素を含む眼鏡フレームの取得、及び視覚パラメータに関連する屈折パターンを規定する光学要素のプログラミングを含む、矯正用眼鏡の製造方法の提供。
【解決手段】患者の眼の視覚パラメータの取得、1以上の装着された光学要素を含む眼鏡フレームの取得、及び視覚パラメータに関連する屈折パターンを規定する光学要素のプログラミングを含む、矯正用眼鏡の製造方法の提供。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2003年11月14日出願の米国仮出願第60/520,065号、2004年2月20日出願の米国仮出願第60/546378号、2004年9月7日出願の米国特許出願第10/936,132号及び2004年9月7日出願の米国特許出願第10/936,131号による利益を主張し、参照によりこれらを全体として本書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、人の眼のような光学系の収差を補正するための光学レンズの製造に関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,721,043号
【特許文献2】米国特許第6,682,195号
【特許文献3】米国特許第6,511,180号
【特許文献4】米国特許第6,712,466号
【特許文献5】米国特許第6,319,433号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人の眼、そして特に角膜及び水晶体は、眼の視覚能力を損なうようなさまざまな光学収差を示すことがあり、結果的に視力が不鮮明になる。眼鏡をかけることによる視力矯正は、通常、焦点ぼけや乱視といった低次収差のみの補正に限られてきた。従来、高次収差すなわちゼルニケ多項式の3次又はより高次数で表現される収差は、レンズでは補正できなかった。さらに、レンズ製造上の制限及び費用のため、焦点ぼけ及び乱視矯正は通常段階的にしか矯正されず、どの矯正も最も近い4分の1(0.25)ジオプターで行われる。(D)不幸にも、4分の1ジオプターによる解決では、視力矯正は不完全である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明のある側面の要約
本発明のシステム、方法及び装置は、それぞれいくつかの側面を持ち、いずれも単独では望ましい特質を保証できない。別に記載する請求項によって表現される本発明の範囲を限定することなく、より顕著なその特徴をここで簡単に述べておく。ここでの議論を考慮して、そして特に「本発明の実施形態の詳細な説明」を読んだ後に、本発明の特徴が、どのように特別注文(カスタマイズ)多層レンズの便利で経済的な製造法を含む利点を提供するかを理解されるであろう。
【0006】
1つの実施形態は、矯正眼鏡の製作方法である。この方法は、患者の眼の視覚パラメータの取得、1以上の装着された光学レンズを含む眼鏡フレームの取得、及び視覚パラメータに関連する屈折パターンを規定する光学要素のプログラミングを含む。
【0007】
他の実施形態は、カスタマイズレンズの製造方法である。その方法は、患者の眼の視覚パラメータ及び患者の眼の1以上の光学収差の補正を含む、レンズデフィニション(レンズパラメータの規定,definition)を取得することを含む。その方法は、さらに1以上の光学要素を含むフレームの取得を含む。その1以上の光学要素には、硬化材料層を含む。その方法は、屈折パターンを規定するための硬化材料の硬化をさらに含む。屈折パターンは、光学要素を通過する光路中の1以上の光学収差を補正する。
【0008】
さらに別の実施形態は、カスタマイズレンズの製造方法である。その方法は、患者の眼の視覚パラメータ及び患者の眼の1以上の光学収差の補正を含む、レンズデフィニションを取得することを含む。その方法は、さらに1以上の光学要素を含むフレームの取得を含む。その方法は、1以上の光学要素の上に材料層を積層することを含む。層は、光学要素を通過する光路中の1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する。
【0009】
他の実施形態は、1枚のカスタマイズレンズの製作方法である。その方法は、患者の眼の視覚パラメータ及び患者の眼の1以上の光学収差の補正を含む、レンズデフィニションを取得することを含む。硬化ポリマー層がフレーム付レンズに適用される。その方法は、層の表面輪郭(形状)を規定するように層の容積を変化させる、層の選択的硬化を更に含む。表面輪郭は、1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する。
【0010】
他の実施形態は光学要素である。光学要素は、1以上の高次収差を補正するように構成される1以上のレンズを含む。1以上の高次収差は、三葉紋(trefoil)、コマ、球面収差又はその組合せの1以上を含む。
【0011】
他の実施形態は、カスタマイズレンズの製造方法である。その方法は、患者の眼の視覚パラメータ及び患者の眼の1以上の光学収差の補正を含む、レンズデフィニションを取得することを含む。その方法は、さらに1以上の光学要素を含むフレームの取得を含む。その1以上の光学要素には、硬化材料層を含む。その方法は、層の表面輪郭を規定するように層の容積を変化させる、層の選択的硬化を更に含む。表面輪郭は、レンズデフィニションに関連する屈折パターンを規定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ある実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明のある特定の実施形態に向けられたものである。しかし、本発明は特許請求の範囲に定義され、カバーされるように多数の異なる方法で実施化できうる。この説明において、全体を通じて図が、同じような部分は同じような番号で参照されている。
【0013】
眼鏡レンズは通常、測定された光学収差を補正するようにレンズブランク(lens blank)を研削し、一対の眼鏡フレームに合うようにレンズブランクの端を加工して製造される。この補正は通常、低次収差に限られる。さらに、研削は通常0.25Dのマージンで行われるため、補正は通常不完全である。
【0014】
患者の眼の波面収差を測定する装置を用いることにより、患者の眼のずっと正確な測定値が得られる。得られる測定値は、最適レンズデフィニションの計算に用いられうる。1つの実施形態において、レンズデフィニションは、レンズを通過する光路中にある1以上の光学収差を補正する屈折率パターンを決定し、それは眼鏡レンズのような光学レンズに具現された場合、患者の波面収差を従来よりずっと正確に補正する。したがって、患者は自身の視覚能力のピークに非常に近いところで見ることができるようになる。
【0015】
ここで用いられているように、光学収差の「補正」とは、必ずしも光学収差が完全に除去されることではなく、一般的に光学収差を減少させ、最小化し、又は最適化することであると理解されるべきであることがわかる。さらに、いくつかの例において、ある高次収差を増大させることが視力を向上させることが判明したことにより、収差の「補正」とはある光学収差を付加あるいは増大させることも含まれる。光学要素には、厚い、又は薄いレンズブランク、平面レンズ、眼鏡レンズのような補正レンズ、コンタクトレンズ、光学コーティング、眼内レンズ又は他の光学要素との組合せを含む、光を透過する任意の部品が含まれる。平板光学要素すなわち屈折力を持たない要素は、平面、又は美容状の理由から、たとえば普通の眼鏡レンズのような外観を持たせるために、曲面でありうる。
【0016】
図1は、カスタマイズレンズを製作するための方法100の最上位のフローチャートを示す。ステップ110からスタートし、患者の眼の測定がなされる。1つの実施形態において、患者の低次及び/又は高次の収差といった視覚パラメータが、(たとえば波面センサーを含む)収差計を用いて測定される。収差は、たとえばシャック−ハルトマン(Shack-Hartmann)、回折格子、格子、ハルトマンスクリーン(Hartmann Screen)、フィゾー(Fizeau)干渉計、光線追跡システム(ray tracing system)、チャーニング(Tscherning)収差計、検影位相差システム(skiascopic phase difference system)、トワイマン−グリーン(Twymann-Green)干渉計、タルボー(Talbot)干渉計といった波面センサーを用いて測定できる。典型的な収差計のより詳細がプラット他(Platt. B. et.al.)による米国特許第6,721,043号「光調節型収差コンジュゲータ」に記載され、これは参照により全体として本書に組み込む。収差計の他の実施形態が、2002年2月13日出願の米国特許出願第10/076218号、名称「波面センシングを用いる対象屈折決定のための装置及び方法」及び2001年12月10日出願の米国特許出願第10/014037号、表題「波面測定のシステム及び方法」に開示され、いずれも参照により全体として本書に組み込む。1つの実施形態において、視覚パラメータは患者の視力を、1以上の高又は低次の光学収差を補正するように構成された試行ないしは検査レンズを用いて検査することで得られたデータを含む。
【0017】
収差測定に加えて、患者の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点(gaze)又はx-y傾斜といった情報が得られる。このような測定値の取得についてのより詳細は、2004年1月27日発行の米国特許第6,682,195号、表題「カスタム眼鏡製造方法」に記載され、これは参照により全体として本書に組み込む。
【0018】
ステップ120に移って、測定された収差を補正するための、光学レンズの屈折パターン(レンズ仕様、specification)が計算される。屈折パターンは、光学要素において、たとえば光学要素の表面全体にわたり2次元屈折率パターンを規定したり、又は屈折率を変えて屈折パターンを規定するために光学要素を含む材料層の厚みを変えることにより、達成できる。たとえば、標準的な眼鏡レンズは通常、レンズ材料の湾曲(ないし曲率、curvature)つまりレンズ材料の厚さをレンズ表面全体にわたって変えることにより、屈折パターンを決めている。レンズの湾曲は、レンズ材料の屈折率とともに、標準眼鏡レンズの屈折パターンを規定する。このような標準レンズは通常、1又はそれ以上の低次光学収差を補正する。1つの実施形態において、屈折パターンは少なくとも一部において、球、円柱、及び軸という表現で定義される。このような実施形態において、高次収差及び、たとえば研削誤差による残存収差の補正のため、さらなる屈折パターンがレンズに適用するために計算できる。他の実施形態において、屈折パターンは、屈折率を変えるために処理又は硬化しうる材料に適用するため、低次及び高次のゼルニケ多項式で計算できる。
【0019】
1つの実施形態において、視覚パラメータは、レンズデフィニションを最適化するため視覚メトリクスに用いられる。レンズデフィニション(definition)は、波面図(wavemap)、屈折パターン、球、円柱、及び軸という表現での処方、又は他の任意の屈折パターン又は補正との関係を含みうる。さらに、レンズデフィニションは、光学的中心、複数の光学的中心、単一補正ゾーン(single correction zones)、複数補正ゾーン(multiple correction zones)、移行ゾーン(transition zone)、ブレンドゾーン(blend zone)、スイム領域(swim region)、チャンネル(channel)、付加ゾーン(add zones)、頂点間距離、セグメント高さ、軸外注視点ゾーン(off-axis gaze zone)、ロゴ、不可視マーク等を含み得る。
【0020】
次のステップ130で、レンズは低次及び高次両方の光学収差を補正するように製造される。このようなレンズの1つの実施形態は、2002年8月12日出願の米国特許出願第10/218049号、表題「人の眼の高次収差の補正装置及び方法」に詳細が開示され、これは参照により完全に本書に組み込む。レンズ製造方法の実施形態は、この中で詳細が述べられているように、計算された屈折パターンを含むように硬化される層の積層、レンズ表面の研削又は自由形式表面仕上げ、鋳造及びこれらの組合せといったような、計算された屈折率パターンを持つレンズを形成する多くの異なる方法を含みうる。
【0021】
図2は、たとえば人の眼の波面収差に基づいて計算された屈折率パターンに対応できる、未加工光学レンズの製造方法130の1つの実施形態を示したフローチャートである。方法130はステップ210から始まり、第1及び第2の光学要素の間に感光性ゲル層を形成する。1つの実施形態においては、厚いレンズ及び薄いレンズである。他の実施形態においては、2枚の厚いレンズ又は2枚の薄いレンズを含み得る。厚い光学レンズは普通厚く、平板でもよいが、通常屈折力を持つ光学要素を指す。厚い、又は薄いレンズはどちらも要素の屈折力を変えるために表面の輪郭付け(ないし形状付与成形、contour)をすることができるが、より厚いレンズは表面の輪郭付けができる範囲がより広い。このような表面の輪郭付けは、研削及び研磨、レーザー切除または自由形式表面仕上げを含み得る。望ましくは、前面光学要素すなわち眼に入る光線が最初に入射する要素は、通常屈折力のない薄いレンズである。前面光学要素の曲率半径は通常、光学レンズブランクの屈折力を決めることに注意されたい。個々の光学要素への厚い又は薄いレンズは、最終的な光学ブランクの望ましい補正力を基に選択できうる。たとえば、もし高屈折力レンズが必要なら2枚の厚いレンズが使用できる。もし特別なレンズで最小限の低次補正のみが必要なら、2枚の薄いレンズが使用できる。
【0022】
感光性ゲル層は、屈折率を変えるために選択的に硬化できうる。たとえば、それは点状に、段階的に、又は連続的に硬化でき、レンズを通過する光路における1以上の光学収差を補正する2次元屈折パターンを規定する。ここで用いられるように、このように硬化できる材料は、「選択的に変えられる屈折率を持つ」と称する。層の屈折パターンは、1以上の光学収差の補正を規定するように作られうる。この、あるいは他の方法のある実施形態がここでは感光性ゲル層に関連して議論されているが、他の実施形態においては、たとえば屈折率を変えるために処理又は硬化できるような、選択的に変えられる屈折率を持つ他の任意の材料を使用できることに注意しなければならない。
【0023】
1つの実施形態において、最初にたとえば大きなシート状に形成される、ポリマーゲルの感光性ゲル層が形成される。出願日が同一の、米国特許出願中で表題「安定化ポリマー材料及び方法」、弁護士事件番号OPH.031A、表題「安定化ポリマー材料及び方法」は、感光性ゲル層の実施形態を開示しており、参照により全体として本書に組み込む。好ましい実施形態において、モノマーの混合物を分散させたマトリックスポリマーを含む組成物を用いて形成され、そのマトリックスポリマーは、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、チオール硬化エポキシポリマー、チオール硬化イソシアネートポリマー、及びこれらの混合物からなるグループから選択され;そのモノマー混合物は、チオールモノマー及び、エン(ene、二重不飽和)モノマー及びイン(yne、三重不飽和)モノマーからなるグループから選択される、1以上の第2のモノマーを含む。
【0024】
1つの実施形態において、このマトリックスポリマー又はゲルのシートが形成される。このシートの一部が、レンズブランクを形成するために2個の光学要素の間に置かれる。1枚の大きなシートをバルクとして形成でき、切断(ダイシング)された部分が多くのレンズブランクを作るのに用いられる。2個の光学要素がレンズブランクを作るために貼り合わされる。第1及び第2の光学要素は、平板レンズにでき、又は補正力を持ちうる。1つの実施形態において、レンズブランクは第1及び/又は第2レンズの補正力の範囲、つまり0.25ジオプター又は1ジオプター離れた範囲内の補正力を持つように調製される。好ましい実施形態において、1個又は両方の光学要素は、1以上の低次収差の少なくとも一部を補正するように、たとえば研削と研磨によって輪郭付けされる厚いレンズである。次のステップ215では、このような実施形態において、光学要素の片面又は両方の表面が輪郭付けされうる。他の実施形態において、レンズはレンズブランクを形成するために貼り合わせる前に、輪郭付けされうる。レンズは、従来の研削及び研磨方法によって、又はシュナイダーオプティクス(Schneider Optics)、LOH、ゲーバーコバーンオプティカル(Gerber Coburn Optical)において製造されるような3軸旋盤を用いる自由形式表面仕上げによっての輪郭付け(ないし形状付与成形)されるか、あるいは光学収差の少なくとも一部を補正するように形成できうる。ここで用いられているように、自由形式表面仕上げとは、2点間表面仕上げ又は機械加工の任意の方法を意味する。
【0025】
次のステップ220では、方法100のステップ120で計算されるような、屈折又は屈折率のパターンが感光性ゲル層において形成される。このパターンは、人の眼の光学収差を補正するように構成される。1つの実施形態において、感光性ゲルにおける屈折パターンは、たとえばレンズブランクの薄いレンズ又はレンズブランクからの薄いレンズの表面仕上げのような他の方法では補正できない、高次収差及び低次収差を補正するために計算される。
【0026】
1つの実施形態において、この屈折率パターンは、2次元のグレースケールパターンを持つ、たとえば紫外光のような照射源を用いて形成できうる。2次元グレースケールの照射パターンは、たとえば光学要素の表面に向けられた時に、たとえばグレースケールのような2次元パターンで強度が変わる、任意の照射パターンを含む。1つの実施形態において、光学要素の中のそれぞれのポイントで照射量をコントロールするために、フォトマスクを通して照射される。フォトマスクは、照射線を実質的に通さない領域、照射線を実質的に通す領域及び照射線を一部通す領域から構成できうる。レンズブランクは、感光性ポリマーを硬化し、及び一部硬化して屈折率パターンがレンズブランク内に形成されるように、あらかじめ決められた時間だけ照射される。他の実施形態において、UV光源とともに、デジタルライトプロジェクター(DLP)といったデジタルマスクシステムを用いることができる。UV光源は、UV垂直孔表面発光レーザー(VSCEL)、三重YAGレーザー、UV−LEDを含み得る。
【0027】
ステップ230に進んで、レンズブランクは患者が使用できるように眼鏡フレームに合わせて端部加工され、装着されうる。1つの実施形態において、ステップ210は、レンズブランクの在庫を供給するためにまとめて実施され、ある実施形態においては、異なった場所たとえば患者の眼の測定も行う検眼士のオフィスで都合よく処理(たとえばステップ210と230に従って)することができる。
【0028】
図3は、図2のステップ210のように、レンズブランクとレンズカバーの間に感光性ゲル層を形成する方法の、他の実施形態を示すフローチャートである。最初のステップ310は、レンズブランクに通路(複数)を形成する。レンズブランクはCR−39又はポリカーボネート、ファイナライト(Finalite)(登録商標)(ソーラ(Sola))、MR−8モノマー(ミツイ)、又は当業者に周知の他の材料といった、他の適当な材料により形成される。1つの実施形態において、これらの通路はレンズブランクへの穴あけ又は切り込みによって作られる。一般に、レンズブランクは眼鏡フレームに入れる最終レンズより大きい。そのため、通路がある領域は最終レンズでは除去されて、レンズの光学補正の支障にはならない。他の実施形態においては、通路はレンズブランクとともに、たとえば鋳造又は型抜きによって形成される。ここでは2つの通路が議論されているが、さらに追加の通路が、たとえばレンズブランクとレンズカバーの間の空間をより早く、より均一に満たすために、レンズブランク内に形成できうることが理解される。
【0029】
次のステップ320では、レンズブランクはレンズカバーと、スペーサ又はガスケットを用いてあらかじめ決められた間隔を空けて組み合わされる。1つの実施形態において、スペーサはレンズブランクとカバーの間に置かれる固い物質である。しかし、レンズブランクとカバーとのあらかじめ決められた距離を保つ任意の方法が適用できる。ステップ330に移り、レンズブランクとレンズカバーの外周を、その間に密封された空間を形成するためにシールする。1つの実施形態において、1から100ミルの範囲の厚さを持つ接着性スペーサが、その空間を形成し、密封するためにレンズブランクとカバーレンズの間に挟まれる。1つの実施形態において、接着性スペーサは約20ミルの厚さである。
【0030】
他の実施形態においてテーピング法が、空間を形成するためにレンズブランクとレンズカバーを組み合わせることに含まれる。空間は、その厚さを調節するために、2つのレンズブランクをたとえばクランプ又はジグによって機械的に離して固定することで形成される。2つのレンズブランクの端部の上を、変形性のある弾性テープ又はゴムガスケットでラッピングし、クランプでそれらを固定することで密封された空間を形成するように、テープ又は類似の材料が、組み合わされたレンズブランクとカバーの端部の周りに適用される。さらに1つの実施形態において、ステップ310でレンズブランクに通路を形成するかわりに、たとえば注射器や他の分配器がテープやガスケットを通じて挿入されるように、通路がスペーサやテープを通じて形成される。
【0031】
ステップ340に進み、1つの実施形態において、たとえばチオール-エン(Thiol-Ene)又は上記の組成物からなる感光性材料である調製硬化材料が、清浄な環境下で混合され、脱ガスされ、注射器に移される。EFD,Inc.の分配器(dispenser)のような液体分配器や、注射器のような機械的分配器を用いて、混合調製材料が1つの通路から空間内へ注入され、他の通路は空間からの空気抜きに使われる。ある実施形態において、材料はスペーサ又はシールの通路を通じて供給される。1つの実施形態において、このような通路は硬化材料を供給するための注射器で形成されうる。次のステップ350では、注入されたレンズブランクは、注入した材料が硬化して感光性膜になるように、高温(たとえば約75℃)で保温されたオーブンに置かれる。他の実施形態において、硬化プロセスは、注入した材料の硬化特性に応じて室温で行われうる。
【0032】
図4A〜4Cは、図3の方法の実施形態を用いた種々の製造ステップでのレンズ401の側面図である。特に図4Aは、図3の方法のステップ310,320及び330完了後のレンズ401を示す。レンズカバー410が、接着剤を付けたスペーサ414によって、レンズブランク412に間隔を空けて置かれている。スペーサ414は、空間416を形成するようにレンズ構成品のへりを取り囲むガスケットとしての役割を持つ。2以上の通路418が、空間416内に材料を供給できるようにレンズブランク412に形成される。
【0033】
図4Bは、図3のステップ340が完了した後の図4Aのレンズ401を示し、感光性材料が空間416に供給され、層420を形成している。図4Cは、図3の方法のステップ350の後のレンズ401を示す。熱又はたとえばUV光のような硬化方法が層420に適用され、感光性ゲル422が形成される。
【0034】
図4Dは、図3で示した方法と同様に、鋳造手段を用いた製造方法の他の実施形態を図示したものである。上述のように、低又は高屈折率の調製材料が2つの光学鋳型の間に供給される。1つの実施形態において、光学鋳型は、たとえば曲率半径のように、鋳型で形成されるレンズの選択された低次の処方を形成する、外形を確定する。最初はブロック452であり、2つの光学鋳型の間に供給された調製材料は、選択的に照射され、ブロック454に示すように、低次又は高次の補正収差領域453を生成する。1つの実施形態において、鋳型の中の調製材料は2次元グレースケールパターンで照射される。2次元グレースケールパターン照射は、ほぼ均一な光線をフォトマスク、液晶表示画面のようなフィルターを通すか、もしくは発光ダイオード又はDLPを2次元に配列したものとUV光源とを組み合わせるといった、光の2次元パターンを作り出すことにより、生成できうる。ブロック456に示すように、次いで調製材料は第2の高又は低屈折率の調製材料に置き換えられる。次のブロック458に示すように、第2の調製材料に2回目の硬化をさせるため、鋳型全体が照射される。1つの実施形態において、第2の調製材料も、残存低次又は高次収差を補正するために2次元グレースケールパターンで照射される。ブロック460に移って、レンズが鋳型から取り出され、端部加工してフレームに装着され、患者に渡される。1つの実施形態において、ブロック452、458の照射は室温又は昇温状態で行われる。
【0035】
或いは、鋳造法は、2以上の低及び高屈折率の調製材料を、高次収差の補正のために光学鋳型の1つの上に管理して載置し、次いで低次収差の補正のために2つの光学鋳型の間に低又は高屈折率の調製材料を満たして、低次の処方を補正する曲率半径を得るということも含む。熱又は光によって引き起こされる、室温又は昇温状態での重合反応により、鋳型の間の調製材料の重合が行われる。硬化した光学要素は鋳型から取り出され、端部加工してフレームに装着され、患者に渡される。
【0036】
図4Eは、図4Dの実施形態と同様の、1つの方法の実施形態のダイアグラムである。ブロック470に示すように、2つの調製材料が2つの光学鋳型の間に供給される。複数の調製材料は、低及び高屈折率の調製材料の混合物を含みうる。1つの実施形態において、高屈折率の調製材料は、速い光重合をするアクリレート成分を含むのに対し、低屈折率の調製材料は、アクリレート成分に比べて遅い光重合をするビニル又はアリル成分を含む。或いは、低屈折率の調製材料は早い反応速度のアクリレート成分を含み、高屈折率の調製材料は遅い反応速度のビニル又はアリル成分を含み得る。
【0037】
ブロック470に示すように、光学鋳型中の調製材料は、片面から、高次収差を補正する屈折率を持つ硬化部分を規定(ないし画成)する、空間変調された高強度光で照射され、反対の面からは同時に、低次の収差を補正する、空間変調された低強度光で照射されうる。低及び高強度の変調光は、速い、および遅い反応速度の調製材料を異なる速さで架橋し、速く硬化する調製材料は、ほとんど硬化しない低硬化調製材料に比べて、選択的にその大部分が硬化する。もし他方に対する一方の調製材料の光重合の割合をコントロールする必要がある場合、チオール及びエン成分(低及び高屈折率)の段階的光重合を組み込みうる。1つの実施形態において、2つの調製材料のうちの1つの光重合の深さをコントロールするために、重合先端(フロント)が容易にモニターできる先端重合法(frontal-polymerization)を用いる。同様に、調製材料中の光開始剤、光開始剤−添加剤(UV−吸収又は抑制剤)の量に基づいて、硬化の深さをコントロールできる。硬化先端(フロント)は、この調製材料に要求される低次又は高次の収差を補正する形状面(contour surface)を生成するためにコントロールされる。ブロック472は、レンズ内の硬化した部分の形状を示す。硬化していない材料は鋳型から除去され、第2の硬化材料に置き換えられうる。この第2の材料は、レンズを形成するためにさらに硬化され、ブロック474に示すように鋳型から取り出される。
【0038】
2つの硬化調製材料の物理的相分離を防止するため、調製材料の1成分は同じであるように選択されうる。さらに、レンズにはセグメント高さや付加ゾーン等を配置するための基準マークを刻印しうる。ブロック474に示すように、十分に補正されたレンズは、光学鋳型から取り出され、端部加工してフレームに装着され、光学試験室その場所で渡される。上述の鋳型成型法は、鋳型成型プロセスにおいて管理されることにより、有利にもカスタマイズレンズの収差領域を高精度で正確に補正する。さらに、低次及び高次の収差補正に対応する輪郭付けした表面は、レンズ内で精度良くコントロールしうる。低及び高強度の変調光は、レンズ両面から照射できうる。ブロック480、482及び484は、ブロック470、472及び474で示した方法の他の実施形態である。ブロック480に示す実施形態において、低及び高強度の照射光は、ブロック470の実施形態に比べて反対向きである。
【0039】
図5は、図2のステップ210を行う方法500の1つの実施形態を示す。ステップ510から始まり、スペーサが厚薄2つのレンズブランクの間に置くために準備される。ステップ510から始まり、2つのたとえばレンズブランクのような光学要素を清浄にする。レンズブランクはいずれもCR−39、ポリカーボネイト、ファイナライト(Finalite)(登録商標)(ソーラ(Sola))、MR−8モノマー(ミツイ)、1.67,1.71,1.74材料又は当業者に明白な他の適当な材料といった材料により形成できうる。1つの実施形態において、光学要素は厚いレンズブランクと薄いレンズブランクを含む。他の実施形態において、2枚の厚い又は2枚の薄いレンズブランクが、製造すべきレンズの補正力に応じて用いられうる。光学レンズの内部に形成される汚染物は収差の原因となりうるので、プロセスに用いる材料は非常に清浄に保つ必要がある。望ましくはろ過した、アルゴン、窒素又は空気のようなガスで、汚染物を除去するために光学要素をブローしうる。次にステップ512は、薄いレンズにスペーサが適用される。1つの実施形態において、スペーサは20ミルの隙間のために10ミルのセラミックテープ2層を小さな矩形に切ったものを含む。他の実施形態において、他の厚さのテープ又は接着ガスケット材料を含む他のタイプのガスケットを使用できる。
【0040】
ステップ520に移り、レンズ充填材が混合される。この材料はここに述べる任意の適当な感光性材料を含み得る。ステップ522に進み、決められた重量の充填材の量が測定され、薄いレンズに適用される。
【0041】
他の汚染物に加え、充填材中の気泡もまた最終レンズの収差の原因となりうる。そのため、次のステップ524で薄いレンズを、充填材から気泡を除去するために真空チャンバに入れる。ステップ526に移り、真空チャンバはたとえばアルゴンガスで減圧[加圧の誤記]する。ステップ530に移り、充填材に気泡が残っていないか検査する。1つの実施形態において、気泡は手で材料を注意深く操作して、ポケットを表面に移動させて壊すことで除去できうる。
【0042】
薄いレンズブランクの上に厚いレンズブランクを置くことにより、最終レンズ内に空気ポケットが入り易い傾向がある。しかし、厚いレンズの上に充填材を1滴置くことで、この傾向がかなり減少されることがわかった。そのため、ステップ532に移り、充填材を1滴、厚いレンズの中心から少し離れた所に乗せる。次のステップ534は、厚いレンズの上の充填材が薄いレンズの上にある充填材の主要部分に押さえ付けられ、最終レンズが形成される。続くステップ536は、レンズはたとえば熱により硬化され、充填材は感光性ゲルになる。こうして方法500は、図2の方法で使用されるような感光性ゲル層を有するレンズブランクを形成して終了する。
【0043】
図6は、高次及び低次の光学収差を補正するように計算された屈折率パターンを持つように形成されたレンズの製造方法600の1つの実施形態を示す。最初のステップ610は、鋳型のベース表面を、引っかき傷がつかないように耐擦傷性のコーティングをする。次のステップ612では、所定の屈折率を規定するように鋳型表面にポリマー層が積層される。レンズのプログラミングの他の実施形態は、図7A〜7E及び図7F〜Jに関連して以下に述べる。
【0044】
ステップ614に進み、鋳型の対の片方を、鋳型のベースから所定の間隔を空けて配置し、空間を形成する。この空間の形状は、1以上の低次収差を補正するように計算できる。次のステップ616では、この空間は、CR−39、ポリカーボネイト、ファイナライト(Finalite)(登録商標)(ソーラ(Sola))、MR−8モノマー(ミツイ)、1.67,1.71,1.74材料又は当業者に明白な他の適する材料のような、適当なポリマー又はポリマー化できる材料で充填され、十分に固いレンズ本体が形成される。ステップ618に移り、ポリマー材料が硬化される。レンズが鋳型から取り出され、眼鏡フレームに取り付けられる。
【0045】
図7Aから7Eは、方法600の実施形態のさまざまな段階における鋳型の単純化したダイアグラムを示す。図7Aは、既知の中心軸に沿ったライン702の中心に置かれたベース鋳型(下型)710を示す。図7Aから7Eに示された層は、必ずしも縮尺通りではないことに注意されたい。
【0046】
図7Bは、方法600のステップ612の1つの実施形態を示す。ヘッド712はスプレー714によって液滴を積層してポリマー層716を形成する。ポリマー層716のある位置での厚さは、層のその位置での屈折率を決定する。ヘッド712は、所定の屈折パターンを規定するように層の厚さを変えて積層する。別な言い方をすれば、積層したポリマーの表面の輪郭又は高低の差は、望ましい収差の補正に対応する。
【0047】
図7Cは、方法600のステップ614に関連して述べたように、鋳型の対となる部材720が、ベース710の上に配置されて空間(キャビティ)を作ったところを示す。光学的品質と表面の均一性を保つために、鋳型内部に第2の材料層が形成できる。図7Dは、方法600のステップ616に関連して述べたようにポリマーが充填された後の鋳型を示す。図7Eは、鋳型から取り出された、完成した光学レンズ724を示す。この光学レンズは眼鏡フレームに装着されうる。
【0048】
図7F〜7Jは、図7Aから7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものであるが、層が均一の厚さを有し、材料の比率を変えて表面全体に渡り表面を横切る方向で屈折率を変えるように構成されているところが異なっている。他の実施形態において、レンズのプログラミング、たとえば屈折パターンの決定は、すでに低次収差が補正されているレンズ716の上に、種々の屈折率を持つ2以上の互換性(ないし相互親和性)調製材料をコントロールしつつ積層させることで達成される。調製材料(複数)は、補正した低次及び高次収差を固定するために積層中又は積層後に光重合される。積層法による典型的なレンズのプログラミングプロセスは、次のステップを含む:
(a)図7Gに示すように、第1のスプレーヘッドと第2のスプレーヘッド712を、ベース710から操作可能な距離だけ離して配置し;
(b)該ベースのあらかじめ選定した位置に、該第1のスプレーヘッドから第1の液滴を放出し、第1の積層液滴を形成し、該第1の液滴は第1のポリマー組成物を第1の量だけ含み;
(c)該ベース上の該第1の積層液滴の近くに、該第2のスプレーヘッドから第2の液滴を放出し、該第2の液滴は第2のポリマー組成物を第2の量だけ含み;
(d)該ベース上に第1のポリマーピクセルを形成し、該第1のポリマーピクセルは第1のポリマー組成物と第2のポリマー組成物を第1の割合で含み;
(e)該第1及び第2のスプレーヘッドのうち少なくとも1つを、追加の液滴を放出するために調整し、該追加の液滴は該第1及び第2の液滴の少なくとも1つとは異なり;
(f)該第1及び第2のスプレーヘッドの位置を該ベースに関して調整し;そして
(g)ステップ(a)〜(f)を繰り返して第2のポリマーピクセルを該第1のポリマーピクセルの隣に形成し、該第2のポリマーピクセルは該第1のポリマー組成物と該第2のポリマー組成物を、層を形成するように第2の割合で含む。ピクセルは、ともに図7Gの層716を形成する。このプロセスは、ライ他(Lai, et al.)による2002年9月24日出願の米国特許出願第10/253956号、表題「光学要素及びその製造方法」に詳細が記載され、参照により全体として本書に組み込む。図7A〜7Eに関連して述べた方法と同様に、光学的品質と表面の均一性を保つために、鋳型内部に第2の材料層が形成できる。
【0049】
図8は、図6に関連して議論した方法600と同様の、鋳型プロセスを用いた未加工光学レンズの製造方法800の1つの実施形態を示すフローチャートである。最初のステップ810は、ベース鋳型710に耐擦傷性コーティングをする。次のステップ812は、感光性ゲル層が形成される。1つの実施形態において、上記ステップ210に関連して述べたように、感光性ポリマーゲルシートが、多数のレンズ用ゲル層を供給するためにバルクで形成できる。ステップ814に移り、シートの一部がベース鋳型710の上に置かれる。
【0050】
続くステップ816は、鋳型の対部品(対鋳型)720が、ポリマーゲル層(図7Cには図示されていないが、層716と同様に置かれた層を含む。)と対部品720との間に空間を形成するようにベース鋳型710の上に置かれる。次のステップ820では、空間はCR−39のようなレンズの支持体を形成するポリマー体722で充填される。次のステップ822では、ポリマー体722は硬化され、未加工光学レンズができる。レンズブランクは、たとえば上述のマスキング法によりゲル層に形成された、所定の屈折パターンを持ちうる。ゲル層は、層の剛性を増加させ、物理的接触による損傷を防ぐために、さらに全体硬化できうる。硬化されたゲルは、機械的強度を強くするために、耐擦傷性コーティング又はハードコーティングされうる。
【0051】
他の同様な実施形態において、シートの一部分と光学要素の在庫とで、真空成型によりレンズを形成することができる。光学在庫要素は、CR-39又は類似の材料のような当業者に周知のポリマーで形成できうる。光学在庫要素は平板であるか又は1以上の低次光学収差を補正することができる。1つの実施形態において、半硬化した材料のシートの一部を、光学在庫要素に、シートを作るのに用いたモノマーと同じ少量のモノマーを、シートと光学在庫要素の間に挟んで適用できる。シートの一部の薄層と光学在庫要素を柔軟性のある鋳型に設置する。減圧して光学在庫要素をシートの一部の中に柔軟性鋳型に向かって押し付ける。減圧にしている間に、光又は熱を作用させてモノマーを硬化できうる。他の実施形態において、モノマー材は光学在庫要素と鋳型の間に置かれる。減圧してモノマーを押し付け、要素と柔軟性鋳型の間でモノマーが光学在庫要素の表面に薄い層を形成する。モノマーは、少なくともその一部が硬化され、半硬化層を形成する。出来上がったレンズブランクは端部加工され、フレームに適用又は装着される。レンズブランクは、1以上の高次光学収差を補正する材料内屈折パターンを規定するようにさらに硬化できうる。このようなプロセスの1つのより詳細が米国特許第6,319,433号に開示され、参照により全体として本書に組み込む。
【0052】
他の実施形態において、装着された、又はフレーム付レンズが光学在庫要素の替わりに用いられうる。事前に用意された、又はフレーム付の、レンズに、半硬化材料層が形成される。この層は、1以上の高次収差を補正する屈折パターンを規定するように、さらに選択的に硬化できうる。さらに、1以上の低次収差もレンズ内で補正しうる。たとえば、0.25ジオプター未満の、在庫レンズでは補正できないような弱い低次収差補正が、層の中で補正しうる。さらに、患者から提供されたフレーム付レンズに、高次補正を追加することができうる。たとえば、既存の、又は事前に入手した光学レンズは、修正しないレンズでは補正できないような、残存低次又は高次収差を補正するように修正しうる。
【0053】
図9は、レンズブランクを製造する他の方法900の実施形態のフローチャートである。ステップ910から始まり、シート又は感光性ゲル層が上述のように形成される。次のステップ912は、シートは切断(ダイシング)されて自立した光学平板(複数)の集団になる。
【0054】
ステップ914に移り、光学収差を補正するように計算された屈折パターンがゲル内で光硬化によって、たとえばここで議論したマスキング法を用いて形成される。1つの実施形態において、光学平板は押圧又は他の方法で成形されレンズの形状に湾曲されるか、又は少なくともいくらかの低次光学収差を補正するように形成できうる。さらにゲルはその強度を増加させるために全体硬化できうる。
【0055】
次のステップ916は、光学平板に1以上のコーティングを施して方法900が完了する。これらのコーティングは、耐擦傷性のコーティングを含み得る。他の実施形態において、これらのコーティングはレンズの強度をさらに高める材料を含み得る。完成したレンズブランクは、ここに記載したように、低次及び/又は高次の光学収差を補正するための完全な光学レンズを形成するために用いられうる。
【0056】
上述の方法は、いずれも都合の良いことに1箇所又は複数の場所で実施できうる。より特定すれば、患者の屈折率の測定、半仕上げしたレンズブランクの研削、低次及び/又は高次収差の補正、そしてレンズを患者の視線に保持するフレーム合わせは、1箇所又は複数の場所で実施できうる。従って、検眼士のもとに一度行くだけで、視力処方が出され、カスタマイズレンズが患者に手渡される。さらに、レンズの購入及び/又は検査費の支払いが、患者に現金又は他の法貨又はクレジット支払を認めることにより、同じ場所で、同じ訪問時に完了しうる。
【0057】
更に別の実施形態において、収差計で測定された患者の低次及び/又は高次の収差は、フレームに予装着した平板レンズの中で補正できうる。1つの実施形態において、平板レンズは平らか、又は美容的な理由たとえば通常のレンズのように見せかけるために湾曲できうる。平板レンズは、屈折率を変える材料か、又はコントロールされた積層に適した担持材料から作られうる。方法100の全体である、患者の屈折率の測定、フレーム化した平板レンズの選定、低次及び/又は高次収差の補正、カスタマイズレンズの提供はすべて1箇所で実施できうる。低次及び/又は高次収差の補正は、望ましい補正に対応する選択的な屈折率変化、望ましい補正に対応する低及び高屈折率の調製材料のコントロールされた積層、又は望ましい補正に対応する、層の高さ及び厚さを変える層の選択的容積変化というような、上記の任意のプログラミング法を含みうる。さらに、現金、電信為替のような法貨又はクレジット支払は、カスタマイズレンズ製造に関連するプロセスに含まれ得る。
【0058】
図10は、眼の測定、補正データの計算、測定された異常を補正するレンズの製造のための典型的なシステム1000の構成要素を示すブロックダイアグラムである。これらの機能のそれぞれは、構成要素システムによって実施される。たとえば、眼の測定システム1010、補正計算システム1020、製造システム1030そして請求及び支払いシステム1040である。システム1000の種々の実施形態は、これらの構成要素システムの種々の実施形態を含み得る。いくつかの実施形態において、システム1000のいくつかの構成要素システム1010,1020,1030及び1040は、結合して統合システムを作りうる。たとえば、1つの実施形態において、測定システム1010は補正計算システム1020と統合できる。他の実施形態において、測定システム1010は製造システム1030と統合できる。1つの実施形態において、各構成要素は同一場所に配置しうる。他の実施形態において、システム構成要素1010,1020,1030及び1040は別々の配置でありうる。測定システム1010は、望ましくは検眼士の事務所又は他の消費者が行けるオフィスか店頭に配置しうる。製造システム1030は、望ましくは光学試験室に配置しうる。1つの実施形態において、計算システム1020は測定システム1010と統合できる。他の実施形態において、以下に詳細を議論するように、計算システム1020はコンピュータネットワーク又は他のデータ通信システムにより分離されて中心に配置され、1以上の測定システム1010に対応する。
【0059】
眼の測定システム1010の実施形態は、患者の眼の異常又は収差といった視覚パラメータを測定するために、上述の種々の波面センサのいずれか1つを含み得る。測定システム1010は、フォロプター(phoropter)、自動屈折器(autorefractor)又は試行レンズをも含み得る。眼の測定システム1010の実施形態は、光学的低次及び/又は高次収差を表す測定データを生み出す。
【0060】
補正計算システム1020は、眼の測定データを受け取り、レンズ製造に用いるレンズデフィニションを決定する。補正計算システム1020の実施形態は、コンピュータハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組合せを含み得る。
【0061】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は患者の眼の高次及び/又は低次収差を補償する補正を示す波面図(wavemap)を生み出す。レンズデフィニションは、波面図、屈折パターン、球、円柱、及び軸という表現での処方、又は他の屈折パターン又は補正との任意の関係を含みうる。さらに、レンズデフィニションは、光学的中心、複数の光学的中心、単一補正ゾーン、複数補正ゾーン、移行ゾーン、ブレンドゾーン、スイム領域、チャンネル、付加ゾーン、頂点間距離、セグメント高さ、軸外注視点ゾーン、ロゴ、不可視マーク等を含み得る。
【0062】
1つの実施形態において、レンズデフィニションは、屈折パターン又は補正を識別する1以上の数又は記号を含む。このような識別マークは、たとえばバーコードを介して電気的又は物理的に伝達される、伝達容易な「処方箋」の役割を果たしうる。
【0063】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は、波面図を患者にとって最適化された他のレンズ表示形式に変換する。波面図又はその他の患者のための最適化されたレンズ表示データは、たとえば患者の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点、セグメンタル高さ、折りたたみ傾斜(pantascopic tilt)、又はx-y傾斜といった特徴に一部基づきうる。
【0064】
レンズデフィニションを計算するため、補正計算システム1020は患者の眼の光学収差のコンジュゲートを生成できる。他の実施形態において、レンズデフィニションの計算は、測定された光学収差を含む患者の眼の測定値に基づくレンズデフィニションの計算に用いる追加のメトリクスに関連して行われうる。たとえば、2003年1月28日発行の米国特許第6,511,180号には、測定された光学収差に基づく補正を決定するための画質メトリクスが開示され、これは参照により全体として本書に組み込む。他の実施形態においては、レンズデフィニションを計算するために他のメトリクスを使用しうる。メトリクスは、改良された患者の視力の主観的測定に関連した光学収差の補正のための選択により、レンズデフィニションを最適化しうる。他の実施形態において、メトリクスは、どの光学収差を補正し、追加し、又は補正しないでおくことが望ましいかを選択するための、試験対象から得たデータを用いて訓練されたソフトウェア分散情報処理ネットワークシステム(software neural network)を含み得る。このような実施形態のより詳細が、2004年2月20日出願の米国仮出願第60/546378号に記載され、これは参照により全体として本書に組み込む。
【0065】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は、色彩選好(好み)に基づく波面図をも計算できる。高次の補正は補正要素を通過する光の色により変化しうる。色彩選好とは、通常、患者が高次補正を最適化するために好む波長を意味する。たとえば、これによって使用者は、たとえばゴルフのための緑色のように、特定の活動のために最も有用な波長での補正を最適化できる。1つの実施形態において、色彩選好は収差計の850nmでの測定によって550nm(緑)に変換し、又は他の色彩を強調するため400を800nmに変換する。
【0066】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は、患者の1以上の他の好みに関連したレンズデフィニションをも計算できる。患者の好みは、レンズの色合い(spectral tint)、又は色を含み得る。患者の好みはまた、レンズデフィニションに、光着色特性(フォトクロミック)すなわち光に反応して色が変わることを含むかどうかも含み得る。さらに補正計算システム1020は、紫外線コーティング、反射防止コーティングの好みといった特徴に関連したレンズデフィニションをも計算できる。1つの実施形態において、レンズデフィニションは、患者が、フレームや視界に関連して高次補正ゾーンをどのように使用するのを好むかといった、患者の使用の好みに関連して計算されうる。
【0067】
補正計算システムは、1以上の補正ゾーンを含むようにレンズデフィニションを計算できる。計算は補正ゾーンの数とサイズの計算を含み得る。各補正ゾーンは高次収差、低次収差、低次及び高次の両収差そして前面及び背面の曲率半径を補正できる。補正ゾーンは、光学中心ゾーン又は複数の光学中心たとえば累進屈折又は多焦点レンズを含み得る。1つの実施形態において、補正計算システム1020は、レンズの1以上の補正ゾーン又は他の部分との間にある混合(blending)又は移行(transition)ゾーンを計算できる。移行ゾーンは、眼の注視(gaze)を補正ゾーンからスムーズに移行させ、補正ゾーンは通常レンズの一部であり、レンズの他の部分である。移行ゾーンは補正ゾーン間の移行も含み得る。移行ゾーンは、2004年3月30日発行の米国特許第6,712,466号、表題「可変屈折率層を用いた眼鏡製造方法」により詳細が述べられており、これは参照により全体として本書に組み込む。
【0068】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は、補正計算システム1020の機能を果たすソフトウェアを実行するサーバーコンピュータを含む。サーバーはシステム1000の他の構成要素とネットワークを介して連絡できる。ネットワークは、当業者に自明の任意のデータ連絡技術を用いる、ローカル又は広域ネットワークでありうる。1つの実施形態において、ネットワークはインターネットを含む。1つの実施形態において、補正計算システム1020は、システム1000の他の構成要素と同一場所に配置される。他の実施形態において、補正計算システム1020は、システム1000の他の構成要素とネットワークを介して連結されうるが、システム1000の他の構成要素とは別の場所に配置される。1つの典型的な実施形態において、補正計算システム1020は1以上のシステム1000をサポートするように構成される。このような実施形態において、補正計算システム1020は請求モジュールを含みうる。請求モジュールは、補正計算システム1020の使用量たとえばレンズデフィニションの計算又はダウンロードした各時間に基づいて課金できる。
【0069】
製造システム1030は、補正計算システム1020からの補正データを用いて、患者のためのカスタマイズレンズを製造する。製造システム1030は、レンズデフィニションをレンズに移転するプログラマーを含み得る。プログラマーは、ここで述べたような照射源及びフォトマスクを含み得る。プログラマーはまた、1以上の材料をコントロールして積層するように構成された積層装置を含み得る。
【0070】
1つの実施形態において、製造システム1030は、低次及び高次収差を同時に補正する。たとえば、レンズブランクが、低次及び高次収差の両方を補正するように屈折率を変えるため、たとえば照射源とフォトマスクを用いて感光性材料を硬化するようにプログラムされる。
【0071】
他の実施形態において、製造システム1030は、実質上全ての低次収差を補正し、その後高次収差を補正する。このような実施形態においては、未加工品が成形又は研削によって全ての又は実質的に全ての低次収差が補正され、レンズブランクとなる。高次収差と、そして1つの実施形態においては残存低次収差がたとえばプログラマーを用いて補正される。プログラマーとは、ここで開示した、光学要素の屈折パターンを規定する1以上の方法を実行する、任意の装置を意味する。
【0072】
他の実施形態において、製造システム1030は、高次収差を補正し、次いで低次収差を補正する。たとえば、方法600のある実施形態が高次収差を補正するための所定の屈折率を有する層を積層するために用いられ、その後に低次収差を補正するように計算された鋳造形状を有する完全なレンズに形成するために鋳型が使用される。
【0073】
他の実施形態において、製造システム1030は、高次収差を補正し、次いで低次収差を補正する。たとえば、ここに述べたように、方法600のある実施形態が、高次収差を補正するための所定の変化する厚さを有する層を積層するために用いられ、その後に低次収差を補正するように計算された鋳造形状を有する完全なレンズに形成するために鋳型が使用される。
【0074】
製造システムは、低次収差の補正と、少なくとも1つの高次もしくは残存低次又は高次収差のプログラミングを行う。製造システムは、左右のレンズとその両方に必要な補正を行う。製造システムは、レンズ番号、低次の磨き、研磨、プログラミング、端部加工、コーティング、フレーム等を行う。
【0075】
支払いシステム1040は、患者のレンズ費、検査費及び/又は他の費用の、現金、クレジット、又は他の任意の方法での支払いに対処する、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。支払いシステム1040の実施形態は、コンピュータハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組合せでありうる。このような実施形態は、金銭レジスター、スマートカード読取り機、もしくはチャージ又はクレジットカード読取り機を含み得る。
【0076】
1つの実施形態において、測定システム1010と各構成要素システム1020,1030、及び1040は、1箇所に配置される。1箇所とは、オフィス、店頭、又は光学試験室のような場所を意味する。従って、患者は1箇所で、1度そこに行っただけで処方を受け取り、製造したカスタマイズレンズを受け取ることができる。他の実施形態においては、構成要素システム1010,1020及び1030は、1,2,3箇所又はそれ以上の場所に配置しうる。システム1000の各構成要素は周知の伝達媒体及び手続きを用いて連絡できる。たとえば、1つの実施形態において、システム1000のコンピュータは、イントラネット又はインターネットのようなネットワークを用いて連絡できる。他の実施形態において、構成要素はたとえば印刷物のような、有形物でのデータを提供できる。たとえば、補正計算システム1020は、レンズを記述する、又はレンズデフィニションを同定するバーコードを印刷できる。他の実施形態において、構成要素は着脱可能なコンピュータディスク、スマートカード又は他の物理的電子媒体を介してデータを授受できる。このような印刷物及び電子媒体は、物理的配送又はファクス送信により交換できる。各要素を別の場所に配置することにより、各システムを最適サイズにでき、たとえば計算システム又は製造システムのような高価な装置については、たとえば店頭のような販売場所である測定システム箇所の間で共有することが可能となる。
【0077】
図11は、図10に示すようなシステム1000の実施形態による眼鏡製造方法1100の1つの実施形態である。方法1100はステップ1110に始まり、たとえば、測定システム1010により患者の眼を測定する。次のステップ1120で、患者はフレームスタイルを選択する。この選択されたフレームスタイルは、たとえば、補正計算システム1020及び製造システム1030が受け取る。ステップ1130に移り、レンズを含む眼鏡フレームが、フレーム在庫の中から選択される。1つの実施形態において、この選択は眼の測定値及び/又は選択したフレームスタイルに基づいて行われる。フレーム在庫のレンズは、たとえば、屈折率を有するポリマー層のようなプログラム可能な要素を含み、屈折率は更にたとえば点状硬化により選択的に変更できる。レンズは、たとえば反射防止、耐擦傷性又は色付けのコーティングができる。1つの実施形態において、計算システム1020は平板レンズを含むフレームを選択する。他の実施形態において、計算システム1020は、眼の測定値をもとに選択されうる所定の光学補正を有するレンズを含むフレームを選択する。補正システム1020は、在庫データをもとにこの選択を実行しうる。1つの実施形態において、製造システム1030は、在庫データを維持し、それを補正システム1020に連絡する。ステップ1140に移り、補正が眼の測定値に基づいて計算される。1つの実施形態において、補正は受け取ったフレーム選択に基づいても補正される。1つの実施形態において、補正計算システム1020が計算を実行する。計算は、選択されたフレームのレンズの所定の補正に関連して必要となる残存補正について行われうる。1つの実施形態において、フレームは、補正が選択されたフレームによって生じた残存誤差の補正を含むように、測定されうる。計算された補正は、低次、残存低次収差、高次収差に対する補正又はここで開示された任意の種類の補正を含み得る。ステップ1150に移り、計算された補正が、ここで開示されたようなプログラマーを用いて、選択されたフレームのレンズに適用される。たとえば、1つの実施形態において、計算された補正に対応する屈折パターンを規定するように、UV源が硬化材の薄い層を選択的に硬化する。そしてフレームが患者に渡され、支払いを受け取る。
【0078】
図12は、フレーム付カスタマイズレンズの製造方法1200の1つの実施形態である。ステップ1210に始まり、たとえば測定システム1010を用いて患者の視覚パラメータが測定される。他の典型的な実施形態において、視覚パラメータは、1以上のコンピュータネットワーク、印刷した処方又は視覚パラメータに関連するバーコードによって受け取られる。次のステップ1220では、2枚のレンズを持つ眼鏡のような、フレーム付レンズを受け取る。装着レンズは患者から、又は装着レンズの在庫から入手しうる。1つの実施形態においては、患者がフレーム付レンズたとえば既存の眼鏡を提供する。1つの実施形態においては、患者の視力がステップ1210において、フレーム付眼鏡を通して測定される。他の実施形態においては、患者の視覚パラメータとフレーム付眼鏡が別々に測定される。ステップ1230に移り、補正が視覚パラメータに基づいて、たとえば計算システム1020によって計算される。1つの実施形態において、補正はフレーム付レンズに基づいてもなされうる。ステップ1240に進み、製造システム1030が計算された補正を用いてレンズをプログラムする。1つの実施形態において、表面の輪郭を規定する材料層が、計算された補正に対応する屈折パターンを規定するように、フレーム付レンズの1枚又は両方のレンズの表面に適用される。計算された補正は、低次収差、残存低次収差、高次収差、残存高次収差に対する補正又は両者の組合せを含み得る。この実施形態は図7Bに関連して述べたものと同様であるが、層が鋳型にではなく、フレーム付レンズに適用される点で異なっている。他の実施形態において、計算された補正に対応する屈折パターンを規定するように、材料の異なる混合物からなる材料層がフレーム付レンズに適用される。この実施形態は、図7Gに関連して述べたものと同様であるが、層が鋳型にではなく、フレーム付レンズに適用される点で異なっている。他の実施形態は、図9に関連して述べたように、感光性ゲル層に適用して補正をプログラミングすることを含み得る。
【0079】
他の実施形態は、補正をする、又は1以上の高次収差を導入する光学要素を含む。ある実施形態においては、補正又は段階的に増加する1以上の高次収差値を導入しうる。望ましくはこのような収差は球面収差、三葉紋(trefoil)又はコマ収差を含み得る。1つの実施形態において、光学要素はフォロプターに用いるように形成される。検眼士又は他のユーザーは、患者の光路内に光学要素を置く。そして患者は、補正が視力を改善したかどうか主観的に決定できる。他の実施形態において、光学要素はフレーム付眼鏡レンズを含む。このようなフレーム付高次補正レンズは、1以上の高次収差を種々の倍率で補正する光学要素とともに保管されうる。患者はフレームと補正を、たとえば読書眼鏡とともにフレームの在庫から選択しうる。従って、患者はたとえば、特定の環境又は仕事に用いるようなレンズを容易に入手しうる。
【0080】
他の実施形態において、計算された補正に対応する屈折パターンを、硬化する間の体積変化の差によって規定する、材料層の適用を含み得る。このような1つの実施形態を、図13に関連して述べる。
【0081】
たとえば高強度の光を用いて適切に硬化すると、ポリマーは予想通りに収縮、つまりその体積を実質上減少させる。このような高容積の層は選択的に硬化され、できた層は高次及び低次の両方の光学収差を補正する屈折パターンを示すことがわかった。図13は、厚さが変化している層を持つレンズの製造方法1300の、他の実施形態を図示したものである。ブロック1310から始まり、レンズ部材が光学要素1302と高容積収縮モノマー層1304とから作られる。1つの実施形態において、高容積変化モノマー層1304を持つ光学要素1302は、フレーム付又は装着されたレンズでありうる。1つの実施形態において、光学要素1302は、たとえば研削や研磨により、たとえば低次収差を補正するために輪郭付けされうる。他の実施形態において、モノマー層1304の容積変化により低次収差を補正できる。次はブロック1320に示すように、層1304が2次元グレースケールパターンの高強度照射に曝される。照射パターンはたとえば光源及びフォトマスクを用いて生成されうる。この高強度照射パターンは、層1304に種々の収縮を生じさせ、層1304全体に渡って屈折率を変化させる。モノマーの組成物は、ここで開示した材料を含み得る。さらに、層1304の適切な組成、照射の適切な波長、時間及び強度の選択は、当業者に周知の選択を含み得る。2次元グレースケールパターンは、1以上の高次又は低次収差を補正する層1304を形成するように選択されうる。さらに照射パターンは、光学的中心、複数の光学的中心、単一補正ゾーン、複数補正ゾーン、移行ゾーン、ブレンドゾーン、スイム領域、チャンネル、付加ゾーン、頂点間距離、セグメント高さ、ロゴ、不可視マークを含む、ここで述べたような他の特徴を含むように計算されうる。ブロック1330に移って、層1304がおよそ均一な低強度の照射に曝されうる。照射の強度、波長及び時間は、ポリマーの硬化を完全にするために当業者に周知の選択が可能である。容積の変化はまた低次の収差を補正できる。ブロック1340は硬化したレンズを示す。硬化したレンズはさらに、ハードコーティング、UV防止コーティング、反射防止及び耐擦傷性コーティングのような光学コーティングで処理されうる。
【0082】
実施形態により、ここに述べた任意の方法の行為又は事象は、別途特別に明記しない限り、どのような順序でも実施でき、追加、融合又は全て除去(たとえば、方法を実行するためには必ずしも全ての行為又は事象は必要ではない)できることも理解される。さらに、上記の方法は、球面、非球面、単視、2焦点、多焦点、累進屈折レンズ、アトリック(atoric)、眼内レンズ、又は他の特別なレンズの製造にも用いられうる。
【0083】
ここでは、ある実施形態が眼鏡によるカスタマイズ視力を提供するために述べられているが、他の実施形態においては、光学機器のように他の光学システムのカスタマイズ光学補正を提供することを含み得る。たとえば、カメラ、望遠鏡、双眼鏡又は顕微鏡のような光学機器はカスタマイズ光学要素を含み得る。カスタマイズ光学要素は、設定可変の接眼鏡の一部、機器の要素、又は接眼鏡への追加品として含まれ得る。カスタマイズ光学要素は、ファインダー又は視路及びカメラ、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡又は類似の光学装置の主光路を含む機器の光路を補正するように形成されうる。カスタマイズ光学要素は、ここで述べたような光学システムのカスタマイズ補正を提供するように構成される。1つの実施形態において、カスタマイズ光学要素は、1以上の光学収差及びユーザーの少なくとも片方の眼の他の視覚パラメータを含むレンズデフィニションを与えるように構成される。他の実施形態において、カスタマイズ光学要素は、光学機器内の1以上の光学収差を補正するように構成される。さらに他の実施形態において、カスタマイズ光学要素は、光学機器の光学収差の補正及びユーザーの少なくとも片方の眼のためのレンズデフィニションを含むように構成される。1つの実施形態において、上述のような材料層が、レンズにおけるレンズデフィニションのような補正を規定するように、接眼鏡のようなレンズに適用され、(必要に応じ)硬化される。1つの実施形態において、カスタマイズ要素は、ユーザーの片方の眼で使用するためにカスタマイズレンズデフィニションを含むように構成される。他の実施形態において、双眼鏡がユーザーの両眼のためにカスタマイズされうる。
【0084】
上記の詳細な記述で発明の新規な特徴が、種々の実施形態に適用されたように、示され、記述され、そして指摘されたが、図示された装置やプロセスの形式及び詳細における種々の省略、置換及び変更が、発明の精神から離れることなく、当業者によってなされることが理解される。認識されるように、本発明はここに述べた全ての特徴や利益を提供しない形式で実施できる、つまりある特徴が他の特徴と別々に利用又は実施されうる。本発明の範囲は、これまでの記載ではなく、請求項によって示される。請求項と均等の意義及び範囲にある全ての変更は、本発明の範囲に含まれるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】眼鏡レンズの製造プロセスを示すフローチャートである。
【図2】図1のプロセスの一部として、光学収差を補正するためのレンズ製造方法のある実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したようなレンズ製造方法の一部として、レンズブランク製造方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図4A】図3に示す方法の1ステップにおけるレンズブランクを示す。
【図4B】図3の方法の他のステップにおける図4Aのレンズブランクを示す。
【図4C】図3の方法完了時における図4Aのレンズブランクを示す。
【図4D】図3と同様のレンズ製造方法の他の実施形態の図である。
【図4E】図4Dの実施形態と同様、2つの鋳型の間に低及び高屈折率の調製材料の混合物を注入して光学要素を製造する方法のある実施形態のダイアグラム図である。
【図5】図1のプロセスの一部としての光学レンズ製造方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図6】鋳型を用いていることを除き、図1の方法と同様に、光学収差を補正するためのレンズ製造方法のある実施形態を示すフローチャートである。
【図7A】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7B】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7C】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7D】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7E】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7F】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図7G】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図7H】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図7I】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図7J】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図8】図6の方法と同様に、自立したポリマー材料の膜状ゲルを用いるレンズブランクの製造方法のある実施形態を示すフローチャートである。
【図9】自立したポリマー材料の膜状ゲルを用いて図1の方法の実施形態に用いるレンズブランクの製造方法のある実施形態を示すフローチャートである。
【図10】たとえば図1の方法の1つの実施形態を用いる眼鏡レンズ製造システムの1つの実施形態を示す単純化したブロックダイアグラムである。
【図11】図10に示すようなシステムのある実施形態を用いる眼鏡製造方法の1つの実施形態を示す。
【図12】カスタマイズフレーム付レンズ製造方法の1つの実施形態である。
【図13】厚さが変化している層を持つレンズの製造方法の他の実施形態を図示したものである。
【関連出願】
【0001】
本出願は、2003年11月14日出願の米国仮出願第60/520,065号、2004年2月20日出願の米国仮出願第60/546378号、2004年9月7日出願の米国特許出願第10/936,132号及び2004年9月7日出願の米国特許出願第10/936,131号による利益を主張し、参照によりこれらを全体として本書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、人の眼のような光学系の収差を補正するための光学レンズの製造に関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,721,043号
【特許文献2】米国特許第6,682,195号
【特許文献3】米国特許第6,511,180号
【特許文献4】米国特許第6,712,466号
【特許文献5】米国特許第6,319,433号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人の眼、そして特に角膜及び水晶体は、眼の視覚能力を損なうようなさまざまな光学収差を示すことがあり、結果的に視力が不鮮明になる。眼鏡をかけることによる視力矯正は、通常、焦点ぼけや乱視といった低次収差のみの補正に限られてきた。従来、高次収差すなわちゼルニケ多項式の3次又はより高次数で表現される収差は、レンズでは補正できなかった。さらに、レンズ製造上の制限及び費用のため、焦点ぼけ及び乱視矯正は通常段階的にしか矯正されず、どの矯正も最も近い4分の1(0.25)ジオプターで行われる。(D)不幸にも、4分の1ジオプターによる解決では、視力矯正は不完全である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明のある側面の要約
本発明のシステム、方法及び装置は、それぞれいくつかの側面を持ち、いずれも単独では望ましい特質を保証できない。別に記載する請求項によって表現される本発明の範囲を限定することなく、より顕著なその特徴をここで簡単に述べておく。ここでの議論を考慮して、そして特に「本発明の実施形態の詳細な説明」を読んだ後に、本発明の特徴が、どのように特別注文(カスタマイズ)多層レンズの便利で経済的な製造法を含む利点を提供するかを理解されるであろう。
【0006】
1つの実施形態は、矯正眼鏡の製作方法である。この方法は、患者の眼の視覚パラメータの取得、1以上の装着された光学レンズを含む眼鏡フレームの取得、及び視覚パラメータに関連する屈折パターンを規定する光学要素のプログラミングを含む。
【0007】
他の実施形態は、カスタマイズレンズの製造方法である。その方法は、患者の眼の視覚パラメータ及び患者の眼の1以上の光学収差の補正を含む、レンズデフィニション(レンズパラメータの規定,definition)を取得することを含む。その方法は、さらに1以上の光学要素を含むフレームの取得を含む。その1以上の光学要素には、硬化材料層を含む。その方法は、屈折パターンを規定するための硬化材料の硬化をさらに含む。屈折パターンは、光学要素を通過する光路中の1以上の光学収差を補正する。
【0008】
さらに別の実施形態は、カスタマイズレンズの製造方法である。その方法は、患者の眼の視覚パラメータ及び患者の眼の1以上の光学収差の補正を含む、レンズデフィニションを取得することを含む。その方法は、さらに1以上の光学要素を含むフレームの取得を含む。その方法は、1以上の光学要素の上に材料層を積層することを含む。層は、光学要素を通過する光路中の1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する。
【0009】
他の実施形態は、1枚のカスタマイズレンズの製作方法である。その方法は、患者の眼の視覚パラメータ及び患者の眼の1以上の光学収差の補正を含む、レンズデフィニションを取得することを含む。硬化ポリマー層がフレーム付レンズに適用される。その方法は、層の表面輪郭(形状)を規定するように層の容積を変化させる、層の選択的硬化を更に含む。表面輪郭は、1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する。
【0010】
他の実施形態は光学要素である。光学要素は、1以上の高次収差を補正するように構成される1以上のレンズを含む。1以上の高次収差は、三葉紋(trefoil)、コマ、球面収差又はその組合せの1以上を含む。
【0011】
他の実施形態は、カスタマイズレンズの製造方法である。その方法は、患者の眼の視覚パラメータ及び患者の眼の1以上の光学収差の補正を含む、レンズデフィニションを取得することを含む。その方法は、さらに1以上の光学要素を含むフレームの取得を含む。その1以上の光学要素には、硬化材料層を含む。その方法は、層の表面輪郭を規定するように層の容積を変化させる、層の選択的硬化を更に含む。表面輪郭は、レンズデフィニションに関連する屈折パターンを規定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ある実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明のある特定の実施形態に向けられたものである。しかし、本発明は特許請求の範囲に定義され、カバーされるように多数の異なる方法で実施化できうる。この説明において、全体を通じて図が、同じような部分は同じような番号で参照されている。
【0013】
眼鏡レンズは通常、測定された光学収差を補正するようにレンズブランク(lens blank)を研削し、一対の眼鏡フレームに合うようにレンズブランクの端を加工して製造される。この補正は通常、低次収差に限られる。さらに、研削は通常0.25Dのマージンで行われるため、補正は通常不完全である。
【0014】
患者の眼の波面収差を測定する装置を用いることにより、患者の眼のずっと正確な測定値が得られる。得られる測定値は、最適レンズデフィニションの計算に用いられうる。1つの実施形態において、レンズデフィニションは、レンズを通過する光路中にある1以上の光学収差を補正する屈折率パターンを決定し、それは眼鏡レンズのような光学レンズに具現された場合、患者の波面収差を従来よりずっと正確に補正する。したがって、患者は自身の視覚能力のピークに非常に近いところで見ることができるようになる。
【0015】
ここで用いられているように、光学収差の「補正」とは、必ずしも光学収差が完全に除去されることではなく、一般的に光学収差を減少させ、最小化し、又は最適化することであると理解されるべきであることがわかる。さらに、いくつかの例において、ある高次収差を増大させることが視力を向上させることが判明したことにより、収差の「補正」とはある光学収差を付加あるいは増大させることも含まれる。光学要素には、厚い、又は薄いレンズブランク、平面レンズ、眼鏡レンズのような補正レンズ、コンタクトレンズ、光学コーティング、眼内レンズ又は他の光学要素との組合せを含む、光を透過する任意の部品が含まれる。平板光学要素すなわち屈折力を持たない要素は、平面、又は美容状の理由から、たとえば普通の眼鏡レンズのような外観を持たせるために、曲面でありうる。
【0016】
図1は、カスタマイズレンズを製作するための方法100の最上位のフローチャートを示す。ステップ110からスタートし、患者の眼の測定がなされる。1つの実施形態において、患者の低次及び/又は高次の収差といった視覚パラメータが、(たとえば波面センサーを含む)収差計を用いて測定される。収差は、たとえばシャック−ハルトマン(Shack-Hartmann)、回折格子、格子、ハルトマンスクリーン(Hartmann Screen)、フィゾー(Fizeau)干渉計、光線追跡システム(ray tracing system)、チャーニング(Tscherning)収差計、検影位相差システム(skiascopic phase difference system)、トワイマン−グリーン(Twymann-Green)干渉計、タルボー(Talbot)干渉計といった波面センサーを用いて測定できる。典型的な収差計のより詳細がプラット他(Platt. B. et.al.)による米国特許第6,721,043号「光調節型収差コンジュゲータ」に記載され、これは参照により全体として本書に組み込む。収差計の他の実施形態が、2002年2月13日出願の米国特許出願第10/076218号、名称「波面センシングを用いる対象屈折決定のための装置及び方法」及び2001年12月10日出願の米国特許出願第10/014037号、表題「波面測定のシステム及び方法」に開示され、いずれも参照により全体として本書に組み込む。1つの実施形態において、視覚パラメータは患者の視力を、1以上の高又は低次の光学収差を補正するように構成された試行ないしは検査レンズを用いて検査することで得られたデータを含む。
【0017】
収差測定に加えて、患者の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点(gaze)又はx-y傾斜といった情報が得られる。このような測定値の取得についてのより詳細は、2004年1月27日発行の米国特許第6,682,195号、表題「カスタム眼鏡製造方法」に記載され、これは参照により全体として本書に組み込む。
【0018】
ステップ120に移って、測定された収差を補正するための、光学レンズの屈折パターン(レンズ仕様、specification)が計算される。屈折パターンは、光学要素において、たとえば光学要素の表面全体にわたり2次元屈折率パターンを規定したり、又は屈折率を変えて屈折パターンを規定するために光学要素を含む材料層の厚みを変えることにより、達成できる。たとえば、標準的な眼鏡レンズは通常、レンズ材料の湾曲(ないし曲率、curvature)つまりレンズ材料の厚さをレンズ表面全体にわたって変えることにより、屈折パターンを決めている。レンズの湾曲は、レンズ材料の屈折率とともに、標準眼鏡レンズの屈折パターンを規定する。このような標準レンズは通常、1又はそれ以上の低次光学収差を補正する。1つの実施形態において、屈折パターンは少なくとも一部において、球、円柱、及び軸という表現で定義される。このような実施形態において、高次収差及び、たとえば研削誤差による残存収差の補正のため、さらなる屈折パターンがレンズに適用するために計算できる。他の実施形態において、屈折パターンは、屈折率を変えるために処理又は硬化しうる材料に適用するため、低次及び高次のゼルニケ多項式で計算できる。
【0019】
1つの実施形態において、視覚パラメータは、レンズデフィニションを最適化するため視覚メトリクスに用いられる。レンズデフィニション(definition)は、波面図(wavemap)、屈折パターン、球、円柱、及び軸という表現での処方、又は他の任意の屈折パターン又は補正との関係を含みうる。さらに、レンズデフィニションは、光学的中心、複数の光学的中心、単一補正ゾーン(single correction zones)、複数補正ゾーン(multiple correction zones)、移行ゾーン(transition zone)、ブレンドゾーン(blend zone)、スイム領域(swim region)、チャンネル(channel)、付加ゾーン(add zones)、頂点間距離、セグメント高さ、軸外注視点ゾーン(off-axis gaze zone)、ロゴ、不可視マーク等を含み得る。
【0020】
次のステップ130で、レンズは低次及び高次両方の光学収差を補正するように製造される。このようなレンズの1つの実施形態は、2002年8月12日出願の米国特許出願第10/218049号、表題「人の眼の高次収差の補正装置及び方法」に詳細が開示され、これは参照により完全に本書に組み込む。レンズ製造方法の実施形態は、この中で詳細が述べられているように、計算された屈折パターンを含むように硬化される層の積層、レンズ表面の研削又は自由形式表面仕上げ、鋳造及びこれらの組合せといったような、計算された屈折率パターンを持つレンズを形成する多くの異なる方法を含みうる。
【0021】
図2は、たとえば人の眼の波面収差に基づいて計算された屈折率パターンに対応できる、未加工光学レンズの製造方法130の1つの実施形態を示したフローチャートである。方法130はステップ210から始まり、第1及び第2の光学要素の間に感光性ゲル層を形成する。1つの実施形態においては、厚いレンズ及び薄いレンズである。他の実施形態においては、2枚の厚いレンズ又は2枚の薄いレンズを含み得る。厚い光学レンズは普通厚く、平板でもよいが、通常屈折力を持つ光学要素を指す。厚い、又は薄いレンズはどちらも要素の屈折力を変えるために表面の輪郭付け(ないし形状付与成形、contour)をすることができるが、より厚いレンズは表面の輪郭付けができる範囲がより広い。このような表面の輪郭付けは、研削及び研磨、レーザー切除または自由形式表面仕上げを含み得る。望ましくは、前面光学要素すなわち眼に入る光線が最初に入射する要素は、通常屈折力のない薄いレンズである。前面光学要素の曲率半径は通常、光学レンズブランクの屈折力を決めることに注意されたい。個々の光学要素への厚い又は薄いレンズは、最終的な光学ブランクの望ましい補正力を基に選択できうる。たとえば、もし高屈折力レンズが必要なら2枚の厚いレンズが使用できる。もし特別なレンズで最小限の低次補正のみが必要なら、2枚の薄いレンズが使用できる。
【0022】
感光性ゲル層は、屈折率を変えるために選択的に硬化できうる。たとえば、それは点状に、段階的に、又は連続的に硬化でき、レンズを通過する光路における1以上の光学収差を補正する2次元屈折パターンを規定する。ここで用いられるように、このように硬化できる材料は、「選択的に変えられる屈折率を持つ」と称する。層の屈折パターンは、1以上の光学収差の補正を規定するように作られうる。この、あるいは他の方法のある実施形態がここでは感光性ゲル層に関連して議論されているが、他の実施形態においては、たとえば屈折率を変えるために処理又は硬化できるような、選択的に変えられる屈折率を持つ他の任意の材料を使用できることに注意しなければならない。
【0023】
1つの実施形態において、最初にたとえば大きなシート状に形成される、ポリマーゲルの感光性ゲル層が形成される。出願日が同一の、米国特許出願中で表題「安定化ポリマー材料及び方法」、弁護士事件番号OPH.031A、表題「安定化ポリマー材料及び方法」は、感光性ゲル層の実施形態を開示しており、参照により全体として本書に組み込む。好ましい実施形態において、モノマーの混合物を分散させたマトリックスポリマーを含む組成物を用いて形成され、そのマトリックスポリマーは、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、チオール硬化エポキシポリマー、チオール硬化イソシアネートポリマー、及びこれらの混合物からなるグループから選択され;そのモノマー混合物は、チオールモノマー及び、エン(ene、二重不飽和)モノマー及びイン(yne、三重不飽和)モノマーからなるグループから選択される、1以上の第2のモノマーを含む。
【0024】
1つの実施形態において、このマトリックスポリマー又はゲルのシートが形成される。このシートの一部が、レンズブランクを形成するために2個の光学要素の間に置かれる。1枚の大きなシートをバルクとして形成でき、切断(ダイシング)された部分が多くのレンズブランクを作るのに用いられる。2個の光学要素がレンズブランクを作るために貼り合わされる。第1及び第2の光学要素は、平板レンズにでき、又は補正力を持ちうる。1つの実施形態において、レンズブランクは第1及び/又は第2レンズの補正力の範囲、つまり0.25ジオプター又は1ジオプター離れた範囲内の補正力を持つように調製される。好ましい実施形態において、1個又は両方の光学要素は、1以上の低次収差の少なくとも一部を補正するように、たとえば研削と研磨によって輪郭付けされる厚いレンズである。次のステップ215では、このような実施形態において、光学要素の片面又は両方の表面が輪郭付けされうる。他の実施形態において、レンズはレンズブランクを形成するために貼り合わせる前に、輪郭付けされうる。レンズは、従来の研削及び研磨方法によって、又はシュナイダーオプティクス(Schneider Optics)、LOH、ゲーバーコバーンオプティカル(Gerber Coburn Optical)において製造されるような3軸旋盤を用いる自由形式表面仕上げによっての輪郭付け(ないし形状付与成形)されるか、あるいは光学収差の少なくとも一部を補正するように形成できうる。ここで用いられているように、自由形式表面仕上げとは、2点間表面仕上げ又は機械加工の任意の方法を意味する。
【0025】
次のステップ220では、方法100のステップ120で計算されるような、屈折又は屈折率のパターンが感光性ゲル層において形成される。このパターンは、人の眼の光学収差を補正するように構成される。1つの実施形態において、感光性ゲルにおける屈折パターンは、たとえばレンズブランクの薄いレンズ又はレンズブランクからの薄いレンズの表面仕上げのような他の方法では補正できない、高次収差及び低次収差を補正するために計算される。
【0026】
1つの実施形態において、この屈折率パターンは、2次元のグレースケールパターンを持つ、たとえば紫外光のような照射源を用いて形成できうる。2次元グレースケールの照射パターンは、たとえば光学要素の表面に向けられた時に、たとえばグレースケールのような2次元パターンで強度が変わる、任意の照射パターンを含む。1つの実施形態において、光学要素の中のそれぞれのポイントで照射量をコントロールするために、フォトマスクを通して照射される。フォトマスクは、照射線を実質的に通さない領域、照射線を実質的に通す領域及び照射線を一部通す領域から構成できうる。レンズブランクは、感光性ポリマーを硬化し、及び一部硬化して屈折率パターンがレンズブランク内に形成されるように、あらかじめ決められた時間だけ照射される。他の実施形態において、UV光源とともに、デジタルライトプロジェクター(DLP)といったデジタルマスクシステムを用いることができる。UV光源は、UV垂直孔表面発光レーザー(VSCEL)、三重YAGレーザー、UV−LEDを含み得る。
【0027】
ステップ230に進んで、レンズブランクは患者が使用できるように眼鏡フレームに合わせて端部加工され、装着されうる。1つの実施形態において、ステップ210は、レンズブランクの在庫を供給するためにまとめて実施され、ある実施形態においては、異なった場所たとえば患者の眼の測定も行う検眼士のオフィスで都合よく処理(たとえばステップ210と230に従って)することができる。
【0028】
図3は、図2のステップ210のように、レンズブランクとレンズカバーの間に感光性ゲル層を形成する方法の、他の実施形態を示すフローチャートである。最初のステップ310は、レンズブランクに通路(複数)を形成する。レンズブランクはCR−39又はポリカーボネート、ファイナライト(Finalite)(登録商標)(ソーラ(Sola))、MR−8モノマー(ミツイ)、又は当業者に周知の他の材料といった、他の適当な材料により形成される。1つの実施形態において、これらの通路はレンズブランクへの穴あけ又は切り込みによって作られる。一般に、レンズブランクは眼鏡フレームに入れる最終レンズより大きい。そのため、通路がある領域は最終レンズでは除去されて、レンズの光学補正の支障にはならない。他の実施形態においては、通路はレンズブランクとともに、たとえば鋳造又は型抜きによって形成される。ここでは2つの通路が議論されているが、さらに追加の通路が、たとえばレンズブランクとレンズカバーの間の空間をより早く、より均一に満たすために、レンズブランク内に形成できうることが理解される。
【0029】
次のステップ320では、レンズブランクはレンズカバーと、スペーサ又はガスケットを用いてあらかじめ決められた間隔を空けて組み合わされる。1つの実施形態において、スペーサはレンズブランクとカバーの間に置かれる固い物質である。しかし、レンズブランクとカバーとのあらかじめ決められた距離を保つ任意の方法が適用できる。ステップ330に移り、レンズブランクとレンズカバーの外周を、その間に密封された空間を形成するためにシールする。1つの実施形態において、1から100ミルの範囲の厚さを持つ接着性スペーサが、その空間を形成し、密封するためにレンズブランクとカバーレンズの間に挟まれる。1つの実施形態において、接着性スペーサは約20ミルの厚さである。
【0030】
他の実施形態においてテーピング法が、空間を形成するためにレンズブランクとレンズカバーを組み合わせることに含まれる。空間は、その厚さを調節するために、2つのレンズブランクをたとえばクランプ又はジグによって機械的に離して固定することで形成される。2つのレンズブランクの端部の上を、変形性のある弾性テープ又はゴムガスケットでラッピングし、クランプでそれらを固定することで密封された空間を形成するように、テープ又は類似の材料が、組み合わされたレンズブランクとカバーの端部の周りに適用される。さらに1つの実施形態において、ステップ310でレンズブランクに通路を形成するかわりに、たとえば注射器や他の分配器がテープやガスケットを通じて挿入されるように、通路がスペーサやテープを通じて形成される。
【0031】
ステップ340に進み、1つの実施形態において、たとえばチオール-エン(Thiol-Ene)又は上記の組成物からなる感光性材料である調製硬化材料が、清浄な環境下で混合され、脱ガスされ、注射器に移される。EFD,Inc.の分配器(dispenser)のような液体分配器や、注射器のような機械的分配器を用いて、混合調製材料が1つの通路から空間内へ注入され、他の通路は空間からの空気抜きに使われる。ある実施形態において、材料はスペーサ又はシールの通路を通じて供給される。1つの実施形態において、このような通路は硬化材料を供給するための注射器で形成されうる。次のステップ350では、注入されたレンズブランクは、注入した材料が硬化して感光性膜になるように、高温(たとえば約75℃)で保温されたオーブンに置かれる。他の実施形態において、硬化プロセスは、注入した材料の硬化特性に応じて室温で行われうる。
【0032】
図4A〜4Cは、図3の方法の実施形態を用いた種々の製造ステップでのレンズ401の側面図である。特に図4Aは、図3の方法のステップ310,320及び330完了後のレンズ401を示す。レンズカバー410が、接着剤を付けたスペーサ414によって、レンズブランク412に間隔を空けて置かれている。スペーサ414は、空間416を形成するようにレンズ構成品のへりを取り囲むガスケットとしての役割を持つ。2以上の通路418が、空間416内に材料を供給できるようにレンズブランク412に形成される。
【0033】
図4Bは、図3のステップ340が完了した後の図4Aのレンズ401を示し、感光性材料が空間416に供給され、層420を形成している。図4Cは、図3の方法のステップ350の後のレンズ401を示す。熱又はたとえばUV光のような硬化方法が層420に適用され、感光性ゲル422が形成される。
【0034】
図4Dは、図3で示した方法と同様に、鋳造手段を用いた製造方法の他の実施形態を図示したものである。上述のように、低又は高屈折率の調製材料が2つの光学鋳型の間に供給される。1つの実施形態において、光学鋳型は、たとえば曲率半径のように、鋳型で形成されるレンズの選択された低次の処方を形成する、外形を確定する。最初はブロック452であり、2つの光学鋳型の間に供給された調製材料は、選択的に照射され、ブロック454に示すように、低次又は高次の補正収差領域453を生成する。1つの実施形態において、鋳型の中の調製材料は2次元グレースケールパターンで照射される。2次元グレースケールパターン照射は、ほぼ均一な光線をフォトマスク、液晶表示画面のようなフィルターを通すか、もしくは発光ダイオード又はDLPを2次元に配列したものとUV光源とを組み合わせるといった、光の2次元パターンを作り出すことにより、生成できうる。ブロック456に示すように、次いで調製材料は第2の高又は低屈折率の調製材料に置き換えられる。次のブロック458に示すように、第2の調製材料に2回目の硬化をさせるため、鋳型全体が照射される。1つの実施形態において、第2の調製材料も、残存低次又は高次収差を補正するために2次元グレースケールパターンで照射される。ブロック460に移って、レンズが鋳型から取り出され、端部加工してフレームに装着され、患者に渡される。1つの実施形態において、ブロック452、458の照射は室温又は昇温状態で行われる。
【0035】
或いは、鋳造法は、2以上の低及び高屈折率の調製材料を、高次収差の補正のために光学鋳型の1つの上に管理して載置し、次いで低次収差の補正のために2つの光学鋳型の間に低又は高屈折率の調製材料を満たして、低次の処方を補正する曲率半径を得るということも含む。熱又は光によって引き起こされる、室温又は昇温状態での重合反応により、鋳型の間の調製材料の重合が行われる。硬化した光学要素は鋳型から取り出され、端部加工してフレームに装着され、患者に渡される。
【0036】
図4Eは、図4Dの実施形態と同様の、1つの方法の実施形態のダイアグラムである。ブロック470に示すように、2つの調製材料が2つの光学鋳型の間に供給される。複数の調製材料は、低及び高屈折率の調製材料の混合物を含みうる。1つの実施形態において、高屈折率の調製材料は、速い光重合をするアクリレート成分を含むのに対し、低屈折率の調製材料は、アクリレート成分に比べて遅い光重合をするビニル又はアリル成分を含む。或いは、低屈折率の調製材料は早い反応速度のアクリレート成分を含み、高屈折率の調製材料は遅い反応速度のビニル又はアリル成分を含み得る。
【0037】
ブロック470に示すように、光学鋳型中の調製材料は、片面から、高次収差を補正する屈折率を持つ硬化部分を規定(ないし画成)する、空間変調された高強度光で照射され、反対の面からは同時に、低次の収差を補正する、空間変調された低強度光で照射されうる。低及び高強度の変調光は、速い、および遅い反応速度の調製材料を異なる速さで架橋し、速く硬化する調製材料は、ほとんど硬化しない低硬化調製材料に比べて、選択的にその大部分が硬化する。もし他方に対する一方の調製材料の光重合の割合をコントロールする必要がある場合、チオール及びエン成分(低及び高屈折率)の段階的光重合を組み込みうる。1つの実施形態において、2つの調製材料のうちの1つの光重合の深さをコントロールするために、重合先端(フロント)が容易にモニターできる先端重合法(frontal-polymerization)を用いる。同様に、調製材料中の光開始剤、光開始剤−添加剤(UV−吸収又は抑制剤)の量に基づいて、硬化の深さをコントロールできる。硬化先端(フロント)は、この調製材料に要求される低次又は高次の収差を補正する形状面(contour surface)を生成するためにコントロールされる。ブロック472は、レンズ内の硬化した部分の形状を示す。硬化していない材料は鋳型から除去され、第2の硬化材料に置き換えられうる。この第2の材料は、レンズを形成するためにさらに硬化され、ブロック474に示すように鋳型から取り出される。
【0038】
2つの硬化調製材料の物理的相分離を防止するため、調製材料の1成分は同じであるように選択されうる。さらに、レンズにはセグメント高さや付加ゾーン等を配置するための基準マークを刻印しうる。ブロック474に示すように、十分に補正されたレンズは、光学鋳型から取り出され、端部加工してフレームに装着され、光学試験室その場所で渡される。上述の鋳型成型法は、鋳型成型プロセスにおいて管理されることにより、有利にもカスタマイズレンズの収差領域を高精度で正確に補正する。さらに、低次及び高次の収差補正に対応する輪郭付けした表面は、レンズ内で精度良くコントロールしうる。低及び高強度の変調光は、レンズ両面から照射できうる。ブロック480、482及び484は、ブロック470、472及び474で示した方法の他の実施形態である。ブロック480に示す実施形態において、低及び高強度の照射光は、ブロック470の実施形態に比べて反対向きである。
【0039】
図5は、図2のステップ210を行う方法500の1つの実施形態を示す。ステップ510から始まり、スペーサが厚薄2つのレンズブランクの間に置くために準備される。ステップ510から始まり、2つのたとえばレンズブランクのような光学要素を清浄にする。レンズブランクはいずれもCR−39、ポリカーボネイト、ファイナライト(Finalite)(登録商標)(ソーラ(Sola))、MR−8モノマー(ミツイ)、1.67,1.71,1.74材料又は当業者に明白な他の適当な材料といった材料により形成できうる。1つの実施形態において、光学要素は厚いレンズブランクと薄いレンズブランクを含む。他の実施形態において、2枚の厚い又は2枚の薄いレンズブランクが、製造すべきレンズの補正力に応じて用いられうる。光学レンズの内部に形成される汚染物は収差の原因となりうるので、プロセスに用いる材料は非常に清浄に保つ必要がある。望ましくはろ過した、アルゴン、窒素又は空気のようなガスで、汚染物を除去するために光学要素をブローしうる。次にステップ512は、薄いレンズにスペーサが適用される。1つの実施形態において、スペーサは20ミルの隙間のために10ミルのセラミックテープ2層を小さな矩形に切ったものを含む。他の実施形態において、他の厚さのテープ又は接着ガスケット材料を含む他のタイプのガスケットを使用できる。
【0040】
ステップ520に移り、レンズ充填材が混合される。この材料はここに述べる任意の適当な感光性材料を含み得る。ステップ522に進み、決められた重量の充填材の量が測定され、薄いレンズに適用される。
【0041】
他の汚染物に加え、充填材中の気泡もまた最終レンズの収差の原因となりうる。そのため、次のステップ524で薄いレンズを、充填材から気泡を除去するために真空チャンバに入れる。ステップ526に移り、真空チャンバはたとえばアルゴンガスで減圧[加圧の誤記]する。ステップ530に移り、充填材に気泡が残っていないか検査する。1つの実施形態において、気泡は手で材料を注意深く操作して、ポケットを表面に移動させて壊すことで除去できうる。
【0042】
薄いレンズブランクの上に厚いレンズブランクを置くことにより、最終レンズ内に空気ポケットが入り易い傾向がある。しかし、厚いレンズの上に充填材を1滴置くことで、この傾向がかなり減少されることがわかった。そのため、ステップ532に移り、充填材を1滴、厚いレンズの中心から少し離れた所に乗せる。次のステップ534は、厚いレンズの上の充填材が薄いレンズの上にある充填材の主要部分に押さえ付けられ、最終レンズが形成される。続くステップ536は、レンズはたとえば熱により硬化され、充填材は感光性ゲルになる。こうして方法500は、図2の方法で使用されるような感光性ゲル層を有するレンズブランクを形成して終了する。
【0043】
図6は、高次及び低次の光学収差を補正するように計算された屈折率パターンを持つように形成されたレンズの製造方法600の1つの実施形態を示す。最初のステップ610は、鋳型のベース表面を、引っかき傷がつかないように耐擦傷性のコーティングをする。次のステップ612では、所定の屈折率を規定するように鋳型表面にポリマー層が積層される。レンズのプログラミングの他の実施形態は、図7A〜7E及び図7F〜Jに関連して以下に述べる。
【0044】
ステップ614に進み、鋳型の対の片方を、鋳型のベースから所定の間隔を空けて配置し、空間を形成する。この空間の形状は、1以上の低次収差を補正するように計算できる。次のステップ616では、この空間は、CR−39、ポリカーボネイト、ファイナライト(Finalite)(登録商標)(ソーラ(Sola))、MR−8モノマー(ミツイ)、1.67,1.71,1.74材料又は当業者に明白な他の適する材料のような、適当なポリマー又はポリマー化できる材料で充填され、十分に固いレンズ本体が形成される。ステップ618に移り、ポリマー材料が硬化される。レンズが鋳型から取り出され、眼鏡フレームに取り付けられる。
【0045】
図7Aから7Eは、方法600の実施形態のさまざまな段階における鋳型の単純化したダイアグラムを示す。図7Aは、既知の中心軸に沿ったライン702の中心に置かれたベース鋳型(下型)710を示す。図7Aから7Eに示された層は、必ずしも縮尺通りではないことに注意されたい。
【0046】
図7Bは、方法600のステップ612の1つの実施形態を示す。ヘッド712はスプレー714によって液滴を積層してポリマー層716を形成する。ポリマー層716のある位置での厚さは、層のその位置での屈折率を決定する。ヘッド712は、所定の屈折パターンを規定するように層の厚さを変えて積層する。別な言い方をすれば、積層したポリマーの表面の輪郭又は高低の差は、望ましい収差の補正に対応する。
【0047】
図7Cは、方法600のステップ614に関連して述べたように、鋳型の対となる部材720が、ベース710の上に配置されて空間(キャビティ)を作ったところを示す。光学的品質と表面の均一性を保つために、鋳型内部に第2の材料層が形成できる。図7Dは、方法600のステップ616に関連して述べたようにポリマーが充填された後の鋳型を示す。図7Eは、鋳型から取り出された、完成した光学レンズ724を示す。この光学レンズは眼鏡フレームに装着されうる。
【0048】
図7F〜7Jは、図7Aから7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものであるが、層が均一の厚さを有し、材料の比率を変えて表面全体に渡り表面を横切る方向で屈折率を変えるように構成されているところが異なっている。他の実施形態において、レンズのプログラミング、たとえば屈折パターンの決定は、すでに低次収差が補正されているレンズ716の上に、種々の屈折率を持つ2以上の互換性(ないし相互親和性)調製材料をコントロールしつつ積層させることで達成される。調製材料(複数)は、補正した低次及び高次収差を固定するために積層中又は積層後に光重合される。積層法による典型的なレンズのプログラミングプロセスは、次のステップを含む:
(a)図7Gに示すように、第1のスプレーヘッドと第2のスプレーヘッド712を、ベース710から操作可能な距離だけ離して配置し;
(b)該ベースのあらかじめ選定した位置に、該第1のスプレーヘッドから第1の液滴を放出し、第1の積層液滴を形成し、該第1の液滴は第1のポリマー組成物を第1の量だけ含み;
(c)該ベース上の該第1の積層液滴の近くに、該第2のスプレーヘッドから第2の液滴を放出し、該第2の液滴は第2のポリマー組成物を第2の量だけ含み;
(d)該ベース上に第1のポリマーピクセルを形成し、該第1のポリマーピクセルは第1のポリマー組成物と第2のポリマー組成物を第1の割合で含み;
(e)該第1及び第2のスプレーヘッドのうち少なくとも1つを、追加の液滴を放出するために調整し、該追加の液滴は該第1及び第2の液滴の少なくとも1つとは異なり;
(f)該第1及び第2のスプレーヘッドの位置を該ベースに関して調整し;そして
(g)ステップ(a)〜(f)を繰り返して第2のポリマーピクセルを該第1のポリマーピクセルの隣に形成し、該第2のポリマーピクセルは該第1のポリマー組成物と該第2のポリマー組成物を、層を形成するように第2の割合で含む。ピクセルは、ともに図7Gの層716を形成する。このプロセスは、ライ他(Lai, et al.)による2002年9月24日出願の米国特許出願第10/253956号、表題「光学要素及びその製造方法」に詳細が記載され、参照により全体として本書に組み込む。図7A〜7Eに関連して述べた方法と同様に、光学的品質と表面の均一性を保つために、鋳型内部に第2の材料層が形成できる。
【0049】
図8は、図6に関連して議論した方法600と同様の、鋳型プロセスを用いた未加工光学レンズの製造方法800の1つの実施形態を示すフローチャートである。最初のステップ810は、ベース鋳型710に耐擦傷性コーティングをする。次のステップ812は、感光性ゲル層が形成される。1つの実施形態において、上記ステップ210に関連して述べたように、感光性ポリマーゲルシートが、多数のレンズ用ゲル層を供給するためにバルクで形成できる。ステップ814に移り、シートの一部がベース鋳型710の上に置かれる。
【0050】
続くステップ816は、鋳型の対部品(対鋳型)720が、ポリマーゲル層(図7Cには図示されていないが、層716と同様に置かれた層を含む。)と対部品720との間に空間を形成するようにベース鋳型710の上に置かれる。次のステップ820では、空間はCR−39のようなレンズの支持体を形成するポリマー体722で充填される。次のステップ822では、ポリマー体722は硬化され、未加工光学レンズができる。レンズブランクは、たとえば上述のマスキング法によりゲル層に形成された、所定の屈折パターンを持ちうる。ゲル層は、層の剛性を増加させ、物理的接触による損傷を防ぐために、さらに全体硬化できうる。硬化されたゲルは、機械的強度を強くするために、耐擦傷性コーティング又はハードコーティングされうる。
【0051】
他の同様な実施形態において、シートの一部分と光学要素の在庫とで、真空成型によりレンズを形成することができる。光学在庫要素は、CR-39又は類似の材料のような当業者に周知のポリマーで形成できうる。光学在庫要素は平板であるか又は1以上の低次光学収差を補正することができる。1つの実施形態において、半硬化した材料のシートの一部を、光学在庫要素に、シートを作るのに用いたモノマーと同じ少量のモノマーを、シートと光学在庫要素の間に挟んで適用できる。シートの一部の薄層と光学在庫要素を柔軟性のある鋳型に設置する。減圧して光学在庫要素をシートの一部の中に柔軟性鋳型に向かって押し付ける。減圧にしている間に、光又は熱を作用させてモノマーを硬化できうる。他の実施形態において、モノマー材は光学在庫要素と鋳型の間に置かれる。減圧してモノマーを押し付け、要素と柔軟性鋳型の間でモノマーが光学在庫要素の表面に薄い層を形成する。モノマーは、少なくともその一部が硬化され、半硬化層を形成する。出来上がったレンズブランクは端部加工され、フレームに適用又は装着される。レンズブランクは、1以上の高次光学収差を補正する材料内屈折パターンを規定するようにさらに硬化できうる。このようなプロセスの1つのより詳細が米国特許第6,319,433号に開示され、参照により全体として本書に組み込む。
【0052】
他の実施形態において、装着された、又はフレーム付レンズが光学在庫要素の替わりに用いられうる。事前に用意された、又はフレーム付の、レンズに、半硬化材料層が形成される。この層は、1以上の高次収差を補正する屈折パターンを規定するように、さらに選択的に硬化できうる。さらに、1以上の低次収差もレンズ内で補正しうる。たとえば、0.25ジオプター未満の、在庫レンズでは補正できないような弱い低次収差補正が、層の中で補正しうる。さらに、患者から提供されたフレーム付レンズに、高次補正を追加することができうる。たとえば、既存の、又は事前に入手した光学レンズは、修正しないレンズでは補正できないような、残存低次又は高次収差を補正するように修正しうる。
【0053】
図9は、レンズブランクを製造する他の方法900の実施形態のフローチャートである。ステップ910から始まり、シート又は感光性ゲル層が上述のように形成される。次のステップ912は、シートは切断(ダイシング)されて自立した光学平板(複数)の集団になる。
【0054】
ステップ914に移り、光学収差を補正するように計算された屈折パターンがゲル内で光硬化によって、たとえばここで議論したマスキング法を用いて形成される。1つの実施形態において、光学平板は押圧又は他の方法で成形されレンズの形状に湾曲されるか、又は少なくともいくらかの低次光学収差を補正するように形成できうる。さらにゲルはその強度を増加させるために全体硬化できうる。
【0055】
次のステップ916は、光学平板に1以上のコーティングを施して方法900が完了する。これらのコーティングは、耐擦傷性のコーティングを含み得る。他の実施形態において、これらのコーティングはレンズの強度をさらに高める材料を含み得る。完成したレンズブランクは、ここに記載したように、低次及び/又は高次の光学収差を補正するための完全な光学レンズを形成するために用いられうる。
【0056】
上述の方法は、いずれも都合の良いことに1箇所又は複数の場所で実施できうる。より特定すれば、患者の屈折率の測定、半仕上げしたレンズブランクの研削、低次及び/又は高次収差の補正、そしてレンズを患者の視線に保持するフレーム合わせは、1箇所又は複数の場所で実施できうる。従って、検眼士のもとに一度行くだけで、視力処方が出され、カスタマイズレンズが患者に手渡される。さらに、レンズの購入及び/又は検査費の支払いが、患者に現金又は他の法貨又はクレジット支払を認めることにより、同じ場所で、同じ訪問時に完了しうる。
【0057】
更に別の実施形態において、収差計で測定された患者の低次及び/又は高次の収差は、フレームに予装着した平板レンズの中で補正できうる。1つの実施形態において、平板レンズは平らか、又は美容的な理由たとえば通常のレンズのように見せかけるために湾曲できうる。平板レンズは、屈折率を変える材料か、又はコントロールされた積層に適した担持材料から作られうる。方法100の全体である、患者の屈折率の測定、フレーム化した平板レンズの選定、低次及び/又は高次収差の補正、カスタマイズレンズの提供はすべて1箇所で実施できうる。低次及び/又は高次収差の補正は、望ましい補正に対応する選択的な屈折率変化、望ましい補正に対応する低及び高屈折率の調製材料のコントロールされた積層、又は望ましい補正に対応する、層の高さ及び厚さを変える層の選択的容積変化というような、上記の任意のプログラミング法を含みうる。さらに、現金、電信為替のような法貨又はクレジット支払は、カスタマイズレンズ製造に関連するプロセスに含まれ得る。
【0058】
図10は、眼の測定、補正データの計算、測定された異常を補正するレンズの製造のための典型的なシステム1000の構成要素を示すブロックダイアグラムである。これらの機能のそれぞれは、構成要素システムによって実施される。たとえば、眼の測定システム1010、補正計算システム1020、製造システム1030そして請求及び支払いシステム1040である。システム1000の種々の実施形態は、これらの構成要素システムの種々の実施形態を含み得る。いくつかの実施形態において、システム1000のいくつかの構成要素システム1010,1020,1030及び1040は、結合して統合システムを作りうる。たとえば、1つの実施形態において、測定システム1010は補正計算システム1020と統合できる。他の実施形態において、測定システム1010は製造システム1030と統合できる。1つの実施形態において、各構成要素は同一場所に配置しうる。他の実施形態において、システム構成要素1010,1020,1030及び1040は別々の配置でありうる。測定システム1010は、望ましくは検眼士の事務所又は他の消費者が行けるオフィスか店頭に配置しうる。製造システム1030は、望ましくは光学試験室に配置しうる。1つの実施形態において、計算システム1020は測定システム1010と統合できる。他の実施形態において、以下に詳細を議論するように、計算システム1020はコンピュータネットワーク又は他のデータ通信システムにより分離されて中心に配置され、1以上の測定システム1010に対応する。
【0059】
眼の測定システム1010の実施形態は、患者の眼の異常又は収差といった視覚パラメータを測定するために、上述の種々の波面センサのいずれか1つを含み得る。測定システム1010は、フォロプター(phoropter)、自動屈折器(autorefractor)又は試行レンズをも含み得る。眼の測定システム1010の実施形態は、光学的低次及び/又は高次収差を表す測定データを生み出す。
【0060】
補正計算システム1020は、眼の測定データを受け取り、レンズ製造に用いるレンズデフィニションを決定する。補正計算システム1020の実施形態は、コンピュータハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組合せを含み得る。
【0061】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は患者の眼の高次及び/又は低次収差を補償する補正を示す波面図(wavemap)を生み出す。レンズデフィニションは、波面図、屈折パターン、球、円柱、及び軸という表現での処方、又は他の屈折パターン又は補正との任意の関係を含みうる。さらに、レンズデフィニションは、光学的中心、複数の光学的中心、単一補正ゾーン、複数補正ゾーン、移行ゾーン、ブレンドゾーン、スイム領域、チャンネル、付加ゾーン、頂点間距離、セグメント高さ、軸外注視点ゾーン、ロゴ、不可視マーク等を含み得る。
【0062】
1つの実施形態において、レンズデフィニションは、屈折パターン又は補正を識別する1以上の数又は記号を含む。このような識別マークは、たとえばバーコードを介して電気的又は物理的に伝達される、伝達容易な「処方箋」の役割を果たしうる。
【0063】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は、波面図を患者にとって最適化された他のレンズ表示形式に変換する。波面図又はその他の患者のための最適化されたレンズ表示データは、たとえば患者の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点、セグメンタル高さ、折りたたみ傾斜(pantascopic tilt)、又はx-y傾斜といった特徴に一部基づきうる。
【0064】
レンズデフィニションを計算するため、補正計算システム1020は患者の眼の光学収差のコンジュゲートを生成できる。他の実施形態において、レンズデフィニションの計算は、測定された光学収差を含む患者の眼の測定値に基づくレンズデフィニションの計算に用いる追加のメトリクスに関連して行われうる。たとえば、2003年1月28日発行の米国特許第6,511,180号には、測定された光学収差に基づく補正を決定するための画質メトリクスが開示され、これは参照により全体として本書に組み込む。他の実施形態においては、レンズデフィニションを計算するために他のメトリクスを使用しうる。メトリクスは、改良された患者の視力の主観的測定に関連した光学収差の補正のための選択により、レンズデフィニションを最適化しうる。他の実施形態において、メトリクスは、どの光学収差を補正し、追加し、又は補正しないでおくことが望ましいかを選択するための、試験対象から得たデータを用いて訓練されたソフトウェア分散情報処理ネットワークシステム(software neural network)を含み得る。このような実施形態のより詳細が、2004年2月20日出願の米国仮出願第60/546378号に記載され、これは参照により全体として本書に組み込む。
【0065】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は、色彩選好(好み)に基づく波面図をも計算できる。高次の補正は補正要素を通過する光の色により変化しうる。色彩選好とは、通常、患者が高次補正を最適化するために好む波長を意味する。たとえば、これによって使用者は、たとえばゴルフのための緑色のように、特定の活動のために最も有用な波長での補正を最適化できる。1つの実施形態において、色彩選好は収差計の850nmでの測定によって550nm(緑)に変換し、又は他の色彩を強調するため400を800nmに変換する。
【0066】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は、患者の1以上の他の好みに関連したレンズデフィニションをも計算できる。患者の好みは、レンズの色合い(spectral tint)、又は色を含み得る。患者の好みはまた、レンズデフィニションに、光着色特性(フォトクロミック)すなわち光に反応して色が変わることを含むかどうかも含み得る。さらに補正計算システム1020は、紫外線コーティング、反射防止コーティングの好みといった特徴に関連したレンズデフィニションをも計算できる。1つの実施形態において、レンズデフィニションは、患者が、フレームや視界に関連して高次補正ゾーンをどのように使用するのを好むかといった、患者の使用の好みに関連して計算されうる。
【0067】
補正計算システムは、1以上の補正ゾーンを含むようにレンズデフィニションを計算できる。計算は補正ゾーンの数とサイズの計算を含み得る。各補正ゾーンは高次収差、低次収差、低次及び高次の両収差そして前面及び背面の曲率半径を補正できる。補正ゾーンは、光学中心ゾーン又は複数の光学中心たとえば累進屈折又は多焦点レンズを含み得る。1つの実施形態において、補正計算システム1020は、レンズの1以上の補正ゾーン又は他の部分との間にある混合(blending)又は移行(transition)ゾーンを計算できる。移行ゾーンは、眼の注視(gaze)を補正ゾーンからスムーズに移行させ、補正ゾーンは通常レンズの一部であり、レンズの他の部分である。移行ゾーンは補正ゾーン間の移行も含み得る。移行ゾーンは、2004年3月30日発行の米国特許第6,712,466号、表題「可変屈折率層を用いた眼鏡製造方法」により詳細が述べられており、これは参照により全体として本書に組み込む。
【0068】
1つの実施形態において、補正計算システム1020は、補正計算システム1020の機能を果たすソフトウェアを実行するサーバーコンピュータを含む。サーバーはシステム1000の他の構成要素とネットワークを介して連絡できる。ネットワークは、当業者に自明の任意のデータ連絡技術を用いる、ローカル又は広域ネットワークでありうる。1つの実施形態において、ネットワークはインターネットを含む。1つの実施形態において、補正計算システム1020は、システム1000の他の構成要素と同一場所に配置される。他の実施形態において、補正計算システム1020は、システム1000の他の構成要素とネットワークを介して連結されうるが、システム1000の他の構成要素とは別の場所に配置される。1つの典型的な実施形態において、補正計算システム1020は1以上のシステム1000をサポートするように構成される。このような実施形態において、補正計算システム1020は請求モジュールを含みうる。請求モジュールは、補正計算システム1020の使用量たとえばレンズデフィニションの計算又はダウンロードした各時間に基づいて課金できる。
【0069】
製造システム1030は、補正計算システム1020からの補正データを用いて、患者のためのカスタマイズレンズを製造する。製造システム1030は、レンズデフィニションをレンズに移転するプログラマーを含み得る。プログラマーは、ここで述べたような照射源及びフォトマスクを含み得る。プログラマーはまた、1以上の材料をコントロールして積層するように構成された積層装置を含み得る。
【0070】
1つの実施形態において、製造システム1030は、低次及び高次収差を同時に補正する。たとえば、レンズブランクが、低次及び高次収差の両方を補正するように屈折率を変えるため、たとえば照射源とフォトマスクを用いて感光性材料を硬化するようにプログラムされる。
【0071】
他の実施形態において、製造システム1030は、実質上全ての低次収差を補正し、その後高次収差を補正する。このような実施形態においては、未加工品が成形又は研削によって全ての又は実質的に全ての低次収差が補正され、レンズブランクとなる。高次収差と、そして1つの実施形態においては残存低次収差がたとえばプログラマーを用いて補正される。プログラマーとは、ここで開示した、光学要素の屈折パターンを規定する1以上の方法を実行する、任意の装置を意味する。
【0072】
他の実施形態において、製造システム1030は、高次収差を補正し、次いで低次収差を補正する。たとえば、方法600のある実施形態が高次収差を補正するための所定の屈折率を有する層を積層するために用いられ、その後に低次収差を補正するように計算された鋳造形状を有する完全なレンズに形成するために鋳型が使用される。
【0073】
他の実施形態において、製造システム1030は、高次収差を補正し、次いで低次収差を補正する。たとえば、ここに述べたように、方法600のある実施形態が、高次収差を補正するための所定の変化する厚さを有する層を積層するために用いられ、その後に低次収差を補正するように計算された鋳造形状を有する完全なレンズに形成するために鋳型が使用される。
【0074】
製造システムは、低次収差の補正と、少なくとも1つの高次もしくは残存低次又は高次収差のプログラミングを行う。製造システムは、左右のレンズとその両方に必要な補正を行う。製造システムは、レンズ番号、低次の磨き、研磨、プログラミング、端部加工、コーティング、フレーム等を行う。
【0075】
支払いシステム1040は、患者のレンズ費、検査費及び/又は他の費用の、現金、クレジット、又は他の任意の方法での支払いに対処する、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。支払いシステム1040の実施形態は、コンピュータハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組合せでありうる。このような実施形態は、金銭レジスター、スマートカード読取り機、もしくはチャージ又はクレジットカード読取り機を含み得る。
【0076】
1つの実施形態において、測定システム1010と各構成要素システム1020,1030、及び1040は、1箇所に配置される。1箇所とは、オフィス、店頭、又は光学試験室のような場所を意味する。従って、患者は1箇所で、1度そこに行っただけで処方を受け取り、製造したカスタマイズレンズを受け取ることができる。他の実施形態においては、構成要素システム1010,1020及び1030は、1,2,3箇所又はそれ以上の場所に配置しうる。システム1000の各構成要素は周知の伝達媒体及び手続きを用いて連絡できる。たとえば、1つの実施形態において、システム1000のコンピュータは、イントラネット又はインターネットのようなネットワークを用いて連絡できる。他の実施形態において、構成要素はたとえば印刷物のような、有形物でのデータを提供できる。たとえば、補正計算システム1020は、レンズを記述する、又はレンズデフィニションを同定するバーコードを印刷できる。他の実施形態において、構成要素は着脱可能なコンピュータディスク、スマートカード又は他の物理的電子媒体を介してデータを授受できる。このような印刷物及び電子媒体は、物理的配送又はファクス送信により交換できる。各要素を別の場所に配置することにより、各システムを最適サイズにでき、たとえば計算システム又は製造システムのような高価な装置については、たとえば店頭のような販売場所である測定システム箇所の間で共有することが可能となる。
【0077】
図11は、図10に示すようなシステム1000の実施形態による眼鏡製造方法1100の1つの実施形態である。方法1100はステップ1110に始まり、たとえば、測定システム1010により患者の眼を測定する。次のステップ1120で、患者はフレームスタイルを選択する。この選択されたフレームスタイルは、たとえば、補正計算システム1020及び製造システム1030が受け取る。ステップ1130に移り、レンズを含む眼鏡フレームが、フレーム在庫の中から選択される。1つの実施形態において、この選択は眼の測定値及び/又は選択したフレームスタイルに基づいて行われる。フレーム在庫のレンズは、たとえば、屈折率を有するポリマー層のようなプログラム可能な要素を含み、屈折率は更にたとえば点状硬化により選択的に変更できる。レンズは、たとえば反射防止、耐擦傷性又は色付けのコーティングができる。1つの実施形態において、計算システム1020は平板レンズを含むフレームを選択する。他の実施形態において、計算システム1020は、眼の測定値をもとに選択されうる所定の光学補正を有するレンズを含むフレームを選択する。補正システム1020は、在庫データをもとにこの選択を実行しうる。1つの実施形態において、製造システム1030は、在庫データを維持し、それを補正システム1020に連絡する。ステップ1140に移り、補正が眼の測定値に基づいて計算される。1つの実施形態において、補正は受け取ったフレーム選択に基づいても補正される。1つの実施形態において、補正計算システム1020が計算を実行する。計算は、選択されたフレームのレンズの所定の補正に関連して必要となる残存補正について行われうる。1つの実施形態において、フレームは、補正が選択されたフレームによって生じた残存誤差の補正を含むように、測定されうる。計算された補正は、低次、残存低次収差、高次収差に対する補正又はここで開示された任意の種類の補正を含み得る。ステップ1150に移り、計算された補正が、ここで開示されたようなプログラマーを用いて、選択されたフレームのレンズに適用される。たとえば、1つの実施形態において、計算された補正に対応する屈折パターンを規定するように、UV源が硬化材の薄い層を選択的に硬化する。そしてフレームが患者に渡され、支払いを受け取る。
【0078】
図12は、フレーム付カスタマイズレンズの製造方法1200の1つの実施形態である。ステップ1210に始まり、たとえば測定システム1010を用いて患者の視覚パラメータが測定される。他の典型的な実施形態において、視覚パラメータは、1以上のコンピュータネットワーク、印刷した処方又は視覚パラメータに関連するバーコードによって受け取られる。次のステップ1220では、2枚のレンズを持つ眼鏡のような、フレーム付レンズを受け取る。装着レンズは患者から、又は装着レンズの在庫から入手しうる。1つの実施形態においては、患者がフレーム付レンズたとえば既存の眼鏡を提供する。1つの実施形態においては、患者の視力がステップ1210において、フレーム付眼鏡を通して測定される。他の実施形態においては、患者の視覚パラメータとフレーム付眼鏡が別々に測定される。ステップ1230に移り、補正が視覚パラメータに基づいて、たとえば計算システム1020によって計算される。1つの実施形態において、補正はフレーム付レンズに基づいてもなされうる。ステップ1240に進み、製造システム1030が計算された補正を用いてレンズをプログラムする。1つの実施形態において、表面の輪郭を規定する材料層が、計算された補正に対応する屈折パターンを規定するように、フレーム付レンズの1枚又は両方のレンズの表面に適用される。計算された補正は、低次収差、残存低次収差、高次収差、残存高次収差に対する補正又は両者の組合せを含み得る。この実施形態は図7Bに関連して述べたものと同様であるが、層が鋳型にではなく、フレーム付レンズに適用される点で異なっている。他の実施形態において、計算された補正に対応する屈折パターンを規定するように、材料の異なる混合物からなる材料層がフレーム付レンズに適用される。この実施形態は、図7Gに関連して述べたものと同様であるが、層が鋳型にではなく、フレーム付レンズに適用される点で異なっている。他の実施形態は、図9に関連して述べたように、感光性ゲル層に適用して補正をプログラミングすることを含み得る。
【0079】
他の実施形態は、補正をする、又は1以上の高次収差を導入する光学要素を含む。ある実施形態においては、補正又は段階的に増加する1以上の高次収差値を導入しうる。望ましくはこのような収差は球面収差、三葉紋(trefoil)又はコマ収差を含み得る。1つの実施形態において、光学要素はフォロプターに用いるように形成される。検眼士又は他のユーザーは、患者の光路内に光学要素を置く。そして患者は、補正が視力を改善したかどうか主観的に決定できる。他の実施形態において、光学要素はフレーム付眼鏡レンズを含む。このようなフレーム付高次補正レンズは、1以上の高次収差を種々の倍率で補正する光学要素とともに保管されうる。患者はフレームと補正を、たとえば読書眼鏡とともにフレームの在庫から選択しうる。従って、患者はたとえば、特定の環境又は仕事に用いるようなレンズを容易に入手しうる。
【0080】
他の実施形態において、計算された補正に対応する屈折パターンを、硬化する間の体積変化の差によって規定する、材料層の適用を含み得る。このような1つの実施形態を、図13に関連して述べる。
【0081】
たとえば高強度の光を用いて適切に硬化すると、ポリマーは予想通りに収縮、つまりその体積を実質上減少させる。このような高容積の層は選択的に硬化され、できた層は高次及び低次の両方の光学収差を補正する屈折パターンを示すことがわかった。図13は、厚さが変化している層を持つレンズの製造方法1300の、他の実施形態を図示したものである。ブロック1310から始まり、レンズ部材が光学要素1302と高容積収縮モノマー層1304とから作られる。1つの実施形態において、高容積変化モノマー層1304を持つ光学要素1302は、フレーム付又は装着されたレンズでありうる。1つの実施形態において、光学要素1302は、たとえば研削や研磨により、たとえば低次収差を補正するために輪郭付けされうる。他の実施形態において、モノマー層1304の容積変化により低次収差を補正できる。次はブロック1320に示すように、層1304が2次元グレースケールパターンの高強度照射に曝される。照射パターンはたとえば光源及びフォトマスクを用いて生成されうる。この高強度照射パターンは、層1304に種々の収縮を生じさせ、層1304全体に渡って屈折率を変化させる。モノマーの組成物は、ここで開示した材料を含み得る。さらに、層1304の適切な組成、照射の適切な波長、時間及び強度の選択は、当業者に周知の選択を含み得る。2次元グレースケールパターンは、1以上の高次又は低次収差を補正する層1304を形成するように選択されうる。さらに照射パターンは、光学的中心、複数の光学的中心、単一補正ゾーン、複数補正ゾーン、移行ゾーン、ブレンドゾーン、スイム領域、チャンネル、付加ゾーン、頂点間距離、セグメント高さ、ロゴ、不可視マークを含む、ここで述べたような他の特徴を含むように計算されうる。ブロック1330に移って、層1304がおよそ均一な低強度の照射に曝されうる。照射の強度、波長及び時間は、ポリマーの硬化を完全にするために当業者に周知の選択が可能である。容積の変化はまた低次の収差を補正できる。ブロック1340は硬化したレンズを示す。硬化したレンズはさらに、ハードコーティング、UV防止コーティング、反射防止及び耐擦傷性コーティングのような光学コーティングで処理されうる。
【0082】
実施形態により、ここに述べた任意の方法の行為又は事象は、別途特別に明記しない限り、どのような順序でも実施でき、追加、融合又は全て除去(たとえば、方法を実行するためには必ずしも全ての行為又は事象は必要ではない)できることも理解される。さらに、上記の方法は、球面、非球面、単視、2焦点、多焦点、累進屈折レンズ、アトリック(atoric)、眼内レンズ、又は他の特別なレンズの製造にも用いられうる。
【0083】
ここでは、ある実施形態が眼鏡によるカスタマイズ視力を提供するために述べられているが、他の実施形態においては、光学機器のように他の光学システムのカスタマイズ光学補正を提供することを含み得る。たとえば、カメラ、望遠鏡、双眼鏡又は顕微鏡のような光学機器はカスタマイズ光学要素を含み得る。カスタマイズ光学要素は、設定可変の接眼鏡の一部、機器の要素、又は接眼鏡への追加品として含まれ得る。カスタマイズ光学要素は、ファインダー又は視路及びカメラ、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡又は類似の光学装置の主光路を含む機器の光路を補正するように形成されうる。カスタマイズ光学要素は、ここで述べたような光学システムのカスタマイズ補正を提供するように構成される。1つの実施形態において、カスタマイズ光学要素は、1以上の光学収差及びユーザーの少なくとも片方の眼の他の視覚パラメータを含むレンズデフィニションを与えるように構成される。他の実施形態において、カスタマイズ光学要素は、光学機器内の1以上の光学収差を補正するように構成される。さらに他の実施形態において、カスタマイズ光学要素は、光学機器の光学収差の補正及びユーザーの少なくとも片方の眼のためのレンズデフィニションを含むように構成される。1つの実施形態において、上述のような材料層が、レンズにおけるレンズデフィニションのような補正を規定するように、接眼鏡のようなレンズに適用され、(必要に応じ)硬化される。1つの実施形態において、カスタマイズ要素は、ユーザーの片方の眼で使用するためにカスタマイズレンズデフィニションを含むように構成される。他の実施形態において、双眼鏡がユーザーの両眼のためにカスタマイズされうる。
【0084】
上記の詳細な記述で発明の新規な特徴が、種々の実施形態に適用されたように、示され、記述され、そして指摘されたが、図示された装置やプロセスの形式及び詳細における種々の省略、置換及び変更が、発明の精神から離れることなく、当業者によってなされることが理解される。認識されるように、本発明はここに述べた全ての特徴や利益を提供しない形式で実施できる、つまりある特徴が他の特徴と別々に利用又は実施されうる。本発明の範囲は、これまでの記載ではなく、請求項によって示される。請求項と均等の意義及び範囲にある全ての変更は、本発明の範囲に含まれるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】眼鏡レンズの製造プロセスを示すフローチャートである。
【図2】図1のプロセスの一部として、光学収差を補正するためのレンズ製造方法のある実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したようなレンズ製造方法の一部として、レンズブランク製造方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図4A】図3に示す方法の1ステップにおけるレンズブランクを示す。
【図4B】図3の方法の他のステップにおける図4Aのレンズブランクを示す。
【図4C】図3の方法完了時における図4Aのレンズブランクを示す。
【図4D】図3と同様のレンズ製造方法の他の実施形態の図である。
【図4E】図4Dの実施形態と同様、2つの鋳型の間に低及び高屈折率の調製材料の混合物を注入して光学要素を製造する方法のある実施形態のダイアグラム図である。
【図5】図1のプロセスの一部としての光学レンズ製造方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図6】鋳型を用いていることを除き、図1の方法と同様に、光学収差を補正するためのレンズ製造方法のある実施形態を示すフローチャートである。
【図7A】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7B】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7C】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7D】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7E】図6に示すような方法でレンズを製造するステップを図示したものである。
【図7F】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図7G】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図7H】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図7I】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図7J】層が通常均一の厚さで、レンズ表面に渡って表面を横切る方向に屈折率を変化させるために比率を変化させた材料からなることを除き、図7Aから図7Eに示す方法と同様のレンズ製造方法のステップを図示したものである。
【図8】図6の方法と同様に、自立したポリマー材料の膜状ゲルを用いるレンズブランクの製造方法のある実施形態を示すフローチャートである。
【図9】自立したポリマー材料の膜状ゲルを用いて図1の方法の実施形態に用いるレンズブランクの製造方法のある実施形態を示すフローチャートである。
【図10】たとえば図1の方法の1つの実施形態を用いる眼鏡レンズ製造システムの1つの実施形態を示す単純化したブロックダイアグラムである。
【図11】図10に示すようなシステムのある実施形態を用いる眼鏡製造方法の1つの実施形態を示す。
【図12】カスタマイズフレーム付レンズ製造方法の1つの実施形態である。
【図13】厚さが変化している層を持つレンズの製造方法の他の実施形態を図示したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矯正眼鏡の製作方法において;
患者の眼の視覚パラメータ(vision parameters)の取得;
1以上の装着された光学要素を含む眼鏡フレームの取得;及び
該視覚パラメータに関する屈折パターンを規定する該光学要素のプログラミング、
を含む方法。
【請求項2】
前記視覚パラメータは、前記患者の眼の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点又はx-y傾斜の1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記視覚パラメータは、高次収差、低次収差、高次補正ゾーン、移行ゾーン、スイムゾーン、チャンネル、ブレンドゾーン、及び軸外注視点ゾーン又は読取り能力の1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚パラメータは、色彩選好、色合い選好、光着色選好、紫外線コーティング選好、反射防止コーティング選好又は患者の使用選好の1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記視覚パラメータの取得は、収差計、自動屈折器、フォロプター、又は試行レンズの1以上から得られるデータの受取りを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記屈折パターンを規定する前記光学要素のプログラミングは、該屈折パターンが1以上の高次光学収差を補正するような該光学要素のプログラミングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記屈折パターンを規定する前記光学要素のプログラミングは、該屈折パターンが1以上の低次光学収差を補正するような該光学要素のプログラミングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1以上の光学要素は、2以上の要素の間に配置される硬化材料層を有する該2以上の要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記2以上の要素のうちの少なくとも1つは、光学コーティングを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記光学コーティングは、耐擦傷性コーティングを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光学要素のプログラミングは、前記屈折パターンを規定するための硬化材料層の選択的硬化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1以上の光学要素は、硬化材料の膜を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記光学要素のプログラミングは、前記屈折パターンを規定するための前記硬化材料の膜の選択的硬化を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化材料の膜の選択的硬化は、該硬化材料の膜を2次元グレースケールパターン照射線に曝すことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光学要素のプログラミングは、前記屈折パターンを規定する材料層を該光学要素の上に積層することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記層の積層は、前記屈折パターンを規定する表面輪郭を持つように該層を積層することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記材料層の積層は、前記屈折パターンを規定する2以上の材料組成物の異なる混合物の積層を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記光学要素のプログラミングは;
前記装着された光学要素に硬化材料層を適用し;及び
前記屈折パターンを規定する該層の表面輪郭を形成するため、該層の容積を変化させる、該硬化材料層の選択的硬化を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記光学要素のプログラミングは、該光学要素のレーザー切除を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記光学要素は平板要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記光学要素は、1以上の低次収差を補正するように選択された曲面を持つレンズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記光学要素は、美容的曲面(cosmetic curvature)を持つ要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記1以上の光学要素は、あらかじめ設定された補正力を持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
カスタマイズレンズの製造方法において;
患者の眼の視覚パラメータを含むレンズデフィニション(definition)及び該患者の眼の1以上の光学収差のための補正の取得;
硬化材料層を含む1以上の光学要素を含むフレ−ムの取得;及び
該光学要素を通過する光路中にある該1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する該硬化材料の硬化、
を含む方法。
【請求項25】
前記視覚パラメータは、前記患者の眼の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点又はx-y傾斜の1以上を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化は、前記視覚パラメータに関連して行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レンズデフィニションの取得は、収差計、自動屈折器、フォロプター、又は試行レンズの1以上から得られるデータの受取りを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記1以上の光学収差は、1以上の高次収差を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記1以上の光学要素は、2つの要素の間に配置される前記硬化材料層を有する該2つの要素を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記光学要素は平板要素を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記光学要素は、1以上の低次収差を補正するように選択された曲面を持つレンズを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記光学要素は、美容的曲面を持つ要素を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
カスタマイズレンズの製造方法において;
患者の眼の視覚パラメータを含むレンズデフィニション及び該患者の眼の1以上の光学収差のための補正の取得;
1以上の光学要素を含むフレ−ムの取得;及び
該1以上の光学要素の上に、該光学要素を通過する光路中の該1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する材料層の積層、
を含む方法。
【請求項34】
前記視覚パラメータは、前記患者の眼の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点又はx-y傾斜の1以上を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記レンズデフィニションの取得は、収差計、自動屈折器、又はフォロプターの1以上から得られるデータの受取りを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記1以上の光学収差は、1以上の高次収差を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記1以上のレンズ(光学要素)は、あらかじめ設定された補正力を持つ、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記層の積層は、前記屈折パターンを規定する表面輪郭を形成するための該層の積層を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記材料層の積層は、前記屈折パターンを規定する2以上の材料組成物の異なる混合物の積層を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記視覚パラメータの測定は、1以上の光学収差の測定を含み、前記材料層の積層は、前記フレーム付光学要素中の該1以上の光学収差の補正を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記光学要素は平板要素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記光学要素は、あらかじめ設定された補正力を持つ眼鏡レンズを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記測定された視覚パラメータから前記屈折パターンを計算することを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記層の積層は;
硬化材料の該層の積層;
前記屈折パターンを規定する該層の表面輪郭を規定するため、該層の容積を変化させる、該層の選択的硬化;及び
該層の実質的に均一な硬化、
を含む請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記選択的硬化は、前記層を2次元グレースケールパターンの高強度照射線に曝すことを含み、前記層の実質的に均一な硬化は、該層を実質的に均一な低強度照射線に曝すことを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
カスタマイズレンズの製作方法において;
患者の眼の視覚パラメータを含むレンズデフィニション及び該患者の眼の1以上の光学収差の補正の取得;
フレーム付レンズへの硬化ポリマー層の適用;及び
該1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する表面輪郭を規定するため、該層の容積を変化させる、該層の選択的硬化、
を含む方法。
【請求項47】
前記屈折パターンは、1以上の高次収差を補正する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記屈折パターンは、1以上の低次収差を補正する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記屈折パターンは、1以上の低次収差及び1以上の高次収差を補正する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記選択的硬化は、前記層を2次元グレースケールパターン照射線に曝すことを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記照射線は、高強度照射線を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記層の実質的に均一な硬化を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記実質的に均一な硬化は、前記層を実質的に均一な照射線に曝すことを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記照射線は、低強度照射線を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記フレーム付レンズは平板レンズを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
光学要素において;
1以上の高次収差を補正するように構成される1以上のレンズを含み、該1以上の高次収差は、三葉紋、コマ、球面収差、又はこれらの組合せの1以上を含む、
光学要素。
【請求項57】
前記1以上のレンズを装着するように構成されるフレームを更に含む、請求項56に記載の光学要素。
【請求項58】
患者の光路内に前記1以上のレンズを配置するように構成されるフォロプターを更に含む、請求項56に記載の光学要素。
【請求項59】
カスタマイズレンズの製造方法において;
患者の眼の視覚パラメータを含むレンズデフィニション及び該患者の眼の1以上の光学収差のための補正の取得;及び
硬化材料層を含む1以上の光学要素を含むフレームの取得;及び
レンズデフィニションに関連する屈折パターンを規定する表面輪郭を規定するため、該層の容積を変化させる、該層の選択的硬化、
を含む方法。
【請求項60】
前記視覚パラメータは、前記患者の眼の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点、又はx-y傾斜の1以上を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記レンズデフィニションの取得は、収差計、自動屈折器、フォロプター、又は試行レンズの1以上から得られるデータの受取りを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記1以上の光学収差は、1以上の高次収差を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記1以上の光学要素は、2つの要素の間に配置される前記硬化材料層を有する該2つの要素を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記光学要素は、平板要素を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記光学要素は、1以上の低次収差を補正するために選択される曲面を持つレンズを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記光学要素は、美容的曲面を持つ要素を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項1】
矯正眼鏡の製作方法において;
患者の眼の視覚パラメータ(vision parameters)の取得;
1以上の装着された光学要素を含む眼鏡フレームの取得;及び
該視覚パラメータに関する屈折パターンを規定する該光学要素のプログラミング、
を含む方法。
【請求項2】
前記視覚パラメータは、前記患者の眼の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点又はx-y傾斜の1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記視覚パラメータは、高次収差、低次収差、高次補正ゾーン、移行ゾーン、スイムゾーン、チャンネル、ブレンドゾーン、及び軸外注視点ゾーン又は読取り能力の1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚パラメータは、色彩選好、色合い選好、光着色選好、紫外線コーティング選好、反射防止コーティング選好又は患者の使用選好の1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記視覚パラメータの取得は、収差計、自動屈折器、フォロプター、又は試行レンズの1以上から得られるデータの受取りを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記屈折パターンを規定する前記光学要素のプログラミングは、該屈折パターンが1以上の高次光学収差を補正するような該光学要素のプログラミングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記屈折パターンを規定する前記光学要素のプログラミングは、該屈折パターンが1以上の低次光学収差を補正するような該光学要素のプログラミングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1以上の光学要素は、2以上の要素の間に配置される硬化材料層を有する該2以上の要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記2以上の要素のうちの少なくとも1つは、光学コーティングを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記光学コーティングは、耐擦傷性コーティングを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光学要素のプログラミングは、前記屈折パターンを規定するための硬化材料層の選択的硬化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1以上の光学要素は、硬化材料の膜を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記光学要素のプログラミングは、前記屈折パターンを規定するための前記硬化材料の膜の選択的硬化を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化材料の膜の選択的硬化は、該硬化材料の膜を2次元グレースケールパターン照射線に曝すことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光学要素のプログラミングは、前記屈折パターンを規定する材料層を該光学要素の上に積層することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記層の積層は、前記屈折パターンを規定する表面輪郭を持つように該層を積層することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記材料層の積層は、前記屈折パターンを規定する2以上の材料組成物の異なる混合物の積層を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記光学要素のプログラミングは;
前記装着された光学要素に硬化材料層を適用し;及び
前記屈折パターンを規定する該層の表面輪郭を形成するため、該層の容積を変化させる、該硬化材料層の選択的硬化を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記光学要素のプログラミングは、該光学要素のレーザー切除を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記光学要素は平板要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記光学要素は、1以上の低次収差を補正するように選択された曲面を持つレンズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記光学要素は、美容的曲面(cosmetic curvature)を持つ要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記1以上の光学要素は、あらかじめ設定された補正力を持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
カスタマイズレンズの製造方法において;
患者の眼の視覚パラメータを含むレンズデフィニション(definition)及び該患者の眼の1以上の光学収差のための補正の取得;
硬化材料層を含む1以上の光学要素を含むフレ−ムの取得;及び
該光学要素を通過する光路中にある該1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する該硬化材料の硬化、
を含む方法。
【請求項25】
前記視覚パラメータは、前記患者の眼の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点又はx-y傾斜の1以上を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化は、前記視覚パラメータに関連して行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レンズデフィニションの取得は、収差計、自動屈折器、フォロプター、又は試行レンズの1以上から得られるデータの受取りを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記1以上の光学収差は、1以上の高次収差を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記1以上の光学要素は、2つの要素の間に配置される前記硬化材料層を有する該2つの要素を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記光学要素は平板要素を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記光学要素は、1以上の低次収差を補正するように選択された曲面を持つレンズを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記光学要素は、美容的曲面を持つ要素を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
カスタマイズレンズの製造方法において;
患者の眼の視覚パラメータを含むレンズデフィニション及び該患者の眼の1以上の光学収差のための補正の取得;
1以上の光学要素を含むフレ−ムの取得;及び
該1以上の光学要素の上に、該光学要素を通過する光路中の該1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する材料層の積層、
を含む方法。
【請求項34】
前記視覚パラメータは、前記患者の眼の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点又はx-y傾斜の1以上を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記レンズデフィニションの取得は、収差計、自動屈折器、又はフォロプターの1以上から得られるデータの受取りを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記1以上の光学収差は、1以上の高次収差を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記1以上のレンズ(光学要素)は、あらかじめ設定された補正力を持つ、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記層の積層は、前記屈折パターンを規定する表面輪郭を形成するための該層の積層を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記材料層の積層は、前記屈折パターンを規定する2以上の材料組成物の異なる混合物の積層を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記視覚パラメータの測定は、1以上の光学収差の測定を含み、前記材料層の積層は、前記フレーム付光学要素中の該1以上の光学収差の補正を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記光学要素は平板要素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記光学要素は、あらかじめ設定された補正力を持つ眼鏡レンズを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記測定された視覚パラメータから前記屈折パターンを計算することを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記層の積層は;
硬化材料の該層の積層;
前記屈折パターンを規定する該層の表面輪郭を規定するため、該層の容積を変化させる、該層の選択的硬化;及び
該層の実質的に均一な硬化、
を含む請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記選択的硬化は、前記層を2次元グレースケールパターンの高強度照射線に曝すことを含み、前記層の実質的に均一な硬化は、該層を実質的に均一な低強度照射線に曝すことを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
カスタマイズレンズの製作方法において;
患者の眼の視覚パラメータを含むレンズデフィニション及び該患者の眼の1以上の光学収差の補正の取得;
フレーム付レンズへの硬化ポリマー層の適用;及び
該1以上の光学収差を補正する屈折パターンを規定する表面輪郭を規定するため、該層の容積を変化させる、該層の選択的硬化、
を含む方法。
【請求項47】
前記屈折パターンは、1以上の高次収差を補正する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記屈折パターンは、1以上の低次収差を補正する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記屈折パターンは、1以上の低次収差及び1以上の高次収差を補正する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記選択的硬化は、前記層を2次元グレースケールパターン照射線に曝すことを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記照射線は、高強度照射線を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記層の実質的に均一な硬化を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記実質的に均一な硬化は、前記層を実質的に均一な照射線に曝すことを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記照射線は、低強度照射線を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記フレーム付レンズは平板レンズを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
光学要素において;
1以上の高次収差を補正するように構成される1以上のレンズを含み、該1以上の高次収差は、三葉紋、コマ、球面収差、又はこれらの組合せの1以上を含む、
光学要素。
【請求項57】
前記1以上のレンズを装着するように構成されるフレームを更に含む、請求項56に記載の光学要素。
【請求項58】
患者の光路内に前記1以上のレンズを配置するように構成されるフォロプターを更に含む、請求項56に記載の光学要素。
【請求項59】
カスタマイズレンズの製造方法において;
患者の眼の視覚パラメータを含むレンズデフィニション及び該患者の眼の1以上の光学収差のための補正の取得;及び
硬化材料層を含む1以上の光学要素を含むフレームの取得;及び
レンズデフィニションに関連する屈折パターンを規定する表面輪郭を規定するため、該層の容積を変化させる、該層の選択的硬化、
を含む方法。
【請求項60】
前記視覚パラメータは、前記患者の眼の頂点間距離、瞳径、瞳間距離、フレーム情報、注視点、又はx-y傾斜の1以上を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記レンズデフィニションの取得は、収差計、自動屈折器、フォロプター、又は試行レンズの1以上から得られるデータの受取りを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記1以上の光学収差は、1以上の高次収差を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記1以上の光学要素は、2つの要素の間に配置される前記硬化材料層を有する該2つの要素を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記光学要素は、平板要素を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記光学要素は、1以上の低次収差を補正するために選択される曲面を持つレンズを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記光学要素は、美容的曲面を持つ要素を含む、請求項59に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図7I】
【図7J】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図7I】
【図7J】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−511796(P2007−511796A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539572(P2006−539572)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/036099
【国際公開番号】WO2005/050289
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504159981)オフソニックス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/036099
【国際公開番号】WO2005/050289
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504159981)オフソニックス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
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