説明

眼鏡フレームのレンズ止着機構

【課題】簡単な操作で確実にレンズを止着することができ、かつ、高い加工精度を必要とすることなく製造コストを軽減することができる眼鏡フレームのレンズ止着機構を提供すること。
【解決手段】フロントリム1は弾性を有する合成樹脂材料からなる板状の部材であって、左右一対の開口部10をそれぞれ形成し、かつ、この開口部10の内周縁には、前記レンズ2の外周縁形状に沿って合致する掛合爪11を突成する一方、当該内周縁の他部には一対の切欠部12aを設け、これらの間にロック爪12を形成するとともに、前記レンズ2の外周縁に沿ってスリット溝21を形成して、このスリット溝21に前記掛合爪11を側方から嵌入して掛合せしめて、かつ、前記ロック爪12の先端部を撓曲せしめて前記レンズ2のスリット溝21の一部に掛合することによって、当該レンズ2を開口部10内に内装して固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡フレームの改良、更に詳しくは、簡単な操作で確実にレンズを止着することができ、かつ、高い加工精度を必要とすることなく製造コストを軽減することができる眼鏡フレームのレンズ止着機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、眼鏡フレームには種々の形状のものがあり、各種形状の眼鏡フレームを提供することによって一般大衆の多種多様な要望に応えており、例えば、レンズを止着する構造としても、フルリムタイプ、ハーフリムタイプ、リムレスタイプなどが知られている。
【0003】
従来、リムを用いてレンズを止着する場合は、レンズの外周縁に全周に亙る凹溝(スリット)を形成して、この凹溝にリムの内周縁に形成した突起やテグスなどのバンドを嵌合せしめてレンズを止着保持している。
【0004】
そして、レンズをフルリムタイプのフレームに止着するものとしては、板状に形成したリムの開口部の縁部を、レンズ周縁の凹溝に嵌合するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、かかる眼鏡フレームは、板状リムの一部に切口部を形成して開口され、所謂「リムロック」が構成されているため、衝撃だけでなく、リムロック部分の故障によってもレンズが脱落するおそれがあるという問題があった。
【0006】
また、レンズと板状リムの開口部とを同一形状にして嵌着させるものも開示されているが(例えば、特許文献2参照)、このように形状を一致させるためには、高い加工精度を求められるため、製造コストが嵩んだり、レンズが合致せずに当該箇所に無用な圧力がかかってレンズやリムを破損してしまうというおそれがあった。
【特許文献1】特開2001−281605号公報(第2−3頁、図1−2)
【特許文献2】特開2003−15095号公報(第2頁、図9−10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の眼鏡フレームに上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、簡単な操作で確実にレンズを止着することができ、かつ、高い加工精度を必要とすることなく製造コストを軽減することができる眼鏡フレームのレンズ止着機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、左右一対のレンズ2・2をフロントリム1に保持可能な眼鏡フレームのフロント部において、前記フロントリム1は弾性を有する合成樹脂材料からなる板状の部材であって、左右一対の開口部10・10をそれぞれ形成して、かつ、この開口部10の内周縁には、前記レンズ2の外周縁形状に沿って合致する掛合爪11を突成する一方、当該内周縁の他部には一対の切欠部12a・12aを設け、これらの間にロック爪12を形成するとともに、前記レンズ2の外周縁に沿ってスリット溝21を形成して、このスリット溝21に前記掛合爪11を側方から嵌入して掛合せしめて、かつ、前記ロック爪12の先端部を撓曲せしめて前記レンズ2のスリット溝21の一部に掛合することによって、当該レンズ2を開口部10内に内装して固定することができるようにするという技術的手段を採用したことによって眼鏡フレームのレンズ止着機構を完成させた。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロントリム1の切欠部12a・12aおよびロック爪12をフロント外側に形成するという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロントリム1の中央部に止着部13を配設し、当該フロントリム1を眼鏡本体のブリッジに固定可能にするという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロントリム1の合成樹脂材料を、ポリアミド系超弾性樹脂にするという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、左右一対のレンズをフロントリムに保持可能な眼鏡フレームのフロント部において、前記フロントリムを弾性を有する合成樹脂材料からなる板状の部材にして、左右一対の開口部をそれぞれ形成して、かつ、この開口部の内周縁には、前記レンズの外周縁形状に沿って合致する掛合爪を突成する一方、当該内周縁の他部には一対の切欠部を設け、これらの間にロック爪を形成するとともに、前記レンズの外周縁に沿ってスリット溝を形成することによって、このスリット溝に前記掛合爪を側方から嵌入して掛合せしめて、かつ、前記ロック爪の先端部を撓曲せしめて前記レンズのスリット溝の一部に掛合することによって、当該レンズを開口部内に内装して固定することができる。
【0014】
したがって、本発明の止着機構を使用することにより、簡単な操作で確実にレンズを止着することができ、かつ、高い加工精度を必要とすることなく製造コストを軽減することができることから、眼鏡フレームとしての実用的利用価値は頗る高いものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0016】
本発明の実施形態を図1から図4に基づいて説明する。図1中、符号1で指示するものはフロントリムであり、このフロントリム1は弾性を有する合成樹脂材料からなる板状の部材である。
【0017】
また、符号2で指示するものはレンズであり、外周縁に沿ってスリット溝21が形成されている。
【0018】
しかして、本発明における止着機構は、左右一対のレンズ2・2をフロントリム1に保持可能な眼鏡フレームのフロント部において採用され、構成について以下に説明する。
【0019】
まず、前記フロントリム1は弾性を有する合成樹脂材料からなる板状の部材であって、左右一対の開口部10・10をそれぞれ形成する(図2参照)。
【0020】
本実施形態では、フロントリム1の合成樹脂材料を、ポリアミド系超弾性樹脂(例えばEMS社製「グリラミドTR90」など)にすることができ、弾力性および再現性に優れているので、ロック爪12を繰り返し撓曲させても、破損することがない。
【0021】
そして、この開口部10の内周縁には、前記レンズ2の外周縁形状に沿って合致する掛合爪11を突成する。本実施形態では、掛合爪11を開口部10の上縁、下縁、内側に設け、連続的に形成しても断続的に形成しても良い。
【0022】
次いで、当該内周縁の他部には一対の切欠部12a・12aを設け、これらの間にロック爪12を形成する。この切欠部12aは内周縁からやや食い込むように設けられ、かつ、ロック爪12の先端部は、内周縁からやや突出するように設けることにより、所定高さを確保することができ、ロック爪12の撓曲変形を許容ならしめている。
【0023】
一方、前記レンズ2の外周縁に沿ってスリット溝21を形成する。本実施形態では、レンズ全周に亙って形成する。
【0024】
そして、図3に示すように、このスリット溝21に前記掛合爪11を側方から嵌入して一部を掛合せしめ、然る後、前記ロック爪12の先端部を撓曲せしめて前記レンズ2のスリット溝21の残りの一部に掛合することによって、当該レンズ2を開口部10内に内装して固定することができる(図4参照)。
【0025】
本実施形態では、フロントリム1の切欠部12a・12aおよびロック爪12を衝撃などで外力がかかり難いフロント外側に形成することによって、これらの部材の掛合を外れ難くすることができる。
【0026】
また、本実施形態では、フロントリム1の中央部に止着部13を配設して、この止着部13にボルトを挿通することにより、当該フロントリム1を眼鏡本体のブリッジに固定可能にすることができる。
【0027】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、フロントリム1の掛合爪11およびロック爪12の形成位置は、デザインに応じて変更することができる。
【0028】
また、フロントリム1に直接眼鏡フレーム本体やエンドピースを固定することもできるし、止着部13の構成や配設位置も変更することもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態の眼鏡を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の実施形態のフロントリムを表わす正面図である。
【図3】本発明の実施形態の止着機構を表わす部分斜視図である。
【図4】本発明の実施形態の止着機構を表わす部分上面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 フロントリム
10 開口部
11 掛合爪
12 ロック爪
12a 切欠部
13 止着部
2 レンズ
21 スリット溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のレンズ2・2をフロントリム1に保持可能な眼鏡フレームのフロント部において、
前記フロントリム1は弾性を有する合成樹脂材料からなる板状の部材であって、左右一対の開口部10・10がそれぞれ形成されており、かつ、この開口部10の内周縁には、前記レンズ2の外周縁形状に沿って合致する掛合爪11が突成されている一方、当該内周縁の他部には一対の切欠部12a・12aが設けられ、これらの間にロック爪12が形成されているとともに、
前記レンズ2の外周縁に沿ってスリット溝21が形成されており、このスリット溝21に前記掛合爪11を側方から嵌入して掛合せしめて、かつ、前記ロック爪12の先端部を撓曲せしめて前記レンズ2のスリット溝21の一部に掛合することによって、当該レンズ2を開口部10内に内装して固定することができることを特徴とする眼鏡フレームのレンズ止着機構。
【請求項2】
フロントリム1の切欠部12a・12aおよびロック爪12がフロント外側に形成されていることを特徴とする請求項1記載の眼鏡フレームのレンズ止着機構。
【請求項3】
フロントリム1の中央部に止着部13が配設されており、当該フロントリム1を眼鏡本体のブリッジに固定可能であることを特徴とする請求項1または2記載の眼鏡フレームのレンズ止着機構。
【請求項4】
フロントリム1の合成樹脂材料が、ポリアミド系超弾性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の眼鏡フレームのレンズ止着機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−85896(P2010−85896A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257226(P2008−257226)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(390013893)浜本テクニカル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】