着用物品
【課題】前後胴回り域をつなぐ連結部材による肌の蒸れを防ぐ。
【解決手段】着用物品1の前胴回り域2と後胴回り域3とが連結部材6を介してつながる。連結部材6は前後方向Aにおいて離間する圧搾部31を有し、圧搾部31は着用物品1の着用者の肌に向かって隆起した状態にある。
【解決手段】着用物品1の前胴回り域2と後胴回り域3とが連結部材6を介してつながる。連結部材6は前後方向Aにおいて離間する圧搾部31を有し、圧搾部31は着用物品1の着用者の肌に向かって隆起した状態にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨てのおむつを一例とする着用物品に関し、より詳しくは、前後胴回り域の間に連結部材が介在している前記着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
着用物品が前後胴胴回り域を有し、これら両胴回り域がこれらとは別体の連結部材を介して連結されているものは公知である。
【0003】
例えば、特開2004−121389号公報(特許文献1)に開示された使い捨ておむつは、腹側部と背側部との間にこれら両部とは別体の連結部材である連結シートが介在している。連結シートには胴回り方向に展開可能な折畳み部が形成され、その折畳み部は、折畳み部を一時的に閉じておくことのできる再使用可能な止着部を有している。おむつを着用させるときには、折畳み部を広げておき、おむつに脚を通してから折畳み部を閉じ、止着部を使って折畳み部の閉じた状態を維持することができる。おむつを脱がせるときには、折畳み部を広げることによって、おむつを引き下げることが容易になる。連結シートは、その内面が前後胴回り域それぞれの内面に接合している。おむつの前後方向において、連結シートは二つに折り重ねられている場合と、蛇腹折りにされている場合とがある。
【0004】
特開2008−12115号公報(特許文献2)に開示されたパンツ型着用物品は、連結部材として前後胴回り域の側部どうしを剥離可能かつ再結合可能につなぐ連結手段を有する。連結手段には、胴回り方向においてZ字形に折り重ねられたものと逆Z字形に折り重ねられたものとがあり、Z字形に折り重ねられたものはZ字形における頂辺が前後胴回り域の一方の内面に剥離不能に取り付けられており、Z字形における中間辺と底辺とは互いに接合して一体になっているとともに底辺における外面が前後胴回り域のもう一方の内面に対してファスナ部材を介して剥離可能かつ再結合可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−121389号公報
【特許文献2】特開2008−12115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術における着用物品は、蛇腹折りの状態やZ字形に折畳まれていた連結部材を伸展させて着用したときに、その連結部材が着用者の胴回り側部に密着する。加えて、連結部材は強度上の必要性や形状を保持する必要性等の理由によって、密度の高い不織布やプラスチックフィルムによって形成されることが多い。ところが、そのような連結部材が密着している部分の肌は、それを通気性のよい状態に置くことが難しく、蒸れ易いということがある。
【0007】
この発明では、連結部材に起因するこのような問題を解消することが可能な着用物品の提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、前胴回り域と後胴回り域との側縁部どうしが連結部材を介してつながる着用物品である。
【0009】
かかる着用物品において、この発明が特徴とするところは、以下のとおりである。前記連結部材は、前記着用物品の肌と向かい合う内面と前記内面の反対面である外面とを有するとともに、前記前胴回り域と前記後胴回り域とにつながる前後方向と前記前後方向に直交する上下方向とを有し、前記前後方向において重なり合うように折畳まれた状態にある。折畳まれている前記連結部材は、前記前後方向と前記上下方向とのうちの少なくとも前記前後方向において互いに離間する複数の部位で圧搾されていて前記内面に隆起部が形成されている。折畳まれている前記連結部材が前記前後方向へ伸展した状態では、前記内面に形成された前記隆起部の頂部が前記肌に向かって突出した状態にあって前記前後方向において弧を描いている。
【0010】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記内面に形成された前記隆起部の頂部には、前記連結部材を貫通する開孔が形成されている。
【0011】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記前後方向において隣り合う前記隆起部は、前記頂部どうしが3〜15mm離間している。
【0012】
この発明の実施態様の一つにおいて、折畳まれている前記連結部材は、前記上下方向において互いに離間する複数の部位で圧搾されていて前記内面に隆起部が形成されており、前記上下方向において隣り合う前記隆起部は、前記頂部どうしが3〜15mm離間している。
【0013】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記連結部材が前記前後方向へ伸展した状態にある前記着用物品では、前記前胴回り域の側縁部と前記後胴回り域の側縁部とが前記前後方向において離間していて、これら両側縁部の間に前記連結部材の一部分が介在し、前記一部分の前記内面には前記肌に向かって突出した状態の前記頂部が形成されている。
【0014】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記頂部が前記肌に向かって突出した状態にある前記隆起部がドット状のものであって、前記前後方向と前記上下方向とにおいて互いに離間するように形成されている。
【0015】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記頂部が前記肌に向かって突出した状態にある前記隆起部は、その平面形状が前記上下方向に長さ方向を有する長円形である。
【0016】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記頂部が画く前記弧の半径は、0.5〜2mmの範囲にある。
【0017】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記隆起部の前記頂部が前記肌に接触したときに、隣り合う前記隆起部どうしの間には、前記前後方向と前記上下方向とのうちの少なくとも前記上下方向へ延びていて前記内面と前記肌とが非接触状態にある通気路を形成可能である。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る着用物品は、前胴回り域の側縁部と後胴回り域の側縁部とが連結部材を介してつながり、その連結部材には、前後方向において互いに離間するように圧搾部が形成されていて、その圧搾部が隆起部を形成している。その連結部材を前後方向へ伸展したときには、隆起部のうちの一部のものが着用物品の着用者の肌に向かって突出した状態になるから、連結部材は肌に対して密着し難くなって、肌との間に間隙を形成する。その間隙の存在によって、肌を通気性のよい状態におくことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】折畳まれた状態にある着用物品(パンツ型おむつ)の部分破断視図。
【図2】着用状態にある図1の着用物品の斜視図。
【図3】図1のIII−III線切断面を模式的に示す図。
【図4】図2のIV−IV線切断面を模式的に示す図。
【図5】実施態様の一例を示す図4と同様な図。
【図6】圧搾部を形成するためのピンとアンビルとを示す図。
【図7】実施態様の一例を示す図1と同様な図。
【図8】着用状態にある図7の着用物品の斜視図。
【図9】図7のIX−IX線切断面を模式的に示す図。
【図10】図8のX−X線切断面を模式的に示す図。
【図11】実施態様の一例を示す図9と同様な図。
【図12】実施態様の一例を示す図1と同様な図。
【図13】着用状態にある図11の着用物品の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る着用物品の一例として使い捨てのパンツ型おむつを例にとり、添付の図面を参照してこの発明の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0021】
図1は、使い捨てのパンツ型おむつ1の部分破断斜視図である。おむつ1は、前後方向Aと横方向Bと上下方向Cとを有し、前後方向Aにおいては前胴回り域2と後胴回り域3とが対向し、上下方向Cにおいてはこれら両域2,3に対して股下域4がつながっている。前胴回り域2の側縁部8と後胴回り域3の側縁部9との間には連結部材6が介在している。図1のおむつ1は、平坦な状態となるように折畳まれていて、前胴回り域2と後胴回り域3とが重なり合っており、連結部材6は二つに折畳まれている。その連結部材6には、圧搾部31が形成されている。前胴回り域2と後胴回り域3とには、胴回り弾性部材11が伸長と収縮とが可能な状態で取り付けらており、股下域4には脚回り弾性部材12が伸長と収縮とが可能な状態で取り付けられている。股下域4では、透液性内面シート5aと不透液性外面シート5bとの間に吸収体5cが介在している。おむつ1は、横方向Bの寸法を二等分する中心線Pに関し、実質的な意味において対象となるように形成されている。
【0022】
図2は、着用状態にあるおむつ1の斜視図であるが、そのおむつ1の着用者の図示は省略されている。着用状態にあるおむつ1では、前胴回り域2と後胴回り域3とが着用者の胴回りにフィットするように湾曲している。連結部材6を介して重なり合っていた前胴回り域2の側縁部8と後胴回り域3の側縁部9とは離間して、折畳まれていた連結部材6が前後方向Aへ、換言すると胴回り方向Dへ伸展した状態にある。また、伸展した連結部材6の前後方向Aにおける中央部6aが互いに離間している側縁部8と側縁部9との間に位置している。連結部材6はまた、連結部材6L,6Rを含んでいるものでもある。ここで、参照符号に付けられているLとRの記号は、おむつ着用者にとっての左側と右側とを意味している。また、参照符号について、例えば連結部材6L,6Rではなくて、LまたはRの記号を付けられていない連結部材6とあるときの参照符号6は、LとRとを区別することなく連結部材の一方または両方を意味している。
【0023】
図2において、前後方向Aへ伸展している連結部材6には、図1において折畳まれていた連結部材6をその折畳まれた状態に維持するための仮止め手段として作用していたドット状の圧搾部31が見えている。圧搾部31は、前後方向Aと上下方向Cとにおいて間欠的に並ぶように複数形成されている。
【0024】
図3は、図1におけるIII−III線切断面を示す図である。連結部材6は、内面16と外面17とを有し、図2における前後方向Aの寸法は折曲線15において前方部分13と後方部分14とに二分されていて、図3ではその前方部分13と後方部分14との内面16どうしが重なり、第1層101と第2層102とが形成されるように折畳まれている。前方部分13はホットメルト接着剤HAを介して側縁部8の内面に接合している前端部18を有し、後方部分14はホットメルト接着剤HAを介して側縁部9の内面に接合している後端部19を有している。前端部18と後端部19との間に位置するのは連結部材6の中間部20であって、側縁部8,9のそれぞれから横方向Bへ延出している。
【0025】
連結部材6に形成されている圧搾部31は、連結部材6を作るためのシート片10(図6参照)を図の如くに折畳み、そのシート片10を図の下方から上方に向かって局部的に圧搾することにより形成されたものであり、圧搾部31のうちで前方部分13に形成されている圧搾部31fは連結部材6の内面16から突出した隆起部となるように形成され、後方部分14に形成されている圧搾部31rは連結部材6の外面17から突出した隆起部となるように形成されていて、圧搾部31fと圧搾部31rとは互いに重なり合っている。シート片10は、熱可塑性合成繊維の不織布や熱可塑性合成樹脂のフィルム等の熱可塑性合成樹脂によって形成されていて、2g/cm2の質量下における厚さが0.1〜1mmの範囲にあるもので、重なり合った圧搾部31fと31rとは、シート片10に含まれた繊維どうしが機械的に交絡するか或いは溶着することによって、またはシート片に含まれた熱可塑性合成製樹脂のフィルムどうしが溶着することによって、連結部材6の折畳まれた状態を一時的に保つための仮止め手段として作用している。その仮止めの強さの程度は、圧搾部31を得るための後記エンボス加工(図6参照)における温度、圧力、圧搾時間等の条件によって調整することが可能で、図1のおむつ1では、それを着用するために連結部材6を前後方向Aへ伸展させるように前後胴回り域2,3を引っ張ると、その仮止めが容易に解けるように仮止めの強さが調整されている。
【0026】
図4は、図2のIV−IV線切断面を示す図であって、仮想線15は連結部材6の折曲線(図3参照)の位置を示し、仮想線40は、おむつ着用者の胴回りの肌の一部分を示している。前後方向Aへ伸展した状態の連結部材6において、連結部材6の一部分であって仮想線15よりも下方に位置する前方部分13では、隆起部を形成している圧搾部31fの頂部41fが着用者の肌に向かって突出している。また、連結部材6の一部分であって仮想線15よりも上方に位置する後方部分14では、隆起部を形成している圧搾部31rの頂部41rが、おむつ1の外方に向かって突出している。図2において明らかなように、圧搾部31は、前後方向Aと上下方向Cとにおいて間欠的に形成されているから、その圧搾部31のうちの圧搾部31fにおける頂部41fが図4の如く肌40に接触する一方、隣り合う頂部41fと41fとの間の部分が肌40から離間しているときには、連結部材6のうちの少なくとも前方部分13と肌40との間に上下方向Cに延びる通気路42と、前後方向Aに延びる通気路43(図2参照)とが形成される。これら通気路42,43は、おむつ1を着用しているときに連結部材6の内側において肌が蒸れる、という問題の解消に役立つ。このように、圧搾部31は、連結部材6の内面が隆起するように形成されている場合に、肌の蒸れを防ぐことにおいて優れている。
【0027】
通気路42,43を形成することのできるドット状の圧搾部31fは、連結部材6の面積2500mm2当たりについて25〜120個の割合で形成し、前方部分13において内面16から頂部41までの高さを0.3〜2mmの範囲におさめることが好ましい。圧搾部31fの個数が120個を越える場合には、通気路42および/または43の幅が狭くなりすぎるので好ましくない。また、圧搾部31fの個数が25に満たない場合には、通気路42および/または43の幅が大きくなりすぎて、隆起部31fと31fとの間で肌が連結部材6に接触し、実質的な意味において、通気路の幅を狭くすることになりかねない。圧搾部31fにおける頂部41までの高さが0.3mm未満である場合には、やはり実質的な意味において、連結部材6と肌40との間に通気路42および/または43を形成することが難しくなる。また、頂部41までの高さが2mmを超える場合には、連結部材6を使用しているときに、頂部41の肌40に対する食い込みが深くなりすぎることがある。頂部41の肌40への食い込みを防ぐためにはまた、おむつ1の前後方向Aと上下方向Bとのうちの少なくとも一方において頂部41が弧を画いていることが好ましい。その弧は、半径が0.5〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。
【0028】
図5は、実施態様の一例を示す図4と同様な図である。図示例の連結部材6における圧搾部31fの頂部41には、通気性の開孔51が形成されている。このような開孔51は、連結部材6が不織布で形成されている場合のその不織布における繊維間隙であってもよいが、連結部材6を形成しているシート片を加工することによって得られる開孔であってもよいが、繊維間隙よりも大きな孔径を有する開孔であることが好ましい。開孔51はまた、孔径が0.3〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。連結部材6は、通気路42,43を有することに加えて、開孔51を有することによって、通気性において特に優れたものになり得る。開孔51による連結部材6の通気性の向上は、開孔51が連結部材6の中央部6a(図2,4参照)に形成されていて、前胴回り域2や後胴回り域3に覆われていない場合に顕著になる。
【0029】
図1〜5に例示の連結部材6において、圧搾部31fにおける頂部41の高さおよび開孔51の孔径を測定するには、測定の対象とする連結部材6についての10〜30倍の拡大画像を使用する。頂部41の高さを測定するときに、圧搾部31fの断面を観察することが好ましい場合には、液体窒素によって冷却した連結部材6を鋭利な刃物で切断することによってその断面を得ることができる。また、いずれの測定においても、連結部材6を形成している繊維の毛羽立ちがその測定を困難なものにするときには、その毛羽立ちを除外した状態の画像を想定して測定することができる。
【0030】
図6は、連結部材6を得るための素材であるシート片10に圧搾部31を形成する工程、換言するとシート片10にエンボス加工を施す工程の一部を示す図である。図6には、上下運動する多数のエンボス加工用ピン71のうちの一部のものと、アンビル73と、ピン71とアンビル73との間にセットされたシート片10とが示されている。ただし、ピン71は上昇位置にあるものが実線で示され、下降の途中にあってアンビル73に接近しているものが仮想線で示されている。また、ピン71とアンビル73との間には二つに折り重ねられたシート片10が仮想線で示されている。そのシート片10は、図6においてエンボス加工を施された後に適宜の形状に裁断されておむつ1に取り付けられると連結部材6となるものである。アンビル73には、連結部材6に形成すべき圧搾部31の数に対応する数の円形凹部72が形成され、その凹部72は直径d2を有している。ピン71は、凹部72の数に対応する本数が用意されていて、直径d1を有している。ピン71の先端74は、図示例の如く円錐形となり得る他に、球面状にもなり得る。直径d1は直径d2よりも小さく、直径d1と直径d2との差は、シート片10をピン71によって凹部72へ押入し、圧搾しようとするときの深さに基づいて決められる。シート片10を凹部72において圧搾するときに、ピン71の先端が円錐形であると、シート片10に形成される圧搾部31の頂部41に開孔51を形成することが容易である。また、ピン71の先端が球面状であると圧搾部31の頂部41は開孔51のない球面状のものになり易い。シート片10は、球面状の頂部41を形成した後に、開孔51を形成するための二次的な加工を施すこともできる。ピン71とアンビル73とのうちの少なくともピン71は、シート片10に繊維やフィルムの形態で含まれる熱可塑性合成樹脂を軟化させ、圧搾部31を容易に形成することができる程度にまで加熱されていることが好ましい。
【0031】
図7,8,9,10は、実施態様の一例を示す、図1,2,3,4と同様な図であって、図7は、前胴回り域2と後胴回り域3とが重なるように折畳まれているおむつ1の部分破断斜視図であり、図8は図7のおむつ1が着用状態にあるときの斜視図であり、図9は図7のIX−IX線切断面を示す図であり、図10は図8のX−X線切断面を示す図である。図7のおむつ1は、図1のおむつ1と異なり、連結部材6が前胴回り域2と後胴回り域3との間において第1〜第5層101〜105を形成するように折畳まれていて(図9参照)、その連結部材6には、第1、第2山折り部121,122と、第1,第2谷折り部131,132とが形成されている(図9参照)。なお、おむつ1は、横方向Bの寸法を二等分する中心線Pに関して対称なもので、図の両側に位置する連結部材6もまた中心線Pに関して対称なものである。
【0032】
図8のおむつ1においては、図7において折畳まれていた連結部材6が前後方向Aへ伸展した状態にある。ただし、連結部材6の第1層101は、第2層102に対して剥離することがないようにホットメルト接着剤HAを介して接合した状態にあるとともに(図9参照)、前胴回り域2の内面に対してもホットメルト接着剤HAを介して接合している。また、第5層105は、後胴回り域3の内面に対してホットメルト接着剤HAを介して接合している(図9参照)。第3,第4層103,104は前胴回り域2と後胴回り域3との間にあって、おむつ1の外側に向かって露出している。連結部材6には、第1、第2山折り部121,122と、第2谷折り部132との位置が仮想線で示されている。第1山折り部121と第1谷折り部131との間にある第2層102と第2谷折り部132と第2山折り部122との間にある第4層104では、圧搾部31がおむつ1の内側に向かって突出した状態にあって、通気路42と通気路43(図2参照)が形成されている。
【0033】
図9において、連結部材6は、ジグザグ形状に折畳まれていて、第1層101における内面16が前胴回り域2の側縁部8の内面に剥離不能に接合し、第1層101における外面17が第2層102における外面17に剥離不能に接合している。第5層105における外面17は、後胴回り域3の側縁部9の内面に剥離不能に接合している。これらの接合には、ホットメルト接着剤HAが使用されている。ただし、この発明に係る着用物品において、ホットメルト接着剤HAは、各部位において同一の接着剤が使用されることを意味するものではなく、それが使用される部位に好適なものであることを意味している。第2層102〜第5層105は、圧搾部31において剥離可能に接合し、仮止めされた状態にある。圧搾部31は、折畳まれている連結部材6が第1層101から第5層105に向かう方向へ圧搾することにより形成されている。
【0034】
図10において、伸展した状態にある連結部材6には、第1、第2山折り部121,122の位置と、第2谷折り部132の位置とが仮想線で示されている。図9において、連結部材6の第2層102であった部分と第4層104であった部分の内面では、圧搾部31の頂部41が着用者の肌40に向かって突出している。頂部41には通気孔51が形成されている。その頂部41どうしの間では、連結部材6の内面16と肌40とが離間した状態にあって、通気路42(図8参照)が形成されている。
【0035】
図11は、実施態様の一例を示す図9と同様な図である。図11の連結部材6は、図9の連結部材6と同様に第1層101〜第5層105が形成されるようにジグザグ形状に折畳まれていて、第5層105が側縁部9に対して分離と再結合とが可能なファスナ60を介して取り付けられている。ファスナ60の一例には、図示のフック部材61とループ部材62とによって形成されている、たとえば商品名マジックテープ(登録商標)で知られるメカニカルファスナがある。図11において、そのフック部材61は接着剤HAを介して連結部材6における第5層105の外面17に剥離不能に取り付けられている。フック部材61の相手方となるループ部材62は、接着剤HAを介して側縁部9の内面に剥離不能に取り付けられている。連結部材6と側縁部9とは、フック部材61とループ部材62との分離と再結合とを繰り返すことによって開閉を繰り返すことができる。なお、連結部材6は、第1層101が側縁部8に対して分離と再結合とを繰り返すことができるようにファスナ60を介して取り付けられていてもよいものである。また、連結部材6は、側縁部8と側縁部9とのそれぞれに対してファスナ60を介して取り付けられていてもよい。
【0036】
図12,13は、実施態様の一例を示す図1,2と同様な図である。図12のおむつ1における連結部材6には、図1のドット状の圧搾部31に代わり、上下方向Cに長い圧搾部31が複数条形成されている。図12の圧搾部31もまた、図の如く折畳まれたシート片10を前方部分13から後方部分14に向かって圧搾することにより形成されている。
【0037】
図13のおむつ1において明らかなように、前方部分13では、圧搾部31の頂部41がおむつ1の内側に向かって突出し、前後方向Aにおいて弧を画いている。その頂部41が着用者の肌(図示せず)と接触しているときに、隣り合う圧搾部31と31との間には、上下方向Cへ延びる通気路42が形成される。図示例の如く上下方向Cへ延びる圧搾部31が、その上下方向Cにおいて、例えば二分割されている場合の連結部6には、前後方向Aへ延びる通気路43(図2参照)を形成することもできる。また、圧搾部31の頂部41には通気孔(図示せず)を形成することもできる。
【0038】
使い捨てのパンツ型おむつ1を例にとって説明したこの発明は、トレーニングパンツ、失禁患者用のおむつやパンツ、おむつカバー等の着用物品としても実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 着用物品(おむつ)
2 前胴回り域
3 後胴回り域
6,6L,6R 連結部材
6a 一部分(中央部)
8 側縁部
9 側縁部
16 内面
17 外面
31 隆起部(圧搾部、第1圧搾部)
32 隆起部(圧搾部、第2圧搾部)
41 頂部
42 通気路
43 通気路
51 開孔
A 前後方向
B 横方向
C 上下方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨てのおむつを一例とする着用物品に関し、より詳しくは、前後胴回り域の間に連結部材が介在している前記着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
着用物品が前後胴胴回り域を有し、これら両胴回り域がこれらとは別体の連結部材を介して連結されているものは公知である。
【0003】
例えば、特開2004−121389号公報(特許文献1)に開示された使い捨ておむつは、腹側部と背側部との間にこれら両部とは別体の連結部材である連結シートが介在している。連結シートには胴回り方向に展開可能な折畳み部が形成され、その折畳み部は、折畳み部を一時的に閉じておくことのできる再使用可能な止着部を有している。おむつを着用させるときには、折畳み部を広げておき、おむつに脚を通してから折畳み部を閉じ、止着部を使って折畳み部の閉じた状態を維持することができる。おむつを脱がせるときには、折畳み部を広げることによって、おむつを引き下げることが容易になる。連結シートは、その内面が前後胴回り域それぞれの内面に接合している。おむつの前後方向において、連結シートは二つに折り重ねられている場合と、蛇腹折りにされている場合とがある。
【0004】
特開2008−12115号公報(特許文献2)に開示されたパンツ型着用物品は、連結部材として前後胴回り域の側部どうしを剥離可能かつ再結合可能につなぐ連結手段を有する。連結手段には、胴回り方向においてZ字形に折り重ねられたものと逆Z字形に折り重ねられたものとがあり、Z字形に折り重ねられたものはZ字形における頂辺が前後胴回り域の一方の内面に剥離不能に取り付けられており、Z字形における中間辺と底辺とは互いに接合して一体になっているとともに底辺における外面が前後胴回り域のもう一方の内面に対してファスナ部材を介して剥離可能かつ再結合可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−121389号公報
【特許文献2】特開2008−12115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術における着用物品は、蛇腹折りの状態やZ字形に折畳まれていた連結部材を伸展させて着用したときに、その連結部材が着用者の胴回り側部に密着する。加えて、連結部材は強度上の必要性や形状を保持する必要性等の理由によって、密度の高い不織布やプラスチックフィルムによって形成されることが多い。ところが、そのような連結部材が密着している部分の肌は、それを通気性のよい状態に置くことが難しく、蒸れ易いということがある。
【0007】
この発明では、連結部材に起因するこのような問題を解消することが可能な着用物品の提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、前胴回り域と後胴回り域との側縁部どうしが連結部材を介してつながる着用物品である。
【0009】
かかる着用物品において、この発明が特徴とするところは、以下のとおりである。前記連結部材は、前記着用物品の肌と向かい合う内面と前記内面の反対面である外面とを有するとともに、前記前胴回り域と前記後胴回り域とにつながる前後方向と前記前後方向に直交する上下方向とを有し、前記前後方向において重なり合うように折畳まれた状態にある。折畳まれている前記連結部材は、前記前後方向と前記上下方向とのうちの少なくとも前記前後方向において互いに離間する複数の部位で圧搾されていて前記内面に隆起部が形成されている。折畳まれている前記連結部材が前記前後方向へ伸展した状態では、前記内面に形成された前記隆起部の頂部が前記肌に向かって突出した状態にあって前記前後方向において弧を描いている。
【0010】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記内面に形成された前記隆起部の頂部には、前記連結部材を貫通する開孔が形成されている。
【0011】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記前後方向において隣り合う前記隆起部は、前記頂部どうしが3〜15mm離間している。
【0012】
この発明の実施態様の一つにおいて、折畳まれている前記連結部材は、前記上下方向において互いに離間する複数の部位で圧搾されていて前記内面に隆起部が形成されており、前記上下方向において隣り合う前記隆起部は、前記頂部どうしが3〜15mm離間している。
【0013】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記連結部材が前記前後方向へ伸展した状態にある前記着用物品では、前記前胴回り域の側縁部と前記後胴回り域の側縁部とが前記前後方向において離間していて、これら両側縁部の間に前記連結部材の一部分が介在し、前記一部分の前記内面には前記肌に向かって突出した状態の前記頂部が形成されている。
【0014】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記頂部が前記肌に向かって突出した状態にある前記隆起部がドット状のものであって、前記前後方向と前記上下方向とにおいて互いに離間するように形成されている。
【0015】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記頂部が前記肌に向かって突出した状態にある前記隆起部は、その平面形状が前記上下方向に長さ方向を有する長円形である。
【0016】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記頂部が画く前記弧の半径は、0.5〜2mmの範囲にある。
【0017】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記隆起部の前記頂部が前記肌に接触したときに、隣り合う前記隆起部どうしの間には、前記前後方向と前記上下方向とのうちの少なくとも前記上下方向へ延びていて前記内面と前記肌とが非接触状態にある通気路を形成可能である。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る着用物品は、前胴回り域の側縁部と後胴回り域の側縁部とが連結部材を介してつながり、その連結部材には、前後方向において互いに離間するように圧搾部が形成されていて、その圧搾部が隆起部を形成している。その連結部材を前後方向へ伸展したときには、隆起部のうちの一部のものが着用物品の着用者の肌に向かって突出した状態になるから、連結部材は肌に対して密着し難くなって、肌との間に間隙を形成する。その間隙の存在によって、肌を通気性のよい状態におくことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】折畳まれた状態にある着用物品(パンツ型おむつ)の部分破断視図。
【図2】着用状態にある図1の着用物品の斜視図。
【図3】図1のIII−III線切断面を模式的に示す図。
【図4】図2のIV−IV線切断面を模式的に示す図。
【図5】実施態様の一例を示す図4と同様な図。
【図6】圧搾部を形成するためのピンとアンビルとを示す図。
【図7】実施態様の一例を示す図1と同様な図。
【図8】着用状態にある図7の着用物品の斜視図。
【図9】図7のIX−IX線切断面を模式的に示す図。
【図10】図8のX−X線切断面を模式的に示す図。
【図11】実施態様の一例を示す図9と同様な図。
【図12】実施態様の一例を示す図1と同様な図。
【図13】着用状態にある図11の着用物品の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る着用物品の一例として使い捨てのパンツ型おむつを例にとり、添付の図面を参照してこの発明の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0021】
図1は、使い捨てのパンツ型おむつ1の部分破断斜視図である。おむつ1は、前後方向Aと横方向Bと上下方向Cとを有し、前後方向Aにおいては前胴回り域2と後胴回り域3とが対向し、上下方向Cにおいてはこれら両域2,3に対して股下域4がつながっている。前胴回り域2の側縁部8と後胴回り域3の側縁部9との間には連結部材6が介在している。図1のおむつ1は、平坦な状態となるように折畳まれていて、前胴回り域2と後胴回り域3とが重なり合っており、連結部材6は二つに折畳まれている。その連結部材6には、圧搾部31が形成されている。前胴回り域2と後胴回り域3とには、胴回り弾性部材11が伸長と収縮とが可能な状態で取り付けらており、股下域4には脚回り弾性部材12が伸長と収縮とが可能な状態で取り付けられている。股下域4では、透液性内面シート5aと不透液性外面シート5bとの間に吸収体5cが介在している。おむつ1は、横方向Bの寸法を二等分する中心線Pに関し、実質的な意味において対象となるように形成されている。
【0022】
図2は、着用状態にあるおむつ1の斜視図であるが、そのおむつ1の着用者の図示は省略されている。着用状態にあるおむつ1では、前胴回り域2と後胴回り域3とが着用者の胴回りにフィットするように湾曲している。連結部材6を介して重なり合っていた前胴回り域2の側縁部8と後胴回り域3の側縁部9とは離間して、折畳まれていた連結部材6が前後方向Aへ、換言すると胴回り方向Dへ伸展した状態にある。また、伸展した連結部材6の前後方向Aにおける中央部6aが互いに離間している側縁部8と側縁部9との間に位置している。連結部材6はまた、連結部材6L,6Rを含んでいるものでもある。ここで、参照符号に付けられているLとRの記号は、おむつ着用者にとっての左側と右側とを意味している。また、参照符号について、例えば連結部材6L,6Rではなくて、LまたはRの記号を付けられていない連結部材6とあるときの参照符号6は、LとRとを区別することなく連結部材の一方または両方を意味している。
【0023】
図2において、前後方向Aへ伸展している連結部材6には、図1において折畳まれていた連結部材6をその折畳まれた状態に維持するための仮止め手段として作用していたドット状の圧搾部31が見えている。圧搾部31は、前後方向Aと上下方向Cとにおいて間欠的に並ぶように複数形成されている。
【0024】
図3は、図1におけるIII−III線切断面を示す図である。連結部材6は、内面16と外面17とを有し、図2における前後方向Aの寸法は折曲線15において前方部分13と後方部分14とに二分されていて、図3ではその前方部分13と後方部分14との内面16どうしが重なり、第1層101と第2層102とが形成されるように折畳まれている。前方部分13はホットメルト接着剤HAを介して側縁部8の内面に接合している前端部18を有し、後方部分14はホットメルト接着剤HAを介して側縁部9の内面に接合している後端部19を有している。前端部18と後端部19との間に位置するのは連結部材6の中間部20であって、側縁部8,9のそれぞれから横方向Bへ延出している。
【0025】
連結部材6に形成されている圧搾部31は、連結部材6を作るためのシート片10(図6参照)を図の如くに折畳み、そのシート片10を図の下方から上方に向かって局部的に圧搾することにより形成されたものであり、圧搾部31のうちで前方部分13に形成されている圧搾部31fは連結部材6の内面16から突出した隆起部となるように形成され、後方部分14に形成されている圧搾部31rは連結部材6の外面17から突出した隆起部となるように形成されていて、圧搾部31fと圧搾部31rとは互いに重なり合っている。シート片10は、熱可塑性合成繊維の不織布や熱可塑性合成樹脂のフィルム等の熱可塑性合成樹脂によって形成されていて、2g/cm2の質量下における厚さが0.1〜1mmの範囲にあるもので、重なり合った圧搾部31fと31rとは、シート片10に含まれた繊維どうしが機械的に交絡するか或いは溶着することによって、またはシート片に含まれた熱可塑性合成製樹脂のフィルムどうしが溶着することによって、連結部材6の折畳まれた状態を一時的に保つための仮止め手段として作用している。その仮止めの強さの程度は、圧搾部31を得るための後記エンボス加工(図6参照)における温度、圧力、圧搾時間等の条件によって調整することが可能で、図1のおむつ1では、それを着用するために連結部材6を前後方向Aへ伸展させるように前後胴回り域2,3を引っ張ると、その仮止めが容易に解けるように仮止めの強さが調整されている。
【0026】
図4は、図2のIV−IV線切断面を示す図であって、仮想線15は連結部材6の折曲線(図3参照)の位置を示し、仮想線40は、おむつ着用者の胴回りの肌の一部分を示している。前後方向Aへ伸展した状態の連結部材6において、連結部材6の一部分であって仮想線15よりも下方に位置する前方部分13では、隆起部を形成している圧搾部31fの頂部41fが着用者の肌に向かって突出している。また、連結部材6の一部分であって仮想線15よりも上方に位置する後方部分14では、隆起部を形成している圧搾部31rの頂部41rが、おむつ1の外方に向かって突出している。図2において明らかなように、圧搾部31は、前後方向Aと上下方向Cとにおいて間欠的に形成されているから、その圧搾部31のうちの圧搾部31fにおける頂部41fが図4の如く肌40に接触する一方、隣り合う頂部41fと41fとの間の部分が肌40から離間しているときには、連結部材6のうちの少なくとも前方部分13と肌40との間に上下方向Cに延びる通気路42と、前後方向Aに延びる通気路43(図2参照)とが形成される。これら通気路42,43は、おむつ1を着用しているときに連結部材6の内側において肌が蒸れる、という問題の解消に役立つ。このように、圧搾部31は、連結部材6の内面が隆起するように形成されている場合に、肌の蒸れを防ぐことにおいて優れている。
【0027】
通気路42,43を形成することのできるドット状の圧搾部31fは、連結部材6の面積2500mm2当たりについて25〜120個の割合で形成し、前方部分13において内面16から頂部41までの高さを0.3〜2mmの範囲におさめることが好ましい。圧搾部31fの個数が120個を越える場合には、通気路42および/または43の幅が狭くなりすぎるので好ましくない。また、圧搾部31fの個数が25に満たない場合には、通気路42および/または43の幅が大きくなりすぎて、隆起部31fと31fとの間で肌が連結部材6に接触し、実質的な意味において、通気路の幅を狭くすることになりかねない。圧搾部31fにおける頂部41までの高さが0.3mm未満である場合には、やはり実質的な意味において、連結部材6と肌40との間に通気路42および/または43を形成することが難しくなる。また、頂部41までの高さが2mmを超える場合には、連結部材6を使用しているときに、頂部41の肌40に対する食い込みが深くなりすぎることがある。頂部41の肌40への食い込みを防ぐためにはまた、おむつ1の前後方向Aと上下方向Bとのうちの少なくとも一方において頂部41が弧を画いていることが好ましい。その弧は、半径が0.5〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。
【0028】
図5は、実施態様の一例を示す図4と同様な図である。図示例の連結部材6における圧搾部31fの頂部41には、通気性の開孔51が形成されている。このような開孔51は、連結部材6が不織布で形成されている場合のその不織布における繊維間隙であってもよいが、連結部材6を形成しているシート片を加工することによって得られる開孔であってもよいが、繊維間隙よりも大きな孔径を有する開孔であることが好ましい。開孔51はまた、孔径が0.3〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。連結部材6は、通気路42,43を有することに加えて、開孔51を有することによって、通気性において特に優れたものになり得る。開孔51による連結部材6の通気性の向上は、開孔51が連結部材6の中央部6a(図2,4参照)に形成されていて、前胴回り域2や後胴回り域3に覆われていない場合に顕著になる。
【0029】
図1〜5に例示の連結部材6において、圧搾部31fにおける頂部41の高さおよび開孔51の孔径を測定するには、測定の対象とする連結部材6についての10〜30倍の拡大画像を使用する。頂部41の高さを測定するときに、圧搾部31fの断面を観察することが好ましい場合には、液体窒素によって冷却した連結部材6を鋭利な刃物で切断することによってその断面を得ることができる。また、いずれの測定においても、連結部材6を形成している繊維の毛羽立ちがその測定を困難なものにするときには、その毛羽立ちを除外した状態の画像を想定して測定することができる。
【0030】
図6は、連結部材6を得るための素材であるシート片10に圧搾部31を形成する工程、換言するとシート片10にエンボス加工を施す工程の一部を示す図である。図6には、上下運動する多数のエンボス加工用ピン71のうちの一部のものと、アンビル73と、ピン71とアンビル73との間にセットされたシート片10とが示されている。ただし、ピン71は上昇位置にあるものが実線で示され、下降の途中にあってアンビル73に接近しているものが仮想線で示されている。また、ピン71とアンビル73との間には二つに折り重ねられたシート片10が仮想線で示されている。そのシート片10は、図6においてエンボス加工を施された後に適宜の形状に裁断されておむつ1に取り付けられると連結部材6となるものである。アンビル73には、連結部材6に形成すべき圧搾部31の数に対応する数の円形凹部72が形成され、その凹部72は直径d2を有している。ピン71は、凹部72の数に対応する本数が用意されていて、直径d1を有している。ピン71の先端74は、図示例の如く円錐形となり得る他に、球面状にもなり得る。直径d1は直径d2よりも小さく、直径d1と直径d2との差は、シート片10をピン71によって凹部72へ押入し、圧搾しようとするときの深さに基づいて決められる。シート片10を凹部72において圧搾するときに、ピン71の先端が円錐形であると、シート片10に形成される圧搾部31の頂部41に開孔51を形成することが容易である。また、ピン71の先端が球面状であると圧搾部31の頂部41は開孔51のない球面状のものになり易い。シート片10は、球面状の頂部41を形成した後に、開孔51を形成するための二次的な加工を施すこともできる。ピン71とアンビル73とのうちの少なくともピン71は、シート片10に繊維やフィルムの形態で含まれる熱可塑性合成樹脂を軟化させ、圧搾部31を容易に形成することができる程度にまで加熱されていることが好ましい。
【0031】
図7,8,9,10は、実施態様の一例を示す、図1,2,3,4と同様な図であって、図7は、前胴回り域2と後胴回り域3とが重なるように折畳まれているおむつ1の部分破断斜視図であり、図8は図7のおむつ1が着用状態にあるときの斜視図であり、図9は図7のIX−IX線切断面を示す図であり、図10は図8のX−X線切断面を示す図である。図7のおむつ1は、図1のおむつ1と異なり、連結部材6が前胴回り域2と後胴回り域3との間において第1〜第5層101〜105を形成するように折畳まれていて(図9参照)、その連結部材6には、第1、第2山折り部121,122と、第1,第2谷折り部131,132とが形成されている(図9参照)。なお、おむつ1は、横方向Bの寸法を二等分する中心線Pに関して対称なもので、図の両側に位置する連結部材6もまた中心線Pに関して対称なものである。
【0032】
図8のおむつ1においては、図7において折畳まれていた連結部材6が前後方向Aへ伸展した状態にある。ただし、連結部材6の第1層101は、第2層102に対して剥離することがないようにホットメルト接着剤HAを介して接合した状態にあるとともに(図9参照)、前胴回り域2の内面に対してもホットメルト接着剤HAを介して接合している。また、第5層105は、後胴回り域3の内面に対してホットメルト接着剤HAを介して接合している(図9参照)。第3,第4層103,104は前胴回り域2と後胴回り域3との間にあって、おむつ1の外側に向かって露出している。連結部材6には、第1、第2山折り部121,122と、第2谷折り部132との位置が仮想線で示されている。第1山折り部121と第1谷折り部131との間にある第2層102と第2谷折り部132と第2山折り部122との間にある第4層104では、圧搾部31がおむつ1の内側に向かって突出した状態にあって、通気路42と通気路43(図2参照)が形成されている。
【0033】
図9において、連結部材6は、ジグザグ形状に折畳まれていて、第1層101における内面16が前胴回り域2の側縁部8の内面に剥離不能に接合し、第1層101における外面17が第2層102における外面17に剥離不能に接合している。第5層105における外面17は、後胴回り域3の側縁部9の内面に剥離不能に接合している。これらの接合には、ホットメルト接着剤HAが使用されている。ただし、この発明に係る着用物品において、ホットメルト接着剤HAは、各部位において同一の接着剤が使用されることを意味するものではなく、それが使用される部位に好適なものであることを意味している。第2層102〜第5層105は、圧搾部31において剥離可能に接合し、仮止めされた状態にある。圧搾部31は、折畳まれている連結部材6が第1層101から第5層105に向かう方向へ圧搾することにより形成されている。
【0034】
図10において、伸展した状態にある連結部材6には、第1、第2山折り部121,122の位置と、第2谷折り部132の位置とが仮想線で示されている。図9において、連結部材6の第2層102であった部分と第4層104であった部分の内面では、圧搾部31の頂部41が着用者の肌40に向かって突出している。頂部41には通気孔51が形成されている。その頂部41どうしの間では、連結部材6の内面16と肌40とが離間した状態にあって、通気路42(図8参照)が形成されている。
【0035】
図11は、実施態様の一例を示す図9と同様な図である。図11の連結部材6は、図9の連結部材6と同様に第1層101〜第5層105が形成されるようにジグザグ形状に折畳まれていて、第5層105が側縁部9に対して分離と再結合とが可能なファスナ60を介して取り付けられている。ファスナ60の一例には、図示のフック部材61とループ部材62とによって形成されている、たとえば商品名マジックテープ(登録商標)で知られるメカニカルファスナがある。図11において、そのフック部材61は接着剤HAを介して連結部材6における第5層105の外面17に剥離不能に取り付けられている。フック部材61の相手方となるループ部材62は、接着剤HAを介して側縁部9の内面に剥離不能に取り付けられている。連結部材6と側縁部9とは、フック部材61とループ部材62との分離と再結合とを繰り返すことによって開閉を繰り返すことができる。なお、連結部材6は、第1層101が側縁部8に対して分離と再結合とを繰り返すことができるようにファスナ60を介して取り付けられていてもよいものである。また、連結部材6は、側縁部8と側縁部9とのそれぞれに対してファスナ60を介して取り付けられていてもよい。
【0036】
図12,13は、実施態様の一例を示す図1,2と同様な図である。図12のおむつ1における連結部材6には、図1のドット状の圧搾部31に代わり、上下方向Cに長い圧搾部31が複数条形成されている。図12の圧搾部31もまた、図の如く折畳まれたシート片10を前方部分13から後方部分14に向かって圧搾することにより形成されている。
【0037】
図13のおむつ1において明らかなように、前方部分13では、圧搾部31の頂部41がおむつ1の内側に向かって突出し、前後方向Aにおいて弧を画いている。その頂部41が着用者の肌(図示せず)と接触しているときに、隣り合う圧搾部31と31との間には、上下方向Cへ延びる通気路42が形成される。図示例の如く上下方向Cへ延びる圧搾部31が、その上下方向Cにおいて、例えば二分割されている場合の連結部6には、前後方向Aへ延びる通気路43(図2参照)を形成することもできる。また、圧搾部31の頂部41には通気孔(図示せず)を形成することもできる。
【0038】
使い捨てのパンツ型おむつ1を例にとって説明したこの発明は、トレーニングパンツ、失禁患者用のおむつやパンツ、おむつカバー等の着用物品としても実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 着用物品(おむつ)
2 前胴回り域
3 後胴回り域
6,6L,6R 連結部材
6a 一部分(中央部)
8 側縁部
9 側縁部
16 内面
17 外面
31 隆起部(圧搾部、第1圧搾部)
32 隆起部(圧搾部、第2圧搾部)
41 頂部
42 通気路
43 通気路
51 開孔
A 前後方向
B 横方向
C 上下方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前胴回り域と後胴回り域との側縁部どうしが連結部材を介してつながる着用物品であって、
前記連結部材は、前記着用物品の肌と向かい合う内面と前記内面の反対面である外面とを有するとともに、前記前胴回り域と前記後胴回り域とにつながる前後方向と前記前後方向に直交する上下方向とを有し、前記前後方向において重なり合うように折畳まれた状態にあり、
折畳まれている前記連結部材は、前記前後方向と前記上下方向とのうちの少なくとも前記前後方向において互いに離間する複数の部位で圧搾されていて前記内面に隆起部が形成されており、
折畳まれている前記連結部材が前記前後方向へ伸展した状態では、前記内面に形成された前記隆起部の頂部が前記肌に向かって突出した状態にあって前記前後方向において弧を描いていることを特徴とする前記着用物品。
【請求項2】
前記内面に形成された前記隆起部の頂部には、前記連結部材を貫通する開孔が形成されている請求項1記載の着用物品。
【請求項3】
前記前後方向において隣り合う前記隆起部は、前記頂部どうしが3〜15mm離間している請求項1または2記載の着用物品。
【請求項4】
折畳まれている前記連結部材は、前記上下方向において互いに離間する複数の部位で圧搾されていて前記内面に隆起部が形成されており、前記上下方向において隣り合う前記隆起部は、前記頂部どうしが3〜15mm離間している請求項1〜3のいずれかに記載の着用物品。
【請求項5】
前記連結部材が前記前後方向へ伸展した状態にある前記着用物品では、前記前胴回り域の側縁部と前記後胴回り域の側縁部とが前記前後方向において離間していて、これら両側縁部の間に前記連結部材の一部分が介在し、前記一部分の前記内面には前記肌に向かって突出した状態の前記頂部が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の着用物品。
【請求項6】
前記頂部が前記肌に向かって突出した状態にある前記隆起部がドット状のものであって、前記前後方向と前記上下方向とにおいて互いに離間するように形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項7】
前記頂部が前記肌に向かって突出した状態にある前記隆起部は、その平面形状が前記上下方向に長さ方向を有する長円形である請求項1〜5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項8】
前記頂部が画く前記弧の半径は、0.5〜2mmの範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の着用物品。
【請求項9】
前記隆起部の前記頂部が前記肌に接触したときに、隣り合う前記隆起部どうしの間には、前記前後方向と前記上下方向とのうちの少なくとも前記上下方向へ延びていて前記内面と前記肌とが非接触状態にある通気路を形成可能である請求項5〜8のいずれかに記載の着用物品。
【請求項1】
前胴回り域と後胴回り域との側縁部どうしが連結部材を介してつながる着用物品であって、
前記連結部材は、前記着用物品の肌と向かい合う内面と前記内面の反対面である外面とを有するとともに、前記前胴回り域と前記後胴回り域とにつながる前後方向と前記前後方向に直交する上下方向とを有し、前記前後方向において重なり合うように折畳まれた状態にあり、
折畳まれている前記連結部材は、前記前後方向と前記上下方向とのうちの少なくとも前記前後方向において互いに離間する複数の部位で圧搾されていて前記内面に隆起部が形成されており、
折畳まれている前記連結部材が前記前後方向へ伸展した状態では、前記内面に形成された前記隆起部の頂部が前記肌に向かって突出した状態にあって前記前後方向において弧を描いていることを特徴とする前記着用物品。
【請求項2】
前記内面に形成された前記隆起部の頂部には、前記連結部材を貫通する開孔が形成されている請求項1記載の着用物品。
【請求項3】
前記前後方向において隣り合う前記隆起部は、前記頂部どうしが3〜15mm離間している請求項1または2記載の着用物品。
【請求項4】
折畳まれている前記連結部材は、前記上下方向において互いに離間する複数の部位で圧搾されていて前記内面に隆起部が形成されており、前記上下方向において隣り合う前記隆起部は、前記頂部どうしが3〜15mm離間している請求項1〜3のいずれかに記載の着用物品。
【請求項5】
前記連結部材が前記前後方向へ伸展した状態にある前記着用物品では、前記前胴回り域の側縁部と前記後胴回り域の側縁部とが前記前後方向において離間していて、これら両側縁部の間に前記連結部材の一部分が介在し、前記一部分の前記内面には前記肌に向かって突出した状態の前記頂部が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の着用物品。
【請求項6】
前記頂部が前記肌に向かって突出した状態にある前記隆起部がドット状のものであって、前記前後方向と前記上下方向とにおいて互いに離間するように形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項7】
前記頂部が前記肌に向かって突出した状態にある前記隆起部は、その平面形状が前記上下方向に長さ方向を有する長円形である請求項1〜5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項8】
前記頂部が画く前記弧の半径は、0.5〜2mmの範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の着用物品。
【請求項9】
前記隆起部の前記頂部が前記肌に接触したときに、隣り合う前記隆起部どうしの間には、前記前後方向と前記上下方向とのうちの少なくとも前記上下方向へ延びていて前記内面と前記肌とが非接触状態にある通気路を形成可能である請求項5〜8のいずれかに記載の着用物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−235809(P2012−235809A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104752(P2011−104752)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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