説明

睡眠誘導装置

【課題】より多くの使用者を快適な睡眠へと誘導することが可能な睡眠誘導装置を提供する。
【解決手段】可聴周波数のパルス音を、シューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期で発生させるようにした睡眠誘導装置において、前記パルス音は、40〜50分間で、シューマン波の1サイクル毎に1回のテンポから2〜4回/秒のテンポにまで次第に遅く変化して停止するようにした。この睡眠誘導装置は、最初シューマン波の周波数に相当するテンポで例えば約1秒間で「タッタッタッタッタッタッタッタッ」と聞こえるパルス音が、θ波からδ波の周波数に相当するテンポで同じく約1秒間で「タッタッ」〜「タッタッタッタッ」のテンポに40〜50分の時間を掛けて次第に遅くなるため、そのテンポの変化に合わせて使用者の脳が自然に眠りのリズムに入るようになるものと推察される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者を睡眠に誘導するための睡眠誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツの物理学者W.O.シューマンが発見した地球大地と電離層の間に継続的に存在している7.8Hz(より厳密には7.83Hz)の共振周波数であるシューマン波は、人間の耳には聞こえないが人間の脳波に影響を与えることが知られている(特許文献1参照)。
一方、単調なリズムを繰り返し聞いていると、眠気を催すことがあることも知られている。
本発明者は、単調なリズムとシューマン波とを組み合わせることで快適な睡眠への誘導が可能になる、との知見を得て特許文献2の特許出願を行った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−312755号公報
【特許文献2】特開2009−201606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献2に記載の睡眠誘導装置から発せられる定周期のパルス音、すなわちシューマン波のサイクルで刻まれる定周期の単調なパルス音を聴きながら就寝すると、普段より寝付きが良くなることが確認されている。しかし一方、前記パルス音を聴きながら就寝しても普段と寝付きが殆ど変わらない、或は普段より寝付けない、と感じる人がいることもまた確認されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、その目的は、より多くの使用者を快適な睡眠へと誘導することが可能な睡眠誘導装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明は、可聴周波数のパルス音を、シューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期で発生させるようにした睡眠誘導装置において、前記パルス音は、40〜50分間で、シューマン波の1サイクル毎に1回のテンポから2〜4回/秒のテンポにまで次第に遅く変化して停止させるものである睡眠誘導装置を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載したように前記パルス音は、段階的にテンポを遅く変化させるものである請求項1記載の睡眠誘導装置を提供する。
【0008】
また、請求項3に記載したように前記パルス音は、約45分間を8〜10段階に分けて段階的にテンポを遅く変化させるものである請求項1又は2に記載の睡眠誘導装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
一般的な人の睡眠は、90〜100分のサイクルでレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返され、入眠からおよそ40〜50分で最初のノンレム睡眠に至り、その状態ではいわゆるθ波からδ波の2〜4Hzの脳波が出ているとされる。
本発明の睡眠誘導装置は、最初シューマン波の周波数に相当するテンポで例えば約1秒間で「タッタッタッタッタッタッタッタッ」と聞こえるパルス音が、θ波からδ波の周波数に相当するテンポで例えば約1秒間で「タッタッ」〜「タッタッタッタッ」のテンポに40〜50分の時間を掛けて次第に遅くなるため、そのテンポの変化に合わせて使用者の脳が自然に眠りのリズムに入るようになるものと推察される。なお、本発明の睡眠誘導装置を使用することによって寝付きがよくなることは、後述する睡眠実験により確認されている。
【0010】
また、請求項2のように、パルス音のテンポを段階的に遅く変化させるようにした場合には、一定時間同じテンポのパルス音を聞かせることで脳がそのテンポに合わせやすくなるものと推察され、また、パルス音のテンポの制御も容易になる効果がある。
【0011】
また、一般的な人の睡眠は、就寝から45分程度でθ波又はδ波のノンレム睡眠に至ることから、この眠りのリズムに合わせて請求項3のようにパルス音のテンポを段階的に低下させるようにするのが最も効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】睡眠誘導装置の斜視図である。
【図2】睡眠誘導装置の概略を示すブロック図である。
【図3】パルス音のテンポの変化を示すグラフである。
【図4】(a)は本発明の睡眠実験結果を示すグラフであり、(b)は比較例の睡眠実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
睡眠誘導装置1は、図2のブロック図に示したように、パルス発生回路2と、タイマー回路3と、スピーカ4と、スタートスイッチ5と、から概略構成され、それらが合成樹脂製のケース体6に組み込まれている。
【0014】
前記タイマー回路3は、予め作成されたプログラムに従って時間信号をパルス発生回路2に出力するためのものであり、実施形態ではスタートスイッチ5をONにしてスタートさせてから約45分間の間、約5分刻みで時間信号をパルス発生回路2に出力するようになっている。
【0015】
前記パルス発生回路2は、シューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期で、つまり7.83回/秒のテンポから、少なくとも2〜4回/秒のテンポの範囲内において、任意テンポの可聴周波数(例えば100Hz前後)のパルス音信号が前記スピーカ4に対して出力できるようになっている。
【0016】
実施形態のパルス発生回路2は、7.83回/秒のテンポから2回/秒のテンポまでの範囲をほぼ8等分した合計9パターンのテンポでパルス音信号を発生させる設定になっており、図3のグラフに示したようにスタートから約5分間7.83回/秒のテンポでパルス音信号を発生させ、その後、前記タイマー回路3から約5分刻みで時間信号を受ける度に1段階ずつパルス音信号のテンポを下げ、最終的に2回/秒のテンポで約5分間パルス音信号を発して停止するようになっている。
【0017】
なお、パルス発生回路2の設定は上記に限定されるものではなく、例えば次のように変更してもよい。
(1)スタートから停止までの時間を40〜50分間の間で適宜設定する。
(2)テンポを段階的に下げるパターンを、例えばスタート直後を10分間にしてその後を等分する、というようにテンポ毎に間隔を設定する。
(3)テンポのパターン数を適宜設定する。なお、テンポのパターン数は、好ましくは8〜10段階程度がよい。
【0018】
その他、図面中、符合7は、前記スピーカ4の音量を調節する音量調節手段である。
【0019】
次に、本発明の睡眠誘導装置1の使用方法について説明する。
まず、睡眠誘導装置1を頭周辺の床やベッド上に置いてスタートスイッチ5を押す。そうするとパルス発生回路2が作動し、スピーカ3から7.83回/秒のテンポでパルス音が聞こえる。ここで必要があれば音量調節手段7を使ってパルス音を好みの音量に調節する。
【0020】
前記の状態でスタートから約5分経過するとタイマー回路3からパルス発生回路2に時間信号が出力され、それを受けてパルス発生回路2がパルス音信号のテンポを1段階下げる。こうして約5分刻みで段階的にパルス音のテンポを下げてスタートから約40分経過するとパルス音のテンポは最終段階の2回/秒になり、そのテンポでさらに約5分間パルス音を発して止まる。多くの人はこの段階で睡眠状態に入っており、パルス音が停止した後は自然な眠りのリズムで眠ることができる。
【0021】
[睡眠実験]
本発明の睡眠誘導装置1の効果を確認するため、年齢、性別、寝付きの良し悪しがばらばらである66人に対し睡眠実験を行った。この睡眠実験は、治験者が本発明の睡眠誘導装置1を数日間使用し、自らが感じた寝付き具合の良否を回答する、というものである。その結果を表1に示す。なお、効果ありの回答は、「普段よりよく眠れた」とされているものを「○」、単純に「よく眠れた」とされているもの「◎」とした。
【0022】
【表1】

【0023】
上記の表1をグラフにして図4(a)に示した。そしてさらに、図4(b)に特許文献2の図6に記載された「本発明:3回目」のグラフを比較例として示した。特許文献2の図6の元となる実験は、本発明のスタート時と同じパルス音のテンポが停止するまで変わらない設定になっている睡眠誘導装置で行われたものであり、したがって図4(a),(b)のグラフを比較することにより、より多くの使用者に対して本発明が有効であることが判る。
【0024】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では睡眠誘導装置1を外観上目覚まし時計のような形状にしたが、それ以外にも睡眠誘導装置1を薄型にして枕に着脱自在に内蔵したり、或はベッドや敷き布団に着脱自在に内蔵したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 …睡眠誘導装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可聴周波数のパルス音を、シューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期で発生させるようにした睡眠誘導装置において、
前記パルス音は、40〜50分間で、シューマン波の1サイクル毎に1回のテンポから2〜4回/秒のテンポにまで次第に遅く変化して停止するようにしたことを特徴とする睡眠誘導装置。
【請求項2】
前記パルス音は、段階的にテンポを遅く変化させるものであることを特徴とする請求項1記載の睡眠誘導装置。
【請求項3】
前記パルス音は、約45分間を8〜10段階に分けて段階的にテンポを遅く変化させるものであることを特徴とする請求項2に記載の睡眠誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−81519(P2013−81519A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221810(P2011−221810)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(500340130)有限会社エース (3)