瞬間式給湯器用燃焼装置

【目的】燃料絞り比が大きく、しかも炎の吹き飛びや逆火が生じ難く、且つ構造や部品が複雑、雑多とならない瞬間式給湯器用燃焼装置の提供を目的とする。
【構成】一個の燃焼管11と一個の燃料供給手段及び一個の空気供給手段を供え、燃料と空気の混合気を燃焼管内に受入れ、燃焼管上面の炎孔部13から噴出させて燃焼させるようにした瞬間式給湯器用燃焼装置であって、前記燃焼管内を、上面の炎孔部を含めて、前記混合気の受入れ口のある１つの主室Ａと、少なくとも１つの副室Ｂとに仕切り、且つ仕切りには隣接する室間での前記混合気の流通を開閉する開閉手段14、15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、瞬間式給湯器用の燃焼装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】瞬間式給湯器用の燃焼装置の場合、出湯量、入水温度、出湯設定温度等によって、必要な発熱量を大きく変化させる必要がある。また出湯温度の安定性を確保する（出湯温度がふらつかない）ためには連続燃焼が好ましい。この様な要請から、従来、瞬間式給湯器の燃焼装置にあっては、燃料絞り比（T.Ｄ.R）が大きく設定されている。ところが、燃料絞り比を大きくすると、特に予混合燃焼バーナを採用する場合には、炎の吹き飛びや逆火が生じ易くなる。そこで更に、従来の瞬間式給湯器の燃焼装置にあっては、図２、図３に示す様に、バーナ１を２個備えたものが提供されたりしていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記図２、図３R>３に示す従来の瞬間式給湯器の燃焼装置では、炎孔部２が２つ、燃焼管３が２つ、気化器４が２つ、燃料ポンプ５が２つ等、各バーナ１毎にそれぞれ付属品が必要となり、構造が複雑となり、スペースを多く必要とし、また部品数の多い分だけコストが高くなるという欠点があった。
【０００４】そこで、本発明は上記従来装置の欠点を解消し、燃料絞り比が大きく、しかも炎の吹き飛びや逆火が生じ難く、且つ構造や部品が複雑、雑多とならない瞬間式給湯器の燃焼装置の提供を目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の瞬間式給湯器用燃焼装置は、一個の燃焼管と一個の燃料供給手段及び一個の空気供給手段を備え、燃料と空気の混合気を燃焼管内に受入れ、燃焼管上面の炎孔部から噴出させて燃焼させるようにした瞬間式給湯器用燃焼装置であって、前記燃焼管内を、上面の炎孔部を含めて、前記混合気の受入れ口のある１つの主室と、少なくとも１つの副室とに仕切り、且つ仕切りには隣接する室間での前記混合気の流通を開閉する開閉手段を設けたことを特徴としている。
【０００６】
【作用】開閉手段によって仕切りを開閉することにより、実際に使用される燃焼管の容積及び炎孔部の面積が変更される。即ち主室だけを使用して燃焼を行う場合と主室に副室を併用して使用する場合では、燃焼管の容積及び炎孔部の面積が変わる。また副室を２以上設ける場合には、併用する副室の数によって更に燃焼管の容積及び炎孔部の面積が変更される。使用される炎孔部の面積が増すと火炎の安定範囲は燃料流量の多い側にずれることから、主室だけを使うことにより、比較的燃焼熱量の小さい範囲での燃焼の調整が安定、確実に行える。また主室に副室を併用することによって、比較的燃焼熱量の大きい範囲での燃焼の調整が安定、確実に行える。例えば燃焼装置全体としての能力を３号〜24号まで変更できるものとしたい場合、主室による能力を３号〜12号とし、また主室と副室との併用による能力を６号〜24号とすることにより、主室だけを使用する場合の燃料絞り比は４でよく、また併用する場合の燃料絞り比も４でよい。しかも装置全体としては実質的に燃料絞り比を８とすることができる。勿論、構造や部品が複雑、雑多とならない。なお能力１号は１リットルの水を１分間に25度上昇させる能力である。
【０００７】
【実施例】図１は本発明の実施装置の全体構成図である。
【０００８】バーナ10の燃焼管11内は仕切り板12によって主室Ａと副室Ｂとに２つに仕切られている。同様に、燃焼管11上面の炎孔部13も前記仕切り板12により主室側の炎孔部13ａと副室側の炎孔部13ｂとに仕切られている。前記仕切り板12には主室Ａと副室Ｂとの連通口14が設けられており、該連通口14に対して開閉手段である開閉弁15が設けられている。16は開閉弁15の駆動部である。灯油燃料がタンク20からポンプ21により気化器17に供給され、気化されて、ノズル18から噴出して燃焼管11内に入る。このとき送風機30から供給される空気が前記噴出燃料と混合されながら一緒に燃焼管11内に吸い込まれ、燃焼前の予混合が燃焼管11内でなされる。燃料及び空気は先ず主室Ａに入り、開閉弁15が開いておれば副室Ｂにも入る。主室Ａ内の予混合燃料は主室側炎孔部13ａを通って燃焼する。また副室Ｂ内の予混合燃料は副室側炎孔部13ｂを通って燃焼する。
【０００９】上水道からの水が入水管41を通って、熱交換器42に入り、加熱され、出湯管43に出湯される。入水管41には水温センサ44、流量センサ45が設けられている。50はマイコン内蔵のコントローラで、リモコン60からの指令を受け、また前記水温センサや流量センサ等装置各部のセンサ類からの情報を入力し、所定のプログラムに従って演算、判断を行い、前記開閉弁15の駆動部16やその他の装置各部に動作命令を出力する。
【００１０】前記開閉弁15はリモコン60に設けた切り換えスイッチにより、また使用者による手動で切り換えるようにすることができる。また前記水温センサ44が検出する水温によってコントローラ50を介して自動的に開閉弁15が開放し、或いは閉止するようにしてもよい。例えば水温が一定温度以下になれば、開閉弁15が開くようにする。またコントローラ50が内蔵するカレンダーにより、季節、月で自動的に開閉弁の開閉がなされるようにしてもよい。例えば冬季だけ開閉弁15が開くようにする。或いは11月から３月まで開閉弁15が開くようにする。更に、設定出湯温度と入水温度と入水流量とからコントローラ50で演算される必要号数によって、自動的に開閉弁15の開閉を切り換えるようにしてもよい。即ち必要号数が一定以上になる場合には、開閉弁15の開放がコントローラによって指令されるようにする。
【００１１】開閉弁15の開閉動作を何時行うかについては、燃焼中にも行えるようにしてもよいが、非燃焼時にのみ行うようにしてもよい。燃焼中に炎孔面積を切り換えることができる構成とする場合には、スイッチ動作等のチャタリングを防止するため、切り換え時のオーバラップする号数を大きくする必要があり、従って、各単独での燃料絞り比を大きくしても全体での絞り比は余り大きくできない。また応答性をよくするための構造やシステムが複雑になり、高価となる。この点非燃焼時のみに開閉弁15の開閉動作を行う構成の場合には、応答性は問題とされないので、高温で耐油性のよい弁構造の設計についての自由度が大きくなる。
【００１２】瞬間式給湯器の場合、出湯量、入水温度、出湯設定温度によって必要な発熱量が大きく変化し、また出湯温度の安定性確保のため、通常は連続燃焼を行うのが基本である。そのため、装置の出力としては３〜20号、最近は３〜34号と大きな能力可変幅を要求されている。しかしながら、実際には、その可変幅が同時期的に要求されるわけではない。例えば、夏期には能力３号は、少量出湯の際に必要であるが、一方、大量出湯を行う場合でも24号の能力は必要ない。せいぜい12号の能力があれば実用上問題ない。逆に冬季においては、能力が６号程度であっても少量出湯が可能である。このようなことから、開閉弁15の開閉の必要性はそんなに頻繁には発生せず、よって水温や季節等により大まかに開閉すれば十分であるといえ、燃焼中における開閉弁の開閉動作ができなくてもほとんど問題にならない。
【００１３】なお、実施例では、灯油による液体燃料を気化して用いる装置を示したが、これに限定されるものではない。例えば、気体燃料を用いる燃焼装置であってもよい。また実施例では予混合燃焼する装置を示したが、予混合させない装置であってもよい。また実施例では副室Ｂが１つであるが、２以上設けるようにしてもよい。
【００１４】
【発明の効果】本発明は以上の構成、作用よりなり、請求項１に記載の瞬間式給湯器用燃焼装置によれば、燃焼管内を、上面の炎孔部を含めて、前記混合気の受入れ口のある１つの主室と、少なくとも１つの副室とに仕切り、且つ仕切りには隣接する室間での前記混合気の流通を開閉する開閉手段を設けたので、主室だけで燃焼させ、或いは主室に副室を併用して燃焼させることができる、よってそれぞれが小さい燃料絞り比でもって、装置全体としては実質的に大きな燃焼絞り比を確保することができる。実際の燃焼時における燃料供給の変化が少ない（燃料絞り比が小さい）ので、燃焼が安定して行われ、炎の吹き飛びや逆火等の発生が抑制される。また装置として一個の燃焼管と一個の燃料供給手段及び一個の空気供給手段を備えればよく、また開閉手段の構成も簡単でよいので、全体として構造等が簡単でスペースも要さず、低コストで装置を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施装置の全体構成図である。
【図２】従来装置の構成図である。
【図３】他の従来装置の構成図である。
【符号の説明】
11 燃焼管
12 仕切り板
13 炎孔部
14 連通部
15 開閉弁
30 送風機
Ａ主室
Ｂ副室

【特許請求の範囲】
【請求項１】一個の燃焼管と一個の燃料供給手段及び一個の空気供給手段を備え、燃料と空気の混合気を燃焼管内に受入れ、燃焼管上面の炎孔部から噴出させて燃焼させるようにした瞬間式給湯器用燃焼装置であって、前記燃焼管内を、上面の炎孔部を含めて、前記混合気の受入れ口のある１つの主室と、少なくとも１つの副室とに仕切り、且つ仕切りには隣接する室間での前記混合気の流通を開閉する開閉手段を設けたことを特徴とする瞬間式給湯器用燃焼装置。

【図１】