説明

矯正装置、およびこの矯正装置によって矯正加工を施された部材を備える運動案内装置

【課題】軸状ワークに生じた歪を効率的、且つ、高精度で矯正する。
【解決手段】矯正装置30は、軸状ワーク11をその軸方向の複数点でクランプ固定する複数のワーククランプ45と、軸状ワーク11に対して接触・退避自在な接触子48aを備えることで軸状ワーク11の歪量を計測する計測センサ48と、計測センサ48によって計測された歪量に基づいて軸状ワーク11に押圧力を及ぼすことで、ワーククランプ45と協働して軸状ワーク11の矯正を行う押圧子としてのプレスローラ43とを備える装置であり、このうちプレスローラ43は、円弧運動をしながら軸状ワーク11に押し付けられることで、軸状ワーク11に対して面接触に基づく押圧力を及ぼす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばリニアガイド用軌道レール等に代表される軸状ワークの歪を矯正する際に用いられる矯正装置、およびこの矯正装置によって矯正加工を施された部材を備える運動案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軸状ワークの歪を矯正する際に用いられる従来の一般的な矯正装置は、例えば曲がり矯正機内に設けられた検出ヘッドにより軸状ワークの歪量を検出し、矯正すべき箇所を目視によって加圧ヘッドの位置に合わせた後、この加圧ヘッドで加圧・矯正するように構成されていた。
【0003】
また、矯正装置に関する従来技術には、上述したような矯正装置を自動化し、高能率で軸状ワークに生じた歪を矯正するようにした矯正装置も存在している。このような自動化された矯正装置の具体例としては、例えば下記特許文献1に開示されており、その具体的な構成は、軸状ワーク(下記特許文献1では、「長尺形鋼」と記されている。)の曲がりを測定する曲がり測定機と、軸状ワークの曲がりを矯正する曲がり矯正機と、曲がり測定機から測定結果を取り込み、その測定結果に基づいて軸状ワークの矯正すべき箇所と矯正順並びに矯正量と矯正方向を演算し、その演算結果により曲がり矯正機を制御する制御部とを備えたものとなっている。そして、この構成により、軸状ワークを曲がり矯正機に載置したとき、その軸状ワークについて曲がりが存在するか否かが検出され、曲がりが存在すると、その存在する箇所並びに曲がり量が測定され、その測定信号が制御部に送られる。制御部では、前記測定信号に基づいて軸状ワークの矯正すべき箇所とその矯正順並びに矯正量および矯正方向が演算される。さらに、曲がり測定機により曲がりが検出された軸状ワークは、曲がり矯正機に搬送され、制御部の演算結果に基づいて曲がりが自動的に矯正されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−309724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような従来の矯正装置は、いずれも軸状ワークの軸方向に対して垂直な方向で加圧ヘッドが移動することで加圧・矯正するように構成されており、軸状ワークに対する加圧・矯正力は、常に点接触として及ぼされるものであった。したがって、従来の矯正機を用いた矯正では、必ず一点に加圧力が集中することになるので、例えば所定の間隔で開口孔が開けられた軸状ワーク等の場合には、加圧ヘッドにて加えられる加圧量を誤ると、集中荷重によって軸状ワークが折れてしまう危険性がある。そこで、従来の矯正装置では、加圧ヘッドにて軸状ワークに加える加圧量を歪量に応じて慎重に制御する必要があり、調整等に多くの作業時間を要するものであった。
【0006】
また、軸状ワークは長手方向に長さを持つ長尺の部材であるため、複数の箇所に点接触に基づく加圧力を与えて全長の歪を矯正してゆくことになるが、このような作業は非常に非効率的であり、しかも、例えばリニアガイド用軌道レール等に代表されるような微小な歪をも除去したいような軸状ワークの場合には、従来技術に係る矯正装置を用いたのでは、要求される精度での歪の矯正を満足に行うことが困難であった。
【0007】
本発明は、上述した課題の存在に鑑みて成されたものであって、その目的は、どのような形状を有する軸状ワークであっても、当該軸状ワークに生じた歪を効率的、且つ、高精度で矯正することのできる新たな矯正装置、およびこの矯正装置によって矯正加工を施された部材を備える運動案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る矯正装置は、軸状ワークをその軸方向の複数点でクランプ固定する複数のワーククランプと、前記軸状ワークに対して接触・退避自在な接触子を備えることで前記軸状ワークの歪量を計測する計測センサと、前記計測センサによって計測された歪量に基づいて前記軸状ワークに押圧力を及ぼすことで、前記ワーククランプと協働して前記軸状ワークの矯正を行う押圧子と、を備える矯正装置であって、前記押圧子は、円弧運動をしながら前記軸状ワークに押し付けられることで、前記軸状ワークに対して面接触に基づく押圧力を及ぼすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、種々の形状を有する軸状ワークにおいて、当該軸状ワークに生じた歪を効率的、且つ、高精度で矯正することのできる新たな矯正装置と、この矯正装置によって矯正加工を施された部材を備える運動案内装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本実施形態に係る矯正装置によって矯正される軸状ワークとしての軌道部材(軌道レール)を有する運動案内装置の構成を説明するための部分破断斜視外観図である。
【図1B】図1Aで示された運動案内装置の内部構成を説明するための縦断面図である。
【図2】第一の実施形態に係る矯正装置の全体構成を示した外観正面図である。
【図3】第一の実施形態に係る矯正装置の要部を説明するための要部正面図である。
【図4】第一の実施形態に係る矯正装置の基本動作を説明するための概略斜視図である。
【図5】第二の実施形態に係る矯正装置の全体構成を説明するための外観上面図である。
【図6】第二の実施形態に係る矯正装置が備える搬入台の構成を説明するための図であり、分図(a)は上面視を、分図(b)は正面視を描いている。
【図7】図6で示した搬入台が備える変位測定ユニットの構成を示した三面図であり、分図(a)が上面視を、分図(b)が左側面視を、分図(c)が背面視を示している。
【図8】第二の実施形態に係る矯正装置が備える矯正装置本体を示した外観上面図である。
【図9】図8中のA矢視を描いた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
[軸状ワークについて]
まず、本実施形態に係る矯正装置が矯正対象とする軸状ワークの一形態について説明を行う。本実施形態に係る軸状ワークは、図1Aおよび図1Bに示すリニアガイドとしての運動案内装置10に用いられる軌道部材としての軌道レール11である。この運動案内装置10は、機械の直線運動部を軽く正確に動かす機械要素部品として従来から知られた装置である。かかる運動案内装置10は、軌道レール11と、軌道レール11に多数の転動体として設置されるボール12…を介して往復運動自在に取り付けられた移動体としての移動ブロック13とを備えて構成されている。
【0013】
軌道レール11は、その長手方向と直交する断面が概略矩形状であり、且つ、両側面の中央部分にくびれた凹みを有する形状にて形成された長尺の鋼製部材であり、その表面(上面両端および両側面上部の近傍)には、ボール12が転がる際の軌道となる転動体転走溝11a…が軌道レール11の長手方向全長に渡って形成されている。
【0014】
一方、移動ブロック13は、金属材料から成る移動ブロック本体部13aと、移動ブロック本体部13aにおける移動方向の両端面に対して設置される樹脂材料から成る一対のエンドプレート13b,13bとから構成されている。移動ブロック本体部13aには、転動体転走溝11a…とそれぞれ対応する位置に負荷転動体転走溝13c…が設けられている。軌道レール11の転動体転走溝11a…と移動ブロック本体部13aに形成された負荷転動体転走溝13c…とによって負荷転動体転走路22…が形成され、この通路に導入された複数のボール12…は、負荷を受けながら転走することになる。また、移動ブロック本体部13aは、負荷転動体転走溝13c…と平行に延びる無負荷転動体転走路23…を備えている。さらに、一対のエンドプレート13b,13bのそれぞれには、各無負荷転動体転走路23…と各負荷転動体転走路22…とを結ぶ方向転換路25…が設けられている。1つの負荷転動体転走路22および無負荷転動体転走路23と、それらを結ぶ一対の方向転換路25,25との組み合わせによって、1つの無限循環路が構成されることとなる(図1B参照)。
【0015】
そして、複数のボール12…が負荷転動体転走路22と無負荷転動体転走路23と一対の方向転換路25,25とから構成される無限循環路に無限循環可能に設置されることにより、移動ブロック13の軌道レール11に対する相対的な往復運動が可能となっている。
【0016】
以上のような構成を有する運動案内装置10において、複数のボール12…からの転がり負荷を受ける軌道レール11については、ボール12が転がる際の軌道となる転動体転走溝11a…を含む領域に対して焼入れ加工を行うことで表面の硬度を向上させ、耐摩耗性の付与や長寿命化が図られている。このとき行われる焼入れ加工によって完成前の軌道レール11は熱影響を受けることになるが、この焼入れ加工の条件によっては、加工後の軌道レール11に対して歪が生じる場合がある。
【0017】
また、図1Aにて示されるように、軌道レール11の長手方向には、その全長に渡って軌道レール設置用の開口孔11bが所定間隔で複数形成されている。この複数の開口孔11bは、軌道レール11を確実に固定するために用いられるネジを設置する際に利用されるものであるが、この開口孔11bはドリル等の工具を用いて形成されるので、この加工の際に軌道レール11に対して歪が生じる場合がある。
【0018】
本実施形態に係る矯正装置は、上述したような焼入れ加工や孔開け加工などの際に軌道レール11に生じる歪を効率的、且つ、高精度で矯正するために用いられる装置である。そこで、次に、本実施形態に係る矯正装置の具体的な構成について説明することとする。なお、図1Aおよび図1Bを用いて説明した軸状ワークとしての軌道レール11の形状については、公知の一形態を例示したものであり、本発明に係る矯正装置は、あらゆる形態の軸状ワークに対して適用可能であることを付記しておく。
【0019】
[第一の実施形態に係る矯正装置]
図2〜図4を用いて、第一の実施形態に係る矯正装置を説明する。ここで、図2は、第一の実施形態に係る矯正装置の全体構成を示した外観正面図であり、図3は、第一の実施形態に係る矯正装置の要部を説明するための要部正面図である。また、図4は、第一の実施形態に係る矯正装置の基本動作を説明するための概略斜視図である。なお、図1Aおよび図1Bを用いて説明した部材については、図示を略して同一名称および同一符号を用いて説明する場合がある。
【0020】
第一の実施形態に係る矯正装置30は、主として搬入台31と矯正装置本体41と搬出台51とから構成されている。矯正対象となる軌道レール11は、搬入台31に載置された後、1本ずつ矯正装置本体41へと送られ、矯正装置本体41にて矯正を受けた後、搬出台51へと搬出されることで、所望の直進性を備えた軌道レール11として次工程へと出荷されることとなる。
【0021】
搬入台31には、軌道レール11を矯正装置本体41へと送り出すための駆動源となるモータ32が設置されている。このモータ32によって搬入台31上に設置された複数の搬送ローラが回転し、軌道レール11を移動できるようになっている。また、矯正装置本体41の直近には変位測定ユニット33が設置されており、この変位測定ユニット33によって、矯正装置本体41へと送られる矯正前の軌道レール11の全長に渡る変位量が測定される。この変位測定ユニット33によって測定された変位量は、不図示の制御コンピュータに電送され、矯正装置本体41での矯正動作の効率化のために用いられる。
【0022】
矯正装置本体41は、図3にてより詳細に示されるように、その中央上方箇所に回転中心αを有する回転運動自在なアーム部材42を備えている。このアーム部材42の先端には、軌道レール11と接触して押圧力を及ぼすことで、軌道レール11に対する矯正を行う押圧子としてのプレスローラ43が設置されている。プレスローラ43は、アーム部材42の先端に回転自在な状態で設置されている。なお、第一の実施形態の場合、アーム部材42の先端は、図3に示すように1時の方角がホームポジションとなっており、回転運動を行ったアーム部材42は、その先端を必ず1時の方角に向くように設定されている。ただし、このアーム部材42のホームポジションについては、軌道レール11の移動を妨げない範囲において任意の位置に設定することが可能である。
【0023】
また、アーム部材42は、回転中心αを中心として回転運動可能であり、さらに、その回転中心αは、軌道レール11の軸方向に直交する上下方向で移動自在となるように構成されている。すなわち、アーム部材42は、上下方向で移動可能でありながら、任意の上下位置にて回転運動が可能となっているのである。したがって、軌道レール11に加える押圧力の多少に応じて回転中心αを移動させ、所望の回転中心αの位置にてアーム部材42を回転運動させることで、軌道レール11に対する矯正量の調整を行うことが可能となっている。また、アーム部材42が上述のような動作を行うことによって、その先端に設置されたプレスローラ43は円弧運動をしながら軌道レール11に押し付けられることになるので、軌道レール11に対して面接触に基づく押圧力を及ぼすことができるようになっている。
【0024】
アーム部材42の下方には、矯正対象となる軌道レール11を搬送するためのピンチローラ44,44と、軌道レール11をクランプ固定するためのワーククランプ45,45と、軌道レール11の搬送位置を測定するための位置検出用エンコーダ46とが設置されている。一対ずつ設置されるピンチローラ44,44とワーククランプ45,45とは、アーム部材42の上流側と下流側とにそれぞれ設置されている。また、上下流のそれぞれに設置されたピンチローラ44およびワーククランプ45の2部材は、軌道レール11の搬送方向、すなわち、図3における紙面左右方向で任意の位置に移動・固定できるように、移動架台47,47にそれぞれ設置されている。第一の実施形態に係る矯正装置本体41の場合、移動架台47,47は手動にて移動・固定ができるようになっており、矯正対象となる軌道レール11(軸状ワーク)の形状や材質等の特性に応じて好ましい位置に設置すればよい。
【0025】
なお、第一の実施形態に係る矯正装置本体41の場合、軌道レール11の上方にてアーム部材42を回転運動させ、軌道レール11の上面にプレスローラ43を面接触させる構成を採用している。すなわち、軌道レール11(軸状ワーク)の上方から鉛直方向での押圧力を及ぼすように構成されているので、軌道レール11を搬送するためのピンチローラ44,44はサイドローラとして構成されており、矯正のための押圧力を避けつつ軌道レール11の側面を押すことで、軌道レール11の搬送を支障なく行えるように構成されている。また、ワーククランプ45,45は、矯正のための押圧力が軌道レール11に加わる際に軌道レール11を保持・固定し、押圧力を及ぼすプレスローラ43と協働して軌道レール11の矯正を行うことになるので、軌道レール11の上下面をクランプ固定できるように構成されている。なお、位置検出用エンコーダ46は、下流側に設置された移動架台47上におけるワーククランプ45のさらに下流側に設置されており、矯正のための押圧力を受けることとなる軌道レール11を避けつつ軌道レール11の確実な搬送位置の測定ができるように構成されている。
【0026】
さらに、上下流のそれぞれに設置された移動架台47,47(ワーククランプ45,45)の中間下方位置であり、且つ、軌道レール11の通材経路に対してアーム部材42設置位置と対向する下方の位置には、計測センサ48が設置されている。この計測センサ48は、軌道レール11に対して接触・退避自在な接触子48aを備えており、ワーククランプ45,45によってクランプ固定された範囲において軌道レール11に生じている歪量を計測するための装置である。
【0027】
ここで、第一の実施形態に係る矯正装置30では、上述したように、搬入台31が有する変位測定ユニット33によって矯正前の軌道レール11の全長に渡る変位量が事前に測定されている。ただし、この変位量は、軌道レール11の矯正すべき位置を特定し、軌道レール11の矯正箇所を見出すために用いられるものである。一方、計測センサ48によって計測されたワーククランプ45,45間の軌道レール11に存在する歪量は、軌道レール11をどの程度矯正すればよいのかを見出すために用いられており、計測センサ48によって計測された歪量に基づいてアーム部材42の回転中心αの位置が変更され、軌道レール11に対して及ぼされる押圧力の調整が行われることとなる。なお、これらの動作については、不図示の制御コンピュータによって自動制御されており、制御コンピュータ(不図示)が、変位測定ユニット33によって取得される変位量や、計測センサ48によって計測される歪量や、位置検出用エンコーダ46によって検出される軌道レール11の位置情報等を取得し、これらの情報に応じて矯正装置30が備える各部材の動作制御を行うことによって実現されている。なお、矯正装置30が備える各部材の動作の駆動源には、サーボモータなどが用いられており、高精度の動作制御が実現されている。
【0028】
矯正される軌道レール11は、所定の位置をワーククランプ45,45でクランプ固定され、その中間位置の上方側を円弧運動をしながら面接触にて押し付けられてくるプレスローラ43によって押圧されることになるので、矯正の押圧力を受けるクランプ固定箇所の中間位置は下方に移動し、クランプ固定箇所より上流側および下流側は上方に移動することになる。すなわち、ワーククランプ45,45でクランプ固定された箇所を支点とし、プレスローラ43の押圧量に応じて、軌道レール11は弓なりに曲げられながら矯正作業が実行されることとなる。このような矯正動作は、従来技術のような鉛直下方向の点接触によって矯正荷重を付加する手法に比べて矯正対象物に過大な負荷を与えないので、疵が付き難いといった効果や、例えば軌道レール11が折れてしまったり、矯正しすぎて大曲がりしてしまったりといった不具合が発生し難いという有意な効果を発揮し得るものである。
【0029】
以上説明した第一の実施形態に係る矯正装置本体41の下流側には、搬出台51が設置されている。第一の実施形態に係る搬出台51は、フリーローラが配列されたフリーコンベアとして構成されており、矯正を終えてピンチローラ44等によって搬送されてくる軌道レール11を受け入れて集荷し、次工程へと送り出す役割を果たしている。
【0030】
以上、第一の実施形態に係る矯正装置30の構成部材について説明を行った。次に、第一の実施形態に係る矯正装置30の動作について説明を行う。
【0031】
搬入台31に矯正対象となる軌道レール11が載置されると、搬入台31が備えるモータ32によって搬入台31上に設置された複数の搬送ローラが回転し、軌道レール11を1本ずつ矯正装置本体41へと送り出す。このとき、搬入台31の最下流の位置に設置された変位測定ユニット33によって、矯正装置本体41へと送られる矯正前の軌道レール11の全長に渡る変位量が測定される。また、この変位量は、不図示の制御コンピュータに電送される。
【0032】
変位測定ユニット33によって測定された変位量を取得した制御コンピュータ(不図示)は、軌道レール11のどの箇所を矯正すべきかを算出し、矯正装置本体41にて矯正動作を行う軌道レール11の位置を割り出し、その割り出し結果に基づき軌道レール11の搬送制御を搬入台31が備えるモータ32と、矯正装置本体41が備えるピンチローラ44に指示する。
【0033】
次に、搬送制御されつつ搬送されてきた軌道レール11に対して、矯正装置本体41が矯正を行う(以降、主として図3を参照。)。位置検出用エンコーダ46による軌道レール11の位置検出と、ピンチローラ44等の制御によって軌道レール11を好適な位置で停止し、矯正対象箇所をアーム部材42の直下に位置させる。すると、矯正対象箇所の上流および下流に位置するワーククランプ45,45に対して制御コンピュータ(不図示)が動作指令を行い、軌道レール11の上下面をローラが挟み込む形にてクランプ固定が実行される。一対のワーククランプ45,45によって軌道レール11がクランプ固定されると、計測センサ48が軌道レール11に対して接触子48aを接触および退避させ、クランプ固定された範囲において軌道レール11に生じている歪量を計測する。計測センサ48によって計測された歪量は、即座に制御コンピュータ(不図示)に電送され、この歪量に基づいてどの程度の押圧力を軌道レール11に及ぼせばよいかが演算される。そして、この演算結果に基づいて、アーム部材42の回転中心αの位置が変更され、軌道レール11に対して及ぼされる押圧力の調整が行われることとなる。
【0034】
アーム部材42の回転中心αの位置が決定すると、アーム部材42が回転運動を行うので、その先端に設置されたプレスローラ43は円弧運動をしながら軌道レール11に押し付けられることになる。このような動作によって、軌道レール11に対する面接触に基づく押圧力を及ぼすことが実行される。
【0035】
プレスローラ43による矯正が実行されると、制御コンピュータ(不図示)は変位測定ユニット33によって測定された変位量に基づき軌道レール11を移動させ、軌道レール11の全長に渡って上述した矯正動作を実行させることとなる。軌道レール11の全長で矯正が完了すると、矯正を終えた軌道レール11は搬出台51へと送られ、矯正装置30による矯正作業が完了する。なお、軌道レール11の全長で矯正が完了した後に、変位測定ユニット33を用いて確認的に軌道レール11の変位量を測定し、品質確認を行うようにすることもできる。この場合、軌道レール11の変位量が所定の基準を満たしていれば、軌道レール11をそのまま搬出台51へと搬出し、軌道レール11の変位量が所定の基準を満たしていなければ、再び上述した矯正動作を実行することとなる。
【0036】
以上、第一の実施形態に係る矯正装置30について説明した。ただし、本発明の矯正装置は上記の内容には限定されず、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0037】
例えば、上述した第一の実施形態に係る矯正装置30において、プレスローラ43は軌道レール11の上方に位置しており、軌道レール11の上方から鉛直方向での押圧力を及ぼすように構成されていた。しかしながら、プレスローラ43については、軌道レール11の側方(すなわち、軌道レール11が有する開口孔11bの貫通方向に対して垂直方向)に位置するように構成し、軌道レール11の側方から水平方向に向けて押圧力を及ぼすように構成することもできる。すなわち、第一の実施形態に係る矯正装置30を横倒ししたような装置構成である。このような装置構成であれば、矯正のための押圧力の方向と重力の方向とが重畳しないようにすることができるので、矯正動作に際して重力の影響を排除することができるという利点がある。
【0038】
また、第一の実施形態に係る矯正装置30では、アーム部材42を360°回転運動させる構成を採用したが、このアーム部材42については、振り子のようにスイング運動のみを行う構成を採用することもできる(例えば、180°の範囲内など。)。スイング運動のみを行う構成のアーム部材42であっても、第一の実施形態に係る矯正装置30と同様の矯正効果を発揮することができる。
【0039】
さらに、第一の実施形態に係る矯正装置30では、2つのワーククランプ45,45と、これら2つのワーククランプ45,45間に配置される1つのアーム部材42および1つの計測センサ48という装置構成を例示して説明した。しかしながら、本発明の矯正装置では、ワーククランプを多数設け、多数のうちの隣接するワーククランプの相互間に対してアーム部材42および計測センサ48を設けるようにしてもよい。すなわち、矯正作業のためのプレスローラ43を直列に多数配置し、長尺の軌道レール11(軸状ワーク)に対してこれら多数のプレスローラ43を用いて同時連続的に矯正作業を行うようにしてもよい。
【0040】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0041】
[第二の実施形態に係る矯正装置]
上述した第一の実施形態に係る矯正装置30は、軌道レール11に対して面接触による押圧力を及ぼす押圧子としてのプレスローラ43を1つのみ備えるものであった。したがって、第一の実施形態に係る矯正装置30では、軌道レール11に対して一方向(上方向)からのみしか押圧力を及ぼすことができなかった。次に説明する第二の実施形態に係る矯正装置は、軌道レール11に対して面接触による押圧力を及ぼす押圧子としてのプレスローラを2つ設置し、二方向から同時に、あるいはそれぞれが任意のタイミングで押圧力を及ぼすことのできる構成を備えるものである。なお、この第二の実施形態に係る矯正装置については、図5〜図9を参照してその構成と動作を説明することとし、図2〜図4を用いて説明した部材と同一又は類似する部材については、同一符号を付して説明を省略する場合がある。
【0042】
ここで、図5は、第二の実施形態に係る矯正装置の全体構成を説明するための外観上面図である。また、図6は、第二の実施形態に係る矯正装置が備える搬入台の構成を説明するための図であり、分図(a)は上面視を、分図(b)は正面視を描いている。さらに、図7は、図6で示した搬入台が備える変位測定ユニットの構成を示した三面図であり、分図(a)が上面視を、分図(b)が左側面視を、分図(c)が背面視を示している。またさらに、図8は、第二の実施形態に係る矯正装置が備える矯正装置本体を示した外観上面図であり、図9は、図8中のA矢視を描いた断面図である。
【0043】
第二の実施形態に係る矯正装置50は、主として搬入台51と矯正装置本体61と搬出台71とから構成されている。矯正対象となる軌道レール11は、搬入台51に載置された後、1本ずつ矯正装置本体61へと送られ、矯正装置本体61にて矯正を受けた後、搬出台71へと搬出されることで、所望の直進性を備えた軌道レール11として次工程へと出荷されることとなる。
【0044】
第二の実施形態に係る搬入台51には、複数の搬送ローラ52が設置されており、これら複数の搬送ローラ52が回転することで、軌道レール11を矯正装置本体61へと送り出すことができるようになっている。また、第二の実施形態に係る搬入台51の特徴的な構成として、この搬入台51には自走式の変位測定ユニット53が設置されている。変位測定ユニット53は、第二の実施形態では計測センサとして用いられる部材であり、搬入台51上に設けられた2条のレール54,54上を走行できるようになっている。変位測定ユニット53の詳細構成は図7に示されている通りであるが、変位測定ユニット53が有するACサーボモータ53aのモータ軸先端に取付けられたピニオン53bが2条のレール54,54の一方に形成されているラックに噛み合っている。また、2条のレール54,54はリニアガイドの軌道レールとして機能しており、このレール54,54に組み付けられたリニアガイドの移動ブロック53cが変位測定ユニット53の下面に設置されることで、2条のレール54,54上での変位測定ユニット53のスムーズな直線運動が実現されている。
【0045】
そして、上述のように自走可能な変位測定ユニット53には、図7中の分図(b)にて示されるように、軌道レール11の両側面を挟むことのできるローラ対53d,53dが設置されている。このローラ対53d,53dは、第一の実施形態での接触子48aと同様の機能を発揮する部材であり、エアシリンダ53eによって駆動可能となっており、軌道レール11の両側面を挟み込むことによって矯正対象である軌道レール11の全長に渡った変位(歪)量を測定することができるようになっている。
【0046】
第二の実施形態に係る搬入台51では、上記構成を有する自走式の変位測定ユニット53によって矯正装置本体61へと送られる矯正前の軌道レール11の全長に渡る変位(歪)量が測定される。この変位測定ユニット53によって測定された変位(歪)量は、不図示の制御コンピュータに電送され、矯正装置本体61での効率的な矯正動作の制御のために用いられる。
【0047】
矯正装置本体61は、図8にてより詳細に示されるように、搬送されてくる軌道レール11の左右両側にそれぞれ1つずつ、合計2つのプレスローラ63,63を備えた移動機構62,62を有している。この移動機構62は、軸状ワークである軌道レール11の軸方向(すなわち、図8における紙面左右方向)とこの軸方向に直交する直交方向(すなわち、図8における紙面上下方向)とで把握される2次元平面を移動自在とされる部材である。その具体的な機構については、図8および図9にて示されており、軸方向に軌道レールが配された2つのリニアガイド71,71と、駆動源となるモータ72に接続されたボールねじ73とによって、プレスローラ63を軸方向に移動させることが可能となっており、一方、直交方向に軌道レールが配された上下4つずつ、合計8つの移動ブロックを有するリニアガイド74と、駆動源となるモータ75に接続されたボールねじ76とによって、プレスローラ63を直交方向に移動させることが可能となっている。第二の実施形態に係るプレスローラ63は、上記のような構成の移動機構62に対して設置されているので、軸方向の移動と直交方向の移動とを組み合わせることで、第一の実施形態で説明したアーム部材42に取付けられたプレスローラ43と同様の円弧運動を行うことが可能となっている。つまり、第二の実施形態に係るプレスローラ63についても、第一の実施形態のプレスローラ43と同様に、円弧運動をしながら軌道レール11に押し付けられることになるので、軌道レール11に対して面接触に基づく押圧力を及ぼすことができるようになっている。
【0048】
また、第二の実施形態に係るプレスローラ63の場合には、搬送されてくる駆動レール11の左右両側方向から押圧力を付与することができるので、より効率的な矯正作業を行うことが可能となっている。
【0049】
プレスローラ63と対向する位置には、軸方向にて移動・固定自在な一対の移動架台67,67が設置されている。この移動架台67のそれぞれには、搬送されてくる駆動レール11の下面側を支える搬送補助ローラ64と、プレスローラ63が押圧力を付与する際に駆動レール11の反プレスローラ側を支える支承部材68が設置されている。搬送補助ローラ64は、フリーローラとして構成されており、軌道レール11の搬送レベルを安定して保持する役目を担っている。一方、支承部材68は、プレスローラ63から押圧力を受ける際に軌道レール11を支えるとともに、プレスローラ63と協働して矯正荷重を軌道レール11に及ぼす役目を担う部材である。なお、支承部材68における軌道レール11との接触箇所は、プレスローラ63から押圧力を受けて弓なりに曲がろうとする軌道レール11の側面に追従して回動できるように構成されている(図8参照)。かかる構成によって、プレスローラ63から軌道レール11に対して及ぼされる矯正のための押圧力は、効率良く、且つ、無駄なく軌道レール11に対して及ぼされるので、高精度の矯正作業を実現することが可能となっている。
【0050】
なお、移動架台67,67については、移動架台67,67に設置されるボールねじ67aを介して設置された幅調整用ハンドル67bを用いることで手動にて移動・固定ができるようになっており、矯正対象となる軌道レール11(軸状ワーク)の形状や材質等の特性に応じて好ましい位置に設置すればよいように構成されている。
【0051】
第二の実施形態に係る矯正装置50では、プレスローラ63を駆動させる際に、第一の実施形態で用いられていた計測センサ48を用いず、変位測定ユニット53によって測定された変位(歪)量に基づきプレスローラ63(移動機構62)を動作させるようにした。これは、第二の実施形態に係る矯正装置50が2つのプレスローラ63(移動機構62)を有しているという利点を最大限に生かして効率の良い矯正動作を実現するために採用された構成であり、始めに測定した変位(歪)量に基づいて2つのプレスローラ63(移動機構62)を一度に動作させて歪量を低減しようとして採られたものである。
【0052】
なお、第二の実施形態に係る矯正装置50においても、各構成部材の動作制御については、不図示の制御コンピュータによって自動的に行われており、制御コンピュータ(不図示)が、変位測定ユニット53によって取得される変位(歪)量や、不図示のエンコーダによって検出される軌道レール11の位置情報等を取得し、これらの情報に基づいて矯正装置50が備える各部材の動作制御を行うことが行われている。
【0053】
以上説明した第二の実施形態に係る矯正装置本体61の下流側には、搬出台71が設置されている。第二の実施形態に係る搬出台71は、フリーローラが配列されたフリーコンベアとして構成されており、矯正装置本体61での矯正を終えて搬送されてくる軌道レール11を受け入れて集荷し、次工程へと送り出す役割を果たしている。
【0054】
以上、第二の実施形態に係る矯正装置50の構成部材について説明を行った。次に、第二の実施形態に係る矯正装置50の動作について説明を行う。
【0055】
搬入台51に矯正対象となる軌道レール11が載置されると、搬入台51上に設置された複数の搬送ローラ52が回転し、軌道レール11を1本ずつ矯正装置本体61へと送り出す。このとき、自走式の変位測定ユニット53によって、矯正装置本体61へと送られる矯正前の軌道レール11の全長に渡る変位(歪)量が測定される。また、この変位(歪)量は、不図示の制御コンピュータに電送される。
【0056】
変位測定ユニット53によって測定された変位(歪)量を取得した制御コンピュータ(不図示)は、軌道レール11のどの箇所をどの程度矯正すべきかを算出し、矯正装置本体61にて矯正動作を行う軌道レール11の位置と矯正量を割り出し、その割り出し結果に基づいて軌道レール11の搬送指令を搬送ローラ52等の搬送系部材に電送する。
【0057】
次に、搬送制御されつつ搬送されてきた軌道レール11に対して、矯正装置本体61が矯正を行う(以降、主として図8を参照。)。変位測定ユニット53によって測定された変位(歪)量に基づいて、移動機構62がプレスローラ63を円弧運動させながら軌道レール11に対して押付け、軌道レール11に対する面接触に基づく押圧力を及ぼす矯正動作が実行される。この際、2つの移動機構62が軌道レール11の両側面を同時に、あるいはそれぞれ別個に矯正していくことになるので、非常に効率的な矯正作業が実施されることとなる。
【0058】
軌道レール11の全長で矯正が完了すると、矯正を終えた軌道レール11は搬出台71へと送られ、矯正装置50による矯正作業が完了する。なお、軌道レール11の全長で矯正が完了した後に、変位測定ユニット53を用いて確認的に軌道レール11の変位(歪)量を再度測定し、品質確認を行うようにすることもできる。この場合、軌道レール11の変位(歪)量が所定の基準を満たしていれば、軌道レール11をそのまま搬出台71へと搬出し、軌道レール11の変位(歪)量が所定の基準を満たしていなければ、再び上述した矯正動作を実行することとなる。
【0059】
以上、第二の実施形態に係る矯正装置50について説明した。ただし、本発明の矯正装置は上記の内容には限定されず、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0060】
例えば、上述した第二の実施形態に係る矯正装置50において、プレスローラ63は軌道レール11の側方に位置しており、軌道レール11の側方から水平方向に向けて押圧力を及ぼすように構成されていた。かかる構成によれば、矯正のための押圧力の方向と重力の方向とが重畳しないようにすることができるので、矯正動作に際して重力の影響を排除することができるからである。しかしながら、第二の実施形態に係るプレスローラ63については、軌道レール11の上方および下方に位置するように構成し、軌道レール11の上方および下方から鉛直上下方向での押圧力を及ぼすように構成してもよい。
【0061】
また、プレスローラ43,63については、軌道レール11に対して角度を持った斜め方向から押圧力を及ぼすように構成することも可能である。
【0062】
さらに、第二の実施形態に係る矯正装置50では、2つの移動機構62に設置された2つのプレスローラ63を利用した構成を例示したが、プレスローラの設置数については単数でも複数でもよく、あらゆる構成を採用することができる。
【0063】
したがって、例えば、プレスローラを軸状ワークの上下左右斜めといった全方向に配置することで、どのような方向の歪であっても矯正することが可能な矯正装置を実現することができる。
【0064】
また、上述した第一および第二の実施形態では、軸状ワークの矯正を行う押圧子としてプレスローラ43,63を例示して説明したが、本発明の押圧子はプレスローラ43,63と同様の作用効果を発揮できるものであればどのような形態を採用してもよい。例えば、プレスローラ43,63のように軸用ワークに対して転がり接触するローラ類に代えて、軸用ワークに対して滑り接触するような円弧状表面を有する固定子等の剛体類を押圧子とすることもできる。
【0065】
さらに、上述した第一および第二の実施形態で説明した装置構成や動作方法については、軸状ワークの形状や材質等の条件に応じて、あるいは設備の設置制約やコスト制約等に応じて任意に変更可能である。本発明の特徴であるプレスローラが円弧運動をしながら軸状ワークに押し付けられることで、軸状ワークに対して面接触に基づく押圧力を及ぼすように構成されている矯正装置であることを条件として、種々の変形形態や制御手法の変更を行うことが可能である。
【0066】
またさらに、本発明に係る矯正装置が矯正可能な軸状ワークについては、上述した軌道レール11に限られるものではない。プレスローラが面接触に基づく押圧力を及ぼすことができるものであれば、軸状ワークはどのようなものであってもよい。
【0067】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0068】
10 運動案内装置、11 軌道レール、11a 転動体転走溝、12 ボール、13 移動ブロック、13c 負荷転動体転走溝、22 負荷転動体転走路、23 無負荷転動体転走路、25 方向転換路、30,50 矯正装置、33,53 変位測定ユニット、42 アーム部材、43,63 プレスローラ、45 ワーククランプ、48 計測センサ、48a 接触子、62 移動機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状ワークをその軸方向の複数点でクランプ固定する複数のワーククランプと、
前記軸状ワークに対して接触・退避自在な接触子を備えることで前記軸状ワークの歪量を計測する計測センサと、
前記計測センサによって計測された歪量に基づいて前記軸状ワークに押圧力を及ぼすことで、前記ワーククランプと協働して前記軸状ワークの矯正を行う押圧子と、
を備える矯正装置であって、
前記押圧子は、円弧運動をしながら前記軸状ワークに押し付けられることで、前記軸状ワークに対して面接触に基づく押圧力を及ぼすことを特徴とする矯正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の矯正装置において、
前記押圧子は、回転移動又はスイング移動自在なアーム部材に設置されていることを特徴とする矯正装置。
【請求項3】
請求項1に記載の矯正装置において、
前記押圧子は、前記軸状ワークの軸方向とこの軸方向に直交する直交方向とで把握される2次元平面を移動自在とされる移動機構に設置されていることを特徴とする矯正装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の矯正装置において、
前記押圧子は、前記軸状ワークの上方から鉛直方向での前記押圧力を及ぼすように構成されていることを特徴とする矯正装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の矯正装置において、
前記押圧子は、前記軸状ワークの側方から水平方向での前記押圧力を及ぼすように構成されていることを特徴とする矯正装置。
【請求項6】
軌道部材と、
前記軌道部材に複数の転動体を介して移動自在に取り付けられる移動体と、
を有し、
前記複数の転動体が、前記軌道部材と前記移動体との間に形成された負荷転走路と、その負荷転走路の一端と他端とを結ぶように前記移動体に形成された無負荷転走路とから構成される無限循環路に設置される運動案内装置において、
前記軌道部材が、請求項1〜5のいずれか1項に記載された矯正装置によって矯正加工を施された軸状ワークであることを特徴とする運動案内装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−92990(P2011−92990A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251929(P2009−251929)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【出願人】(301027661)株式会社ヒノテック (1)
【出願人】(595130034)株式会社山善 (7)