説明

石材製箱体の扉支持構造

【課題】壊れにくく、修理がしやすい石材製箱体の扉支持構造を提供する。
【解決手段】箱体5の前面を開閉する扉16は、外側に旋回軸17が一体に形成されており、旋回軸の下部に径がやや小さくなった部分17aが延びている。この小径部17aを、底板11に穿設された孔19に挿入して、旋回軸17が底板11の上に回転自在に立っている。上蓋15の底面両側に窪み20を設け、旋回軸17は、その頭17bが窪み20に嵌合して、垂直状態に枢支される。窪み20はすり鉢状に形成されており、旋回軸の頭部17bは、窪みのすり鉢形状に適合するよう丸みを持った形(ドーム形)に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は墓前に置かれ、物入れや香炉などとして用いられる石材製箱体に関し、さらに詳しくはその扉支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
墓前に置かれる香炉や物入れなど従来の石材製箱体には、上蓋を備えていて、箱体の上面が開くようにしたものがある(特開2006−125068公報)。このよう箱体では、扉の旋回軸17を底板または側壁だけで支えなければならない。そこで、例えば図6に示すものでは、扉16と側壁12をカギ形に形成して互い違いに組み合わせ、その間に金属製のピン30を通して扉を枢支している。しかしこのように扉が1カ所だけで枢支されているので、扉に無理な力がかかると、ピン自体が曲がったり、ピンが通る石材円筒部31が欠けたりしやすい。しかも、側壁は底板に固着されているので、側壁円筒部がいったん壊れると、修理が難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、壊れにくく、しかも、修理がしやすい石材製箱体の扉支持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の石材製箱体の扉支持構造は、箱体前面を開閉する扉の旋回軸を、箱体の底板に穿設された穴の中に嵌合して底板上に回転自在に立設する。箱体の上蓋には、その下面に、旋回軸の頭部が係合するすり鉢状の窪みを形成する(請求項1)。
【0005】
このように、扉の旋回軸の下部を箱体の底板に穿設された穴の中に嵌合して旋回軸を底板上に回転自在に立設したので、上蓋を開けても、扉が倒れることがない。上蓋を閉じた状態では、旋回軸の頭部が上蓋下面にある窪みに係合し、旋回軸を上下2点でしっかり支持することができる。
【0006】
上蓋の窪みはすり鉢状に形成したので、旋回軸が傾いてその頭部と窪みの芯が多少ずれている場合でも、上蓋を閉じれば、旋回軸頭部はすり鉢面に案内されて正しい位置に収まる。
【0007】
なお、旋回軸の頭部はドーム型、すなわち丸み持った形にすることが好ましく、こうすれば、扉が旋回するとき、旋回軸頭部がすり鉢の窪みの中でスムースに回動できる(請求項2)。
【0008】
上蓋は後縁側を箱本体に枢支して、上向きに回動して箱体上面を開くようにすることができる(請求項3)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は墓の側面図であり、図2は箱体の斜視図、図3は箱体の分解斜視図である。
【0010】
図1に示すように墓は、納骨堂1の上部開口が墓石2と拝石3で塞がれており、拝石の上にこの発明の箱体5が置かれる。この箱体は石材製で、茶碗などの小物を入れて置くのに用いられる。墓石2の中段に置かれているのは石材製の香炉6である。
【0011】
箱体5は、図2、図3に示すように、底板11の上に左右の側壁12と後壁13がコの字型に接着剤で固定されている。上蓋15はその後辺を後壁13に枢支する。すなわち、上蓋15の後辺に沿って円形断面部15aを形成し、後壁13の上部には、その円形断面部に適合する半円断面の溝13aを形成する(図4も参照)。左右の側壁12にも、該半円形溝13aと連続するノッチ12aを設ける。上蓋15は、その円形断面部15aがこれら溝13aとノッチ12aの中にはめ込まれ、溝13aを中心としてその周りに回動して箱体5の上面を開閉することができる。
【0012】
箱体5の前面の開閉は観音開きの扉16で行う。各扉は外側に旋回軸17が一体に形成されており、旋回軸の下部に径がやや小さくなった部分17aが延びている(図5)。この小径部17aを、底板11に穿設された孔19に挿入して、旋回軸17が底板11の上に回転自在に立っており、扉はこの旋回軸を中心に旋回することができる。
【0013】
旋回軸17はこのように片持ち支持なので、多少グラグラし、無理な力がかかると壊れやすい。そこで、旋回軸の頭を、閉じた状態の上蓋15に支持させるようにする。このため、上蓋15の底面両側に窪み20を設け、旋回軸17は、その頭17bが窪み20に嵌合して、垂直状態に枢支される。窪み20はすり鉢状に形成されており、旋回軸の頭部17bは、窪みのすり鉢形状に適合するよう丸みを持った形(ドーム形)に形成されている。窪みがすり鉢状なので、上蓋を閉じるとき、旋回軸と窪みとの芯が多少ずれていても、旋回軸の頭はすり鉢形状の窪みの中心にうまく嵌り込むことができる。また、旋回軸の頭部はドーム型なので、扉が旋回するとき、旋回軸頭部がすり鉢の窪みの中でスムースに回動できる。
【0014】
このものでは、旋回軸17が折れたような場合には、扉だけ作り直すだけで安価に修理できる特徴がある。
【0015】
図3において、符号21は扉止めの石板であり、箱体の内部両側に置かれており、扉は閉じた状態でちょうどこの板に当接し、それ以上箱体の中に入り込まない。
【0016】
この箱体は、底板11の中央に納骨用の穴11aが開いており、この穴は普段は小蓋22で塞がれている。この箱体が載っている拝石3にも穴3aが開いており、この穴を覆う格好で箱体5が置かれている。納骨の際は、図3に示すように、箱体の上蓋15および扉16を開き、さらに小蓋22を手前に引き出す。こうすると底板の納骨穴11aの下に、拝石3の穴3aが現れる。この状態で骨壷を穴3aから納骨堂1の内部に収めることができる。従来の墓では、納骨時に拝石3自体を外していたが、拝石が重いため多大の労力を要した。このようにこの箱体では小蓋を開けるだけで簡単に納骨ができる。
【0017】
前記の香炉6であるが、これは、内部で蝋燭を灯したり、線香をたくためのもので、納骨用の穴がないだけで、他の構造はこの箱体とほぼ同一である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】墓の側面図である。
【図2】箱体の斜視図である。
【図3】箱体を開いた状態の斜視図である。
【図4】箱体の中央横断面図である。
【図5】扉の旋回軸の中心を含む箱体の横断面図である。
【図6】従来の箱体の扉支持構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
3 拝石
5 箱体
11 底板
15 上蓋
16 扉
17 旋回軸
19 孔
20 窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体前面を開閉する扉の旋回軸を、箱体の底板に穿設された孔に嵌合して、該底板上に回転自在に立設し、箱体の上蓋の下面に、該旋回軸の頭部が係合するすり鉢状の窪みを形成した石材製箱体の扉支持構造。
【請求項2】
該旋回軸の頭部をドーム状に形成した請求項1に記載の石材製箱体の扉支持構造。
【請求項3】
該上蓋が、その後縁側を箱体本体に枢支され、回動しながら開閉するように構成された請求項1または2に記載の石材製箱体の扉支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−144467(P2008−144467A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332884(P2006−332884)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(304042803)有限会社おの (11)