説明

石炭火力発電所における石炭代替用の人工燃料供給原料

新規の人工燃料原料、記載されているプロセスにより生産される原料、及び該燃料原料を製造する方法が開示される。処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)に由来する成分を使用して、ガラス、金属、砂塵、及び不燃物を実質的に含まない原料を製造することができる。これら原料は、石炭とともに燃焼させること又は石炭の代替とすることを包含する様々な目的に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2008年6月26日に出願された「ENGINEERED FUEL PELLET USEFUL FOR DISPLACEMENT OF COAL IN COAL FIRING PLANTS」をタイトルとする同時係属の米国特許出願第61/076,027号及び2008年6月26日に出願された「ENGINEERED INERT FUEL PELLET」をタイトルとする米国特許出願第61/076,020号からの、米国特許法35巻119条(e)による優先権の利益を主張するものであり、それらの開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明は代替燃料に関する。特に、本発明は、処理された都市固形廃棄物の廃棄物流の成分を含む十分に高発熱量の人工燃料供給原料に関し、それは、石炭火力発電所における発電用の石炭の使用を相殺又は部分的に相殺することができ、燃焼された石炭と比較して、燃焼時により良好な排出特性をもたらす。
【背景技術】
【0003】
加熱、輸送、並びに化学薬品及び石油化学製品の生産に有用な化石燃料の供給源は、益々不足しつつあり、より高価になりつつある。エネルギーや石油化学製品を生産する産業等の産業は、それら製品及びその他多数の生産に使用するための、費用効率の高い人工燃料原料代替物を積極的に探索している。加えて、化石燃料の価格が増加し続けているため、エネルギー及び石油化学製品生産用の人工燃料原料を移動させるため輸送費が、急速に高騰している。
【0004】
これらのエネルギー及び石油化学製品を生産する産業等は、加熱及び電気用のエネルギー生産用、下流において石油化学製品及び液体燃料を生産するのに使用される合成ガスの生産用、並びにタービンのエネルギー源の生産用、の燃焼及びガス化プロセスで使用するために、石炭及び石油及び天然ガス等の化石燃料の使用に依存してきた。
【0005】
燃焼及びガス化は、燃料源内に貯蔵されているエネルギーを放出するために使用される熱化学プロセスである。燃焼は、反応器内で過剰な空気又は過剰な酸素の存在下において起こる。燃焼は、一般的に、電力生産用のタービンに動力を与えるための蒸気を発生させるために使用される。しかしながら、燃料の燃焼は暴力的な性質なものであるため、発生するガス中に著しい量の汚染物質の生成が引き起こされる。例えば、酸化雰囲気中での、例えば石炭、石油、及び天然ガス等の化石燃料の燃焼は、喘息の発作を引き起こし得る地表面オゾンの前駆物質である窒素酸化物を放出する。燃焼は、二酸化硫黄の最大の発生源でもあり、二酸化硫黄は、ひいては非常に微小な粒子である硫酸塩を生成する。米国の石炭火力発電所からの微粒子汚染は、毎年30,000人を超える人々の命を奪っている。何十万人もの米国人が、発電所からの微粒子に関連する喘息発作、心臓障害、並びに上気道及び下気道障害に苦しんでいる。
[環境に対する石炭燃焼の影響]
世界の電力需要は、2030年までに60%上昇すると予想されている(http://www.iea.org/textbase/nppdf/free/2004/weo2004.pdf)。稼働中の石炭発電所の全世界での総数は50,000箇所を超えて増え続けており、国際エネルギー機関(IEA)は、化石燃料が、2030年までエネルギー市場の85%を依然として占めているだろうと予測している(http://www.sciencedaily.com/releases/2007/11/071114163448.htm)。国際組織、及びIEAのような国際機関は、化石燃料燃焼の環境影響について関心を寄せている。石炭発電所は、生産される電気の1ユニット当たりで生成される二酸化炭素のレベルの点で、最も非効率的な発電所である。化石燃料の燃焼は、燃料の不純物及び化学的組成のため、酸性雨、地球温暖化、及び大気汚染の一因である(発電は、米国における人為的二酸化炭素排出の41%の原因である)(http://www.epa.gov/climatechange/emissions/co2_human.html)。酸性雨は、大気中への窒素酸化物及び二酸化硫黄の排出によって引き起こされる。これら自体は多少酸性であるに過ぎないが、大気と反応すると、亜硫酸、硝酸、及び硫酸などの酸性化合物を生成し、それらは雨として落下するため、酸性雨という用語で呼ばれる。ヨーロッパ及び米国では、より厳密な排出法により、この問題に関連する環境危険が低減されている。
【0006】
石炭は、環境中への放出が放射能汚染に結び付く低レベルのウラン、トリウム、及び他の天然に存在する放射性同位体も含有している。これらの物質は非常に微量な不純物として存在するが、これら物質の相当量が放出されるのに十分な石炭が、燃焼されている。1,000MWの石炭燃焼発電所は、5.2トン/年ものウラン(74ポンドのウラン235を含有する)及び12.8トン/年のトリウムを放出する可能性がある。この石炭発電所からの放射性排出は、処理出力を含む同じ電力出力を有する同等の原子力発電所より100倍高く、石炭発電所の放射線出力は3倍大きい(http://www.ornl.gov/info/ornlreview/rev26-34/text/colmain.html)。
【0007】
微量の水銀が、石炭及び他の化石燃料に存在する(http://www.fossil.energy.gov/programs/powersystems/pollutioncontrols/overview_mercurycontrols.html)。これら燃料が燃焼されると、食物連鎖に蓄積し、特に水界生態系に有害である毒性水銀が放出される。天然発生源及び人為的発生源の両方からの水銀の世界的な排出は、1995年に推定5,500トンであった。米国の石炭火力発電所は、推定48トンの水銀を毎年排出しており、それは米国の人為的活動により大気中に排出された全水銀のおよそ1/3である。
【0008】
またガス化も反応器中で起こるが、これは空気の非存在下、又は化学量論に満たない量の酸素の存在下で起こる。酸素の非存在下又は化学量論に満たない量の酸素の存在下で起こる熱化学反応によっては、窒素酸化物又は硫黄酸化物は生成しない。従って、ガス化は、燃料、特に石炭などの硫黄含有燃料の燃焼中に生成する汚染物質の多くを排除することができる。
【0009】
ガス化は、合成ガス(synthesis gas)(合成ガス(syngas))として知られている気体状の、燃料に富む生成物を発生させる。ガス化中に、燃料源を使用可能な燃料ガスに変換する2つのプロセスが起こる。第1段階では、熱分解により、600℃(1112°F)未満の温度で燃料の揮発性成分が放出され、これは脱揮発(devolatization)として知られているプロセスである。熱分解により、主として炭素又はチャコール及び灰分で構成されるチャーも生成する。第2のガス化段階では、熱分解後に残った炭素を、蒸気、水素、又は純酸素のいずれかと反応させる。純酸素によるガス化によれば、空気からの窒素希釈がないため、一酸化炭素及び水素の高品質な混合物が生じる。
【0010】
様々な種類のガス化装置が開発されている。それらは、上昇流固定床、下降流固定床、気泡流動床、及び循環流動床、の4つの主要な種類に分類することができる。区別は、反応容器中で燃料源を支持する手段、燃料及び酸化剤の両方の流れの方向、及び熱が反応器に供給される方法に基づいている。これらガス化装置設計の利点及び欠点は、文献、例えばRezaiyan, J. and Nicholas P. Cheremisinoff, Gasification Technology, A Primer for Engineers and Scientists. Boca Raton: CRC Press, 2005に詳述されており、その内容は参照により本明細書中に取り込まれる。
【0011】
対向流ガス化としても知られている上昇流ガス化装置は、ガス化装置の最も古く最も単純な形態であり、石炭ガス化に依然として使用されている。燃料は反応器の最上部に導入され、反応器の底にある火格子は反応床を支持する。空気又は酸素及び/又は蒸気の形態の酸化剤は、火格子の下に導入され、燃料及びチャーの床を通って上方に流れる。チャーの完全燃焼が床底で起こり、CO及びHOが遊離する。これらの高温ガス(約1000℃)は上方の床を通過し、そこでH及びCOに還元され、約750℃に冷却される。反応器を上昇し続けながら、還元ガス(H及びCO)は、下降する乾燥燃料を熱分解し、最後に、流入するあらゆる湿性燃料を乾燥させ、反応器を低温(約500℃)に保つ。上昇流ガス化は、水分が多く無機物含有量が高い燃料を扱うことができる単純で低コストのプロセスである。上昇流ガス化の主要な欠点は、合成ガスが、10〜20重量%のタールを含有しており、エンジン、タービン、又は合成に適用する前に合成ガスを徹底的に浄化する必要があることである。
【0012】
並流ガス化としても知られている下降流ガス化は、酸化剤及び産生ガスが、燃料と同じ方向に反応器を下向きに流れ、生成したタールの99.9%までを燃焼させることができるという点を除いて、上昇流ガス化装置と同じ機械的構成を有する。低水分燃料(<20%)及び空気又は酸素は、反応器の最上部の反応ゾーンで点火されて熱分解ガス/蒸気を発生し、それは激しく燃焼して5〜15%のチャー及び高温燃焼ガスを後に残す。このようなガスは下方に流れて、800〜1200℃でチャーと反応し、800℃未満に冷却される間により多くのCO及びHを生成する。最終的に、未変換のチャー及び灰分は、火格子の底を通過して廃棄に送られる。下降流ガス化の利点は、生成したタールの99.9%までが消費され、最低限のタール除去しか必要ないか又はタール除去が全く必要ないことである。無機物はチャー/灰分と共に残留し、遠心捕集機の必要性を低減する。下降流ガス化の欠点は、原料を低水分含有量(<20%)に乾燥させる必要があることである。反応器から出てくる合成ガスは高温であり、二次熱回収システムを必要とし、4〜7%の炭素が未変換のままである。
【0013】
気泡流動床は、粒径、密度、及び熱特性により選択した砂又はアルミナの微小な不活性粒子で構成される。ガス(酸素、空気、又は蒸気)が強制的に不活性粒子を通過させられる際に、粒子とガスとの間の摩擦力が固形物の重量と均衡する点に達する。このガス速度(最小限の流動化)では、固形粒子が浮遊し、発泡及び媒質を通るガスのチャネリング(channeling)が生じる場合があり、粒子が反応器に残り「沸騰状態」にあるように見える。最小流動化速度は、最小発泡速度及びチャネリング速度と等しくはない。粗粒子の場合、最小発泡速度及びチャネリング速度は近似しているか又はほとんど同じであるが、チャネリング速度は、ガス分布問題のため全く異なる場合がある。流動化した粒子は、床に供給された燃料を分解し、反応器全体にわたって良好な熱伝達を確実なものとする傾向がある。気泡流動床ガス化の利点は、それが均一な産生ガスを産出し、反応器の全体にわたってほとんど均一な温度分布を示すということである。気泡流動床ガス化は、微粒子を包含する広範囲の燃料粒径を受容可能であり、不活性物質、燃料、及びガスの間の高い熱伝達率を提供する。
【0014】
循環流動床ガス化装置は、床微粒子の運び去り(entrainment)が劇的に増大するいわゆる輸送速度又は循環流動化の開始速度より速いガス速度で作働し、そのため安定したガス−固体系を床で維持するためには、粒子の連続供給又は運び去られた粒子を床に戻すことが必要とされる。循環流動床ガス化は、高速反応に好適であり、床物質の熱容量が高いため高い熱輸送率を提供する。低タールで未変換炭素が少ない高変換率が可能である。
【0015】
通常、これらガス化装置では、均質な燃料源が使用される。燃料源が一定で不変であることにより、所望の生成物を一貫して生成するようにガス化装置を較正することが可能になる。各種のガス化装置は、安定性、ガス品質、効率、及び圧力損失に関して、燃料特性のある範囲内でのみ良好に作働するであろう。考慮するべき幾つかの燃料特性は、エネルギー含有量、水分含有量、揮発分、灰分含有量及び灰分の化学的組成、反応性、サイズ及びサイズの分布、容積密度、並びに炭化特性である。任意の個々の燃料用にガス化装置を選択する前に、燃料がガス化装置の必要条件を満たすか、又はこれらの必要条件を満たすように燃料を処理することができることを確実にしておくことが重要である。燃料が以前にうまくガス化されたことが無い場合は、実地試験が必要である。
【0016】
通常、ガス化装置では、合成ガスを生産するために均質な燃料源が使用される。燃料源が一定で不変であることにより、所望の生成物を一貫して生成するようにガス化装置を較正することが可能になる。各種のガス化装置は、安定性、ガス品質、効率、及び圧力損失に関して、燃料特性のある範囲内でのみ良好に作働するであろう。燃焼及びガス化に考慮すべき幾つかの燃料特性は、高位発熱量(HHV)含有、炭素(C)、水素(H)、及び酸素(O)含有量、BTU(英熱量)値、水分含有量、揮発分含有量、灰分含有量及び灰分の化学的組成、硫黄含有量、塩素含有量、反応性、サイズ及びサイズの分布、並びに容積密度である。任意の個々の燃料用にガス化装置を選択する前に、燃料がガス化装置の必要条件を満たすか、又はこれらの必要条件を満たすように燃料を処理することができることを確実にしておくことが重要である。燃料が以前にうまくガス化されたことが無い場合は、実地試験が必要である。
【0017】
燃焼用及びガス化用の大量の原料の1つ有望な供給源は、廃棄物である。都市固形廃棄物(MSW)等の廃棄物は、典型的には、廃棄されるか、又は熱及び/若しくはタービンで使用するための蒸気を発生させるために焼却プロセスで使用される。燃焼に伴う欠点は上述されており、環境を破壊する窒素酸化物、硫黄酸化物、微粒子、及び塩素の生成物等の汚染物質の生成、が包含される。
[石炭燃焼から発生する温室効果ガスの環境への影響]
現在、環境が直面している最も重要な脅威の1つは、石炭などの燃料の燃焼による、汚染物質及び温室効果ガス(GHG)の大気中へ放出である。二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、水蒸気、一酸化炭素、窒素酸化物、二酸化窒素、及びオゾン等の温室効果ガスは、入射する太陽放射線から熱を吸収するが、長波長の放射線を宇宙に反射させない。大気中の温室効果ガスは、結果として、吸収された熱を閉じこめて地球表面の温暖化をもたらす。米国では、温室効果ガス排出のほとんどが、多くは経済成長、発電に使用される燃料、並びに暖房及び冷房の必要性に影響を与える気象パターンによるエネルギー消費からもたらされる。石油及び天然ガスからもたらされるエネルギー関連の二酸化炭素排出量は、米国の人為的温室効果ガス総排出量の82パーセントに相当する。別の温室効果ガスであるメタンは、埋立、炭鉱、石油及びガス運転、並びに農業からもたらされ、総排出量の9パーセントに相当する。一方で、亜酸化窒素(総排出量の5パーセント)は、化石燃料の燃焼から、並びに特定の肥料の使用及び工業プロセスにより排出される。世界の二酸化炭素排出量は、2001年から2025年まで毎年1.9パーセント増加すると予想されている。これら排出増加の多くは、中国及びインド等の新興経済国が経済発展を化石エネルギーにより推進している、開発途上国世界で生じると予想されている。開発途上国の排出量は、2001年から2025年まで、年間2.7パーセントという世界平均を上回って増加し、2018年頃には先進工業国の排出量を上回ると予想されている。
【0018】
例えば都市固形廃棄物等の廃棄物の分解中に放出される主にメタンのため、廃棄物埋立地も温室効果ガス排出の重要な供給源である。二酸化炭素と比較して、メタンは、温室効果ガスとして二酸化炭素より20倍強力であり、埋立地は人類による排出量の約4%の原因である。メタン排出量の大きな削減は、廃棄物の燃焼及び埋立地からメタンを収集することにより達成することができる。埋立地から収集したメタンは、エネルギー生産に直接使用することも、又は燃やして消滅させる、つまりエネルギー生産を伴わない燃焼により除去することもいずれも可能である(Combustion Of Waste May Reduce Greenhouse Gas Emissions, ScienceDaily, Dec. 8, 2007)。
【0019】
生産される温室効果ガスの量の点における、人間の活動が環境に与える影響の1つの尺度は、二酸化炭素(CO)の単位で測定されるカーボンフットプリントである。カーボンフットプリントは、製品又はサービスの全ライフサイクルにわたって排出される二酸化炭素及び他の温室効果ガスの総量と見なすことができる。通常、カーボンフットプリントは、通常はCO当量(通常はキログラム又はトン単位)として表され、異なる温室効果ガスによる、同一の地球温暖化効果を表す。カーボンフットプリントは、ライフサイクルアセスメント法を使用して計算でき、又、化石燃料のエネルギー消費から直ちに帰属可能な排出に制限することもできる。
【0020】
カーボンフットプリントの別の定義は、1年間にわたる個人の行動に起因するCO(主として個人のエネルギー消費による)の総量である。この定義は個人炭素計算機(personal carbon calculator)の基礎となる。この用語は、フットプリントが個人の活動の結果として後に残されたものであるという概念にその由来がある。カーボンフットプリントは、直接排出量(典型的には、家庭で、及び自動車、飛行機、鉄道、及び他の公共交通機関による旅行を包含する輸送で使用されるエネルギーから)のみを考慮してもよく、又は同時に産出される廃棄物と共に、消費された商品及びサービスの結果としてのCO排出量を含む間接排出量を含めることもできる。
【0021】
カーボンフットプリントは、以下のステップを適用することにより効率的及び効果的に削減することができる:(i)現在のカーボンフットプリントを正確に決定するライフサイクルアセスメント;(ii)エネルギー消費及び付随するCO排出に関するホットスポットの特定;(iii)エネルギー効率の最適化、従って生産プロセスからもたらされるCO排出の削減及び他の温室効果ガス排出の削減;及び(iv)エネルギー節約策で削減することができないCO排出を相殺する解決策の特定。最後のステップには、カーボンオフセット、及びCO排出削減を目指すプロジェクトへの投資、が包含される。
【0022】
カーボンオフセットの購入は、カーボンフットプリントを削減する別の方法である。1カーボンオフセットは、1トンのCO当量の削減を表す。カーボンオフセットを販売する企業は、再生可能エネルギーの研究、農業及び埋立地ガスの捕集、及び植林等のプロジェクトに投資する。
【0023】
排出権取引クレジットの購入及び引き出しも生じ、それにより自発的なカーボンマーケットと規制されたカーボンマーケットの間での繋がりが産み出される。排出権取引スキームは、組織及び企業に自らのカーボンフットプリントを削減するための財務面でのインセンティブを提供する。そのようなスキームは、キャップアンドトレード制度下に存在し、そこでは、特定の国、地域、又は領域の総炭素排出量の上限がある値に規制され、組織には総排出量の一部分を排出する許可が交付される。その後、自らの排出目標量より少ない炭素を排出する組織は、自らの「超過」炭素排出量を販売することができる。
【0024】
多くの廃棄物の場合、廃棄される物質とは、以下を含む長い一連のステップの後に残されるものである:(i)原料の抽出及び加工;(ii)製品の製造;(iii)材料及び製品の市場への輸送;(iv)消費者による使用;及び(v)廃棄物管理。この「ライフサイクル」に沿った事実上全てのステップで、温室効果ガス(GHG)による影響を与える可能性が存在する。廃棄物管理は、廃棄物になる製品又は材料を製造、輸送、使用、及び廃棄することに伴うエネルギー消費(具体的には、化石燃料の燃焼)、及び廃棄物が廃棄される埋立地の廃棄物からの排出に影響を与えることにより、温室効果ガスに影響を与える。
【0025】
焼却は、典型的には都市固形廃棄物の容積を約90%低減するが、元々の都市固形廃棄物の容積の残り10%については依然として埋め立ての必要がある。この焼却プロセスは、温室効果ガスであるCOを大量に生成する。典型的には、焼却中に放出されるCO1当量当たりの生産されるエネルギー量は非常に低く、従ってエネルギーを生産するために都市固形廃棄物を焼却することは、大気中に放出される温室効果ガスを生成する最悪の違反の1つである。従って、温室効果ガスを回避しようとする場合、都市固形廃棄物等の廃棄物を廃棄するための、埋立及び焼却以外の新しい解決策が必要である。
【0026】
廃棄物として廃棄される各々の物質は、それがどのように製造及び廃棄されるかによって温室効果ガスとしての影響が異なる。廃棄物管理の選択肢において最も重要な温室効果ガスは、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、及びペルフルオロカーボンである。これらのうち、二酸化炭素(CO)は、米国で排出される温室効果ガスでは、圧倒的に最も一般的なものである。ほとんどの二酸化炭素排出は、エネルギー消費、特に化石燃料の燃焼に起因する。二酸化炭素は、熱閉じ込め能力(地球温暖化係数又はGWPとしても知られている)を測定するための基準ガスである。定義では、1キログラム(kg)の二酸化炭素のGWPは1である。メタンのGWPは21であり、1kgのメタンが21kgのCOと同じ熱閉じ込め能力を有することを意味している。亜酸化窒素のGWPは310である。ペルフルオロカーボンは最も強力な温室効果ガスであり、CFのGWPは6,500であり、CのGWPは9,200である。二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、及びペルフルオロカーボンの排出量は、通常「炭素当量」で表される。COは重量が12/44炭素であるので、1メートルトンのCOは、12/44又は0.27メートルトンの炭素当量(MTCE)と等しい。他のガスの各々の1メートルトン当たりのMTCE値は、そのGWPに12/44の係数を掛けることにより求められる(気象変動に関する政府間パネル(IPCC、The Intergovernmental Panel on Climate Change)、Climate Change 1995: The Science of Climate Change, 1996, p. 121)。より強力な温室効果ガスであるメタン(CH)は、有機廃棄物が埋立地等の無酸素(嫌気性)環境中で腐敗する際に生成する。埋立地からのメタンは、米国におけるメタンの最大の排出源である。
【0027】
回収した廃棄物材料を処理して化石燃料の代わりとする場合、より大きな温室効果ガス排出削減が通常得られる。置き換えの対象となった物質が生物起源(生命体に由来する物質)の場合、排出削減を得ることは必ずしも可能だとは限らない。廃棄物材料の処理、及び使用後の製品の運命等の他の要因でさえ、排出バランスに影響を与える。例えば、リサイクル織布製の油吸収シートのリサイクルは、未使用プラスチックの使用と比較して、排出削減に結びつく。別の例では、リサイクルプラスチックを建設資材の原料として使用することは、注入木材の使用より良好であることが見出された。それは、プラスチックの燃焼が注入木材より多くの排出を引き起こすため、排出が削減されるからである。置き換えの対象となった物質が化石燃料に基づいていた場合、或いはコンクリート又は鋼鉄であった場合、その結果は、プラスチックのリサイクルより好ましい可能性が高いだろう。
【0028】
環境に対する温室効果ガスの影響を考慮して、様々なレベルの政府が、燃料をエネルギーに変換する間に大気中に放出される温室効果ガスの削減を目的としたプログラムを検討しており、場合によってはそうした計画を既に開始している。そのようなイニシアチブの1つは、地域温室効果ガスイニシアチブ(RGGI、Regional Greenhouse Gas Initiative)である。RGGIは、北東部の発電所からの地球温暖化汚染を低減するよう計画された、マーケットベースの計画である。他のそのようなイニシアチブは、米国の様々な地域及び連邦レベルで検討されている。RGGIは、米国北東部における、政府により義務付けられた温室効果ガス取引システムである。この計画では、例えば、石炭火力発電所は、その温室効果ガス排出を平均で毎年2.5%積極的に削減することが必要とするであろう。これを行うための1つの方法は、使用する燃料源を変更することによるか、又は排出物を浄化して汚染物質を除去することによる。それに代わるものとしては、他者により作り出されたカーボンクレジットを購入することであり、これにより自らの大気中への排出を相殺することができる。
【0029】
回避されるべき他の排出は、硫黄排出並びに塩素排出である。多量の硫黄又は塩素を含有している燃料及び廃棄物については、燃焼及びガス化反応用を回避すべきである。多量とは、最終燃料原料に添加した際に、最終原料が2%を超える硫黄又は1%を超える塩素を含有するようになる量として定義される。石炭、使用済タイヤ、カーペット、及びゴム等の材料は、燃焼する際に、許容しがたい量の有害な硫黄系及び塩素系のガスを放出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
従って、効率的に及びクリーンに燃焼し、エネルギー及び/又は化学製品の生産に使用することができる代替燃料に対する必要性が存在する。同時に、そのような廃棄物を使用することにより、廃棄物の温室効果ガス排出を削減するための方法を実現する廃棄物管理システムの必要性が存在する。特に、それらの最終段階ライフサイクル管理に影響を与えることにより、物質のカーボンフットプリントを低減させる必要性が存在する。廃棄物に含有されているエネルギー含量を利用及び使用することにより、廃棄物の処理中に発生する温室効果ガス排出を削減し、商業消費者及び居住消費者が生み出す廃棄物を効果的に使用することが可能である。
【0031】
本発明の目的の一つは、炭素含有量、水素含有量、酸素含有量、硫黄含有量、灰分含有量、水分含有量、及びHHV等の特定の化学的分子的特性を有する、炭素含有材料、例えば石炭を熱変換するための人工燃料原料(EF)を提供することである。人工燃料原料は、石炭火力発電所における原料として石炭を相殺するか、又は代替する(ただしこれに限定されない)等の多くの目的に有用である。本発明の目的の他の一つは、石炭を燃焼させた場合と比較して、燃焼の際により良好な放出特性を有する、新規な原料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本開示では、処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)に由来する少なくとも1つの成分を含む人工燃料原料が記載され、該原料は、様々な燃焼及びガス化の目的に該原料を有用にする一連の化学的分子的特性を有する。石炭の代用又は石炭の補助として使用する際のエネルギー生産等の目的、並びに合成ガスのガス化及び生産に使用するための原料源も記載される。原料は、非結束(loose)材料、圧縮(densified)立方体、ブリケット、ペレットの形態、又は他の好適な形状及び形態であり得る。人工燃料原料を生産するプロセスも記載され、該プロセスは、物質回収センターで、固形及び液体廃棄物を含む複数の廃棄物(waste stream)を処理し、必要であれば、廃棄物(waste stream)を構成する成分の目録を作るように分離するプロセスを含む。幾つかの実施形態では、物質回収施設の廃棄物(waste stream)を構成する物質は、分離されることなく化学的分子特性毎に目録化され、この目録化された物質は、その後に特定の化学的分子特性を有する所望の人工燃料原料を生産する際に使用するために貯蔵することができる。他の実施形態では、物質回収施設に入る廃棄物(waste stream)を構成する物質は、それらの化学的分子的特性により分離され、人工燃料原料の生産時に使用するために別々に目録化される。物質回収施設に入る廃棄物(waste stream)を構成するこれら物質は、分離される際に、例えばBTU燃料含有量、炭素含有量、水素含有量、灰分含有量、塩素含有量、又は他の好適な特性に基づいて、ガス化又は燃焼用に陽性選択されてもよく又は陰性選択されてもよい。本明細書に記載の人工燃料原料を製造する方法も記載される。
【0033】
HHV燃料を設計するためのアルゴリズムも開示される。HHV燃料は、例えば、スラッギングを防止するために許容可能な灰分含有量を有し出来るだけ高い熱含量を有するように設計することができる。そのような燃料は、石炭に匹敵するエネルギー密度(BTU/ポンド)を有するが、スラッギング、融合、及び硫黄汚染の問題がなく、石炭の代用又は石炭の補助として機能することができる。人工燃料原料は、例えば、ガス化に先立って原料中のC、H、及びOの含有量を最適化することにより、高品質合成ガスを生産するように設計することもできる。そのような人工燃料原料は、合成ガスが発電用途に使用される場合はHHVの点で、又は合成ガスが化学合成用途で使用される場合は産生合成ガス中に存在するH/CO比、CO及びHの量の点で、高品質の合成ガスを生産する。また、人工燃料原料は、有害な排出を最小限に抑えるように設計することができ、例えば、人工原料は2%未満の硫黄含有物を含む。リサイクル可能材料及びリサイクル残渣等の、廃棄物(waste stream)における種々の成分を使用して、所望の人工燃料原料を生産することができる。廃棄物のライフサイクル中の任意の所与の時点で物質回収施設に入るが、廃棄物(waste stream)の成分の幾つか又は全ての最高及び最良の使用は、それらがリサイクルされることであると決定することができる。
【0034】
従って、1つの態様では、本発明は、処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)に由来する成分を含む人工燃料原料を提供し、該原料は、約60%を超える炭素含有量、約5%〜約10%の水素含有量、約20%未満の水分含有量、2%未満の硫黄含有量、約15%未満の灰分含有量を有し、該原料は、実質的にガラス、金属、砂塵、及び不燃物を含有しない。
【0035】
幾つかの実施形態では、原料はさらに水分含有量が約15%未満であってよい。幾つかの実施形態では、水分含有量は約5%〜約10%であってよい。幾つかの実施形態では、原料は、約9,000BTU/ポンド〜約15,000BTU/ポンドのHHVを有する。幾つかの実施形態では、原料は、約40%〜約80%の揮発分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約60%〜約70%の炭素含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は約70%〜約80%の炭素含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は約80%を超える炭素含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は約5%未満の灰分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約10,000BTU/ポンド〜約14,000BTU/ポンドのHHVを有する。幾つかの実施形態では、原料は、約0.06〜約0.1のH/C比を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約0.01〜約0.05のO/C比を有する。幾つかの実施形態では、原料は、850℃及びER0.34でのガス化時に、約25容積%〜約30容積%の量のH、約42容積%〜約48容積%の量のN、約12容積%〜約17容積%の量のCO、約2容積%〜約5容積%の量のCH、約5容積%〜約10容積%の量のCOを含み、及び約160〜約200のBTU/scfを有する合成ガスを生産する。幾つかの実施形態では、原料は、約40%〜約80%の揮発分含有量を有する。人工燃料原料は、ガラス、金属、砂塵、及び不燃物(人工燃料原料を不活性にするのに必要なもの以外)を実質的に含有しない。
【0036】
幾つかの実施形態では、原料は、約50%〜約60%の炭素含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約60%〜約70%の炭素含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約70%〜約80%の炭素含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約65%の炭素含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約75%の炭素含有量を有する。
【0037】
幾つかの実施形態では、原料は、約5%〜約8%の水素含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約6%〜約7%の水素含有量を有する。
【0038】
幾つかの実施形態では、原料は、約12%〜約20%の水分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約18%〜約20%の水分含有量を有する。
【0039】
幾つかの実施形態では、原料は、約10%未満の灰分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約9%未満の灰分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約8%未満の灰分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約7%未満の灰分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約6%未満の灰分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約5%未満の灰分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約4%未満の灰分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約3%未満の灰分含有量を有する。
【0040】
幾つかの実施形態では、原料は、約9,000BTU/ポンド〜約15,000BTU/ポンドのHHVを有する。幾つかの実施形態では、原料は、約10,000BTU/ポンド〜約14,000BTU/ポンドのHHVを有する。幾つかの実施形態では、原料は、約11,000BTU/ポンド〜約13,000BTU/ポンドのHHVを有する。幾つかの実施形態では、原料は、約10,000BTU/ポンドのHHVを有する。
【0041】
幾つかの実施形態では、原料は、約50%〜約70%の揮発分含有量を有する。幾つかの実施形態では、原料は、約60%の揮発分含有量を有する。
【0042】
幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.025〜約0.20のH/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.05〜約0.18のH/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.07〜約0.16のH/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.09〜約0.14のH/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.10〜約0.13のH/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.11〜約0.12のH/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.13のH/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.08のH/C比を有する。
【0043】
幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.01〜約1.0のO/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.1〜約0.8のO/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.2〜約0.7のO/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.3〜約0.6のO/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.4〜約0.5のO/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.9のO/C比を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約0.01のO/C比を有する。
【0044】
幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、850℃及びER0.34でのガス化時に、約6容積%〜約30容積%の量のH、約14容積%〜約25容積%の量のCO、約0.3容積%〜約6.5容積%の量のCH、約6.5容積%〜約13.5容積%の量のCO、約44容積%〜約68容積%の量のNを含む合成ガスを生産する。
【0045】
幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、850℃及びER0.34でのガス化時に、約0.3〜約2.0のH/CO比を有する合成ガスを生産する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、850℃及びER0.34でのガス化時に、約0.5〜約1.5のH/CO比を有する合成ガスを生産する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、850℃及びER0.34でのガス化時に、約0.8〜約1.2のH/CO比を有する合成ガスを生産する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、850℃及びER0.34でのガス化時に、約1.0のH/CO比を有する合成ガスを生産する。
【0046】

幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、850℃及びER0.34でのガス化時に、約20容積%の量のH、約46容積%の量のN、約25容積%の量のCO、約1容積%の量のCH、約8容積%の量のCO、及び160のBTU/scfを有する合成ガスを生産する。
【0047】
幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、燃焼時に、石炭の燃焼と比較してより少ない有害排出物を生成する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、燃焼時の硫黄の排出が、石炭の燃焼と比較してより少ない。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、燃焼時のHCl排出が、石炭の燃焼と比較してより少ない。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、燃焼時における例えば水銀等の重金属の排出が、石炭の燃焼と比較してより少ない。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、粒子状物質、NO、CO、CO2、揮発性有機化合物(VOC)、及びハロゲンガスの排出を避けるように設計される。
【0048】
幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、燃焼された石炭から排出される温室効果ガスと比較して、温室効果ガスに関する排出特性を低減するように設計される。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、例えば木材及びスイッチグラス(switch grass)等のバイオマスの燃焼から排出される温室効果ガスに対して、低減した排出特性を有するように設計される。
【0049】
幾つかの実施形態では、原料は、非結束(loose)の非圧縮(non−densified)形態である。他の実施形態では、人工燃料原料は圧縮(densified)形態である。幾つかの実施形態では、圧縮形態は立方体である。幾つかの実施形態では、圧縮形態は矩形である。他の実施形態では、圧縮形態は円柱状である。幾つかの実施形態では、圧縮形態は球状である。幾つかの実施形態では、圧縮形態はブリケットである。他の実施形態では、圧縮形態はペレットである。幾つかの実施形態では、圧縮燃料は、種々の厚さのシートにスライスされる。幾つかの実施形態では、その厚さは、約0.19インチ〜約0.75インチである。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)に由来する成分に加えて、燃料ペレットのガス化を改善する少なくとも1つの廃棄物材料を更に含む。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)に由来する成分に加えて、燃料ペレットのガス化を改善する少なくとも1つの廃棄物材料を更に含む。幾つかの実施形態では、該改善は、灰分の低減である。他の実施形態では、該改善は、温度制御を支援する。更に他の実施形態では、該改善は、生成する硫黄排出物の量の低減である。更に他の実施形態では、該改善は、生成する塩素排出物の低減である。更に他の実施形態では、該改善は、生成する重金属排出物の低減である。
【0050】
幾つかの実施形態では、人工燃料原料は不活性にされている。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、原料を不活性にする少なくとも1つの添加物を含む。幾つかの実施形態では、添加物を、処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)に混合して、得られるペレットを不活性にすることができる。幾つかの種類の湿性都市固形廃棄物は、湿潤状態下での発酵中(例えば長期保管又は輸送中)に、熱及び水素ガスを発生することができる比較的多数の成育可能な細菌細胞を含有する。例えば、食品廃棄物の腐敗を防止するため及び固形廃棄物の乾燥を加速するために、水酸化カルシウム等の添加物を都市固形廃棄物に添加することができる。幾つかの実施形態では、原料を不活性にする添加物はCaOである。添加物の他の非限定的な例は、ペレットが使用される下流プロセスをそれらが妨害しない限り、スルホアルミン酸カルシウム及び他の硫酸化合物である。
【0051】
或いは、都市固形廃棄物は、生物学的材料を不活性化するための任意の公知の方法により、生物学的に不活性化することができる。例えば、処理前又は処理後にX線を使用して、都市固形廃棄物を不活性化することができる。乾燥を使用して、微生物等の生物が成長するのに必要な水を除去することができる。高熱及び所望によりさらに行ってもよい加圧下での高熱(オートクレーブ)による都市固形廃棄物処理も、都市固形廃棄物を生物学的に不活性化するであろう。1つの実施形態では、人工ペレットを燃料とするレシプロエンジン又はタービンが発生させる過剰な熱を、システムを通して転送し、都市固形廃棄物を不活性化するために使用することができる。他の実施形態では、原料は、マイクロ波照射等の手段により不活性化される。
【0052】
幾つかの実施形態では、圧縮(densified)形態の人工燃料原料は、約0.25インチ〜約1.5インチの直径を有する。幾つかの実施形態では、圧縮形態の人工燃料原料は、約0.5インチ〜約6インチの長さを有する。幾つかの実施形態では、圧縮形態の人工燃料原料は、約20:1〜約3:1の表面積対容積比を有する。幾つかの実施形態では、圧縮形態の人工燃料原料は、約10ポンド/フィート〜約75ポンド/フィートの単位容積質量を有する。幾つかの実施形態では、圧縮形態の人工燃料原料は、約0.2〜約0.6の多孔度を有する。幾つかの実施形態では、圧縮形態の人工燃料原料は、約1〜約10の縦横比を有する。幾つかの実施形態では、圧縮形態の人工燃料原料は、約0.023BTU/(フィート・h・°F)〜約0.578BTU/(フィート・h・°F)の熱伝導率を有する。幾つかの実施形態では、圧縮形態の人工燃料原料は、約4.78×10−5BTU/(ポンド・°F)〜約4.78×10−4BTU/(ポンド・°F)の比熱容量を有する。幾つかの実施形態では、圧縮形態の人工燃料原料は、約1.08×l0−5フィート/s〜約2.16×l0−5フィート/sの熱拡散率を有する。
【0053】
幾つかの実施形態では、燃料ペレットのガス化を改善する少なくとも1つの廃棄物材料は、脂肪、油類、及びグリース(FOG)から選択される。幾つかの実施形態では、燃料ペレットのガス化を改善する少なくとも1つの廃棄物材料は、スラッジである。幾つかの実施形態では、圧縮(densified)形態の人工燃料原料は、FOG成分内に実質的に封入されている。実施形態の幾つかでは、封入層には刻み目が付けられている。また更なる実施形態では、封入された圧縮(densified)形態の人工燃料原料に刻み目を入れることにより、ガス化プロセス中に、刻み目のない燃料より効率的な燃料の脱揮発が引き起こされる。
【0054】
別の態様では、約60%を超える炭素含有量、約5%〜約10%の水素含有量、約20%未満の水分含有量、2%未満の硫黄含有量、約15%未満の灰分含有量、有し、実質的にガラス、金属、砂塵及び不燃物を含まない、人工燃料原料であって、以下を含むプロセスにより生産される人口燃料原料、が記載される:
a)物質回収施設において、複数の都市固形廃棄物(MSW waste feed)を受けること、
b)ステップa)の複数の都市固形廃棄物(MSW waste feed)の成分を、それらが該物質回収施設を通過する際に、該成分の化学的分子特性に基づいて目録化すること、
c)ステップb)で目録化された複数の都市固形廃棄物(MSW waste feed)の成分の化学的分子特性を、上記人工燃料原料の化学的分子特性と比較すること、
d)所望によっては、追加的な人工燃料原料成分であって、その化学的分子特性が、ステップb)の目録化された成分と一緒にした際に全体として該人工燃料原料の化学的分子特性と等しくなる化学的分子特性である、追加的な人工燃料原料成分を加えること。
【0055】
幾つかの実施形態では、原料は、約9,000のBTU/ポンド〜約15,000BTU/ポンドのHHVを有する。幾つかの実施形態では、原料は、約40%〜約80%の揮発分含有量を有する。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、原料を均質化するためにサイズが低減されている。他の実施形態では、人工燃料原料は圧縮(densified)されている。幾つかの実施形態では、圧縮原料はブリケットの形態である。幾つかの実施形態では、圧縮原料はペレットの形態である。幾つかの実施形態では、圧縮原料は立方体の形態である。
【0056】
別の態様では、以下を含むプロセスより生産される人工燃料原料が記載される:
a)物質回収施設において複数の都市固形廃棄物(MSW waste feed)を、化学的分子特性に基づいて複数の都市固形廃棄物成分に分離すること、
b)約60%を超える炭素含有量、約5%〜約10%の水素含有量、約20%未満の水分含有量、2%未満の硫黄含有量、約15%未満の灰分含有量、を有する人工燃料原料の化学的分子特性を、人工燃料原料用に選択すること、
c)合計の化学的分子特性がステップb)で選択された化学的分子特性と等しくなるよう、ステップa)の都市固形廃棄物成分群を選択すること、
d)所望によっては、ステップc)で選択された都市固形廃棄物成分群の化学的分子特性が、ステップb)で選択された化学的分子特性と等しくない場合、ステップc)の選択に他の燃料成分を加えること、及び
e)ステップc)及び所望によるステップd)の成分を混合すること。
【0057】
幾つかの実施形態では、ステップe)の混合物のサイズを低減して、人工燃料原料の均質化を助ける。幾つかの実施形態では、ステップe)の混合物の又はサイズが低減されたステップe)の混合物の圧縮(densified)形態用に、サイズ及び形状が決定される。幾つかの実施形態では、ステップe)の混合物は、圧縮(densified)されている。幾つかの実施形態では、サイズが低減されたステップe)の混合物は、圧縮(densified)されている。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約9,000BTU/ポンド〜約15,000BTU/ポンドのHHVを有する。幾つかの実施形態では、原料は、約40%〜約80%の揮発分含有量を有する。
【0058】
別の態様では、処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)から人工燃料原料を生産する方法であって、以下を含む方法、が記載される:
a)組み合わされた際に、約60%を超える炭素含有量、約5%〜約10%の水素含有量、約20%未満の水分含有量、2%未満の硫黄含有量、及び15%未満の灰分含有量を含む化学的分子特性を有し、実質的にガラス、金属、砂塵、及び不燃物を含有しないように、処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)から複数の成分を選択すること、
b)ステップa)の選択された成分を、一緒に組合せて混合し、原料を形成すること、
c)得られたステップb)の原料の化学的分子特性を、ステップa)の化学的分子特性と比較すること、
d)所望によっては、ステップb)で選択された都市固形廃棄物成分の化学的分子特性が、ステップa)の化学的分子特性と等しくない場合に、ステップb)で選択された成分に他の燃料成分を加えること。
【0059】
幾つかの実施形態では、ステップb)又はステップd)の混合物のサイズを低減して、人工燃料原料の均質化を助ける。幾つかの実施形態では、ステップb)の混合物の又はサイズが低減されたステップb)又はステップd)の混合物の圧縮(densified)形態用に、サイズ及び形状が決定される。幾つかの実施形態では、ステップb)の混合物は圧縮(densified)されている。他の実施形態では、サイズが低減されたステップe)の混合物は、約10ポンド/フィート〜約75ポンド/フィートの密度に圧縮される(densified)。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約9,000BTU/ポンド〜約15,000BTU/ポンドのHHVを有する。幾つかの実施形態では、原料は、約40%〜約80%の揮発分含有量を有する。
【0060】
別の態様では、人工燃料原料を生産する方法であって、以下を含む方法、が記載される:
a)複数の都市固形廃棄物(MSW waste stream)を受けること、
b)約60%を超える炭素含有量、約5%〜約10%の水素含有量、約20%未満の水分含有量、2%未満の硫黄含有量、及び15%未満の灰分含有量を含む化学的分子特性を有し、実質的にガラス、金属、砂塵、及び不燃物を含有しない、化学的分子特性を人工燃料原料用に選択すること、
c)複数の都市固形廃棄物(MSW waste stream)の成分を、その成分の化学的分子特性に基づいて目録化すること、
d)ステップc)の複数の都市固形廃棄物(MSW waste stream)の目録化された成分の化学的分子特性を、ステップb)の選択された化学的分子特性と比較すること、
e)所望によっては、必要とされる化学的分子特性を有する追加的な燃料成分を、ステップc)の目録化された成分に加えて、人工燃料原料のためのステップb)の所望の化学的分子特性を満たすこと。幾つかの実施形態では、ステップc)又はe)の人工燃料原料は混合されている。幾つかの実施形態では、ステップc)又はe)の人工燃料原料は、サイズが低減されている。幾つかの実施形態では、ステップc)又はe)の人工燃料原料は圧縮(densified)されている。幾つかの実施形態では、サイズが低減されたステップc)又はe)の人工燃料原料は圧縮(densified)されている。幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、約10ポンド/フィート〜約75ポンド/フィートに圧縮(densified)されている。
【0061】
幾つかの実施形態では、人工燃料原料は、圧縮(densified)されてブリケットを形成する。他の実施形態では、人工燃料原料は、圧縮(densified)されてペレットを形成する。
【0062】
本発明は、図面に示されている実施形態により例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】それらの水素含有量対炭素含有量比(H/C)(ポンド/ポンド)及び酸素含量対炭素含有量比(O/C)(ポンド/ポンド)の観点で位置付けた、例えば、石炭、FOG、木材、スラッジ、黒液、ゴム、及び都市固形廃棄物(MSW waste stream)等の、一般的に利用可能な原料物質を示す図である。
【図2】点線内にある公知の人工燃料原料を選択し、選択された原料を直接的に混合し、ある場合には水分含有量を増加又は減少させることにより生産された幾つかの新規な人工燃料原料を示す図である。
【図3】原料を直接燃焼させる模式図である。
【図4】その水分含有量を低減せずに湿性原料を直接燃焼させる模式図である。
【図5】一定の空気当量(ER)比(ER=0.34)における、典型的な石炭原料のガス化温度、炭素変換率、及びH+CO生産率に対する水分の予測される効果を示す図である。
【図6】800℃における典型的な木材原料についての、水分含有量が異なる原料による合成ガス組成の予測される変動を示す図である。
【図7】850℃における典型的な石炭原料の炭素変換率、冷ガス効率、及びCO+H生産率に対する、燃料水分含有量の予測される効果を示す図である。
【図8】1000℃における純炭素の炭素変換率、冷ガス効率、及びCO+H生産率に対する、燃料水分含有量の予測される効果を示す図である。
【図9】典型的な木材原料についての、850℃でH/CO=2.0の合成ガスを生産するのに必要な、予測される総水分供給量及び外部水分供給量を示す図である。
【図10】典型的な木材原料についての、850℃及びER=0.30における予測されるCO+H生産率、冷ガス効率、及びH/CO比を示す図である。
【図11】種々の生成物の重量分率を鎖成長パラメーター(chain growth parameter)αの関数として示す数式2をグラフにより示す図である。
【図12】様々なH/CO比を有する合成ガス生産用の原料に必要な、予測されるC/H及びC/O比を与える図である。
【図13】球形度、円柱の長さ、及び比面積に対してプロットされた円柱の直径を示すグラフを与える図である。
【図14】異なる炭素及び水素含有量を含有する原料、及びそれを空気ガス化した際の予測されるCO及びH生産のグラフを与える図である。
【図15】異なる炭素及び水素含有量を含有する原料、及びそれを空気/蒸気ガス化した際の予測されるCO及びH生産のグラフを与える図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
リサイクル可能材料の非回収可能部分であるリサイクル残渣等の都市固形廃棄物に由来する少なくとも1つの廃棄物(waste stream)成分を含んでおり、所定の化学的分子特性を有するように設計されている新規の人工燃料原料が提供される。これらの原料は、例えば木材及びスイッチグラス等のバイオマス燃料の化学的分子特性を有することができ、また例えば、有害な硫黄排出等の石炭の否定的な属性を有することなく、石炭等の高BTU含有燃料の肯定的な特性を有することもできる。例えば、バイオマス、石炭、又は石油燃料等の天然燃料に観察されない化学的分子特性を含む新規の人工燃料原料も記載される。これら新規の燃料は、例えば、炭素、水素、硫黄、及び灰分を独自の比率で含有しており、公知の燃料と比較して、異なる燃焼又はガス化特性を提供する。これら新規の原料は様々な燃焼又はガス化特性を有するため、天然燃料が均一であるために十分に機能はするものの天然燃料の化学的分子特性があまり最適化されていないため最適には機能しない多くの異なる種類の燃焼器及びガス化装置用に、新規の燃料を提供する。熱エネルギー、電力(power)、バイオ燃料、石油、及び化学薬品の生産に有用なもの等の人工燃料原料は、本明細書に記載の方法により設計及び合成することができる。
【0065】
高度に変動する不均質な廃棄物(waste stream)を、制御された様式で処理し、そこから生じる複数の成分を、その後の変換プロセスで使用される一定した均質な燃料として作用する人工燃料原料へと再混合することができる。これらのプロセスには、熱分解、ガス化、及び燃焼、が包含される。人工燃料原料は、熱エネルギー、電力(power)、バイオ燃料、又は化学薬品を生産するために単独で使用してもよく、又はこれら及び他の目的のために他の燃料と共に補助として使用してもよい。元来不均質で変動する廃棄物(waste stream)から、様々な変換プロセス用の種々の最適な物理的及び化学的特性を有する均質な人工燃料原料を設計するための方法及びプロセス、並びに様々な原料自体が記載される。
【0066】
燃料が使用されることになる変換プロセスの種類に基づいて、得られる人工燃料原料の化学的特性を設計することができる。原料は、他種の有用な燃料の中でも、合成燃料、高BTU含有燃料(HHV燃料)、及び高品質の合成ガスを生産するのに有用な燃料等の燃料として使用するために設計することができる。例えば、人工燃料は、例えば、木材、石炭、コークス等の公知の固形燃料と同じ又は類似の化学的分子組成を有するように、並びに燃焼及びガス化用の燃料の代用又は補助として機能するように設計することができる。天然に存在する燃料とは異なる化学的分子特性を有する他の燃料を設計及び合成することができる。例えば、高BTU燃料は、スラッギングを防止するために許容可能な灰分含有量を有し、出来るだけ高い熱含量を有するように設計することができる。そのような燃料は、石炭に匹敵するエネルギー密度(炭素含有量、水素含有量等)を有するが、スラッギング、融合、及び硫黄汚染の問題(灰分含有量、硫黄含有量、及び塩素含有量)がなく、石炭の代用又は石炭の補助として機能することができる。燃料は、例えば、人工原料中のC、H、O、水分、及び灰分の含有量を最適化することにより高品質合成ガスを生産するように設計することができる。そのような燃料は、例えば、合成ガスカロリー値、H/CO比、並びにCO、H、CO、及びCHの量の観点で高品質の合成ガスを生産する。高品質合成ガスを生産するこれらの燃料は、(適切なガス化装置温度において)スラグ生成が無いか又は最少限であり、タール生成が最小であるため、ガス化装置の安定的稼働を可能にする。自然界に見出される特定の燃料に適合するように設計された熱変換装置は当技術分野において記載があるが、この場合、設計された燃料以外の燃料が同時に燃焼されると運転上の問題が生じることが多いか又は装置に改良が必要である。本発明では、公知の熱変換装置に最も良好に適合するであろう最適な燃料が設計され、装置の改良は必要とされない。
【0067】
本明細書に記載の人工燃料原料は、例えば、作働温度を低下させることにより、酸素供給又は蒸気供給の要求を低減することにより、排出制御の緩和を可能にすることにより、熱変換装置の作働条件を緩和する効率的な方法を提供する。本明細書に記載の方法は、スラッジ、庭ゴミ、及び食品廃棄物等の低品質燃料を改良して高品質燃料に変換・高質化するための強力な手段を提供する。
【0068】
本発明は、以下の明細書でより詳細に説明される。
[定義]
「空気当量比」(ER)という用語は、ガス化装置に供給される空気量を燃料の完全燃焼に必要な空気量で割った比率を意味する。空気当量比、「ER」は、以下の数式で表すことができる:
【0069】
【数1】

【0070】
「英国熱量単位」(BTU)という用語は、1ポンドの水の温度を華氏で1度上昇させるために必要とされる熱エネルギーの量を意味する。
【0071】
「炭素境界(carbon boundary)」という用語は、完全なガス化又は炭素変換を達成するのにちょうど十分な酸素が加えられた際に得られる温度を意味する。これより高い温度では、固体炭素は存在しない。
【0072】
「炭素含有量」という用語は、原料中の固定炭素(下記の定義を参照)並びに全揮発分中に含有されている全ての炭素を意味する。
【0073】
「炭素変換」という用語は、燃料原料中の固体炭素を炭素含有ガス(ほとんどのガス化運転では、CO、CO、及びCH等)に変換することを意味する。
【0074】
「商業廃棄物」という用語は、店舗、事務所、レストラン、倉庫、及び他の非製造活動、非加工活動により生成された固形廃棄物を意味する。商業廃棄物は、家庭廃棄物、加工廃棄物、産業廃棄物、又は特殊廃棄物を包含しない。
【0075】
「建築及び解体廃材」(C&D)という用語は、施設、構造物、及び道路の建築、改装、修理、及び解体から生じる、汚染されていない固形廃棄物、及び整地から生じる、汚染されていない固形廃棄物を意味する。そのよう廃棄物には、これらに限定されないが、レンガ、コンクリート、及び他の石工材料、土、岩、木材(塗装、加工、及び被膜された木材及び木材製品を包含する)、整地残渣、壁装材、しっくい、乾式壁材、給排水設備、非石綿絶縁体、屋根葺き用屋根板及び他の屋根装材、アスファルト舗装、ガラス、他の廃棄物を隠蔽するようには密閉されていないプラスチック、サイズが10ガロン以下で底に1インチを超える残留物を有していない空バケット、有害液体を含有していない電気配線及び部品、並びに上記のいずれかに付随するパイプ及び金属、が包含される。C&D廃材(施設、構造物、及び道路の建築、改装、修理、及び解体、並びに整地から生じる場合でも)でない固形廃棄物には、これらに限定されないが、アスベスト廃棄物、生ごみ、段ボール箱用板紙、蛍光灯安定器又は変圧器等の有害液体を含有している電気設備、蛍光灯、敷物類、家具、家庭用機器、タイヤ、ドラム缶、サイズが10ガロンを超える容器、底に1インチを超える残留物を有している任意の容器、及び燃料タンク、が包含される。微粉砕又は細断等の、個々の廃棄物成分を認識不可能にする任意の処理技術から生じる固形廃棄物(当該処理しなければ建築及び解体廃材になるであろうものを包含する)は、具体的に、建築及び解体廃材の定義から除外される。
【0076】
「脱揮発」という用語は、人工燃料原料中の揮発性物質を除去し、従って人工燃料原料中の炭素の相対量を増加させるプロセスを意味する。
【0077】
「固定炭素」という用語は、水分、灰分、揮発分が工業分析により測定された後の残りの物質である。
【0078】
「生ごみ」という用語は、食品の取り扱い、保管、販売、準備、調理、又は給仕から生じる動物性及び植物性廃棄物等の易腐敗性の固形廃棄物を意味する。生ごみは、主として家庭の台所、店舗、市場、レストラン、その他食物が保管、準備、又は給仕される場所から生じる。
【0079】
「ガス化」という用語は、非燃焼熱処理を使用して、例えば電気、液体燃料やディーゼル蒸留物を生産するために、固形廃棄物を、クリーンな燃焼燃料に変換する技術を意味する。非燃焼とは、熱処理中に空気又は酸素を使用しないこと、又化学量論に満たない量の酸素を使用することを意味する。
【0080】
「有害廃棄物」という用語は、有害廃棄物の4つの特性(反応性、腐蝕性、可燃性、及び/又は毒性)のうちの1つを示すか、又は40 CFR part 262で特定される、環境保護庁(EPA、Environmental Protection Agency)により有害廃棄物と指定されている固形廃棄物を意味する。
【0081】
「発熱量」という用語は、燃料を定常流動プロセスで完全に燃焼させて生成物を反応物の状態に戻した際に放出されるエネルギーの量として定義される。発熱量は、燃焼生成物中の水の相に依存する。HOが液体の形態であれば、発熱量はHHV(高位発熱量)と呼ばれる。HOが蒸気の形態である場合、発熱量はLHV(低位発熱量)と呼ばれる。
【0082】
「高位発熱量」(HHV)という用語は、生成物中の水が液体状態である場合に燃料の完全燃焼で放出されるカロリー値を意味する。無水分ベースで、任意の燃料のHHVは、以下の数式を使用して計算される:
【0083】
【数2】

【0084】
数式中、C、H、S、A、O、及びNは、それぞれ炭素含有量、水素含有量、硫黄含有量、灰分含有量、酸素含有量、及び窒素含有量であり、全て重量パーセントである。
【0085】
「都市固形廃棄物」(MSW)という用語は、家庭、商業又は産業施設及び機関(institution)で発生する固形廃棄物を意味し、全ての処理可能な廃棄物及び建築及び解体廃材の処理可能な全ての成分を包含するが、有害廃棄物、自動車スクラップその他の自動車廃棄物、感染性廃棄物、アスベスト廃棄物、汚染土壌その他の吸収媒体、並びに家庭ストーブからの灰分以外の灰分、は包含されない。使用済タイヤは、都市固形廃棄物の定義から除外される。都市固形廃棄物の成分には、限定するものではないが、プラスチック、繊維、紙、庭ゴミ、ゴム、革、木材、及びリサイクル残渣(都市固形廃棄物を、都市固形廃棄物から複数の成分を選別するよう処理した後に残る、リサイクル可能材料の非回収可能部分を含有する残渣成分)、が包含される。
【0086】
「処理不能廃棄物」(不燃性廃棄物としても知られている)という用語は、ガス化システムで容易にガス化せず、ガス化中に生成される合成ガス中への、炭素又は水素についての有意な寄与を与えない廃棄物を意味する。処理不能廃棄物には、これらに限定されないが、乾式電池バッテリー、水銀電池、及び車両バッテリー等のバッテリー;冷蔵庫;ストーブ;冷凍庫;洗濯機;乾燥器;ベッドのスプリング;車両フレーム部分;クランクケース;トランスミッション;エンジン;芝刈り機;除雪機;自転車;書類棚;エアコン;温水ヒーター;貯水タンク;硬水軟化装置;炉;油貯蔵タンク;金属製家具;プロパンボンベ;及び庭ゴミ、が包含される。
【0087】
「処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)」という用語は、例えば物質回収施設において、都市固形廃棄物成分の種類により選別されることにより、都市固形廃棄物が処理されたことを意味する。都市固形廃棄物の種類には、これらに限定されないが、プラスチック、繊維、紙、庭ゴミ、ゴム、革、木材、及びリサイクル残渣(都市固形廃棄物を、都市固形廃棄物から複数の成分を選別するよう処理された後に残る、リサイクル可能材料の非回収可能部分を含有する残渣成分)、が包含される。処理された都市固形廃棄物は、ガラス、金属、砂塵、又は不燃物を実質的に含有しない。砂塵には、泥、埃、コーヒーの出しがら等の粒状廃棄物、及び砂が包含されており、従って、処理された都市固形廃棄物は、コーヒーの出しがらを実質的に含有しない。
【0088】
「処理可能廃棄物」という用語は、ガス化システムで容易にガス化し、ガス化中に生成される合成ガスへの、炭素又は水素についての有意な寄与を与える廃棄物を意味する。処理可能廃棄物には、これらに限定されないが、家庭発生源、商業発生源、及び機関(institutional)発生源のみからの新聞紙、くず郵便物、段ボール厚紙、事務用紙、雑誌、本、ボール紙、その他の紙、ゴム、布地、及び革、並びに木材、食品廃棄物、及び都市固形廃棄物(MSW waste stream)の他の可燃性部分、が包含される。
【0089】
「熱分解」という用語は、酸素欠乏環境又は無酸素環境中で加えられた熱を使用して、固形廃棄物を化学分解するプロセスを意味する。
【0090】
「リサイクル残渣」という用語は、受入廃棄物から、リサイクル施設がリサイクル可能物を処理した後に残った、リサイクルの観点上の経済的な価値をもはや含まない残渣を意味する。
【0091】
「スラッジ」という用語は、自治体の、商業の、又は産業の、廃水処理プラント若しくはプロセス、給水処理プラント、大気汚染防止施設から生み出される任意の固形物、半固形物、若しくは液体、又は同様の特性及び効果を有するその他任意の同様の廃棄物を意味する。
【0092】
「固形廃棄物」という用語は、自由に流動するのに不十分な液体含有量を有する不要な又は廃棄された固形物質を意味し、それらには、限定ではないが、ごみ、生ごみ、スクラップ材、がらくた、廃物、不活性充填材、及び景観廃物、が包含されるが、有害廃棄物、生物医学的廃棄物、浄化槽汚泥、又は農業廃棄物は包含されず、土壌肥沃化に使用される家畜糞尿及び吸収性敷きわら、又は工場廃棄物中の固形物質又は溶解物質も包含されない。固形廃棄物又は該廃棄物の成分が、価値を有し得、有益に使用され得、他の用途を有し得、又は販売若しくは交換され得るという事実によっては、該廃棄物は上記の定義から除外されない。
【0093】
「蒸気/炭素比」(S/C)という用語は、ガス化装置/燃焼器に注入された蒸気の総モル数を炭素原料の総モル数で割った比率を意味する。蒸気/炭素比「S/C」は、以下の数式により表すことができる:
【0094】
【数3】

【0095】
「熱効率」(冷ガス効率としても知られている)という用語は、得られた生成ガスに含有される総HHVを、燃料入力に含有されていた総HHVで割った比率を意味する。熱価値「Eff」は、以下の数式により表すことができる:
【0096】
【数4】

【0097】
「揮発性物質」(揮発性有機化合物としても知られている)という用語は、標準条件下で十分に高い蒸気圧を有しており、顕著に気化して大気中に進入する有機化学化合物を意味する。揮発性物質の非限定的な例には、アルデヒド、ケトン、メタン、及び他の軽質炭化水素、が包含される。
【0098】
都市固形廃棄物を含む新規の人工燃料原料が本明細書に記載され、該原料は、これらに限定されないが、炭素含有量、水素含有量、酸素含有量、窒素含有量、灰分含有量、硫黄含有量、水分含有量、塩素含有量、及びHHV含有量等の多数の所望の化学的分子特性のうち任意のものを有する。この原料は、様々な化学変換プロセスに有用である。人工燃料原料を生産するプロセス、及びそれを製造する方法も記載される。
【0099】
人工燃料原料の1つの豊富な供給源は、都市固形廃棄物である。都市固形廃棄物は、家庭、商業又は産業施設及び機関(institution)で発生する固形廃棄物であり、全ての処理可能な廃棄物並びに建築及び解体廃材の処理可能な全ての成分を包含するが、有害廃棄物、自動車スクラップその他の自動車廃棄物、感染性廃棄物、アスベスト廃棄物、汚染土壌その他の吸収媒体、並びに家庭ストーブからの灰分以外の灰分、は包含されない。都市固形廃棄物には、家庭、商業、産業、及び地域社会活動から生じる生ごみ、廃物、及び他の廃棄材料、が包含される。都市固形廃棄物の組成は、収集の時間、収集の季節、都市固形廃棄物が任意の所定の日に収集される顧客の種類、等に依存して、幅広く変動する。都市固形廃棄物は、非常に多種様々な廃棄物又は廃棄材料を含有していてもよい。例えば、廃棄物には、生分解性廃棄物、非生分解性廃棄物、鉄材料、非鉄金属、多種多様な形態の紙又は厚紙、広範囲のプラスチック(ものによっては、触媒、安定化剤、又は他の添加剤として使用される微量の毒性金属を含有していてもよい)、塗料、ニス剤、及び溶媒、布地、木材製品、ガラス、薬物及び殺虫剤等を包含する化学薬品、様々な種類の固形廃棄物、並びに広範囲の他の物質が包含されていてもよい。廃棄物には、家庭廃棄物及び産業廃棄物が包含される。本明細書で用いることが企図されている産業廃棄物は、毒性物質又は有害物質が少ない。しかしながら、都市固形廃棄物は、本明細書に記載の人工燃料原料を設計する前に、処理不能成分を取り除くために処理される。
【0100】
処理された都市固形廃棄物は、都市固形廃棄物成分の種類により選別又は目録化されている。都市固形廃棄物成分の種類には、これらに限定されないが、プラスチック、繊維、紙、庭ゴミ、ゴム、革、木材、及びリサイクル残渣(都市固形廃棄物を、都市固形廃棄物から複数の成分を選別するよう処理した後に残る、リサイクル可能材料の非回収可能部分を含有する残渣成分)、が包含される。処理された都市固形廃棄物は、ガラス、金属、砂塵、又は不燃物を実質的に含有しない。砂塵には、泥、埃、コーヒーの出しがら等の粒状廃棄物、及び砂が包含されており、従って、処理された都市固形廃棄物は、コーヒーの出しがらを実質的に含有しない。「実質的に〜ない」という用語は、本明細書で使用される場合、その物質が都市固形廃棄物成分中に0.01%を超えて存在しないことを意味する。
【0101】
人工燃料原料に使用される別の燃料源は、FOGである。FOGは、肉、ソース、肉汁、ドレッシング、油で揚げた食品、焼き物、チーズ、及びバター等のようなものに一般的に見出される。飲食店、仕出し屋、病院、養護施設、デイケアセンター、学校、及び食料品店を包含する多数の様々なビジネスは、食物を加工又は給仕することによりFOG廃棄物を発生させる。FOGは、自治体にとって大きな問題である。研究により、FOGは、下水回収システムからの衛生下水システムオーバーフロー(SSO)をもたらす衛生下水閉塞の主要原因の1つであると結論付けられている。これらSSOは、幾つかの自治体において、整備用の穴(マンホール)を通じた下水道からのオーバーフローが雨水管に入ることを包含する多くの問題を引き起こしている。雨水管の水は、排水溝に流れ込み、最終的に海洋に流れ込む。SSOは公衆衛生に脅威を与え、水生生物に悪影響を及ぼし、除去するのに多額の費用がかかる。SSOの最も一般的な原因は、食品サービス施設に接続している小〜中規模の下水道におけるFOGの蓄積である。従って、燃料としての使用により、廃水へのFOGの排出のために生じるSSOが広がることの無い、FOGの廃棄手段が提供される。
【0102】
FOGを廃棄する現行方法には、下水道への直接廃棄の他に、埋立てが包含される。これらの種類の廃棄物は、一般的に厄介者とみなされているが、燃料の供給源に変換することができる高炭素含有量を含有している。
【0103】
本発明に有用な他の種類の油類及びグリースは、石油廃棄物である。石油廃棄物の非制限的な例には、廃棄されたエンジンオイルが包含される。
【0104】
人工燃料原料の生産に有用な更に別の種類の廃棄物は、生物性廃棄物としても知られているバイオマス廃棄物である。バイオマスは、燃料として又は工業生産のために使用することができる、生存している生物学的物質及び最近死滅した生物学的物質を指す。最も一般的には、バイオマスは、生物燃料として使用するために育てられた植物性物質を指すが、繊維、化学薬品、又は熱の生産に使用される植物性又は動物性物質も包含する。バイオマスは、燃料として燃焼することができる生分解性廃棄物を包含することもできる。地質学的プロセスにより石炭又は石油等の物質に変換された有機物は、バイオマスから除外される。バイオマス廃棄物の非限定的な種類には、木材、庭ゴミ、ススキ(miscanthus)、スイッチグラス、麻、トウモロコシ、ポプラ、ヤナギ、サトウキビ及びアブラヤシ(パーム油)、ココナッツ殻、並びにナッツ殻を包含する植物、が包含される。
【0105】
人工燃料原料の生産に有用な更に別の種類の廃棄物は、スラッジである。スラッジは、処理プロセスの種々の段階で廃水から除去される固形廃棄物及び細菌の混合物である。スラッジは、「一次スラッジ」及び「二次スラッジ」に分類することができる。一次スラッジは、約4%の固形物及び96%の水である。一次スラッジは、細菌による消化が起る前に、一次沈降タンクの廃水から沈降する物質で構成される。二次スラッジ又は活性化スラッジは、はるかに液体に近く、約1%の固形物及び99%の水である。二次スラッジは、細菌及び細菌が摂食する有機物で構成される。生成された二次スラッジの約30%は、排水処理の生物学的プロセスを支援するため、曝気タンクに戻される。残りの70%は、廃棄されなければならない。
【0106】
本発明で使用が企図されるスラッジは、都市スラッジ、別名バイオソリッド(biosolid)である。都市スラッジは、製紙工場のスラッジやその他の産業スラッジ/農業スラッジを含んでいない。スラッジのカロリー値又はBTU値の重要な決定要因は、湿重量ベースの全固形分(又は逆に水分含有量)でとして表されたその乾燥度、及びその揮発性固形物含有量(乾燥重量ベースで表された全揮発性固形分又はTVS)である。2つの別々の種類のスラッジ、1)生スラッジ(一次及び二次好気性浄化器でのみ処理されたスラッジ)及び2)消化スラッジ(1に嫌気性消化を加える)が存在する。嫌気性スラッジは、典型的には60%のTVSであり、生スラッジは、典型的には75〜80%のTVSである。スラッジ塊(脱水スラッジ)の前記全固形分は、スラッジを脱水するために処理プラントによって使用される方法に依存して変動し、10%〜97+%の範囲である。1ポンドの揮発性固形物は、約10,000〜12,000BTUを有しており、例えば、1ポンドの水を蒸気として除去するには1,200BTUを必要とする。
【0107】
本明細書に記載の人工原料の生産に有用な他の種類の物質は、堆肥等の動物性廃棄物、動物バイオマス(肉及び骨組織)、家禽敷料、石炭、石炭副生成物、石油コークス、黒液、及びカーボンブラック等の化石燃料である。
【0108】
燃料の化学的組成は、燃焼用であれガス化用であれ反応器の性能に影響を与え、従って合成ガスの生産量及び品質に影響を与えることが知られている。ほとんどのガス化装置は、例えば木材ペレット又は石炭等の1種類の燃料(均質な燃料)を効率的に燃焼させることができるように構成されている。木材又は石炭等の天然燃料は均質であり、反応器に予測可能な燃料の一定した供給を提供するが、これらの燃料の化学的分子特性は最適なものではないため、これらの燃料では反応器は最適に機能することができない。
【0109】
更に、ガス化プロセスからもたらされる合成ガスは、例えば、ディーゼル蒸留物及び液体燃料を生産するために使用することができる。そのような生成物の生産に有用な合成ガスは、液体燃料の生産において効率的に使用されるために、少なくとも一定の量のエネルギー(通常はBTU/フィートで表される)を含有しているべきであり、このプロセスのための他の合成ガス必要条件には、適切な水素対一酸化炭素比(H/CO)並びに合成ガス純度も包含されうる。
【0110】
処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)に由来する少なくとも1つの成分を含み、燃料を特定の熱変換プロセスで最適に稼動させる所定の化学的分子特性を具現する人工燃料原料が、本明細書に記載される。ガス化プロセスに寄与しないか、又は有害排出(例えばダイオキシン、水銀、硫黄、及び塩素等)を生成する汚染廃棄物を除去するように都市固形廃棄物からの廃棄物成分を選択し、所望によってはさらに、ガス化又は燃焼プロセスを改善する他の物質を添加することにより、適切な化学的分子特性を有する人工燃料原料の生産に有用な物質が得られる。
【0111】
図1は、それらの水素含有量対炭素含有量比(H/C)(ポンド/ポンド)及び酸素含量対炭素含有量比(O/C)(ポンド/ポンド)の観点で位置付けた、例えば、石炭、FOG、木材、スラッジ、黒液、ゴム、及び都市固形廃棄物(MSW waste stream)等の一般的に利用可能な原料物質を示す。これら天然原料をグラフ上で実線で囲むと、天然に存在する物質のH/C及びO/Cの範囲を示す包絡線が形成される。図1では、O/C比に対する炭素境界温度もプロットされており、H/Cによる変動が斜線区域により示された。炭素境界温度は、ちょうど十分な酸素が加えられて完全な炭素変換を達成する際に得られる温度を意味する。バイオマスガス化の場合、典型的な温度は約850℃であり、乾燥石炭ガス化の場合、典型的な温度は約1,500℃である。無煙炭、半無煙炭、高揮発性及び低揮発性れき青炭等の燃料は全て、約0.03〜0.07という低H/C比及び約0.05〜約0.12という低O/C含有量比を有する。これらの燃料は、O/C比が低いために高温を必要とし、ガス化中の炭素の完全変換を促進するために通常は蒸気注入を必要とする。種々の木材、雑誌、混合紙、及び段ボール厚紙等の他の原料は、約0.1〜約0.14という比較的高いH/C含有量比、及び約0.8〜約1.0のO/C含有量比を有しており、実際には低いガス化温度を必要とする。原料が約850℃で完全にガス化されるためには、原料のO/C比が約0.55〜0.6であるべきであることが、図1からわかる。約0.75〜0.90のO/C比を有する木質バイオマス原料の場合、過剰な酸化(又は酸化の増大)がこの温度で生じる場合があり、従って合成ガス中のCOがより高いことが予測されるだろう。従って、燃料O/C及びH/C比を調整して、最適なガス化作業及び性能の達成が可能であることは、前記人工原料の利点である。
【0112】
図1では、H/CO生産は、H/C含有量に従って変動するであろうが、O/C含有量が増加してもほんのわずかしか変動しないであろうことを観察することができる。また、図1は、H/C比が増加及びO/C比が減少すると共に、発熱量及びH+CO生産率が、両方とも増加することを示している。
【0113】
例えば、それらのH/C比、O/C比、灰分含有量、及び水分含有量に基づいて人工燃料原料を賢明に選択することにより、本発明者らは、例えば木材及び石炭等の天然に存在する燃料を模倣することも、並びに公知の人工燃料原料と比較して異なるガス化特性を有するこれまで知られていない新規の人工燃料原料を炭素境界に位置させることも、両方とも可能な新規の人工燃料原料を発見した。図2は、点線内にある公知の人工燃料原料を選択し、選択された原料を直接的に混合し、場合によっては水分含有量を増加又は減少させることにより生産された幾つかの新規な人工燃料原料を示している。これら新規の原料は、炭素温度境界内の実線区域内の区域に位置する。人工燃料原料は、例えば、生成合成ガス中のH/CO含有量、H+CO生産率、及び合成ガスの発熱量に基づいて、グラフの炭素境界内に特定されている原料特性の種類を選択することにより設計することができ、それにより特定の用途に最も適するであろう特定の人工燃料に必要なH/C比及びO/C比が示される。例えばエネルギー生産用のガス化、フィッシャー−トロプシュ燃料生産用のガス化、熱分解、及び燃焼等の種々の用途について、異なるHHV含有量、CO+H生産率、又はH/CO比が必要とされ得る。
【0114】
[燃料のガス化及び燃焼に影響を与える燃料の化学的特性]
燃焼及びガス化プロセスでは、十分なエネルギーを含有し、蓄積されている化学エネルギーを燃料の燃焼時に放出する燃料が使用される。燃料に蓄積されているこのエネルギーは、硫黄、塩素、窒素、及びもちろんHOの形態の水分等の他の成分の影響に加えて、炭素パーセント、水素パーセント、酸素パーセントの観点で表される。
【0115】
可能な燃料源としての都市固形廃棄物は、例えば炭素、水素、酸素、及び灰分の存在量等の、その化学的分子構成によって特徴付けることができる。しかしながら、通常、都市固形廃棄物は様々な成分で構成され、これら成分はそれら自身、限定はされないものの炭素含有量、水素含有量、水分含有量、灰分含有量、硫黄含有量、塩素含有量、及びHHV含有量を包含する様々なパラメーターにより、燃料目的のために個々に又は集団的に特徴付けることができる。都市固形廃棄物の多くの成分は、そのままでは不均質であるが、様々な異なる熱変換プロセスに有用な種々の人工燃料原料を設計するための原料として使用することができる。そのような物質は、例えば木材及び石炭等の公知の燃料の化学的特性を実現する人工燃料原料を生み出すように操作することができ、他の原料は、自然界では観察されない独特の燃焼及びガス化特性を提供する燃料を生み出すように操作することができる。例えば、木材等のほとんどのバイオマスの炭素及び水素含有量は、表1に示されている。木材等のバイオマス中の炭素の範囲は、水素含有量と同様に、ほんのわずかしか変動しないことが、表1から容易に観察される。
【0116】
【表1】

【0117】
同様に、ほとんどの石炭の炭素含有量は、表2に見られるように、それほど幅広く変動せず、石炭のほとんどの例は、同一でないにしても類似した炭素及び水素含有量を有する。
【0118】
【表2】

【0119】
燃料源として使用される場合、例えば、ガス化では、炭素及び水素含有量は、合成ガスの化学的特性に重要な影響を有する。従って、例えば木材の炭素及び水素含有量はそれほど大きく変動しないため、合成ガスの化学的特性を変更できるようにするには、ガス化のプロセスを変更しなければならない。対照的に、本発明は、木材又は石炭の炭素含有量を含むように人工燃料原料を設計することを可能にするだけでなく、木材等のバイオマス又は石炭等の燃料に含有されるものではない炭素量及び水素量を含有するように人工燃料原料を設計することをも可能にし、それによりガス化及び燃焼反応用の新しい燃料を提供する。従って、本発明によれば、天然燃料における含有量の範囲外の、様々な炭素量及び水素量を含有するように人工燃料原料を設計できる。
【0120】
[ガス化及び燃焼に対する原料水分の影響]
[燃焼への適用]
原料から放出される熱のある部分が、水を気化させることにより消費されるであろうため、原料の水分含有量が増加すると共に、燃焼器又はバーナーの効率が低減するということは、一般的に正しい。しかしながら、燃焼効率に対する原料水分の影響を理解するためには、総合的システムの視点を開発しなければならない。
【0121】
従来技術では、燃焼反応器の効率的な燃焼を可能にすることになる燃料を有するためには、元々水分が低レベルで無い限り、水分を10%未満等の低レベルに低減しなければならないことが理解されている(例えば、米国特許第7,252,691号明細書を参照)。しかしながら、エネルギー流動Q(乾燥器からの熱損失に加えて、燃料中の水を気化させるのに必要な熱、及び原料入口と出口温度との差異から生じる顕熱変化と一般的に等しい)を使用して、湿性燃料が最初に乾燥されるプロセス(図3)を考えてみたい。乾燥後、水蒸気が放出され、水分含有量が低減した原料は、燃焼器又はボイラーに送られ、そこで加熱負荷Qが適用される。従って総正味有効エネルギーは、Qnet=Q−Qであり、これは、燃料の水分含有量を低減するためにシステム全体から必要とされる追加的なエネルギーの効果を表す。
【0122】
比較として、図4は、その水分含有量を低減せずに湿性原料を直接燃焼させる模式図を示している。有効熱利用は、Qである。人工燃料原料に対する水分の影響を理解するために、HYSYS(AspenTech,Inc社、バーリントン、マサチューセッツ州)を使用したシミュレーションを、以下のパラメーターに基づいて実施した。30重量%又は40重量%のいずれかの水分含有量を有する原料を、毎時一トンの速度で10重量%の水分含有量に乾燥させ、つまり445ポンド/h又は667ポンド/hで水を除去した(約250°Fまで加熱することにより気化された)。これには、それぞれおよそ0.64mmBTU/h又は0.873mmBTU/hのエネルギー入力が必要とされる。その後、水分含有量が10重量%の原料はボイラーで燃焼されるが、煙道ガス温度を所定温度に制御するよう加熱負荷が調整されると仮定する。ボイラー又は熱交換器の設計に依存して、この所定温度は、煙道ガス中の水の温度より高くてもよく(非凝結、150°F)、又はより低くてもよい(凝結、100°F)。結果は、下記の表3及び表4に示されている:
【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
表3及び4のデータにより、以下が示される。
(1)原料の乾燥を伴わない場合、プロセスは一般により良好な総体的熱利用を提供する。乾燥器及び燃焼器からの熱損失を考慮すると、原料の乾燥を伴わないプロセスはさらに良好となるであろう。何故なら、乾燥器及び燃焼器を使用すると、別々のユニットが使用されることになるため、燃焼器だけの場合と比較して表面積が増加し、合計としてより大きな熱損失を有するので、より大きい熱損失が予測されるためである。
【0126】
(2)煙道ガス中に水蒸気がより多く存在すると、対流ガス(煙道ガス)の質量流量の増加により対流熱伝達を向上させることができ、それにより熱利用が向上する。
【0127】
(3)水蒸気濃度がより高く、CO濃度がより低いと、放射率が増大するため、煙道ガスと熱伝達表面との間の放射熱伝達が増加する場合もある。
【0128】
(4)乾燥をしない場合は原料中の水含有量が高いため、乾燥する場合と比較して、火炎温度は低い。その結果、湿性原料が直接燃焼される場合、CO及びNO生産を大きく低減することができる。
【0129】
(5)原料乾燥器が使用される場合、総体的な資本経費及び運転費が増加する。
【0130】
従って、燃焼プロセスに対する水分の影響は、総合システム的な手法で評価されなければならない。燃焼に先立って原料を乾燥することは、必ずしも総体的使用可能エネルギーの節約若しくは向上、又は総体的エネルギー利用効率の増加につながらない。加えて、燃料の水分含有量を低減する追加ステップを加えることは、追加資本費用並びに運転及び管理コストも増加させる。乾燥原料を燃焼することは、CO及びNOを包含する大気汚染物質生成の可能性を増加させる。これは、水をバーナーに噴射して火炎温度を低下させ、スラッギング(灰分の生成)並びに(とりわけ)CO及びNOの生成による負の効果を低減させるという、この産業で見られる一般的な対策に沿うものである。
【0131】
反対に、燃料中の水分含有量が高すぎる場合(例えば、約50重量%より大きい場合)、安定燃焼を維持することは著しく困難になる。従って、約10重量%〜約40重量%の水分含有量が、効率及び反応器の運転のバランスを保つのに最適であることが見出された。
【0132】
[ガス化への適用]
水分は、様々な方法でガス化に影響を与える場合がある。例えば、水分がガス化前に原料から除去される場合、ガス化性能は、ガス化のどのパラメーターが観察されるかに応じて、向上される場合もあり又はされない場合もある。エネルギー利用効率の点で、乾燥は、上記で考察したような燃焼への適用の際における、原料を乾燥することの効果とは異なり、ガス化の総合的効率を向上しない場合がある。
【0133】
ガス化への適用に応じて、空気、純酸素、又は蒸気等の酸化剤を使用することができる。典型的には1500℃の温度で稼動する酸素大規模石炭ガス化の場合、酸素消費量は高く、それによりスラッギング及び灰分の溶解が運用上の課題になる。この場合の課題は、必要とされる最低限の量のガス化原料でガス化を稼動させることであり、その理由は、これにより、生成ガス1単位当たりの酸素量が低減されるためである。この酸素の低減は、ガス化中のより大きな節約につながる。しかしながら、酸化剤としての酸素を低減させると、より多くの蒸気が必要になる。より多くの水分が必要であるため、水分をガス化ユニットに導入してもよく、又は本発明のように、必要な水分は原料に存在していてもどちらでもよい。原料中のこの水分増加は、ガス化中に必要とされる酸素量を低減すると共に、ガス化温度をより制御することを可能とし、それにより炭素変換率が増加し、従って総合的なガス化性能が向上する。
【0134】
更に、ガス化反応の熱力学及び動力学は、ガス化反応中の水分量により達成される。ガス化反応中に生じる2つの反応が、下記に示されている:
【0135】
【化1】

【0136】
熱力学及び動力学に従うと、ほとんどのガス化は、反応(a)により達成されることになるが、(b)に示されている反応では、蒸気によりガス化される全ての炭素が、蒸気により炭素の1原子当たり2つの合成ガス分子を産出することが可能であり、遥かにより費用がかかる酸素による反応(a)におけるわずか1つの炭素と比較して、それほど多くは起こらない。ガス化中に反応(b)を優勢にさせるためには、水分が十分に存在することが重要である。
【0137】
比較的高いメタン含有量、従って高い冷ガス効率を含有する合成ガスを生産するプロセスは、発電への適用に有用であろうことは明白である。しかしながら、そのような合成ガス組成は、合成ガスが最適なH/CO収量を必要とする異なる合成ガス用途にとっては、最適の選択ではない可能性がある。原料中の水分含有量を変化させることにより、合成ガス生産率及び組成を、ある特定の用途に対して有利に又は不利にするために改善することができる。ガス化装置の性能及び合成ガスの特性に対する水分の影響も原料の特性により変動する。例えば、化学的に結合された水分及び炭素含有量は、ガス化中に水分が原料に対して影響を及ぼすことができる2つのパラメーターである。化学的に結合された水分が少ない高炭素含有量の燃料(乾燥石炭等)の場合、水分含有量を増加させると、上記の反応(b)が刺激されることにより合成ガス生成率が向上し、合成ガスの発熱量が向上する。対照的に、木材等の化学的に結合された水分が多い原料の場合、水分含有量を更に増加させると、水性ガスシフト反応(上記の反応(b))が促進され、水素生産及び従ってH/CO比が増加するものの、ガス化効率はより低くなる。より低いガス化温度では、含有水分はメタン生産を増加させ、その結果、発電用途に好適な合成ガスが得られる場合もある。高いガス化温度において水分が存在する場合、メタン生産は低減されるであろう。
【0138】
従って、ガス化装置への蒸気注入のような、ガス化原料中の適切な水分含有量は、有用で経済的なガス化調節体であり、以下の少なくとも1つを達成することができる:
(a)ガス化装置温度の制御:
図5は、一定の空気当量(ER)比(ER=0.34)での、典型的な石炭原料のガス化温度、炭素変換率、及びH+CO生産率に対する水分の予測される効果を示している。より高い水分を含有する原料は、ガス化の際にガス化温度を低下させることができ、それにより、より高い灰分含有量の原料のガス化が可能になる。そのような人工燃料原料の場合、それらがスラッギング又は灰分融合を起こす傾向があるため、より低い温度でガス化装置を稼動させることが好ましい。原料中に水分が存在することにより、炭素変換も増大され、灰分スラッギング、融合の潜在的リスクを更に低減可能にしつつ、ガス化の低温稼動が可能になる。
【0139】
(b)合成ガス生産の変更:
ガス化温度を制御し、特定の合成ガス用途(発電又は化学合成用)に適合するように合成ガス組成、特にメタン生産及びH/CO比、を整えるためには、蒸気注入が必要とされることが多い。図6は、800℃における典型的な木材原料についての、水分含有量が異なる原料による合成ガス組成の予測される変動を示している。
【0140】
(c)炭素変換率の増加:
水性ガスシフト反応(CO+HO=CO+H)が促進されるため、より高い又は完全な炭素変換を、低減されたガス化温度で達成することができる。これは、低温稼動を可能にするだけでなく、CO+H生産率及びガス化効率も向上させる。しかしながら、水分が高すぎる場合、CO+H生産率及び冷ガス効率は、(同じガス化温度に到達するために必要な熱を提供するための)燃焼増大のため低下する場合がある。図7は、850℃における典型的な石炭原料の炭素変換率、冷ガス効率、及びCO+H生産率に対する燃料水分含有量の予測される影響を示している。図8は、1000℃における典型的な純炭素の炭素変換率、冷ガス効率、及びCO+H生産率に対する燃料水分含有量の予測される効果を示している。
【0141】
(d)酸化剤として:
図9は、典型的な木材原料について、850℃でH/CO=2.0の合成ガスを生産するのに必要な、予測される総水分供給量及び外部水分供給量を示している。蒸気が酸化剤として使用される場合、原料中の水分を外部からの蒸気供給の代わりにすることができ、外部熱が利用可能な場合及び/又は酸素節約が望ましい場合にそうされることが多い。酸化剤としての空気又は酸素を原料に由来する水で置換することにより、窒素がより希釈されなくなり、水性ガス反応(b)が増加するため、高BTUの合成ガスを生産することができる。一定のガス化温度及び空気当量比で稼動させる際の水分が増加すると、H/CO比が増加することに加えて、H+CO生産率及び冷ガス効率がわずかに増大する(図8)。図10は、850℃及びER=0.30における典型的な木材原料の、予測されるCO+H生産率、冷ガス効率、及びH/CO比を示している。
【0142】
例えば上記で考察したパラメーターに従って都市固形廃棄物成分を賢明に選択し、都市固形廃棄物(MSW waste stream)に由来する成分を逆選択又は正選択し、その後該成分及び所望によってはさらにその他任意の必要とみなされる添加物、を正しい比率で混合することにより、指定された用途のための人工燃料原料を設計することができる。例えば、表5には、都市固形廃棄物に見出される幾つかの一般的な成分がそのC、H、O、N、S、灰分、及びHHV含有量、並びに完全燃焼に必要なERと共に、列挙されている。成分は、例えばそれらの炭素含有量により、任意の異なる数のクラスに選別することができる。例えば、都市固形廃棄物は、2、3、4、5、又はそれよりさらに多くのクラスに選別することができる。1つの実施形態では、表5aには、4つの別々のクラスが列挙されている:クラス#1は、約45%の炭素含有量を有し、クラス#2は、約55%の炭素含有量を有し、クラス#3は、約60%の炭素含有量を有し、クラス#4は、約75%の炭素含有量を有する。
【0143】
【表5】

【0144】
特定の指定されたパラメーターを有する燃料を設計するために、数式1を使用して、表5aに列挙されている4つのクラスから選択し、その量を割当てることができる。
【0145】
【数5】

【0146】
例えば、都市固形廃棄物から作られた人工燃料原料は、天然の木材チップと同じ化学的組成を有するように設計することができる。天然木材チップは、表6に列挙された化学的組成を有する。天然木材チップと同じ化学的組成の合成燃料の設計に必要な、表5に列挙されている種々のクラスの選別された都市固形廃棄物の正確な量は、数式1により、クラス#1が88.1%及びクラス#2が11.9%と決定された。クラス#3及び#4からの成分は、この特定の合成人工燃料原料には必要ではなかった。
【0147】
【表6】

【0148】
木材チップ及びFS#4の元素分析及び工業分析は、表7に一覧される。
【0149】
【表7】

【0150】
ラボスケールの成層下降流ガス化装置で、ガス化試験を実施した。ガス化装置は、内径が4インチで穴あき火格子から上の高さが24インチである。火格子の1インチ上、7インチ上、19インチ上及び4インチ下に、ガス化装置に沿って4つのK型熱電温度計が設置されている。リアルタイムの温度を、データ記録温度計(オメガ社製、HH309A)で記録する。2つのウォータースクラバーで構成されている合成ガス試料採取装置(syngas sampling train)及び真空ポンプを用いて合成ガス試料を採取し、HP5890Aガスクロマトグラフで分析して、H2、N2、CO、CO2、及びCH4の容積分率を得る。乾燥ガス試験計量器を空気取入口に設置して、吸気速度を測定する。2つの木材及び模倣木材を用いた試験を、酸化剤として空気を用いて同様の稼動条件で実施した。結果は表8に列挙されている。
【0151】
【表8】

【0152】
表8に観察できるように、木材チップのガス化から生産されたH、N、CO、CH、COの量は、原料#4のガス化から生産されたものと非常に類似している。加えて、H/CO比及びBTU/scfは、約5%以内である。この人工燃料原料は、本明細書に記載の方法の使用によって、木材等の天然燃料を近似する原料を設計することができることを実証している。
【0153】
[類似のエネルギー含有量の燃料は、必ずしも類似したガス化又は燃焼特性を示さない]
しかしながら、同じエネルギー含有量(例えば、HHV又はBTU/ポンド)を有する2つの燃料が、同じ反応性で燃焼又はガス化したり、あるいは同じ熱変換特性を与えるとは限らない。例えば、およそ14,000BTU/ポンドを含有する2つの原料が調製された。原料#2(FS#2)は、13,991BTU/ポンドのエネルギー含有量を有し、原料#7(FS#7)は、14,405BTU/ポンドのエネルギー含有量を有し、違いは約3%である。2つの原料の化学的分子特性は表9に列挙されている。水分含有量、炭素含有量、水素含有量、酸素含有量、並びにH/C及びO/Cの比は、互いを比較すると非常に異なっている。
【0154】
【表9】

【0155】
原料を以下の手順を使用してガス化した。ラボスケールの成層下降流ガス化装置で、ガス化試験を実施した。ガス化装置は、内径が4インチで穴あき火格子から上の高さが24インチである。火格子の1インチ、7インチ、19インチ上及び4インチ下に、ガス化装置に沿って4つのK型熱電温度計が設置されている。リアルタイムの温度を、データ記録温度計(オメガ社製、HH309A)で記録する。2つのウォータースクラバーで構成されている合成ガス試料採取装置(syngas sampling train)及び真空ポンプを用いて合成ガス試料を採取し、HP5890Aガスクロマトグラフで分析して、H、N、CO、CO、及びCHの容積分率を得る。乾燥ガス試験計量器を空気取入口に設置して、吸気速度を測定する。2つの木材及び模倣木材を用いた試験を、酸化剤として空気を用いて同様の稼動条件で実施した。結果は以下の表に列挙されている。合成ガス組成、H/CO比、及び合成ガスのHHVは、2つの人工燃料原料間でかなり近いことを理解することができる。原料FS#2及びFS#7のガス化の結果は、表10に列挙されている。
【0156】
【表10】

【0157】
表10のデータから、2つの燃料は非常に類似したエネルギー含有量を有するが(違いはわずか約3%)、合成ガス組成の違いは非常に異なっていることを理解することができる。2つの原料間では、H容積%及びCH容積%について30%を超える違い、及びH/CO比について50%を超える違いがあり、このことは、これら2つの燃料からの合成ガスを、類似したフィッシャー−トロプシュ燃料の生産に使用することはできないであろうことを意味する。2つの原料間では、合成ガスのエネルギー含有量について13%の違い、及び生産されたCOの量について17%の違いがある。この実験は、原料のBTU/ポンド値を考慮するだけでは、原料がどんな種類の合成ガス特性を有することになるのかに関する真の指標は得られないことを実証している。
【0158】
[燃焼]
条件がガス化ではなく燃焼下であったことを除いて同じ計算を、理論上の原料に対して実施した。原料は全て10,000BTU/ポンドという同じHHVを有すると仮定し、その後、炭素含有量、水素含有量、酸素含有量、灰分含有量、及び水分含有量の組合せを種々変化させた。結果は、下記の表11に示されている。
【0159】
【表11】

【0160】
表11に見ることができるように、理論上の原料#1〜#5は全て、10,000BTU/ポンドの同じHHVを有するが、炭素含有量は、30%から70%まで変動する(従って、H及びOも変動することになる)。列挙されている数値から、完全燃焼のための化学量論的空気要求量は、原料の1ポンド当たり78.8から96.7scfまで変動する。この違いにより、燃焼生成物は変動することになり、重要なこととして、実際の燃焼運転では、作業者が煙道Oをモニターしているのであれば、過剰空気比を調整しなければならない。上記の計算では、煙道中の目標Oが5%であれば、原料#1の場合の28.5%から原料#5の場合の32%まで、過剰空気を調整しなければならない。
【0161】
【表12】

【0162】
表12では、理論上の原料は各々、10,000BTU/ポンドのエネルギー値を有するが、水分含有量は5%から20%まで変動した。完全燃焼のための化学量論的空気要求量は、原料1ポンド当り#3の場合の87.7(5%の水分)から#10の場合の77.6(20%の水分)scfまで変動する。従って、燃焼運転の場合、原料のBTU含有量を考慮するだけでは、燃焼特性がどのようになるのかを知るのには不十分である。同じBTU値を有するが化学的分子特性が異なる原料は、異なる燃焼挙動を示し、異なる燃焼制御を必要とするだろう。同じBTU値を有するものの化学的分子特性は異なる原料を用いた場合でさえ、燃焼器温度は変動するであろうことも予想される。
【0163】
[高BTU燃料の設計]
スラッギングのリスクを最小限に抑えつつ最大のBTUを含有する燃料を設計するためには、灰分存在量を制限することを考慮に入れなければならない。バイオマス燃料の場合、約5%未満の灰分を含む燃料は、約5%を超える灰分を含有する燃料ほどスラッギングを起こさないと考えられることが報告されている(Reed, T. B., and A. Das, Handbook of Biomass Downdraft Gasifier Engine Systems. Golden: SERI, 1988を参照)。灰分は、特に上昇流又は下降流ガス化装置で様々な問題を引き起こす場合がある。反応器中でのスラッギング又はクリンカー形成は、灰分の融解及び凝集により引き起こされ、最善の場合でさえ、ガス化装置の運転に必要な労働量を大きく増加させるであろう。特別の措置が取られない場合、スラッギングは過剰なタール生成及び/又は反応器の完全な閉塞をもたらし得る。
【0164】
スラッギングが生じるかどうかは、燃料の灰分含有量、灰分の融解特性、及びガス化装置の温度パターンに依存する。酸化ゾーンの燃料床にある空間の局所的高温は、床におけるブリッジング(bridging)並びにガス流及び固形物流の望ましくない分布状態により引き起こされ、高灰分溶融温度で燃料を使用する場合でさえスラッギングを引き起こし得る。一般的に、スラッギングは、5〜6パーセント未満の灰分含有量を有する燃料では観察されない。12パーセント以上の灰分含有量を有する燃料では激しいスラッギングが予測される。6〜12パーセントの灰分含有量を有する燃料の場合、スラッギング挙動は、灰分溶融温度に大きく依存し、それは、低融点共融混合物の形成を生じさせる微量元素の存在により影響を受ける。
【0165】
石炭との同時燃焼に使用するための、又は更に石炭の代用としての、高HHV燃料供給原料を設計する場合、このような排出を考慮するべきである。本明細書に記載の方法により、燃焼された場合の石炭と比較して、燃焼時により良好な排出特性を有する新規の供給原料を合成することができる。石炭燃焼からの排出は、燃料の等級及び組成、ボイラーのタイプ及びサイズ、燃焼条件、負荷、制御技術のタイプ、及び設備保全のレベルに依存する。れき青炭及び亜れき青炭の燃焼からの懸念される主な汚染物質も、ボイラーのサイズ、燃焼条件、負荷、制御技術のタイプ、及び設備のレベルが原因で発生する。これら汚染物質には、粒子状物質(PM)、硫黄酸化物(SO)及び窒素酸化物(NO)が含まれる。一酸化炭素(CO)及び多数の有機化合物を含む幾つかの未燃焼可燃物は、一般的に、適切なボイラー操業条件下でさえ排出される。表13では、最も一般的な石炭バーナーの1つであるストーカーバーナーでの、れき青炭及び亜れき青炭の燃焼から排出される種々の量の汚染物質が列挙されている。表13に列挙されている情報は、EPAによる文書AP−42に蓄積及び公開されている(http://www.epa.gov/ttn/chief/ap42/ch01/final/c01s01.pdf)。
【0166】
【表13】

【0167】
本明細書に記載の燃料供給原料は、燃焼時に、EPAにより報告されており表13に列挙されているような排出特性と比較して、より低い排出特性を有することになる。
【0168】
下記の数式2は、燃料のエネルギー含有量(HHV)と、人工燃料原料に含有される灰分の量との関係を与える。
【0169】
【数6】

【0170】
上記の数式を使用することにより、約10,000BTU/ポンド〜約15,000BTU/ポンドのHHVを有する人工燃料原料を設計することができ、それにより灰分は、最低限の量、例えば約5%未満の灰分又は約4%未満の灰分、に保持される。約10,000BTU/ポンドの燃料を設計するために使用される都市固形廃棄物の成分は、表5に列挙されている都市固形廃棄物に由来する4つのクラスの都市固形廃棄物成分から選択された。表14には、これら燃料を設計するために使用された都市固形廃棄物の成分の量、及びそれらの対応する炭素、水素、硫黄、及び灰分含有量、並びに人工燃料のHHV値が列挙されている。
【0171】
【表14】

【0172】
幾つかの実施形態では、圧縮(densified)形態の人工燃料原料の生産中に、該圧縮(densified)形態の化学的分子特性が特定のガス化装置に必要なものより低いことが決定され、ガス化プロセスを改善する他の物質の量を該プロセス中に増加させることにより所望の燃料仕様の範囲内にある圧縮(densified)形態の人工燃料原料の化学的分子特性をもたらすようにすることができる。他の実施形態では、ガス化プロセスを改善する他の物質を、圧縮(densified)前に又は圧縮(densified)中に添加して、得られる圧縮(densified)形態の人工燃料原料の化学的分子特性を調整してもよい。幾つかの実施形態では、原料に添加される前記他の物質は、FOGである。表15には、特定のFOGの熱含有量及びそれらの炭素及び水素含有量が列挙されている。
【0173】
【表15】

【0174】
原料に添加することができる別の種類の物質は、スラッジである。表16には、スラッジの炭素及び水素含有量が示されている。
【0175】
【表16】

【0176】
[下流フィッシャー−トロプシュ化学用の目標合成ガス組成に基づく人工燃料原料の設計]
合成ガスから炭化水素を生産するための最もよく知られている技術は、フィッシャー‐トロプシュ合成である。この技術は、Sabatier及びSenderensが1902年にニッケル触媒を使用して一酸化炭素(CO)を水素化してメタンにしたことで、Sabatier及びSenderensによりドイツで最初に実証された。1926年には、Fischer及びTropschに対して、合成ガスを石油に類似した液化炭化水素に変換する触媒技術の発見に関する特許が与えられた。
【0177】
フィッシャー−トロプシュ合成の基本反応は以下の通りである:
【0178】
【化2】

【0179】
使用される触媒及び使用される条件によっては、他の反応が、フィッシャー−トロプシュ合成中に生じる場合がある:
【0180】
【化3】

【0181】
式中、Mは、触媒金属原子を表す。
【0182】
従来のフィッシャー−トロプシュ触媒を使用する炭化水素の生産は、鎖成長又は重合反応速度論により制御される。一般的にアンダーソン−シュルツ−フローリ式と呼ばれる数式3は、炭化水素の生産を記述する。
【0183】
【数7】

【0184】
式中、W=炭素数nを有する生成物の重量分率、及びα=鎖成長確率、つまり停止ではなく別の炭素原子を付加することにより触媒表面の炭素鎖が成長する確率。一般的に、αは、CO及びHの濃度又は分圧、温度、圧力、及び触媒組成に依存するが、鎖長には依存しない。αが増加するにつれて、生成物の平均炭素数も増加する。αが0と等しい場合、メタンのみが生成する。αが1に近づくにつれて、生成物は主にワックスになる。
【0185】
図11は、種々の生成物の重量分率を鎖成長パラメーターαの関数として示す数式2のグラフ表示を提供する。図11は、ガソリン又はディーゼル燃料等の所望の生成物の収量を最大化することになる特定のαが存在することを示す。炭素数がm〜n(両端含む)の物質の重量分率は、数式4により与えられる:
【0186】
【数8】

【0187】
m〜nの炭素数範囲の収量を最大化にするαは、数式5により与えられる。
【0188】
【数9】

【0189】
追加的なガソリン及びディーゼル燃料は、ワックス生成物の水素化分解又は接触分解等の更なる精製により生産することができる。
【0190】
合成ガスに由来する目標生成物の各々について、対応する適切なH/CO比が必要である。表17に列挙した。そのようなH/CO比をもたらす1つの方法は、合成ガスを生産するために使用される原料中のC、H、及びOの量を制御することである。例えば、図12は、必要なH/CO比の合成ガスを生産するために原料に必要とされるC/H及びC/Oの予測される比を示す。
【0191】
【表17】

【0192】
最初に生成合成ガスにおいて所望されるH/CO比を選択することにより、適切な水分及び灰分含有量に加えて、人工原料の組成中のH/C及びO/Cの適切な比を決定することができる。これらの比が決定されると、適切な都市固形廃棄物成分を選択し一緒に混合することで、ガス化時に所望のH/CO比を有する合成ガスを産出する原料を形成することができる。
【0193】
[燃料粒子の効率的なガス化又は燃焼に影響を与える物理的特性]
上昇流及び下降流ガス化装置は、原料に許容される燃料サイズの範囲に制限がある。細粒状及び/又は綿毛状の原料は、ガス化装置のバンカー部分における流動の問題、並びに還元ゾーンにおける許容できない圧力損失及びガス中に高い割合の埃を引き起こす場合がある。大きな圧力損失は、下降流設備のガス負荷(load)の低減に結び付き、その結果として温度及びタール生成の低下がもたらされる。過度に大きなサイズの粒子又は破片は、燃料の反応性を低下させ、その結果、起動の問題及び低いガス品質をもたらし、並びに設備を通しての輸送における問題を起こす。原料のサイズ分布の範囲が広いことは、一般的に上記の現象を悪化させるだろう。粒子サイズが大き過ぎることは、特に上昇流ガス化装置において、ガスチャネリングの問題を引き起こす場合がある。ガス化システム用に許容される燃料サイズは、ある程度まで設備の設計に依存する。
【0194】
燃料の粒子サイズ分布は、燃料が酸素及び他のガスと反応する速度を包含する、燃焼器及びガス化装置運転の側面に影響を与える。より小さな粒子の燃料は、より大きな粒子の燃料より迅速に消費される傾向がある。粒子サイズは、面積−容積平均(dpv)に基づく(数式6)。粒子集団中の粒子サイズの分布は、dpvにより与えられる(数式7)。
【0195】
【数10】

【0196】
人工燃料原料粒子の形状及び人工燃料原料の圧縮(densified)形態は、ガス固体反応、及び粒子とそれらを担持するガス流との間の運動量移動に強い影響を及ぼす。粒子の形状を記述するために使用される1つのパラメーターは球形度であり、球形度はガス化/燃焼プロセス中の粒子の流動度に影響を及ぼす。流動度は、変換プロセスの効率を低下させるガス化装置中の粒子によるチャネリング及びブリッジングの回避に重要である。球形度は下記の式により定義することができる:
【0197】
【数11】

【0198】
pv・ψという関係中に共に存在する粒子サイズdpv及び球形度ψは、燃焼器又はガス化装置にある間の粒子の流体力学的特性に影響を及ぼす。これら流体力学的特性には、特に、圧力低下、最小流動化速度、終端速度、及び運動量移動、が包含される。例としては、石炭、石灰石、及び砂の粒子は、0.6〜0.9の範囲の球形度である。木材チップ粒子は、例えば、約0.2の球形度である。
【0199】
ガス固体反応の速度は、粒子の利用可能な表面積に依存する。従って、容積が同様である粒子の場合、より高い表面積を有する粒子は、より迅速に及びより効率的に消費され、従ってガス化プロセスを達成する。数式8及び9は、それぞれ球体及び円柱の容積を記述する。
【0200】
【数12】

【0201】
下記の表18には、全て同じ容積(0.524インチ)を有しているが、異なる表面積(インチ)及び比表面積(インチ/インチ)を有する様々な円柱及び球体が列挙されている。
【0202】
【表18】

【0203】
円柱や球体等の形状であって同じ容積を有する形状の場合、球体は最小の比表面積を有する。円柱の球形度が1に近づくと共に、円柱は、ガス化/燃焼プロセスにおいて、より球体に近い挙動を示す。しかしながら、対応する容積に対する表面積は、球体の形状では最大化されず、それは変換プロセスが至適に効率的とはならないことを意味する。円柱形状については、その直径及び長さに応じて最小比表面積及び最高球形度が存在する。この形状は、人工燃料用に決定された場合、該燃料が使用される変換プロセスに最適である。図13は、円柱の直径を、球形度並びに円柱の長さ及び比面積に対してプロットすると、ペレットの最適なサイズを決定することができることを示す。
【0204】
所与の相当径について(図13)、円柱の直径がその長さとほとんど等しい場合に、最大球形度に対応する比表面積の最小値が存在する。その点から離れると、球形度は減少するが比表面積が増加し、これは、流動度が減少していくにつれて、ガス固体反応速度は好ましいものになることを意味する。最適なペレット寸法は、優れた流動度を確保するのに十分なほど高い球形度値を維持しつつ、可能な限り最大限の比表面積を有する。この特性は、変換プロセスの効率を減少させるガス化装置内部でのペレットのブリッジング及びチャネリングを最小限に抑えるか又は防止さえする。
【0205】
上述のように、人工原料は、ガス固体反応を有利にするために、数式10のαpを最大化することにより決定される、同一容積における最大表面積を有すべきである。
【0206】
【数13】

【0207】
特定の原料のαpを最大化することにより、他の天然燃料と比較して、変換プロセス中のより良好な流体力学的性能、及び人工燃料の調製(サイズ低減及びペレット化)における高い費用対効果が得られる。
【0208】
燃焼又はガス化性能を更に最適化するための、人工燃料原料のサイズ及び形状、並びに幾つかの実施形態では、球形度を決定することができる。例えば、ガス化及び燃焼プロセスにおいて、例えば天然木材チップと比較して同様の結果を与える圧縮(densified)形態を有する燃料を設計するために、天然木材チップの球形度は自然な出発点を提供する。天然木材チップは、約0.2の球形度(ψp)を有する。天然木材チップよりわずかに良好な球形度である0.25の球形度を有するが、同じHHVを含有する人工燃料粒子を設計した。数式11は、人工燃料粒子のサイズを記述するものであり、表18には、そのような人工粒子の可能な寸法が列挙されている:
【0209】
【数14】

【0210】
【表19】

【0211】
表18に示されている値から、最小粒子は、実際に最大の比表面積を有する(それぞれ、72フィート/フィート対48フィート/フィート、及び36フィート/フィート)。
【0212】
燃料ペレットのガス化速度は、少量のカリウム、ナトリウム、又は亜鉛等の、触媒として作用する多数の元素により正の影響を受ける場合がある。
【0213】
容積密度は、軽く粉砕された燃料の1単位容積当たりの重量として定義される。高い容積密度を有する燃料は、容積当たりのエネルギー値が高いため有利である。低容積密度の燃料は、重力下において不十分な流れを生じさせることがあり、それは低いガス発熱量、及び最終的には還元ゾーンでのチャーの燃焼をもたらす。木材、石炭、及び泥炭等の固体燃料の平均容積密度は、約10ポンド/フィート〜約30ポンド/フィートの範囲にある。本発明のペレットに使用される幾つかの成分の容積密度が低すぎる場合、ペレット化により全体的な容積密度を向上させることができる。容積密度は、燃料の水分含有量及び粒子サイズに応じて著しく変動する。
【0214】
ガス化システム用の廃棄物(MSW waste feed)の仕様の例示的な範囲には、これらに限定されないが、以下のものが含まれ得る:約0.25インチ〜約1.5インチの直径;約0.5インチ〜約6インチの長さ;約20:1〜約3:1の表面積対体積率;約10ポンド/フィート〜約75ポンド/フィートの容積密度;約0.2〜約0.6の多孔度;約1〜約10のアスペクト比;約0.023BTU/(フィート・h・°F)〜約0.578BTU/(フィート・h°F)の熱伝導率;約4.78×10−5〜4.78×l0−4BTU/(ポンド・°F)の比熱容量;1.08×l0−5フィート/s〜2.16×l0−5フィート/sの熱拡散率;約3,000BTU/ポンド〜約15,000BTU/ポンドのHHV;約10%〜約30%の水分含有量;約40%〜約80%の揮発分含有量;約30%〜約80%の炭素含有量;約3%〜約10%の水素含有量;2%未満の硫黄含有量;1%未満の塩素含有量;及び約10%未満の灰分含有量。
【0215】
図14に示されている結果から、都市固形廃棄物原料は、その炭素含有量により、従って得られる合成ガス中に含まれる量のCO及びHを熱変換時に生産するその能力により分類することができる。表19は、炭素含有量に基づく、燃料種の1つの分類:つまり低熱燃料(45重量%未満の炭素);中熱燃料(45〜60重量%の炭素);及び高熱燃料(60重量%を超える炭素)、を示す。
【0216】
【表20】

【0217】
低熱燃料は、約10scf/ポンド未満のCO及びH並びに約120BTU/scf未満のHHVを含有する合成ガスを生産すると特徴付けることができる。ガス化装置は、炭素が低量であるために0.35を超える空気当量比を必要とするため、ガス化装置温度は、約850℃を超えて上昇せず、炭素の不完全な変換並びにメタン及びタールの生成を引き起こすだろう。これら燃料は、汎用合成ガスの生産、中熱燃料及び高熱燃料並びにLFGを包含する他の燃料との同時ガス化に使用することができる。
【0218】
中熱燃料は、約10から約20scf/ポンドのCO及びH、並びに約120〜約200BTU/scfのHHVを含有する合成ガスを生産すると特徴付けることができる。ガス化装置は、約45重量%〜約60重量%の炭素含有量で、約0.1〜約0.35の空気当量比を必要とするため、ガス化装置は、約850℃〜約900℃の温度を維持し、炭素の完全転換、最小限のメタン及びタール生成、及びスラッギングのリスク低下を引き起こす。これら燃料は、汎用、液体燃料用、及び化学薬品用途用の合成ガスの生産に使用することができる。
【0219】
高熱燃料は、約20scf/ポンドを超えるCO及びH、並びに約200BTU/scfを超えるHHVを含有する合成ガスを生産すると特徴付けることができる。ガス化装置は、約60重量%より大きな炭素含有量で、わずか約0.1未満の空気当量比しか必要としないため、ガス化装置の温度は、一般的に約900℃より高く、炭素の完全転換を引き起こし、メタン及びタールの生成を引き起こさないが、スラッギングのリスクは高い。これら燃料は、汎用、液体燃料用、及び化学薬品用途用の合成ガスの生産に使用することができる。
【0220】
従って、生産される合成ガスの最終用途に応じて、異なる炭素含有量の人工燃料原料を選択することができ、燃料を特定の最終用途用に設計及び合成することができる。そのような選択は、都市固形廃棄物、FOG、スラッジ等のような異なる不均質な原料から生産される人工燃料の微調整を可能にする。人工燃料は、所望のCO及びH含有量を有する合成ガスを生産するために使用することができる。
【0221】
都市固形廃棄物は、プラスチック、繊維、布地、あらゆる形態の紙、厚紙、ゴム、庭ゴミ、食品廃棄物、及び革等の材料種に従って、成分の特定及び分離を可能にする任意の方法により処理することができる。廃棄物成分の分離には、米国特許第7,431,156号明細書、米国特許出願公開第2006/0254957号明細書、米国特許出願公開第2008/0290006号明細書、米国特許出願公開第2008/0237093号明細書(これらの開示はその全体が本明細書中に取り込まれる)に開示されているもの等の分離方法を使用することができる。
【0222】
上記で開示されている分離方法には、本明細書に記載の人工燃料原料の設計に使用するための都市固形廃棄物の個々の成分を回収することを可能にする改変がなされてもよいことが理解される。
【0223】
幾つかの実施形態では、人工原料の1つ又は複数の成分は、混合されている。実施形態の幾つかでは、混合された成分は、細断、粉砕、及び破砕等の公知技術を使用してサイズを低減されている。都市固形廃棄物成分のサイズを低減するための方法は周知であり、例えば、米国特許第5,888,256号明細書に記載されており、その開示は参照によりその全体が取り込まれる。他の実施形態では、個々の成分は、他の成分と混合される前に、まずサイズが低減される。幾つかの実施形態では、人工燃料原料の混合された成分は、例えば、その開示全体が参照により組み込まれる米国特許第5,916,826号明細書に記載のもの等の公知の圧縮(densified)方法を使用して圧縮(densified)される。幾つかの実施形態では、圧縮(densified)では、40,000ポンド力までの力を加えることが可能なPasadena社製手動プレス等のペレタイザーを使用してペレットを形成する。
【0224】
幾つかの実施形態では、FOG成分は、混合槽に直接加えられる。他の実施形態では、FOG成分は、混合後、廃棄物をペレット化ダイス型に配置する直前に加えられる。
【0225】
適切な条件下でペレタイザーを使用することにより、一定の範囲の寸法を有するペレットが生産される。ペレットは、少なくとも約0.25インチの直径、特に約0.25インチ〜約1.5インチの範囲の直径を有しているべきである。ペレットは、少なくとも約0.5インチの長さ、特に約0.5インチ〜約6インチの範囲の長さを有しているべきである。
【0226】
ペレタイザーと共に使用する適切なダイを選択することにより、ペレットの被包表面に刻み目を付けることができる。この刻み目は識別用の目印として役に立つ場合がある。刻み目は、脱揮発プロセスにも影響を与える場合があり、そのため、刻み目を付けたペレットは、刻み目をつけられていないペレットより効率的な速度で揮発する。
【0227】
幾つかの実施形態では、本明細書中に記載の人工燃料原料は、生物学的に、化学的に、及び毒物学的に不活性である。生物学的に不活性、化学的に不活性、及び毒物学的に不活性という用語は、本明細書中に記載の人工燃料原料が、該人工燃料原料内に含有されている生物学的作用剤、化学的作用剤、及び毒物学的作用剤の許容制限に関するEPA制限を超えていないことを意味する。この用語には、人工燃料原料が、生産後又は長期保管時に毒性生成物を放出しないという意味も包まれれる。人工燃料原料は、例えば病原体又は生存生物を含有しておらず、生産後又は長期保管時に生物の増殖を促進することになる条件も含有していない。例えば、本明細書に記載の任意の形態の人工燃料原料は、生物の増殖を促進しない程度の水分含有量しか有しないように設計することができる。人工燃料原料は、抗吸収性であるように設計することができ、それは、生産後及び長期保管時に水を顕著に吸収しないことを意味する。人工燃料原料は、空気安定性でもあり、それは、空気の存在下で分解されて顕著な量の揮発性有機化合物を発生させないことを意味する。本明細書に記載の人工燃料原料は、それらが不活性の定義において許容される制限を満たしているかどうかを決定するために、公知の方法に従って試験することができる。例えば、第40章−環境保護に基づいて交付された40 CFR Part 239〜259は、固形廃棄物の規制を管理する全EPA規制を網羅している。「Test Methods for Evaluating Solid Waste, Physical/Chemical Methods」と題するEPA公報SW−846は、固形廃棄物に関して、40 CFR Part 239〜259に従った、評価され使用を承認された分析法及び試料採取法のOSW公定書であり、それは参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
(実施例)
これから具体的な例に言及し、その幾つかは本発明を例示する。そのような例は、好ましい実施形態を例示するために提供されており、本発明の範囲を制限することは意図されていないことが理解されるべきである。
【0228】
[一般的合成手順]
人工原料用の成分を選択した後、それらを低速度シュレッダーで細断し、その後機械的に混合した。その後で、ペレタイザーを使用して混合物を圧縮(densified)した。水分含有量を増加させる必要があった場合、混合ステップ中で水を加えた。原料の試料を少量採取して、温度制御された通気式オーブンで乾燥し、水分含有量を確認した。その後、混合された人工原料に対して、上述のようなガス化を行った。
【0229】
【表21】

【0230】
【表22】

【0231】
【表23】

【0232】
【表24】

【0233】
【表25】

【0234】
【表26】

【0235】
【表27】

【0236】
【表28】

【0237】
【表29】

【0238】
【表30】

【0239】
【表31】

【0240】
【表32】

【0241】
【表33】

【0242】
【表34】

【0243】
【表35】

【0244】
【表36】

【0245】
【表37】

【0246】
【表38】

【0247】
【表39】

【0248】
【表40】

【0249】
【表41】

【0250】
【表42】

【0251】
【表43】

【0252】
本明細書には記載の特定の実施形態が例示及び記載されているが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の他の変更及び改変を行うことができることは当業者に明白だろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような変更及び改変は全て、添付の特許請求の範囲において包含されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理された都市固形廃棄物(MSW waste stream)に由来する少なくとも1つの成分を含む人工燃料原料であって、前記原料が、
約60%を超える炭素含有量、
約5%〜約10%の水素含有量、
約20%未満の水分含有量、
2%未満の硫黄含有量、
約15%未満の灰分含有量を含み、
前記原料が、ガラス、金属、砂塵、及び不燃物を実質的に含有しない原料。
【請求項2】
約15%未満の水分含有量を更に含む、請求項1に記載の原料。
【請求項3】
前記水分含有量が約5%〜約10%である、請求項2に記載の原料。
【請求項4】
前記原料が、約9,000BTU(英熱量)/ポンド〜約15,000BTU(英熱量)/ポンドのHHV(高位発熱量)を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項5】
前記原料が、約40%〜約80%の揮発分含有量を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項6】
前記原料が、約60%〜約70%の炭素含有量を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項7】
前記原料が、約70%〜約80%の炭素含有量を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項8】
前記原料が、約80%を超える炭素含有量を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項9】
前記原料が、約6%〜約9%の水素含有量を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項10】
前記原料が、約5%未満の灰分含有量を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項11】
前記原料が、約10,000BTU(英熱量)/ポンド〜約14,000BTU(英熱量)/ポンドのHHV(高位発熱量)を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項12】
前記人工燃料原料が、約0.06〜約0.1のH/C比を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項13】
前記人工燃料原料が、約0.01〜約0.05のO/C比を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項14】
前記人工燃料原料が、850℃及びER0.34におけるガス化時に、
約25容積%〜約30容積%の量のH
約42容積%〜約48容積%の量のN
約12容積%〜約17容積%の量のCO、
約2容積%〜約5容積%の量のCH
約5容積%〜約10容積%の量のCO、及び
約160BTU(英熱量)/scf〜約200BTU(英熱量)/scfのHHV(高位発熱量)、を含む合成ガスを生成する、請求項26に記載の原料。
【請求項15】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時の有害物排出量の公知レベルと比較して、より少ない有害物排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項16】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時の硫黄排出量の公知レベルと比較して、より少ない硫黄排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項17】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時の塩素排出量の公知レベルと比較して、より少ない塩素排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項18】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時の重金属排出量の公知レベルと比較して、より少ない重金属排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項19】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時の粒子状物質排出量の公知レベルと比較して、より少ない粒子状物質排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項20】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時のNOx排出量の公知レベルと比較して、より少ないNOx排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項21】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時のCO排出量の公知レベルと比較して、より少ないCO排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項22】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時のCO排出量の公知レベルと比較して、より少ないCO排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項23】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時の揮発性有機化合物(VOC)排出量の公知レベルと比較して、より少ないVOC排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項24】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時のハロゲンガス排出量の公知レベルと比較して、より少ないハロゲンガス排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項25】
前記人工燃料原料が燃焼時に、石炭の燃焼時のGHG排出量の公知レベルと比較して、より少ないGHG排出量を生成する、請求項1に記載の原料。
【請求項26】
前記人工燃料原料が、非結束の非圧縮形態である、請求項1に記載の原料。
【請求項27】
前記人工燃料原料が圧縮形態である、請求項1に記載の原料。
【請求項28】
前記圧縮形態が立方体である、請求項1に記載の原料。
【請求項29】
前記圧縮形態がペレットである、請求項1に記載の原料。
【請求項30】
前記人工燃料原料が、前記燃料原料のガス化を改善する少なくとも1つの燃料成分を更に含む、請求項1に記載の原料。
【請求項31】
前記改善が、生成される硫黄排出量の低減である、請求項1に記載の原料。
【請求項32】
前記改善が、生成される塩素排出量の低減である、請求項1に記載の原料。
【請求項33】
前記改善が、生成される重金属排出量の低減である、請求項1に記載の原料。
【請求項34】
前記人工燃料原料が不活性化されている、請求項1に記載の原料。
【請求項35】
前記人工燃料原料が、前記原料を不活性化する少なくとも1つの添加物を更に含む、請求項1に記載の原料。
【請求項36】
前記原料を不活性化する前記少なくとも1つの添加物が、水酸化カルシウムである、請求項1に記載の原料。
【請求項37】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約0.25インチ〜約1.5インチの直径を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項38】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約0.5インチ〜約6インチの長さを有する、請求項1に記載の原料。
【請求項39】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約20:1〜約3:1の表面積対容積比を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項40】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約10ポンド/フィート〜75ポンド/フィートの容積密度を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項41】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約0.2〜約0.6の多孔度を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項42】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約1〜約10のアスペクト比を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項43】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約0.023BTU(英熱量)/(フィート・h・°F)〜約0.578BTU(英熱量)/(フィート・h・°F)の熱伝導率を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項44】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約4.78×10−5BTU(英熱量)/(ポンド・°F)〜約4.78×10−4BTU(英熱量)/(ポンド・°F)の比熱容量を有する、請求項1に記載の原料。
【請求項45】
前記圧縮形態の前記人工燃料原料が、約1.08×l0−5フィート/s〜2.16×10−5フィート/sの熱拡散率を有する、請求項1に記載の原料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−526323(P2011−526323A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516680(P2011−516680)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/048718
【国際公開番号】WO2009/158539
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(511001149)キャセラ ウェイスト システムズ インク (3)
【Fターム(参考)】