説明

石膏の製造方法

【課題】純度の高いα石膏を製造する。
【解決手段】原料として高純度の水酸化カルシウムスラリーおよび硫酸根を含む水溶液を用いて、高純度のβ石膏を合成し、温度を下げて晶析させることで二水化させると共に石膏を精製し、析出させた二水石膏を含むスラリーから微粒を除去した後に、媒晶剤を添加して二水石膏スラリーを加圧・加温することにより、純度の高い(例えば99.5重量%以上)のα石膏を製造する方法を提供する。水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物中の水酸化カルシウム純度は、98重量%以上であることが好ましい。硫酸根を含む水溶液は、硫酸アンモニウム水溶液であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α石膏の製造方法に関する。更に詳しくは、加熱下の反応によりβ石膏を合成した後、系内の温度を低下させることで二水石膏を析出させ、スラリーから微粒を分離した後に、該二水石膏を媒晶剤を含む溶媒を加熱・加圧することで高純度のα石膏を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業的なα石膏の製造方法としては、天然に存在する二水石膏又は工業的に生産された二水石膏を、半水化・濃縮・乾燥・粉砕などの工程を経て製造する方法が一般的である。
【0003】
工業的な二水石膏の製造方法としては、排煙脱硫石膏、リン酸製造工程における副成石膏などがあり、何れも硫酸根とカルシウム源との反応により合成され、生成反応(一例)は下記のように示される。
Ca(OH)+HSO→CaSO+2H
【0004】
この反応は通常水を溶媒として用いて実施されるため、得られる石膏は二水石膏(CaSO・2HO)であり、α石膏を得るには二水石膏を半水化する工程が必要となる。
【0005】
半水化には焼成法、加圧水蒸気法、加圧溶液法などの手法があり、生成反応は下記のように示される。
CaSO・2HO→CaSO・1/2HO+3/2H
【0006】
上記の反応によって得られたα石膏は、水分を取り除くため通常乾燥工程に送られて水分を蒸発させた後、粒度調整のための粉砕工程を経た上で、製品α石膏となる。
【0007】
高純度のα石膏を製造する方法としては、例えばリン酸製造工程で副生する石膏スラリーを、135℃の飽和水蒸気を用いてα石膏に転換した後、該石膏粗粒子をオートクレーブの下部帯域に収集させて回収し、粗粒子含有スラリーを固液分離することで高純度のα石膏を製造する方法が提案されている(特許文献1)。
【0008】
また、硫酸根とカルシウム源との反応から二水石膏を得る方法としては、例えば水酸化カルシウムスラリーと、硫酸アンモニウム水溶液とを110℃で複分解反応させてβ石膏を合成し、系内のアンモニアを蒸留により取り除いた後に、硫酸を添加して系内のPHを弱酸性に保ったまま温度を低下させて二水石膏を析出させることで、白色度が高く粒径の粗大な二水石膏を得る方法がある(特許文献2)。
【特許文献1】特開平1−249636号公報
【特許文献2】特開昭48−97796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし特許文献1に開示された方法では、原料として用いる二水石膏がリン酸製造工程の副生物であるため、多くの不純物を含んでおり、α化後の石膏純度が最大でも98.5重量%までしか向上していない。さらにこれら不純物はPやフッ素化合物を含有しており、石膏強度や混水量などの物性に悪影響を及ぼす。
【0010】
特許文献2に開示された方法では、粗大な二水石膏の結晶は得られるものの、石膏純度についての記載はない。また、石膏に含まれる微粒の分離を実施しておらず、水酸化カルシウム由来の不純物が除去されていないため、この二水石膏を原料としてα化反応を実施しても、α化反応の進行に阻害を来すと推測される。
【0011】
このように、高純度のα石膏を製造する手法としては、天然の二水石膏や各種化学工業において副生する二水石膏を原料として、水溶媒中で加温・加圧反応させて製造する方法が一般的である。しかし、これらの二水石膏は天然由来の不純物が多く含まれていたり、純度の低いカルシウム源や硫酸根を使用していたりするため、二水石膏自体の純度が低く、これらを原料に高純度のα石膏を製造することが難しい。さらに、α石膏と80℃未満の水が存在する条件では、α石膏の二水化が促進されてしまうため、α石膏自体を精製することも困難である。
【0012】
したがって、本発明では、β石膏・二水石膏を経由してα石膏を製造する手法において、中間体(β石膏・二水石膏)を精製するプロセスを経ることで、高純度のα石膏を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記につき鋭意検討を行った結果、原料として水酸化カルシウムスラリーおよび硫酸根を含む水溶液を加熱下で反応させて高純度のβ石膏を合成し、系の温度を下げて晶析させることで二水化させると共に石膏を精製し、析出した二水石膏から微粒を除去した後に媒晶剤を添加して二水石膏スラリーを加圧・加温することにより、純度の高いα石膏を製造することが可能であることを見いだした。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)水酸化カルシウムスラリーと、硫酸根を含む水溶液とを、加熱下の複分解反応によりβ石膏を合成する工程、β石膏を含むスラリーに硫酸根を含む水溶液を添加する工程、β石膏を含むスラリーの温度を低下させ、β石膏を溶解させて二水石膏を析出させる工程、析出させた二水石膏を含むスラリーから微粒を除去する工程、さらに該二水石膏を、媒晶剤を含む溶媒中で加熱・加圧する工程を含むことを特徴とする高純度α石膏の製造方法。
(2)水酸化カルシウムスラリーが、酸化カルシウムの水和反応により製造されることを特徴とする(1)に記載のα石膏の製造方法。
(3)水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物の平均粒径(メジアン径)が、20μm以下であることを特徴とする(2)に記載のα石膏の製造方法。
(4)水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物中の水酸化カルシウム純度が、98重量%以上であることを特徴とする請求項(2)または(3)に記載のα石膏の製造方法。
(5)複分解反応に用いる硫酸根を含む水溶液が、硫酸アンモニウム水溶液であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(6)硫酸アンモニウム水溶液の硫酸アンモニウム濃度が、35〜45重量%であることを特徴とする(5)に記載のα石膏の製造方法。
(7)β石膏を合成する工程が、過剰の水酸化カルシウムスラリーと硫酸アンモニウム水溶液とを加熱下で複分解反応させる工程、複分解反応で副生したアンモニアを蒸留により除去する工程、アンモニア除去後の石膏スラリーのPHを調整するために硫酸根を含む水溶液を添加する工程、を含むプロセスを経て製造されることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(8)水酸化カルシウムスラリーと硫酸アンモニウム水溶液の複分解反応が、モル比率1.02〜1.1(水酸化カルシウム/硫酸根)の範囲で行われることを特徴とする(7)に記載のα石膏の製造方法。
(9)水酸化カルシウムスラリーと硫酸アンモニウム水溶液の複分解反応の温度が、90〜120℃の範囲で行われることを特徴とする(7)または(8)に記載のα石膏の製造方法。
(10)複分解反応で副生したアンモニアを蒸留除去する温度が、100〜120℃の範囲で行われることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(11)β石膏スラリーのPHを調整するために硫酸根を含む水溶液を添加する工程において、該スラリーのPHを2.0〜6.5の範囲に調整することを特徴とする、(7)〜(10)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(12)β石膏スラリーのPHを調整するために添加する硫酸根を含む水溶液が、硫酸であることを特徴とする(7)〜(11)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(13)β石膏スラリーの温度を低下させ、β石膏を溶解させて二水石膏を析出させる温度が80〜95℃の範囲で行われることを特徴とする、(1)〜(12)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(14)β石膏スラリーの温度を低下させ、β石膏を溶解させて二水石膏を析出させる工程における水溶媒に、α化反応後の溶媒を添加することを特徴とする、(1)〜(13)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(15)析出させた二水石膏を含むスラリーから除去する微粒の分級点(限界粒子径)が、5〜20μmの範囲であることを特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(16)析出させた二水石膏を含むスラリーから微粒を除去することで、二水石膏中の鉄分を50重量%以上減少させることを特徴とする請求項(1)〜(15)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(17)媒晶剤を含む溶媒中で加熱・加圧する二水石膏が、粒径150μm以上の二水石膏粒子を20重量%以上含むことを特徴とする、(1)〜(16)いずれかに記載のα石膏の製造方法。
(18)二水石膏を、媒晶剤を含む溶媒中で105〜130℃の範囲に加熱することを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(19)二水石膏を、媒晶剤を含む溶媒中で50〜300kPaの範囲に加圧することを特徴とする(1)〜(18)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(20)純度が99.5重量%以上であることを特徴とする、(1)〜(19)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(21)純度が99.8重量%以上であることを特徴とする、請求項(1)〜(20)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、純度が非常に高いα石膏を製造することが可能となる。さらに、本発明により製造されたα石膏は不純物の含有量が非常に少なく、強度が高い・膨張率が小さい・白色度が高い・混水量が非常に少ない等の特徴を持つため、陶磁器・貴金属・歯科模型などの型材や、歯科埋没材の原料として使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、原料として水酸化カルシウムスラリーおよび硫酸根を含む水溶液を用い、加熱下で反応させて高純度のβ石膏を合成し、温度を下げて晶析させることで二水化させると共に石膏を精製し、析出させた二水石膏から微粒を除去した後に媒晶剤を添加して二水石膏スラリーを加熱・加圧することにより、純度の高いα石膏を製造する方法である。
【0017】
以下に本発明における原料について説明する。
【0018】
水酸化カルシウムスラリーの製造方法としては、酸化カルシウムの水和反応により製造されることが好ましく、純度95重量%以上の酸化カルシウムを用いることが好ましい。また水和反応の条件としては、水/酸化カルシウムの重量比1〜30であることが好ましく、水和水温度または水和温度は85〜100℃で、十分に攪拌混合する条件で製造されることが好ましい。
【0019】
水和反応により生成した水酸化カルシウムスラリーの反応性を高めるために、水酸化カルシウムスラリーの固形物や粗粒を分離することが好ましい。粗粒を分離する手法は、粒子サイズにより分離可能であれば、篩分離、重力分離、遠心分離などのいずれの手法を用いても良いが、固形物の分離には篩分離が好ましく、粗粒の分離には遠心分離装置を用いることが好ましい。また、これらの分離方法を併用させても良い。
【0020】
水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物の平均粒径(メジアン径)は、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。平均粒径が上記を越えて高くなると、複分解反応時に、表面のみがβ石膏で内部に未反応の水酸化カルシウムが残存した固形物の生成量が増加し、二水化(晶析)反応の阻害や、生成するα石膏の純度低下を招く。
【0021】
なお、スラリー中に含まれる固形物の平均粒径や、石膏(二水石膏・α石膏)の平均粒径を測定する方法については特に限定されないが、例えば、レーザー粒度測定装置やSEMによる写真から直接粒径を測定する方法などが好ましく使用される。本発明においては、レーザー粒度測定装置を用いて粒度分布を測定し、そのメジアン値を平均粒径とする。
【0022】
純度の高い酸化カルシウムを用いて水和反応を実施した後、固形物や粗粒を分離することで、水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物中の水酸化カルシウム純度が向上するため、最終的に生成するα石膏純度の向上が可能となる。水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物中の水酸化カルシウム純度は98重量%以上であることが好ましく、99重量%以上であることがより好ましい。水酸化カルシウム純度が上記を越えて低くなると、不純物による二水化(晶析)反応阻害や、生成するα石膏の純度低下を招く傾向にある。
【0023】
硫酸根を含む水溶液としては、硫酸または硫酸アンモニウム水溶液を用いることが好ましく、カプロラクタム製造工程で副産物として生じた硫酸アンモニウムを、温度20〜40℃の範囲で水に溶解させる手法が好ましい。
【0024】
複分解反応に用いる硫酸アンモニウムの濃度は、濃度35〜45重量%である事が好ましい。硫酸アンモニウム濃度が上記を越えて低くなると、複分解反応速度の進行が遅くなり、また生成する石膏のスラリー濃度が薄くなるため、装置を巨大化する必要があり、コスト面で不利となる。硫酸アンモニウム濃度が上記を越えて高くなると、硫酸アンモニウムの飽和溶解度を超えてしまい、複分解反応時に生成する石膏中に固体の硫酸アンモニウムが残存してしまうおそれがある。
【0025】
硫酸根を含む水溶液の添加方法としては、特に制限はされないが、後工程のアンモニア蒸留塔のベーパーと接触させて熱交換を行った後に、複分解反応槽へ導入する手法が好ましい。
【0026】
以下に本発明におけるβ石膏を合成する工程の詳細を説明する。
【0027】
水酸化カルシウムスラリーと硫酸根を含む水溶液との反応は加熱下で実施する必要があり、温度90〜120℃の範囲で実施することが好ましい。反応温度が上記を越えて高くなると、反応速度が速いためβ石膏粒子が微細となり、さらにβ石膏の一部が無水化してしまう。反応温度が上記を越えて低くなると、反応が十分に進行せず、未反応水酸化カルシウムの残存量が多くなり、α石膏純度の低下を招く傾向にある。
【0028】
水酸化カルシウムスラリーと硫酸根のモル比率は、1.02〜1.1(水酸化カルシウム/硫酸根)の範囲で実施することが好ましい。モル比率が上記を越えて低くなると、生成する石膏スラリーに硫酸根が残存してしまい、後の晶析・α化工程において反応阻害や、装置腐食を招いてしまう。モル比率が上記を越えて高くなると、未反応水酸化カルシウムの残存量が多くなり、中和工程における硫酸使用量の増加や、α石膏純度の低下を招く傾向にある。
【0029】
上記β石膏を含む反応液は、副生物であるアンモニアを含有しているため、蒸留してアンモニアを除去した後、β石膏スラリーに含まれる未反応水酸化カルシウムを硫酸根で中和(石膏化)するために、硫酸根を含む水溶液を添加する。β石膏を含む反応液を蒸留する方法としては、特に制限はないが、精留塔を用いてアンモニアを除去することが好ましく、多孔板式の精留塔を用いてアンモニアを除去することがより好ましい。蒸留温度は100〜120℃の範囲にあることが好ましい。蒸留温度が上記を越えて高い場合には石膏の無水化を招く傾向にある。蒸留温度が上記を越えて低い場合には、系内のアンモニアを除去しきれず、硫酸根を含む溶液を添加する際に硫酸アンモニウムを生成するため、石膏の純度低下を引き起こす傾向にある。
【0030】
β石膏スラリーのPHを調整するために添加する硫酸根を含む水溶液については特に規定はされないが、硫酸を用いることが好ましく、濃度5〜15重量%の希硫酸を用いることがより好ましい。また、未反応水酸化カルシウムの中和反応を完結するために、β石膏スラリーのPHは2.0〜6.5の範囲に調整することが好ましい。β石膏スラリーPHが上記を越えて高くなると、未反応水酸化カルシウムの残存量が多くなり、α石膏純度の低下を招く。β石膏スラリーPHが上記を越えて低くなると、後工程に残存する硫酸根の量が増加するため、装置の腐食やα化反応における媒晶剤の効果を阻害する傾向にあるため注意を要する。
【0031】
以下に本発明における二水石膏を合成する工程の詳細を説明する。
【0032】
β石膏スラリーのPHを調整した後に、系内の温度を低下させ、β石膏を一旦溶解させて二水石膏として析出させる。二水石膏を析出させる圧力は常圧が好ましく、温度は80〜95℃の範囲で行うことが好ましい。析出温度が上記を越えて高くなると、β石膏の状態が安定となるため二水石膏の析出量が極端に減少する。析出温度が上記を越えて低くなると、二水石膏の析出速度が速すぎて微細な二水石膏結晶が析出しやすいため、粗大な二水石膏結晶が得られない傾向にあり、後のα化反応において粗大なα石膏の結晶を得ることが困難になる。
【0033】
上記二水石膏の析出は、単独の晶析反応槽で連続的に温度を変化させてもよく、温度の異なる複数の晶析反応槽に送り込んでもよい。複数の晶析反応槽に送り込む際は、後段の晶析反応槽における晶析温度は前段の晶析反応槽よりも低くすることが好ましい。また、何れの晶析反応槽においても、β石膏の溶解に伴い、β石膏内部に存在した未反応水酸化カルシウムも溶解するためPHは上昇する。α化反応における装置腐食の防止および生成するα石膏のPHを中性にするため、後段の晶析反応槽におけるスラリーのPHは、希硫酸の添加量を調整することにより、前段の晶析反応槽よりも高くすることが好ましい。
【0034】
後工程のα化反応において、α石膏の乾燥前に濃縮機などを用いてスラリー中の水分を低下させた際に発生する溶媒には、結晶成長を制御する媒晶剤が微量含まれている。この溶媒を二水石膏を析出させる工程における水溶媒に添加し、媒晶剤により二水石膏の結晶成長を制御することで、粒径が粗大な二水石膏を生成することが可能となる。また溶媒を循環利用することで、水の使用量削減が可能となり、さらにこの溶媒は高温であるため、エネルギー使用量の削減も可能となる。
【0035】
析出した二水石膏に含まれている不純物は、Fe、MgO、SiOなど、原料である水酸化カルシウムに由来する酸化物が大半を占めている。これらの不純物は粒径が細かく、石膏純度の低下やα化反応を阻害する原因となるため、分離器を用いて二水石膏スラリーを微粒と粗粒に分離する必要がある。微粒の分離方法としては、遠心分離機を用いて微粒と粗粒を分離する形式が好ましく、円筒型遠心分離機を用いて微粒と粗粒を分離する形式がより好ましい。
【0036】
粗粒と微粒を分離する際の分級点(限界粒子径)は5〜20μmの範囲にあることが好ましく、5〜15μmの範囲にあることがより好ましい。限界粒子径が上記を超えて大きくなると、微粒側に排出される二水石膏量が多くなり、製品の歩留まりが悪化する。限界粒子径が上記を超えて小さくなると、不純物を十分に除去することが出来ない。
【0037】
上記の微粒分離により、二水石膏中の不純物を除去することで、石膏の純度向上が可能となる。代表的な二水石膏中の不純物である鉄分は、50重量%以上除去することが好ましく、60重量%以上除去することがより好ましい。鉄分除去率が上記を超えて低くなると、石膏の純度悪化やα化反応の阻害を招く。
【0038】
なお石膏中の鉄分については、以下に記載した手法により計測され、測定方法は以下の通りである。
【0039】
試料1gをビーカー100mlに入れ、塩酸(1+1)10mlと水40mlを加えて加熱して溶解する。その後冷却し、全量を100mlのメスフラスコに入れ、水を標線まで加える、この溶液から20mlを採取し、10重量%塩酸ヒドロキシルアミン水溶液を1ml、20重量%酢酸アンモニウム水溶液10ml、および1重量%α、α‘−ビピリジルメタノール溶液0.2mlを100mlのメスフラスコに入れ、水を標線まで加える。分光光度計を用いて吸光度を測定し、原子吸光用分析用鉄標準溶液を用いて作成した検量線より鉄分を求める。(以下、本測定法をジピリジル法と称する)
以下に本発明におけるα石膏を合成する工程の詳細を説明する。
【0040】
粒径の粗大な二水石膏をα化反応の原料とすれば、粒径の粗大なα石膏の結晶を得ることが可能となる。粒径の粗大なα石膏は、粉砕や粒度調整も容易であるため、使用用途に合わせた様々な粒度分布を持たせることが可能となる。媒晶剤を含む溶媒中で加熱・加圧する二水石膏としては、粒径150μm以上の二水石膏粒子を20重量%以上含むものを用いることが好ましく、35重量%以上含むものを用いることがより好ましい。粒径150μm以上の二水石膏粒子含有量が上記を超えて低くなると、α石膏の結晶核の生成速度が速まるが、結晶の成長速度は遅くなるため、生成するα石膏の粒径が小さくなる傾向にある。
【0041】
媒晶剤を含む溶媒中でα化させる手法としては、特に制限はないが、水溶媒中で媒晶剤を添加し、加圧溶液法を用いることで二水石膏をα化させることが好ましい。また種晶として媒晶剤を含む溶媒中に、1〜10重量%程度のα石膏を添加しても良い。反応温度は105〜130℃の範囲にあることが好ましい。反応温度が上記を越えて高くなると、α石膏の無水化反応が進行し、α石膏の純度低下を招く。反応温度が上記を越えて低くなると、二水石膏のα化速度が極端に遅くなる。反応圧力は50〜300kPaの範囲にあることが好ましい。反応圧力が上記を越えて低くなると、二水石膏のα化速度が極端に遅くなる。反応圧力が上記を超えて高くなると、反応に必要な温度が130℃を超えてしまい、α石膏の無水化が進行し、α石膏の純度低下を招く。
【0042】
二水石膏のα化を実施する際には、結晶成長の方向を調整し、α化を促進するために媒晶剤を添加する必要がある。媒晶剤として添加する物質は、α石膏に対して媒晶効果のある物質で有れば特に制限はされないが、コハク酸またはクエン酸のナトリウム塩を用いることが好ましく、コハク酸二ナトリウムを用いることがより好ましい。媒晶剤の添加量は二水石膏スラリーに対し0.01〜0.5重量%の範囲にあることが好ましい。媒晶剤添加量が上記を越えて低くなると、二水石膏のα化が促進されず、β石膏の生成量が多くなる。媒晶剤添加量が上記を越えて高くなると、二水石膏の無水化が進行してしまう。
【0043】
生成したα石膏スラリーは、温度が低下すると系内の水と反応して二水化が進行するため、濃縮機などを用いてスラリー中の水分を低下させた後、乾燥機を用いて粉体のα石膏にすることが望ましい。α石膏の乾燥方法としては、熱風受熱式、伝導受熱式、ふく射受熱式などの加熱式乾燥方式による乾燥機を使用することが好ましく、熱媒として高圧スチームを使用した多段円盤乾燥機を用いることがより好ましい。
【0044】
かくして得られたα石膏は、蒸留・中和・晶析・不純物分離などの精製プロセスを経て合成されているため、不純物含有量が非常に低くなり、純度99.5重量%以上、高純度の原料を用いるなどの条件によっては、純度99.8重量%以上のα石膏を合成することが可能となる。
【0045】
なお、α石膏の純度測定方法については、JIS−K8963(1994年)「硫酸カルシウム二水和物」に記載の「(1)純度」に準拠した手法により計測され、測定方法は以下の通りである。
【0046】
試料0.5gをビーカー100mlにいれ、塩酸(2+1)5mlと水30mlを加えて加熱して溶解する。その後冷却し、全量を250mlのメスフラスコに入れ、水を標線まで加える。この溶液から25mlを採取し、水酸化カリウム溶液(100g/L)で中和し、さらに水酸化カリウム溶液(100/L)12mlと水75mlを加える。HSNN希釈粉末を指示薬として、0.01mol/LのEDTA溶液で滴定する。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【実施例】
【0047】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0048】
実施例1
酸化カルシウム(CaO含有率97.8重量%)を、水/酸化カルシウムの重量比7、水和温度90℃にて水和した。水和により生成した水酸化カルシウムスラリーを、デカンタ(巴工業製PTM−300型、遠心力1300G、ダム高さ3.5mm)で遠心分離し、粗粒水酸化カルシウムスラリーは系外へ抜き出した。得られた水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物中の水酸化カルシウム純度を、JIS−K8575(1994年)「水酸化カルシウム(試薬)」に記載の「(1)純度」に準拠した手法で測定したところ、99.2重量%であった。また、水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物の平均粒径(メジアン径)を、レーザー粒度測定装置(堀場製作所社製LA−920型)にて測定したところ、12.7μmであった。
【0049】
続いて、硫酸アンモニウム(カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加し、カプロラクタム水溶液と硫酸アンモニウム水溶液を分離した後、マグマ型晶析装置にて晶析)に水を添加して、濃度40重量%の硫酸アンモニウム溶液を調整し、上記の水酸化カルシウムスラリーと、モル比率1.05(水酸化カルシウム/硫酸アンモニウム)、温度100℃にて反応させた。生成したβ石膏を含む反応液を、塔底温度110℃の多孔板式蒸留塔を用いて蒸留し、液中のアンモニアを除去した。アンモニア蒸留後のβ石膏を含む反応液に、後述のα石膏スラリーを熱水フラッシングした液を添加し、温度99℃、PHを2.5の条件で0.7時間未反応水酸化カルシウムの中和反応を実施した。中和時のPH調整は、10重量%の硫酸を随時添加することで実施した。
【0050】
このβ石膏スラリーから二水石膏を析出させるため、温度94℃、PH5.5の条件で2時間晶析した後、別の反応槽に石膏スラリーを送り込み、温度90℃、PH7.0の条件1.5時間晶析させ、二水石膏を析出させた。晶析時のPH調整は、10重量%の硫酸を随時添加することで実施した。得られた二水石膏スラリーを、円筒形遠心分離機(TEK製)を用いて、粒径10μm以下の微粒を除去した。微粒を除去した二水石膏スラリーに水を添加し、二水石膏のスラリー濃度が50重量%となるように調整した。微粒除去前の二水石膏中の鉄分をジピリジル法で測定したところ、45ppmであり、除去後の二水石膏中の鉄分は20ppmであった。また、二水石膏に含まれる粒径150μm以上の粒子含有量を、JIS標準フルイを用いて測定したところ、57.6重量%であった。
【0051】
濃度調整後の二水石膏スラリーを原料として、反応温度120℃、反応圧力200kPa、媒晶剤(コハク酸2ナトリウム)添加量0.1重量%の条件でα化反応を実施した。得られたα石膏スラリーを、竪型円筒濃縮機(コトブキテクレックス製)を用いて、熱水フラッシングによりスラリー濃度75重量%まで濃縮した後、2段円盤乾燥機(玉川マシナリー製)に供給して乾燥を実施した。乾燥器出のα石膏の温度は110℃であった。乾燥後のα石膏の平均粒径(メジアン径)を、レーザー粒度測定装置(堀場製作所社製LA−920型)にて測定したところ、143μmであった。このα石膏を、ピンミル(奈良機械社製 M−5型)を用いて粉砕した後、保管のためにサイロに投入した。
【0052】
サイロより取り出したα石膏の純度を、JIS−K8963(1994年)「硫酸カルシウム二水和物」に記載の「(1)純度」に準拠した手法で測定したところ、99.9重量%であった。
【0053】
実施例2
アンモニア蒸留後のβ石膏を含む反応液に、α石膏スラリーを熱水フラッシングした液を添加しない以外は、実施例1と同様の手法にてβ石膏・二水石膏・α石膏を合成した。精製した二水石膏(中間体)に含まれる粒径150μm以上の粒子含有量を、JIS標準フルイを用いて測定したところ、27.7重量%であった。乾燥後のα石膏の粒度を測定したところ、121μmであった。サイロより取り出したα石膏の純度を、JIS−K8963(1994年)「硫酸カルシウム二水和物」に記載の「(1)純度」に準拠した手法で測定したところ、99.7重量%であった。
【0054】
比較例1
酸化カルシウム(CaO含有率97.8重量%)を、水/酸化カルシウムの重量比7、水和温度90℃にて水和した。水和により生成した水酸化カルシウムスラリーを、デカンタ(巴工業製PTM−300型、遠心力1300G、ダム高さ3.5mm)で遠心分離し、粗粒水酸化カルシウムスラリーは系外へ抜き出した。得られた水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物中の水酸化カルシウム純度を、JIS−K8575(1994年)「水酸化カルシウム(試薬)」に記載の「(1)純度」に準拠した手法で測定したところ、99.2重量%であった。また、水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物の平均粒径(メジアン径)を、レーザー粒度測定装置(堀場製作所社製LA−920型)にて測定したところ、12.7μmであった。
【0055】
続いて、硫酸アンモニウム(カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加し、カプロラクタム水溶液と硫酸アンモニウム水溶液を分離した後、マグマ型晶析装置にて晶析)に水を添加して、濃度40重量%の硫酸アンモニウム溶液を調整し、上記の水酸化カルシウムスラリーと、モル比率1.05(水酸化カルシウム/硫酸アンモニウム)、温度100℃にて反応させた。生成したβ石膏を含む反応液を、フラスコを用いて110℃で蒸留し、液中のアンモニアを除去した。アンモニア蒸留後のβ石膏を含む反応液を温度99℃、PHを2.5の条件で未反応水酸化カルシウムの中和反応を0.7時間実施した。中和時のPH調整は、10重量%の硫酸を随時添加することで実施した。
【0056】
このβ石膏スラリーから二水石膏を析出させるため、温度90℃、PH5.5の条件で3時間晶析した後、同一のフラスコで温度85℃、PH7.0の条件0.5時間晶析を実施し、二水石膏を析出させた。晶析時のPH調整は、10重量%の硫酸を随時添加することで実施した。この二水石膏スラリー中の微粒を除去することなく水を添加して、二水石膏のスラリー濃度が50重量%となるように調整した。
【0057】
濃度調整後の二水石膏スラリーを原料として、反応温度120℃、反応圧力200kPa、媒晶剤(コハク酸2ナトリウム)添加量0.1重量%の条件でα化反応を実施した。生成したα石膏を冷却することなくろ過し、110℃に温度を設定した乾燥機で2時間乾燥させた。乾燥後のα石膏の平均粒径(メジアン径)を、レーザー粒度測定装置(堀場製作所社製LA−920型)にて測定したところ、122μmであった。
【0058】
乾燥後のα石膏の純度を、JIS−K8963(1994年)「硫酸カルシウム二水和物」に記載の「(1)純度」に準拠した手法で測定したところ、99.1重量%であり、微粒を除去していないため高純度のα石膏を得ることは出来なかった。
【0059】
比較例2
水酸化カルシウム(Ca(OH)含有率95.4重量%)に水を添加した水酸化カルシウムスラリーと、濃度40重量%の硫酸アンモニウム溶液( カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加し、カプロラクタム水溶液と硫酸アンモニウム水溶液を分離した後、マグマ型晶析装置にて晶析したものに、水を添加して調整)とをモル比率1.05(水酸化カルシウム/硫酸アンモニウム)、温度30℃にて反応させた。生成した二水石膏を含む反応液をろ過により固液分離し、アンモニア水を除去した。分離後の二水石膏に再度水を添加し、10重量%の硫酸を添加することでPHを2.5に調整した後、温度30℃、PH5.5の条件で0.7時間未反応水酸化カルシウムの中和反応を実施した。中和時のPH調整は、10重量%の硫酸を随時添加することで実施した。二水石膏中の鉄分をジピリジル法で測定したところ、316ppmであった。また、二水石膏に含まれる粒径150μm以上の粒子含有量を、JIS標準フルイを用いて測定したところ、0重量%であった。
【0060】
得られた二水石膏を含む反応液に水を添加し、スラリー濃度が50重量%となるように調整した後、反応温度120℃、反応圧力200kPa、媒晶剤(コハク酸2ナトリウム)添加量0.1重量%の条件でα化を行った。生成したα石膏を冷却することなくろ過し、110℃に温度を設定した乾燥機で2時間乾燥させた。乾燥後のα石膏の平均粒径(メジアン径)を、レーザー粒度測定装置(堀場製作所社製LA−920型)にて測定したところ、30μmであった。
【0061】
乾燥後のα石膏の純度を、JIS−K8963(1994年)「硫酸カルシウム二水和物」に記載の「(1)純度」に準拠した手法で測定したところ、92.9重量%であり、高純度のα石膏を得ることは出来なかった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によって製造されたα石膏は、不純物の含有量が非常に少なく、少ない水で混錬する事が可能であるため、高強度の硬化体が得られ、さらに硬化時の膨張率が小さいという特徴を有しているため、陶磁器・貴金属・歯科模型などの型材や、歯科埋没材の原料として使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化カルシウムスラリーと、硫酸根を含む水溶液とを、加熱下の複分解反応によりβ石膏を合成する工程、β石膏を含むスラリーに硫酸根を含む水溶液を添加する工程、β石膏を含むスラリーの温度を低下させ、β石膏を溶解させて二水石膏を析出させる工程、析出させた二水石膏を含むスラリーから微粒を除去する工程、さらに該二水石膏を、媒晶剤を含む溶媒中で加熱・加圧する工程を含むことを特徴とする高純度α石膏の製造方法。
【請求項2】
水酸化カルシウムスラリーが、酸化カルシウムの水和反応により製造されることを特徴とする請求項1に記載のα石膏の製造方法。
【請求項3】
水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物の平均粒径(メジアン径)が、20μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のα石膏の製造方法。
【請求項4】
水酸化カルシウムスラリーに含まれる固形物中の水酸化カルシウム純度が、98重量%以上であることを特徴とする請求項2または3に記載のα石膏の製造方法。
【請求項5】
複分解反応に用いる硫酸根を含む水溶液が、硫酸アンモニウム水溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項6】
硫酸アンモニウム水溶液の硫酸アンモニウム濃度が35〜45重量%であることを特徴とする請求項5に記載のα石膏の製造方法。
【請求項7】
β石膏を合成する工程が、過剰の水酸化カルシウムスラリーと硫酸アンモニウム水溶液とを加熱下で複分解反応させる工程、複分解反応で副生したアンモニアを蒸留により除去する工程、アンモニア除去後の石膏スラリーのPHを調整するために硫酸根を含む水溶液を添加する工程、を含むプロセスを経て製造されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項8】
水酸化カルシウムスラリーと硫酸アンモニウム水溶液の複分解反応が、モル比率1.02〜1.1(水酸化カルシウム/硫酸根)の範囲で行われることを特徴とする請求項7に記載のα石膏の製造方法。
【請求項9】
水酸化カルシウムスラリーと硫酸アンモニウム水溶液の複分解反応の温度が、90〜120℃の範囲で行われることを特徴とする請求項7または8に記載のα石膏の製造方法。
【請求項10】
複分解反応で副生したアンモニアを蒸留除去する温度が、100〜120℃の範囲で行われることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項11】
β石膏スラリーのPHを調整するために硫酸根を含む水溶液を添加する工程において、該スラリーのPHを2.0〜6.5の範囲に調整することを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項12】
β石膏スラリーのPHを調整するために添加する硫酸根を含む水溶液が、硫酸であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項13】
β石膏スラリーの温度を低下させ、β石膏を溶解させて二水石膏を析出させる温度が80〜95℃の範囲で行われることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項14】
β石膏スラリーの温度を低下させ、β石膏を溶解させて二水石膏を析出させる工程における水溶媒に、α化反応後の溶媒を添加することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項15】
析出させた二水石膏を含むスラリーから除去する微粒の分級点(限界粒子径)が、5〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項16】
析出させた二水石膏を含むスラリーから微粒を除去することで、二水石膏中の鉄分を50重量%以上減少させることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項17】
媒晶剤を含む溶媒中で加熱・加圧する二水石膏が、粒径150μm以上の二水石膏粒子を20重量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜16いずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項18】
二水石膏を、媒晶剤を含む溶媒中で105〜130℃の範囲に加熱することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項19】
二水石膏を、媒晶剤を含む溶媒中で50〜300kPaの範囲に加圧することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項20】
純度が99.5重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
【請求項21】
純度が99.8重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載のα石膏の製造方法。

【公開番号】特開2010−105886(P2010−105886A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281714(P2008−281714)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】