説明

石膏の製造方法

この発明は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水を、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水が互いに反応し石膏生成物を生成するように接触させる、石膏生成物の製造方法に関する。反応混合物は、小さく、扁平で可能な限り等しい大きさの結晶からなる石膏生成物を得るために、34-84重量%の乾物含量を有する。この発明はまたこの方法によって形成された生成物に関する。0.1以上2.0μm未満の大きさを有する実質的に無傷の結晶からなる石膏生成物が形成される。この生成物は、例えば製紙業における、例えば充填剤又は塗工顔料として適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水を、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水が互いに反応し、石膏生成物を形成するように接触させる、石膏生成物を形成するための方法に関する。この発明は、またこの方法によって形成される生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
石膏又は硫酸カルシウム2水和物CaSiO2・2H2Oは、特に紙製品における塗工顔料及び充填顔料の両方の材料として適している。石膏生成物が小さく、扁平で、幅広(板状)で、同じ大きさの結晶を有する特定のものであると、特に良好な塗工顔料と充填剤とが得られる。
【0003】
石膏生成物粒子の結晶の大きさは、粒子の重量平均径D50で表される。より詳細には、D50は総粒子重量の50%を占める粒子よりも小さい粒子の、粒子を丸いと推定した場合の直径である。D50はSedigraph 5100などの適切な粒度分析計で測定される。
【0004】
結晶の平坦度はそれがその他の表面よりも大きい2つの平行な表面を有することを意味する。扁平な結晶の形態は、形状比SRによって表されるのが適している。このSRは結晶の厚さ(最短横測定値)に対する結晶長さ(最長測定値)の比である。その個々の結晶の平均SRはクレームされた石膏生成物のSRを意味する。
【0005】
板状度はアスペクト比ARで表されるのが適している。ARは結晶長さ(最長測定値)と結晶幅(最長横測定値)との間の比であり、例えば、結晶をぴったり包囲している円筒の直径と長さとの間の比である。その個々の結晶の平均ARはクレームされた石膏生成物のARを意味する。
【0006】
石膏生成物におけるSRとARとの両方は、その走査型電子顕微鏡写真を観察することによって算出することができる。フィリップスFEI30FEG型の走査型電子顕微鏡が適している。
【0007】
結晶粒子が同じ大きさであることは、結晶の粒度分布が狭いことを意味する。その幅は重量分布(D75−D25)/D50(grabimetric weight distribution)で表され、D75、D25及びD50はそれぞれ、粒子の総重量の75%、25%及び50%を占める粒子よりも小さい粒子の、粒子を丸いと推定した場合の直径である。粒度分布の幅は、上述したタイプのSedigraph 5100などの適切な粒度分析計で得られる。
【0008】
石膏は天然鉱物として存在するか、或いは、例えばリン酸石膏や排気ガス石膏のような化学工程の副産物として形成される。石膏を結晶化することによってさらに石膏を塗工顔料や充填剤まで精製するために、まずか焼して硫酸カルシウム半水和物(CaSiO4・1/2H2O)にして、次いで半水化物を水中に溶解させて沈殿させることで水和させて純粋な石膏が得られる。硫酸カルシウムは結晶水のない無水の形態(CaSiO4)でも存在する。
【0009】
石膏原料のか焼状態によって、硫酸カルシウム半水和物は2つの形態、すなわちα型とβ型の半水化物になる。β型は石膏原料を常圧で加熱処理することによって得られ、α型は石膏原料を常圧より高い蒸気圧で処理するか、或いは45℃で食塩水又は酸性溶液からの化学的湿式か焼によって得られる。
【0010】
WO88/05423は、その水性スラリー中で硫酸カルシウム半水和物を水和することによる石膏の製造方法を開示し、その乾物含量は20以上25重量%以下の間である。その最大寸法が100〜450μm及び2番目に大きな寸法が10〜40μmの石膏が得られる。
【0011】
AU620857(EP0334292 A1)は、粉砕された半水化物を多くて33.33重量%含むスラリーから石膏を製造する方法を開示し、それによって2以上200μm以下の平均サイズと5以上50以下のアスペクト比とを有する針状結晶を形成している。この文献の15頁の5行目〜11行目と実施例をご参照のこと。
【0012】
US2004/0241082は、5以上25重量%以下の間の乾物含量を有する半水化物の水性スラリーから小さい針状の石膏結晶(長さ5〜35μm、幅1〜5μm)を製造する方法を開示する。この米国の文献における思想は、例えば紙製造中に結晶を溶解させないようにするために添加剤を用いて石膏の水溶性を低減させることである。
【0013】
上記文献は、補強に適している針状の結晶を製造することを目的とすることは明らかである。石膏生成物及びそれらの製造方法が記載されているこれらの文献において、高い光沢度と不透明度を得ようとするときその針状形態は具合が悪い。上述したように、高い白さと不透明度を得るために、極めて小さい粒子が必要とされる。このような粒子はこれまで石膏を粉砕することによってのみ得られている。
【0014】
先行技術における方法は、高い水含有量を有し、最終生成物における乾物含量の調整を困難にさせる。通常、脱水工程が顔料の処理において要求される。粒子の大きさ及び形状を調整するのは困難である。所望の大きさ及び形状を達成するために、(硫酸カルシウム半水和物、特にβ−又はα−型などの)所定の出発物質、出発物質の粉砕などの事前処理又は高価な結晶作用媒晶剤を反応に使用しなければならない。所望の最終生成物を形成するために、温度及び/又はpHを調整するといった反応状態が必要とされ、それは所望の冷却のために製造コストを増加させる。従来の方法において、小さい粒子を形成するために粉砕又は圧砕工程を必要とし、それは顔料の製造において、かなりのエネルギーが消費されて主要なコスト要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第88/05423号
【特許文献2】オーストリア特許第620857号明細書(欧州特許第0334292号明細書)
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0241082号明細書
【発明の概要】
【0016】
この発明の目的は、無傷で、小さく、扁平の、できるだけ大きさの等しい石膏結晶を形成するための方法を提供することにある。この発明の目的は、さらに簡単で、変更可能で、反応状態及び原料に順応性があり、先行技術による方法よりもコストの低い方法を提供することにある。
【0017】
上述した目的は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水を、それらが互いに反応し石膏生成物を形成するように接触させる、この発明の新しい方法で達成される。反応混合物は、小さく、扁平で、できるだけ大きさの等しい結晶からなる石膏生成物を得るために、34以上84重量%以下の乾物含量を有する。この発明によると、乾物含量を調整することによって、異なる結晶サイズ及び形状因子の石膏結晶を得ることができる。したがって、例えば製紙業における例えば充填剤又は塗工顔料として適用可能である石膏生成物を製造することができる。この発明の方法で形成された石膏生成物は、例えば塗工用に優れた特性を有し、なめらかな表面を有する小さい結晶が高い不透明度と光沢度を得るために不可欠である。さらに、生成物はプラスチック充填剤及びガラス工業、化粧品、印刷用インク、建築材料及び塗料における原料として使用されてもよい。
【0018】
この方法は、事前処理が少なく安価で又は結晶作用媒晶剤が必要とされないという利点もある。この生成物は圧砕も粉砕も必要とされない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例1で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図2】図2は、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例2で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図3】図3は、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例3で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図4】図4は、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例4で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図5】図5は、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例5で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図6】図6は、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例6で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図7】図7は、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例7で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図8】図8は、湿式か焼α−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例8で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は、湿式か焼α−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例9で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び反応状態(温度、pH)で結晶化した、例10で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図11】図11は、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び反応状態(温度、pH)で結晶化した、例11で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図12】図12は、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び反応状態(温度、pH)で結晶化した、例12で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図13】図13は、硫酸カルシウム無水物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例13で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図14】図14は、硫酸カルシウム無水物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例14で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図15】図15は、か焼β−硫酸カルシウム半水和物と乾燥硫酸カルシウム2水和物を異なる乾物含量で結晶化した、例15で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図16】図16は、か焼β−硫酸カルシウム半水和物と乾燥硫酸カルシウム2水和物との混合物を異なる乾物含量で結晶化した、例16で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図17】図17は、酸性炉か焼硫酸カルシウム無水物と硫酸カルシウム2水和物との混合物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例17で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図18】図18は、酸性炉か焼硫酸カルシウム無水物と硫酸カルシウム2水和物との混合物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例18で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図19】図19は、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物を異なる乾物含量で結晶化した、例19で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図20】図20は、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物を異なる乾物含量で結晶化した、例20で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図21】図21は、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム2水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物を異なる乾物含量で結晶化した、例21で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図22】図22は、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム2水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物を異なる乾物含量で結晶化した、例22で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図23】図23は、例23の硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図24】図24は、例24の硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図25】図25は、例25の硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図26】図26は、例26の硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図27】図27は、例27の硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図28】図28は、砕木パルプを含まない上質紙の塗工試験で使用された沈降硫酸カルシウム顔料の電子顕微鏡写真を示す。
【図29】図29は、沈降炭酸カルシウムと共に使用された沈降硫酸カルシウム2水和物を使用したときの光沢の結果を示し、参考例と比較されている。
【図30】図30は、SC紙の充填剤試験で使用された沈降硫酸カルシウム顔料の電子顕微鏡写真を示す。
【図31】図31は、充填剤として適用する際の引張り強さの関数として不透明度を示す。
【図32】図32は、充填剤として適用する際の引張り強さの関数としての輝度を示す。
【図33】図33は、先行技術による、粉砕された硫酸カルシウム2水和物顔料の電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
クレームされた方法で硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水から形成された反応混合物が40以上84重量%以下の乾物含量を有する量で使用されるのが好ましく、50以上80重量%以下の間がより好ましく、57以上80重量%以下の間が最も好ましい。
【0021】
ここでは、“乾物含量”という用語は、“乾燥物質”の一部を形成している溶解された半水化物及び/又は無水物が初期の“固形分含有量”を形成している溶解していない半水化物及び/又は無水物に比べて極めて少ないので、実質的に“固形分含有量”と同じことを意味する。
【0022】
この発明の方法によると、水は
− 硫酸カルシウム半水和物
− 硫酸カルシウム無水物
− 硫酸カルシウム半水和物及び硫酸カルシウム無水物の混合物
− 硫酸カルシウム半水和物及び硫酸カルシウム2水和物の混合物
− 硫酸カルシウム無水物及び硫酸カルシウム2水和物の混合物、又は
− 硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム無水物及び硫酸カルシウム2水和物
と接触される。
【0023】
この発明による方法では、β−硫酸カルシウム半水和物が、通常使用される。それは、140以上300℃以下、好ましくは150〜200℃の温度で石膏原料を加熱することによって形成される。石膏原料は、低温では十分に乾燥させることができず、高温では脱水し過ぎて無水物になってしまう。か焼された硫酸カルシウムは、硫酸カルシウム2水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物を少量の不純物として、大抵含んでいる。β−硫酸カルシウム半水和物を使用することが好ましく、したがって石膏原料は可能な限り急激に所望の温度まで加熱される。
【0024】
この発明の方法における出発物質として、硫酸カルシウム無水物を使用することもできる。無水物は、石膏原料をか焼することによって得られる。無水物には3つの形態があり、一つ目は無水物Iと称され、不溶性の無水物II−u及びII−Eのように水との反応によって石膏を形成することができない。無水物IIIと称されるその他の形態は、溶解性無水物としても知られており、3つの形態β−無水物III、β−無水物III’、及びα−無水物IIIを有する。そして無水物II−sは水と接触させることで純粋な石膏を形成する。
【0025】
反応混合物における水の温度は、0以上100℃以下の任意の値であり、水蒸気の状態であっても良い。
【0026】
硫酸カルシウム半水和物と水とが接触すると、それらは反応して硫酸カルシウム2水和物、すなわち石膏になる。この反応は、例えば実験で容易に決定することのできる十分な時間だけ前記物質を共に混合、好ましくは激しく混合することによって生じる。クレームされた高乾燥物質では、スラリーの粘度が高く、試薬同士が容易に接触しないので、激しく混合することが必要である。初期のpHは、通常3.5以上9.0以下であり、好ましくは4.0以上7.5以下である。必要であれば、pHはNaOH及び/又はH2SO4の水溶液、通常はNaOH及び/又はH2SO4の10%溶液で調整される。
【0027】
この発明の1つの実施形態では、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶性媒晶剤を接触させる。その順番は任意の順でよい。しかし、半水和物及び/又は無水物の前に結晶作用媒晶剤と水とを接触させるのが好ましい。
【0028】
結晶作用媒晶剤は、1つ又はいくつかのカルボキシル基又はスルホン酸基をその分子内に有する化合物又はこのような化合物の塩であることが好ましい。この発明の1つの実施形態によると、結晶作用媒晶剤は無機酸、酸化物、塩基又は塩である。有用な無機酸、塩基及び塩の例としては、AlF、Al(SO、CaCl、Ca(OH)、HBO、NaCl、NSO、NaOH、NHOH、(NHSO、MgCl、MgSO及びMgOを挙げることができる。
【0029】
別の実施形態によると、結晶作用媒晶剤は有機化合物であり、アルコール、酸又は塩である。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−オクタノール、グリセロール、i−プロパノール及びC−C10脂肪族アルコールに基づくアルキルポリグルコシドが適している。
【0030】
有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(ISA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−ビス−[2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)エチル]アスパラギン酸(AES)などのカルボン酸及びアミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、2−アミノフェノール−4−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メルカプトエタンスルホン酸、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ジ−、テトラ−及びヘキサ−アミノスチルベンスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0031】
有機塩としては、Mg−ギ酸塩、Na−及びNH−酢酸塩、Na−マレイン酸塩、、NH−クエン酸塩、Na−コハク酸塩、K−オレイン酸塩、K−ステアリン酸塩、Na−エチレンジアミンテトラ酢酸(Na−EDTA)、Na−アスパラギン酸エトキシコハク酸塩(Na−AES)及びNa−アミノトリエトキシコハク酸塩(Na−TCA)などのカルボン酸の塩が挙げられる。
【0032】
Na−n−(C10−C13)−アルキルベンゼンスルホン酸塩、C10−C16−アルキルベンゼンスルホン酸塩、Na−1−オクチルスルホン酸塩、Na−1−ドデカンスルホン酸塩、Na−1−ヘキサデカンスルホン酸塩、K−脂肪酸スルホン酸塩、Na−C14−C16−オレフィンスルホン酸塩、アニオン性又は非イオン性界面活性剤としてのNa−アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジ−K−オレイン酸スルホン酸塩、ジ−、テトラ−及びヘキサアミノスチルベンスルホン酸の塩などのスルホン酸の塩もまた有用である。硫黄を含む有機塩としては、C12−C14脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、Na−2−エチルヘキシル硫酸塩、Na−n−ドデシル硫酸塩及びNa−ラウリル硫酸塩などの硫酸塩、及びNa−スルホコハク酸塩のモノアルキルポリグリコールエーテル、Na−ジオクチルスルホコハク酸塩及びNa−ジアルキルスルホコハク酸塩といったスルホコハク酸塩も挙げられる。
【0033】
Na−ノニルフェニル−及びNa−ジノニルフェニルエトキシ化リン酸エステル、K−アリールエーテルリン酸塩、ポリアリールポリエーテルリン酸塩のトリエタノールアミン塩といったリン酸塩もまた使用されても良い。
【0034】
結晶作用媒晶剤としては、オクチルアミン、トリエタノールアミン、ジ(水素化動物性脂肪族アルキル)ジメチルアンモニウム塩化物などのカチオン性界面活性剤、及び各種脂肪族アルコールエトキシレートなどの非イオン性界面活性剤が使用されても良い。有用なポリマー酸、塩、アミド及びアルコールとしては、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸塩、アクリル酸塩−マレイン酸塩の共重合体、ポリアクリルアミド、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリビニルホスホン酸、アクリル酸及びアリルヒドロキシプロピルスルホン酸塩の共重合体(AA−AHPS)、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸(PHAS)、ポリビニルアルコール、及びポリ(メチルビニルエーテル−アルト−マレイン酸)を挙げることができる。
【0035】
特に好ましい結晶作用媒晶剤は、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(ISA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、N−ビス−[2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)−エチル]−アスパラギン酸(AES)、ジ−、テトラ−及びヘキサ−アミノスチルベンスルホン酸及びアミノトリエトキシコハク酸ナトリウム(Na−TCA)、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのそれらの塩である。
【0036】
この発明の方法において、結晶作用媒晶剤は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物の重量に基づいて、0.01〜5.0%の量で使用されるのが好ましく、0.02〜1.78%の量で使用されるのが最も好ましい。
【0037】
この発明の方法は、水又は水と結晶性媒晶剤との混合物に硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物を加えることによって行なわれる。この発明の1つの実施形態において、水が硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物と接触され、その接触は止まることなく連続して実行される。
【0038】
この接触で硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶作用媒晶剤は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水が反応して石膏を形成するまで混合され、好ましくは激しく混合される。
【0039】
石膏は半水和物及び無水物よりも水に低溶解性であるので、半水和物及び/又は無水物と水との反応によって形成された石膏は直ちに水媒体から結晶化する傾向にある。石膏はスラリーとして水媒体内に存在したまま回収しても良いし、或いは、乾燥状態で回収しても良い。
【0040】
この発明の1つの実施形態によると、結晶化された及び/又は回収された石膏は、分散剤で分散される。有用な分散剤は、次のものである。リグノスルホン酸ナトリウムなどのリグノスルホン酸塩、縮合されたナフタレンスルホン酸塩などの芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物、分散アニオン性ポリマー、及びアニオン性モノマーから形成された共重合体または重合後にアニオン性にした共重合体、カルボン酸及びスルホン酸などのアニオン電荷を有する繰り返し単位を含むポリマー、それらの塩及びそれらの混合物。リン酸塩、非イオン性及び/又はカチオン性ポリマー、多糖類及び界面活性剤が使用されても良い。
【0041】
上述したアニオン性ポリマーとしては、たとえばポリ(メタ)アクリル酸塩、アクリル酸塩−マレイン酸塩共重合体、ポリマレイン酸塩、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩及びポリビニルスルホン酸塩が挙げられる。
【0042】
分散剤として有用な典型的なリン酸塩はヘキサメタリン酸ナトリウムである。典型的な非イオン性ポリマーはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルコキシシラン、及びポリエトキシアルコールである。カチオンに帯電された分散ポリマーは、たとえばジシアンジアミド−ホルムアルデヒドポリマーである。多糖類としては、天然及び加工でんぷん、またはカルボキシメチルセルロースなどの加工セルロース及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0043】
有用な界面活性剤は、カルボン酸、スルホン酸硫酸エステル、リン酸及びポリリン酸エステル及びそれらの塩などのアニオン性界面活性剤、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化カルボン酸エステル及びエトキシ化カルボン酸アミドなどの非イオン性界面活性物質、及び無酸性アミン、酸素を含んでいるアミン、アミド結合を含んでいるアミン、及び第4級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性物質である。
【0044】
石膏を分散するとき使用される分散剤の量は、石膏の重量に基づいて0.01〜5.0%が好ましく、0.05〜3.0%が好ましい。
【0045】
この発明の石膏生成物は、所望により他の添加剤でも処理される。典型的な添加剤は、石膏生成物を保管及び使用するときに微生物の活動を防ぐ殺生物剤である。
【0046】
最後に、形成され、回収され、分散され及び/又は添加剤で処理された石膏生成物は、所望の大きさの石膏粒子を得るためにふるいにかけられても又は遠心分離機にかけられても良い。最後に漂白工程が含まれても良い。
【0047】
結晶作用媒晶剤と共に又はなしで硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水を乾物含量50〜84%で使用するとき、新しい石膏生成物が得られる。新しい石膏生成物は、平均サイズ(D50)0.1以上2.0μm未満(0.1≦D50≦2.0)を有する実質的に無傷の結晶から成ることを特徴とする。先行技術の結晶化技術で得られた結晶のサイズは、大抵極めて大きい。
【0048】
実質的に無傷の結晶は機械的に破壊されていない結晶粒子を意味し、その結晶表面が維持されている。例えば、図33は粉砕によって得られた破壊された粒子である石膏を示し、図23〜27及び30は、この発明の実施形態による結晶作用によって形成された無傷の結晶を有する石膏を示す。結晶のサイズは0.2を超え2.0μm未満の範囲であるのが好ましい。
【0049】
クレームされた石膏生成物の結晶の形状比SRは、少なくとも2.0が好ましく、2.0以上50以下の間がより好ましく、3.0以上40以下の間が最も好ましい。結晶のアスペクト比ASは1.0以上10以下の間であるのが好ましく、1.0以上5.0未満の間であるのが最も好ましい。
【0050】
粒度分布WPDS=(D75−D25)/D50の幅が狭いほど石膏生成物は均一である。均一な生成物は、高い分散性に加えて、不透明性も増大される。この発明の石膏生成物に関して、粒度分布の幅は2.0より小さいのが好ましく、1.25より小さいのがより好ましく、1.10より小さいのが最も好ましく、それによって生成物が均一であることが確保される。図33は先行技術による粉砕された生成物がかなり異なるサイズの粒子(広い粒度分布)を有することを示す。
【0051】
上述した特徴が満たされるとき、石膏生成物は高い不透明度と光沢度を与えることができる。
【0052】
前述したように、この発明の石膏生成物は、典型的には塗工顔料又は充填顔料である。この発明の1つの実施形態によると、この石膏生成物は0.1〜1.0μmの平均サイズ、好ましくは0.5〜1.0μmの平均サイズを有する結晶のみからなる塗工顔料である。別の実施形態によると、この石膏生成物は1.0〜2.0μmの平均サイズを有する結晶のみからなる充填顔料である。
【0053】
次に、この発明の方法によるいくつかの例及びこの発明の方法を使用することによって得られた生成物が提示される。これらの例の目的はこの発明を明らかにすることである。
【0054】
図面
図1〜22は、走査型電子顕微鏡で撮影された、例1−22の石膏生成物の電子顕微鏡写真を示す。写真23〜27は顕微鏡写真で撮影された、例23−27の石膏生成物の写真を示す。例の後の説明もまたご参照のこと。図28〜32には、紙の塗工剤及び充填剤用における、この発明による板状の硫酸カルシウム顔料の結果が示されている。
図23〜27には、例23〜27の硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真が示される。例の概要も参照されたい。
【0055】
図1〜5には、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例1〜5で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0056】
図6及び7には、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例6及び7で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0057】
図8及び9には、湿式か焼α−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例8及び9で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0058】
図10〜12には、流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物を異なる乾物含量及び反応状態(温度、pH)で結晶化した、例10〜12で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0059】
図13及び14には、硫酸カルシウム無水物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例13及び14で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0060】
図15及び16には、か焼β−硫酸カルシウム半水和物と乾燥硫酸カルシウム2水和物を異なる乾物含量で結晶化した、例15及び16で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0061】
図17及び18には、酸性炉か焼硫酸カルシウム無水物と硫酸カルシウム2水和物との混合物を異なる乾物含量及び温度で結晶化した、例17及び18で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0062】
図19及び20には、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物を異なる乾物含量で結晶化した、例19及び20で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0063】
図21及び22には、ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム2水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物を異なる乾物含量で結晶化した、例21及び22で得られた石膏生成物の電子顕微鏡写真が示される。
【0064】
図23〜27には、例23〜27の硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真が示される。例の概要も参照のこと。
【0065】
図28〜33には、紙用の塗工剤及び充填剤における、この発明による板状の硫酸カルシウム顔料の適用例が示される。
【0066】
図28には、砕木パルプを含まない上質紙の塗工試験で使用された沈降硫酸カルシウム顔料の電子顕微鏡写真が示される。
【0067】
図29には、沈降炭酸カルシウムと共に使用された沈降硫酸カルシウム2水和物を使用したときの光沢度の結果が示され、参考例と比較されている。硫酸カルシウム2水和物とPCCとの組合せが塗工重量10g/mで参考例PCCと匹敵する光沢を与えていることが分かる。したがって、沈降石膏は、光沢のある塗工カラーにおいて炭酸カルシウムに代えて使用され得る。
【0068】
図30には、SC紙の充填剤試験で使用された沈降硫酸カルシウム顔料の電子顕微鏡写真が示される。観察された特性は紙の不透明度、多孔性及び引張り強さであった。
【0069】
図31には、充填剤として適用する際の不透明度が引張り強さの関数として示されている。沈降石膏顔料は、二酸化チタンと共に使用された。石膏顔料でより高い引張り強さが得られることによって充填剤を増加させることができ、参考顔料と同程度の不透明度を可能にする。
【0070】
図32には、充填剤として適用する際の輝度が引張り強さの関数として示される。沈降石膏顔料は、二酸化チタンと共に使用された。石膏顔料でより高い引張り強さが得られることによって充填剤を増加させることができる。PCCと同程度の輝度がより高い引張り強さで得られる。
【0071】
図33には、先行技術による、粉砕された硫酸カルシウム2水和物顔料の電子顕微鏡写真が示される。
【実施例】
【0072】
例1−22(結晶作用媒晶剤なし)
合成
一般的な情報がまず提示される。塗工顔料に最適な方法が行なわれた。パラメーターは、
・Tw(水の温度)(℃) 12-100
・HH(半水和物)(重量%) 57-84
であった。
【0073】
この反応は、システムpHで、或いは、10%NaOH又は10%HSOを少量加えることにより所望の値に調整されたpHで、行なわれた。
【0074】
この反応は、ジャケットのない反応器で行なわれ、その水の温度は12〜100℃である。半水和物/無水物は水にバッチで加えられ、初期固体含有量57-84重量%のスラリーとなる。このスラリーはホバートミキサーモデルN50CEを使用してかき混ぜられる(約250-500rpm)。
【0075】
分析
反応器のpHは、Knick Portamess 911 pH電極によって測定された。硫酸カルシウム2水和物の形態はFEIXL 30 FEG走査型電子顕微鏡によって調べられた。半水和物から2水和物への転移は、メトラー トレド TGA/SDTA85 1/1100熱分析(TG)を使用して分析された。結晶構造は、フィリップス X'pert X線粉末回折装置(XRD)で判定された。
【0076】
粒度及び分布は、Sedigraph 5100粒度測定器を使用して測定された。試料はメタノール中で準備された。
【0077】
試料の準備:2gの石膏(その乾物含量は約68%)がデカンタに測られ、50mlのメタノールが加えられる(例えば、J. T. Baker 8045)。混合は、超音波を使用してマグネチックスターラで10分間かき混ぜられる。
【0078】
ベースラインの決定:1000gのメタノール(例えば、J. T. Baker 8045)と13.4gの水とが混合される。この液体の特性は次の通りである。
T ℃ 密度 g/cm3 粘度 cp
30 0.7953 0.5300
35 0.7892 0.5040
40 0.7831 0.4760
【0079】
試料の密度:密度2.3g/cm3の2水石膏が使用された。
分析のタイプ:高速
顕微鏡写真による形態分析
前記説明で規定された、長さ/直径及び厚さは、走査型電子顕微鏡写真で少なくとも20個の粒子から測定された。
【0080】
例 1
1.645gの水が反応器に入れられる。水の温度は12℃である。
【0081】
2.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は855.0gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0082】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0083】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0084】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0085】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0086】
得られた2水石膏が、図1に示される。
【0087】
平均粒度(D50)は、0.90μm
形状比は、9.18
アスペクト比は、3.27
粒度分布の幅は、0.73
【0088】
例 2
1.480gの水が反応器に入れられる。水の温度は23℃である。
【0089】
2.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は720.0gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0090】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0091】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0092】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0093】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0094】
得られた2水石膏が、図2に示される。
【0095】
平均粒度(D50)は、1.13μm
形状比は、7.03
アスペクト比は、2.55
粒度分布の幅は、0.91
【0096】
例 3
1.360gの水が反応器に入れられる。水の温度は23℃である。
【0097】
2.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は840.0gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0098】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0099】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0100】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0101】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0102】
得られた2水石膏が、図3に示される。
【0103】
平均粒度(D50)は、1.13μm
形状比は、6.46
アスペクト比は、3.06
粒度分布の幅は、1.45
【0104】
例 4
1.300gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0105】
2.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は1200.0gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0106】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0107】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0108】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0109】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0110】
得られた2水石膏が、図4に示される。
【0111】
平均粒度(D50)は、0.81μm
形状比は、3.18
アスペクト比は、3.18
粒度分布の幅は、2.54
【0112】
例 5
1.192gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0113】
2.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は1008gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0114】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0115】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0116】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0117】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0118】
得られた2水石膏が、図5に示される。
【0119】
平均粒度(D50)は、0.97μm
形状比は、4.11
アスペクト比は、4.11
粒度分布の幅は、3.68
【0120】
例 6
1.645gの水が反応器に入れられる。水の温度は15℃である。
【0121】
2.ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は855.0gである。硫酸カルシウム半水和物の投入後にスターラの回転速度はポジション2に上げられる。
【0122】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0123】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0124】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0125】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0126】
得られた2水石膏が、図6に示される。
【0127】
平均粒度(D50)は、1.04μm
形状比は、10.48
アスペクト比は、3.30
粒度分布の幅は、1.09
【0128】
例 7
1.300gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0129】
2.ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は1200.0gである。硫酸カルシウム半水和物の投入後にスターラの回転速度はポジション2に上げられる。
【0130】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0131】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0132】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0133】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0134】
得られた2水石膏が、図7に示される。
【0135】
平均粒度(D50)は、0.91μm
形状比は、6.64
アスペクト比は、4.41
粒度分布の幅は、2.08
【0136】
例 8
1.528gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0137】
2.湿式か焼α−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は700gである。硫酸カルシウム半水和物の投入後にスターラの回転速度はポジション2に上げられる。
【0138】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0139】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0140】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0141】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0142】
得られた2水石膏が、図8に示される。
【0143】
平均粒度(D50)は、2.43μm
形状比は、6.96
アスペクト比は、3.37
粒度分布の幅は、0.77
【0144】
例 9
1.128gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0145】
2.湿式か焼α−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は512gである。硫酸カルシウム半水和物の投入後にスターラの回転速度はポジション2に上げられる。
【0146】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0147】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0148】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0149】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0150】
得られた2水石膏が、図9に示される。
【0151】
平均粒度(D50)は、1.09μm
形状比は、5.27
アスペクト比は、5.27
粒度分布の幅は、0.88
【0152】
例 10
1.645gの水が反応器に入れられる。水の温度は100℃である。
【0153】
2.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は855.0gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0154】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0155】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0156】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0157】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0158】
得られた2水石膏が、図10に示される。
【0159】
平均粒度(D50)は、3.18μm
形状比は、7.89
アスペクト比は、3.69
粒度分布の幅は、1.17
【0160】
例 11
1.300gの水が反応器に入れられる。水の温度は100℃である。
【0161】
2.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は1200gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0162】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0163】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0164】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0165】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0166】
得られた2水石膏が、図11に示される。
【0167】
平均粒度(D50)は、1.19μm
形状比は、5.28
アスペクト比は、2.95
粒度分布の幅は、1.98
【0168】
例 12
1.645gの水が反応器に入れられる。水の温度は17℃、pHは2に調整される。
【0169】
2.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物の総量は855gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0170】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0171】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0172】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0173】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0174】
得られた2水石膏が、図12に示される。
【0175】
平均粒度(D50)は、1.06μm
形状比は、14.22
アスペクト比は、4.40
粒度分布の幅は、0.99
【0176】
例 13
1.528gの水が反応器に入れられる。水の温度は23℃である。
【0177】
2.II/III型の硫酸カルシウム無水物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた無水物の総量は700gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0178】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0179】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0180】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0181】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0182】
得られた2水石膏が、図13に示される。
【0183】
平均粒度(D50)は、0.89μm
形状比は、7.82
アスペクト比は、3.61
粒度分布の幅は、1.34
【0184】
例 14
1.200gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0185】
2.II/III型の硫酸カルシウム無水物が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた無水物の総量は800gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0186】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0187】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0188】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0189】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0190】
得られた2水石膏が、図14に示される。
【0191】
平均粒度(D50)は、0.61μm
形状比は、5.77
アスペクト比は、2.90
粒度分布の幅は、1.84
【0192】
例 15
1.513gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0193】
2.硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム2水和物との混合物(50:50)が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物と2水和物との総量は800gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0194】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0195】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0196】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0197】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0198】
得られた2水石膏が、図15に示される。
【0199】
平均粒度(D50)は、0.85μm
形状比は、15.12
アスペクト比は、4.79
粒度分布の幅は、7.22
【0200】
例 16
1.250gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0201】
2.硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム2水和物との混合物(50:50)が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物と2水和物との総量は1000gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0202】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0203】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0204】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0205】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0206】
得られた2水石膏が、図16に示される。
【0207】
平均粒度(D50)は、2.02μm
形状比は、3.36
アスペクト比は、3.36
粒度分布の幅は、6.95
【0208】
例 17
1.630gの水が反応器に入れられる。水の温度は17℃である。
【0209】
2.硫酸カルシウム無水物と硫酸カルシウム2水和物との混合物(50:50)が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた無水物と2水和物との総量は870gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0210】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0211】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0212】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0213】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0214】
得られた2水石膏が、図17に示される。
【0215】
平均粒度(D50)は、5.14μm
形状比は、12.50
アスペクト比は、3.84
粒度分布の幅は、1.52
【0216】
例 18
1.185gの水が反応器に入れられる。水の温度は23℃である。
【0217】
2.硫酸カルシウム無水物と硫酸カルシウム2水和物との混合物(50:50)が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた無水物と2水和物との総量は737gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0218】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0219】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0220】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0221】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0222】
得られた2水石膏が、図18に示される。
【0223】
平均粒度(D50)は、5.17μm
形状比は、7.48
アスペクト比は、2.23
粒度分布の幅は、5.43
【0224】
例 19
1.513gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0225】
2.ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物(50:50)が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物と無水物との総量は680gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0226】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0227】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0228】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0229】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0230】
得られた2水石膏が、図19に示される。
【0231】
平均粒度(D50)は、1.51μm
形状比は、16.27
アスペクト比は、4.08
粒度分布の幅は、2.04
【0232】
例 20
1.178gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0233】
2.ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物(50:50)が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物と無水物との総量は712gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0234】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0235】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0236】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0237】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0238】
得られた2水石膏が、図20に示される。
【0239】
平均粒度(D50)は、2.38μm
形状比は、3.51
アスペクト比は、3.51
粒度分布の幅は、2.45
【0240】
例 21
1.513gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0241】
2.ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム2水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物(1:1:1)が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物と2水和物と無水物との総量は680gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0242】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0243】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0244】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0245】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0246】
得られた2水石膏が、図21に示される。
【0247】
平均粒度(D50)は、27.09μm
形状比は、12.19
アスペクト比は、2.38
粒度分布の幅は、1.04
【0248】
例 22
1.250gの水が反応器に入れられる。水の温度は20℃である。
【0249】
2.ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物と硫酸カルシウム2水和物と硫酸カルシウム無水物との混合物(1:1:1)が、スターラの運転速度をポジション1に設定した反応器に均一に加えられる。加えられた半水和物と2水和物と無水物との総量は1000gである。投入後にスターラの運転速度はポジション2に上げられる。
【0250】
3.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0251】
4.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0252】
5.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0253】
6.適切な漂白処理、塊を砕くための粉砕及び篩い分け
【0254】
得られた2水石膏が、図22に示される。
【0255】
平均粒度(D50)は、23.54μm
形状比は、8.06
アスペクト比は、1.78
粒度分布の幅は、1.40
【0256】
例23−28(結晶作用媒晶剤有り)及び生成物の用途
まず、合成及び生成物の分析に関する一般的な情報が開示される。次に、図が特定され、その後、それぞれの例についてのデータが提示される。最後に、原料、反応状態及び生成物の特性を示す表が示される。
【0257】
合成
一般的な情報がまず提示される。紙顔料用に最適の方法が行なわれた。パラメータは、
・媒晶剤(重量%/2水和物DH) 0.100-0.543
・Tj(ジャケット温度)(℃) 2-100
・pH 3.7-7
・HH(半水和物)(重量%) 50-80
であった。
【0258】
この反応は、システムpHで、或いは、10%NaOH又は10%HSOを加えることにより所望の値に調整されたpHで、行なわれた。媒晶剤の量は沈降硫酸カルシウム2水和物に対する割合として算出される(%/DH)。すべての例における原料は流動層急速加熱で得られたβ−半水和物であった。すべての例における分散剤は、Fennodispo A41であった。
【0259】
実験は、次の装置を使用して行われた。
【0260】
1.セル冷却器を有する反応器Tj12-20℃に、半水和物が結晶作用媒晶剤とその他の適切な化学薬品とを含む水に1バッチ加えられる。57-60%の乾燥物質を含むスラリーは、ハイドルフミキサー(約 250-500rpm)を使用してかき混ぜされる。スラリーの初期のpHは時間t=1分で測定される。
【0261】
反応の進行については、ミキサーのトルク計測及び温度計を使用して追跡した。
【0262】
2.反応器は、反応温度を10-100℃の間に維持するホバート型N50CEであった。半水和物と化学薬品とは水性液体にバッチ式で加えられ、初期固体57-80重量%の半水和物スラリーが得られる。混合速度は、約250-500rpmである。反応はシステムpHで行なわれる。
【0263】
3.MLH12 MAP型実験用ミキサー。半水和物は反応器にバッチ式で加えられ、化学薬品を有する水が半水和物に混合しないで加えられる。次いで混合(約200rpm)が始まり、スラリーの出発固体含有量は57-80重量%である。反応は、システムpHで行なわれる。
【0264】
分析
反応器のpHと温度は、Knick Portamess 911 pH電極によって測定された。硫酸カルシウム2水和物の形態はFEI XL 30 FEG走査型電子顕微鏡によって調べられた。半水和物から2水和物への転移は、メトラー トレド TGA/SDTA85 1/1100熱分析(TG)を使用して分析された。結晶構造は、フィリップス X'pert X線粉末回折装置(XRD)で判定された。粒度及び分布は、Sedigraph 5100粒度測定器を使用して測定された。試料はメタノール中に準備された。形状比及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡写真中に観察された、少なくとも10個の粒子を調べることにより測定された。
【0265】
例 23
1.冷却浴槽温度が2℃に到達すると、235.82gの脱イオン水が冷却された反応器に入れられる。
【0266】
2.Na−n−アルキル(C10-13)ベンゼンスルホン酸塩(NABS)媒晶剤化学薬品0.6761g(純度が55%であるので0.3719gになる、HH重量の0.12%)が、反応器に加えられる。
【0267】
3.冷却浴槽の温度が2℃に到達したら、流動層か焼β−半水和物の添加が開始される。スターラの回転速度は、この添加中ときどき大きくされる。添加される半水和物(HH)の総量は、313.5g(総量549.9g、57重量%のHH)である。スターラの運転速度は400rpmに設定される。
【0268】
4.半水和物スラリーのpHは10%NaOH溶液を使用して7−7.3に調整される。
【0269】
5.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0270】
6.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0271】
7.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0272】
8.適切な漂白処理及び篩い分け
【0273】
得られた2水石膏が、図23に示される。
【0274】
平均粒度は、0.57μm
形状比は、約27.8
アスペクト比は、約3.46
粒度分布の幅は、0.775
【0275】
例 24
1.冷却浴槽温度が2℃に到達すると、208.02gの脱イオン水が冷却された反応器に入れられる。
【0276】
2.EDDS(エチレンジアミンジコハク酸塩)1.0599g、Na−EDTA(Na−エチレンジアミンテトラ酢酸)0.9591g、活性物質として媒晶剤化学薬品2.019gが共に反応器に加えられる。
【0277】
3.冷却浴槽の温度が2℃に到達したら、流動層か焼β−半水和物の添加が開始される。スターラの回転速度は、この添加中ときどき大きくされる。添加される半水和物(HH)の総量は、313.5g(総量523.54gが59.9重量%のHHになる)である。スターラの運転速度は250rpmに設定される。
【0278】
4.半水和物スラリーのpHは10%NaOH溶液を使用して7−7.3に調整される。
【0279】
5.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0280】
6.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0281】
7.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0282】
8.適切な漂白処理及び篩い分け
【0283】
得られた2水石膏が、図24に示される。
【0284】
平均粒度は、0.838μm
形状比は、約6.2
アスペクト比は、約1.73
粒度分布の幅は、0.838
【0285】
例 25
1.冷却浴槽温度が2℃に到達すると、208.02gの脱イオン水が反応器に入れられる。
【0286】
2.EDDS(エチレンジアミンジコハク酸塩)1.0599g、Na−EDTA(Na−エチレンジアミンテトラ酢酸)0.9591g、活性物質として媒晶剤化学薬品2.019gが共に反応器に加えられる。
【0287】
3.冷却浴槽の温度が2℃に到達したら、流動層か焼β−半水和物の添加が開始される。スターラの回転速度は、この添加中ときどき大きくされる。添加される半水和物(HH)の総量は、313.5g(総量は523.54g、59.9%のHH)である。スターラの運転速度は500rpmに設定される。
【0288】
4.半水和物スラリーのpHは10%NaOH溶液を使用して7−7.3に調整される。
【0289】
5.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0290】
6.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0291】
7.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0292】
8.適切な漂白処理及び篩い分け
【0293】
得られた2水石膏が、図25に示される。
【0294】
平均粒度は、0.78μm
形状比は、約6.3
アスペクト比は、約1.73
粒度分布の幅は、0.658
【0295】
例 26
1.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物5625gがMLH12 MAP 実験用ミキサーに入れられる。
【0296】
2.Na−n−アルキル(C10-13)ベンゼンスルホン酸塩(ペースト A55 純度:55%であり、それは6.82gの活性調整剤になる)12.4gが、水道水1875gと混合される(総量7512.4g、74.8重量%のHH)。
【0297】
3.水−媒晶剤混合物が半水和物に加えられ、混合が開始され、速度は225rpmまで次第に上げられる。反応はシステムpHで進む。
【0298】
4.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0299】
5.沈降生成物は、MLH12 MAP実験用ミキサーとFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0300】
6.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0301】
7.適切な漂白処理及び篩い分け
【0302】
得られた2水石膏が、図26に示される。
【0303】
平均粒度は、0.88μm
形状比は、約6.19
アスペクト比は、約2.90
粒度分布の幅は、1.06
【0304】
例 27
1.ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物720gがホバートN50 CE実験用ミキサーに入れられる。
【0305】
2.Na−n−アルキル(C10-13)ベンゼンスルホン酸塩(純度:55%であり、それは0.8635gの活性調整剤になる)1.57gが、水道水387.69gと混合される(総量1109.26g、64.9重量%のHH)。
【0306】
3.混合がレベル1で開始され、水−媒晶剤混合物が半水和物に加えられる。反応はシステムpHで進む。
【0307】
4.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0308】
5.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0309】
6.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0310】
7.適切な漂白処理及び篩い分け
【0311】
得られた2水石膏が、図27に示される。
【0312】
平均粒度は、1.06μm
形状比は、約11.4
アスペクト比は、約2.43
粒度分布の幅は、1.07

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水を、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水が互いに反応し、結晶石膏生成物を形成するように接触させる、石膏生成物の製造方法であって、形成された反応混合物が、34以上84重量%以下の乾物含量を有することを特徴とする石膏生成物の製造方法。
【請求項2】
前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物が、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水から形成される反応混合物が50以上84重量%以下、好ましくは57以上80重量%以下の乾物含量を有する量で使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水が次のうちの1つと接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
− 硫酸カルシウム半水和物
− 硫酸カルシウム無水物
− 硫酸カルシウム半水和物及び硫酸カルシウム無水物の混合物
− 硫酸カルシウム半水和物及び硫酸カルシウム2水和物の混合物
− 硫酸カルシウム無水物及び硫酸カルシウム2水和物の混合物、又は、
− 硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム無水物及び硫酸カルシウム2水和物
【請求項4】
前記硫酸カルシウム半水和物がβ−硫酸カルシウム半水和物であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、前記水及び結晶作用媒晶剤を、前記水及び前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物が前記結晶作用媒晶剤の存在下で互いに反応し、石膏を形成するように、互いに接触させることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記結晶作用媒晶剤が前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物より前に前記水に加えられることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記結晶作用媒晶剤は、1つ又は複数の、カルボキシル基又はスルホン酸基を分子内に有する化合物、又はそれらの塩であることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記結晶作用媒晶剤は、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(ISA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、N−ビス−(2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)−エチル)−アスパラギン酸(AES)、ジ−、テトラ−及びヘキサ−アミノスチルベンスルホン酸及びアミノトリエトキシコハク酸ナトリウム(Na−TCA)、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのそれらの塩からなる群より選ばれることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記結晶作用媒晶剤は、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物の重量に基づいて、0.01〜5.0%の量で使用されることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
使用された水は0〜100℃の温度であることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
使用された水は水蒸気であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物は、前記水又は水と結晶作用媒晶剤との混合物に加えられることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記水が、一度に又は連続して、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物と接触することを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、前記水及び前記結晶作用媒晶剤は、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び前記水が反応して石膏になるまで混合され、好ましくは激しく混合されることを特徴とする請求項5〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記混合は、形成された石膏が結晶化され、その後に前記石膏が回収されるまで続けられることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記結晶化された又は回収された石膏は分散剤で分散されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分散剤は、前記石膏の重量に対して、0.01〜5.0%の量で、好ましくは0.05〜3.0%の量で使用されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記形成された石膏、前記回収された石膏、又は前記分散された石膏は、殺生物剤などの添加剤で処理されることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記形成された石膏、前記回収された石膏、前記分散された石膏及び添加剤で任意に処理された石膏は、所望の大きさを有する石膏粒子を得るためにふるいにかけられることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記形成された石膏、前記回収された石膏、前記分散された石膏及び添加剤で任意に処理され、又はふるいにかけられた石膏は、漂白されることを特徴とする請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
請求項2〜20に記載のいずれかの方法によって形成される石膏生成物であって、0.1以上2.0μm未満の大きさを有する実質的に無傷の結晶からなることを特徴とする石膏生成物。
【請求項22】
前記結晶の形状比が少なくとも2.0であり、好ましくは2.0以上50以下であり、最も好ましくは5.0以上40以下であることを特徴とする請求項21に記載の石膏生成物。
【請求項23】
前記結晶のアスペクト比が1.0以上10以下であり、好ましくは1.0以上5.0未満であることを特徴とする請求項21又は22に記載の石膏生成物。
【請求項24】
粒度分布の幅が2.0未満であり、好ましくは1.25未満であり、最も好ましくは1.10未満であることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の石膏生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2010−517906(P2010−517906A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547719(P2009−547719)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/FI2008/000022
【国際公開番号】WO2008/092991
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(504186286)ケミラ オイ (18)
【Fターム(参考)】