説明

砂型造形機

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シェル砂をブローノズルから圧縮空気で型内に吹き込む砂型造形機に関する。
【0002】
【従来技術】これに関する従来技術が実開昭60−136839号公報に記載されている。この砂中子造形機は、圧縮空気でシェル砂を型内のキャビティに吹き込むためのブローヘッドを備えている。このブローヘッドの先端には金網が設けられており、この金網を介してブローヘッドは前記キャビティと連通している。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、金網の目によって形成される通路は金網の厚み分しか直管距離がないために、吹き出されたシェル砂の拡散をさほど抑制することはできない。さらに、吹き出されたシェル砂の飛ぶ方向も安定せず、また飛翔距離も短い。このために複雑な形状のキャビティでは型の奥にまでシェル砂が到達せずに、砂づまり不良が発生することがある。これを防止するためには空気圧力を高めなければならず、この結果として型磨耗による型寿命の低下やエネルギー費のアップといった問題が生じてくる。本発明の技術的課題は、空気圧力を高めることなくブローノズルから吹き出されるシェル砂の飛翔距離を長くすることにより、キャビティ内の砂づまり性能を向上させて、良好な品質の砂中子を造形しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した課題は、以下の構造を有する本発明に係る砂型造形機によって解決される。即ち、請求項1に記載の砂型造形機は、シェル砂を型内に充填して砂型を造形する砂型造形機において、前記型の砂吹き込み口に対応して設けられており、前記シェル砂を圧縮空気と共にその砂吹き込み口から型内に吹き込むブローノズルと、前記ブローノズルの流路を遮るようにその流路の途中に形成されており、シェル砂を通す互いに平行な複数本の通路を備える流路分割部とを有し、その流路分割部の通路径に対する通路長の比率はブローノズルの内径に対するノズル長の比率よりも大きい。請求項2に記載された砂型造形機は、請求項1に記載された砂型造形機において、前記流路分割部は、前記ブローノズルの先端から離れた位置に形成されている。
【0005】
【作用】請求項1に記載の発明によると、ブローノズルの内部が流路分割部によって複数本の通路に分割されており、その流路分割部の通路径に対する通路長の比率はブローノズルの内径に対するノズル長の比率よりも大きい。即ち、前記ブローノズルは流路分割部を備えていないブローノズル(以下、単一ノズル)に比べて流路径に対する流路長の比率が大きくなる。このため、ブローノズルから吹き出されるシェル砂の指向性が強くなり拡散が抑制されて飛翔距離が長くなる。したがって、圧縮空気の圧力を高めないでも型内の奥までシェル砂を到達させることができ、型内の砂づまり性能が向上する。請求項2に記載の発明によると、流路分割部はブローノズルの先端から離れた位置にあるため、型によってブローノズルの先端部分が熱せられても流路分割部は熱の影響を受け難い。
【0006】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例の説明を行う。図1には、本発明の第1実施例に係る砂中子造形機1の要部断面図が示されている。本実施例の砂中子造形機1は横方向吹き込みタイプのものであり、砂中子を成形するための中子金型2とその中子金型2内にシェル砂8を吹き込むためのブローヘッド6とを備えている。中子金型2は上型2aと下型2bとから構成され、この上型2aと下型2bとが係合された状態で内部にキャビティ5が画成される。ブローヘッド6はシェル砂8を溜めるタンク6aを備えている。このタンク6aの側面には内部に圧縮空気を吹き込むための圧縮空気口6bが設けられており、この圧縮空気口6bと反対側の側面に空気と混合したシェル砂8を吹き出すためのブローノズル10が設けられている。このブローノズル10は前記キャビティ5の入口5aに接続される。なお、ブローノズル10の先端にはシール用パッキン11が取り付けられており、このシール用パッキン11が前記中子金型2のキャビティ5の入口5a周囲に当接することにより、ブローノズル10とキャビティ5との間はシールされる。
【0007】即ち、前記キャビティ5の入口5aが本発明における型の砂吹き込み口に相当する。図2(A)はブローノズル10の詳細断面図、図2(B)は図2(A)のB−B矢視図である。ブローノズル10は略円筒形をしており、その内側10aに円柱形の流路分割用部品12(以下、部品12という)が圧入されている。この部品12には軸方向に複数本の通路12が形成されている。なお、図2(B)は通路12aが7本形成された部品12の例を示しているがこれに限定されるわけではなく、通常は15本形成されたものが好適に使用される。また、通路12aの直径は2.5mm、直管距離は30mm程度に設定される。即ち、前記部品12が本発明の流路分割部に相当する。
【0008】圧縮空気口6bからタンク6a内に圧縮空気が吹き込まれると、シェル砂8はこの圧縮空気に圧送されてブローノズル10から吹き出される。このシェル砂8と空気は中子金型2のキャビティ5の内部に導かれるが、空気は上型2aと下型2bとの隙間2cを通過して外部に放散されるために、キャビティ5の内部にはシェル砂8のみが残って蓄積する。そして、キャビティ5の内部にシェル砂8が詰まった状態で中子金型2には熱(200〜300℃)が加えられ中子が形 成される。
【0009】ここでブローノズル10は、上記したように、内部が複数本の通路12aに分割されている。この分割された個々の通路12aを考えると、通路径に対する直管距離が単一ノズル(内部に部品12が圧入されていない従来のノズル)の場合と比較して大きくなっている。この結果、従来と同一の空気圧力で使用された場合にもシェル砂8の飛翔距離が長くなることが確認されている。したがって、このブローノズル10を使用することによって、空気圧力を高めることなくキャビティ5の奥にまでシェル砂8を到達させることができるようになり、キャビティ5内の砂づまり性能が向上する。このため、複雑な形状の型においても空気圧力を高めることなく良好な品質の砂中子を製造することができる。
【0010】図3は本発明の第2実施例に係る砂中子造形機を示している。本実施例の砂中子造形機は、第1実施例に係る砂中子造形機1を上方吹き込みタイプに改造したもので、ブローノズル10の構造は第1実施例に示す砂中子造形機1と同様である。なお、シェル砂8の自然落下を防止するためにブローノズル10の入口近傍に砂落ち防止板30が設けられている。この第2実施例に係る砂中子造形機においても、第1実施例の場合と同様に、シェル砂の飛翔距離が長くなるために、キャビティ5の奥にまでシェル砂8が到達して砂づまり性能が向上する。
【0011】
【発明の効果】本発明によると、空気圧力を高めることなく型内の砂づまり性能が向上するために、複雑な形状の型においても良好な品質の砂中子を製造することができる。また、空気圧力を高める必要がないために、型磨耗による型寿命の低下やエネルギー費のアップといった問題が生じない。
【0012】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る砂中子造形機の要部断面図である。
【図2】ブローノズルの詳細断面図及び側面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る砂中子造形機の要部断面図である。
【符号の説明】
1 砂中子造形機
2 中子金型
6 ブローヘッド
10 ブローノズル
12 円柱状の部品
12a 通路
20 中子金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シェル砂を型内に充填して砂型を造形する砂型造形機において、前記型の砂吹き込み口に対応して設けられており、前記シェル砂を圧縮空気と共にその砂吹き込み口から型内に吹き込むブローノズルと、前記ブローノズルの流路を遮るようにその流路の途中に形成されており、シェル砂を通す互いに平行な複数本の通路を備える流路分割部とを有し、その流路分割部の通路径に対する通路長の比率はブローノズルの内径に対するノズル長の比率よりも大きい砂型造形機。
【請求項2】請求項1に記載された砂型造形機において、前記流路分割部は、前記ブローノズルの先端から離れた位置に形成されている砂型造形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】第2864784号
【登録日】平成10年(1998)12月18日
【発行日】平成11年(1999)3月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−103821
【出願日】平成3年(1991)4月8日
【公開番号】特開平4−309433
【公開日】平成4年(1992)11月2日
【審査請求日】平成8年(1996)5月15日
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【参考文献】
【文献】実開 平2−118641(JP,U)
【文献】特公 昭50−17294(JP,B2)
【文献】特公 昭55−39426(JP,B2)