砂糖および他の食品を製造するためのプロセス
所望のレベルの特定の植物化学物質を有する砂糖製品を製造するプロセスであって、一次砂糖製品を調製するステップと、近赤外分光法、導電率、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分析法を用いて、前記一次砂糖製品をその植物化学物質プロファイルについて分析するステップと、前記プロファイルを比較するステップと、前記一次砂糖製品を必要ならば処理して、所望のレベルの特定の植物化学物質を有する最終砂糖製品を得るステップと、を含むプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低血糖インデックス砂糖製品および所望の植物化学物質レベルを有する他の食品をはじめとする食品を製造するためのプロセスに関する。特に、砂糖製品が、所望の植物化学物質種、例えば、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、タンパク質および他の植物化学物質の所望のプロファイルを有するかどうかを解明するために、近赤外分光法または導電率を用いる、砂糖製品を製造するためのプロセス。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、文書、行為もしくは知識項目について言及もしくは議論する場合、このような言及もしくは議論は、文書、行為もしくは知識項目またはこれらの任意の組み合わせが、優先日に、公に入手可能であるか、公知であるか、一般常識の一部であるか、または本明細書が関連する問題を解決するための試みに関連することが知られていることを承認するものではない。
【0003】
本発明を、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、蔗糖抽出物のタンパク質または蔗糖加工に関連する加工流れのプロファイルに関連して記載するが、本発明は、これらに限定されず、テンサイ糖抽出物およびテンサイ糖加工流れも包含する。
【0004】
近赤外分光法(NIR)
分光法は、電磁放射線の特定波長に対する化合物の影響に基づいて化合物を同定する技術である。近赤外分光法(NIR)は、電磁スペクトルの近赤外部分、すなわち400nmから2,500nmに波長を有する放射線の吸収の分析に基づく。
【0005】
導電率(EC)
導電率(EC)は、溶液中の、すべての溶解した塩(TDS)の量、または溶解したイオンの全量を推定する。ECを、1センチメートルあたりのマイクロジーメンス(μS/cm)で測定し、2つの金属電極からなるセンサーを用いて記録する。
【0006】
蔗糖精製
機械で収穫した後、サトウキビをミルに輸送し、鋸歯状ローラー間で圧壊する。圧壊されたサトウキビを次に圧搾して、粗糖汁を抽出し、一方、バガス(残留繊維状物質)は燃料に用いられる。粗汁を次いでその沸点まで加熱して、不純物を抽出し、次いで石灰および漂白剤を添加し、搾り粕を除去する。粗汁をさらに真空下で加熱し、濃縮し、ブリックス値を増大させる。濃縮シロップを播種して、バルク砂糖結晶および糖液として公知の濃厚シロップを得る。この2つを遠心分離機によって分離し、糖液廃棄物流れを集めて、低級動物飼料として使用する。このプロセスのフローチャートを以下に掲載する。
【0007】
【表1】
【0008】
砂糖精製プロセスによって、粗汁、バガス、搾り粕、透明化汁等をはじめとする多数の生成物が生成する。
【0009】
前記プロセスから得られるバルク砂糖結晶をさらに精製して、多くの商業的に入手可能な砂糖製品を得る。例えば、さらなる精製は、バルク砂糖結晶を熱い濃縮シロップと混合して、結晶上の外側コーティングを軟化させることを含み得る。結晶を次に遠心分離機によって回収し、続いて熱水中に溶解させる。この砂糖液を次いで、炭酸化またはホスホテーション、濾過、脱色によってさらに精製し、次いで精糖結晶を播種する。結晶が必要なサイズまで成長したら、結晶を遠心分離機によってシロップから分離(遠心分離)し、次いで乾燥し、等級分けし、包装する。砂糖結晶を砂糖液から回収するのを数回繰り返してもよい。砂糖結晶をすべて回収した後に残る暗色砂糖シロップも糖液と呼ばれる。
【0010】
砂糖組成
蔗糖製品の組成および廃棄物流れは複雑で、非常に変化しやすい。つまり、化学組成は、主に、サトウキビの地理的な供給源、サトウキビの種類および加工法によって決定される。
【0011】
糖液および砂糖精製プロセスの他の生成物、例えば、砂糖の搾り粕、田畑の廃棄物/繊維状のサトウキビ先端部、サトウキビの皮およびバガス/パルプは、物質の複雑な混合物である。糖液および他の濃厚シロップおよび汁は、典型的には、脂質、リン脂質、タンパク質、フラボノイド、フラボン、ポリフェノール、植物ステロール、オリゴ糖、多糖類、ペプチドおよびタンパク質、ミネラル、有機酸、ならびに単糖類および二糖類を含む。
【0012】
有益な砂糖成分
米国特許出願第2003198694号は、人間の健康に有益である抗酸化化合物がサトウキビおよびサトウダイコン中に存在することを教唆している。これらの抗酸化物質としては、ポリフェノールおよびフラボノイドが挙げられ、機能性食品の製造において使用できる。
【0013】
これらの抽出物を、血糖インデックス(GI)の低下を目的とする処方法において使用することができる。GIは、体内の血糖値をどれだけ早く上昇させるかによって、炭水化物含有食品を分類するためのシステムである。高いGI値を有する食品ほど、早く血糖を上昇させ、低いGIを有する食品ほど、血糖コントロールの効能が低い。例えば、国際特許出願番号WO2005/117608は、抗酸化物質含有量を増大させることによって、食品のGIを低下させる方法を開示している。これは、典型的には、サトウキビ製造廃棄物流れおよび製造過程の生成物または他の炭水化物の抽出物を現在入手可能な、高度に精製されたスクロース生成物に添加することによって達成される。
【0014】
ポリフェノール(またはフェノール成分)は、サトウキビ中に存在する化合物の1種であり、フェノール環構造および2以上のフェノール性ヒドロキシ基を有することを特徴とする。アントシアニンおよびカテキン等、多くの下位区分に少なくとも8000の同定されたポリフェノールがある。天然のポリフェノールは、フェノール酸等の単純な分子からタンニン等の大きな高度に重合した化合物まで様々である。ポリフェノールの共役形態が最も一般的であり、フェノール環構造と結合した様々な砂糖分子、有機酸および脂質(脂肪)を含む。この共役化学構造における違いが、様々なフェノールの異なる化学分類ならびに作用様式および健康上の特性における差異の理由となる。サトウキビ中に存在するポリフェノールは、多くの健康上の利点を有すると考えられている。
【0015】
かつては、サトウキビまたはサトウダイコンまたは砂糖加工流れの抽出物中の所望の種(例えば、ポリフェノール)のプロファイルの同定は、比較的困難で、様々な湿式化学技術および分光技術を必要としていた。これは主に、砂糖中に存在する多くの植物化学物質と、その広範囲にわたる構造によるものであり、重要な定量的および定性的分析を非常に困難なものにする。
【0016】
図1から3は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、様々な種類のサトウキビの植物化学物質含有量におけるばらつきを示す。一貫したレベルの植物化学物質を含む砂糖製品の製造を困難にするのは、このような自然の変動である。
【0017】
したがって、特に植物化学物質のレベルが特定の機能性に関連する場合、砂糖製品中のこれらの植物化学物質のレベルをより日常的に測定できる方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願第2003198694号明細書
【特許文献2】国際特許出願番号WO2005/117608明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
NIRを使用して、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、タンパク質および砂糖、砂糖抽出物、砂糖加工流れもしくは廃棄物流れ(汁、バガス、糖液、搾り粕、ダンダー、皮等を包含する)における所望の組成特性を同定するために使用できる他の植物化学物質等の種の迅速な定量的および定性的検出を提供するために使用可能であることが判明している。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、所望のレベルの特定の植物化学物質を有する砂糖製品を製造するためのプロセスであって、
(a)一次砂糖製品を調製するステップと、
(b)ステップ(a)からの一次砂糖製品を、その植物化学物質プロファイルについて近赤外分光法を用いて分析するステップと、
(c)ステップ(b)からのプロファイルを参考植物化学物質プロファイルと比較するステップと、
(di)必要ならば、一次砂糖製品を処理して、所望のレベルの特異的植物化学物質を有する最終砂糖製品を得るステップと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを、必要ならば変更して、所望のレベルの特異的植物化学物質を有する一次砂糖製品を製造するステップと、
を含むプロセスを提供する。
【0021】
好ましくは、この方法によって、あるレベルのポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、可溶性繊維、不溶性繊維、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、タンパク質またはこれらの種のそれぞれの種類および量の両方に関して望ましい他の植物化学物質を豊富に有する砂糖の迅速な同定が可能になる。
【0022】
本明細書において用いられる場合、「砂糖製品」という用語は、砂糖、サトウキビからの抽出物、砂糖加工または廃棄物流れからの抽出物、およびこれらの混合物を包含する。
【0023】
本発明のプロセスは、低GI糖の製造に特に有用である。一実施形態において、一次砂糖製品は、標準的結晶性粗糖または耕地白糖製品(サトウキビまたはサトウダイコン由来)である。この一次砂糖製品を次に、NIRを用いて分析して、所望の植物化学物質種のそれぞれのレベルが、砂糖が低GIであるために十分であるかどうかを解明する。十分なレベルの所望の植物化学物質がない場合、一次砂糖製品を糖液抽出物(例えば、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382で教唆されているような抽出物)でスプレーコーティングすることによって処理して、所望の植物化学物質種のレベルを増加させ、GIプロファイルを低下させて、低GI糖を形成する。一次砂糖製品が所望のプロファイルを有するならば、ステップ(d)における処理は必要ない。
【0024】
この方法は、様々な植物化学物質レベルプロファイルを有する砂糖製品の製造においても有用であり、特定の機能性を有する食品を提供する。例えば、高い抗酸化レベルを有する砂糖製品は、酸化的損傷に関連する状態を対象とする食品に有用である。高い繊維レベルを有する砂糖製品は、別の選択肢である。このような繊維としては、可溶性および不溶性繊維、例えばこれらに限定されないが、セルロース、ヘミセルロースおよびフラクトオリゴ糖を挙げることができる。国際特許出願番号PCT/AU2007/001382は、所望の植物化学物質プロファイルを達成するためにステップ(d)において使用される、好適な抽出物を調製するために使用できる方法を開示している。
【0025】
ステップ(a)における一次砂糖製品の調製は、当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。典型的には、一次砂糖製品を、標準的砂糖粉砕および精製法を用いて製造する。好ましくは、一次砂糖製品の製造は、ベース砂糖製品が所望の植物化学物質プロファイルを有する可能性を最大化するように設計される。1つの好適な実施形態において、一次砂糖製品の製造は、洗糖蜜または糖液抽出物を添加して、所望の植物化学物質種レベルを増大させることを包含する。しかし、砂糖を製造する原料は、作物によってその組成が変わることが多く、したがって、依然として各バッチを分析する必要がある。
【0026】
NIR分析は、オンラインまたはオフラインでできる。典型的には、本発明の第1の態様の方法をオンライン砂糖加工流れに関して使用する場合、スキャニングヘッドを加工物質の連続流れに隣接して取り付ける。オフライン測定に関して、典型的には、サンプルを砂糖加工流れから手作業で集め、次いでNIR測定を実験室または類似の施設で行う。
【0027】
好ましくは、NIR分析はオンラインでできる。典型的には、ステップ(b)でのNIR分析は、
(i)遠隔光源ならびに反射光収集および透過装置を含むスキャニングヘッドを、抽出物(オフライン)または加工流れ(インライン)に隣接して取り付けることと、
(ii)反射光を別個の波長の光に分割するために近赤外分光光度計のモノクロメータを使用することと、
(iii)別個の波長による吸収プロファイルを対象となる種のそれぞれの定量化された存在と結びつける参考較正式を含むデータベースにアクセスすることと、
(iv)抽出物または加工流れについて得られたスペクトルに対して較正式を適用することによって対象となる種のそれぞれのプロファイルを作成するためにコンピュータを使用することと、
(v)データベースに保存された所望のプロファイルパラメータを用いて作成したプロファイルを比較して、1以上の種の所望のプロファイルを同定することと、
を含む。
【0028】
ステップ(di)での一次砂糖製品の処理は、任意の公知方法によって行うことができる。典型的には、ステップ(b)および(c)は、一次砂糖製品上に物質をスプレーして、所望の種の含有量を増大させるようにスプレー装置に指示するためにプログラムされたコンピュータの使用を含む。典型的には、ステップ(di)での処理は、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、可溶性繊維、不溶性繊維、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤またはタンパク質等の様々な個別の化合物または混合化合物に富んだサトウキビ抽出物を一次砂糖製品上にスプレーすることを含む。この処理における使用に好適なサトウキビ抽出物は、他の場所で、例えば、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382で記載されている。
【0029】
ステップ(dii)で手動または自動フィードバックループを用いる一次砂糖製品調製の代替法は、当業者に公知の操作法を含む。このような方法は、パラメータの処理、化学種の添加または1以上の物理的方法、例えば溶媒抽出、サイズ排除加工またはイオン交換クロマトグラフィーをプロセス中に導入することを含む。好ましくは、一次砂糖製造プロセスは、植物化学物質抽出物をプロセスの都合よい段階、例えば遠心分離またはスクリュー・コンベヤの時点で添加することを含む。好適な実施形態において、砂糖加工流れ由来のシロップまたは粉末を次に砂糖加工に適用することができる。典型的には、最終粗糖(ポリフェノール・シロップ・スプレーであらかじめ処理)が乾燥機から出る際の最終粗糖に対するNIR分析からの結果を、プロセス制御ツールとして使用して、特定の植物化学物質の所望のレベルを達成するために、真遠心分離またはスクリュー・コンベヤ段階で添加されるシロップの量(パーセンテージ)を調節する。
【0030】
植物化学物質の所望のプロファイルは、他の因子の中でも、目的の用途、所望の抗酸化能、送達様式(すなわち、どのようにして、そしてどの食品または飲料または調合薬中に、誘導体が最終的に組み入れられるか)、意図される治療的使用、ならびに当業者に公知の他の因子に応じて変わるであろう。
【0031】
最終砂糖製品が低GI糖製品である好適な実施形態において、測定される所望のプロファイルは、1以上の下記の種を下記の量で含む。
【0032】
【表2】
【0033】
前記表中、CEはカテキン当量を表し、GAEは没食子酸当量を表し、ICUMSAは国際砂糖分析法統一委員会を表す。
【0034】
さらに好ましくは、低GI糖製品は次のような特定のミネラルのプロファイルを有する。
【0035】
【表3】
【0036】
本発明の原理を用いて、砂糖以外の担体について、サトウキビ以外の供給源由来の植物化学物質を使用して、植物化学物質レベルの迅速な定量的および定性的検出をすることができる。
【0037】
本発明の第2の態様によれば、食品を製造するためのプロセスであって
(a)ベース植物化学物質担体を調製することと、
(b)近赤外分光法を用いてベース植物化学物質担体を分析することと、
(c)ステップ(b)からのプロファイルを、参考プロファイルと比較することと、
(di)ベース植物化学物質担体を、所望によって処理して、所望のレベルの植物化学物質を有する食品を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを、所望により変更し、所望のレベルの植物化学物質を有するベース植物化学物質担体を製造することと、
を含むプロセスを提供する。
【0038】
ベース植物化学物質担体を、繊維(不溶性源、例えばバガスおよび可溶性源)、小麦粉、穀類、酪農食品および他の食品から選択することができる。調製ステップ(a)および/または処理ステップ(di)は、典型的には、これらに限定されないが、スプレーコーティングおよび凝集をはじめとする様々な適用プロセスを用いて担体に植物化学物質を添加して、最終食品において所望の機能性を提供することを含む。
【0039】
最終食品用途に応じて、乳化剤または可溶化化合物をベース植物化学物質担体中に組み入れて、食品マトリックス中への植物化学物質の溶解、消費後の消化管中への送達、および砂糖/繊維複合体の分散を助けるか、または添加された化合物のバイオアベイラビリティを改善することができる。
【0040】
典型的な供給源としては、これらに限定されないが、カカオ豆およびカカオ加工副生成物、茶および茶加工廃棄物流れ、カカオポッド外皮および殻、コーヒー豆、コーヒー廃棄物、ブドウポミス、穀類(例えば、オオムギ、ソバ、トウモロコシ、キビ、オートムギ、コメ、ライムギ、モロコシ、コムギ)、豆類(例えば、ビーンおよびパルス)、ナッツ(例えば、アーモンド、ビンロウジ、カシューナッツ、ハシバミ、ピーナッツ、ペカン、クルミ)、アブラナ(例えば、ナタネ、キャノーラ、大豆、ルリヂサ、綿実、マツヨイグサ、アマニ、ゴマ種子、ヒマワリ、オリーブ油、ヤシ油、ヌカ油)、果実(例えば、ベリー、石果、なし状果、トロピカルフルーツ)、野菜(例えば、ニンジン、タマネギ、パースニップ、ジャガイモ、ビートの根、サツマイモ、アスパラガス、セロリ、エンダイブ、レタス、ホウレンソウ、アボカド、トマト、コショウ)、飲料(例えば、茶、コーヒー、ココア、ビール、ワイン、リンゴ酒)およびハーブ製品(例えば、エキナセア、朝鮮人参、イチョウ、セイヨウオトギリソウ、カノコソウ、カワカワ、ソーパルメット、ブラックコホッシュ、デビルズクロー、ゴールデンシール、サンザシ、ショウガ、カンゾウ、オオアザミ)が挙げられる。
【0041】
本発明の第3の態様によれば、サトウキビ抽出物を調製するためのプロセスであって、
(a)サトウキビの第1抽出物を調製することと、
(b)近赤外分光法を用いて、サトウキビの第1抽出物を分析することと、
(c)ステップ(b)から得たプロファイルを参考プロファイルと比較することと、
(di)サトウキビの第1抽出物を、必要ならばさらなる抽出プロセスで処理して、所望のレベルの植物化学物質を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを、必要ならば変更して、所望のレベルの植物化学物質を有するサトウキビ抽出物を得ることと、
を含むプロセスを提供する。
【0042】
導電率(EC)とポリフェノール含有量との間に相関関係があり、この関係を用いて、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382(ジュース、バガス、糖液、搾り粕、ダンダー、皮、洗糖蜜等を包含する)で開示されているようなサトウキビからの抽出物および砂糖加工または廃棄物流れからの抽出物中のポリフェノールレベルをオンラインまたはオフライン測定することができることも明らかになった。
【0043】
本発明の第4の態様によれば、サトウキビ抽出物を製造するためのプロセスであって、
(a)サトウキビの第1抽出物を調製することと、
(b)導電率を用いてサトウキビの第1抽出物を分析することと、
(c)ステップ(b)から得られる値を参考値と比較することと、
(di)サトウキビの第1抽出物を、必要ならばさらなる抽出プロセスで処理して、所望のレベルの植物化学物質を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを、必要ならば変更して、所望のレベルの植物化学物質を有するサトウキビの抽出物を製造することと、
を含むプロセスを提供する。
【0044】
サトウキビ抽出物およびその製造プロセスは当業者に公知である。抽出物およびその製造プロセスの例は、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382に開示されている。
【0045】
抽出物を得るために使用するプロセスの変更によって、抽出物中の植物化学物質のプロファイルが変更され、本発明の第2の態様の方法によって、所望のレベルの迅速な同定と、したがって抽出物が添加された場合に下流生成物の量および性質を制御することが可能になる。
【0046】
抽出物は、サトウキビ粉砕プロセス、砂糖を生成するためのサトウキビ精製プロセス、およびラム酒の製造の一部として糖液からのエタノールの製造等、サトウキビ生成物を使用する他のプロセスをはじめとするサトウキビ由来の生成物から誘導できる。抽出物は、原材料、製造過程の生成物、副生成物、最終生成物および廃棄物流れから誘導できる。例えば、サトウキビ由来の生成物は、粗サトウキビ汁のフィード流れ、透明化汁および濃縮汁シロップ、糖蜜、糖液(第1ミルまたは精製所から得られる)、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、バイオダンダー、田畑の廃棄物、成長点、パルプ、サトウキビの皮、髄および搾り粕である。好ましくは、抽出物は、糖液由来である。
【0047】
1つの好適な実施形態において、蔗糖抽出物中のポリフェノールは、p−クマル酸、フェルラ酸、シリンガ酸、カフェ酸、クロロゲン酸,(−)エピカテキン、アピゲニン、(+)カテキン、ケルセチン、ジオスミン、ルチンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0048】
サトウキビ抽出物は、そのGI低下特性を依然として維持しつつ、その味を改善する炭水化物を含んでもよい。典型的には、抽出物は、炭水化物、例えば単糖類、二糖類、オリゴ糖ならびに可溶性および不溶性多糖類の両方を含む。抽出物は、キシラン由来の単糖、二糖、三糖、およびオリゴ糖、例えばキシロビオース、キシロトリオースおよびキシロースを含んでもよい。抽出物は、GI増加特性を有する炭水化物、例えばスクロースおよびグルコースを含んでもよい。しかし、抽出物中のGI増加炭水化物の量は、全体として抽出物のGI減少特性から有意に差し引くのに十分でない。さらに、抽出物は、多少の炭水化物を含むことができ、国際特許出願番号PCT/AU2006/000769で開示されるような身体組成再分配等の適用の有用性を維持することができる。
【0049】
サトウキビ抽出物は、ミネラル複合体をはじめとするミネラルを含むことができる。典型的には、ミネラルは、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、ナトリウムおよびこれらの混合物から選択される。存在し得る他のミネラルとしては、アニオン、例えば硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩および塩化物が挙げられる。
【0050】
サトウキビ抽出物は、有機酸を含むことができる。典型的には、有機酸は、c−アコニット酸、クエン酸、リン酸、グルコン酸、リンゴ酸、t−アコニット酸、コハク酸、乳酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0051】
抽出物を、シロップの形態で、サトウキビまたはサトウダイコンからの白砂糖に対する添加物として使用して、適正な範囲内の植物化学物質を送達して、精糖を低GI糖に変えることができる。砂糖精製所における様々なプロセス流れ、例えば洗糖蜜、またはイオン交換もしくは活性炭カラムからの他の洗浄液も、低GI糖を製造するための精製プロセス中に砂糖中の植物化学物質レベルを調節するために使用できる。様々なサトウキビおよび製造プロセスに応じて、場合によっては、低GI糖を製造するために、追加の植物化学物質を砂糖製品に添加する必要がなくなる。
【0052】
本発明の方法の生成物の使用
本発明の方法を使用して、経済的に有用であり、多種多様な用途で使用できる新規生成物を提供することができる。
【0053】
本発明のプロセスの生成物を、混合、注入、注射、ブレンド、分散、コンチング、乳化、浸漬、スプレー、凝集および混練等の技術によって、食物、栄養補給食品または飲料に直接、さらに修飾することなく組み入れることができる。別法として、使用者が摂取する前に、生成物を食物もしくは食品マトリックス上に、または飲料中に直接適用することができる。
【0054】
本明細書において使用する場合、「食物」、「食材」または「食品」という用語は、任意の可食製品、例えばこれらに限定されないが、菓子、サプリメント、スナック(甘味および風味)ココアおよびコーヒーを含有する食物、フレーバー、飲料(インスタント飲料、プレミックスを包含する)、栄養補助食品、ならびに動物の健康および栄養摂取に使用されるサプリメントを包含する配合物、酪農製品、例えば、乳、ヨーグルト、アイスクリーム、焼いた製品、および食物調味料を包含する。
【0055】
本発明の生成物を、制限なく以下のものを含む食物、飲料および栄養補給食品中に組み入れることができる。
・酪農製品−例えばチーズ、バター、乳および他の乳飲料、スプレッドおよび乳製品ミックス、アイスクリームおよびヨーグルト、
・脂肪性製品−例えばマーガリン、スプレッド、マヨネーズ、ショートニング、調理用油および揚げ油ならびにドレッシング、
・穀類系製品−これらの品物が調理されているか、焼かれているか、または他の処理をされているかに関わらず、穀物を含む(例えば、パンおよびパスタ)、
・菓子類−例えばチョコレート、キャンディ、チューインガム、デザート、非乳製品トッピング、ソルベ、アイシングおよび他のフィリング、
・腸および非経口製品、
・粉末、プレミックス、ジュース、エネルギーバー、アイソトニックドリンクおよびゼラチン、デンプン系またはペクチンゼリーを含むスポーツ栄養製品、
・ホットまたはコールド(コーヒー、茶、ココア、穀類、チコリおよび他の植物抽出物系飲料)、アルコールまたはノンアルコールに関わらず、コーラおよび他のソフトドリンク、ジュース、栄養補助食品、インスタントプレミックスおよびミール・リプレイスメント・ドリンクを含む飲料、ならびに
・卵および卵製品、加工食品、例えばスープ、出来あいのパスタを含む様々な製品。
【0056】
低GI製品
特に好適な用途において、本発明のプロセスを用いて、GI低減を目標とする方策において使用される製品を製造することができる。本発明のプロセスを用いて、低GI生成物、例えば、特定の植物化学物質含有量のさらなる利点があることを除いては国際特許出願番号WO05/117608で開示されているようなものを調製することができる。
【0057】
低GI製品に関して、低いグルコースレベルを有することが好適である。サトウキビ生成物抽出物のグルコース含有量を、グルコースを消化するグルコースオキシダーゼ(GO)等の酵素を用いて減少させることができる。グルコースオキシダーゼとカタラーゼとの組み合わせを典型的に使用して、生成した過酸化水素の除去を保証すること、および生成した酸素をその後GOにより使用して、グルコースレベルをさらに低下させることを保証することは、当業者に公知である。本発明の方法は、グルコースおよび他の生成物を減少させるための任意の他の方法を組み入れ、次いで製造プロセスに再度組み込んで、砂糖製品のGIを低下させることができる。これには、発酵、あるいは他の限外濾過およびイオン交換プロセスの前、最中、もしくは後の化学および/または熱反応によるグルコース消化の促進が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本発明の方法は、国際特許出願番号PCT/AU2006/00076で開示されている方法において使用される生成物および生成物を調製するためにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図A】本発明の一実施形態のプロセスを実施するために使用できるNIRシステムを示す。
【図1】サトウキビの第1変形態様のHPLCにより測定される植物化学物質組成を示す。
【図2】サトウキビの第2変形態様のHPLCにより測定される植物化学物質組成を示す。
【図3】サトウキビの第3変形態様のHPLCにより測定される植物化学物質組成を示す。
【図4】実施例2に記載するような様々な砂糖についての比較導電率対ポリフェノール(カテキン当量)結果を示す。
【図5】実施例2に記載するような様々な砂糖についての比較色対ポリフェノール(カテキン当量)結果を示す。
【図6】実施例2についてのカテキン対導電率結果の統計的相関関係を示す。
【図7】実施例2のカテキン当量対色結果の統計的相関関係を示す。
【図8】実施例3から得られるPol(スクロース)%砂糖NIR較正プロットを示す。
【図9】実施例3から得られる水分(%)砂糖NIR較正プロットを示す。
【図10】実施例3から得られる灰分(%)砂糖NIR較正プロットを示す。
【図11】実施例3から得られる砂糖色NIR較正プロットを示す。
【図12】実施例3から得られる還元糖(Lane and Eynon)NIR較正プロットを示す。
【図13】実施例3から得られる導電率灰分NIR較正プロットを示す。
【図14】実施例3から得られる微粒子(600ミクロン未満の質量%)NIR較正プロットを示す。
【図15】実施例3から得られる全フェノール成分NIR較正プロットを示す。
【図16】実施例3から得られるトランス−アコニット酸NIR較正プロットを示す。
【図17】実施例3から得られる抗酸化能NIR較正プロットを示す。
【図18】実施例3から得られる砂糖導電率NIR較正プロットを示す。
【図19】実施例3から得られるグルコース%砂糖NIR較正プロットを示す。
【図20】実施例3から得られるフルクトース%砂糖NIR較正プロットを示す。
【図21】実施例3から得られる砂糖中のカルシウムNIR較正プロットを示す。
【図22】実施例3から得られる砂糖中のマグネシウムNIR較正プロットを示す。
【図23】実施例3から得られる砂糖中のナトリウムNIR較正プロットを示す。
【図24】実施例3から得られる砂糖中のカリウムNIR較正プロットを示す。
【図25】実施例3から得られる砂糖中の鉄NIR較正プロットを示す。
【図26】実施例3から得られる砂糖中アルミニウムNIR較正プロットを示す。
【図27】実施例3から得られる砂糖中のマンガンNIR較正プロットを示す。
【図28】実施例3から得られる砂糖中の亜鉛NIR較正プロットを示す。
【図29】実施例3から得られる砂糖中の塩化物NIR較正プロットを示す。
【図30】実施例3から得られる砂糖中硫酸塩NIR較正プロットを示す。
【図31】実施例3から得られる砂糖中リン酸塩NIR較正プロットを示す。
【図32】実施例3から得られる砂糖濾過性NIR較正プロットを示す。
【図33】実施例3から得られるNIR較正統計データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
近赤外分光法
近赤外分光法は、生成物の特質を決定する迅速な手段を提供する。オーストラリアの砂糖産業研究団体であるBSES Limited(BSES)は、以前にNIR技術を使用して、支払いおよびプロセス制御目的で、調製または細断されたサトウキビの直接的リアルタイム分析が可能なCane Analysis System(CAS)を開発した。オーストラリアにおいて最初にNIRシステムを実施して以来、BSESは、様々なミルおよび生育領域にわたり、そしてさらなる基質、例えば砂糖およびバガスについて(Staunton S.P. & Wardrop K.,Development of an online bagasse analysis system using NIR spectroscopy. International Sugar Journal,2007,109:482−488)、これらの較正式の適用に必要な膨大なデータベースを作成してきた(Staunton S.P.,Lethbridge P.J.,Grimley S.C.,Streamer R.W.,Rogers J.,Macintosh D.L.,Online cane analysis by near infra−red spectroscopy.Proc.Aust.Soc.Sugar Cane Technol.1999;21:20−27)。
【0061】
しかし、サトウキビまたは砂糖のNIRスペクトルとポリフェノール含有量との間の相関関係が事前に存在していた証拠はない。本発明は、高抗酸化/低GIまたは機能的砂糖のオンライン/オフライン製造のためのNIRシステムを包含する。
【0062】
本発明に使用される砂糖分析システム(SAS)は、以下のハードウェアおよびソフトウェアを含む。
【0063】
【表4】
【0064】
図Aは、非定型システムの概略図である。NIRモノクロメータクラスの分光光度計の直接光反射システムのスキャニングヘッドは、分析されるプロセス流れと平行して、または流れの上方に位置する。反射光は、光ファイバーを経由して、分光光度計へと通過し、分光光度計で光は、典型的には2nmごとに400から2500nmの範囲にわたる波長に分解される。波長によるプロセス流れによる吸収のスペクトルは、サンプルの各スキャンについて得られる。較正式のデータベースを、対象となる各パラメータ、例えばプロセス流れ中の繊維含有量について保存する。この情報を、CPUによるアクセスについて利用可能な状態に保持する。データベースは、較正式の誘導において使用されるスペクトルのプロファイルも保存する。平均スペクトルを各サンプルスキャンについて得る。対象となる較正についてのスペクトルの関連する部分を抽出し、計算して、スキャン用に測定されたパラメータを送達する。プロセス流れの関連する部分のすべての許容されるスキャンからの結果を、予想のために平均する。得られたスペクトルは、較正が利用可能であるできるだけ多くのパラメータについて使用できる。CPUは、較正式を誘導するために使用されるスペクトルの組と一致しないスペクトルを拒絶できる。
【0065】
本発明の実施に有用な構成要素較正式としては、以下のものが挙げられる。
・Pol(スクロース) ・ポリフェノール
・水分 ・ミネラル
・砂糖色(ICUMSA) ・有機酸
・還元糖 ・抗酸化物質
・灰分(亜硫酸化) ・グルコース
・導電率灰分 ・フルクトース
・微粒子
【0066】
導電率
導電率(EC)は、全溶解塩(TDS)の量、または溶液中に溶解したイオンの合計量を推定する。ECを1センチメートルあたりのマイクロジーメンス(μS/cm)で測定し、ちょうど1.0cm離れ、溶液中に突き出した2つの金属電極からなるセンサーを用いて記録する。一定電圧(V)を電極全体にわたってかける。電流(I)は、この電圧のために溶液中を流れ、存在する溶解イオンの濃度に比例する。イオンが多いほど、溶液の導電率は高くなり、この結果、測定される電流が高くなる。蒸留水または脱イオン水は溶解イオンが非常に少なく、したがってギャップに流れる電流はほとんどない(低EC)。電流の流れ(I)は温度が上昇するにつれて増大するので、EC値は自動的に25℃の標準値に補正され、この値はしたがって専門的には比導電率と呼ばれる。
【0067】
ECプローブは、一般的に、早い反応時間を有し、通常は、5秒未満で全値の98%に達する。一部の導電率プローブは、極性化および電気分解を防止し、試験される溶液が汚染されないようにするために、その電極で交流を使用する。プローブを、通常、エポキシコーティングして、導電率測定値に明らかに影響を及ぼす金属電極の腐食を防止する。
【0068】
ECは、したがって、砂糖中のポリフェノールレベルのオンラインまたはオフライン測定の簡便な方法である。しかし、ECとポリフェノールとの間の相関関係についての証拠は現在のところ存在しない。
【0069】
実施例
本発明のさまざまな実施形態(態様)について、以下の非制限的実施例を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0070】
低GI糖(50から54の間のGI)を、承認され、検査された食品安全性システムを用いて、食品等級状態に変換された一次砂糖ミル中で調製した。
【0071】
調製は、次のステップを含んでいた。
【0072】
1.砂糖白下を、目標とされる最終的な所望の範囲より低い組成、すなわち、淡色および低ポリフェノールレベルになるまで、遠心機中で洗浄した。これは、使用する水の量、時間および遠心機のGの力を調節することによって達成された。流入するサトウキビ種類の組成的多様性、すなわち全体的な抽出、精製および結晶化プロセスにおける日によっての変動が時折許容される。
【0073】
2.新規かつ独立した食品等級施設において、糖液を抽出物し、精製して、濃縮・標準化(mgポリフェノール/L)ポリフェノールシロップを得た。このシロップ(60〜70Brixの暗色から黄色に着色した液体)を、スプレーシステムを用いて遠心機中の洗浄したベース砂糖中に計り入れた。
【0074】
3.シロップ処理された洗浄砂糖を連続回転式乾燥機中で標準的操作どおりに乾燥し、水分、ポリフェノール、色およびスクロースレベルを、NIR技術を用いて、オンラインもしくはオフラインのいずれかで測定した。NIR測定装置から得られるデータのフィードバックループを、遠心機中のシロップ投与/スプレーシステムと関連づけた。これによって、ステップ2からの正確な量のシロップを、ステップ1の洗浄砂糖塊上に送達して、乾燥砂糖中の最終ポリフェノールレベルを25から40mgPP/100g砂糖の範囲にすることが可能になった。
【0075】
表5は、通常の商業的砂糖加工プロセスにしたがって調製された粗糖および白糖について等しいパラメータを有する低GI糖中の重要な種についての組成的パラメータを記載する。
【0076】
【表5】
【0077】
表中に示すように、粗糖は組成が著しく異なり、その結果、多くのものは生物活性な植物化学物質、例えばポリフェノールが欠損している。スペクトルの他端での砂糖は、許容できる感覚刺激性が欠落し、吸湿性であり、高度に着色し、バルクの取り扱いが困難なことと、最終食品に対する影響とのために、商業的に使用できない。
【0078】
低GI糖についての組成的要件は、許容できる取り扱い、感覚刺激性、色、吸湿性、結晶サイズおよび、したがって溶解度を単独および食品マトリックス中で提供しながら、臨床的性能要件(GI<55)を満たす点で独特である。これらのプロファイルを有する低GI糖製品の例は、WHOLEMEAL SUGAR(商標)またはLOGICANE(商標)で販売されている。
【0079】
洗浄粗糖をスプレー溶液で処理して、低GI糖を形成する場合、すでに結晶化プロセス中に決定されているので、結晶サイズに対する変化は観察されなかった。しかし、シロップ中の植物化学物質およびスクロースが、すでに形成された結晶の表面上に付着するので、結晶形状に対するわずかな変化が観察された。加えて、砂糖結晶の色は、ポリフェノールレベルの増加によって、若干増加した。他の機能、例えば、流動性および吸湿性は、次に、スプレープロセス後に乾燥機中で制御される水分レベルによって主に制御されるので、変化しなかった。慎重に制御される場合、濃縮ポリフェノールスプレー溶液の製造は、植物化学物質の標準化用量を送達して、他の望ましい砂糖のパラメータを損なうことなく、GIの減少を達成した。
【実施例2】
【0080】
この実施例は、導電率(EC)と砂糖中のポリフェノールレベルとの間に相関関係があるかどうかを調べる。確認されたら、これをオンラインおよびオフラインポリフェノール評価のために比色法として使用できる。
【0081】
化学物質:Folin−Ciocalteu試薬および(+)−カテキン標準をSigma−Aldrich(St Louis,MO)から購入した。炭酸ナトリウムをLabserv(Melbourne, Australia)から入手し、3−(N−モルホリノ)−プロパンスルホン酸(MOPS)をBDH Laboratory Supplies(Dorset,UK)から得た。使用した全ての化学物質は分析等級であった。
【0082】
サンプル収集:粗糖サンプルを、標準的砂糖製造中にMossman Central Mill(MCM)から入手した。2日間にわたって一定間隔で、約100gの粗糖を最終生成物コンベヤからねじ口のプラスチック瓶を用いてサンプリングした。
【0083】
ポリフェノール分析:40gの粗糖サンプルを100mlのメスフラスコ中に正確に秤量した。約40mlの蒸留水を添加し、砂糖が完全に溶解するまでフラスコを撹拌し、その後、溶液を蒸留水で最終体積にした。ポリフェノール分析は、Kimら(2003)の研究から適応させたFolin−Ciocalteu法(Singleton 1965)に基づいた。簡単にいうと、適切に希釈した粗糖溶液の50μLアリコートを試験管に添加し、続いて650μLの蒸留水を添加した。Folin−Ciocalteu試薬の50μLアリコートを混合物に添加し、振とうした。5分後、500μLの7%Na2CO3溶液を混合しながら添加した。750nmでの吸光度を室温で90分後に記録した。カテキン(0〜250mg/L)の標準溶液を用いて標準曲線を作成した。サンプル結果を、粗糖100gあたりのカテキン当量(CE)(ミリグラム)で表した。
【0084】
色分析:色をBSES標準的分析法33(2001)にしたがって分析した。簡単に言うと、20gの粗糖を100mlのメスフラスコ中に正確に秤量し、約50mlの蒸留水を添加して砂糖が溶解するまでフラスコを撹拌した。0.2MのMOPS緩衝溶液(pH7)10mlをフラスコに添加し、溶液を蒸留水で最終体積にした。10mlのMOPS緩衝液を100mlのメスフラスコに添加し、蒸留水で目盛りまで満たすことによって、参考溶液を調製した。各サンプル溶液および参考溶液を、0.45μmのメンブランフィルター(Millipore,Millex HA)に連結された0.8μmのプレフィルターを用いて濾過した。濾過された砂糖溶液の吸光度を、参考溶液をブランクとして用いて、420nmで測定した。ICUMSA色を、次の計算を用いて計算した。ICUMSA色=(A420/濃度(g/ml))×1000
【0085】
導電率測定:20gの粗糖サンプルを100mlのメスフラスコ中に正確に秤量し、蒸留水を用いて溶液を目盛りまでにした。20%溶液の導電率を、HANNA1413μS/cm較正標準を用いて標準化したHANNA導電率計(Model H19812−5)を用いて測定し、結果を1センチメートルあたりのマイクロジーメンスで表した。
【0086】
結果
表6は、粗糖導電率(μS/cm)、ポリフェノール含有量(mgCE/100g)および色の評価の比較を示す。
【0087】
【表6】
【0088】
表7は、粗糖比色分析結果(750nm吸光度)およびカテキン当量(CE)のmg/100gでの計算値を記載する。
【0089】
【表7】
【0090】
結果を、図4から7および18でさらに説明する。これらの図から、サンプルポイントはすべて直線的プロットに近づき、グラフはほぼ同じであることは明らかである。
【0091】
結論
予想外の統計的に有意な相関関係が、EC、ICUMSA砂糖色およびポリフェノール含有量の間に存在する。この方法は、したがって、さらに高いポリフェノールレベルを含む砂糖の製造においてQA/QC目的の迅速なオンラインおよび/またはオフライン測定ツールに有用である。方法を、現行の産業的方法およびプロセスコントロールシステムに容易に適応させ、組み入れることができる。
【0092】
参考文献
・Bureau of Sugar Experiment Stations(BSES)2001.Laboratory Manual for Australian Sugar Mills Volume 2,Method 33,BSES Brisbane.
・Kim D.−O.,Jeong S.W. and Lee CY(2003).Antioxidant capacity of phenolic phytochemicals from various cultivars of plums.Food Chemistry,81,(3)321−326.
・Singleton,V.L.and Rossi,J.A(1965).Colorimetry of total phenolics with phosphomolybdic−phosphotungstic acid reagents.Am.J.Enol.Vitic.16,144−158.
【実施例3】
【0093】
この実施例は、砂糖中のポリフェノール成分、有機酸およびミネラルの量を予想するための近赤外(NIR)分光法の使用を調べる。この情報を次に、製造された低GI糖およびポリフェノール抽出物についてのオンラインおよびオフラインポリフェノール評価のために好適なNIR法を得るために使用できる。
【0094】
この実施例で得られた組成式は、次のものを含む。
・ポリフェノール(例えばフェルラ酸)
・ミネラル
・有機酸(例えばアコニット酸)
・抗酸化物質
・グルコース
・フルクトース
式は、例えば、オフライン状況で使用できる実験室用装置をはじめとする他のNIRシステムにおいて使用することができるという変更以外は、BSESシステムについて開発されたものである。
【0095】
結果
結果を図8から33に示す。サンプルポイントは、直線プロットに近づくことが図から明らかである。
【0096】
結論
サンプルポイントが直線性に達すると、r2値は1により近づく。この例における図8から34は、統計的に有意な相関関係を、ミネラル、炭水化物、有機酸およびポリフェノールの濃度を誘導するために基質NIRスペクトルから発現させることができることを納得できるように証明する。この方法は、したがって、さらに高いポリフェノールレベルを含む砂糖を製造する際のQA/QC目的の迅速なオンライン/オフライン測定ツールに有用である。
【0097】
方法は、現行の産業的方法およびプロセス制御システムに容易に適応させ、組み入れることができる。
【0098】
本明細書および本特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という語および「含む(comprising)」という語の各形式は、任意の変形や追加を排除する目的で本発明を制限することはない。
【0099】
本発明に対する修正および改善は、当業者にとって容易に明らかになるであろう。かかる修正および改善は、本発明の範囲内であると考えられる。
【図A】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低血糖インデックス砂糖製品および所望の植物化学物質レベルを有する他の食品をはじめとする食品を製造するためのプロセスに関する。特に、砂糖製品が、所望の植物化学物質種、例えば、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、タンパク質および他の植物化学物質の所望のプロファイルを有するかどうかを解明するために、近赤外分光法または導電率を用いる、砂糖製品を製造するためのプロセス。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、文書、行為もしくは知識項目について言及もしくは議論する場合、このような言及もしくは議論は、文書、行為もしくは知識項目またはこれらの任意の組み合わせが、優先日に、公に入手可能であるか、公知であるか、一般常識の一部であるか、または本明細書が関連する問題を解決するための試みに関連することが知られていることを承認するものではない。
【0003】
本発明を、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、蔗糖抽出物のタンパク質または蔗糖加工に関連する加工流れのプロファイルに関連して記載するが、本発明は、これらに限定されず、テンサイ糖抽出物およびテンサイ糖加工流れも包含する。
【0004】
近赤外分光法(NIR)
分光法は、電磁放射線の特定波長に対する化合物の影響に基づいて化合物を同定する技術である。近赤外分光法(NIR)は、電磁スペクトルの近赤外部分、すなわち400nmから2,500nmに波長を有する放射線の吸収の分析に基づく。
【0005】
導電率(EC)
導電率(EC)は、溶液中の、すべての溶解した塩(TDS)の量、または溶解したイオンの全量を推定する。ECを、1センチメートルあたりのマイクロジーメンス(μS/cm)で測定し、2つの金属電極からなるセンサーを用いて記録する。
【0006】
蔗糖精製
機械で収穫した後、サトウキビをミルに輸送し、鋸歯状ローラー間で圧壊する。圧壊されたサトウキビを次に圧搾して、粗糖汁を抽出し、一方、バガス(残留繊維状物質)は燃料に用いられる。粗汁を次いでその沸点まで加熱して、不純物を抽出し、次いで石灰および漂白剤を添加し、搾り粕を除去する。粗汁をさらに真空下で加熱し、濃縮し、ブリックス値を増大させる。濃縮シロップを播種して、バルク砂糖結晶および糖液として公知の濃厚シロップを得る。この2つを遠心分離機によって分離し、糖液廃棄物流れを集めて、低級動物飼料として使用する。このプロセスのフローチャートを以下に掲載する。
【0007】
【表1】
【0008】
砂糖精製プロセスによって、粗汁、バガス、搾り粕、透明化汁等をはじめとする多数の生成物が生成する。
【0009】
前記プロセスから得られるバルク砂糖結晶をさらに精製して、多くの商業的に入手可能な砂糖製品を得る。例えば、さらなる精製は、バルク砂糖結晶を熱い濃縮シロップと混合して、結晶上の外側コーティングを軟化させることを含み得る。結晶を次に遠心分離機によって回収し、続いて熱水中に溶解させる。この砂糖液を次いで、炭酸化またはホスホテーション、濾過、脱色によってさらに精製し、次いで精糖結晶を播種する。結晶が必要なサイズまで成長したら、結晶を遠心分離機によってシロップから分離(遠心分離)し、次いで乾燥し、等級分けし、包装する。砂糖結晶を砂糖液から回収するのを数回繰り返してもよい。砂糖結晶をすべて回収した後に残る暗色砂糖シロップも糖液と呼ばれる。
【0010】
砂糖組成
蔗糖製品の組成および廃棄物流れは複雑で、非常に変化しやすい。つまり、化学組成は、主に、サトウキビの地理的な供給源、サトウキビの種類および加工法によって決定される。
【0011】
糖液および砂糖精製プロセスの他の生成物、例えば、砂糖の搾り粕、田畑の廃棄物/繊維状のサトウキビ先端部、サトウキビの皮およびバガス/パルプは、物質の複雑な混合物である。糖液および他の濃厚シロップおよび汁は、典型的には、脂質、リン脂質、タンパク質、フラボノイド、フラボン、ポリフェノール、植物ステロール、オリゴ糖、多糖類、ペプチドおよびタンパク質、ミネラル、有機酸、ならびに単糖類および二糖類を含む。
【0012】
有益な砂糖成分
米国特許出願第2003198694号は、人間の健康に有益である抗酸化化合物がサトウキビおよびサトウダイコン中に存在することを教唆している。これらの抗酸化物質としては、ポリフェノールおよびフラボノイドが挙げられ、機能性食品の製造において使用できる。
【0013】
これらの抽出物を、血糖インデックス(GI)の低下を目的とする処方法において使用することができる。GIは、体内の血糖値をどれだけ早く上昇させるかによって、炭水化物含有食品を分類するためのシステムである。高いGI値を有する食品ほど、早く血糖を上昇させ、低いGIを有する食品ほど、血糖コントロールの効能が低い。例えば、国際特許出願番号WO2005/117608は、抗酸化物質含有量を増大させることによって、食品のGIを低下させる方法を開示している。これは、典型的には、サトウキビ製造廃棄物流れおよび製造過程の生成物または他の炭水化物の抽出物を現在入手可能な、高度に精製されたスクロース生成物に添加することによって達成される。
【0014】
ポリフェノール(またはフェノール成分)は、サトウキビ中に存在する化合物の1種であり、フェノール環構造および2以上のフェノール性ヒドロキシ基を有することを特徴とする。アントシアニンおよびカテキン等、多くの下位区分に少なくとも8000の同定されたポリフェノールがある。天然のポリフェノールは、フェノール酸等の単純な分子からタンニン等の大きな高度に重合した化合物まで様々である。ポリフェノールの共役形態が最も一般的であり、フェノール環構造と結合した様々な砂糖分子、有機酸および脂質(脂肪)を含む。この共役化学構造における違いが、様々なフェノールの異なる化学分類ならびに作用様式および健康上の特性における差異の理由となる。サトウキビ中に存在するポリフェノールは、多くの健康上の利点を有すると考えられている。
【0015】
かつては、サトウキビまたはサトウダイコンまたは砂糖加工流れの抽出物中の所望の種(例えば、ポリフェノール)のプロファイルの同定は、比較的困難で、様々な湿式化学技術および分光技術を必要としていた。これは主に、砂糖中に存在する多くの植物化学物質と、その広範囲にわたる構造によるものであり、重要な定量的および定性的分析を非常に困難なものにする。
【0016】
図1から3は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、様々な種類のサトウキビの植物化学物質含有量におけるばらつきを示す。一貫したレベルの植物化学物質を含む砂糖製品の製造を困難にするのは、このような自然の変動である。
【0017】
したがって、特に植物化学物質のレベルが特定の機能性に関連する場合、砂糖製品中のこれらの植物化学物質のレベルをより日常的に測定できる方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願第2003198694号明細書
【特許文献2】国際特許出願番号WO2005/117608明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
NIRを使用して、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、タンパク質および砂糖、砂糖抽出物、砂糖加工流れもしくは廃棄物流れ(汁、バガス、糖液、搾り粕、ダンダー、皮等を包含する)における所望の組成特性を同定するために使用できる他の植物化学物質等の種の迅速な定量的および定性的検出を提供するために使用可能であることが判明している。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、所望のレベルの特定の植物化学物質を有する砂糖製品を製造するためのプロセスであって、
(a)一次砂糖製品を調製するステップと、
(b)ステップ(a)からの一次砂糖製品を、その植物化学物質プロファイルについて近赤外分光法を用いて分析するステップと、
(c)ステップ(b)からのプロファイルを参考植物化学物質プロファイルと比較するステップと、
(di)必要ならば、一次砂糖製品を処理して、所望のレベルの特異的植物化学物質を有する最終砂糖製品を得るステップと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを、必要ならば変更して、所望のレベルの特異的植物化学物質を有する一次砂糖製品を製造するステップと、
を含むプロセスを提供する。
【0021】
好ましくは、この方法によって、あるレベルのポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、可溶性繊維、不溶性繊維、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、タンパク質またはこれらの種のそれぞれの種類および量の両方に関して望ましい他の植物化学物質を豊富に有する砂糖の迅速な同定が可能になる。
【0022】
本明細書において用いられる場合、「砂糖製品」という用語は、砂糖、サトウキビからの抽出物、砂糖加工または廃棄物流れからの抽出物、およびこれらの混合物を包含する。
【0023】
本発明のプロセスは、低GI糖の製造に特に有用である。一実施形態において、一次砂糖製品は、標準的結晶性粗糖または耕地白糖製品(サトウキビまたはサトウダイコン由来)である。この一次砂糖製品を次に、NIRを用いて分析して、所望の植物化学物質種のそれぞれのレベルが、砂糖が低GIであるために十分であるかどうかを解明する。十分なレベルの所望の植物化学物質がない場合、一次砂糖製品を糖液抽出物(例えば、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382で教唆されているような抽出物)でスプレーコーティングすることによって処理して、所望の植物化学物質種のレベルを増加させ、GIプロファイルを低下させて、低GI糖を形成する。一次砂糖製品が所望のプロファイルを有するならば、ステップ(d)における処理は必要ない。
【0024】
この方法は、様々な植物化学物質レベルプロファイルを有する砂糖製品の製造においても有用であり、特定の機能性を有する食品を提供する。例えば、高い抗酸化レベルを有する砂糖製品は、酸化的損傷に関連する状態を対象とする食品に有用である。高い繊維レベルを有する砂糖製品は、別の選択肢である。このような繊維としては、可溶性および不溶性繊維、例えばこれらに限定されないが、セルロース、ヘミセルロースおよびフラクトオリゴ糖を挙げることができる。国際特許出願番号PCT/AU2007/001382は、所望の植物化学物質プロファイルを達成するためにステップ(d)において使用される、好適な抽出物を調製するために使用できる方法を開示している。
【0025】
ステップ(a)における一次砂糖製品の調製は、当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。典型的には、一次砂糖製品を、標準的砂糖粉砕および精製法を用いて製造する。好ましくは、一次砂糖製品の製造は、ベース砂糖製品が所望の植物化学物質プロファイルを有する可能性を最大化するように設計される。1つの好適な実施形態において、一次砂糖製品の製造は、洗糖蜜または糖液抽出物を添加して、所望の植物化学物質種レベルを増大させることを包含する。しかし、砂糖を製造する原料は、作物によってその組成が変わることが多く、したがって、依然として各バッチを分析する必要がある。
【0026】
NIR分析は、オンラインまたはオフラインでできる。典型的には、本発明の第1の態様の方法をオンライン砂糖加工流れに関して使用する場合、スキャニングヘッドを加工物質の連続流れに隣接して取り付ける。オフライン測定に関して、典型的には、サンプルを砂糖加工流れから手作業で集め、次いでNIR測定を実験室または類似の施設で行う。
【0027】
好ましくは、NIR分析はオンラインでできる。典型的には、ステップ(b)でのNIR分析は、
(i)遠隔光源ならびに反射光収集および透過装置を含むスキャニングヘッドを、抽出物(オフライン)または加工流れ(インライン)に隣接して取り付けることと、
(ii)反射光を別個の波長の光に分割するために近赤外分光光度計のモノクロメータを使用することと、
(iii)別個の波長による吸収プロファイルを対象となる種のそれぞれの定量化された存在と結びつける参考較正式を含むデータベースにアクセスすることと、
(iv)抽出物または加工流れについて得られたスペクトルに対して較正式を適用することによって対象となる種のそれぞれのプロファイルを作成するためにコンピュータを使用することと、
(v)データベースに保存された所望のプロファイルパラメータを用いて作成したプロファイルを比較して、1以上の種の所望のプロファイルを同定することと、
を含む。
【0028】
ステップ(di)での一次砂糖製品の処理は、任意の公知方法によって行うことができる。典型的には、ステップ(b)および(c)は、一次砂糖製品上に物質をスプレーして、所望の種の含有量を増大させるようにスプレー装置に指示するためにプログラムされたコンピュータの使用を含む。典型的には、ステップ(di)での処理は、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、可溶性繊維、不溶性繊維、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤またはタンパク質等の様々な個別の化合物または混合化合物に富んだサトウキビ抽出物を一次砂糖製品上にスプレーすることを含む。この処理における使用に好適なサトウキビ抽出物は、他の場所で、例えば、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382で記載されている。
【0029】
ステップ(dii)で手動または自動フィードバックループを用いる一次砂糖製品調製の代替法は、当業者に公知の操作法を含む。このような方法は、パラメータの処理、化学種の添加または1以上の物理的方法、例えば溶媒抽出、サイズ排除加工またはイオン交換クロマトグラフィーをプロセス中に導入することを含む。好ましくは、一次砂糖製造プロセスは、植物化学物質抽出物をプロセスの都合よい段階、例えば遠心分離またはスクリュー・コンベヤの時点で添加することを含む。好適な実施形態において、砂糖加工流れ由来のシロップまたは粉末を次に砂糖加工に適用することができる。典型的には、最終粗糖(ポリフェノール・シロップ・スプレーであらかじめ処理)が乾燥機から出る際の最終粗糖に対するNIR分析からの結果を、プロセス制御ツールとして使用して、特定の植物化学物質の所望のレベルを達成するために、真遠心分離またはスクリュー・コンベヤ段階で添加されるシロップの量(パーセンテージ)を調節する。
【0030】
植物化学物質の所望のプロファイルは、他の因子の中でも、目的の用途、所望の抗酸化能、送達様式(すなわち、どのようにして、そしてどの食品または飲料または調合薬中に、誘導体が最終的に組み入れられるか)、意図される治療的使用、ならびに当業者に公知の他の因子に応じて変わるであろう。
【0031】
最終砂糖製品が低GI糖製品である好適な実施形態において、測定される所望のプロファイルは、1以上の下記の種を下記の量で含む。
【0032】
【表2】
【0033】
前記表中、CEはカテキン当量を表し、GAEは没食子酸当量を表し、ICUMSAは国際砂糖分析法統一委員会を表す。
【0034】
さらに好ましくは、低GI糖製品は次のような特定のミネラルのプロファイルを有する。
【0035】
【表3】
【0036】
本発明の原理を用いて、砂糖以外の担体について、サトウキビ以外の供給源由来の植物化学物質を使用して、植物化学物質レベルの迅速な定量的および定性的検出をすることができる。
【0037】
本発明の第2の態様によれば、食品を製造するためのプロセスであって
(a)ベース植物化学物質担体を調製することと、
(b)近赤外分光法を用いてベース植物化学物質担体を分析することと、
(c)ステップ(b)からのプロファイルを、参考プロファイルと比較することと、
(di)ベース植物化学物質担体を、所望によって処理して、所望のレベルの植物化学物質を有する食品を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを、所望により変更し、所望のレベルの植物化学物質を有するベース植物化学物質担体を製造することと、
を含むプロセスを提供する。
【0038】
ベース植物化学物質担体を、繊維(不溶性源、例えばバガスおよび可溶性源)、小麦粉、穀類、酪農食品および他の食品から選択することができる。調製ステップ(a)および/または処理ステップ(di)は、典型的には、これらに限定されないが、スプレーコーティングおよび凝集をはじめとする様々な適用プロセスを用いて担体に植物化学物質を添加して、最終食品において所望の機能性を提供することを含む。
【0039】
最終食品用途に応じて、乳化剤または可溶化化合物をベース植物化学物質担体中に組み入れて、食品マトリックス中への植物化学物質の溶解、消費後の消化管中への送達、および砂糖/繊維複合体の分散を助けるか、または添加された化合物のバイオアベイラビリティを改善することができる。
【0040】
典型的な供給源としては、これらに限定されないが、カカオ豆およびカカオ加工副生成物、茶および茶加工廃棄物流れ、カカオポッド外皮および殻、コーヒー豆、コーヒー廃棄物、ブドウポミス、穀類(例えば、オオムギ、ソバ、トウモロコシ、キビ、オートムギ、コメ、ライムギ、モロコシ、コムギ)、豆類(例えば、ビーンおよびパルス)、ナッツ(例えば、アーモンド、ビンロウジ、カシューナッツ、ハシバミ、ピーナッツ、ペカン、クルミ)、アブラナ(例えば、ナタネ、キャノーラ、大豆、ルリヂサ、綿実、マツヨイグサ、アマニ、ゴマ種子、ヒマワリ、オリーブ油、ヤシ油、ヌカ油)、果実(例えば、ベリー、石果、なし状果、トロピカルフルーツ)、野菜(例えば、ニンジン、タマネギ、パースニップ、ジャガイモ、ビートの根、サツマイモ、アスパラガス、セロリ、エンダイブ、レタス、ホウレンソウ、アボカド、トマト、コショウ)、飲料(例えば、茶、コーヒー、ココア、ビール、ワイン、リンゴ酒)およびハーブ製品(例えば、エキナセア、朝鮮人参、イチョウ、セイヨウオトギリソウ、カノコソウ、カワカワ、ソーパルメット、ブラックコホッシュ、デビルズクロー、ゴールデンシール、サンザシ、ショウガ、カンゾウ、オオアザミ)が挙げられる。
【0041】
本発明の第3の態様によれば、サトウキビ抽出物を調製するためのプロセスであって、
(a)サトウキビの第1抽出物を調製することと、
(b)近赤外分光法を用いて、サトウキビの第1抽出物を分析することと、
(c)ステップ(b)から得たプロファイルを参考プロファイルと比較することと、
(di)サトウキビの第1抽出物を、必要ならばさらなる抽出プロセスで処理して、所望のレベルの植物化学物質を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを、必要ならば変更して、所望のレベルの植物化学物質を有するサトウキビ抽出物を得ることと、
を含むプロセスを提供する。
【0042】
導電率(EC)とポリフェノール含有量との間に相関関係があり、この関係を用いて、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382(ジュース、バガス、糖液、搾り粕、ダンダー、皮、洗糖蜜等を包含する)で開示されているようなサトウキビからの抽出物および砂糖加工または廃棄物流れからの抽出物中のポリフェノールレベルをオンラインまたはオフライン測定することができることも明らかになった。
【0043】
本発明の第4の態様によれば、サトウキビ抽出物を製造するためのプロセスであって、
(a)サトウキビの第1抽出物を調製することと、
(b)導電率を用いてサトウキビの第1抽出物を分析することと、
(c)ステップ(b)から得られる値を参考値と比較することと、
(di)サトウキビの第1抽出物を、必要ならばさらなる抽出プロセスで処理して、所望のレベルの植物化学物質を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを、必要ならば変更して、所望のレベルの植物化学物質を有するサトウキビの抽出物を製造することと、
を含むプロセスを提供する。
【0044】
サトウキビ抽出物およびその製造プロセスは当業者に公知である。抽出物およびその製造プロセスの例は、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382に開示されている。
【0045】
抽出物を得るために使用するプロセスの変更によって、抽出物中の植物化学物質のプロファイルが変更され、本発明の第2の態様の方法によって、所望のレベルの迅速な同定と、したがって抽出物が添加された場合に下流生成物の量および性質を制御することが可能になる。
【0046】
抽出物は、サトウキビ粉砕プロセス、砂糖を生成するためのサトウキビ精製プロセス、およびラム酒の製造の一部として糖液からのエタノールの製造等、サトウキビ生成物を使用する他のプロセスをはじめとするサトウキビ由来の生成物から誘導できる。抽出物は、原材料、製造過程の生成物、副生成物、最終生成物および廃棄物流れから誘導できる。例えば、サトウキビ由来の生成物は、粗サトウキビ汁のフィード流れ、透明化汁および濃縮汁シロップ、糖蜜、糖液(第1ミルまたは精製所から得られる)、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、バイオダンダー、田畑の廃棄物、成長点、パルプ、サトウキビの皮、髄および搾り粕である。好ましくは、抽出物は、糖液由来である。
【0047】
1つの好適な実施形態において、蔗糖抽出物中のポリフェノールは、p−クマル酸、フェルラ酸、シリンガ酸、カフェ酸、クロロゲン酸,(−)エピカテキン、アピゲニン、(+)カテキン、ケルセチン、ジオスミン、ルチンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0048】
サトウキビ抽出物は、そのGI低下特性を依然として維持しつつ、その味を改善する炭水化物を含んでもよい。典型的には、抽出物は、炭水化物、例えば単糖類、二糖類、オリゴ糖ならびに可溶性および不溶性多糖類の両方を含む。抽出物は、キシラン由来の単糖、二糖、三糖、およびオリゴ糖、例えばキシロビオース、キシロトリオースおよびキシロースを含んでもよい。抽出物は、GI増加特性を有する炭水化物、例えばスクロースおよびグルコースを含んでもよい。しかし、抽出物中のGI増加炭水化物の量は、全体として抽出物のGI減少特性から有意に差し引くのに十分でない。さらに、抽出物は、多少の炭水化物を含むことができ、国際特許出願番号PCT/AU2006/000769で開示されるような身体組成再分配等の適用の有用性を維持することができる。
【0049】
サトウキビ抽出物は、ミネラル複合体をはじめとするミネラルを含むことができる。典型的には、ミネラルは、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、ナトリウムおよびこれらの混合物から選択される。存在し得る他のミネラルとしては、アニオン、例えば硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩および塩化物が挙げられる。
【0050】
サトウキビ抽出物は、有機酸を含むことができる。典型的には、有機酸は、c−アコニット酸、クエン酸、リン酸、グルコン酸、リンゴ酸、t−アコニット酸、コハク酸、乳酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0051】
抽出物を、シロップの形態で、サトウキビまたはサトウダイコンからの白砂糖に対する添加物として使用して、適正な範囲内の植物化学物質を送達して、精糖を低GI糖に変えることができる。砂糖精製所における様々なプロセス流れ、例えば洗糖蜜、またはイオン交換もしくは活性炭カラムからの他の洗浄液も、低GI糖を製造するための精製プロセス中に砂糖中の植物化学物質レベルを調節するために使用できる。様々なサトウキビおよび製造プロセスに応じて、場合によっては、低GI糖を製造するために、追加の植物化学物質を砂糖製品に添加する必要がなくなる。
【0052】
本発明の方法の生成物の使用
本発明の方法を使用して、経済的に有用であり、多種多様な用途で使用できる新規生成物を提供することができる。
【0053】
本発明のプロセスの生成物を、混合、注入、注射、ブレンド、分散、コンチング、乳化、浸漬、スプレー、凝集および混練等の技術によって、食物、栄養補給食品または飲料に直接、さらに修飾することなく組み入れることができる。別法として、使用者が摂取する前に、生成物を食物もしくは食品マトリックス上に、または飲料中に直接適用することができる。
【0054】
本明細書において使用する場合、「食物」、「食材」または「食品」という用語は、任意の可食製品、例えばこれらに限定されないが、菓子、サプリメント、スナック(甘味および風味)ココアおよびコーヒーを含有する食物、フレーバー、飲料(インスタント飲料、プレミックスを包含する)、栄養補助食品、ならびに動物の健康および栄養摂取に使用されるサプリメントを包含する配合物、酪農製品、例えば、乳、ヨーグルト、アイスクリーム、焼いた製品、および食物調味料を包含する。
【0055】
本発明の生成物を、制限なく以下のものを含む食物、飲料および栄養補給食品中に組み入れることができる。
・酪農製品−例えばチーズ、バター、乳および他の乳飲料、スプレッドおよび乳製品ミックス、アイスクリームおよびヨーグルト、
・脂肪性製品−例えばマーガリン、スプレッド、マヨネーズ、ショートニング、調理用油および揚げ油ならびにドレッシング、
・穀類系製品−これらの品物が調理されているか、焼かれているか、または他の処理をされているかに関わらず、穀物を含む(例えば、パンおよびパスタ)、
・菓子類−例えばチョコレート、キャンディ、チューインガム、デザート、非乳製品トッピング、ソルベ、アイシングおよび他のフィリング、
・腸および非経口製品、
・粉末、プレミックス、ジュース、エネルギーバー、アイソトニックドリンクおよびゼラチン、デンプン系またはペクチンゼリーを含むスポーツ栄養製品、
・ホットまたはコールド(コーヒー、茶、ココア、穀類、チコリおよび他の植物抽出物系飲料)、アルコールまたはノンアルコールに関わらず、コーラおよび他のソフトドリンク、ジュース、栄養補助食品、インスタントプレミックスおよびミール・リプレイスメント・ドリンクを含む飲料、ならびに
・卵および卵製品、加工食品、例えばスープ、出来あいのパスタを含む様々な製品。
【0056】
低GI製品
特に好適な用途において、本発明のプロセスを用いて、GI低減を目標とする方策において使用される製品を製造することができる。本発明のプロセスを用いて、低GI生成物、例えば、特定の植物化学物質含有量のさらなる利点があることを除いては国際特許出願番号WO05/117608で開示されているようなものを調製することができる。
【0057】
低GI製品に関して、低いグルコースレベルを有することが好適である。サトウキビ生成物抽出物のグルコース含有量を、グルコースを消化するグルコースオキシダーゼ(GO)等の酵素を用いて減少させることができる。グルコースオキシダーゼとカタラーゼとの組み合わせを典型的に使用して、生成した過酸化水素の除去を保証すること、および生成した酸素をその後GOにより使用して、グルコースレベルをさらに低下させることを保証することは、当業者に公知である。本発明の方法は、グルコースおよび他の生成物を減少させるための任意の他の方法を組み入れ、次いで製造プロセスに再度組み込んで、砂糖製品のGIを低下させることができる。これには、発酵、あるいは他の限外濾過およびイオン交換プロセスの前、最中、もしくは後の化学および/または熱反応によるグルコース消化の促進が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本発明の方法は、国際特許出願番号PCT/AU2006/00076で開示されている方法において使用される生成物および生成物を調製するためにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図A】本発明の一実施形態のプロセスを実施するために使用できるNIRシステムを示す。
【図1】サトウキビの第1変形態様のHPLCにより測定される植物化学物質組成を示す。
【図2】サトウキビの第2変形態様のHPLCにより測定される植物化学物質組成を示す。
【図3】サトウキビの第3変形態様のHPLCにより測定される植物化学物質組成を示す。
【図4】実施例2に記載するような様々な砂糖についての比較導電率対ポリフェノール(カテキン当量)結果を示す。
【図5】実施例2に記載するような様々な砂糖についての比較色対ポリフェノール(カテキン当量)結果を示す。
【図6】実施例2についてのカテキン対導電率結果の統計的相関関係を示す。
【図7】実施例2のカテキン当量対色結果の統計的相関関係を示す。
【図8】実施例3から得られるPol(スクロース)%砂糖NIR較正プロットを示す。
【図9】実施例3から得られる水分(%)砂糖NIR較正プロットを示す。
【図10】実施例3から得られる灰分(%)砂糖NIR較正プロットを示す。
【図11】実施例3から得られる砂糖色NIR較正プロットを示す。
【図12】実施例3から得られる還元糖(Lane and Eynon)NIR較正プロットを示す。
【図13】実施例3から得られる導電率灰分NIR較正プロットを示す。
【図14】実施例3から得られる微粒子(600ミクロン未満の質量%)NIR較正プロットを示す。
【図15】実施例3から得られる全フェノール成分NIR較正プロットを示す。
【図16】実施例3から得られるトランス−アコニット酸NIR較正プロットを示す。
【図17】実施例3から得られる抗酸化能NIR較正プロットを示す。
【図18】実施例3から得られる砂糖導電率NIR較正プロットを示す。
【図19】実施例3から得られるグルコース%砂糖NIR較正プロットを示す。
【図20】実施例3から得られるフルクトース%砂糖NIR較正プロットを示す。
【図21】実施例3から得られる砂糖中のカルシウムNIR較正プロットを示す。
【図22】実施例3から得られる砂糖中のマグネシウムNIR較正プロットを示す。
【図23】実施例3から得られる砂糖中のナトリウムNIR較正プロットを示す。
【図24】実施例3から得られる砂糖中のカリウムNIR較正プロットを示す。
【図25】実施例3から得られる砂糖中の鉄NIR較正プロットを示す。
【図26】実施例3から得られる砂糖中アルミニウムNIR較正プロットを示す。
【図27】実施例3から得られる砂糖中のマンガンNIR較正プロットを示す。
【図28】実施例3から得られる砂糖中の亜鉛NIR較正プロットを示す。
【図29】実施例3から得られる砂糖中の塩化物NIR較正プロットを示す。
【図30】実施例3から得られる砂糖中硫酸塩NIR較正プロットを示す。
【図31】実施例3から得られる砂糖中リン酸塩NIR較正プロットを示す。
【図32】実施例3から得られる砂糖濾過性NIR較正プロットを示す。
【図33】実施例3から得られるNIR較正統計データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
近赤外分光法
近赤外分光法は、生成物の特質を決定する迅速な手段を提供する。オーストラリアの砂糖産業研究団体であるBSES Limited(BSES)は、以前にNIR技術を使用して、支払いおよびプロセス制御目的で、調製または細断されたサトウキビの直接的リアルタイム分析が可能なCane Analysis System(CAS)を開発した。オーストラリアにおいて最初にNIRシステムを実施して以来、BSESは、様々なミルおよび生育領域にわたり、そしてさらなる基質、例えば砂糖およびバガスについて(Staunton S.P. & Wardrop K.,Development of an online bagasse analysis system using NIR spectroscopy. International Sugar Journal,2007,109:482−488)、これらの較正式の適用に必要な膨大なデータベースを作成してきた(Staunton S.P.,Lethbridge P.J.,Grimley S.C.,Streamer R.W.,Rogers J.,Macintosh D.L.,Online cane analysis by near infra−red spectroscopy.Proc.Aust.Soc.Sugar Cane Technol.1999;21:20−27)。
【0061】
しかし、サトウキビまたは砂糖のNIRスペクトルとポリフェノール含有量との間の相関関係が事前に存在していた証拠はない。本発明は、高抗酸化/低GIまたは機能的砂糖のオンライン/オフライン製造のためのNIRシステムを包含する。
【0062】
本発明に使用される砂糖分析システム(SAS)は、以下のハードウェアおよびソフトウェアを含む。
【0063】
【表4】
【0064】
図Aは、非定型システムの概略図である。NIRモノクロメータクラスの分光光度計の直接光反射システムのスキャニングヘッドは、分析されるプロセス流れと平行して、または流れの上方に位置する。反射光は、光ファイバーを経由して、分光光度計へと通過し、分光光度計で光は、典型的には2nmごとに400から2500nmの範囲にわたる波長に分解される。波長によるプロセス流れによる吸収のスペクトルは、サンプルの各スキャンについて得られる。較正式のデータベースを、対象となる各パラメータ、例えばプロセス流れ中の繊維含有量について保存する。この情報を、CPUによるアクセスについて利用可能な状態に保持する。データベースは、較正式の誘導において使用されるスペクトルのプロファイルも保存する。平均スペクトルを各サンプルスキャンについて得る。対象となる較正についてのスペクトルの関連する部分を抽出し、計算して、スキャン用に測定されたパラメータを送達する。プロセス流れの関連する部分のすべての許容されるスキャンからの結果を、予想のために平均する。得られたスペクトルは、較正が利用可能であるできるだけ多くのパラメータについて使用できる。CPUは、較正式を誘導するために使用されるスペクトルの組と一致しないスペクトルを拒絶できる。
【0065】
本発明の実施に有用な構成要素較正式としては、以下のものが挙げられる。
・Pol(スクロース) ・ポリフェノール
・水分 ・ミネラル
・砂糖色(ICUMSA) ・有機酸
・還元糖 ・抗酸化物質
・灰分(亜硫酸化) ・グルコース
・導電率灰分 ・フルクトース
・微粒子
【0066】
導電率
導電率(EC)は、全溶解塩(TDS)の量、または溶液中に溶解したイオンの合計量を推定する。ECを1センチメートルあたりのマイクロジーメンス(μS/cm)で測定し、ちょうど1.0cm離れ、溶液中に突き出した2つの金属電極からなるセンサーを用いて記録する。一定電圧(V)を電極全体にわたってかける。電流(I)は、この電圧のために溶液中を流れ、存在する溶解イオンの濃度に比例する。イオンが多いほど、溶液の導電率は高くなり、この結果、測定される電流が高くなる。蒸留水または脱イオン水は溶解イオンが非常に少なく、したがってギャップに流れる電流はほとんどない(低EC)。電流の流れ(I)は温度が上昇するにつれて増大するので、EC値は自動的に25℃の標準値に補正され、この値はしたがって専門的には比導電率と呼ばれる。
【0067】
ECプローブは、一般的に、早い反応時間を有し、通常は、5秒未満で全値の98%に達する。一部の導電率プローブは、極性化および電気分解を防止し、試験される溶液が汚染されないようにするために、その電極で交流を使用する。プローブを、通常、エポキシコーティングして、導電率測定値に明らかに影響を及ぼす金属電極の腐食を防止する。
【0068】
ECは、したがって、砂糖中のポリフェノールレベルのオンラインまたはオフライン測定の簡便な方法である。しかし、ECとポリフェノールとの間の相関関係についての証拠は現在のところ存在しない。
【0069】
実施例
本発明のさまざまな実施形態(態様)について、以下の非制限的実施例を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0070】
低GI糖(50から54の間のGI)を、承認され、検査された食品安全性システムを用いて、食品等級状態に変換された一次砂糖ミル中で調製した。
【0071】
調製は、次のステップを含んでいた。
【0072】
1.砂糖白下を、目標とされる最終的な所望の範囲より低い組成、すなわち、淡色および低ポリフェノールレベルになるまで、遠心機中で洗浄した。これは、使用する水の量、時間および遠心機のGの力を調節することによって達成された。流入するサトウキビ種類の組成的多様性、すなわち全体的な抽出、精製および結晶化プロセスにおける日によっての変動が時折許容される。
【0073】
2.新規かつ独立した食品等級施設において、糖液を抽出物し、精製して、濃縮・標準化(mgポリフェノール/L)ポリフェノールシロップを得た。このシロップ(60〜70Brixの暗色から黄色に着色した液体)を、スプレーシステムを用いて遠心機中の洗浄したベース砂糖中に計り入れた。
【0074】
3.シロップ処理された洗浄砂糖を連続回転式乾燥機中で標準的操作どおりに乾燥し、水分、ポリフェノール、色およびスクロースレベルを、NIR技術を用いて、オンラインもしくはオフラインのいずれかで測定した。NIR測定装置から得られるデータのフィードバックループを、遠心機中のシロップ投与/スプレーシステムと関連づけた。これによって、ステップ2からの正確な量のシロップを、ステップ1の洗浄砂糖塊上に送達して、乾燥砂糖中の最終ポリフェノールレベルを25から40mgPP/100g砂糖の範囲にすることが可能になった。
【0075】
表5は、通常の商業的砂糖加工プロセスにしたがって調製された粗糖および白糖について等しいパラメータを有する低GI糖中の重要な種についての組成的パラメータを記載する。
【0076】
【表5】
【0077】
表中に示すように、粗糖は組成が著しく異なり、その結果、多くのものは生物活性な植物化学物質、例えばポリフェノールが欠損している。スペクトルの他端での砂糖は、許容できる感覚刺激性が欠落し、吸湿性であり、高度に着色し、バルクの取り扱いが困難なことと、最終食品に対する影響とのために、商業的に使用できない。
【0078】
低GI糖についての組成的要件は、許容できる取り扱い、感覚刺激性、色、吸湿性、結晶サイズおよび、したがって溶解度を単独および食品マトリックス中で提供しながら、臨床的性能要件(GI<55)を満たす点で独特である。これらのプロファイルを有する低GI糖製品の例は、WHOLEMEAL SUGAR(商標)またはLOGICANE(商標)で販売されている。
【0079】
洗浄粗糖をスプレー溶液で処理して、低GI糖を形成する場合、すでに結晶化プロセス中に決定されているので、結晶サイズに対する変化は観察されなかった。しかし、シロップ中の植物化学物質およびスクロースが、すでに形成された結晶の表面上に付着するので、結晶形状に対するわずかな変化が観察された。加えて、砂糖結晶の色は、ポリフェノールレベルの増加によって、若干増加した。他の機能、例えば、流動性および吸湿性は、次に、スプレープロセス後に乾燥機中で制御される水分レベルによって主に制御されるので、変化しなかった。慎重に制御される場合、濃縮ポリフェノールスプレー溶液の製造は、植物化学物質の標準化用量を送達して、他の望ましい砂糖のパラメータを損なうことなく、GIの減少を達成した。
【実施例2】
【0080】
この実施例は、導電率(EC)と砂糖中のポリフェノールレベルとの間に相関関係があるかどうかを調べる。確認されたら、これをオンラインおよびオフラインポリフェノール評価のために比色法として使用できる。
【0081】
化学物質:Folin−Ciocalteu試薬および(+)−カテキン標準をSigma−Aldrich(St Louis,MO)から購入した。炭酸ナトリウムをLabserv(Melbourne, Australia)から入手し、3−(N−モルホリノ)−プロパンスルホン酸(MOPS)をBDH Laboratory Supplies(Dorset,UK)から得た。使用した全ての化学物質は分析等級であった。
【0082】
サンプル収集:粗糖サンプルを、標準的砂糖製造中にMossman Central Mill(MCM)から入手した。2日間にわたって一定間隔で、約100gの粗糖を最終生成物コンベヤからねじ口のプラスチック瓶を用いてサンプリングした。
【0083】
ポリフェノール分析:40gの粗糖サンプルを100mlのメスフラスコ中に正確に秤量した。約40mlの蒸留水を添加し、砂糖が完全に溶解するまでフラスコを撹拌し、その後、溶液を蒸留水で最終体積にした。ポリフェノール分析は、Kimら(2003)の研究から適応させたFolin−Ciocalteu法(Singleton 1965)に基づいた。簡単にいうと、適切に希釈した粗糖溶液の50μLアリコートを試験管に添加し、続いて650μLの蒸留水を添加した。Folin−Ciocalteu試薬の50μLアリコートを混合物に添加し、振とうした。5分後、500μLの7%Na2CO3溶液を混合しながら添加した。750nmでの吸光度を室温で90分後に記録した。カテキン(0〜250mg/L)の標準溶液を用いて標準曲線を作成した。サンプル結果を、粗糖100gあたりのカテキン当量(CE)(ミリグラム)で表した。
【0084】
色分析:色をBSES標準的分析法33(2001)にしたがって分析した。簡単に言うと、20gの粗糖を100mlのメスフラスコ中に正確に秤量し、約50mlの蒸留水を添加して砂糖が溶解するまでフラスコを撹拌した。0.2MのMOPS緩衝溶液(pH7)10mlをフラスコに添加し、溶液を蒸留水で最終体積にした。10mlのMOPS緩衝液を100mlのメスフラスコに添加し、蒸留水で目盛りまで満たすことによって、参考溶液を調製した。各サンプル溶液および参考溶液を、0.45μmのメンブランフィルター(Millipore,Millex HA)に連結された0.8μmのプレフィルターを用いて濾過した。濾過された砂糖溶液の吸光度を、参考溶液をブランクとして用いて、420nmで測定した。ICUMSA色を、次の計算を用いて計算した。ICUMSA色=(A420/濃度(g/ml))×1000
【0085】
導電率測定:20gの粗糖サンプルを100mlのメスフラスコ中に正確に秤量し、蒸留水を用いて溶液を目盛りまでにした。20%溶液の導電率を、HANNA1413μS/cm較正標準を用いて標準化したHANNA導電率計(Model H19812−5)を用いて測定し、結果を1センチメートルあたりのマイクロジーメンスで表した。
【0086】
結果
表6は、粗糖導電率(μS/cm)、ポリフェノール含有量(mgCE/100g)および色の評価の比較を示す。
【0087】
【表6】
【0088】
表7は、粗糖比色分析結果(750nm吸光度)およびカテキン当量(CE)のmg/100gでの計算値を記載する。
【0089】
【表7】
【0090】
結果を、図4から7および18でさらに説明する。これらの図から、サンプルポイントはすべて直線的プロットに近づき、グラフはほぼ同じであることは明らかである。
【0091】
結論
予想外の統計的に有意な相関関係が、EC、ICUMSA砂糖色およびポリフェノール含有量の間に存在する。この方法は、したがって、さらに高いポリフェノールレベルを含む砂糖の製造においてQA/QC目的の迅速なオンラインおよび/またはオフライン測定ツールに有用である。方法を、現行の産業的方法およびプロセスコントロールシステムに容易に適応させ、組み入れることができる。
【0092】
参考文献
・Bureau of Sugar Experiment Stations(BSES)2001.Laboratory Manual for Australian Sugar Mills Volume 2,Method 33,BSES Brisbane.
・Kim D.−O.,Jeong S.W. and Lee CY(2003).Antioxidant capacity of phenolic phytochemicals from various cultivars of plums.Food Chemistry,81,(3)321−326.
・Singleton,V.L.and Rossi,J.A(1965).Colorimetry of total phenolics with phosphomolybdic−phosphotungstic acid reagents.Am.J.Enol.Vitic.16,144−158.
【実施例3】
【0093】
この実施例は、砂糖中のポリフェノール成分、有機酸およびミネラルの量を予想するための近赤外(NIR)分光法の使用を調べる。この情報を次に、製造された低GI糖およびポリフェノール抽出物についてのオンラインおよびオフラインポリフェノール評価のために好適なNIR法を得るために使用できる。
【0094】
この実施例で得られた組成式は、次のものを含む。
・ポリフェノール(例えばフェルラ酸)
・ミネラル
・有機酸(例えばアコニット酸)
・抗酸化物質
・グルコース
・フルクトース
式は、例えば、オフライン状況で使用できる実験室用装置をはじめとする他のNIRシステムにおいて使用することができるという変更以外は、BSESシステムについて開発されたものである。
【0095】
結果
結果を図8から33に示す。サンプルポイントは、直線プロットに近づくことが図から明らかである。
【0096】
結論
サンプルポイントが直線性に達すると、r2値は1により近づく。この例における図8から34は、統計的に有意な相関関係を、ミネラル、炭水化物、有機酸およびポリフェノールの濃度を誘導するために基質NIRスペクトルから発現させることができることを納得できるように証明する。この方法は、したがって、さらに高いポリフェノールレベルを含む砂糖を製造する際のQA/QC目的の迅速なオンライン/オフライン測定ツールに有用である。
【0097】
方法は、現行の産業的方法およびプロセス制御システムに容易に適応させ、組み入れることができる。
【0098】
本明細書および本特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という語および「含む(comprising)」という語の各形式は、任意の変形や追加を排除する目的で本発明を制限することはない。
【0099】
本発明に対する修正および改善は、当業者にとって容易に明らかになるであろう。かかる修正および改善は、本発明の範囲内であると考えられる。
【図A】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のレベルの特定の植物化学物質を有する砂糖製品を製造するためのプロセスであって、
(a)一次砂糖製品を調製するステップと、
(b)ステップ(a)からの前記一次砂糖製品を、近赤外分光法、導電率およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分析法を用いて、その植物化学物質プロファイルについて分析するステップと、
(c)ステップ(b)からのプロファイルを、参考植物化学物質プロファイルと比較するステップと、
(di)前記一次砂糖製品を必要ならば処理して、前記所望のレベルの特定の植物化学物質を有する最終砂糖製品を得るステップと、または
(dii)ステップ(a)における前記調製プロセスを必要ならば変更して、前記所望のレベルの特定の植物化学物質を有する一次砂糖製品を生成させるステップと、
を含むプロセス。
【請求項2】
ステップ(b)における前記分析が、
(i)遠くにある光源ならびに反射光収集および透過装置を含むスキャニングヘッドを抽出物(オフライン)または加工流れ(インライン)に隣接して取り付けることと、
(ii)近赤外分光光度計のモノクロメータを用いて、前記反射光を別個の波長の光に分割することと、
(iii)別個の波長によって吸収特性を、対象となる種のそれぞれの定量化された存在と結びつける参考較正式を含むデータベースにアクセスすることと、
(iv)較正式を抽出物または加工流れについて得られたスペクトルに適用することによって、前記対象となる種のそれぞれのプロファイルを作成するためにコンピュータを使用することと、
(v)作成した前記プロファイルをデータベースに保存された所望のプロファイルパラメータと比較して、前記1以上の種の所望のプロファイルを同定することと、
を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記一次砂糖製品が、砂糖、サトウキビからの抽出物,砂糖加工または廃棄物流れからの抽出物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(a)が、洗糖蜜または糖液抽出物を添加して、前記植物化学物質種の所望のレベルを増大させることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップ(b)が、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、可溶性繊維、不溶性繊維、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、タンパク質、およびこれらの混合物からなる群から選択される植物化学物質の分析を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(di)における前記処理が、前記一次砂糖製品上にサトウキビ抽出物をスプレーすることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記最終砂糖製品が低GI糖である、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
(a)ベース植物化学物質担体を調製することと、
(b)近赤外分光法を用いて前記ベース植物化学物質担体を分析することと、
(c)ステップ(b)からのプロファイルを、参考プロファイルと比較することと、
(di)前記ベース植物化学物質担体を必要ならば処理して、所望のレベルの植物化学物質を有する食品を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における前記調製プロセスを必要ならば変更して、前記所望のレベルの植物化学物質を有するベース植物化学物質担体を得ることと、
を含む、食品を製造するためのプロセス。
【請求項9】
前記ベース植物化学物質担体が、可溶性繊維、不溶性繊維、小麦粉、穀類、酪農製品、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(di)および(dii)が、前記ベース植物化学物質担体を、カカオ豆およびカカオ加工副生成物、茶および茶加工廃棄物流れ、カカオポッド外皮および殻、コーヒー豆、コーヒー廃棄物、ブドウポミス、穀類、豆類、ナッツ、アブラナ、果実、野菜、飲料、ハーブ製品、およびこれらの混合物からなる群から選択される植物化学物質源の抽出物で処理することを含む、請求項8または9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
サトウキビ抽出物を製造するプロセスであって、
(a)サトウキビの第1抽出物を調製することと、
(b)ステップ(a)からのサトウキビの前記第1抽出物を、その植物化学物質プロファイルについて、近赤外分光法、導電率およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分析法を用いて分析することと、
(c)ステップ(b)から得た値を参考プロファイルと比較することと、
(di)必要ならば、前記サトウキビの第1抽出物をさらなる抽出プロセスで処理して、所望のレベルの植物化学物質を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを必要ならば変更して、前記所望のレベルの植物化学物質を有するサトウキビ抽出物を得ることと、
を含むプロセス。
【請求項12】
低GI糖製品を製造するためのプロセスであって、
(a)標準的結晶性粗糖、耕地白糖およびこれらの混合物からなる群から選択される一次砂糖製品を調製することと、
(b)植物化学物質プロファイルについて近赤外分光法を用いて、ステップ(a)からの前記一次砂糖製品を分析することと、
(c)ステップ(b)からの前記プロファイルを参考植物化学物質プロファイルと比較することと、
(d)前記一次砂糖製品を、必要ならば糖液抽出物でスプレーコーティングすることによって処理して、前記所望のレベルの特定の植物化学物質を有する最終砂糖製品を得ることと、
を含むプロセス。
【請求項1】
所望のレベルの特定の植物化学物質を有する砂糖製品を製造するためのプロセスであって、
(a)一次砂糖製品を調製するステップと、
(b)ステップ(a)からの前記一次砂糖製品を、近赤外分光法、導電率およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分析法を用いて、その植物化学物質プロファイルについて分析するステップと、
(c)ステップ(b)からのプロファイルを、参考植物化学物質プロファイルと比較するステップと、
(di)前記一次砂糖製品を必要ならば処理して、前記所望のレベルの特定の植物化学物質を有する最終砂糖製品を得るステップと、または
(dii)ステップ(a)における前記調製プロセスを必要ならば変更して、前記所望のレベルの特定の植物化学物質を有する一次砂糖製品を生成させるステップと、
を含むプロセス。
【請求項2】
ステップ(b)における前記分析が、
(i)遠くにある光源ならびに反射光収集および透過装置を含むスキャニングヘッドを抽出物(オフライン)または加工流れ(インライン)に隣接して取り付けることと、
(ii)近赤外分光光度計のモノクロメータを用いて、前記反射光を別個の波長の光に分割することと、
(iii)別個の波長によって吸収特性を、対象となる種のそれぞれの定量化された存在と結びつける参考較正式を含むデータベースにアクセスすることと、
(iv)較正式を抽出物または加工流れについて得られたスペクトルに適用することによって、前記対象となる種のそれぞれのプロファイルを作成するためにコンピュータを使用することと、
(v)作成した前記プロファイルをデータベースに保存された所望のプロファイルパラメータと比較して、前記1以上の種の所望のプロファイルを同定することと、
を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記一次砂糖製品が、砂糖、サトウキビからの抽出物,砂糖加工または廃棄物流れからの抽出物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(a)が、洗糖蜜または糖液抽出物を添加して、前記植物化学物質種の所望のレベルを増大させることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップ(b)が、ポリフェノール、抗酸化物質、有機酸、着色剤、多糖類、可溶性繊維、不溶性繊維、ミネラル、還元糖、ポリコサノール、植物ステロール、中性脂質、リン脂質、乳化剤、タンパク質、およびこれらの混合物からなる群から選択される植物化学物質の分析を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(di)における前記処理が、前記一次砂糖製品上にサトウキビ抽出物をスプレーすることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記最終砂糖製品が低GI糖である、前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
(a)ベース植物化学物質担体を調製することと、
(b)近赤外分光法を用いて前記ベース植物化学物質担体を分析することと、
(c)ステップ(b)からのプロファイルを、参考プロファイルと比較することと、
(di)前記ベース植物化学物質担体を必要ならば処理して、所望のレベルの植物化学物質を有する食品を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における前記調製プロセスを必要ならば変更して、前記所望のレベルの植物化学物質を有するベース植物化学物質担体を得ることと、
を含む、食品を製造するためのプロセス。
【請求項9】
前記ベース植物化学物質担体が、可溶性繊維、不溶性繊維、小麦粉、穀類、酪農製品、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(di)および(dii)が、前記ベース植物化学物質担体を、カカオ豆およびカカオ加工副生成物、茶および茶加工廃棄物流れ、カカオポッド外皮および殻、コーヒー豆、コーヒー廃棄物、ブドウポミス、穀類、豆類、ナッツ、アブラナ、果実、野菜、飲料、ハーブ製品、およびこれらの混合物からなる群から選択される植物化学物質源の抽出物で処理することを含む、請求項8または9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
サトウキビ抽出物を製造するプロセスであって、
(a)サトウキビの第1抽出物を調製することと、
(b)ステップ(a)からのサトウキビの前記第1抽出物を、その植物化学物質プロファイルについて、近赤外分光法、導電率およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分析法を用いて分析することと、
(c)ステップ(b)から得た値を参考プロファイルと比較することと、
(di)必要ならば、前記サトウキビの第1抽出物をさらなる抽出プロセスで処理して、所望のレベルの植物化学物質を得ることと、または
(dii)ステップ(a)における調製プロセスを必要ならば変更して、前記所望のレベルの植物化学物質を有するサトウキビ抽出物を得ることと、
を含むプロセス。
【請求項12】
低GI糖製品を製造するためのプロセスであって、
(a)標準的結晶性粗糖、耕地白糖およびこれらの混合物からなる群から選択される一次砂糖製品を調製することと、
(b)植物化学物質プロファイルについて近赤外分光法を用いて、ステップ(a)からの前記一次砂糖製品を分析することと、
(c)ステップ(b)からの前記プロファイルを参考植物化学物質プロファイルと比較することと、
(d)前記一次砂糖製品を、必要ならば糖液抽出物でスプレーコーティングすることによって処理して、前記所望のレベルの特定の植物化学物質を有する最終砂糖製品を得ることと、
を含むプロセス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公表番号】特表2010−539955(P2010−539955A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527290(P2010−527290)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001461
【国際公開番号】WO2009/043100
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(506381821)ホリズン サイエンス ピーティーワイ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001461
【国際公開番号】WO2009/043100
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(506381821)ホリズン サイエンス ピーティーワイ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
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