説明

破断分離コンロッドの検査装置およびその検査方法

【課題】噛み合い状態が不良となり得るロッドおよびキャップを、クランクピンへの組み付け前に除外する。
【解決手段】破断分離コンロッド20を、ロボットにより検査機構40に移動し、ロケートピン53a,各クランプ装置53bによりロッド21を固定し、ナットランナ80の各ソケット85で各固定ボルト23を弛める。キャップ引き離し機構69の引き離し爪69bによりキャップ22をロッド21から引き離し、キャップ押圧機構71の押圧爪71cによりキャップ22を固定ボルト23の短手方向に押圧する。キャップ押圧機構71によりキャップ22を押圧して、ナットランナ80により各固定ボルト23を締め付けた状態で、ロッド21とキャップ22とのずれ量をずれ計測機構で計測し、コントローラによりずれ量と基準値とを比較してずれ量が基準値以上のときに噛み合い状態が不良となり得る不良品と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大端部の内径を拡張して破断分離したロッドおよびキャップを備えた破断分離コンロッドの検査装置およびその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを形成するコンロッドは、ピストン側に小端部,クランクシャフト側に大端部,小端部と大端部との間に本体部を備えている。小端部にはピストンを首振り自在に支持するピストンピンが嵌挿され、大端部にはクランクシャフトのクランクピンがベアリング(軸受)を介して回転自在に装着される。大端部は、互いに突き合わされるロッドおよびキャップを備え、これらのロッドおよびキャップは一対の固定ボルトによって固定されている。
【0003】
ロッドおよびキャップは精度良く固定する必要があり、例えば、大端部の内径の真円度が低い状態となるようロッドおよびキャップを固定すると、ベアリングの内径寸法が小さくなり、これによりクランクピンの焼き付き等の不具合が発生する虞がある。そこで、大端部の内径の真円度を高めるべく、大端部をクラッキング製法により破断分離し、破断分離したロッドおよびキャップの破断面を互いに一致させるよう突き合わせることが行われている。
【0004】
このような破断分離コンロッドを採用することで、大端部の内径の真円度を、破断前と破断後とで略同様の真円度とすることができる。クラッキング製法により大端部を破断分離するようにした技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された技術が知られている。
【0005】
特許文献1に記載された技術は、貫通孔(大端部)に半割型のマンドレルを嵌合し、マンドレル間に油圧アクチュエータにより駆動される楔を打ち込むようにしており、楔の移動速度等を管理することで破断分離の最適化を図っている。また、特許文献2に記載された技術は、コンロッドを破断した後に、ロッドとキャップとが形成する大径孔(大端部の内径)の真円度を矯正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−144560号公報(図2)
【特許文献2】特開2009−184060号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載された技術は、いずれも破断分離後のロッドおよびキャップの破断状態や形状等を良好とする一方で、破断分離後のロッドおよびキャップのクランクピンへの組み付け時においては、以下に述べるような不具合を生じ得る。ここで、図8(a)は破断面が正確に一致した場合,(b)は破断面のずれ量が許容範囲内の場合,(c)は破断面のずれ量が許容範囲外の場合を示す部分拡大図を表している。なお、破断面のずれ量は実際には目視不可能であるが、図8では説明を分かり易くするために破断面の表面粗さ(表面の凹凸)を大きく表している。
【0008】
ロッドRDおよびキャップCPをクランクピン(図示せず)に組み付けるには、ロッドRDおよびキャップCPを、ベアリングBRを介してクランクピンを挟むよう配置し、その後、固定ボルトFBを締め付けるようにする。その際、図8(a)に示すようにロッドRDの破断面S1とキャップCPの破断面S2とが完全に一致するよう噛み合えば良いが、場合によっては図8(b)および図8(c)に示すように各破断面S1,S2がずれてしまい、噛み合い状態が不良となる。図8(b)に示すように各破断面S1,S2の凹凸の幅(図中上下方向の凹凸の幅)が比較的小さければ、ロッドRDとキャップCPとのずれ量が基準値未満に抑えられ、したがって当該ずれ量は許容範囲内(噛み合い状態良好)となる。一方、図8(c)に示すように各破断面S1,S2の凹凸の幅が大きいと、ロッドRDとキャップCPとのずれ量が基準値以上となり、したがって当該ずれ量が許容範囲外(噛み合い状態不良)となる。
【0009】
このように、ロッドRDおよびキャップCPの破断状態や形状等が良好であっても、ロッドRDおよびキャップCPのクランクピンへの組み付け時に、噛み合い状態が不良となる不具合が生じ得る。したがって、図8(c)に示すようなずれ量が基準値以上となり得るロッドRDおよびキャップCP(破断分離コンロッドCR)を、不良品として事前に除外できるような工夫が必要となっていた。
【0010】
本発明の目的は、噛み合い状態が不良となり得るロッドおよびキャップを、クランクピンへの組み付け前に除外することが可能な破断分離コンロッドの検査装置およびその検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の破断分離コンロッドの検査装置は、大端部の内径を拡張して破断分離したロッドおよびキャップを備えた破断分離コンロッドの検査装置であって、前記ロッドおよび前記キャップの破断面同士を突き合わせ、固定ボルトで仮止めした前記破断分離コンロッドを、供給部から検査部に移動する移動機構と、前記検査部に設けられ、前記ロッドを固定する固定機構と、前記固定ボルトを回転させるソケットを備えたナットランナと、前記固定ボルトの長手方向に移動する第1爪部を備え、前記第1爪部を移動して前記キャップを前記ロッドから引き離すキャップ引き離し機構と、前記固定ボルトの短手方向に移動する第2爪部を備え、前記第2爪部を移動して前記キャップを前記固定ボルトの短手方向に押圧するキャップ押圧機構と、前記キャップ押圧機構により前記キャップを押圧して、前記ナットランナにより前記固定ボルトを締め付けた状態のもとで、前記ロッドと前記キャップとの噛み合い状態を判定するコントローラと、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の破断分離コンロッドの検査装置は、前記コントローラは、前記ロッドと前記キャップとのずれ量と基準値とを比較し、前記ずれ量が前記基準値以上のときに不良品と判定することを特徴とする。
【0013】
本発明の破断分離コンロッドの検査装置は、前記キャップ押圧機構は、前記固定ボルトの短手方向両側から前記キャップを押圧する一対の前記第2爪部を備え、前記コントローラは、短手方向両側の前記ずれ量が何れも前記基準値未満のときに良品と判定することを特徴とする。
【0014】
本発明の破断分離コンロッドの検査装置は、前記破断面に向けて高圧エアを噴射し、前記破断面に付着した微細ゴミを除去するエアブロー機構を設けることを特徴とする。
【0015】
本発明の破断分離コンロッドの検査装置は、前記キャップ引き離し機構は、前記第1爪部を前記固定ボルトの長手方向に往復移動させ、前記破断面に付着した微細ゴミを除去することを特徴とする。
【0016】
本発明の破断分離コンロッドの検査方法は、大端部の内径を拡張して破断分離したロッドおよびキャップを備えた破断分離コンロッドの検査方法であって、前記ロッドおよび前記キャップの破断面同士を突き合わせ、固定ボルトで仮止めした前記破断分離コンロッドを、供給部から検査部に移動する移動工程と、前記検査部に前記ロッドを固定しつつ、ナットランナのソケットを回転させて前記固定ボルトを弛めるボルト弛め工程と、前記固定ボルトの長手方向に移動する第1爪部を移動し、前記キャップを前記ロッドから引き離すキャップ引き離し工程と、前記固定ボルトの短手方向に移動する第2爪部を移動し、前記キャップを前記固定ボルトの短手方向に押圧するキャップ押圧工程と、前記キャップを前記固定ボルトの短手方向に押圧しつつ、前記ナットランナの前記ソケットを回転させて前記固定ボルトを締めるボルト締め工程と、前記ロッドおよび前記キャップを組み付けた状態での前記ロッドと前記キャップとの噛み合い状態を判定する判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の破断分離コンロッドの検査方法は、前記判定工程では、前記ロッドと前記キャップとのずれ量と基準値とを比較し、前記ずれ量が前記基準値以上のときに不良品と判定することを特徴とする。
【0018】
本発明の破断分離コンロッドの検査方法は、前記キャップ押圧工程では、一対の前記第2爪部を移動して前記固定ボルトの短手方向両側から前記キャップを押圧し、前記判定工程では、短手方向両側の前記ずれ量が何れも前記基準値未満のときに良品と判定することを特徴とする。
【0019】
本発明の破断分離コンロッドの検査方法は、前記キャップ引き離し工程の後に、エアブロー機構により前記破断面に向けて高圧エアを噴射し、前記破断面に付着した微細ゴミを除去するゴミ除去工程を設けることを特徴とする。
【0020】
本発明の破断分離コンロッドの検査方法は、前記キャップ引き離し工程では、前記第1爪部を前記固定ボルトの長手方向に往復移動させ、前記破断面に付着した微細ゴミを除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ロッドおよびキャップの破断面同士を突き合わせて固定ボルトで仮止めした破断分離コンロッドを、移動機構により検査部に移動し、固定機構によりロッドを固定し、ナットランナのソケットで固定ボルトを弛める。キャップ引き離し機構の第1爪部を固定ボルトの長手方向に移動してキャップをロッドから引き離し、キャップ押圧機構の第2爪部を固定ボルトの短手方向に移動してキャップを固定ボルトの短手方向に押圧する。キャップ押圧機構によりキャップを押圧して、ナットランナにより固定ボルトを締め付けた状態のもとで、コントローラによりロッドとキャップとの噛み合い状態を判定する。
【0022】
したがって、ロッドおよびキャップをクランクピンに組み付ける前に、噛み合い状態が不良となり得るロッドおよびキャップ(図8(c)参照)を、不良品として除外することができる。よって、本検査工程を経たロッドおよびキャップは、クランクピンへの組み付け時に噛み合い状態が不良とならないので、ロッドおよびキャップを正確に突き合わせることができ、ひいては品質の向上および信頼性の向上を図ることができる。
【0023】
本発明によれば、コントローラは、ロッドとキャップとのずれ量と基準値とを比較し、ずれ量が基準値以上のときに不良品と判定するので、ずれ量が基準値よりも大きくなり得るロッドおよびキャップ(図8(c)参照)を不良品と判定できる。よって、本検査工程を経たロッドおよびキャップは、クランクピンへの組み付け時にずれ量が基準値以上とならないので、ロッドおよびキャップを正確に突き合わせることができ、ひいては品質の向上および信頼性の向上を図ることができる。
【0024】
本発明によれば、キャップ押圧機構は、固定ボルトの短手方向両側からキャップを押圧する一対の第2爪部を備え、コントローラは、短手方向両側のずれ量が何れも基準値未満のときに良品と判定することもできる。この場合、例えば、ロッドに対してキャップの短手方向一側を上方にして組み付ける場合や、ロッドに対してキャップの短手方向他側を上方にして組み付ける場合であっても、クランクピンへの組み付け時にずれ量が基準値以上とならない。
【0025】
本発明によれば、破断面に向けて高圧エアを噴射し、破断面に付着した微細ゴミを除去するエアブロー機構を設けたり、キャップ引き離し機構により第1爪部を固定ボルトの長手方向に往復移動させ、破断面に付着した微細ゴミを除去したりすることもできる。この場合、ロッドとキャップとの噛み合い状態を、より正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コンロッド検査装置の全体構造を示す上方から見た図である。
【図2】コンロッド検査装置の検査機構を示す測方から見た図である。
【図3】ワークステージおよびナットランナを示す部分拡大図である。
【図4】(a),(b)は、第1ボルト弛め工程および第1キャップ引き離し工程を示す動作説明図である。
【図5】(a),(b)は、第1キャップ押圧工程および第1ボルト締め工程を示す動作説明図である。
【図6】(a),(b)は、ロッドとキャップとのずれ量を説明する説明図である。
【図7】第2キャップ押圧工程,第2ボルト締め工程を示す動作説明図である。
【図8】(a)は破断面が正確に一致した場合,(b)は破断面のずれ量が許容範囲内の場合,(c)は破断面のずれ量が許容範囲外の場合を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
図1はコンロッド検査装置の全体構造を示す上方から見た図を、図2はコンロッド検査装置の検査機構を示す測方から見た図を、図3はワークステージおよびナットランナを示す部分拡大図をそれぞれ表している。
【0029】
図1に示すコンロッド検査装置10は、大端部の内径を拡張して破断分離したロッド21,キャップ22および一対の固定ボルト23を備えた破断分離コンロッド20を検査する検査装置となっている。コンロッド検査装置10は、自動車等の車両に搭載されるエンジンの組み立てライン上(図示せず)に設けられ、破断分離コンロッド20のロッド21およびキャップ22が、図示しないクランクシャフトのクランクピンに対して、ずれること無く(あるいは所定のずれ量で)組み付けられるか否かを判定する。
【0030】
コンロッド検査装置10は、移動機構としてのロボット30,検査部としての検査機構40,供給部としてのワーク供給コンベア11,OKワークラック12およびNGワークシュータ13を備えている。検査機構40,ワーク供給コンベア11,OKワークラック12およびNGワークシュータ13は、ロボット30の周囲を取り囲むように配置され、これによりロボット30の可動範囲を最小限に抑えて効率化を図っている。また、検査機構40は、OKワークラック12とNGワークシュータ13との間に配置され、検査対象である破断分離コンロッド20(ワーク)の良品または不良品を、ロボット30の駆動制御により振り分けし易くしている。
【0031】
ロボット30は、工場の床面FL(図2参照)に固定された台座31と、台座31に回動自在に設けられた本体部32と、基端側が本体部32に接続され、先端側に破断分離コンロッド20を把持するハンド33を有するアーム部34とを備えている。ロボット30はコントローラ14に電気的に接続され、ロボット30はコントローラ14によって駆動制御される。これにより、ワーク供給コンベア11にある破断分離コンロッド20を検査機構40に移動することができる。また、ロボット30は、検査機構40において検査を終えた破断分離コンロッド20を、OKワークラック12またはNGワークシュータ13に振り分けるようになっている。
【0032】
ここで、ワーク供給コンベア11にある破断分離コンロッド20は、ロッド21およびキャップ22の破断面S1,S2(図6参照)同士を突き合わせ、各固定ボルト23で仮止めした状態(仮組み状態)となっている。これにより、破断分離する前に元々一体であったロッド21およびキャップ22の組み合わせを、間違えること無く適正なものとしている。なお、破断分離コンロッド20の仮組みは、コンロッド検査装置10による検査工程の前段の工程、例えば、鋳造成形により一体化されたロッドおよびキャップを破断分離する破断分離工程(図示せず)において行われる。
【0033】
図1,2に示すように、検査機構40は、床面FL上に設置されるワーク支持部50と、ワーク支持部50の上方側に移動自在に設けられる可動機構部60と、ワーク支持部50の側方側に移動自在に設けられるナットランナ80とを備えている。
【0034】
ワーク支持部50は、床面FLに固定される略長方形形状に形成されたベース板51を備えている。ベース板51には、その長手方向に沿うよう一対のレール52が設けられ、各レール52には、破断分離コンロッド20を搭載する移動ステージ53が移動自在に設けられている。ベース板51には、さらにコントローラ14により駆動制御されるボールネジ機構54が設けられている。ボールネジ機構54は移動ステージ53の駆動源として機能し、ボールネジ機構54を駆動制御することで、移動ステージ53は図1の位置Aと位置Bとの間で移動するようになっている。
【0035】
図2,3に示すように、移動ステージ53には、略円柱形状に形成されたロケートピン53aが一体に設けられている。ロケートピン53aには、ロッド21に設けられたピン孔(小端部)21aが嵌合するようになっており、これによりロッド21の小端部側(図中左側)を、移動ステージ53上の所定の位置に位置決めすることができる。
【0036】
移動ステージ53には、さらに一対のクランプ装置53bが設けられている。各クランプ装置53bは、それぞれクランプ爪53cを備えており、各クランプ爪53cは、空圧機器からの圧縮エア(図示せず)により作動し、ロッド21の大端部側(図中右側)をその短手方向両側(図中上下側)から挟持するようになっている。これによりロッド21の大端部側を、移動ステージ53上の所定の位置に位置決めすることができる。
【0037】
移動ステージ53上には、ロッド21およびキャップ22を精度良く平行に支持するために、ステンレス等の鋼板よりなる3つの支持板53dが装着されている。各支持板53dは、ロッド21やキャップ22を精度良く平行に支持するとともに移動ステージ53上で滑り易くしている。ここで、ロケートピン53aおよび各クランプ装置53bは、本発明における固定機構を構成しており、これらのロケートピン53aおよび各クランプ装置53bは、移動ステージ53上でロッド21をがたつくこと無く固定するようになっている。
【0038】
図2に示すように、可動機構部60は、基端側が床面FLに固定されて先端側が床面FLから上方側に延びる一対の支柱61を備えている。各支柱61の先端側には、各支柱61の先端側を連結する一対のスライドレール62が固定されている。各スライドレール62には、可動ブロック63が移動自在に設けられ、可動ブロック63は、一方側(図中右側)の支柱61に設けられたアクチュエータ64の駆動制御により、各スライドレール62に対して左右方向に移動するようになっている。ここで、アクチュエータ64は圧縮エアにより作動するようになっている。
【0039】
可動ブロック63には、圧縮エアにより作動する第1昇降機構65および第2昇降機構66が設けられている。第1昇降機構65の床面FL側には、第1昇降ベース67が設けられ、この第1昇降ベース67は、第1昇降機構65の駆動制御により上下方向に移動するようになっている。また、第2昇降機構66の床面FL側には、第2昇降ベース68が設けられ、この第2昇降ベース68は、第2昇降機構66の駆動制御により上下方向に移動するようになっている。
【0040】
第1昇降ベース67の床面FL側には、キャップ引き離し機構69,キャップ戻し機構70,一対のキャップ押圧機構71,エアブロー機構72が設けられている。
【0041】
キャップ引き離し機構69は、圧縮エアにより作動するエアシリンダ69aと、エアシリンダ69aの駆動制御により移動する引き離し爪(第1爪部)69bとを備えている。引き離し爪69bはキャップ22の内径側に当接し、固定ボルト23の長手方向に移動する。これにより引き離し爪69bは、キャップ22をロッド21から引き離す(離間させる)ようになっている。
【0042】
キャップ戻し機構70は、圧縮エアにより作動するエアシリンダ70aと、エアシリンダ70aの駆動制御により移動する戻し爪70bとを備えている。戻し爪70bはキャップ22の外径側に当接し、固定ボルト23の長手方向に移動する。これにより戻し爪70bは、キャップ22をロッド21向けて戻す(近接させる)ようになっている。
【0043】
一対のキャップ押圧機構71は、圧縮エアにより作動するエアシリンダ71aと、エアシリンダ71aの駆動制御により移動する押圧爪(第2爪部)71b,71cとを備えている。各押圧爪71b,71cは、固定ボルト23の短手方向に移動するようになっており、キャップ22を固定ボルト23の短手方向両側からそれぞれ押圧するようになっている。つまり、各押圧爪71b,71cは、キャップ22を、ロッド21に対して固定ボルト23の短手方向にずらすように作動する。
【0044】
エアブロー機構72は、一対のエアノズル72aを備えている。各エアノズル72aの基端側は、第1昇降ベース67にそれぞれ固定され、さらに図示しない高圧エアタンクにそれぞれ接続されている。各エアノズル72aの先端側は、固定ボルト23の短手方向に沿うようロッド21およびキャップ22の破断面と対向しており、各エアノズル72aから噴射される高圧エアは、ロッド21およびキャップ22の破断面S1,S2間(図4(b)参照)を通過するようになっている。これにより、ロッド21およびキャップ22の破断面に付着した金属粉等の微細ゴミを除去するようになっている。
【0045】
第2昇降ベース68には、ずれ計測機構73が設けられている。ずれ計測機構73は、ロッド21とキャップ22とを突き合わせて固定ボルト23で固定した状態のもとで、ロッド21およびキャップ22の内径側(大端部の内径側)に入り込むようになっている(図6参照)。ずれ計測機構73は電気マイクロメータにより形成され、第2昇降ベース68の移動により、ロッド21およびキャップ22の内径側の形状に倣って移動(回転)する。これにより、ロッド21とキャップ22との段差、つまりロッド21とキャップ22とのずれ量を計測することができる。ずれ計測機構73によって計測したずれ量(ずれデータ)は、コントローラ14(図1参照)に送出され、コントローラ14において予め格納された基準値と比較される。
【0046】
ナットランナ80は、可動機構部60の下方側でかつワーク支持部50の測方側に配置され、床面FLに固定されるベース部材81を備えている。ベース部材81にはランナ本体82が移動自在に設けられ、ランナ本体82は、圧縮エアの供給により、ワーク支持部50に対して近接または離間するようになっている。ランナ本体82には、コントローラ14によって同期駆動される一対の駆動モータ83が設けられ、各駆動モータ83の回転軸84には、各固定ボルト23のボルト頭部に嵌合して各固定ボルト23を回転させるソケット85がそれぞれ固定されている。ここで、図3に示すように、各駆動モータ83はランナ本体82に平行に設けられ、その離間距離は各固定ボルト23の離間距離と等しくなっている。
【0047】
次に、以上のように形成したコンロッド検査装置10の動作について、図面を用いて詳細に説明する。
【0048】
図4(a),(b)は、第1ボルト弛め工程および第1キャップ引き離し工程を示す動作説明図を、図5(a),(b)は第1キャップ押圧工程および第1ボルト締め工程を示す動作説明図を、図6(a),(b)はロッドとキャップとのずれ量を説明する説明図を、図7は第2キャップ押圧工程,第2ボルト締め工程を示す動作説明図をそれぞれ表している。
【0049】
<第1工程>
まず、図1に示すように、ロッド21およびキャップ22の破断面S1,S2(図6参照)同士を突き合わせ、各固定ボルト23で仮止め(仮組み)した検査前の破断分離コンロッド20が、ワーク供給コンベア11によって供給される。すると、コントローラ14によってロボット30が駆動制御され、ワーク供給コンベア11にある破断分離コンロッド20がハンド33によって取り上げられる。このとき、検査機構40の移動ステージ53は、コントローラ14によるボールネジ機構54の駆動制御によって、位置Aに移動して待機状態となっている。
【0050】
ロボット30により取り上げられた破断分離コンロッド20は、位置Aにある移動ステージ53上に載置され、このとき、図3に示すようにロケートピン53aがロッド21のピン孔21aに嵌合し、ロッド21の大端部側が各クランプ装置53bの各クランプ爪53c間に配置される。これにより、検査前の破断分離コンロッド20のワーク供給コンベア11から検査機構40への移動が完了する。ここで、ロボット30によってワーク供給コンベア11から検査機構40に検査前の破断分離コンロッド20を移動する工程が、本発明における移動工程を構成している。
【0051】
<第2工程>
その後、破断分離コンロッド20を搭載した移動ステージ53は、ボールネジ機構54の駆動制御により位置Aから可動機構部60の直下部分まで移動される(図1の状態参照)。次いで、図4(a)の矢印(1)に示すように、コントローラ14により各クランプ装置53bの各クランプ爪53cが駆動制御され、各クランプ爪53cのそれぞれがロッド21に向けて移動する。これによりロッド21の大端部側が挟持され、ロッド21(破断分離コンロッド20)が移動ステージ53(検査機構40)に固定される。
【0052】
次に、コントローラ14の駆動制御により、図中矢印(2)に示すようにナットランナ80が前進移動してワーク支持部50に近接し、各駆動モータ83の各回転軸84に固定した各ソケット85が、各固定ボルト23のボルト頭部に嵌合する。そして、図中矢印(3)に示すように、各回転軸84の反時計方向への回転に伴い各ソケット85も回転し、これにより各固定ボルト23が弛められる。ここで、破断分離コンロッド20を検査機構40に固定しつつ、ナットランナ80により最初(1回目)に各固定ボルト23を弛める「第1ボルト弛め工程」は、本発明におけるボルト弛め工程を構成している。
【0053】
<第3工程>
その後、図4(b)の矢印(4)に示すように、ナットランナ80が後退移動してワーク支持部50から離間する。次いで、コントローラ14の駆動制御により、キャップ引き離し機構69(図2参照)の引き離し爪69bが、図中矢印(5)に示すように固定ボルト23の長手方向に移動し、キャップ22をロッド21から所定量引き離す。ここで、キャップ引き離し機構69により、最初(1回目)にキャップ22をロッド21から引き離す「第1キャップ引き離し工程」は、本発明におけるキャップ引き離し工程を構成している。
【0054】
<第4工程>
キャップ22をロッド21から引き離した後(第3工程後)、コントローラ14の駆動制御により、図中符号(6)に示すようにエアブロー機構72の各エアノズル72aから高圧エアが噴射される。そして、各エアノズル72aから噴射された高圧エアは、ロッド21の破断面S1とキャップ22の破断面S2との間を通過し、これにより各破断面S1,S2に付着した金属粉等の微細ゴミが除去される。ここで、エアブロー機構72により各破断面S1,S2に付着した微細ゴミを除去する工程が、本発明におけるゴミ除去工程を構成している。
【0055】
<第5工程>
次に、コントローラ14の駆動制御により、図5(a)の矢印(7)に示すように、キャップ戻し機構70の戻し爪70bが固定ボルト23の長手方向に移動し、これによりキャップ22をロッド21に向けて近接移動する。このとき、キャップ22とロッド21との間の隙間寸法が1.0mm程度となるようにする。その後、第3工程〜第5工程を複数回繰り返すことにより、キャップ22を振動させるよう往復移動させ、高圧エアの噴射とともに微細ゴミの除去を行う。
【0056】
つまり、複数回繰り返される第3工程および第5工程において、キャップ引き離し機構69の引き離し爪69bおよびキャップ戻し機構70の戻し爪70bが、それぞれ固定ボルト23の長手方向に往復移動し、これによりキャップ22を振動させることができる。したがって、キャップ22の破断面S2に付着した微細ゴミを確実に除去することができる。
【0057】
<第6工程>
第3工程〜第5工程を複数回繰り返した後、コントローラ14の駆動制御により、図5(b)の矢印(8)に示すように、一方のキャップ押圧機構71の押圧爪71cが固定ボルト23の短手方向に移動してキャップ22を押圧する。これにより、押圧爪71cは、固定ボルト23のガタの範囲でキャップ22をロッド21に対してずらす。なお、キャップ22を押圧する押圧力fは、図6の網掛矢印に示すように、例えば2.5kgに設定されている。この押圧力f(2.5kg)は、ロッド21およびキャップ22をクランクピン(図示せず)に組み付ける際に生じ得るずれ力を想定して設定している。ここで、一方のキャップ押圧機構71における押圧爪71cにより、最初(1回目)にキャップ22を固定ボルト23の短手方向から押圧する「第1キャップ押圧工程」は、本発明におけるキャップ押圧工程を構成している。
【0058】
<第7工程>
次いで、コントローラ14の駆動制御により、図中矢印(9)に示すようにナットランナ80が前進移動してワーク支持部50に近接し、各駆動モータ83の各回転軸84に固定した各ソケット85が、各固定ボルト23のボルト頭部に嵌合する。そして、図中矢印(10)に示すように、各回転軸84の時計方向への回転に伴い各ソケット85も回転し、これにより各固定ボルト23が締め付けられる。ここで、ナットランナ80によって、最初(1回目)に各固定ボルト23を締め付ける「第1ボルト締め工程」は、本発明におけるボルト締め工程を構成している。
【0059】
<第8工程>
その後、図2の矢印(11)に示すように、ナットランナ80が後退移動してワーク支持部50から離間する。次いで、図中矢印(12)に示すように、コントローラ14の駆動制御により可動ブロック63が移動し、ずれ計測機構73がロッド21およびキャップ22の上方、つまり破断分離コンロッド20の大端部の上方に配置される。引き続き、コントローラ14の駆動制御により第2昇降機構66が作動し、ずれ計測機構73が下降してロッド21およびキャップ22の内径側(大端部の内径側)に入り込む。
【0060】
そして、図6(a)に示すように、ずれ計測機構73は、当該ずれ計測機構73の中心位置からロッド21の内径部分までの距離L1と、ずれ計測機構73の中心位置からキャップ22の内径部分までの距離L2とを計測する。これらの計測結果は、ずれ量(ずれデータ)としてコントローラ14に送出される。その後、コントローラ14は、入力されたずれ量と基準値(例えば、20μm)とを比較し、ずれ量が基準値以上のときに、当該破断分離コンロッド20は噛み合い状態が不良になり得る不良品であると判定する。
【0061】
具体的には、図8(c)に示すように各破断面S1,S2の凹凸の幅が大きく、ずれ量が基準値以上である場合に不良品と判定する。一方、図8(b)に示すように各破断面S1,S2の凹凸の幅が小さく、ずれ量が基準値未満である場合に良品(噛み合い状態良好)と判定する。ここで、最初(1回目)に、ロッド21およびキャップ22を組み付け状態としてそのずれ量を計測し、ずれ量と基準値とを比較して良品,不良品を判定する「第1計測判定工程」は、本発明におけるずれ量判定工程を構成している。
【0062】
<第9工程(不良品判定の場合)>
破断分離コンロッド20が不良品と判定された場合には、まず、コントローラ14の駆動制御により可動ブロック63を上昇移動させる。その後、図1に示すように、コントローラ14の駆動制御により移動ステージ53が位置Bに移動する。次いで、コントローラ14の駆動制御によりロボット30が作動し、移動ステージ53上の検査後の破断分離コンロッド20(不良品)が取り上げられて、NGワークシュータ13に搬送される。ここで、NGワークシュータ13に搬送された不良品は、例えば、再度溶融させる等して、新たな破断分離コンロッドとして鋳造成形される。
【0063】
<第9工程(良品判定の場合)>
一方、破断分離コンロッド20が良品と判定された場合には、再度、第2工程〜第8工程を実行するようになっている。つまり、2回目として、第2ボルト弛め工程(ボルト弛め工程),第2キャップ引き離し工程(キャップ引き離し工程),第2キャップ押圧工程(キャップ押圧工程),第2ボルト締め工程(ボルト締め工程),第2計測判定工程(ずれ量判定工程)を順に実行する。
【0064】
ただし、2回目の第6工程(第2キャップ押圧工程)では、コンロッド検査装置10は図7に示すように動作する。つまり、図7中矢印(13)に示すように、他方のキャップ押圧機構71の押圧爪71bが固定ボルト23の短手方向に移動してキャップ22を押圧する。これにより、押圧爪71bは、固定ボルト23のガタの範囲でキャップ22をロッド21に対してずらす。その後、図中矢印(14)および(15)に示すように、各固定ボルト23をナットランナ80により締め付ける。
【0065】
次いで、図6(b)に示すように、ずれ計測機構73によって、ロッド21とキャップ22とのずれ量(距離L3,L4)を計測し、当該ずれ量が基準値以上である場合は、コントローラ14は不良品と判定する。一方、2回目の計測でもずれ量が基準値未満となった場合には、コントローラ14は良品と判定する。そして良品判定の場合には、図1に示すようにコントローラ14の駆動制御によって移動ステージ53が位置Aに移動し、最終的に良品と判定された検査後の破断分離コンロッド20はロボット30の動作によりOKワークラック12に搬送される。一方、不良品判定の場合には、上記と同様にNGワークシュータ13に搬送され、その後、例えば、再度溶融させる等して、新たな破断分離コンロッドとして鋳造成形される。
【0066】
このように、コンロッド検査装置10は一対のキャップ押圧機構71の各押圧爪71b,71cにより、キャップ22を固定ボルト23の短手方向両側(図中上下側)から押圧し、ずれ量が2回とも基準値未満である場合に、良品と判定する。つまり、ロッド21に対してキャップ22の短手方向一側を上方にして組み付ける場合や、ロッド21に対してキャップ22の短手方向他側を上方にして組み付ける場合でのずれ状態を想定し、一側および他側(2回)の各ずれ量を検査するようにしている。
【0067】
以上詳述したように、本実施の形態に係るコンロッド検査装置10によれば、ロッド21およびキャップ22の破断面S1,S2同士を突き合わせて、各固定ボルト23で仮止めした破断分離コンロッド20を、ロボット30により検査機構40に移動し、ロケートピン53aおよび各クランプ装置53bによりロッド21を固定し、ナットランナ80の各ソケット85で各固定ボルト23を弛める。キャップ引き離し機構69の引き離し爪69bを固定ボルト23の長手方向に移動してキャップ22をロッド21から引き離し、キャップ押圧機構71の押圧爪71cを固定ボルト23の短手方向に移動してキャップ22を固定ボルト23の短手方向に押圧する。キャップ押圧機構71によりキャップ22を押圧して、ナットランナ80により各固定ボルト23を締め付けた状態のもとで、ロッド21とキャップ22とのずれ量をずれ計測機構73により計測し、コントローラ14によりずれ量と基準値とを比較して、ずれ量が基準値以上のときに不良品と判定する。
【0068】
したがって、ロッド21およびキャップ22をクランクピンに組み付ける前に、ずれ量が基準値よりも大きくなり得る、つまり噛み合い状態が不良となり得るロッド21およびキャップ22(図8(c)参照)を不良品と判定できる。よって、本検査工程を経たロッド21およびキャップ22は、クランクピンへの組み付け時にずれ量が基準値以上とならないので、ロッド21およびキャップ22を正確に突き合わせることができ、ひいては品質の向上および信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
また、本実施の形態に係るコンロッド検査装置10によれば、キャップ押圧機構71は、固定ボルト23の短手方向両側からキャップ22を押圧する一対の押圧爪71b,71cを備え、コントローラ14は、短手方向両側のずれ量が何れも基準値未満のときに良品と判定する。したがって、例えば、ロッド21に対してキャップ22の短手方向一側を上方にして組み付ける場合や、ロッド21に対してキャップ22の短手方向他側を上方にして組み付ける場合であっても、クランクピンへの組み付け時にずれ量が基準値以上とならない。
【0070】
さらに、本実施の形態に係るコンロッド検査装置10によれば、各破断面S1,S2に向けて高圧エアを噴射し、各破断面S1,S2に付着した微細ゴミを除去するエアブロー機構72を設けたり、キャップ引き離し機構69により引き離し爪69bを固定ボルト23の長手方向に往復移動させ、破断面S2に付着した微細ゴミを除去したりする。したがって、ロッド21とキャップ22とのずれ量を、より正確に計測することができる。
【0071】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、キャップ引き離し機構69,キャップ戻し機構70,キャップ押圧機構71等を、それぞれ空圧機器からの圧縮エアにより作動するものを示したが、本発明はこれに限らず、油圧機器から供給される油圧により作動するものであっても良い。
【0072】
また、上記実施の形態においては、ずれ計測機構73として電気マイクロメータを用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、撮像カメラ等を用いてロッド21とキャップ22との間の段差を撮像し、これによりずれ量を計測するようにしても良い。
【0073】
さらに、上記実施の形態においては、ロッド21とキャップ22との噛み合い状態を、両者のずれ量を見て判定する場合を示したが、本発明はこれに限らず、例えば、ロッド21とキャップ22との間の隙間に光を照射してその透過量を計測して噛み合い状態を判定したり、ロッド21とキャップ22との間での熱伝導率を計測して噛み合い状態を判定したりすることもできる。
【符号の説明】
【0074】
10 コンロッド検査装置(破断分離コンロッドの検査装置)
11 ワーク供給コンベア(供給部)
14 コントローラ
20 破断分離コンロッド
21 ロッド
22 キャップ
23 固定ボルト
30 ロボット(移動機構)
40 検査機構(検査部)
53a ロケートピン(固定機構)
53b クランプ装置(固定機構)
69 キャップ引き離し機構
69b 引き離し爪(第1爪部)
71 キャップ押圧機構
71b,71c 押圧爪(第2爪部)
72 エアブロー機構
73 ずれ計測機構
80 ナットランナ
85 ソケット
S1,S2 破断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大端部の内径を拡張して破断分離したロッドおよびキャップを備えた破断分離コンロッドの検査装置であって、
前記ロッドおよび前記キャップの破断面同士を突き合わせ、固定ボルトで仮止めした前記破断分離コンロッドを、供給部から検査部に移動する移動機構と、
前記検査部に設けられ、前記ロッドを固定する固定機構と、
前記固定ボルトを回転させるソケットを備えたナットランナと、
前記固定ボルトの長手方向に移動する第1爪部を備え、前記第1爪部を移動して前記キャップを前記ロッドから引き離すキャップ引き離し機構と、
前記固定ボルトの短手方向に移動する第2爪部を備え、前記第2爪部を移動して前記キャップを前記固定ボルトの短手方向に押圧するキャップ押圧機構と、
前記キャップ押圧機構により前記キャップを押圧して、前記ナットランナにより前記固定ボルトを締め付けた状態のもとで、前記ロッドと前記キャップとの噛み合い状態を判定するコントローラと、
を備えることを特徴とする破断分離コンロッドの検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の破断分離コンロッドの検査装置において、前記コントローラは、前記ロッドと前記キャップとのずれ量と基準値とを比較し、前記ずれ量が前記基準値以上のときに不良品と判定することを特徴とする破断分離コンロッドの検査装置。
【請求項3】
請求項2記載の破断分離コンロッドの検査装置において、前記キャップ押圧機構は、前記固定ボルトの短手方向両側から前記キャップを押圧する一対の前記第2爪部を備え、前記コントローラは、短手方向両側の前記ずれ量が何れも前記基準値未満のときに良品と判定することを特徴とする破断分離コンロッドの検査装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の破断分離コンロッドの検査装置において、前記破断面に向けて高圧エアを噴射し、前記破断面に付着した微細ゴミを除去するエアブロー機構を設けることを特徴とする破断分離コンロッドの検査装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の破断分離コンロッドの検査装置において、前記キャップ引き離し機構は、前記第1爪部を前記固定ボルトの長手方向に往復移動させ、前記破断面に付着した微細ゴミを除去することを特徴とする破断分離コンロッドの検査装置。
【請求項6】
大端部の内径を拡張して破断分離したロッドおよびキャップを備えた破断分離コンロッドの検査方法であって、
前記ロッドおよび前記キャップの破断面同士を突き合わせ、固定ボルトで仮止めした前記破断分離コンロッドを、供給部から検査部に移動する移動工程と、
前記検査部に前記ロッドを固定しつつ、ナットランナのソケットを回転させて前記固定ボルトを弛めるボルト弛め工程と、
前記固定ボルトの長手方向に移動する第1爪部を移動し、前記キャップを前記ロッドから引き離すキャップ引き離し工程と、
前記固定ボルトの短手方向に移動する第2爪部を移動し、前記キャップを前記固定ボルトの短手方向に押圧するキャップ押圧工程と、
前記キャップを前記固定ボルトの短手方向に押圧しつつ、前記ナットランナの前記ソケットを回転させて前記固定ボルトを締めるボルト締め工程と、
前記ロッドおよび前記キャップを組み付けた状態での前記ロッドと前記キャップとの噛み合い状態を判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする破断分離コンロッドの検査方法。
【請求項7】
請求項6記載の破断分離コンロッドの検査方法において、前記判定工程では、前記ロッドと前記キャップとのずれ量と基準値とを比較し、前記ずれ量が前記基準値以上のときに不良品と判定することを特徴とする破断分離コンロッドの検査方法。
【請求項8】
請求項7記載の破断分離コンロッドの検査方法において、前記キャップ押圧工程では、一対の前記第2爪部を移動して前記固定ボルトの短手方向両側から前記キャップを押圧し、前記判定工程では、短手方向両側の前記ずれ量が何れも前記基準値未満のときに良品と判定することを特徴とする破断分離コンロッドの検査方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の破断分離コンロッドの検査方法において、前記キャップ引き離し工程の後に、エアブロー機構により前記破断面に向けて高圧エアを噴射し、前記破断面に付着した微細ゴミを除去するゴミ除去工程を設けることを特徴とする破断分離コンロッドの検査方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の破断分離コンロッドの検査方法において、前記キャップ引き離し工程では、前記第1爪部を前記固定ボルトの長手方向に往復移動させ、前記破断面に付着した微細ゴミを除去することを特徴とする破断分離コンロッドの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−206214(P2012−206214A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74050(P2011−74050)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)