説明

破砕ゴム片の敷設利用方法及び構造

【課題】土中に敷設した場合の路面沈下を防止ないし抑制することができ、また破砕ゴム片を周囲の土から分離して取り出すことも可能な破砕ゴム片の敷設利用方法を提供する。
【解決手段】ジオグリッド1を枠体3の上に被せ、ジオグリッド1の長手方向の両端部側1aを枠体3の側方に延出させる。枠体3の内側領域のジオグリッド1上に破砕ゴム片2を堆積させた後、ジオグリッド1の端部側1a,1aを破砕ゴム片2の堆積物の上に折り重ねる。次いで、フォークリフトのフォーク5等の重機に取り付けた押板4で破砕ゴム片2を上方からプレスする。このようにして形成した破砕ゴム片被包体を土中に敷設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕ゴム片の敷設利用方法及び構造に関するものであり、特に破砕ゴム片をジオグリッドで被包して敷設するようにした破砕ゴム片の敷設利用方法及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
廃タイヤチップ、シュレッズなどの破砕ゴム片が地盤材料として有効なことが試験施工を通じて実証されており、土木分野での廃タイヤシュレッズの使用量が急増している。
【0003】
地盤補強等のためにジオグリッドと称される格子状シートが用いられている。従来、ジオグリッドにはプラスチック製の格子状シートや合成繊維、特にビニロンを主体としたメッシュ編み織布に塩化ビニル樹脂などを含浸付与したテキスタイルジオグリッドが使用されている。例えば合成繊維フィラメント糸で織編された格子状繊維シートにポリ塩化ビニル樹脂を含浸被覆した土木用格子状シートが実公平2−17030号公報などに提案されている。
【特許文献1】実公平2−17030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤシュレッズなどの破砕ゴム片を路盤・路床等に使用した場合、施工後の路面沈下がじわじわと続き、安定まで2ヶ月前後を要したとの報告もある。沈下が落ち着くまで上部の舗装施工を待たねばならないなどこの課題は実際の適用で少なからぬ障害である。
【0005】
また、破砕ゴム片と周辺の土が混じり合い、土地利用が変わってしまうところから、2次リサイクルする場合などに、破砕ゴム片だけを混じり気なしで取り出すことが難しい。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、土中に埋設した場合の路面沈下を防止ないし抑制することができ、また破砕ゴム片を周囲の土から分離して取り出すことも可能な破砕ゴム片の敷設利用方法及び構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の破砕ゴム片の敷設利用方法は、破砕ゴム片を土中に敷設利用する方法において、該破砕ゴム片をジオグリッドで被包すると共にプレスした後、敷設することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の破砕ゴム片の敷設利用方法は、請求項1において、破砕ゴム片をジオグリッドで被包するに際し、ジオグリッドの中央部の上に破砕ゴム片を堆積させ、ジオグリッドの両端側を該破砕ゴム片の堆積物の上側に折り返すことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の破砕ゴム片の敷設利用方法は、請求項2において、ジオグリッドの両端側を破砕ゴム片堆積物の上側に折り返した後、該破砕ゴム片堆積物及びジオグリッドを上方からプレスすることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の破砕ゴム片の敷設利用方法は、請求項3において、押板によって破砕ゴム片堆積物及びジオグリッドをプレスすることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の破砕ゴム片の敷設利用方法は、請求項2ないし4のいずれか1項において、破砕ゴム片堆積物をジオグリッドで被包するに際し、ジオグリッドを枠体の上側に被せると共に、ジオグリッドの両端側を枠体の側方に延出させ、該枠体の内側領域のジオグリッド上に破砕ゴム片を堆積させることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の破砕ゴム片の敷設利用方法は、請求項5において、該枠体はコ字形状であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7の破砕ゴム片の敷設利用構造は、破砕ゴム片を土中に埋設した破砕ゴム片の敷設利用構造において、該破砕ゴム片がジオグリッドで被包されると共にプレスされていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8の破砕ゴム片の敷設利用構造は、請求項7において、破砕ゴム片の堆積物がジオグリッドの中央部に堆積され、ジオグリッドの両端側が破砕ゴム片堆積物の上側に折り返されることにより破砕ゴム片堆積物がジオグリッドで被包されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の破砕ゴム片の敷設利用方法及び構造によると、破砕ゴム片をジオグリッドで被包してから敷設するため、破砕ゴム片を周囲の土と分離して取り出すこともできる。また、破砕ゴム片だけでなくジオグリッドも敷設されるので、地盤がジオグリッドによって補強される。
【0016】
この破砕ゴム片をジオグリッドで被包する際にプレスを加えることにより、敷設後の路面等の沈下を防止ないし抑制することができる。
【0017】
破砕ゴム片をジオグリッドで被包するには、ジオグリッドの中央部に破砕ゴム片を堆積させ、ジオグリッドの両端側を破砕ゴム片の堆積物の上側に折り返して重ねた後、プレスするのが好ましい。
【0018】
破砕ゴム片の堆積物をジオグリッドで被包するべくプレスする場合、枠体を用いることにより、プレス時に破砕ゴム片が側方に逃げることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る破砕ゴム片の敷設利用方法及び構造に採用される破砕ゴム片の被包及びプレス方法を示す斜視図である。
【0020】
長方形状のジオグリッド1を枠体3の上に被せ、ジオグリッド1の長手方向の両端部側1aを枠体3の側方に延出させる。
【0021】
枠体3の内側領域のジオグリッド1上に破砕ゴム片2を堆積させた後、ジオグリッド1の端部側1a,1aを破砕ゴム片2の堆積物の上に折り重ねる。次いで、フォークリフトのフォーク5等の重機に取り付けた押板4で破砕ゴム片2を上方からプレスする。
【0022】
これにより、破砕ゴム片2の堆積物が堆積厚み方向に押し縮められると共に、ジオグリッド1で被包された被包体となる。なお、枠体3を用いているので、プレス時に破砕ゴム片2が側方へ逃げることが防止され、十分にプレスされる。
【0023】
この被包体を土中に敷設利用した場合、破砕ゴム片2の堆積物は十分にプレスされているので、路面等の沈下は全く又は殆ど生じない。また、破砕ゴム片だけでなくジオグリッドも敷設されるため、地盤が補強される。
【0024】
この被包体が埋設されている地中から被包体を掘り出す際には、被包体を土と分離して取り出すこともでき、破砕ゴム片のみを単体に近い形で取り出すことができ、再利用が容易となる。
【0025】
なお、この実施の形態では、枠体3として、一辺が開放した、平面視形状がコ字形のものを用いているので、押板4で破砕ゴム片堆積物及びジオグリッドをプレスする際に、枠体3が空いている側にフォーク5を配置させることにより、フォーク5が枠体3に当ることがない。そのため、押板4によって破砕ゴム片堆積物2を十分にプレスすることができる。
【0026】
また、枠体3の一辺が開放しているから、枠体3を図1の左上方向に退動させるようにして取り外すことができる。枠体3をそのままとしておいて、被包体を枠体3の空いている辺の部分から図の右下方向へスライドさせるように取り出すこともできる。
【0027】
上記の被包作業は、敷設施工現場で行ってもよく、廃タイヤ処理施設など他の箇所で行ってもよい。敷設施工現場で被包作業を行う場合、埋設予定箇所に枠体3を配置し、その上にジオグリッド1を被せ、ジオグリッド1の中央部(枠体3の内側領域)に破砕ゴム片2を盛り、ジオグリッド1の両端部側1aを破砕ゴム片2の堆積物の上に折り被せ、次いでフォークリフト等の重機を利用し、押板4でジオグリッド1及び破砕ゴム片堆積物をプレスし、その後枠体3を取り去ってもよい。このようにすれば、被包体を形成した後、被包体を移動させることが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態に係る破砕ゴム片の敷設利用方法及び構造に採用される破砕ゴム片の被包及びプレス方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ジオグリッド
2 破砕ゴム片
3 枠体
4 押板
5 フォーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕ゴム片を土中に敷設利用する方法において、該破砕ゴム片をジオグリッドで被包すると共にプレスした後、敷設することを特徴とする破砕ゴム片の敷設利用方法。
【請求項2】
請求項1において、破砕ゴム片をジオグリッドで被包するに際し、ジオグリッドの中央部の上に破砕ゴム片を堆積させ、ジオグリッドの両端側を該破砕ゴム片の堆積物の上側に折り返すことを特徴とする破砕ゴム片の敷設利用方法。
【請求項3】
請求項2において、ジオグリッドの両端側を破砕ゴム片堆積物の上側に折り返した後、該破砕ゴム片堆積物及びジオグリッドを上方からプレスすることを特徴とする破砕ゴム片の敷設利用方法。
【請求項4】
請求項3において、押板によって破砕ゴム片堆積物及びジオグリッドをプレスすることを特徴とする破砕ゴム片の敷設利用方法。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項において、破砕ゴム片堆積物をジオグリッドで被包するに際し、ジオグリッドを枠体の上側に被せると共に、ジオグリッドの両端側を枠体の側方に延出させ、
該枠体の内側領域のジオグリッド上に破砕ゴム片を堆積させることを特徴とする破砕ゴム片の敷設利用方法。
【請求項6】
請求項5において、該枠体はコ字形状であることを特徴とする破砕ゴム片の敷設利用方法。
【請求項7】
破砕ゴム片を土中に埋設した破砕ゴム片の敷設利用構造において、該破砕ゴム片がジオグリッドで被包されると共にプレスされていることを特徴とする破砕ゴム片の敷設利用構造。
【請求項8】
請求項7において、破砕ゴム片の堆積物がジオグリッドの中央部に堆積され、ジオグリッドの両端側が破砕ゴム片堆積物の上側に折り返されることにより破砕ゴム片堆積物がジオグリッドで被包されていることを特徴とする破砕ゴム片の敷設利用構造。

【図1】
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【公開番号】特開2006−307450(P2006−307450A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128163(P2005−128163)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】