硫酸ナトリウムを用いてシリカと亜硫酸ナトリウムとを製造する方法
シリカと亜硫酸ナトリウムとを、硫酸ナトリウムを用いて製造するための方法が提供され、その際、珪砂、硫酸ナトリウム及び炭素の混合物を反応させて固体ケイ酸ナトリウムと二酸化硫黄とを製造し、前記固体ケイ酸ナトリウムを水に溶かし、次いで濾過し、ケイ酸ナトリウム溶液を得て、前記ケイ酸ナトリウム溶液を、二酸化硫黄と接触させて、沈降シリカと亜硫酸溶液とを製造し、こうして得られた混合物を濾過し、フィルターケーキを酸性化し、次いで濾過を行い、洗浄し、乾燥させてシリカを得て、及び前記濾液を濃縮し、乾燥させて亜硫酸ナトリウムを得る。本発明によるこの方法は、その簡単な工程、低い製造コスト及び環境問題の低減のために大きな有用性がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、硫酸ナトリウムを用いてシリカと亜硫酸ナトリウムとを製造する方法を提供することである。
【０００２】
沈降シリカ（軽質二酸化ケイ素又はホワイトカーボンともいわれる）は、ゴム用の充填剤として利用される；同様にプラスチック、滑剤、絶縁材料、紙、塗料及びテキスタイルの充填材料として及び白色顔料としても使用される。現在では、シリカを製造する最も一般的な方法は、この沈降法である。この方法において使用される水ガラス（ケイ酸ナトリウム）は、珪砂とソーダ（無水炭酸ナトリウム）との反応により製造される。しかしながら、このプロセスは大量のソーダを必要とし、製造コストが高くなる。
【０００３】
本発明の課題は、製造コストを低減しかつ環境問題も減らす、沈降シリカを製造するための新規の方法を提供することである。
【０００４】
本発明は、次の反応式：
【化１】
を有する。
【０００５】
本発明の実施態様は、従って、硫酸ナトリウムを用いてシリカと亜硫酸ナトリウムとを製造する方法を提供することである。この特徴は、ケイ酸ナトリウムの製造のためにソーダの代わりに硫酸ナトリウムを使用することにある。さらに、硫酸の代わりにＳＯ2がシリカの沈降のために使用される。
【０００６】
特に、珪砂、硫酸ナトリウム及び炭素の１１８．３〜１４７．９：１００：４〜１２の質量比の混合物は、炉中で１２００〜１５００℃の温度に加熱され、固体ケイ酸ナトリウムと二酸化硫黄とが製造される。前記固体ケイ酸ナトリウムは、１００：１８０〜４８８の質量比で水で溶解され、その後で濾過される。生じたこのケイ酸ナトリウム溶液を二酸化硫黄、有利にケイ酸ナトリウム製造の間に得られた二酸化硫黄と、１：１のモル比で接触させる。この反応を７０〜１００℃で１〜４時間の期間にわたり実施し、引き続き濾過工程に送る。得られたフィルターケーキを、ｐＨ３．５〜６．０に酸性化し、次いで濾過を行い、洗浄し、乾燥してシリカを得る。この濾液を濃縮し、乾燥して亜硫酸ナトリウムを得る。
【０００７】
本発明の一実施態様の場合に、硫酸ナトリウムを用いたケイ酸ナトリウムの製造のために、断熱の馬蹄型火炎炉（thermal insulation horseshoe-flame furnace）が使用される。本発明のこの方法は、バッチプロセスとして又は連続的プロセスとして使用することができる。水ガラスの連続的製造又は全体の連続的方法が有利である。
【０００８】
現在の技術と比較して、本発明は次の利点を有する：
（Ｉ） 水酸化ナトリウム又はソーダは必要とされず、硫酸ナトリウムはソーダよりも極めて安価である。
【０００９】
（ＩＩ） 硫酸又は塩酸はこの沈降法のために必要とされず、少量の酸がフィルターケーキの酸性化のために必要なだけである。
【００１０】
（ＩＩＩ） 副生成物の亜硫酸ナトリウムは、化学工業における他の適用のために有用な材料であり、従って商業化することができる。
【００１１】
（ＩＶ） 廃棄物がない。
【００１２】
次の実施例は、本発明を実施及び説明するためのものであり、本発明の範囲を制限又は限定するものではない。
【００１３】
実施例
珪砂、硫酸ナトリウム及び炭素（クラッシュド）を１００：８１．４：６．５％の質量比で混合した。得られた混合物を、連続的に断熱の馬蹄型火炎炉中へ装入し、１４２０〜１４５０℃に加熱した。得られた固体ケイ酸ナトリウムを水中に溶かし、濾過して３．５Ｍ及び２９Ｂｅ’ケイ酸ナトリウム（水ガラス）溶液が得られた。
【００１４】
１リットル反応器に、水０．４リットルと前記ケイ酸ナトリウム溶液０．０１３リットルとを装入し、８６℃に加熱した。前記ケイ酸ナトリウム溶液０．１８７リットルと、二酸化硫黄５％とを、１２０ｍｉｎの期間にわたり前記反応器中へ同時に計量供給する。この反応生成物を濾過した。
【００１５】
フィルターケーキのｐＨを酸を用いてｐＨ４．６に調節し、引き続き濾過し、洗浄し、乾燥させた。ＢＥＴ２３５ｍ2／ｇを有するシリカ５６．２４ｇが得られた。
【００１６】
亜硫酸ナトリウムを有する濾液を濃縮し、乾燥し、固体の亜硫酸ナトリウム３０．１７ｇが得られた。
【００１７】
本発明によるこの方法は、その簡単な工程、低い製造コスト及び環境問題の低減のために大きな有用性がある。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、硫酸ナトリウムを用いてシリカと亜硫酸ナトリウムとを製造する方法を提供することである。
【０００２】
沈降シリカ（軽質二酸化ケイ素又はホワイトカーボンともいわれる）は、ゴム用の充填剤として利用される；同様にプラスチック、滑剤、絶縁材料、紙、塗料及びテキスタイルの充填材料として及び白色顔料としても使用される。現在では、シリカを製造する最も一般的な方法は、この沈降法である。この方法において使用される水ガラス（ケイ酸ナトリウム）は、珪砂とソーダ（無水炭酸ナトリウム）との反応により製造される。しかしながら、このプロセスは大量のソーダを必要とし、製造コストが高くなる。
【０００３】
本発明の課題は、製造コストを低減しかつ環境問題も減らす、沈降シリカを製造するための新規の方法を提供することである。
【０００４】
本発明は、次の反応式：
【化１】
を有する。
【０００５】
本発明の実施態様は、従って、硫酸ナトリウムを用いてシリカと亜硫酸ナトリウムとを製造する方法を提供することである。この特徴は、ケイ酸ナトリウムの製造のためにソーダの代わりに硫酸ナトリウムを使用することにある。さらに、硫酸の代わりにＳＯ2がシリカの沈降のために使用される。
【０００６】
特に、珪砂、硫酸ナトリウム及び炭素の１１８．３〜１４７．９：１００：４〜１２の質量比の混合物は、炉中で１２００〜１５００℃の温度に加熱され、固体ケイ酸ナトリウムと二酸化硫黄とが製造される。前記固体ケイ酸ナトリウムは、１００：１８０〜４８８の質量比で水で溶解され、その後で濾過される。生じたこのケイ酸ナトリウム溶液を二酸化硫黄、有利にケイ酸ナトリウム製造の間に得られた二酸化硫黄と、１：１のモル比で接触させる。この反応を７０〜１００℃で１〜４時間の期間にわたり実施し、引き続き濾過工程に送る。得られたフィルターケーキを、ｐＨ３．５〜６．０に酸性化し、次いで濾過を行い、洗浄し、乾燥してシリカを得る。この濾液を濃縮し、乾燥して亜硫酸ナトリウムを得る。
【０００７】
本発明の一実施態様の場合に、硫酸ナトリウムを用いたケイ酸ナトリウムの製造のために、断熱の馬蹄型火炎炉（thermal insulation horseshoe-flame furnace）が使用される。本発明のこの方法は、バッチプロセスとして又は連続的プロセスとして使用することができる。水ガラスの連続的製造又は全体の連続的方法が有利である。
【０００８】
現在の技術と比較して、本発明は次の利点を有する：
（Ｉ） 水酸化ナトリウム又はソーダは必要とされず、硫酸ナトリウムはソーダよりも極めて安価である。
【０００９】
（ＩＩ） 硫酸又は塩酸はこの沈降法のために必要とされず、少量の酸がフィルターケーキの酸性化のために必要なだけである。
【００１０】
（ＩＩＩ） 副生成物の亜硫酸ナトリウムは、化学工業における他の適用のために有用な材料であり、従って商業化することができる。
【００１１】
（ＩＶ） 廃棄物がない。
【００１２】
次の実施例は、本発明を実施及び説明するためのものであり、本発明の範囲を制限又は限定するものではない。
【００１３】
実施例
珪砂、硫酸ナトリウム及び炭素（クラッシュド）を１００：８１．４：６．５％の質量比で混合した。得られた混合物を、連続的に断熱の馬蹄型火炎炉中へ装入し、１４２０〜１４５０℃に加熱した。得られた固体ケイ酸ナトリウムを水中に溶かし、濾過して３．５Ｍ及び２９Ｂｅ’ケイ酸ナトリウム（水ガラス）溶液が得られた。
【００１４】
１リットル反応器に、水０．４リットルと前記ケイ酸ナトリウム溶液０．０１３リットルとを装入し、８６℃に加熱した。前記ケイ酸ナトリウム溶液０．１８７リットルと、二酸化硫黄５％とを、１２０ｍｉｎの期間にわたり前記反応器中へ同時に計量供給する。この反応生成物を濾過した。
【００１５】
フィルターケーキのｐＨを酸を用いてｐＨ４．６に調節し、引き続き濾過し、洗浄し、乾燥させた。ＢＥＴ２３５ｍ2／ｇを有するシリカ５６．２４ｇが得られた。
【００１６】
亜硫酸ナトリウムを有する濾液を濃縮し、乾燥し、固体の亜硫酸ナトリウム３０．１７ｇが得られた。
【００１７】
本発明によるこの方法は、その簡単な工程、低い製造コスト及び環境問題の低減のために大きな有用性がある。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
− 珪砂、硫酸ナトリウム及び炭素を、１１８．３〜１４７．９：１００：４〜１２の質量比で混合し、次いで炉内に運び、１２００〜１５００℃の温度に加熱し、固体ケイ酸ナトリウムと二酸化硫黄とを製造し、
− 前記固体ケイ酸ナトリウムを１００：１８０〜４８８の質量比で水で溶解し、かつ濾過して、ケイ酸ナトリウム溶液を製造し、
− 二酸化硫黄、有利に前記固体ケイ酸ナトリウムの製造の間に製造された二酸化硫黄を、前記ケイ酸ナトリウム溶液中へ１：１のモル比で導入し、この反応を７０〜１００℃で１〜４時間実施し、
− 生じた混合物を濾過し、
− シリカ及び亜硫酸ナトリウムを、次の工程の後で得る：
（１） 前記フィルターケーキを、ｐＨ３．５〜６．０に酸性化し、次いで濾過を行い、洗浄し、乾燥してシリカを得る、
（２） 前記濾液を濃縮し、乾燥して亜硫酸ナトリウムを得る
ことを特徴とする、硫酸ナトリウムを使用することによるシリカと亜硫酸ナトリウムとの製造方法。
【請求項２】
前記炉が断熱の馬蹄型火炎炉であることを特徴とする、請求項１記載のシリカと亜硫酸ナトリウムとの製造方法。
【請求項１】
− 珪砂、硫酸ナトリウム及び炭素を、１１８．３〜１４７．９：１００：４〜１２の質量比で混合し、次いで炉内に運び、１２００〜１５００℃の温度に加熱し、固体ケイ酸ナトリウムと二酸化硫黄とを製造し、
− 前記固体ケイ酸ナトリウムを１００：１８０〜４８８の質量比で水で溶解し、かつ濾過して、ケイ酸ナトリウム溶液を製造し、
− 二酸化硫黄、有利に前記固体ケイ酸ナトリウムの製造の間に製造された二酸化硫黄を、前記ケイ酸ナトリウム溶液中へ１：１のモル比で導入し、この反応を７０〜１００℃で１〜４時間実施し、
− 生じた混合物を濾過し、
− シリカ及び亜硫酸ナトリウムを、次の工程の後で得る：
（１） 前記フィルターケーキを、ｐＨ３．５〜６．０に酸性化し、次いで濾過を行い、洗浄し、乾燥してシリカを得る、
（２） 前記濾液を濃縮し、乾燥して亜硫酸ナトリウムを得る
ことを特徴とする、硫酸ナトリウムを使用することによるシリカと亜硫酸ナトリウムとの製造方法。
【請求項２】
前記炉が断熱の馬蹄型火炎炉であることを特徴とする、請求項１記載のシリカと亜硫酸ナトリウムとの製造方法。
【公表番号】特表２００８−５４２１８５（Ｐ２００８−５４２１８５Ａ）
【公表日】平成２０年１１月２７日（２００８．１１．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−５１５０３１（Ｐ２００８−５１５０３１）
【出願日】平成１８年６月６日（２００６．６．６）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＣＮ２００６／００１２２６
【国際公開番号】ＷＯ２００６／１３１０６４
【国際公開日】平成１８年１２月１４日（２００６．１２．１４）
【出願人】（５０７４０４５５８）デグサ ウェリンク シリカ （ナンピン） カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Ｄｅｇｕｓｓａ Ｗｅｌｌｉｎｋ Ｓｉｌｉｃａ （Ｎａｎｐｉｎｇ） Ｃｏ．， Ｌｔｄ．
【住所又は居所原語表記】Ｗｅｌｌｉｎｋ Ｍａｎｓｉｏｎ， Ｎｏ． １３６ Ｘｉｎｊｉａｎ Ｒｏａｄ， Ｎａｎｐｉｎｇ， Ｆｕｊｉａｎ ３５３０００， Ｃｈｉｎａ
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２０年１１月２７日（２００８．１１．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年６月６日（２００６．６．６）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＣＮ２００６／００１２２６
【国際公開番号】ＷＯ２００６／１３１０６４
【国際公開日】平成１８年１２月１４日（２００６．１２．１４）
【出願人】（５０７４０４５５８）デグサ ウェリンク シリカ （ナンピン） カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Ｄｅｇｕｓｓａ Ｗｅｌｌｉｎｋ Ｓｉｌｉｃａ （Ｎａｎｐｉｎｇ） Ｃｏ．， Ｌｔｄ．
【住所又は居所原語表記】Ｗｅｌｌｉｎｋ Ｍａｎｓｉｏｎ， Ｎｏ． １３６ Ｘｉｎｊｉａｎ Ｒｏａｄ， Ｎａｎｐｉｎｇ， Ｆｕｊｉａｎ ３５３０００， Ｃｈｉｎａ
【Ｆターム（参考）】
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