説明

硬化性組成物

【課題】 溶融性、耐熱性に優れた、アクリル系ブロック共重合体を含有する硬化性組成物を提供するものである。
【解決手段】メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(A1)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(A2)からなり、(A1)および(A2)のうち少なくとも一方に酸無水物基および/またはカルボキシル基を1分子中に8個〜30個有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、エポキシ基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、およびオキサゾリン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の反応性官能基を含有する重合体(B)、とを含有し、200℃におけるゲル化時間が60秒以下であり、かつ、200℃における溶融時間がゲル化時間より小さい組成物とすることにより上記課題は達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融性、耐熱性に優れた、アクリル系ブロック共重合体を含有する硬化性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メタアクリル酸メチルなどをハードセグメント、アクリル酸ブチルなどをソフトセグメントに有するアクリル系ブロック共重合体は、熱可塑性エラストマーとしての特性を有することが知られている。このようなアクリル系ブロック共重合体では、ブロック体を構成する成分を適宜選択することで、スチレン系ブロック体などの他の熱可塑性エラストマーに比べて極めて柔軟なエラストマーを与えることが可能である。
【0003】
特許文献1には、イニファーター法で製造したメタアクリルブロックとアクリルブロックを有するアクリル系ブロック共重合体が優れた機械特性を有することが記載されている。
【0004】
このようなアクリル系ブロック共重合体の特性を活かして、アクリル系ブロック共重合体は、種々の表皮材、内装材等に用いられている。また、その他触感を活かして、直接人の手に触れる部材の材料としての展開が期待されている。
【0005】
この表皮材の成形方法としては種々の方法があり、具体的には、例えばプレス成形が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開平1−26619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、表皮材として好ましい硬度領域のアクリル系ブロック共重合体は、分子量などの制約から、高温で長時間保持すると、表面のシボ模様がダレたり、テカリを生じてグロスが上昇するなど、必ずしも耐熱性が十分であるとはいえない。このような性質は、アクリル系ブロック共重合体や組成物の構造や組成に左右されることが多く、耐熱性の改善のために通常採られる手法では、改善することが困難である。たとえば、耐熱性を付与するために、Tgの高い成分を増量すると、硬度が高くなってしまい、表皮材として好ましい硬度領域の設計は困難である。
【0008】
これを改善する手法として、たとえば、アクリル系ブロック共重合体と、架橋剤とを組み合わせた硬化性組成物とする方法がある(国際公開第2005/073269号パンフレット、国際公開第2005/073270号パンフレット)。しかし、例えば、溶融性を重視して架橋密度を低く設定すると、架橋速度が遅くなり、コストに見合った成形タイムサイクルでは所望の耐熱性が得られないことや、それを回避するために成形タイムサイクルを長くすることでコストアップにつながる。また、耐熱性を重視して架橋密度を高く設定すると、溶融性が低下したり、硬化性組成物の製造中に好ましくない架橋が生じたり、架橋が早すぎるために溶融が阻害されたりする。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、溶融性および耐熱性のバランスに優れたアクリル系ブロック共重合体を含有する硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の物性バランスに優れたアクリル系ブロック共重合体を含有する硬化性組成物について鋭意検討した結果、所定の組成物が、このような課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(A1)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(A2)からなり、(A1)および(A2)のうち少なくとも一方に酸無水物基および/またはカルボキシル基を1分子中に8個〜30個有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、エポキシ基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、およびオキサゾリン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の反応性官能基を含有する重合体(B)、とを含有し、200℃におけるゲル化時間が60秒以下であり、かつ、200℃における溶融時間がゲル化時間より小さいことを特徴とする硬化性組成物に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる組成物は、溶融性を低下させることなく、耐熱性に優れる。従って、本発明にかかる組成物は、プレス成形、およびその他の成形に好適に使用することが可能である。このような組成物をプレス成形等により成形することにより、種々の表皮材、内装材等を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
【0014】
本発明に係る組成物は、メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(A1)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(A2)からなり、(A1)および(A2)のうち少なくとも一方に酸無水物基および/またはカルボキシル基を1分子中に8個〜30個有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、エポキシ基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、オキサゾリン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の反応性官能基を含有する重合体(B)とを含有し、200℃におけるゲル化時間が60秒以下であって、200℃における溶融時間がゲル化時間より小さいことを特徴とする。これにより、溶融性を低下させることなく、耐熱性に優れたアクリル系ブロック共重合体組成物を得ることが可能である。
【0015】
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
本願において、アクリル系ブロック共重合体(A)とは、(メタ)アクリル系重合体ブロックを2以上有する重合体(例えば、(メタ)アクリル系単量体成分を主成分とするブロックを二以上有する重合体)を意味し、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタアクリルを意味する。
【0016】
さらに、本願においては、メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(A1)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(A2)からなり、(A1)および(A2)のうち少なくとも一方に酸無水物基および/またはカルボキシル基を1分子中に8個〜30個有するアクリル系ブロック共重合体(A)を用いる。カルボキシル基は、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(A1)およびアクリル系重合体ブロック(A2)のうち、いずれのブロックに存在していてもよい。
【0017】
ブロック共重合体(A)の構造は、線状ブロック共重合体であっても、分岐状(星状)ブロック共重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。ブロック共重合体(A)の構造は、必要とされるブロック共重合体(A)の物性に応じて適宜選択すればよいが、コスト面や重合容易性の点から、線状ブロック共重合体であるのが好ましい。
【0018】
線状ブロック共重合体は、いずれの配列を有する線状ブロック共重合体であってもかまわないが、その物性または組成物にした場合の物性の点から、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(A1)(以下、重合体ブロック(A1)またはブロック(A1)ともいう)およびアクリル系重合体ブロック(A2)(以下、いずれも重合体ブロック(A2)またはブロック(A2)ともいう)が、一般式:(A1−A2)、一般式:A1−(A2−A1)、一般式:(A2−A1)−A2(nは1〜3の整数)で表わされるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い容易性や、組成物にした場合の物性の点から、A1−A2型のジブロック共重合体、A1−A2−A1型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
【0019】
ブロック共重合体(A)の分子量は、十分な溶融性や耐熱性が得られる限りにおいては特に限定されないが、加工性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量で30,000〜500,000であるのが好ましく、さらに好ましくは50,000〜400,000である。数平均分子量が小さいと粘度が低く、また、数平均分子量が大きいと粘度が高くなる傾向があるので、要求される加工特性に応じて適宜設定する必要がある。
【0020】
ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も特に限定されないが、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。Mw/Mnが1.8を超えると、ブロック共重合体の均一性が低下する傾向がある。
【0021】
ブロック共重合体(A)のメタアクリル系重合体ブロック(A1)とアクリル系重合体ブロック(A2)の組成比は、ブロック(A1)を5〜90重量%、ブロック(A2)を95〜10重量%とするのが望ましい。(A1)の割合が5重量%より少ないと、成形時に形状が保持されにくい傾向があり、(A2)の割合が10重量%より少ないと、エラストマーとしての弾性および成形時の溶融性が低下する傾向がある。成形時の形状の保持およびエラストマーとしての弾性の観点から、組成比の好ましい範囲は、(A1)が10〜60重量%、(A2)が90〜40重量%であり、さらに好ましくは、(A1)が15〜50重量%、(A2)が85〜50重量%である。
【0022】
エラストマー組成物の硬度の観点からは、(A1)の割合が少ないと硬度が低くなり、また、(A1)の割合が多いと硬度が高くなる傾向がある。このため、エラストマー組成物の必要とされる硬度に応じて適宜設定する。また加工性の観点からは、(A1)の割合が少ないと粘度が低く、また、(A1)の割合が多いと粘度が高くなる傾向があるので、必要とする加工特性に応じて適宜設定する。
【0023】
<メタアクリル系重合体ブロック(A1)>
メタアクリル系重合体ブロック(A1)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
【0024】
メタアクリル系重合体ブロック(A1)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−、メタアクリル酸−n−ペンチル、メタアクリル酸−n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸−n−ヘプチル、メタアクリル酸−n−オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸−2−メトキシエチル、メタアクリル酸−3−メトキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタアクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
【0025】
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、加工性、コストおよび入手しやすさの点で、メタアクリル酸メチルが好ましい。また、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシルなどを共重合させることによって、ガラス転移点を高くすることができる。更には、カルボン酸もしくはその酸無水物を導入して、耐熱性を向上させることができる。耐熱性を上げる為にカルボン酸もしくはその酸無水物を導入する際の前駆体としては、メタアクリル酸−t−ブチルが好ましい。
【0026】
メタアクリル系重合体ブロック(A1)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド化合物、メタアクリル酸、メタアクリル酸の酸無水物、アクリル酸、アクリル酸の酸無水物などをあげることができる。
【0027】
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−アミノエチル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
【0028】
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
【0029】
シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。
【0030】
共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
【0031】
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。
【0032】
ケイ素含有不飽和化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどをあげることができる。
【0033】
不飽和ジカルボン酸化合物としては、たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどをあげることができる。
【0034】
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
【0035】
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、メタアクリル系重合体ブロック(A1)に要求されるガラス転移温度を調整したり、アクリル系重合体ブロック(A2)との相溶性などの観点から好ましいものを選択することができる。
【0036】
(A1)のガラス転移温度は、エラストマー組成物の熱変形の観点から、好ましくは25℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。(A1)のガラス転移温度がエラストマー組成物の使用される環境の温度より低いと、凝集力の低下により、熱変形しやすくなる場合がある。
【0037】
以上述べた観点から、メタアクリル系重合体ブロック(A1)は、メタアクリル酸メチルを主成分とするのが好ましく、また、ガラス転移点を制御する目的でアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−メトキシエチルおよびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を重合してなるブロックであることが好ましい。
【0038】
<アクリル系重合体ブロック(A2)>
アクリル系重合体ブロック(A2)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル、およびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%、ならびにこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステルおよび/またはその他のビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。これにより、ゴム弾性、低温特性、機械特性および圧縮永久歪に優れるブロック共重合体とすることができる。
【0039】
これらは単独でまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ゴム弾性、低温特性およびコストのバランスの点では、アクリル酸−n−ブチルが好ましい。さらに低温特性と機械特性と圧縮永久歪が必要な場合は、アクリル酸−2−エチルヘキシルを共重合させればよい。耐油性と機械特性が必要な場合は、アクリル酸エチルが好ましい。また、低温特性と耐油性の付与、及び樹脂の表面タック性の改善が必要な場合は、アクリル酸−2−メトキシエチルが好ましい。また、耐油性および低温特性のバランスが必要な場合は、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルの組み合わせが好ましい。
【0040】
アクリル系重合体ブロック(A2)を構成する上記以外のアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル系重合体ブロック(A1)を構成する単量体として例示したアクリル酸エステルと同様の単量体をあげることができる。その中でも、耐熱性を上げる為にカルボキシル基や酸無水物基を導入する際の前駆体としては、アクリル酸−t−ブチルが好ましい。
【0041】
アクリル系重合体ブロック(A2)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
【0042】
メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物としては、アクリル系重合体ブロック(A2)を構成する単量体として例示したものと同様の単量体をあげることができる。
【0043】
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(A2)に要求されるガラス転移温度および耐油性、メタアクリル系重合体ブロック(A1)との相溶性などのバランスの観点から、適宜好ましいものを選択することができる。
【0044】
アクリル系重合体ブロック(A2)は、エラストマー組成物のゴム弾性の観点から、そのガラス転移温度が25℃以下であるものが好ましく、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。アクリル系重合体ブロック(A2)のガラス転移温度を、エラストマー組成物の使用される環境の温度より低くすることにより、ゴム弾性が発現されやすくなる。
【0045】
<酸無水物基・カルボキシル基>
アクリル系ブロック共重合体(A)は、メタアクリル系重合体ブロック(A1)および/またはアクリル系重合体ブロック(A2)に、酸無水物基および/またはカルボキシル基を1分子中に8個以上30個以下有する。これにより、200℃におけるゲル化時間を60秒以下かつ200℃における溶融時間をゲル化時間より小さくすることが可能となる。
【0046】
また、酸無水物基やカルボキシル基が(A1)に存在する場合と(A2)に存在する場合とで、反応前の特性、反応性、反応後の特性に違いが生じる場合があり、たとえば、架橋後のゴム弾性を重視する場合には、酸無水物基やカルボキシル基が(A2)に存在するのが良い。また、貯蔵時の安定性を重視する場合には、酸無水物基やカルボキシル基が(A1)に存在するのがよい。
【0047】
<ブロック共重合体(A)の製造方法>
(重合)
本発明にかかるアクリル系ブロック共重合体組成物の製造方法は、特に限定されないが、分子量を制御できるという観点から、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、特に限定されないが、リビング重合、実質的にリビングとみなせる重合、リビング的な性格を有する重合のいずれもあげることができ、たとえば、リビングアニオン重合、配位アニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカル重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、開環メタセシス重合、その他各種の金属触媒による重合をあげることができる。アニオン重合の例としては、具体的には、特開平11−335432号公報に記載の方法を、希土類金属錯体を用いたリビング重合の例としては、特開平10−17633号公報に記載の方法をあげることができる。
【0048】
ここで、リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに架橋性官能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。
【0049】
リビング重合とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる。本発明においては、リビングラジカル重合は、重合末端が活性化されたものと不活性化されたものが平衡状態で維持されるラジカル重合方法を用いるのが好ましい。
【0050】
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(Journal of American Chemical Society,1994年,第116巻,7943頁)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules,1994年,第27巻,7228頁)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちいずれの方法を使用するかはとくに制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
【0051】
その中でも、たとえば、Matyjaszewskiら, Journal of American Chemical Society,1995年,第117巻,5614頁、および、Macromolecules,1995年,第28巻,7901頁、さらに、Science,1996年,第272巻,866頁、また、特開2001−200026号公報に示される重合方法を好ましく用いることができる。
【0052】
(重合触媒などの除去)
重合によって得られた反応液は、重合体と金属錯体の混合物となっており、金属錯体を除去する必要がある。除去方法については特に限定するものではないが、たとえば、特開2003−147015号公報に示されるような有機酸を用いる処理方法が好ましく使用される。
【0053】
(官能基変換)
本発明においては、重合体ブロックに導入された単量体のエステル部位を官能基変換反応させてカルボキシル基、酸無水物基を導入したアクリル系ブロック共重合体を用いてもよい。
【0054】
カルボキシル基を有するブロック共重合体の合成方法としては、特に制限はないが、例えば、メタアクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリメチルシリルなどのような、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含むブロック共重合体を合成し、加水分解もしくは酸分解など公知の所定の化学反応、たとえば特開平10−298248号公報や特開2001−234146号公報などに記載の方法によってカルボキシル基を生成させる方法がある。また、以下に示す方法のような酸無水物基を加水分解してカルボキシル基を生成させる方法もある。
【0055】
酸無水物基を有するブロック共重合体の合成方法としては、カルボキシル基を有するブロック共重合体を、加熱により脱水もしくは脱アルコール反応を行わせることで、隣り合った単量体のエステル部位をカルボン酸無水物に変換させる方法がある。または、メタアクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリメチルシリルなどのような、カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含むブロック共重合体を合成し、上記のように加熱により脱アルコール反応を行わせることで、隣り合った単量体のエステル部位をカルボン酸無水物に変換させる方法がある。
【0056】
このような方法により得られる酸無水物基を有するブロック共重合体は、たとえばオートクレーブ中で精製水と加熱することで加水分解することができ、酸無水物基をカルボキシル基に変換することができる。加水分解は、たとえば200℃で2時間加熱することにより行うことができる。
【0057】
メタアクリル系重合体ブロック(A1)あるいはメタアクリル系重合体ブロック(A2)中にt−ブチル基が含有される場合は、上記記載方法により、カルボン酸基のみを含むブロック、またはカルボン酸基と酸無水物基の両方を有するブロックに変換することができる。
【0058】
<エポキシ基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、オキサゾリン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の反応性官能基を含有する重合体(B)>
重合体(B)は、組成物の成形時に可塑剤として成形流動性を向上させると同時に、成形時にアクリル系ブロック共重合体(A)中の酸無水物基やカルボキシル基と反応し、アクリル系ブロック共重合体(A)を高分子量化、あるいは架橋させることが可能である。
【0059】
以上のような特性を有する重合体(B)としては、例えば、アクリル系重合体、メタクリル系重合体、ポリエーテル系重合体が挙げられる。これらの中では、(A)との相溶性の点でアクリル系重合体が好ましい。
【0060】
重合体(B)の反応性官能基は、エポキシ基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、オキサゾリン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の反応性官能基であるが、好ましくは、(A)の官能基との反応性や、貯蔵時に反応が進行しにくく貯蔵安定性の点から、エポキシ基、アミノ基、イソシアナート基であり、さらに好ましくは、エポキシ基である。
【0061】
重合体(B)中の反応性官能基は、重合体(B)1分子中、好ましくは1.1個以上、より好ましくは1.5個以上、最も好ましくは2.0個以上含有させる。その数は、反応性官能基の反応性、反応性官能基の含有される部位および様式、アクリル系ブロック共重合体(A)中の酸無水物基・カルボキシル基の含有される数や部位および様式に応じて変化させる。反応性官能基の含有数が1.1個より少なくなると、ブロック共重合体の高分子量化反応剤、あるいは架橋剤としての効果が低くなり、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性向上が不充分になる傾向がある。ここでいう個数は重合体(B)全体中に存在する反応性官能基の平均の個数を表す。
【0062】
重合体(B)の重量平均分子量は、特に制限はないが、成形体のべたつきを減らす観点、組成物の可塑化の観点からは、30,000以下の低分子量のものが好ましく、500〜30,000のものがさらに好ましく、500〜10,000のものが特に好ましい。重量平均分子量が500未満の場合、成形体にべたつきが生じる傾向があり、一方、重量平均分子量が30,000を超えた場合、成形物の可塑化が不十分になることがある。
【0063】
重合体(B)の粘度は、25℃においてコーン・プレート型の回転粘度計(E型粘度計)で測定した時、35,000mPa・s以下であることが好ましい。より好ましい粘度は、10,000mPa・s以下である。特に好ましい粘度は、5,000mPa・s以下である。粘度が35,000mPa・sより高いと、組成物の可塑化効果が低下する傾向にある。好ましい粘度の下限は特にないが、重合体(B)の通常の粘度は10mPa・s以上である。
【0064】
示差走査熱量測定法(DSC)で測定される、重合体(B)のガラス転移温度Tgは、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは25℃以下であり、さらに好ましくは0℃以下であり、特に好ましくは−30℃以下である。ガラス転移温度Tgが100℃を超える場合、可塑剤として成形性を向上させる効果が不十分になる傾向があり、また、得られる成形体の柔軟性が低下する傾向にある。
【0065】
以下、重合体(B)がアクリル系重合体(B1)である場合について述べる。
【0066】
アクリル系重合体(B1)は、1種または2種以上のアクリル系単量体を重合させるか、又は、1種または2種以上のアクリル系単量体とアクリル系単量体以外の他の単量体との混合物を重合させることにより得られたものであることが好ましい。
【0067】
アクリル系単量体としては、アクリロイル基含有単量体及びメタクリロイル基含有単量体が挙げられ、具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル等が挙げられる。前記その他の単量体としては、アクリル系単量体と共重合可能な単量体、例えば酢酸ビニル、スチレン等を用いることができる。
【0068】
アクリル系重合体(B1)中の全単量体単位に対するアクリロイル基含有単量体単位の割合は、耐候性やアクリル系ブロック共重合体(A)との相溶性の観点から、70質量%以上であることが好ましい。
【0069】
アクリル系重合体(B1)は、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸−2−メトキシエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%と、これらと共重合可能な異種のアクリル酸エステルおよび/又はビニル系単量体50〜0重量%からなるものが好ましい。ビニル系単量体としては、スチレンが好ましい。
【0070】
アクリル系重合体(B1)は、公知の所定の方法で重合させることにより製造される。重合方法は必要に応じて適宜選択すればよく、例えば、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、リビングアニオン重合や連鎖移動剤を用いる重合およびリビングラジカル重合等の制御重合等の方法により行うことができるが、耐候性や耐熱性が良好で比較的低分子量かつ分子量分布の小さい重合体が得られる制御重合が好ましく、以下に記載の高温連続重合を用いる方法がコスト面などの点でより好ましい。
【0071】
アクリル系重合体(B1)は、180〜350℃の温度での重合反応により得ることが好ましい。この重合温度では、重合開始剤や連鎖移動剤を使用することなく、比較的低分子量のアクリル系重合体が得られることから、そのアクリル系重合体は優れた可塑剤であり、耐候性も良好である。具体的には、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報及びWO01/083619号パンフレットに開示された高温連続重合による方法が例示される。すなわち、所定の温度及び圧力に設定された反応器内に上記の単量体の混合物を一定の供給速度で連続して供給し、その供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法である。
【0072】
アクリル系重合体(B1)としては、具体的には東亞合成(株)のARUFON(登録商標)XG4000、ARUFON UG4000、ARUFON XG4010、ARUFON UG4010、ARUFON XD945、ARUFON XD950、ARUFON UG4030、ARUFON UG4070などが好適に使用できる。これらは、アクリレート単独重合体、もしくは、アクリレート/スチレン共重合体等のアクリル系重合体であって、エポキシ基を1分子中に1.1個以上含む。
【0073】
<(A)と(B)の配合比>
(A)成分と(B)成分の配合比は、(A)と(B)のそれぞれの分子量、(A)と(B)のそれぞれの反応性官能基の数、(B)の粘度などを勘案して、所定の目的が達成できる範囲であれば特に制限されないが、たとえば、(A)が100重量部に対して、(B)成分が0.1〜100重量部が好ましい範囲として例示される。
【0074】
(B)の分子量が500未満である場合には、(A)が100重量部に対して、(B)成分が0.1〜30重量部が、さらに好ましい。
【0075】
(B)の分子量が500〜10000である場合には、(A)が100重量部に対して、(B)成分が0.3〜50重量部が、さらに好ましい。
【0076】
(B)の分子量が10000〜30000である場合には、(A)が100重量部に対して、(B)成分が1〜100重量部が、さらに好ましい。
【0077】
<ゲル化時間>
本発明の硬化性組成物は、200℃におけるゲル化時間が60秒以下であり、かつ、200℃における溶融時間がゲル化時間より短いことを特徴とする。このような特徴を有する組成物は、溶融性に優れかつ耐熱性に優れる。
【0078】
ゲル化時間の測定は、未硬化の組成物を粉砕してパウダー状に調整し、表面温度が200℃である金属板の上に薬さじで少量を投下し、10秒後に爪楊枝やマッチ棒のような細い棒状物を組成物に接触・回転させた後、棒状物をゆっくり引き揚げて、このときの糸引きの有無を観察することにより行い、爪楊枝と金属板の間に糸引きが見られなくなった時点を、ゲル化時間とした。
【0079】
溶融時間の測定は、未硬化の組成物を粉砕してパウダー状に調整し、表面温度が200℃である金属板の上に薬さじで少量を投下することにより行い、目視で、パウダー同士が溶融して融着した時点を、溶融時間とした。
【0080】
本発明の組成物の溶融時間は、溶融性を低下させないために、30秒以下であることが好ましく、25秒以下であることがより好ましく、20秒以下であることが最も好ましい。
【0081】
また、硬化性組成物が、溶融してから架橋するまでに、ある程度の時間があることが好ましい。溶融時間とゲル化時間の差を余裕時間とすると、余裕時間は10秒以上であることが好ましく、15秒以上であることがより好ましく、20秒以上であることがさらに好ましく、25秒以上であることが最も好ましい。
【0082】
既知の硬化性組成物、たとえば上述したWO2005/073269やWO2005/073270の組成物は、溶融性は確保されているものの、おおむねゲル化時間が60秒以上であり、架橋の進行速度はそれほど速くない。
【0083】
本発明においては、たとえば、(A)の架橋密度を増加させ、適切な(B)を選択し、必要に応じて可塑剤(C)を配合することで、以上に述べた「溶融時間」「ゲル化時間」「余裕時間」の制約をクリアーすることが出来る。
【0084】
<可塑剤C>
本発明の硬化性組成物は、成形時の溶融性の向上を目的として、可塑剤(C)を含んでいても良い。
可塑剤(C)は、溶融性と耐熱性の観点から、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲で使用するのが好ましく、0.2〜40重量部の範囲で使用するのがより好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、得られる組成物の溶融性や低温特性改善効果が充分でない場合があり、50重量部を超えると、得られる成形体の機械特性、耐熱性などが悪化する場合がある。
【0085】
可塑剤としては、特には限定されないが、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレートのようなイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタル酸のようなテトラヒドロフタル酸誘導体;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、アジピン酸イソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルジグリコール等のアジピン酸誘導体;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸誘導体;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸誘導体;ドデカン−2−酸誘導体;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸誘導体;フマル酸ジブチル等のフマル酸誘導体;トリメリト酸トリス−2−エチルヘキシル、トリメリト酸トリオクチル等のトリメリト酸誘導体;ピロメリト酸テトラオクチル等のピロメリト酸誘導体;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体;ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル等の安息香酸誘導体、イタコン酸誘導体;オレイン酸誘導体;リシノール酸誘導体;ステアリン酸誘導体;その他脂肪酸誘導体;N−アルキルベンゼンスルホンアミド等のスルホン酸誘導体;トリメチルフォスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)フォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート等のリン酸誘導体;グルタル酸誘導体;アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などの二塩基酸とグリコールおよび一価アルコールなどとのポリマーであるポリエステル系可塑剤、グルコール誘導体、グリセリン誘導体、塩素化パラフィン等のパラフィン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート誘導体等が挙げられる。これら以外の高分子量の可塑剤としては、アクリル系重合体、ポリプロピレングリコール系重合体、ポリテトラヒドロフラン系重合体、ポリイソブチレン系重合体などがあげられる。また、動物油、植物油等の油分、灯油、軽油、重油、ナフサ等の石油留分などが挙げられる。軟化剤としては、プロセスオイルが挙げられ、より具体的には、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等の石油系プロセスオイル等が挙げられる。植物油としては、例えば、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パインオイル、トール油等が例示できる。
【0086】
本発明において、可塑剤はこれらに限定されることがなく、種々の可塑剤を用いることができ、ゴム用可塑剤として広く市販されているものも用いることができる。また、これらの可塑剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0087】
可塑剤(C)は、沸点が200℃以上のものが好ましく、250℃以上であるものがさらに好ましい。得られる組成物は高温で成形されることがあり、沸点が200℃以下であると成形時に可塑剤(C)が揮発し易くなるため、成形方法や条件が限定されることがあるためである。
【0088】
可塑剤(C)は、25℃においてコーン・プレート型の回転粘度計(E型粘度計)で測定した時の粘度が、500mPa・s以下のものを用いることが好ましい。さらに好ましくは400mPa・s以下のものを用いる。特に好ましい粘度は、300mPa・s以下である。粘度が500mPa・sより高いと、組成物の可塑化効果が低下し、その結果、組成物の溶融性改善が低下傾向にあるためである。
【0089】
可塑剤(C)としては、SP値が8.0〜9.5のものを用いることが好ましい。さらに好ましくは、8.1〜9.4である。SP値が8.0未満及び9.5を超える場合には、可塑剤(C)とアクリル系ブロック共重合体(A)との相溶性が悪くなり、得られる成形体の物性が低下したり、可塑剤がブリードアウトする可能性がある。なお、本発明のSP値はPOLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION(JOHN WILEY&SONS,INC)のVII/688〜694に挙げられているTABLE7のSolubility parameter δ(cal/cm)1/2に記載されている数値を採用している。
【0090】
<その他の配合物>
本発明の組成物について、製造、加工、成形、流通、製品としての使用の際に必要とされる特性を満たすために、各種の添加剤を配合することが必要になる場合がある。
【0091】
たとえば、成形加工時の熱安定性、成形加工時ならびに長期使用時の耐酸化劣化性などを考慮すると、安定剤を配合することが望ましい。
【0092】
安定剤としては、熱劣化防止剤、一次酸化安定剤、二次酸化安定剤を組み合わせて用いることが望ましい。ただし、熱劣化防止剤および/または一次酸化安定剤に限った使用も可能である。
【0093】
熱劣化防止剤としては、フェノールアクリレート系があげられる。たとえば、スミライザGM、スミライザGS(以上、住友化学工業(株)製)が例示できる。
【0094】
一次酸化安定剤としては、フェノール系、アミン系があげられる。たとえば、フェノール系としては、スミライザBHT、スミライザMDP−S、スミライザGA−80(以上、住友化学工業(株)製)、イルガノックス1010(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、また、アミン系としては、スミライザ9A(以上、住友化学工業(株)製)が例示できる。
【0095】
二次酸化安定剤としては、イオウ系、リン系があげられる。たとえば、イオウ系としては、スミライザTPS、スミライザTP−D(以上、住友化学工業(株)製)、また、リン系としては、Sandstab P−EPQ、Hostanox par24(以上、クラリアントジャパン(株)製)が例示できる。
【0096】
また、必要に応じて、各種重合体、滑剤、難燃剤、顔料、充填剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤などを配合してもよい。
【0097】
これらの添加剤は、組成物が使用される用途に適したものを適宜選択すればよい。
【0098】
上記の重合体としては、特に限定されないが、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、四フッ化エチレン−プロピレン−フッ化ビニリデンゴム、アクリルゴム(ACM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム(CO)、エチレン−アクリルゴム、ノルボルネンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、およびフッ素系熱可塑性エラストマーなどが例示でき、これらは単独で用いてもよく、複数を組合わせて用いてもよい。
【0099】
上記の滑剤としては、エステル系滑剤、ポリエチレン系滑剤、ポリプロピレン系滑剤、炭化水素系滑剤、及びシリコーンオイルが好ましいものとして挙げられるが、特に限定はなく、さらに、モンタン酸系ワックス、ステアリン酸などの有機脂肪酸、ステアリン酸アミドなどの有機酸アミド、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カルシウムなどの有機酸金属塩が例示できる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。ここでいうポリエチレン系滑剤、ポリプロピレン系滑剤には、それぞれ、酸化ポリエチレン系滑剤、酸化ポリプロピレン系滑剤が含まれる。
【0100】
以下、滑剤およびシリコーンオイルの例を挙げるが、もちろんこれらに限定されることなく使用できる。
【0101】
エステル系滑剤としては、牛脂45硬化油(融点45℃;日本油脂(株)製、以下同じ)、牛脂51硬化油(融点51℃)、牛脂54硬化油(融点54℃)、牛脂極度硬化油(融点60℃)、LicowaxE(滴点79〜85℃;クラリアントジャパン(株)製、滴点は同社カタログより引用、以下同じ)、LicowaxF(滴点77〜83℃)、LicowaxKP(滴点81〜87℃)、LicowaxKP303(滴点86〜92℃)、LicowaxKPS(滴点80〜85℃)、LicowaxKSL(滴点79〜85℃)、LicowaxKFO(滴点86〜92℃)、LicowaxKST(滴点56〜63℃)、LicowaxWE4(滴点78〜85℃)、LicowaxWE40(滴点73〜79℃)、LicowaxBJ(滴点72〜78℃)、LicowaxRT(滴点77〜83℃)、LicowaxKPE(滴点79〜85℃)、LicowaxKLE(滴点82〜88℃)、LicowaxNE(滴点74〜82℃)、LicowaxX102(滴点81〜87℃)などを挙げることが出来る。この中では、牛脂極度硬化油が好ましい。
【0102】
ポリエチレン系滑剤としては、LicowaxPE520(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicowaxPE130、LicowaxPE190、LicowaxPE810、LicowaxPE820、LicowaxPE830、LicowaxPE840、Ceridust130、Ceridust3620、Ceridust3615など、さらに酸化ポリエチレン系滑剤としては、LicolubH12、LicolubH22、LicowaxPED521、LicowaxPED522、LicowaxPED121、LicowaxPED136、LicowaxPED153、LicowaxPED191、LicowaxPED192、LicowaxPED1101、LicowaxPED821、LicowaxPED822、Ceridust3715、Ceridust3719などを挙げることが出来る。
【0103】
ポリプロピレン系滑剤としては、LicowaxPP230(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicowaxVP−PP220、CeridustVP6071など、さらに酸化ポリプロピレン系滑剤としては、LicomontAR504を挙げることが出来る。
【0104】
炭化水素系滑剤としては、LicowaxR21(クラリアントジャパン(株)製、以下同じ)、LicolubH4を挙げることが出来る。
【0105】
シリコーンオイルとしては、例えば、TSF451(ジメチルシリコーンオイル;GE東芝シリコーン(株)製、以下同じ)、TSF410(高級脂肪酸変性シリコーンオイル)、TSF4427(アルキルアラルキル変性シリコーンオイル)、TSF4421(アルキル変性シリコーンオイル)、TSF484(メチルハイドロジェンシリコーンオイル)、TSF431(メチルフェニルシリコーンオイル)、アミノ基変性シリコーンオイル、エポキシ基変性シリコーンオイル、アルコキシ基変性シリコーンオイルなど、ポリエーテル基を有する変性ポリオルガノシロキサン(B)以外のシリコーンオイルを用いることが出来る。アミノ基変性シリコーンオイルとしては、TSF4700、TSF4701、TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、TSF4707、TSF4708、TSF4709(以上、GE東芝シリコーン(株)製)、KF−393、KF−859、KF−860、KF−861、KF−867、KF−869、KF−880、KF−8002、KF−8004、KF−8005、KF−858、KF−864、KF−865、KF−868、KF−8003(以上、側鎖タイプ、信越シリコーン製)、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、X−22−1660B−3、KF−8008、KF−8012(以上、末端タイプ、信越シリコーン製)、FZ−3501、FZ−3504、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3707、FZ−3710、FZ−3750、FZ−3760、FZ−3785、FZ−3789(以上、側鎖タイプ、日本ユニカー(株)製)があげられる。エポキシ基変性シリコーンオイルとしては、TSF4730(以上、GE東芝シリコーン(株)製)、KF−1001、KF−101、KF−22−2000、KF−102(以上、側鎖タイプ、信越シリコーン製)、KF−105、X−22−163A、X−22−163B、X−22−163C、X−22−169AS、X−22−169B、X−22−173DX(以上、末端タイプ、信越シリコーン製)、L−9300、FZ−3720、FZ−3736、Y−7499(以上、側鎖タイプ、日本ユニカー(株)製)があげられる。アルコキシ基変性シリコーンオイルとしては、FZ−3704(以上、末端タイプ、日本ユニカー(株)製)があげられる。この中では、コストや取り扱いやすさの観点から、ジメチルシリコーンオイルが好ましい。
【0106】
上記の難燃剤としては、特に限定はなく、たとえば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテル、三酸化アンチモンなどを要求される特性に応じて適宜使用することができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
【0107】
上記の顔料としては、特に限定はなく、たとえば、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などを要求される特性に応じて適宜使用することができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合わせて用いてもよい。
【0108】
上記の充填剤としては、特に限定はなく、たとえば、無定形フィラー、板状フィラー、針状フィラー、球状フィラー、機能性フィラー、繊維状フィラー、金属粉末などを、要求される特性に応じて適宜用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合わせて用いてもよい。
【0109】
無定形フィラーとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化マグネシウムなどであり、板状フィラーとしては、タルク、マイカ、ガラスフレーク、合成ハイドロタルサイトなどであり、針状フィラーとしては、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウムなどであり、球状フィラーとしては、ガラスビーズ、シリカビーズ、ガラス(シリカ)バルーンなどであり、機能性フィラーとしては、金属系導電性フィラー、非金属系導電性フィラー、カーボン系導電性フィラー、磁性フィラー、圧電、焦電フィラー、摺動性フィラーなどであり、また、繊維状フィラーとしては、ガラス繊維、金属繊維、アスベスト、ミルドファイバーなどの有機、無機、金属の各種ファイバーなど、が例示できる。この中では、コスト、分散性、取り扱いやすさなどから、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカが好ましい。また、合成ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化マグネシウムを用いた場合には、アクリル系ブロック共重合体(A)および他の成分に由来する酸成分を中和することができるため、これら成分から出る酸成分がさびを引き起こすことが問題となる使用用途において有用である。
【0110】
重質炭酸カルシウムとしては、ソフトン3200、ソフトン2600、ソフトン2200、ソフトン1800、ソフトン1500、ソフトン1200、ソフトン1000、BF−100、BF−200、BF−300(以上、備北粉化工業製、乾式製造品)、ライトン32−X、ライトン26−S、ライトン26−A、ライトンBS−0、ライトンA、ライトンS−4、ライトンS−5(以上、備北粉化工業製、表面処理品)、ホワイトンSSB、ホワイトンSB、ホワイトンB(以上、白石カルシウム(株)製、乾式製造品)、PO−320−B10、PO−220−B10、PO−180−B10、PO−150−B10、PO−120−B10、PO−10−B10(以上、白石カルシウム(株)製、表面処理品)、ホワイトン305、ホワイトン306、ホワイトン307、ホワイトン310、STパウダーH50、パルシェン500、RS−10、HG−10H(以上、白石中央研究所製、表面処理品)などがあげられる。
【0111】
軽質炭酸カルシウムとしては、膠質炭酸カルシウムおよび軽微性炭酸カルシウムが挙げられる。
【0112】
上記の膠質炭酸カルシウムとしては、たとえば、ブリリアント15(以下、BRILLIANTはブリリアントと表記する)、ブリリアントS15、ブリリアント40、UNIBUR70、VIGOT15、VIGOT10、ブリリアント1500、UNIFANT15、UNIFANT15FR、VISCOLITE(以上、白石工業(株)製、連続式反応法により得られるもの)、白艶華PZ、白艶華PX、白艶華ツネックスE、白艶華CC、白艶華CCR、白艶華カルモス、白艶華U、白艶華ホモカルD、白艶華ホモカルDM、白艶華ゲルトン50、白艶華O、白艶華DD、白艶華TDD、白艶華IGV(以上、白石工業(株)製、回分式反応法により得られるもの)、MSK−C、MSK−G、MSK−K、MSK−P、MSK−PO、カルファイン100、カルファイン200、カルファイン200M、カルファイン500、カーレックス100、カーレックス300、MT−100、MS−100M、MS−600、シーレッツ200、N−2、MC−5、MC−K、MC−SII、MC−S5、MC−T、ユニグロス1000、ユニグロス3000、ルミナス(以上、丸尾カルシウム(株)製、コロイド製品)などがあげられる。
【0113】
軽微性炭酸カルシウムとしては、PC、PC−700、PCX、PCX−850、シルバーW、赤玉(以上、白石工業(株)製、回分式反応法により得られるもの)などがあげられる。
【0114】
天然シリカとしては、IMSIL−A25、IMSIL−A15、IMSIL−A10、IMSIL−A8、クリスタライトVX−S2、クリスタライトVX−S、クリスタライトVX−SR、クリスタライト5X((株)龍森製)があげられる。
【0115】
合成シリカとしては、NIPSIL−VN3、NIPSIL−AQ、NIPSIL−LP、NIPSIL−NA、NIPSIL−ER、NIPSIL−RS150(以上、日本シリカ工業(株)製、一般用シリカ)、NIPSIL−SS10、NIPSIL−SS15、NIPSIL−SS30、NIPSIL−SS50、NIPSIL−SS70(以上、日本シリカ工業(株)製、表面処理シリカ)などがあげられる。
【0116】
<組成物の製造方法>
組成物の製造方法には特に制限はないが、たとえば、バッチ式混錬装置や連続混錬装置などの機械的方法、ブレンドにより含浸させる方法、組成物を溶剤に溶解して製造する物理的方法などにより、硬化性組成物を製造することができる。
【0117】
バッチ式混練装置としては、バッチ式混練装置としてはミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、高剪断型ミキサーが使用でき、連続混練装置としては単軸押出機、二軸押出機、KCK押出混練機などを用いることができる。さらに、機械的に混合し、ペレット状に賦形する方法などの既存の方法を用いることができる。混練時の温度は、使用するアクリル系ブロック共重合体(A)および重合体(B)、さらに、それ以外の配合物を使用する場合にあってはそれらの溶融温度、またそれらの溶融粘度などに応じて調整するのがよく、例えば、50〜150℃で溶融混練することにより製造できる。加工時の望まない架橋を防ぐために、150℃以下で溶融混練することが好ましい。
【0118】
また、アクリル系ブロック共重合体(A)と各種添加剤をパウダー状に加工し、そのパウダーに(B)をブレンドして含浸させても良い。ブレンドする場合の温度は、特に制限されないが、加工時の望まない架橋を防ぐために、150℃以下でブレンドすることが好ましい。
【0119】
また、アクリル系ブロック共重合体(A)、重合体(B)、各種添加剤を、適当な有機溶剤に溶解させて均一に混合し、その後に溶剤を揮発させて組成物を得ても良い。この場合に、有機溶剤を揮発させる方法は特に制限されないが、エバポレーター型脱溶剤装置、押出し機型脱溶剤装置など、通常使用される脱溶剤装置を使用することができる。また、溶剤に溶解させた溶液を、水と乳化剤を混合した水溶液に注入し、攪拌することで乳化液を調整し、この乳化液を加熱する事で、脱溶剤してもかまわない。この加熱の温度は、特に制限されないが、加工時の望まない架橋を防ぐために、150℃以下で加熱することが好ましく、100℃以下で加熱することがさらに好ましい。
【0120】
<成形体の用途および使用方法>
本発明の組成物を成形する方法としては、特に限定されないが、射出成形、射出ブロー成形、ブロー成形、押出ブロー成形、押出成形、カレンダー成形、真空成形、プレス成形などを用いることができる。
【0121】
得られた成形体は、たとえば、表皮材料や、触感が求められる材料(以下、「触感材料」とする)、良好な外観と耐侯性が求められる材料(以下、「外観材料」とする)として好適に用いることができ、その他に、耐磨耗性材料、耐油性材料、制振材料、粘着材料のような目的を有する材料として用いることができる。形状としては、シート、平板、フィルム、小型成形品、大型成形品その他任意の形状として、またパネル類、ハンドル類、グリップ類、スイッチ類のような部品として、さらにそれ以外にもシーリング部材として用いることができる。用途としては、特に制限されないが、自動車用、家庭用電気製品用、または事務用電気製品用が例示される。たとえば、自動車用表皮材料、自動車用触感材料、自動車用外観材料、自動車用パネル類、自動車用ハンドル類、自動車用グリップ類、自動車用スイッチ類として、また、家庭用または事務用電気製品用パネル類、家庭用または事務用電気製品用スイッチ類などを例示することができる。この中でも、自動車内装用表皮に好適に使用される。
【実施例】
【0122】
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中に記載した分子量や重合反応の転化率、各物性評価は、以下の方法に従って行った。なお、以下においては、アクリル酸ブチルをBA、アクリル酸t−ブチルをTBA、アクリル酸エチルをEA、メタアクリル酸メチルをMMA、メタアクリル酸t−ブチルをTBMAと表した。
【0123】
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
【0124】
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製、キャピラリーカラムSupelcowax−10、0.35mmφ×30m
分離条件:初期温度60℃、3.5分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約3倍に希釈し、酢酸ブチルを内部標準物質とした。
【0125】
<溶融試験>
プラストミルによる混練などで、未硬化の組成物を作成し、そのうち0.5g〜1.0gを分取した。これを、小型粉砕機サンプルミルSK−M2(協立理工(株))にて、ドライアイスを加えながら粉砕した。710μmのフルイを通過させて、パウダー状の組成物を得た。
【0126】
ホットプレートEC−1200((株)井内盛栄堂、現在はアズワン(株))を、215℃に設定し、評価用のアルミ版を載せて、表面温度が200℃前後に調整した。アルミ板の上に、上述のパウダーを少量、薬さじにて投下し、目視で、パウダー同士が溶融して融着した時点を、溶融時間とした。
【0127】
<ゲル化試験>
上述と同様にして、パウダー状の組成物を得た。
【0128】
ホットプレートEC−1200((株)井内盛栄堂、現在はアズワン(株))を215℃に設定した後、アルミ板を載せ、表面温度が200℃前後になるように調整した。アルミ板の上に、組成物パウダーを薬さじで少量投下し、10秒後に爪楊枝を組成物に接触・回転させた後、爪楊枝をゆっくり引き揚げて、爪楊枝とアルミ板の間に糸引きが見られなくなった時点を、ゲル化時間とした。
【0129】
<耐熱試験>
実施例に記載の条件に従いプレス成形を行うことにより、シボ模様が転写されたシート状の成形体を得た。これを、130℃に設定したオーブンに投入し、24時間後に取り出した。表面のグロスや、シボ模様の消失具合を、目視で観察した。表面のグロス変化があまりなく、シボ模様が完全に残っているものを○、表面のグロスが向上し、シボ模様の細部が消失しているものを×、その中間を△として評価した。
【0130】
(製造例1)
<酸無水物基/カルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体(以下、「重合体1前駆体」ともいう)の合成>
酸無水物基/カルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(A)前駆体を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅692g(4.82モル)、BA77,820g(607モル)およびTBA3,470g(27.1モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル965.1g(2.68モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)7140gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン83.6g(0.482モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
【0131】
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液を約100mLサンプリングし、これをガスクロマトグラム分析することによりBA、TBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計167g)添加した。
【0132】
BAの転化率が98.9%、TBAの転化率が99.0%の時点で、MMA49,590g(495モル)、EA8,050g(80.4モル)、塩化銅477g(4.82モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン83.6g(0.482モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)106,860gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
【0133】
MMA、EAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、EAの転化率を決定した。MMA、EAを投入後、内温を85℃に設定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計502g)添加した。MMAの転化率が95.9%の時点でトルエン250,000gを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは77,400、分子量分布Mw/Mnは1.44であった。得られた反応溶液にトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を2,203g加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2,650g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離し、重合体1前駆体溶液を得た。なお、開始剤とTBAの量比から求めた1分子中のTBAの個数は、理想的に重合が進行したとして10個である。
【0134】
(製造例2)
<酸無水物基/カルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(A)(以下、「重合体1」ともいう)の合成>
得られた濾液に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)790gを添加し、さらに内部標準物質としてTBMAを濾液100重量%に対して0.1重量%を添加した。この溶液を150℃で4時間加熱攪拌した。4時間後、溶液をサンプリングし、GC測定にてTBMAが消失していることを確認して反応終了とし、冷却した。
【0135】
得られた溶液に対し、キョーワード500SH、13,150gを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。溶液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)790gと、酸トラップ剤としてハイドロタルサイトDHT−4A−2(協和化学工業(株)製)1,315gを添加した。
【0136】
引き続き、重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにして重合体1のペレットを作製した。
【0137】
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換効率測定は、280℃熱分解反応によりt−ブチル基から発生するイソブチレン量を定量することにより行った。測定の結果、得られた樹脂の変換効率は95%以上であった。得られた重合体1のメタアクリル系重合体ブロック(a)のTgは、101℃であった。なお、理想的に官能基変換が進行したとして、1分子中のカルボキシル基の個数は10個である。
【0138】
(製造例3)
<酸無水物基/カルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(A’)前駆体(以下、「重合体2前駆体」ともいう)の合成>
酸無水物基/カルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(A’)前駆体を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅688g(4.79モル)、BA78432g(612モル)およびTBA2866g(22.4モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1328g(3.69モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)7137gに溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン83.1g(0.48モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
【0139】
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液を約100mLサンプリングし、これをガスクロマトグラム分析することによりBA、TBAの転化率を決定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計166.2g)添加した。
【0140】
BAの転化率が98.8%、TBAの転化率が99.0%の時点で、MMA48259g(482モル)、EA7843g(78.3モル)、塩化銅474g(4.8モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン83.1g(0.48モル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)104kgを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
【0141】
MMA、EAを投入した時点でサンプリングを行い、これを基準としてMMA、EAの転化率を決定した。MMA、EAを投入後、内温を85℃に設定した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタアクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計498.6g)添加した。MMAの転化率が95.6%の時点でトルエン250kgを加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは55200、分子量分布Mw/Mnは1.42であった。得られた反応溶液にトルエンを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を2190g加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2700g添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離し、重合体2前駆体溶液を得た。なお、開始剤とTBAの量比から求めた1分子中のTBAの個数は、理想的に重合が進行したとして6個である。
【0142】
(製造例4)
<酸無水物基/カルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(A’)(以下、「重合体2」ともいう)の合成>
得られた濾液440kgに対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)660gを添加し、さらに内部標準物質としてTBMAを濾液100重量%に対して0.1重量%を添加した。この溶液を150℃で4時間加熱攪拌した。4時間後、溶液をサンプリングし、GC測定にてTBMAが消失していることを確認して反応終了とし、冷却した。
【0143】
得られた溶液に対し、キョーワード500SH、11000gを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。溶液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)660gと、酸トラップ剤としてハイドロタルサイトDHT−4A−2(協和化学工業(株)製)1100gを添加した。
【0144】
引き続き、重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにして重合体2のペレットを作製した。
【0145】
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換効率測定は、280℃熱分解反応によりt−ブチル基から発生するイソブチレン量を定量することにより行った。測定の結果、得られた樹脂の変換効率は95%以上であった。なお、理想的に官能基変換が進行したとして、1分子中のカルボキシル基の個数は6個である。
【0146】
(実施例1)
表1の配合に従い、製造例2で得られた重合体1、重合体(B)としてARUFON UG−4010(東亞合成(株)、粘度3600mPa・s)、可塑剤(C)としてアデカサイザーRS−700(旭電化工業(株)、粘度30mPa・s)を、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所)を用いて100℃・100rpmで10分間溶融混練した。そのうち0.5gを、溶融試験およびゲル化試験のために分取した。残りを、設定温度200℃・8分で熱プレス成形し、革シボで修飾されたプレス板にて革シボ模様が転写された厚さ1mmの評価用の成形体を得た。
【0147】
結果を表1に示す。
【0148】
(実施例2)
表1の配合に従い、製造例2で得られた重合体1、重合体(B)としてARUFON UG−4010、可塑剤(C)としてアデカサイザーRS−700、滑剤として牛脂極度硬化油(日本油脂(株))、ブロッキング防止剤としてシリカIMSIL A−10((株)龍森)を用いたほかは、実施例1と同様にして成形体を得て評価した。結果を表1に示す。
【0149】
(実施例3)
表1の配合に従い、ブロッキング防止剤としてシリカの代わりに有機フィラーであるエポスターMA1006((株)日本触媒)を用いたほかは、実施例2と同様にして成形体を得て評価した。結果を表1に示す。
【0150】
(比較例1)
表1の配合に従い、製造例4で得られた重合体2を配合し、可塑剤(C)を配合しなかったほかは、実施例1と同様にして成形体を得て評価した。結果を表1に示す。
【0151】
(比較例2)
表1の配合に従い、可塑剤(C)としてアデカサイザーRS−700、滑剤として牛脂極度硬化油(日本油脂(株))を配合したほかは、比較例1と同様にして成形体を得て評価した。結果を表1に示す。
【0152】
【表1】

【0153】
以上のように、実施例1〜3においては、溶融時間20秒以下に見るように満足な溶融性と、ゲル化時間60秒以下に見るように満足な反応速度を両立し、かつ、成形体は十分な耐熱性を発揮することが分かる。
【0154】
また、比較例1および2においては、溶融時間20秒以下に見るように溶融性は十分であるが、ゲル化時間60秒以上に見るようにゲル化時間が遅いことから反応速度が遅く、従って、実施例と同じ成形タイムサイクルで得られた成形体は、実施例に比べて不十分な耐熱性を示すことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタアクリル系重合体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(A1)およびアクリル系重合体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(A2)からなり、(A1)および(A2)のうち少なくとも一方に酸無水物基および/またはカルボキシル基を1分子中に8個〜30個有するアクリル系ブロック共重合体(A)と、
エポキシ基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、およびオキサゾリン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の反応性官能基を含有する重合体(B)、
とを含有し、200℃におけるゲル化時間が60秒以下であり、かつ、200℃における溶融時間がゲル化時間より小さいことを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体が、メタアクリル系単量体を主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(A1)10〜60重量%と、アクリル系単量体を主成分とするアクリル系重合体ブロック(A2)90〜40重量%とからなることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アクリル系重合体ブロック(A2)が、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチルおよびアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体50〜100重量%、ならびにこれらと共重合可能な異種のアクリル酸エステルおよび/又はその他のビニル系単量体50〜0重量%とからなることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が、30,000〜500,000であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.8以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
(A)成分であるアクリル系ブロック共重合体が、原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
(B)成分である重合体が、1分子中に少なくとも1.1個以上のエポキシ基を有するアクリル系重合体であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
(B)成分である重合体の重量平均分子量が、30,000以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
(A)成分が100重量部に対して、(B)成分が0.1〜100重量部であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
(A)成分、(B)成分以外に、25℃でE型粘度計により測定した粘度が500mp・s以下であり、SP値が8.0〜9.5である可塑剤(C)とを含有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の組成物。

【公開番号】特開2007−326957(P2007−326957A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158967(P2006−158967)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】