説明

硬貨入出金機

【課題】各収納繰出部における硬貨の収納容量を減らすことなく機体の奥行き方向の寸法を小さくすることができる硬貨入出金機を提供する。
【解決手段】硬貨入出金機10において、入金搬送部20の下方に設けられた複数の収納繰出装置50が鉛直方向において複数段となるよう配置されている。また、入金搬送部20による硬貨の搬送方向と、各収納繰出装置50から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨の入金や出金が可能な硬貨入出金機に関し、とりわけ、各収納繰出部における硬貨の収納容量を減らすことなく機体の奥行き方向の寸法を小さくすることができる硬貨入出金機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、硬貨の入金や出金が可能な硬貨入出金機として、例えば特許文献1や特許文献2に開示されるものが知られている。特許文献1には、硬貨受入口により機体内に投入された硬貨を金種別に選別し、対応する金種の収納繰出部に収納するとともに、収納繰出部に収納されている硬貨を当該収納繰出部から繰り出して機体外に出金する硬貨入出金機が開示されている。ここで、金種別に設けられた複数の収納繰出部は、ベルトにより硬貨を繰り出すようなベルト方式となっており、複数の収納繰出部は、機体の奥行き方向に延びる硬貨の搬送路に沿って配置されている。
【0003】
また、特許文献2にも、硬貨受入口により機体内に投入された硬貨を金種別に選別し、対応する金種の収納繰出部に収納するとともに、収納繰出部に収納されている硬貨を当該収納繰出部から繰り出して機体外に出金する硬貨入出金機が開示されている。ここで、特許文献2に開示される硬貨入出金機の収納繰出部は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤を用いるような回転円盤方式となっている。また、特許文献2に開示される硬貨入出金機は、特許文献1に開示される硬貨入出金機と同様に、複数の収納繰出部は、機体の奥行き方向に延びる硬貨の搬送路に沿って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開公報WO2008/093420A1
【特許文献2】特開昭63−59199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2等に開示される従来の硬貨入出金機では、機体の奥行き方向に延びる硬貨の搬送路に沿って複数の収納繰出部が配置されているため、機体の奥行き方向の寸法が大きくなってしまい、硬貨入出金機の設置スペースが制約されてしまうという問題がある。また、従来の硬貨入出金機において機体の奥行き方向の寸法を小さくしようとすると、ベルト方式や回転円盤方式の収納繰出部を小型化しなければならず、硬貨の収納容量が小さくなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、複数の収納繰出部を、鉛直方向において複数段となるよう配置するとともに、入金搬送部による硬貨の搬送方向と、各収納繰出部から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するよう各収納繰出部を配置することにより、各収納繰出部における硬貨の収納容量を減らすことなく機体の奥行き方向の寸法を小さくすることができる硬貨入出金機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の硬貨入出金機は、機体外から硬貨を受け入れる硬貨受入口と、前記硬貨受入口に受け入れられた硬貨が送られて貯留されるとともに貯留された硬貨を1枚ずつ繰り出す貯留繰出装置と、前記貯留繰出装置により繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する入金搬送部と、前記入金搬送部に設けられ、当該入金搬送部により搬送される硬貨の識別を行う識別部と、前記入金搬送部の下方に設けられた複数の硬貨収納部であって、前記識別部による硬貨の識別結果に基づいて前記入金搬送部に設けられた選別部により当該入金搬送部から硬貨が送られて収納され、また収納された硬貨を1枚ずつ繰り出す複数の収納繰出部と、を備え、前記複数の収納繰出部は、鉛直方向において複数段となるよう配置されており、前記入金搬送部による硬貨の搬送方向と、前記各収納繰出部から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するようになっていることを特徴とする。
【0008】
このような硬貨入出金機によれば、入金搬送部の下方に設けられた複数の収納繰出部が鉛直方向において複数段となるよう配置されており、しかも、入金搬送部による硬貨の搬送方向と、各収納繰出部から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するようになっている。このように、複数の収納繰出部が鉛直方向において複数段となるよう配置されているため、入金搬送部の下方において複数の収納繰出部を横一列に配置した場合と比較して、硬貨入出金機の機体の奥行き方向の寸法を小さくすることができる。また、もし入金搬送部による硬貨の搬送方向と、各収納繰出部から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが平行となっている場合には、収納繰出部の左右方向長さはある程度の大きさがあり、また、各収納繰出部間に出金空間が必要となるため、入金搬送部による硬貨の搬送方向、すなわち硬貨入出金機の機体の奥行き方向の寸法が大きくなってしまうが、本発明の硬貨入出金機では、入金搬送部による硬貨の搬送方向と、各収納繰出部から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するようになっているため、硬貨入出金機の機体の奥行き方向の寸法を小さくすることができる。このように、本発明の硬貨入出金機によれば、各収納繰出部における硬貨の収納容量を減らすことなく機体の奥行き方向の寸法を小さくすることができる。
【0009】
本発明の硬貨入出金機においては、前記各収納繰出部は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤と、前記回転円盤の表面との間に硬貨を収納する硬貨収納空間を形成するカバー部材とを有していてもよい。
【0010】
本発明の硬貨入出金機においては、前記機体外へ硬貨を投出する硬貨投出口と、前記各収納繰出部から繰り出された硬貨を前記硬貨投出口に搬送する出金搬送部と、を更に備えていてもよい。
【0011】
この際に、前記出金搬送部は、前記複数の収納繰出部の下方に設けられ略水平方向に沿って延びる第1の出金搬送部分と、前記第1の出金搬送部分から送られた硬貨を前記硬貨投出口に搬送する第2の出金搬送部分とを有し、前記複数の収納繰出部の一方の側の側方には、前記各収納繰出部から繰り出された硬貨が前記第1の出金搬送部分に落下する硬貨出金空間が形成されており、前記複数の収納繰出部の他方の側の側方には、前記入金搬送部に設けられた前記選別部から前記各収納繰出部に硬貨を搬送するシュートが設けられていてもよい。
【0012】
本発明の硬貨入出金機においては、前記入金搬送部は、略水平方向に沿って延びる第1の入金搬送部分と、前記第1の入金搬送部分から送られた硬貨を搬送し、この際に硬貨の搬送方向を逆方向に変える折り返し入金搬送部分と、略水平方向に沿って延び、前記折り返し入金搬送部分から送られた硬貨を搬送する第2の入金搬送部分とを有し、前記第1の入金搬送部分および前記第2の入金搬送部分にそれぞれ前記選別部が設けられていてもよい。
【0013】
本発明の硬貨入出金機においては、前記複数の収納繰出部は、鉛直方向において3段以上となるよう配置されていてもよい。
【0014】
本発明の硬貨入出金機においては、前記複数の収納繰出部は、同一の構成のものからなっていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の硬貨入出金機によれば、各収納繰出部における硬貨の収納容量を減らすことなく機体の奥行き方向の寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一の実施の形態における硬貨入出金機の内部構成の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示す硬貨入出金機の正面図である。
【図3】図1等に示す硬貨入出金機における貯留繰出装置の構成を示す構成図である。
【図4】図3に示す貯留繰出装置の側面図であって、(a)はカバー部材が閉じておりこのカバー部材と回転円盤の表面との間に硬貨収納空間が形成されたときの状態を示す図であり、(b)はカバー部材が開いたときの状態を示す図である。
【図5】図1等に示す硬貨入出金機における選別部の構成を示す断面図である。
【図6】図1等に示す硬貨入出金機における収納繰出装置の構成を示す構成図である。
【図7】図6に示す収納繰出装置において、一の搬送突起部材に2枚の硬貨が引っ掛けられたときの状態を示す図である。
【図8】図7におけるA方向からの矢視による排除突起部材等の構成を示す縦断面図である。
【図9】収納繰出装置に設けられる硬貨排除部の他の構成を示す構成図である。
【図10】収納繰出装置に設けられる硬貨排除部の更に他の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本実施の形態に係る硬貨入出金機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における硬貨入出金機の内部構成の概略を示す側面図であり、図2は、図1に示す硬貨入出金機の正面図である。また、図3および図4は、図1等に示す硬貨入出金機における貯留繰出装置の構成を示す構成図であり、図5は、図1等に示す硬貨入出金機における選別部の構成を示す断面図である。また、図6乃至図8は、図1等に示す硬貨入出金機における収納繰出装置の構成を示す構成図である。
【0018】
図1および図2に示すように、硬貨入出金機10は、略直方体形状の筐体12と、筐体12外から硬貨を受け入れる硬貨受入口14と、硬貨受入口14に受け入れられた硬貨が送られて貯留されるとともに貯留された硬貨を1枚ずつ繰り出す貯留繰出装置30とを備えている。また、筐体12内において、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する入金搬送部20が設けられており、この入金搬送部20には、当該入金搬送部20により搬送される硬貨の識別を行う識別部22が設けられている。
【0019】
また、筐体12内において入金搬送部20の下方には複数(具体的には8つ)の収納繰出装置50が設けられている。各収納繰出装置50は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて、入金搬送部20に設けられた選別部24(後述)により当該入金搬送部20から硬貨が送られて収納されるようになっている。また、各収納繰出装置50は、当該収納繰出装置50に収納された硬貨を1枚ずつ繰り出すようになっている。ここで、複数の収納繰出装置50は、鉛直方向において複数段となるよう配置されている。
【0020】
また、硬貨入出金機10には、筐体12外へ硬貨を投出する硬貨投出口18が設けられており、筐体12内には、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨を硬貨投出口18に搬送する出金搬送部70が設けられている。また、筐体12内において、出金搬送部70の下方には回収ボックス80が設けられている。
【0021】
以下、このような構成からなる硬貨入出金機10の各構成要素の詳細について説明する。
【0022】
図2に示すように、筐体12外から内部に投入された硬貨を受け入れる硬貨受入口14が筐体12の上部に設けられており、硬貨受入口14に受け入れられた硬貨は自重により貯留繰出装置30に送られるようになっている。硬貨受入口14から貯留繰出装置30に送られた硬貨は、当該貯留繰出装置30に一時的に貯留されるようになっている。
【0023】
貯留繰出装置30は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤32と、この回転円盤32の表面32bとの間に硬貨を貯留する硬貨貯留空間33を形成するカバー部材34と、を備えている。このような貯留繰出装置30の構成の詳細については後述する。
【0024】
入金搬送部20は、第1の入金搬送部分20aと、折り返し入金搬送部分20bと、第2の入金搬送部分20cとを有している。第1の入金搬送部分20aは、略水平方向に沿って延び、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨を搬送するようになっている。折り返し入金搬送部分20bは、第1の入金搬送部分20aから送られた硬貨を搬送し、この際に硬貨の搬送方向を逆方向に変えるようになっている。第2の入金搬送部分20cは、略水平方向に沿って延び、折り返し入金搬送部分20bから送られた硬貨を搬送するようになっている。ここで、第1の入金搬送部分20aは、図1における右方向に硬貨を1枚ずつ搬送するようになっており、第2の入金搬送部分20cは、図1における左方向に硬貨を1枚ずつ搬送するようになっている。また、折り返し入金搬送部分20bは、半円に沿って延びるような湾曲形状となっており、硬貨の搬送方向を図1における右方向から左方向に変えるようになっている。
【0025】
また、第1の入金搬送部分20a、折り返し入金搬送部分20bおよび第2の入金搬送部分20cから構成される入金搬送部20は、通路面20h(図1および図2では図示せず)と、この通路面20hに沿って設けられた無端状ベルト20pとから構成されている。ここで、無端状ベルト20pは複数のプーリに張架されており、一のプーリに取り付けられたモータにより無端状ベルト20pは図1における反時計回りの方向に循環移動させられるようになっている。また、この無端状ベルト20pには複数の突起部材(図1では図示せず)が等間隔で設けられており、一の突起部材に硬貨が1枚引っ掛けられることにより、搬送面上で硬貨が1枚ずつ搬送させられるようになっている。
【0026】
図1および図2に示すように、第1の入金搬送部分20aおよび第2の入金搬送部分20cにはそれぞれ複数の選別部24が設けられている。より具体的には、第1の入金搬送部分20aには4つの選別部24が設けられており、第2の入金搬送部分20cには5つの選別部24が設けられている。また、図1に示すように、第1の入金搬送部分20aにおける各選別部24の上流側には識別部22が設けられており、この識別部22は、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨の金種、真偽、正損等の識別を行うようになっている。そして、第1の入金搬送部分20aや第2の入金搬送部分20cに設けられた各選別部24は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて、これらの第1の入金搬送部分20aや第2の入金搬送部分20cにより搬送される硬貨を選別して硬貨投出口18や各収納繰出装置50に送ったりするようになっている。具体的には、第1の入金搬送部分20aおよび第2の入金搬送部分20cに設けられた合計9つの選別部24のうち、1つの選別部24はリジェクト選別部として機能するようになっており、この選別部24によりリジェクト硬貨が選別されて硬貨投出口18に送られるようになっている。一方、リジェクト選別部として機能する選別部24以外の8つの選別部24は、各収納繰出装置50に対応するようになっている。また、各選別部24には、それぞれ対応するシュート26が設けられている。そして、選別部24により選別された硬貨は、この選別部24に設けられたシュート26を介して、硬貨投出口18や、対応する収納繰出装置50に送られたりするようになる。
【0027】
より詳細に説明すると、9つの選別部24のうち、第1の入金搬送部分20aにおける最も上流側の位置に設けられた選別部24(すなわち、図1における第1の入金搬送部分20aに設けられた4つの選別部24のうち最も左側に配置された選別部24)は、リジェクト硬貨の選別を行うリジェクト選別部として機能するようになっている。すなわち、識別部22により識別された硬貨のうちリジェクト硬貨と識別された硬貨はこのリジェクト選別部により選別されて硬貨投出口18に送られるようになる。一方、9つの選別部24のうち、上述のようなリジェクト選別部として機能する選別部24以外の8つの選別部24は、それぞれ、金種別に硬貨を選別する金種別選別部として機能するようになっている。すなわち、識別部22により識別された硬貨の金種に基づいて、各選別部24により硬貨は金種別に各収納繰出装置50に送られるようになる。このような選別部24の具体的な構成については後述する。
【0028】
入金搬送部20の下方には複数、具体的には8つの収納繰出装置50が設けられている。ここで、複数の収納繰出装置50は、同一の構成のものからなるようになっている。具体的には、各収納繰出装置50は、入金搬送部20から選別部24により選別されて送られた硬貨を収納するとともに、収納された硬貨を1枚ずつ収納繰出装置50の外部に繰り出すようになっている。各収納繰出装置50は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤52と、この回転円盤52の表面52bとの間に硬貨を収納する硬貨収納空間53を形成するカバー部材54と、を備えている。本実施の形態の硬貨入出金機10においては、図1および図2に示すように、複数の収納繰出装置50は、鉛直方向において複数段(具体的には、例えば3段)となるよう配置されている。また、入金搬送部20による硬貨の搬送方向と、各収納繰出装置50から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するようになっている。具体的には、入金搬送部20による硬貨の搬送方向は、図1の紙面に平行な方向となっているが、各収納繰出装置50から繰り出される硬貨の繰り出し方向は、図1の紙面に直交する方向となっている。このような収納繰出装置50の構成の詳細については後述する。
【0029】
前述のように、筐体12内には出金搬送部70が設けられており、この出金搬送部70は、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨を硬貨投出口18に搬送するようになっている。ここで、出金搬送部70は、各収納繰出装置50の下方に設けられ略水平方向に沿って延びる第1の出金搬送部分70aと、第1の出金搬送部分70aから送られた硬貨を硬貨投出口18に搬送する第2の出金搬送部分70bとを有している。
【0030】
第1の出金搬送部分70aおよび第2の出金搬送部分70bから構成される出金搬送部70は、複数のプーリに張架された無端状ベルト70pから構成されている。そして、一のプーリに取り付けられたモータにより無端状ベルト70pは図1における時計回りおよび反時計回りの両方向に循環移動させられるようになっている。また、この無端状ベルト70pには複数の突起部材(図示せず)が等間隔で設けられており、一の突起部材に硬貨が1枚以上引っ掛けられることにより、無端状ベルト70pにより硬貨が1枚以上ずつ搬送させられるようになっている。また、図2に示すように、各収納繰出装置50の一方の側の側方(図2における右方)には硬貨出金空間72が形成されており、この硬貨出金空間72において、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が出金搬送部70の第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下するようになっている。また、各収納繰出装置50の他方の側の側方(図2における左方)には、入金搬送部20に設けられた選別部24から各収納繰出装置50に硬貨を搬送するシュート26が設けられている。このように、硬貨出金空間72とシュート26とは、各収納繰出装置50を挟んで左右における反対側に設けられている。
【0031】
このような出金搬送部70において、無端状ベルト70pが図1における反時計回りの方向に循環移動させられるときには、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから第2の出金搬送部分70bに送られる。そして、第2の出金搬送部分70bにおいて無端状ベルト70pの突起部材に引っ掛けられた硬貨は図1における上方に移動させられ、最終的に第2の出金搬送部分70bの上端部から硬貨投出口18に送られるようになる。一方、無端状ベルト70pが図1における時計回りの方向に循環移動させられるときには、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨は自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下するが、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから後述する回収ボックス80に送られ、最終的に回収ボックス80に収納されるようになる。
【0032】
前述のように、筐体12内において、各収納繰出装置50の下方には回収ボックス80が設けられている。この回収ボックス80は筐体12に対して着脱自在に設けられている。また、前述のように、回収ボックス80には出金搬送部70における第1の出金搬送部分70aから回収用の硬貨が送られるようになっている。そして、回収ボックス80に硬貨が収納された後、操作者が筐体12から回収ボックス80を取り出すことにより、硬貨を回収ボックス80ごと回収することができるようになっている。
【0033】
次に、貯留繰出装置30の構成の詳細について図3および図4を用いて以下に説明する。
【0034】
前述のように、貯留繰出装置30は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤32と、この回転円盤32の表面32bとの間に硬貨を貯留する硬貨貯留空間33を形成するカバー部材34と、を備えている。図4に示すように、回転円盤32には回転軸32aが取り付けられており、この回転軸32aにより回転円盤32は鉛直方向に対して所定角度で傾斜した状態で図3における反時計回りの方向(図3における矢印方向)に回転するようになっている。
【0035】
回転円盤32の表面には、中央域に円形の高位部32mが形成され、この高位部32mの外周縁に環状の低位部32nが形成されている。そして、回転円盤32の高位部32mと低位部32nとの間には、処理されるべき硬貨のうち最小硬貨厚みより少し小さい寸法で、硬貨の周縁が厚み方向に1枚載る段差状の硬貨周縁保持部37が形成されている。なお、硬貨周縁保持部37の厚みは、最小硬貨厚み程度であってもよい。
【0036】
回転円盤32の低位部32nには、回転円盤32の表面32bから突出する複数の搬送突起部材36が設けられている。これらの搬送突起部材36は、内周側の円周方向と外周側の円周方向との2列の円周方向に沿って所定ピッチで配置されている。外周側の各搬送突起部材36は、内周側の各搬送突起部材36より回転円盤32の回転方向(図3における反時計回りの方向)の上流側に配置されている。そして、回転円盤32の回転時において、内周側の搬送突起部材36がカバー部材34との間で硬貨を1枚ずつ保持して回転円盤32の下部領域から上部領域に拾い上げ、内周側の搬送突起部材36と硬貨周縁保持部37とに硬貨を受け渡し、内周側の搬送突起部材36で回転円盤32の上部領域に拾い上げた硬貨を、外周側の搬送突起部材36により貯留繰出装置30の出口30aへ向けて押し出すとともに後述する受渡円盤40に受け渡すようになっている。
【0037】
硬貨周縁保持部37は、内周側の各搬送突起部材36との間で硬貨を1枚ずつ保持可能とする各位置に設けられている。具体的には、円周方向に複数の硬貨周縁保持部37が等間隔で設けられている。このような複数の硬貨周縁保持部37の間には、高位部32mと低位部32nとの間の段差を傾斜面として、内周側の搬送突起部材36と硬貨周縁保持部37とで保持されない硬貨を自重により下方に滑落させる滑落部38が形成されている。
【0038】
貯留繰出装置30における回転円盤32の上部領域には、搬送突起部材36で回転円盤32の上部領域に拾い上げられた硬貨を貯留繰出装置30の出口30aへ向けて繰り出す案内通路42が形成されている。この案内通路42は、回転円盤32の表面32bと同一平面上において、上下両側のガイド部材43、44の間に形成されている。上側のガイド部材43は、回転円盤32の上部領域から貯留繰出装置30の出口30aの一方の縁部側にかけて、回転円盤32の表面32bからわずかに間隔をあけて位置固定で設けられている。また、下側のガイド部材44は、当該ガイド部材44と回転円盤32の低位部32nの表面との間に硬貨が入り込まないよう回転円盤32の表面32bからわずかに間隔をあけて、硬貨周縁保持部37側から貯留繰出装置30の出口30aの他方の縁部側にわたって位置固定で設けられている。図3に示すように、下側のガイド部材44の案内通路42に臨む内縁は曲面に形成されている。また、ガイド部材44における回転円盤32の低位部32nに対向する面には、回転移動する各搬送突起部材36が通過するような溝部(図示せず)が形成されている。そして、ガイド部材44により、搬送突起部材36等によって回転円盤32の下部領域から上部領域に拾い上げられた硬貨を硬貨周縁保持部37から受け取って貯留繰出装置30の出口30aへ案内するようになっている。
【0039】
受渡円盤40は、貯留繰出装置30における回転円盤32の上部領域において、この受渡円盤40の表面が回転円盤32の表面32bとほぼ面一となるように回転可能に配置されている。受渡円盤40の外周縁には、硬貨に当接して回転円盤32側から案内通路42へ硬貨を繰り出す突起部40aが設けられている。受渡円盤40は、入金搬送部20の無端状ベルト20pと連動して回転するようになっており、無端状ベルト20pが図3における矢印方向に回転するときに、受渡円盤40は図3における時計回りの方向に回転するようになっている。このようにして、回転円盤32から案内通路42に送られた硬貨は、上下両側のガイド部材43、44の間で受渡円盤40の突起部40aにより図3における矢印方向に搬送され、最終的に入金搬送部20の無端状ベルト20pに送られるようになる。
【0040】
図4に示すように、回転円盤32との間で硬貨貯留空間33を形成するカバー部材34の底部は開閉自在となっている。ここで、図4(a)は、図3に示す貯留繰出装置30の側面図であって、カバー部材34が閉じておりこのカバー部材34と回転円盤32の表面との間に硬貨貯留空間33が形成されたときの状態を示す図であり、図4(b)は、図3に示す貯留繰出装置30の側面図であって、カバー部材34が開いたときの状態を示す図である。図4に示すように、カバー部材34は軸34aを中心として回動するようになっている。また、軸34aには、当該軸34aを正逆両方向に回転させる駆動モータ34bが設けられており、駆動モータ34bが軸34aを回転させることにより、カバー部材34は図4(a)に示すような閉止位置と図4(b)に示すような開放位置との間で往復移動するようになっている。
【0041】
カバー部材34が図4(a)に示すような閉止位置にあるときにおいて、カバー部材34と回転円盤32の表面32bとの間に硬貨貯留空間33が形成され、複数の硬貨が混合状態でこの硬貨貯留空間33に貯留されることになる。一方、カバー部材34が図4(a)に示すような閉止位置から図4(b)に示すような開放位置に移動したときには、硬貨貯留空間33内にある、硬貨を含む様々な物体が硬貨貯留空間33から落下し、硬貨投出口18に送られるようになる。
【0042】
次に、選別部24の構成の詳細について図5を用いて説明する。図5において、入金搬送部20に設けられた選別部24の断面図が示されている。選別部24では、入金搬送部20の通路面20hから下側の硬貨ガイド部材20iにかけて開口部25が形成され、この開口部25内に分岐部材27が通路方向(搬送方向)に平行な軸27aを支点として前後方向に揺動可能に配置されている。
【0043】
分岐部材27は、軸27aで支持される支持部分27bを有し、この支持部分27bの上端に、分岐されない硬貨を通過させる通過ガイド部分27cが設けられている。また、支持部分27bの背部には分岐されるべき硬貨を開口部25の背後側に取り込んで分岐させる分岐ガイド部分27dが設けられている。そして、分岐部材27の支持部分27bには各アーム27eを介して図示しない各分岐用駆動素子の駆動力が伝達され、通過ガイド部分27cが開口部25に位置する通過位置(図5(a)参照)と、分岐ガイド部分27dが開口部25に位置する分岐位置(図5(b)参照)とに切り替えられるようになっている。
【0044】
通過ガイド部分27cは、硬貨の搬送方向から見て断面略コの字形であり、硬貨を支えて通過可能とする通過溝27fを有している。そして、通過ガイド部分27cが図5(a)に示す通過位置に位置するときには、通過溝27fの右面および底面が通路面20hおよび硬貨ガイド部材20iの硬貨支持縁部20jと略面一となってこれらの通路面20hおよび硬貨ガイド部材20iの硬貨支持縁部20jにより硬貨の下部における背面および周縁を案内し、硬貨の通過を許容する。なお、図5(a)において、選別部24を通過する硬貨を参照符号Cで示す。また、通過溝27fの左面は、最大硬貨厚みよりやや大きな寸法分だけ右面から離間しており、硬貨の通過を許容するようになっている。また、図5(b)に示すような分岐位置のときには、通過ガイド部分27cは開口部25の表面側に退避する。
【0045】
分岐ガイド部分27dは、表面側から見て断面略L字形となっており、上部側が入金搬送部20における硬貨の搬送方向の上流側に位置して入金搬送部20に対して斜めに配置される傾斜部分27gと、この傾斜部分27gから入金搬送部20における硬貨の搬送方向に対して垂直な垂直部分27hとを有している。分岐ガイド部分27dには、入金搬送部20の無端状ベルト20pの突起部材20qとの干渉防止のために切欠部27iが形成されている。そして、この分岐ガイド部分27dは、図5(b)に示す分岐位置のときには、通路面20hより表面側に突出し、入金搬送部20で搬送されている硬貨を、傾斜部分27gおよび垂直部分27hさらには支持部分27bの背面側を通じて開口部25内に取り込む。開口部25内に取り込まれた硬貨は、シュート26を介して硬貨投出口18や各収納繰出装置50に送られるようになる。また、図5(a)に示す通過位置のときには、傾斜部分27gおよび垂直部分27hは開口部25の背面側に退避する。
【0046】
次に、収納繰出装置50の構成の詳細について図1、図6、図7および図8を用いて以下に説明する。
【0047】
図1に示すように、収納繰出装置50は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤52と、この回転円盤52の表面52bとの間に硬貨を収納する硬貨収納空間53を形成するカバー部材54と、を備えている。図6に示すように、回転円盤52には回転軸52aが取り付けられており、この回転軸52aにより回転円盤52は鉛直方向に対して所定角度で傾斜した状態で図6における時計回りの方向(図6における矢印方向)に回転するようになっている。
【0048】
回転円盤52の表面には、中央域に円形の高位部52mが形成され、この高位部52mの外周縁に環状の低位部52nが形成されている。そして、回転円盤52の高位部52mと低位部52nとの間には、処理されるべき硬貨のうち最小硬貨厚みより少し小さい寸法で、硬貨の周縁が厚み方向に1枚載る段差状の硬貨周縁保持部57が形成されている。
【0049】
回転円盤52の低位部52nには、当該回転円盤52の表面52bから突出する複数の搬送突起部材56が設けられている。これらの搬送突起部材56は、内周側の円周方向と外周側の円周方向との2列の円周方向に沿って所定ピッチで配置されている。外周側の各搬送突起部材56は、内周側の各搬送突起部材56より回転円盤52の回転方向(図6における時計回りの方向)の上流側に配置されている。そして、回転円盤52の回転時において、内周側の搬送突起部材56がカバー部材54との間で硬貨を1枚ずつ保持して回転円盤52の下部領域から上部領域に拾い上げ(図6における硬貨C1参照)、内周側の搬送突起部材56と硬貨周縁保持部材57とに硬貨を受け渡し、内周側の搬送突起部材56で回転円盤52の上部領域に拾い上げた硬貨(図6における硬貨C2参照)を、外周側の搬送突起部材56により収納繰出装置50の出口50aへ向けて押し出す(図6における硬貨C3参照)ようになっている。
【0050】
硬貨周縁保持部57は、内周側の各搬送突起部材56との間で硬貨を1枚ずつ保持可能とする各位置に設けられている(図6における硬貨C1参照)。具体的には、円周方向に複数の硬貨周縁保持部57が等間隔で設けられている。このような複数の硬貨周縁保持部57の間には、高位部52mと低位部52nとの間の段差を傾斜面として、内周側の搬送突起部材56と硬貨周縁保持部57とで保持されない硬貨を自重により下方に滑落させる滑落部58が形成されている。
【0051】
収納繰出装置50における回転円盤52の上部領域には、搬送突起部材56で回転円盤52の上部領域に拾い上げられた硬貨(図6における硬貨C2参照)を収納繰出装置50の出口50aへ向けて繰り出す案内通路62が形成されている。この案内通路62は、回転円盤52の表面52bよりもわずかに低い位置に(例えば、回転円盤52の表面52bよりも0.5mm低い位置に)設けられている。また、収納繰出装置50における回転円盤52の上部領域の近傍に片寄せレバー63およびガイド部材64がそれぞれ設けられており、案内通路62はこれらの片寄せレバー63およびガイド部材64の間に形成されている。
【0052】
片寄せレバー63は、収納繰出装置50の出口50aの一方の縁部側に配置されている。ここで、片寄せレバー63は軸63aを中心として揺動するようになっており、この片寄せレバー63に何ら力が加えられていないときには軸63aに設けられたねじりバネ(図示せず)により軸63aを中心として時計回りの方向に片寄せレバー63に力が付勢されるようになっており、このときに片寄せレバー63は図7に示す位置に維持されるようになっている。一方、硬貨が案内通路62を通過する際には、片寄せレバー63はこの硬貨によりねじりバネによる力に抗して軸63aを中心として反時計回りの方向に押されるようになっている(図6における硬貨C3参照)。
【0053】
ガイド部材64は、当該ガイド部材64と回転円盤52の低位部52nの表面との間に硬貨が入り込まないよう回転円盤52の表面52bからわずかに間隔をあけて、硬貨周縁保持部57側から収納繰出装置50の出口50aの他方の縁部側にわたって設けられている。また、ガイド部材64における回転円盤52の低位部52nに対向する面には、回転移動する各搬送突起部材56および後述する排除突起部材59が通過するような溝部64bが形成されている。そして、ガイド部材64により、搬送突起部材56によって回転円盤52の下部領域から上部領域に拾い上げられた硬貨を硬貨周縁保持部57から受け取って収納繰出装置50の出口50aへ案内するようになっている。このガイド部材64の先端部分64cの厚さは、処理されるべき硬貨のうち最小硬貨厚みより少し小さい寸法となっているが、ガイド部材64の先端部分64cの厚さの詳細については後述する。
【0054】
収納繰出装置50の出口50aには、通過センサ66および一対のカウントセンサ68が設けられている。通過センサ66は、回転円盤52の下部領域から上部領域に拾い上げられて収納繰出装置50の出口50aに送られた硬貨が当該通過センサ66を通過したときにこのことを検知するようになっている。また、一対のカウントセンサ68は、収納繰出装置50の出口50aから繰り出される硬貨の計数を行うようになっている。
【0055】
本実施の形態の硬貨入出金機10においては、収納繰出装置50において回転円盤52に排除突起部材59が設けられている。排除突起部材59は、一つの搬送突起部材56に2枚以上の硬貨が引っ掛けられたときに、回転円盤52の上部領域においてガイド部材64により硬貨が案内される際にこの搬送突起部材56に引っ掛けられた硬貨のうち1枚の硬貨のみを回転円盤52の表面から浮かせずそれ以外の硬貨を回転円盤52の表面から浮かせるようになっている。そして、回転円盤52の表面から浮いた2枚目以降の硬貨は、ガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられることによって回転円盤52の下部領域に落下するようになっている。以下、このような排除突起部材59の構成の詳細について説明する。
【0056】
図6および図7に示すように、排除突起部材59は、各搬送突起部材56よりも回転円盤52の中心側において、円周方向に沿って所定ピッチで複数配置されている。より詳細に説明すると、内周側の円周方向に沿って配置された一つの搬送突起部材56と、この内周側の搬送突起部材56に対応する、外周側の円周方向に沿って配置された一つの搬送突起部材56と、前述の内周側の搬送突起部材56に対応する、一つの排除突起部材59とにより一組の突起集合体が形成されており、このような突起集合体が回転円盤52の円周方向に沿って複数組配置されている。
【0057】
ここで、内周側の一つの搬送突起部材56に2枚の硬貨が引っ掛けられた場合について図7および図8を用いて説明する。図7は、図6に示す収納繰出装置において、内周側の一の搬送突起部材56に2枚の硬貨が引っ掛けられたときの状態を示す図であり、図8は、図7におけるA方向からの矢視による排除突起部材59等の構成を示す縦断面図である。図7に示すように、一つの搬送突起部材56に2枚の硬貨C4、C5が引っ掛けられて回転円盤52の上部領域まで持ち上げられたときに、この搬送突起部材56に対応する排除突起部材59は、図8に示すように、1枚の硬貨C4のみを回転円盤52の表面52bから浮かせず、それ以外の硬貨C5を回転円盤52の表面52bから浮かせるようになっている。具体的には、2枚目以降の硬貨C5については、回転円盤52の回転方向(図7における時計回りの方向)における前側の部分(図8における右側の部分)が回転円盤52の表面52bから浮くようになっている。そして、回転円盤52の上部領域において一つの搬送突起部材56に引っ掛けられた2枚の硬貨C4、C5がガイド部材64に達したときに、回転円盤52の表面52bから浮いていない硬貨C4はガイド部材64の上縁部64aに沿って収納繰出装置50の出口50aまで案内されるが、回転円盤52の表面52bから浮いている硬貨C5はガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられて、この硬貨C5はガイド部材64により案内されずに回転円盤52の下部領域に自重により落下してしまう。より詳細には、2枚目以降の硬貨C5における回転円盤52の表面52bから浮いた前側の部分がガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられることによって、当該硬貨C5はガイド部材64により回転円盤52の外部へ繰り出されずに回転円盤52の下部領域に自重により落下させられるようになる。
【0058】
ここで、一つの搬送突起部材56に2枚の硬貨C4、C5が引っ掛けられたときに、2枚目以降の硬貨C5の前側の部分が排除突起部材59により回転円盤52の表面52bから浮く高さは、ガイド部材64における2枚目以降の硬貨C5をすくい上げるべき箇所の高さ、具体的にはガイド部材64の先端部分64cの厚さよりも大きくなっている。具体的には、2枚目以降の硬貨C5の前側の部分が排除突起部材59により回転円盤52の表面52bから浮く高さは例えば1mmとなっており、ガイド部材64における2枚目以降の硬貨C5をすくい上げるべき箇所の高さ(ガイド部材64の先端部分64cの厚さ)は例えば0.8mmとなっている。このことにより、ガイド部材64の先端部分64cにより2枚目以降の硬貨C5を確実にすくい上げることができるようになる。
【0059】
また、図7において、処理されるべき硬貨のうち直径が最も大きい硬貨を参照符号C6で示す。図7に示すように、各排除突起部材59は、このような直径が最も大きい硬貨C6が回転円盤52の回転によって搬送突起部材56により搬送される際に、この硬貨C6を回転円盤52の表面から浮かせないような位置、形状および大きさで構成されている。
【0060】
なお、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、図8に示すように、搬送突起部材56において、回転円盤52の搬送方向における後方端部に傾斜部分56aが形成されている。このような傾斜部分56aが搬送突起部材56に形成されていることにより、内周側の一つの搬送突起部材56に2枚以上の硬貨が引っ掛けられたときにおいて、もし排除突起部材59により2枚目以降の硬貨が回転円盤52の表面52bから十分に浮かずに、ガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられなかった場合でも、2枚目以降の硬貨は、ガイド部材64の上縁部64aに沿って案内される際に、片寄せレバー63により図7における下方に向かって力が加えられることにより、一つ前の内周側の搬送突起部材56の後方端部にある傾斜部分56aに乗り上げるようになる。このため、2枚目以降の硬貨は、このような傾斜部分56aにより回転円盤52の表面52bから浮くようになり、ガイド部材64の上縁部64aによりすくい上げられ、回転円盤52の下部領域に自重により落下するようになる。
【0061】
次に、このような構成からなる硬貨入出金機10の動作について説明する。
【0062】
操作者が硬貨入出金機10の硬貨受入口14に硬貨を投入すると、この硬貨は自重により落下して貯留繰出装置30に送られる。そして、貯留繰出装置30において回転円盤32が図3における反時計回りの方向に回転することにより、硬貨貯留空間33で貯留され回転円盤32の下部領域にある硬貨は、内周側の搬送突起部材36とカバー部材34との間で1枚ずつ保持されて回転円盤32の下部領域から上部領域に拾い上げられる。その後、内周側の搬送突起部材36と硬貨周縁保持部37とにこの硬貨が受け渡される。内周側の搬送突起部材36で回転円盤32の上部領域に拾い上げた硬貨は、外周側の搬送突起部材36により貯留繰出装置30の出口30aへ向けて押し出され、受渡円盤40に受け渡される。そして、受渡円盤40の外周縁部に設けられた突起部40aにより、回転円盤32側から案内通路42へ硬貨が繰り出され、案内通路42に送られた硬貨は、上下両側のガイド部材43、44の間で受渡円盤40の突起部40aにより図3における矢印方向に搬送され、最終的に入金搬送部20の無端状ベルト20pに送られる。
【0063】
貯留繰出装置30から上部搬送部20に繰り出された硬貨は当該上部搬送部20の無端状ベルト20pにより搬送される。具体的には、まず識別部22により硬貨の識別が行われる。ここで、リジェクト硬貨であると識別された硬貨は、第1の入金搬送部分20aにおける最も上流側の位置に設けられた、リジェクト選別部として機能する選別部24により選別されて硬貨投出口18に送られる。一方、リジェクト硬貨ではない正常な硬貨は、識別部22により識別された硬貨の金種に基づいて、各選別部24により金種別に選別され、各選別部24に対応する収納繰出装置50に送られて収納される。
【0064】
硬貨入出金機10から硬貨を出金または回収する際には、出金または回収すべき硬貨の金種に対応する収納繰出装置50から、収納された硬貨を繰り出して出金搬送部70に送る。具体的には、収納繰出装置50において回転円盤52が図6における時計回りの方向に回転することにより、硬貨収納空間53で収納され回転円盤52の下部領域にある硬貨は、内周側の搬送突起部材56とカバー部材54との間で1枚ずつ保持されて回転円盤52の下部領域から上部領域に拾い上げられる。その後、内周側の搬送突起部材56と硬貨周縁保持部材57とにこの硬貨が受け渡される。内周側の搬送突起部材56で回転円盤52の上部領域に拾い上げた硬貨は、外周側の搬送突起部材56により収納繰出装置50の出口50aへ向けて押し出され(図6における硬貨C3参照)、案内通路62に送られる。この際に、回転円盤52の表面52b上にある硬貨は、ガイド部材64により案内されて回転円盤52の外部へ繰り出されるようになる。そして、案内通路62から収納繰出装置50の出口50aに送られた硬貨は、自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下する。この際に、収納繰出装置50からは図2における右方向に硬貨が繰り出されるようになる。すなわち、収納繰出装置50から硬貨が繰り出される方向は、図1における紙面に略直交する方向となる。なお、図6等では硬貨は案内部材64により右下方向に最終的に繰り出されているが、硬貨が水平方向に繰り出されるようになっていてもよい。
【0065】
また、収納繰出装置50から硬貨が繰り出される際に、内周側の一つの搬送突起部材56に2枚以上の硬貨が引っ掛けられたときには、この搬送突起部材56に引っ掛けられた複数の硬貨のうち1枚の硬貨のみ(図7および図8における硬貨C4参照)が回転円盤52の表面52bから浮かない状態となり、それ以外の硬貨(図7および図8における硬貨C5参照)は排除突起部材59により回転円盤52の表面52bから浮いた状態となる。そして、このような状態で内周側の一つの搬送突起部材56に引っ掛けられた2枚以上の硬貨がガイド部材64に達したときに、回転円盤52の表面52bから浮いていない硬貨(図7および図8における硬貨C4)はガイド部材64の上縁部64aに沿って収納繰出装置50の出口50aまで案内される。一方、2枚目以降の硬貨(図7および図8における硬貨C5)は、当該硬貨における回転円盤52の表面52bから浮いた前側の部分がガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられることによって、この硬貨はガイド部材64により回転円盤52の外部へ繰り出されずに回転円盤52の下部領域に自重により落下する。このようにして、ガイド部材64により回転円盤52から案内通路62を介して収納繰出装置50の出口50aに2枚以上の硬貨が一度に繰り出されてしまうことを防止することができる。
【0066】
硬貨入出金機10から硬貨を出金する際には、出金搬送部70の無端状ベルト70pを図1における反時計回りの方向に循環移動させる。このことにより、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから第2の出金搬送部分70bに送られる。そして、第2の出金搬送部分70bにおいて無端状ベルト70pの突起部材に引っ掛けられた硬貨は図1における上方に移動させられ、最終的に第2の出金搬送部分70bの上端部から硬貨投出口18に送られる。
【0067】
一方、硬貨入出金機10から硬貨を回収する際には、出金搬送部70の無端状ベルト70pを図1における時計回りの方向に循環移動させる。このことにより、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから回収ボックス80に送られ、この回収ボックス80に収納されるようになる。そして、回収ボックス80に硬貨が収納された後、操作者が筐体12から回収ボックス80を取り出すことにより、回収ボックス80ごと硬貨が回収される。
【0068】
以上のように本実施の形態の硬貨入出金機10によれば、入金搬送部20の下方に設けられた複数の収納繰出装置50が鉛直方向において複数段となるよう配置されており、しかも、入金搬送部20による硬貨の搬送方向と、各収納繰出装置50から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するようになっている。このように、複数の収納繰出装置50が鉛直方向において複数段となるよう配置されているため、入金搬送部20の下方において複数の収納繰出装置50を横一列に配置した場合と比較して、硬貨入出金機10の筐体12の奥行き方向(図1における左右方向)の寸法を小さくすることができる。また、もし入金搬送部20による硬貨の搬送方向と、各収納繰出装置50から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが平行となっている場合には、図2に示すように収納繰出装置50の回転円盤52の左右方向長さはある程度の大きさがあり、また、各収納繰出装置50間に出金空間が必要となるため、入金搬送部20による硬貨の搬送方向、すなわち硬貨入出金機10の筐体12の奥行き方向の寸法が大きくなってしまうが、本実施の形態の硬貨入出金機10では、入金搬送部20による硬貨の搬送方向と、各収納繰出装置50から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するようになっているため、硬貨入出金機10の筐体12の奥行き方向の寸法を小さくすることができる。このように、本実施の形態の硬貨入出金機10によれば、各収納繰出装置50における硬貨の収納容量を減らすことなく筐体12の奥行き方向の寸法を小さくすることができる。
【0069】
ここで、図1等に示されるような硬貨入出金機10の例では、複数の収納繰出装置50は鉛直方向において3段となるよう配置されている。しかしながら、このような配置の例に限定されることはなく、複数の収納繰出装置50が鉛直方向において2段、または4段以上となるよう配置されるようになっていてもよい。
【0070】
また、図1等に示されるような硬貨入出金機10の例では、複数の収納繰出装置50は同一の構成のものとなっている。しかしながら、このような例に限定されることはなく、複数の収納繰出装置50は互いに異なる構成のものとなっていてもよい。
【0071】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、前述のように、各収納繰出装置50は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤52と、回転円盤52の表面との間に硬貨を収納する硬貨収納空間53を形成するカバー部材54とを有している。
【0072】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、筐体12外へ硬貨を投出する硬貨投出口18と、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨を硬貨投出口18に搬送する出金搬送部70とが設けられている。そして、出金搬送部70は、複数の収納繰出装置50の下方に設けられ略水平方向に沿って延びる第1の出金搬送部分70aと、第1の出金搬送部分70aから送られた硬貨を硬貨投出口18に搬送する第2の出金搬送部分70bとを有している。また、複数の収納繰出装置50の一方の側の側方には、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が第1の出金搬送部分70aに落下する硬貨出金空間72が形成されており、複数の収納繰出装置50の他方の側の側方には、入金搬送部20に設けられた選別部24から各収納繰出装置50に硬貨を搬送するシュート26が設けられている。このような構成により、収納繰出装置50の筐体12の幅方向(図2における左右方向)における寸法も小さくすることができるようになる。
【0073】
また、本実施の形態の硬貨入出金機10においては、前述のように、入金搬送部20は、略水平方向に沿って延びる第1の入金搬送部分20aと、第1の入金搬送部分20aから送られた硬貨を搬送し、この際に硬貨の搬送方向を逆方向に変える折り返し入金搬送部分20bと、略水平方向に沿って延び、折り返し入金搬送部分20bから送られた硬貨を搬送する第2の入金搬送部分20cとを有し、第1の入金搬送部分20aおよび第2の入金搬送部分20cにそれぞれ選別部24が設けられるようになっている。このような硬貨入出金機10によれば、入金搬送部が水平方向において直線状に配置されるものと比較して、筐体12の奥行き方向の寸法をより一層小さくすることができる。
【0074】
なお、本実施の形態による硬貨入出金機10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0075】
例えば、収納繰出装置50の回転円盤52に設けられる排除突起部材は、図6乃至図8に示すようなものに限定されることはない。収納繰出装置50の回転円盤52に設けられる排除突起部材として、例えば図9に示すようなものを用いることもできる。図9に示すような回転円盤52に設けられる排除突起部材59aは、内周側の各搬送突起部材56と一体的に形成されている。このように、排除突起部材59aが、当該排除突起部材59aに対応する搬送突起部材56と一体的になっている場合でも、一つの搬送突起部材56に2枚以上の硬貨が引っ掛けられたときに、回転円盤52の上部領域においてガイド部材64により硬貨が案内される際に当該搬送突起部材56に引っ掛けられた2枚以上の硬貨のうち1枚の硬貨のみを回転円盤52の表面52bから浮かせずそれ以外の硬貨を排除突起部材59aにより回転円盤52の表面52bから浮かせてガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げることにより当該硬貨を回転円盤52の下部領域に落下させることができるようになっている。
【0076】
また、収納繰出装置50に用いられる硬貨排除部として、回転円盤52の表面52bに設けられる突起部材に限定されることはなく、他の構成のものを用いてもよい。例えば、収納繰出装置50に用いられる硬貨排除部として、図10に示すように、回転円盤52における硬貨収納空間53側の表面52bから硬貨収納空間53に突出する突出位置(図10(a)参照)と、硬貨収納空間53から回転円盤52内に退避する退避位置(図10(b)参照)との間で移動自在となっている移動部材59bを用いてもよい。そして、このような移動部材59bは、図6乃至図8に示される排除突起部材59と同様に、各搬送突起部材56よりも回転円盤52の中心側において、円周方向に沿って所定ピッチで複数配置されている。より詳細に説明すると、内周側の円周方向に沿って配置された一つの搬送突起部材56と、この内周側の搬送突起部材56に対応する、外周側の円周方向に沿って配置された一つの搬送突起部材56と、前述の内周側の搬送突起部材56に対応する、一つの移動部材59bとにより一組の突起集合体が形成されており、このような突起集合体が回転円盤52の円周方向に沿って複数組配置されている。
【0077】
また、図10に示される移動部材59bは、回転円盤52が回転する際に、通常は図10(b)に示されるような退避位置にあるが、回転円盤52の回転によって当該移動部材59bがガイド部材64に接近したときに、図10(b)に示されるような退避位置から図10(a)に示されるような突出位置に移動するようになっている。このことにより、移動部材59bは、一つの搬送突起部材56に2枚以上の硬貨が引っ掛けられたときに、回転円盤52の上部領域においてガイド部材64により硬貨が案内される際にこの搬送突起部材56に引っ掛けられた硬貨のうち1枚の硬貨のみを回転円盤52の表面から浮かせずそれ以外の硬貨を回転円盤52の表面から浮かせるようになる。そして、回転円盤52の表面から浮いた2枚目以降の硬貨は、ガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられることにより回転円盤52の下部領域に落下する。
【0078】
このようにして、硬貨排除部として図10に示されるような移動部材59bを用いた場合でも、図6乃至図8に示すような排除突起部材59を用いた場合と同様に、ガイド部材64により回転円盤52から案内通路62を介して収納繰出装置50の出口50aに2枚以上の硬貨が一度に繰り出されてしまうことを防止することができる。
【0079】
また、収納繰出装置50の回転円盤52において、排除突起部材59を各搬送突起部材56よりも回転円盤52の中心側ではなく各搬送突起部材56よりも外側に配置するようにしてもよい。
【0080】
また、収納繰出装置50の回転円盤52に設けられるような排除突起部材59等の硬貨排除部を、貯留繰出装置30の回転円盤32に設けるようにしてもよい。貯留繰出装置30の回転円盤32に硬貨排除部が設けられた場合には、貯留繰出装置30の出口30aに2枚以上の硬貨が一度に繰り出されてしまうことを防止することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 硬貨入出金機
12 筐体
14 硬貨受入口
18 硬貨投出口
20 入金搬送部
20a 第1の入金搬送部分
20b 折り返し入金搬送部分
20c 第2の入金搬送部分
20h 通路面
20i 硬貨ガイド部材
20j 硬貨支持縁部
20p 無端状ベルト
20q 突起部材
22 識別部
24 選別部
25 開口部
26 シュート
27 分岐部材
27a 軸
27b 支持部分
27c 通過ガイド部分
27d 分岐ガイド部分
27e アーム
27f 通過溝
27g 傾斜部分
27h 垂直部分
27i 切欠部
30 貯留繰出装置
30a 出口
32 回転円盤
32a 回転軸
32b 表面
32m 高位部
32n 低位部
33 硬貨貯留空間
34 カバー部材
34a 軸
34b 駆動モータ
36 搬送突起部材
37 硬貨周縁保持部
38 滑落部
40 受渡円盤
40a 突起部
42 案内通路
43 ガイド部材
44 ガイド部材
50 収納繰出装置
50a 出口
52 回転円盤
52a 回転軸
52b 表面
52m 高位部
52n 低位部
53 硬貨収納空間
54 カバー部材
56 搬送突起部材
56a 傾斜部分
57 硬貨周縁保持部
58 滑落部
59 排除突起部材
59a 排除突起部材
59b 移動部材
62 案内通路
63 片寄せレバー
63a 軸
64 ガイド部材
64a 上縁部
64b 溝部
64c 先端部分
66 通過センサ
68 カウントセンサ
70 出金搬送部
70a 第1の出金搬送部分
70b 第2の出金搬送部分
70p 無端状ベルト
72 硬貨出金空間
80 回収ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体外から硬貨を受け入れる硬貨受入口と、
前記硬貨受入口に受け入れられた硬貨が送られて貯留されるとともに貯留された硬貨を1枚ずつ繰り出す貯留繰出装置と、
前記貯留繰出装置により繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する入金搬送部と、
前記入金搬送部に設けられ、当該入金搬送部により搬送される硬貨の識別を行う識別部と、
前記入金搬送部の下方に設けられた複数の硬貨収納部であって、前記識別部による硬貨の識別結果に基づいて前記入金搬送部に設けられた選別部により当該入金搬送部から硬貨が送られて収納され、また収納された硬貨を1枚ずつ繰り出す複数の収納繰出部と、
を備え、
前記複数の収納繰出部は、鉛直方向において複数段となるよう配置されており、前記入金搬送部による硬貨の搬送方向と、前記各収納繰出部から繰り出される硬貨の繰り出し方向とが略直交するようになっていることを特徴とする硬貨入出金機。
【請求項2】
前記各収納繰出部は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤と、前記回転円盤の表面との間に硬貨を収納する硬貨収納空間を形成するカバー部材とを有することを特徴とする請求項1記載の硬貨入出金機。
【請求項3】
前記機体外へ硬貨を投出する硬貨投出口と、
前記各収納繰出部から繰り出された硬貨を前記硬貨投出口に搬送する出金搬送部と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1または2記載の硬貨入出金機。
【請求項4】
前記出金搬送部は、前記複数の収納繰出部の下方に設けられ略水平方向に沿って延びる第1の出金搬送部分と、前記第1の出金搬送部分から送られた硬貨を前記硬貨投出口に搬送する第2の出金搬送部分とを有し、
前記複数の収納繰出部の一方の側の側方には、前記各収納繰出部から繰り出された硬貨が前記第1の出金搬送部分に落下する硬貨出金空間が形成されており、
前記複数の収納繰出部の他方の側の側方には、前記入金搬送部に設けられた前記選別部から前記各収納繰出部に硬貨を搬送するシュートが設けられていることを特徴とする請求項3記載の硬貨入出金機。
【請求項5】
前記入金搬送部は、略水平方向に沿って延びる第1の入金搬送部分と、前記第1の入金搬送部分から送られた硬貨を搬送し、この際に硬貨の搬送方向を逆方向に変える折り返し入金搬送部分と、略水平方向に沿って延び、前記折り返し入金搬送部分から送られた硬貨を搬送する第2の入金搬送部分とを有し、前記第1の入金搬送部分および前記第2の入金搬送部分にそれぞれ前記選別部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬貨入出金機。
【請求項6】
前記複数の収納繰出部は、鉛直方向において3段以上となるよう配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬貨入出金機。
【請求項7】
前記複数の収納繰出部は、同一の構成のものからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬貨入出金機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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