説明

硬貨入出金装置

【課題】手間をかけることなく、回収処理を短縮した時間(高速)で行うことができる硬貨入出金装置を提供すること。
【解決手段】硬貨入出金装置1は、硬貨を入金するための入金口3と、入金された硬貨を収納するとともに、収納された硬貨を必要に応じて繰り出す収納部40と、収納部40から繰り出された硬貨を搬送する出金搬送部60と、出金搬送部60で搬送された硬貨を出金するための出金口8と、を備えている。硬貨入出金装置1は、収納部40から繰り出される、または、収納部40から繰り出された、硬貨を計数するための計数部57も備えている。硬貨入出金装置1は、さらに、計数部57によって硬貨を計数して回収する通常回収処理と、計数部57によって硬貨を計数することなく高速で回収する高速回収処理と、を選択的に指示する回収指示部58も備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨入出金装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入金された硬貨を収納するとともに当該硬貨を必要に応じて繰り出す収納部と、収納部から繰り出された硬貨を外部から取り出し可能に出金するための出金口と、を備え、収納部から全ての硬貨を投出させて出金口へ搬送して回収する回収処理を行うことができる硬貨入出金装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−59308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来の硬貨入出金装置における回収処理では、通常、硬貨を計数する計数処理などを行いながら硬貨を回収しているため、回収処理を行うのに時間がかかってしまう。また、収納部から全ての硬貨を回収するために、硬貨入出金装置の筐体を開けて収納部から手で硬貨を回収することも考えられるが、このように手で硬貨を回収するのには多大な手間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、手間をかけることなく、回収処理を短縮した時間(高速)で行うことができる硬貨入出金装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による硬貨入出金装置は、
硬貨を入金するための入金口と、
入金された前記硬貨を収納するとともに、収納された該硬貨を必要に応じて繰り出す収納部と、
前記収納部から繰り出された前記硬貨を搬送する出金搬送部と、
前記出金搬送部で搬送された前記硬貨を出金するための出金口と、
前記収納部から繰り出される、または、該収納部から繰り出された、前記硬貨を計数するための計数部と、
前記計数部によって前記硬貨を計数して回収する通常回収処理と、該計数部によって該硬貨を計数することなく高速で回収する高速回収処理と、を選択的に指示する回収指示部と、
を備えている。
【0007】
本発明による硬貨入出金装置は、
不具合が発生したことを検知するエラー検知部をさらに備え、
前記エラー検知部によって検知された不具合に関係なく、前記高速回収処理を行ってもよい。
【0008】
本発明による硬貨入出金装置は、
不具合が発生したことを検知するエラー検知部をさらに備え、
前記エラー検知部によって検知された不具合が過電流に関する不具合でない場合には、当該不具合に関係なく、前記高速回収処理を行ってもよい。
【0009】
本発明による硬貨入出金装置は、
不具合が発生したことを検知するエラー検知部をさらに備え、
前記エラー検知部によって検知された不具合が入金処理に関わる不具合である場合には、当該不具合に関係なく、前記高速回収処理を行ってもよい。
【0010】
本発明による硬貨入出金装置は、
前記出金搬送部で搬送される硬貨を1層状態に規制する出金規制部材をさらに備え、
前記高速回収処理を行う時には、前記出金規制部材を前記出金搬送部から離隔して待避させてもよい。
【0011】
本発明による硬貨入出金装置において、
前記収納部は、該収納部内で硬貨を搬送する収納搬送部と、該収納搬送部で搬送される硬貨を1層状態に規制する収納規制部材とを有し、
前記高速回収処理を行う時には、前記収納規制部材を前記収納搬送部から離隔して待避させてもよい。
【0012】
本発明による硬貨入出金装置において、
前記収納部は、金種別に硬貨を収納する複数の金種別収納部を有し、
前記金種別収納部の各々は、該金種別収納部内で硬貨を搬送する収納搬送部を有し、
前記高速回収処理を行う時には、前記収納搬送部の全てを同時に駆動させてもよい。
【0013】
本発明による硬貨入出金装置は、
前記出金搬送部を基準として前記出金口と反対側に配置された回収口をさらに備え、
前記高速回収処理を行う時には、出金を行う時と逆方向に前記出金搬送部が前記硬貨を搬送してもよい。
【0014】
本発明による硬貨入出金装置は、
前記出金口とは異なる第2の回収口と、
前記収納部内で前記硬貨を搬送する収納搬送部と、
前記収納搬送部で搬送された前記硬貨を前記出金搬送部を通さずに前記第2の回収口に搬送する回収搬送路と、をさらに備え、
前記高速回収処理を行う時には、前記収納搬送部によって搬送された前記硬貨が、前記回収搬送路を経て前記回収口に搬送されてもよい。
【0015】
本発明による硬貨入出金装置は、
前記収納部内で前記硬貨を搬送する収納搬送部をさらに備え、
前記高速回収処理を行う時には、前記出金搬送部または前記収納搬送部を、前記通常回収処理を行うときと比較して速い速度で駆動させてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、計数部によって硬貨を計数することなく高速で回収する高速回収処理を行うことができる。このため、手間をかけることなく、回収処理を短縮した時間(高速)で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態による硬貨入出金装置を示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による硬貨入出金装置を示す上方断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態による硬貨入出金装置の金種別収納部内を示す上方断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態による硬貨入出金装置の金種別収納部内を示す正面断面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態による硬貨入出金装置を示す側方断面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態による硬貨入出金装置における制御信号の流れを説明するための図。
【図7】本発明の第2の実施の形態による硬貨入出金装置を示す上方断面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態による硬貨入出金装置の金種別収納部内を示す上方断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態による硬貨入出金装置の金種別収納部内を示す正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る硬貨入出金装置について、店舗などの精算所に設置され、POSレジスターなどと連動して硬貨の入出金処理を行う硬貨入出金装置を例にした実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図6は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0019】
図1に示すように、硬貨入出金装置1は、筐体2と、この筐体2の前部上面に設けられて硬貨を投入して入金するための入金口3と、入金された硬貨を金種別に収納するとともに、収納された硬貨を必要に応じて繰り出す複数の金種別収納部(収納部)40(図2参照)と、筐体2の前面の右側下部に設けられて金種別収納部40から繰り出された硬貨を出金するための出金トレイ9と、を備えている。なお、出金トレイ9の上面が、機内から払い出される硬貨が放出口7を介して放出される出金口8を構成している。
【0020】
なお、金種別収納部40は、図2において、上から1番目の金種別収納部40で1円硬貨が収納され、上から2番目の金種別収納部40で5円硬貨が収納され、上から3番目の金種別収納部40で10円硬貨が収納され、上から4番目の金種別収納部40で50円硬貨が収納され、上から5番目の金種別収納部40で100円硬貨が収納され、上から6番目の金種別収納部40で500円硬貨が収納される。
【0021】
また、図1に示すように、筐体2の前部上面には、操作用や設定用のボタンが設けられた操作部20と、操作や設定などに関する各種表示をする液晶表示器や金種別の硬貨収納量を表示するLED表示器などの表示部21が設けられている。
【0022】
また、図2に示すように、筐体2内には、入金口3から投入された硬貨を一枚ずつ搬送する搬送部35が設けられている。そして、この搬送部35は、硬貨を搬送するための搬送路38と、複数のプーリ37に張架された無端状の搬送ベルト36と、プーリ37を回転させる駆動モータ(図示せず)と、搬送ベルト36から下方に突出するようにして設けられ、硬貨の後端に当接して当該硬貨を押動することにより搬送路38上で硬貨を搬送させる複数の押動ピン(図示せず)と、を有している。
【0023】
また、図2に示すように、搬送路38には、硬貨の材質、径などが検出されて硬貨の金種などを識別することができる識別部50が設けられている。また、搬送路38には、識別部50によって識別した結果、金種を識別することができなかった硬貨や所定の硬貨でないと判断された物をリジェクト(排除)するためのリジェクト部70が設けられている。なお、リジェクト部70は、搬送路38に設けられたリジェクト孔71を有している。そして、このリジェクト孔71に落ちてリジェクトされた硬貨などは、後述する出金搬送部60により搬送され、放出口7を介して出金口8に返却されるようになっている。
【0024】
また、搬送路38の上方には、押動ピンから離隔して先に進もうとする硬貨に制動力を付与するレバー34が設けられている。なお、識別部50の直前のレバー34は、硬貨を搬送路38の片側(図2の下側)に移動させ、このことによって、識別部50の所定の位置で硬貨の識別を行わせる作用も果たしている。
【0025】
また、図2に示すように、金種別収納部40の上方には、押動ピンによって搬送される硬貨を金種別に搬送するために、金種別収納部40の各々に対応して選別部75が設けられている。各選別部75は、搬送路38に設けられて搬送路38から硬貨を落下させるための選別孔77と、この選別孔77内に押動ピンによって搬送される硬貨を導くための選別ゲート76とを有している。そして、選別ゲート76が開状態となったときに、開状態になった選別ゲート76に対応する選別孔77へと硬貨が落下して、当該硬貨が、対応する金種別収納部40内に収納されるようになっている。なお、各選別部75には、搬送ベルト36により搬送される硬貨を検出する硬貨検出センサ78がそれぞれ設けられている。そして、識別部50で識別された硬貨が、落下すべき選別孔77の搬送方向上流側の直前に設けられた硬貨検出センサ78によって検出されると、対応する選別ゲート76が開かれて硬貨が落下することとなる。またこのとき、当該選別孔77の搬送方向下流側に設けられた硬貨検出センサ78で、所定時間、硬貨が検出されないことによって、確かに当該選別孔77に硬貨が落下したことが確認され、後述するソフト満杯検出部56aによって当該金種の硬貨の枚数が1枚加算される。
【0026】
図3および図4に示すように、各金種別収納部40は、複数の硬貨をランダム状態で収納するための収納庫43と、収納庫43内で硬貨を搬送する収納搬送部41と、収納搬送部41で搬送される硬貨を1層1列状態に規制する収納逆転ローラ(収納規制部材)44とを有している。このうち、収納搬送部41は、収納庫43の底面に設けられて無端状の平ベルトからなる搬送ベルト41aと、搬送ベルト41aが巻き架けられたプーリ41bと、このプーリ41bに駆動力を付与する駆動モータ(図示せず)と、を有している。また、収納庫43の側面には開口42が設けられており、金種別収納部40に収納された硬貨は搬送ベルト41aによりこの開口42から収納庫43の外方(図3および図4における右方向)へ繰り出されるようになっている。
【0027】
なお、上述の収納逆転ローラ44は、この開口42を塞ぐように、搬送ベルト41aの上方に設けられている。そして、収納逆転ローラ44と搬送ベルト41aとの間には、硬貨一枚分の通過を許容する隙間が形成されている。この収納逆転ローラ44は、搬送ベルト41aによる硬貨の搬送方向に対して逆方向(図4における矢印方向)に回転し、硬貨繰出方向(図3および図4における右方向)へ繰り出されようとする搬送ベルト41a上の硬貨を1層1列状態に整列させるようになっている。
【0028】
また、図3および図4に示すように、各金種別収納部40において、搬送ベルト41aの搬送方向における収納逆転ローラ44の下流側にはストッパ用ソレノイド46が設けられている。図4に示すように、各ストッパ用ソレノイド46は、下方に伸びるプランジャ部分46aを有しており、このプランジャ部分46aは搬送ベルト41aに向かって進退するようになっている。図4に示すようにプランジャ部分46aが搬送ベルト41aに向かって伸びているときには、収納逆転ローラ44と搬送ベルト41aとの間の隙間を通過した搬送ベルト41a上の硬貨は、ストッパ用ソレノイド46により停止させられて後述する出金搬送部60に送られないようになっている。一方、図4に示すような位置からプランジャ部分46aが搬送ベルト41aから上方に退避したときには、このプランジャ部分46aにより停止させられていた硬貨が出金搬送部60に搬送可能となる。
【0029】
なお、本実施の形態の収納逆転ローラ44とストッパ用ソレノイド46の各々は、搬送ベルト41aに対して離隔可能となっており、後述する高速回収処理の際には、搬送ベルト41aから離隔した位置に位置づけられることとなる(図4の矢印αおよびα参照)。
【0030】
また、図4に示すように、各金種別収納部40において、搬送ベルト41aの搬送方向における収納逆転ローラ44の下流側には投出硬貨検出部49が設けられている。この投出硬貨検出部49は、光を発光する発光部分49aと、発光部分49aから発せられた光を受光する受光部分49bとを有している。また、図3に示すように、各金種別収納部40には、発光部分49aから発せられた光が通過するためのセンサ孔49cが設けられている。そして、収納逆転ローラ44と搬送ベルト41aとの間の隙間を通過した硬貨が搬送ベルト41aにより出金搬送部60に送られる際に、投出硬貨検出部49の発光部分49aから発せられた光がこの硬貨により遮られて受光部分49bに届かなくなる。そして、このことによって、投出硬貨検出部49により、金種別収納部40から出金搬送部60に硬貨が送られたことが検出される。
【0031】
また、金種別収納部40の側方(図2乃至図4の右側側方)には、各金種別収納部40から繰り出された硬貨を搬送する出金搬送部60が設けられている。この出金搬送部60は、図5に示すように、無端状の平ベルトからなる搬送ベルト61と、搬送ベルト61が巻き架けられたプーリ62と、このプーリ62に駆動力を付与する駆動モータ(図示せず)と、を有している。なお、搬送ベルト41aにより各金種別収納部40から繰り出された硬貨は、搬送ベルト61によって、図2および図3における下方向に搬送されて放出口7を介して出金口8に送られるようになっている。
【0032】
また、図5に示すように、搬送ベルト61の上方には、搬送ベルト61で搬送される硬貨を1層1列状態に規制する出金逆転ローラ(出金規制部材)64が設けられている。また、この出金逆転ローラ64の下流側には、払出硬貨検出部69が設けられている。この払出硬貨検出部69は、光を発光する発光部分69aと、発光部分69aから発せられた光を受光する受光部分69bとを有している。そして、搬送ベルト61で送られている硬貨が通過することで、払出硬貨検出部69の発光部分69aから発せられた光がこの硬貨により遮られて受光部分69bに届かなくなる。そして、このことによって、払出硬貨検出部69により、搬送ベルト61から放出口7に硬貨が送られたことが検出される。
【0033】
なお、本実施の形態の出金逆転ローラ64は、搬送ベルト61に対して離隔可能となっており、後述する高速回収処理の際には、搬送ベルト61から離隔した位置に位置づけられることとなる(図5の矢印β参照)。
【0034】
また、図6に示すように、硬貨入出金装置1は、金種別収納部40が満杯状態になったことを検出する満杯検出部56を備えている。この満杯検出部56は、各金種別収納部40内に搬送された硬貨の枚数をソフト的にカウントすることで満杯状態を検出するソフト満杯検出部56aと、各金種別収納部40の収納庫43の上部領域に設けられ、収納庫43内における硬貨の収納状態を検出するフォトセンサ56b(図2参照)とを有している。
【0035】
また、硬貨入出金装置1は、図6に示すように、表示部21、搬送部35、識別部50、リジェクト部70、選別部75などの要素を制御するための制御部55を備えている。また、制御部55は、操作部20(図1参照)にも接続されており、操作部20から入力される指示に基づいて各要素を制御するようにも構成されている。
【0036】
また、制御部55には、硬貨を計数するための計数部57が接続されている。そして、この計数部57は、投出硬貨検出部49を有し、この投出硬貨検出部49から送られてくる情報に基づいて、金種別収納部40から繰り出される硬貨を計数するように構成されている。また、計数部57は、払出硬貨検出部69を有し、この払出硬貨検出部69から送られてくる情報に基づいて、金種別収納部40から繰り出された硬貨を計数するようにも構成されている。
【0037】
また、制御部55には、計数部57によって硬貨を計数して回収する通常回収処理と、計数部57によって該硬貨を計数することなく高速で回収する高速回収処理とを選択的に指示する回収指示部58が接続されている。なお、本願で「高速で回収する」とは、回収処理を短縮した時間(短時間)で行うこと、を意味している。
【0038】
また、制御部55には、不具合が発生したことを検知するエラー検知部59が接続されている。入金処理、出金処理、通常回収処理などの通常運転時では、エラー検知部59によって不具合が発生したことが検知されると、制御部55は、硬貨入出金装置1の作動を停止させる。他方、制御部55が回収指示部58から高速回収処理をする旨の指示を受けている場合には、当該制御部55は、エラー検知部59によって検知された不具合に関係なく、高速回収処理を行うように構成されている。
【0039】
なお、制御部55は、エラー検知部59によって検知された不具合の種類に関係なく高速回収処理を行ってもよいが、このような態様に限られることはない。例えば、制御部55は、エラー検知部59によって検知された不具合が過電流に関する不具合でない場合にのみ、当該不具合に関係なく高速回収処理を行うように構成されてもよいし、エラー検知部59によって検知された不具合が入金処理に関わる不具合である場合にのみ、当該不具合に関係なく高速回収処理を行うように構成されてもよい。ところで、過電流が発生する原因としては、例えば搬送部35、収納搬送部41および出金搬送部60の駆動モータなどの駆動系が空回りして過度の電流が流れていることなどを挙げることができる。
【0040】
制御部55は、収納搬送部41、各金種別収納部40の収納逆転ローラ44および各金種別収納部40のストッパ用ソレノイド46に接続されており、回収指示部58から高速回収処理をする旨の指示を受けると、収納搬送部41の搬送ベルト41aの全てを同時に駆動させるとともに、各金種別収納部40の収納逆転ローラ44および各金種別収納部40のストッパ用ソレノイド46を搬送ベルト41から離隔した位置に待避させる(図4の矢印αおよびα参照)。また、制御部55は、回収指示部58から高速回収処理をする旨の指示を受けると、各金種別収納部40の収納搬送部41の駆動モータ(図示せず)の回転数を上げることで搬送ベルト41aを通常よりも速い速度で移動させ、このことで、各金種別収納部40の収納搬送部41を、通常回収処理を行うときと比較して速い速度で駆動させる。
【0041】
また、制御部55は、出金搬送部60および出金逆転ローラ64にも接続されている。そして、制御部55は、回収指示部58から高速回収処理をする旨の指示を受けると、出金逆転ローラ64を搬送ベルト61から離隔した位置に待避させるとともに(図5の矢印β参照)、出金搬送部60の駆動モータ(図示せず)の回転数を上げることで搬送ベルト61を通常よりも速い速度で移動させて、出金搬送部60を通常回収処理を行うときと比較して速い速度で駆動させる。
【0042】
また、図1に示すように、硬貨入出金装置1にはPOSレジスターなどの上位機90が接続されている。そして、硬貨入出金装置1の制御部55は、この上位機90から出金指令などの指令を受け、当該指令に基づいて出金処理などの所定の処理を行う旨の指示を出すようにもなっている。
【0043】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。
【0044】
(入金処理)
最初に、投入された硬貨を金種別に金種別収納部40内に収納する入金処理を行う際の過程について、図2に基づいて説明する。
【0045】
まず、硬貨が硬貨入出金装置1の入金口3に投入される。
【0046】
投入された硬貨は、搬送路38へと繰り出される。そして、硬貨の後端に押動ピン(図示せず)が当接して当該硬貨を後方から押動することで、硬貨が搬送路38に沿って搬送されることになる。
【0047】
硬貨は、次に、識別部50に達し、当該識別部50で、その材質、径などが検出されて硬貨の金種などが識別される。
【0048】
識別部50で識別された硬貨は、次に、リジェクト部70に達する。識別部50によってリジェクトすべきと判断された硬貨は、このときにリジェクト部70のリジェクト孔71に落ちてリジェクトされる。なお、リジェクト部70のリジェクト孔71に落ちてリジェクトされた硬貨は、出金搬送部60で搬送されて、放出口7を介して出金口8に返却される。
【0049】
リジェクト部70によってリジェクトされなかった硬貨は、次に、選別部75に達する。そして、当該硬貨は、識別部50による識別結果に従って、金種毎に選別されて、所定の金種別収納部40内に収納される。
【0050】
(出金処理)
次に、釣銭などを出金するための出金処理を行う際の過程について説明する。
【0051】
まず、POSレジスターなどの上位機90によって出金指令が入力される。そして、この指令を受けて、制御部55によって、出金処理を行う旨の指示が、収納搬送部41、収納逆転ローラ44、ストッパ用ソレノイド46、投出硬貨検出部49、出金搬送部60、出金逆転ローラ64、払出硬貨検出部69などに出される。
【0052】
次に、金種別収納部40の収納搬送部41の駆動モータ(図示せず)と出金搬送部60の駆動モータ(図示せず)が駆動され始め、搬送ベルト41a,61が移動され始める。
【0053】
このように収納搬送部41の搬送ベルト41aが移動され始めることで、収納庫43内の硬貨が搬送ベルト41aによって搬送され始める(図4参照)。そして、収納逆転ローラ44に達した硬貨は、収納逆転ローラ44で規制されて1層1列状態に整列される。
【0054】
収納逆転ローラ44を通過した硬貨は、次に、投出硬貨検出部49の検出位置に達する。このとき、投出硬貨検出部49の発光部分49aから発せられた光がこの硬貨により遮られて受光部分49bに届かなくなる。そして、このことによって、投出硬貨検出部49により、金種別収納部40から出金搬送部60に硬貨が送られたことが検出されるとともに、計数部57によって、金種別収納部40から繰り出される硬貨が計数される。
【0055】
投出硬貨検出部49の検出位置を通過した硬貨は、次に、出金搬送部60に繰り出される(図4参照)。
【0056】
出金搬送部60に繰り出された硬貨は、次に、出金搬送部60の搬送ベルト61によって放出口7に向かって(図5の左側方向に向かって)移動され始める。
【0057】
放出口7に向かって移動され始めた硬貨は、次に、出金逆転ローラ64の下方位置に到達する。そして、この出金逆転ローラ64によって規制されて、搬送ベルト61で搬送される硬貨は1層1列状態に整列される。
【0058】
このように出金逆転ローラ64によって1層1列状態になった硬貨は、次に、払出硬貨検出部69の検出位置に達する。このとき、払出硬貨検出部69の発光部分69aから発せられた光がこの硬貨により遮られて受光部分69bに届かなくなる。そして、このことによって、払出硬貨検出部69により、搬送ベルト61から放出口7に硬貨が送られたことが検出されるとともに、計数部57によって、金種別収納部40から繰り出された硬貨が計数される。
【0059】
払出硬貨検出部69の検出位置を通過した硬貨は、次に、放出口7を介して出金トレイ9に放出される。
【0060】
以上の工程が出金に必要な金種の硬貨に対して行われることで、必要な枚数の硬貨が出金されることになる。なお、投出硬貨検出部49によって必要な枚数の硬貨が金種別収納部40から出金搬送部60に送られたことが検出されると、最後に送られる硬貨の上面までプランジャ部分46aが延びて当該硬貨の上面に当接し、当該硬貨が出金搬送部60に送られた時点でプランジャ部分46aが搬送ベルト41aまで延びることとなる。そして、このようにプランジャ部分46aが搬送ベルト41aまで延びることによって、以降の硬貨が金種別収納部40から出金搬送部60に誤って送られることが防止される。
【0061】
(通常回収処理)
次に、計数部57によって硬貨を計数して回収する通常回収処理を行う際の過程について説明する。
【0062】
まず、操作者によって、操作部20を介して通常回収処理をする旨が入力される。そして、このことを受けて、回収指示部58によって、計数部57によって硬貨を計数して回収する通常回収処理を行う旨の指示が制御部55に出される(図6参照)。
【0063】
次に、制御部55によって、通常回収処理を行う旨の指示が、収納搬送部41、収納逆転ローラ44、ストッパ用ソレノイド46、投出硬貨検出部49、出金搬送部60、出金逆転ローラ64、払出硬貨検出部69などに出される。
【0064】
次に、金種別収納部40の収納搬送部41の駆動モータ(図示せず)と出金搬送部60の駆動モータ(図示せず)が通常の回転数で駆動され始め、搬送ベルト41a,61が通常の速度で移動され始める。
【0065】
このように収納搬送部41の搬送ベルト41aが移動され始めることで、収納庫43内の硬貨が搬送ベルト41aによって搬送され始める(図4参照)。そして、収納逆転ローラ44に達した硬貨は、収納逆転ローラ44で規制されて1層1列状態に整列される。
【0066】
収納逆転ローラ44を通過した硬貨は、次に、投出硬貨検出部49の検出位置に達する。このとき、投出硬貨検出部49の発光部分49aから発せられた光がこの硬貨により遮られて受光部分49bに届かなくなる。そして、このことによって、投出硬貨検出部49により、金種別収納部40から出金搬送部60に硬貨が送られたことが検出されるとともに、計数部57によって、金種別収納部40から繰り出される硬貨が計数される。
【0067】
投出硬貨検出部49の検出位置を通過した硬貨は、次に、出金搬送部60に繰り出される(図4参照)。
【0068】
出金搬送部60に繰り出された硬貨は、次に、出金搬送部60の搬送ベルト61によって放出口7に向かって(図5の左側方向に向かって)移動され始める。
【0069】
放出口7に向かって移動され始めた硬貨は、次に、出金逆転ローラ64の下方位置に到達する。そして、この出金逆転ローラ64によって規制されて、搬送ベルト61で搬送される硬貨は1層1列状態に整列される。
【0070】
このように出金逆転ローラ64によって1層1列状態になった硬貨は、次に、払出硬貨検出部69の検出位置に達する。このとき、払出硬貨検出部69の発光部分69aから発せられた光がこの硬貨により遮られて受光部分69bに届かなくなる。そして、このことによって、払出硬貨検出部69により、搬送ベルト61から放出口7に硬貨が送られたことが検出されるとともに、計数部57によって、金種別収納部40から繰り出された硬貨が計数される。
【0071】
払出硬貨検出部69の検出位置を通過した硬貨は、次に、放出口7を介して出金トレイ9に放出される。以上の工程を繰り返し行って、各金種別収納部40内に収納された全ての硬貨が回収されると、通常回収処理は終了される。
【0072】
なお、通常回収処理においては、例えば2つの金種別収納部40内の硬貨が順次回収され、その一例としては、500円硬貨を収納するための金種別収納部40と10円硬貨を収納するための金種別収納部40内の硬貨が回収され始め、500円硬貨と10円硬貨の回収が終わったら、次に、100円硬貨を収納するための金種別収納部40と5円硬貨を収納するための金種別収納部40内の硬貨が回収され始め、100円硬貨と5円硬貨の回収が終わったら、次いで、50円硬貨を収納するための金種別収納部40と1円硬貨を収納するための金種別収納部40内の硬貨が回収され始め、50円硬貨と1円硬貨の回収が終わったら、通常回収処理が終了される(図2参照)。
【0073】
(高速回収処理)
次に、計数部57によって硬貨を計数することなく高速で回収する高速回収処理を行う際の過程について説明する。
【0074】
まず、操作者によって、操作部20を介して高速回収処理をする旨が入力される。そして、このことを受けて、回収指示部58によって、計数部57によって硬貨を計数することなく高速で回収する高速回収処理を行う旨の指示が制御部55に出される(図6参照)。
【0075】
次に、制御部55によって、高速回収処理を行う旨の指示が、収納搬送部41、収納逆転ローラ44、ストッパ用ソレノイド46、投出硬貨検出部49、出金搬送部60、出金逆転ローラ64、払出硬貨検出部69などに出される。
【0076】
次に、金種別収納部40の収納搬送部41の駆動モータ(図示せず)と出金搬送部60の駆動モータ(図示せず)が通常の回転数より速い回転数で駆動され始め、搬送ベルト41a,61が通常の速度よりも速い速度で移動され始める。なお、このように高速回収処理を行う時には、全ての金種別収納部40の収納搬送部41が同時に駆動されることとなる。
【0077】
このとき、全ての金種別収納部40の収納逆転ローラ44とストッパ用ソレノイド46は、搬送ベルト41aから離れるように上方に移動され(図4の矢印αおよびα参照)、搬送ベルト41aから離隔した位置に位置づけられる。また、出金逆転ローラ64も、搬送ベルト61から離れるように上方に移動され(図5の矢印β参照)、搬送ベルト61から離隔した位置に位置づけられる。
【0078】
ところで、このような高速回収処理の時には、投出硬貨検出部49による検出自体が行われないか、または、投出硬貨検出部49による検出は行うが計数部57による計数は行われない。
【0079】
上述のように各金種別収納部40の搬送ベルト41aが移動され始めることで、収納庫43内の硬貨が搬送ベルト41aによって搬送され始める(図4参照)。そして、搬送ベルト41aで搬送される硬貨は、搬送ベルト41aから離隔した位置に位置づけられている収納逆転ローラ44およびストッパ用ソレノイド46の下方を、これらによって邪魔されることなく移動され、出金搬送部60に繰り出される。
【0080】
このように出金搬送部60に繰り出された硬貨は、次に、出金搬送部60の搬送ベルト61によって放出口7に向かって(図5の左側方向に向かって)移動され始める。
【0081】
放出口7に向かって移動され始めた硬貨は、次に、離隔した位置に位置づけられている出金逆転ローラ64の下方を、規制されることなく移動して通過する。
【0082】
そして、出金逆転ローラ64の下方を通過した硬貨は、払出硬貨検出部69による検出位置に達する。しかしながら、このときも投出硬貨検出部49による検出と同様、払出硬貨検出部69による検出自体が行われないか、または、払出硬貨検出部69による検出は行うが計数部57による計数は行われない。
【0083】
払出硬貨検出部69の検出位置を通過した硬貨は、放出口7を介して出金トレイ9に放出される。以上の工程を繰り返し行って、各金種別収納部40内に収納された全ての硬貨が回収されると、高速回収処理は終了される。
【0084】
このように、本実施の形態によれば、高速回収処理を行うことができるので回収処理を短縮した時間(高速)で行うことができる。
【0085】
すなわち、従来の硬貨入出金装置1における回収処理(通常回収処理)では、硬貨を計数する計数処理などを行いながら硬貨を回収しているため、回収処理を行うのに時間がかかってしまう。これに対して、本実施の形態によれば、高速回収処理の時には、計数部57によって硬貨は計数されない。より具体的には、投出硬貨検出部49による検出自体が行われないか、または、投出硬貨検出部49による検出は行うが計数部57による計数は行われない。また、払出硬貨検出部69による検出自体が行われないか、または、払出硬貨検出部69による検出は行うが計数部57による計数は行われない。このため、本実施の形態によれば、高速回収処理を行うことによって、回収処理を短縮した時間(高速)で行うことができる。
【0086】
また、本実施の形態では、筐体2を開けて金種別収納部40から手で硬貨を回収するようなことも行わないので、手間をかけることなく短縮した時間(高速)で、回収処理を行うことができる。
【0087】
また、回収指示部58から高速回収処理をする旨の指示を受けている場合には、制御部55は、エラー検知部59によって検知された不具合に関係なく、高速回収処理を行う。このため、エラー状態のために硬貨入出金装置1で一般的な処理(入金処理、出金処理、通常回収処理など)を行えない状況であっても高速回収処理だけは行うことができる。なお、高速回収処理を行うことができる不具合の種類は、上述したように、あらゆる不具合であってもよいし、過電流に関連しない不具合に限られてもよいし、入金処理に関わる不具合に限られてもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、高速回収処理の時に、各金種別収納部40の収納逆転ローラ44および各金種別収納部40のストッパ用ソレノイド46を搬送ベルト41aから離隔した位置に待避させるとともに、出金逆転ローラ64を搬送ベルト61から離隔した位置に待避させる。このため、これら収納逆転ローラ44、ストッパ用ソレノイド46および出金逆転ローラ64によって、回収される硬貨の搬送が邪魔されることを防止することができ、硬貨を高速(短時間)で回収することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、高速回収処理の時に、収納搬送部41の搬送ベルト41aの全てが同時に駆動される。このため、各金種別収納部40の収納庫43に収納されている硬貨を金種に関係なく同時に回収することができ、硬貨を高速(短時間)で回収することができる。
【0090】
また、本実施の形態では、高速回収処理の時に、出金搬送部60および各金種別収納部40の収納搬送部41が、通常回収処理を行うときと比較して速い速度で駆動され、収納搬送部41の搬送ベルト41aと出金搬送部60の搬送ベルト61を通常よりも速い速度で移動させることができる。このため、硬貨を速い速度で搬送することができ、硬貨を高速(短時間)で回収することができる。
【0091】
第2の実施の形態
次に、図7により、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0092】
第1の実施の形態は、出金逆転ローラ64が、搬送ベルト61から離れるように上方に移動され(図5の矢印β参照)、搬送ベルト61から離隔した位置に位置づけられる態様であったが、本実施の形態では、その代わりに、出金搬送部60を基準として出金口8と反対側(図7の上方側)に回収口80と回収庫81が配置され、高速回収処理を行う時には、出金搬送部60によって、出金を行う時と逆方向(図7の矢印A参照)に硬貨が搬送される態様になっている。
【0093】
第2の実施の形態において、上述した構成以外の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。また、第2の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0094】
本実施の形態によれば、高速回収処理を行う時には、出金搬送部60によって、出金を行う時と逆方向(図7の上方側)に硬貨が搬送される。そして、高速回収処理で搬送される硬貨は、回収口80を介して回収庫81内に収納されることとなる。
【0095】
このように高速回収処理を行う時に硬貨が出金を行う時と逆方向(図7の上方側)に硬貨が搬送されるので、硬貨は、出金逆転ローラ64を通過することなく回収庫81で回収されることとなる。このため、出金逆転ローラ64によって、回収される硬貨の搬送が邪魔されることを防止することができ、硬貨を高速(短時間)で回収することができる。
【0096】
なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、手間をかけることなく回収処理を短縮した時間(高速)で行うことができることや、エラー状態のために硬貨入出金装置1で一般的な処理を行えない状況であっても高速回収処理だけは行うことができることや、収納逆転ローラ44およびストッパ用ソレノイド46によって回収される硬貨の搬送が邪魔されないことや、同時に収納搬送部41の搬送ベルト41aを駆動することで各金種別収納部40の収納庫43に収納されている硬貨を同時に回収することができることや、硬貨を速い速度で搬送することができることなどの効果を奏することができる。
【0097】
第3の実施の形態
次に、図8および図9により、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0098】
第1の実施の形態は、出金逆転ローラ64が、搬送ベルト61から離れるように上方に移動され(図5の矢印β参照)、搬送ベルト61から離隔した位置に位置づけられる態様であったが、本実施の形態では、その代わりに、筐体2の側面(図8および図9の右側の側面)に第2の回収口85と回収庫86が設けられ、金種別収納部40と第2の回収口85との間に収納搬送部41で搬送された硬貨を出金搬送部60を通さずに第2の回収口85に搬送する回収搬送路87が設けられる態様となっている。そして、高速回収処理を行う時には、収納搬送部41によって搬送された硬貨が、回収搬送路87を経て第2の回収口85を介して回収庫86内に搬送されることとなる。なお、筐体2の側面の一部は、収納搬送部41の搬送ベルト41aに向かって横倒可能となっている。そして、当該筐体2の側面の一部は、倒れた状態において、出金搬送部60の搬送ベルト61の上方を跨いで搬送ベルト41aに達し、回収搬送路87を構成することとなる。
【0099】
第3の実施の形態において、上述した構成以外の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。また、第3の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0100】
本実施の形態によれば、高速回収処理を行う時には、筐体2の側面の一部が収納搬送部41の搬送ベルト41aに向かって倒されて回収搬送路87となる。そして、収納搬送部41の搬送ベルト41aによって搬送された硬貨は、出金搬送部60で搬送されることなく、回収搬送路87を経て、第2の回収口85を介して回収庫86内に搬送されることとなる。
【0101】
このように、本実施の形態では、搬送ベルト41aによって繰り出された硬貨は、出金逆転ローラ64を通過することなく回収庫86で回収される。このため、出金逆転ローラ64によって、回収される硬貨の搬送が邪魔されることを防止することができ、硬貨を高速(短時間)で回収することができる。
【0102】
また、搬送ベルト41aによって繰り出された硬貨は、出金搬送部60を経ることなく、直接、回収庫86内に収納されて回収されるので、第1の実施の形態や第2の実施の形態と比較して、硬貨の回収をより高速(短時間)で行うことができる。
【0103】
なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、手間をかけることなく回収処理を短縮した時間(高速)で行うことができることや、エラー状態のために硬貨入出金装置1で一般的な処理を行えない状況であっても高速回収処理だけは行うことができることや、収納逆転ローラ44およびストッパ用ソレノイド46によって回収される硬貨の搬送が邪魔されないことや、同時に収納搬送部41の搬送ベルト41aを駆動することで各金種別収納部40の収納庫43に収納されている硬貨を同時に回収することができることや、硬貨を速い速度で搬送することができることなどの効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 硬貨入出金装置
2 筐体
3 入金口
7 放出口
8 出金口
9 出金トレイ
20 操作部
21 表示部
38 搬送路
40 金種別収納部
43 収納庫
41 収納搬送部
44 収納逆転ローラ(収納規制部材)
46 ストッパ用ソレノイド
49 投出硬貨検出部
50 識別部
55 制御部
56 満杯検出部
57 計数部
58 回収指示部
59 エラー検知部
60 出金搬送部
64 出金逆転ローラ(出金規制部材)
69 払出硬貨検出部
70 リジェクト部
75 選別部
80 回収口
81 回収庫
85 第2の回収口
86 回収庫
87 回収搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を入金するための入金口と、
入金された前記硬貨を収納するとともに、収納された該硬貨を必要に応じて繰り出す収納部と、
前記収納部から繰り出された前記硬貨を搬送する出金搬送部と、
前記出金搬送部で搬送された前記硬貨を出金するための出金口と、
前記収納部から繰り出される、または、該収納部から繰り出された、前記硬貨を計数するための計数部と、
前記計数部によって前記硬貨を計数して回収する通常回収処理と、該計数部によって該硬貨を計数することなく高速で回収する高速回収処理と、を選択的に指示する回収指示部と、
を備えたことを特徴とする硬貨入出金装置。
【請求項2】
不具合が発生したことを検知するエラー検知部をさらに備え、
前記エラー検知部によって検知された不具合に関係なく、前記高速回収処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の硬貨入出金装置。
【請求項3】
不具合が発生したことを検知するエラー検知部をさらに備え、
前記エラー検知部によって検知された不具合が過電流に関する不具合でない場合には、当該不具合に関係なく、前記高速回収処理を行うことができることを特徴とする請求項1に記載の硬貨入出金装置。
【請求項4】
不具合が発生したことを検知するエラー検知部をさらに備え、
前記エラー検知部によって検知された不具合が入金処理に関わる不具合である場合には、当該不具合に関係なく、前記高速回収処理を行うことができることを特徴とする請求項1に記載の硬貨入出金装置。
【請求項5】
前記出金搬送部で搬送される硬貨を1層状態に規制する出金規制部材をさらに備え、
前記高速回収処理を行う時には、前記出金規制部材を前記出金搬送部から離隔して待避させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬貨入出金装置。
【請求項6】
前記収納部は、該収納部内で硬貨を搬送する収納搬送部と、該収納搬送部で搬送される硬貨を1層状態に規制する収納規制部材とを有し、
前記高速回収処理を行う時には、前記収納規制部材を前記収納搬送部から離隔して待避させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬貨入出金装置。
【請求項7】
前記収納部は、金種別に硬貨を収納する複数の金種別収納部を有し、
前記金種別収納部の各々は、該金種別収納部内で硬貨を搬送する収納搬送部を有し、
前記高速回収処理を行う時には、前記収納搬送部の全てを同時に駆動させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の硬貨入出金装置。
【請求項8】
前記出金搬送部を基準として前記出金口と反対側に配置された回収口をさらに備え、
前記高速回収処理を行う時には、出金を行う時と逆方向に前記出金搬送部が前記硬貨を搬送することを特徴とする請求項1乃至4、6および7のいずれか1項に記載の硬貨入出金装置。
【請求項9】
前記出金口とは異なる第2の回収口と、
前記収納部内で前記硬貨を搬送する収納搬送部と、
前記収納搬送部で搬送された前記硬貨を前記出金搬送部を通さずに前記第2の回収口に搬送する回収搬送路と、をさらに備え、
前記高速回収処理を行う時には、前記収納搬送部によって搬送された前記硬貨が、前記回収搬送路を経て前記回収口に搬送されることを特徴とする請求項1乃至4、6および7のいずれか1項に記載の硬貨入出金装置。
【請求項10】
前記収納部内で前記硬貨を搬送する収納搬送部をさらに備え、
前記高速回収処理を行う時には、前記出金搬送部または前記収納搬送部を、前記通常回収処理を行うときと比較して速い速度で駆動させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬貨入出金装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−32950(P2012−32950A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170928(P2010−170928)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】