説明

硬貨処理装置

【課題】搬送回転ディスクの硬貨受容部で搬送される硬貨の挙動を抑制し、硬貨の鑑別精度を向上させる。
【解決手段】硬貨投入口に収容された硬貨を1枚ずつ搬送する搬送ローラ10と、搬送ローラ10で搬送された硬貨を通過させる開口部が形成された円筒状の壁面14と、開口部を通過した硬貨を受け入れる硬貨受容部17が形成され、壁面14内に回転可能に配設された搬送回転ディスク16と、硬貨受容部17に入れられ、搬送回転ディスク16の回転とともに搬送される硬貨の底面を摺動可能に支持する搬送ガイド底面15と、搬送回転ディスク16の硬貨受容部17の回転軌跡上に配置された磁気センサ(251、252、253)からなる鑑別部25と、硬貨受容部17の回転軌跡の上方から搬送ガイド底面15に向けて硬貨受容部17内に突出する硬貨浮き防止部材29とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨投入口に一括して投入された硬貨を計数する硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の硬貨処理装置は、投入された硬貨を一括して硬貨投入口で受け入れ、その硬貨を1枚ずつ、搬送チェーンの側面に埋め込まれたピンとピンとの間に保持し(例えば、特許文献1参照)、または円盤状の搬送回転ディスクに形成された硬貨受容部(切欠部)に入れて(例えば、特許文献2参照)搬送しながら磁気センサや光学センサにより硬貨の真贋や金種を鑑別するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−252357号公報(段落「0011」〜段落「0013」、図1)
【特許文献2】特開平8−229513号公報(段落「0006」〜段落「0008」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、円盤状の搬送回転ディスクを用いて硬貨を搬送し、搬送回転ディスクを挟んで上下に配置された磁気センサ対や搬送回転ディスクの上方に配置された反射型の磁気センサにより硬貨の真贋や金種を鑑別する場合、搬送される硬貨が磁気センサによる鑑別中に搬送回転ディスクの硬貨受容部で上下方向に動いてしまい、磁気センサで取得する硬貨の特性値がばらつくことにより硬貨の鑑別不良が発生してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、搬送回転ディスクの硬貨受容部で搬送される硬貨の挙動を抑制し、硬貨の鑑別精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、硬貨投入口に一括して投入された硬貨を計数する硬貨処理装置において、硬貨投入口に収容された硬貨を1枚ずつ搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラで搬送された硬貨を通過させる開口部が形成された円筒状の壁面と、前記開口部を通過した硬貨を受け入れる硬貨受容部が形成され、前記壁面内に回転可能に配設された搬送回転ディスクと、前記硬貨受容部に入れられ、前記搬送回転ディスクの回転とともに搬送される硬貨の底面を摺動可能に支持する搬送ガイド底面と、前記搬送回転ディスクの硬貨受容部の回転軌跡上に配置された磁気センサからなる鑑別部と、前記硬貨受容部の回転軌跡の上方から前記搬送ガイド底面に向けて前記硬貨受容部内に突出する硬貨浮き防止部材とを設け、前記硬貨浮き防止部材が、回転する前記搬送回転ディスクの硬貨受容部で搬送される硬貨を前記搬送ガイド底面へ押圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、搬送回転ディスクの硬貨受容部で搬送される硬貨の挙動を抑制し、硬貨の鑑別精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例における硬貨処理装置の構成を示す概略平面図
【図2】実施例における硬貨処理装置の構成を示す概略側面図
【図3】実施例における鑑別部近傍の構成を示す説明図
【図4】実施例における鑑別部および搬送回転ディスクの構成を示す断面説明図
【図5】実施例における硬貨の搬送動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による硬貨処理装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0009】
図1は実施例における硬貨処理装置の構成を示す概略平面図、図2は実施例における硬貨処理装置の構成を示す概略側面図である。
図1および図2において、100は硬貨処理装置であり、硬貨繰出しユニット1および搬送ディスクユニット13により構成され、硬貨投入口に投入された硬貨の真贋および金種を鑑別し、計数するものである。
【0010】
硬貨繰出しユニット1は、硬貨投入口2と、回転円盤3と、回転軸4と、繰出しモータ5と、ギヤ6と、円盤ガイド部材7と、放出口8とから構成されている。
硬貨投入口2は、硬貨を一括して受け入れるために円錐台状に形成され、上部および下部に開口が形成されたものである。上部の開口から投入された硬貨を下部の開口から落下放出する。
【0011】
回転円盤3は、硬貨投入口2の直下に配置され、硬貨投入口2から落下した硬貨を受け止めて集積し、水平に回転して集積した硬貨を搬送するものである。この回転円盤3は、回転軸4に固定され、繰出しモータ5によりギヤ6を介して回転する回転軸4とともに図1中の矢印Aが示す方向へ回転し、硬貨投入口2に投入され、落下した硬貨を搬送する。
【0012】
円盤ガイド部材7は、内部に回転円盤3が配置され、上部に開口部を有し、円筒状に形成されたものであり、硬貨投入部2に投入された硬貨を回転円盤3上に貯留するための側壁を形成する部材である。この円盤ガイド部材7の側壁は、回転円盤3の外周面との隙間が硬貨1枚の厚さより小さくなるように設けられ、硬貨が挟まらないようになっている。
【0013】
また、円盤ガイド部材7の側壁は、所定の枚数(例えば、100枚)の硬貨を収容することができる空間を確保する高さを有し、さらに円盤ガイド部材7の側壁の一部には、回転円盤3を底面として1枚の硬貨を通過させることができる幅(硬貨の最大外径に相当)と高さ(硬貨の最大厚さに相当)を有する開口部として放出口8が形成されている。したがって、回転円盤3を回転させて搬送した硬貨を遠心力により1枚ずつ放出口8から放出することができるようになっている。なお、放出口8は、円盤ガイド部材7とは別の部材で形成するようにしても良い。
【0014】
放出口8に続く硬貨通路9には、硬貨投入口2に投入され、放出口8から放出された硬貨を1枚ずつ挟持して搬送する搬送ローラ10が設けられ、その搬送ローラ10は搬送モータ11によりギヤ12を介して回転し、硬貨を図1中の矢印Bが示す方向へ搬送することができるようになっている。また、搬送ローラ10の近傍の硬貨通路9には、硬貨の通過を監視する繰出し前段センサ28が設けられている。
【0015】
硬貨通路9の下流には搬送ディスクユニット13が配置され、その搬送ディスクユニット13は、外周壁面14と、搬送ガイド底面15と、搬送回転ディスク16と、鑑別部25と、硬貨浮き防止部材29と、リジェクト硬貨排出口26と、正規硬貨排出口27とから構成されている。
【0016】
外周壁面14は、円筒状に形成され、搬送ディスクユニット13の壁面を形成している。この外周壁面14は、硬貨通路9との接続部に搬送ローラ10により搬送される硬貨を通過させる開口部21が形成されている。
搬送ガイド底面15は、円形状に形成され、水平に配置されて搬送ディスクユニット13の底面を形成している。この搬送ガイド底面15は、搬送ローラ10によって挟持された硬貨の下面よりも僅かに低くなるように配置されている。
【0017】
搬送回転ディスク16は、円盤状に形成され、外周壁面14の内部の搬送ガイド底面15上に図1中の矢印Cが示す方向へ回転可能に水平配設されている。この搬送回転ディスク16の外周部には、搬送ローラ10により挟持されて搬送された1枚の硬貨を受け入れて保持するU字状に切り欠けた硬貨受容部17が等間隔で複数形成されている。
【0018】
また、搬送回転ディスク16は、回転軸18に固定され、ディスク回転モータ19によりギヤ20を介して回転する回転軸18の回転とともに回転し、硬貨受容部17に保持された硬貨を外周壁面14に沿って円弧を描くように搬送することができるようになっている。このとき、硬貨受容部17に入れられて保持され、搬送回転ディスク16の回転とともに搬送される硬貨の底面は、搬送ガイド底面15により摺動可能に支持される。
なお、搬送ローラ10による硬貨の搬送方向(図1中の矢印Bが示す方向)は、回転軸18に向かって搬送回転ディスク16の回転方向における下流側に少しずらして設定されている。
【0019】
さらに、搬送回転ディスク16には、硬貨受容部17の位置に対応させて等間隔の貫通孔(スリット)および遮光部が形成された円筒状の遮光部材23が取り付けられ、発光部および受光部を有する位置検知センサ22で回転する遮光部材23の貫通孔(スリット)および遮光部を検出して硬貨受容部17の位置を検出することができるようになっている。
回転する搬送回転ディスク16の硬貨受容部17の軌跡上には、繰出しセンサ24が設けられており、硬貨通路9と対向した硬貨受容部17内の硬貨の存否を検知することができるようになっている。
【0020】
鑑別部25は、磁気センサ(251、252、253)で構成され、回転する搬送回転ディスク16の硬貨受容部17の軌跡を挟んで回転方向における上流から磁気センサ251、磁気センサ252、磁気センサ253の順で取り付けられており、搬送回転ディスク16のいずれかの硬貨受容部17が硬貨通路9と対向したとき、磁気センサ251、磁気センサ252、および磁気センサ253は、図1に示すように隣り合う硬貨受容部17の間に位置するように配設されている。
【0021】
また、磁気センサ251、磁気センサ252、および磁気センサ253は、搬送回転ディスク16の硬貨受容部17の回転軌跡上に、その回転軌跡を挟んで上方および下方に対を成して配置され、通過する硬貨から取得した磁気特性によって、硬貨の直径、材質、厚さ、穴の有無等の各種特性値を検出し、その硬貨の真贋や金種を鑑別する。
【0022】
また、上方に配置された磁気センサ251、磁気センサ252、および磁気センサ253と搬送ガイド底面15との間で、硬貨受容部17の回転軌跡の上方から搬送ガイド底面15へ向けて硬貨受容部17内へ突出し、硬貨受容部17で保持された硬貨の浮きを防止するための硬貨浮き防止部材29がそれぞれ設けられている。
【0023】
硬貨浮き防止部材29は、鑑別部25が磁気センサで構成されていることから磁気による反応が軽微なフィルムやプラスチック等の樹脂素材で構成された部材であることが好ましい。なお、本実施例では、フィルム状の樹脂素材を用いて硬貨浮き防止部材29を構成した。
【0024】
リジェクト硬貨排出口26は、搬送回転ディスク16の回転方向における磁気センサ253の下流の搬送ガイド底面15に形成された開口部であり、図示しないシャッタにより開閉可能に構成されている。鑑別部25により搬送回転ディスク16で搬送された硬貨が偽硬貨または金種鑑別不可能な硬貨等と鑑別された場合、図示しない駆動手段によりシャッタを開放してリジェクト硬貨排出口26を開口し、当該硬貨をリジェクト硬貨排出口26から落下させて返却口等へ導くことが可能になっている。なお、鑑別部25により真硬貨かつ金種鑑別可能な硬貨と鑑別された正規の硬貨は、シャッタを閉塞することにより、さらに下流に搬送するものとする。
【0025】
なお、リジェクト硬貨排出口26は、図1に示すように搬送回転ディスク16の硬貨受容部17が硬貨通路9と対向したとき、他のいずれかの硬貨受容部17が位置するように配置されているものとするが、それに限られるものではない。
【0026】
正規硬貨排出口27は、搬送回転ディスク16の回転方向におけるリジェクト硬貨排出口26の下流の搬送ガイド底面15に形成された開口部である。この正規硬貨排出口27は、搬送回転ディスク16で搬送された硬貨が鑑別部25により真硬貨かつ金種鑑別可能な硬貨と鑑別された正規の硬貨を落下させて収納部等へ導くことが可能になっている。
【0027】
ここで、鑑別部25近傍の構成を図3の実施例における鑑別部近傍の構成を示す説明図、図4の実施例における鑑別部および搬送回転ディスクの構成を示す断面説明図に基づいて説明する。なお、図3(a)は鑑別部近傍の構成を示す上面説明図であり、図3(b)は図3(a)におけるDD断面図である。また、図4は図3(a)におけるEE断面図である。
【0028】
鑑別部25の磁気センサ251、252、253は、図3(a)に一点鎖線で示す、搬送回転ディスク16の硬貨受容部17の回転軌跡上に配置され、その回転軌跡を挟んで図3(b)に示すように上下対(搬送ガイド底面15の上方に磁気センサ251a、下方に磁気センサ251b(磁気センサ252、253も同様))を成すように図4に示す支持部材29bに取り付けられて配置されている。
【0029】
また、硬貨浮き防止部材29は、図4に示すように搬送回転ディスク16の硬貨受容部17の回転軌跡の上方に配置された鑑別部25の磁気センサ251a等と搬送ガイド底面15との間に配置されるように、上方の鑑別部25の磁気センサ側の図示しない支持部材に取り付けられ、搬送ガイド底面15の方向に突出した湾曲面29aが形成されている。この湾曲面29aで搬送される硬貨40の上面を搬送ガイド底面15の方向へ押圧し、硬貨40の浮きを防止して硬貨40の挙動を抑制する。
【0030】
このように構成された硬貨処理装置100は、図示しないメモリ等の記憶部に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づき図示しない制御手段および演算手段としての制御部により装置全体の動作が制御される。
上述した構成の作用を図1、図2および図5の実施例における硬貨の搬送動作の説明図に基づいて説明する。なお、以下の各部の動作は制御部により制御される。
【0031】
硬貨投入口2に硬貨が一括して投入されると、その硬貨は回転円盤3上に集積させられる。回転円盤3は、繰出しモータ5を駆動することにより図1中の矢印Aが示す方向へ回転し、遠心力により集積した硬貨を外側に押し出し、押し出された硬貨は円盤ガイド部材7の開口部としての放出口8から1枚ずつ硬貨通路9へ押し出される。
【0032】
硬貨通路9へ押し出された硬貨は、搬送ローラ10が回転していないときはそのまま硬貨通路9に滞留し、搬送モータ11の駆動により搬送ローラ10が回転するとローラ対に挟持されて搬送ディスクユニット13へ搬送される。
【0033】
搬送ディスクユニット13の搬送ディスク16は、ディスク回転モータ19の駆動により回転するが、遮光部材23による位置検知センサ22の出力信号の変化(例えば、遮光部材23の貫通孔(スリット)の検出)を契機として硬貨受容部17が硬貨通路9と対向する位置で一旦停止させる。
【0034】
このとき、搬送ローラ10に挟持された硬貨が繰出し前段センサ28で検知されると、位置検知センサ22により検知された硬貨受容部17が硬貨通路9に対向して硬貨通路9と硬貨受容部17とが接続された位置関係(すなわち、硬貨を硬貨受容部17に受け入れることが可能な位置)になるように搬送ディスク16が停止した状態のまま、搬送モータ11の駆動により搬送ローラ10を回転させ、挟持した硬貨を硬貨受容部17へ搬送する。なお、搬送ガイド底面15は、硬貨通路9より低く配設されているため、硬貨が引っ掛かることなく円滑に硬貨受容部17へ受け渡される。
【0035】
硬貨が硬貨受容部17内へ搬送されて繰出しセンサ24により検知されてから所定の時間が経過するまで搬送ディスク16の回転を停止したままとし、硬貨受容部17への硬貨の受け渡しを完了する。
【0036】
所定の時間が経過すると、停止させた搬送ディスク16を再度回転させ、硬貨受容部17が硬貨通路9と対向する位置まで移動させ、停止させる。なお、遮光部材23の貫通孔(スリット)は等間隔で形成されているため、搬送ディスク16は、一定の時間間隔で回転およびその回転の停止を繰り返して行うことになる。したがって、搬送ディスク16の硬貨受容部17に受け渡された硬貨は、一定の時間間隔で回転およびその回転の停止を繰り返して搬送(以下、「間欠搬送」という。)されることになる。
【0037】
以上の動作を繰り返して行うことにより、硬貨投入口2に投入された硬貨を順次、搬送ディスク16の硬貨受容部17内へ搬送する。なお、繰出し前段センサ28により硬貨が検知されたとき、位置検知センサ22により硬貨受容部17が硬貨通路9に対向していない(硬貨通路9と硬貨受容部17とが接続された位置関係にない)ことが検知された場合、硬貨を挟持した搬送ローラ10を停止したまま、次の硬貨受容部17が硬貨通路9に対向して硬貨通路9と硬貨受容部17とが接続された位置関係になるまで待機する。
【0038】
搬送ディスク16の硬貨受容部17に受け渡された硬貨は、搬送ディスク16の回転に伴って外周壁面14に沿って円軌道を描いて搬送される。
ここで、搬送ローラ10による硬貨の搬送方向は、搬送ディスク16の回転軸18に対して搬送ディスク16の回転方向に少しずれして設定してあるため、硬貨が硬貨受容部17に斜めに進入することになり、搬送ディスク16を搬送ローラ10から逃げる方向へ回転させることにより、硬貨の詰まりを防止することができる。
【0039】
次に、搬送ディスク16で搬送される硬貨は、磁気センサ251、252、253を通過する。このとき、磁気センサ251、252、253は、1回の間欠搬送ごとに通過する硬貨の各種特性値を取得し、すべての特性値を用いて硬貨の真贋、金種判別を行う。
ここで、磁気センサ251、252、253を通過するときの動作を図5の実施例における硬貨の搬送動作の説明図に基づいて説明する。なお、図5は図3(a)におけるEE断面図である。
【0040】
図5(a)は、搬送ディスク16の硬貨受容部17に入った硬貨が磁気センサ251の上流で搬送されている状態を示している。
図5(b)は、図5(a)の状態から、さらに搬送ディスク16が回転して磁気センサ251a側に配置された硬貨浮き防止部材29が搬送ディスク16の端部に当接して押し上げられた状態を示している。
【0041】
図5(c)は、図5(b)の状態から、さらに搬送ディスク16が回転して磁気センサ251a側に配置された硬貨浮き防止部材29が搬送ディスク16によって完全に押し上げられた状態を示している。
図5(d)は、図5(c)の状態から、さらに搬送ディスク16が回転して磁気センサ251a側に配置された硬貨浮き防止部材29の一部が搬送された硬貨に接触している状態を示している。
【0042】
図5(e)は、図5(d)の状態から、さらに搬送ディスク16が回転して磁気センサ251a側に配置された硬貨浮き防止部材29が搬送された硬貨の上部を搬送ガイド底面15へ押圧している状態を示している。
図5(f)は、図5(e)の状態から、さらに搬送ディスク16が回転して磁気センサ251a側に配置された硬貨浮き防止部材29が搬送された硬貨の上部を完全に覆っている状態を示している。
【0043】
図5(g)は、図5(f)の状態から、さらに搬送ディスク16が回転して磁気センサ251a側に配置された硬貨浮き防止部材29が搬送された硬貨の後端部に接触するとともに、搬送ディスク16の端部に当接して押し上げられ、また硬貨の先端部は硬貨浮き防止部材29から離れた状態を示している。
【0044】
このように、硬貨浮き防止部材29で磁気センサ251を通過する硬貨の上部を搬送ガイド底面15の方向へ押圧し、硬貨の挙動を安定させたことにより、磁気センサ251で読取る硬貨の特性値のバラツキを防止することができ、硬貨の真贋、金種鑑別の精度を向上させることができる。
【0045】
この後、硬貨は同様に硬貨浮き防止部材29で挙動が安定された状態で磁気センサ252、253を通過し、その真贋および金種が鑑別され、その鑑別結果にしたがって図1に示すリジェクト硬貨排出口26または正規硬貨排出口27から排出される。
【0046】
以上説明したように、本実施例では、硬貨浮き防止部材で磁気センサを通過する硬貨の上部を搬送ガイド底面の方向へ押圧し、硬貨の挙動を安定させたことにより、磁気センサで読取る硬貨の特性値のバラツキを防止することができ、硬貨の真贋、金種鑑別の精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0047】
なお、本実施例では、鑑別部25の磁気センサ251、252、253は、回転する搬送回転ディスク16の硬貨受容部17の軌跡を挟んで上下対を成すように配置された例で説明したが、それの限られることなく、回転する搬送回転ディスク16の硬貨受容部17の軌跡の上方または下方のいずれか一方に配置されたものであっても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 硬貨繰出しユニット
2 硬貨投入口
3 回転円盤
4 回転軸
5 繰出しモータ
7 円盤ガイド部材
8 放出口
9 硬貨通路
10 搬送ローラ
13 搬送ディスクユニット
14 外周壁面
15 搬送ガイド底面
16 搬送回転ディスク
17 硬貨受容部
25 鑑別部
26 リジェクト硬貨排出口
27 正規硬貨排出口
29 硬貨浮き防止部材
100 硬貨処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨投入口に一括して投入された硬貨を計数する硬貨処理装置において、
硬貨投入口に収容された硬貨を1枚ずつ搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラで搬送された硬貨を通過させる開口部が形成された円筒状の壁面と、
前記開口部を通過した硬貨を受け入れる硬貨受容部が形成され、前記壁面内に回転可能に配設された搬送回転ディスクと、
前記硬貨受容部に入れられ、前記搬送回転ディスクの回転とともに搬送される硬貨の底面を摺動可能に支持する搬送ガイド底面と、
前記搬送回転ディスクの硬貨受容部の回転軌跡上に配置された磁気センサからなる鑑別部と、
前記硬貨受容部の回転軌跡の上方から前記搬送ガイド底面に向けて前記硬貨受容部内に突出する硬貨浮き防止部材とを設け、
前記硬貨浮き防止部材が、回転する前記搬送回転ディスクの硬貨受容部で搬送される硬貨を前記搬送ガイド底面へ押圧することを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
請求項1の硬貨処理装置において、
前記硬貨浮き防止部材は、前記搬送ガイド底面に向けて突出した湾曲面が形成されていることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の硬貨処理装置において、
前記硬貨浮き防止部材は、樹脂素材で形成されていることを特徴とする硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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