説明

硬貨分離搬送装置

【課題】
本発明の目的は硬貨を1つずつ分離して回転する搬送体に確実に受け渡すことができる、小型かつ安価な硬貨分離搬送装置を提供することである。
【解決手段】
硬貨は、回転ディスクの上面に突出形成された押動体の間の保持面に面接触することによって一枚ずつ区分けされて保留される。保留された硬貨は、押動体によって押されて回転ディスクの周方向に延在する周方向案内棚に沿って案内された後、周方向案内棚に連続して形成された受渡支持棚と押動体の外周縁に形成された所定半径の保持棚によって支持された受渡位置において静止状態になる。硬貨は当該受渡位置に置いて回転搬送体に受け取られ、センサ部ガイドに沿って移動される過程においてセンサによって物理的性質を検知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直径が異なる複数金種の硬貨を一つずつ区分けして次工程へ送り出す硬貨分離搬送装置に関する。
また本発明は、直径が異なる硬貨を一つずつ区分けした後、センサ部へ搬送する搬送装置へ受け渡す硬貨分離搬送装置に関する。
更には、回転ディスクの上面に形成された保持部に複数金種の硬貨を一つずつ受け入れて区分けした後、この回転ディスクに対して固定状態に配置された周方向案内体に沿わせて次工程へ案内し、この案内された硬貨を回転搬送体によって更にセンサガイドに沿わせて搬送するようにし小型の硬貨分離搬送装置に関する。
なお、本明細書で使用する「硬貨」は、通貨である硬貨、トークン及びメダル等を含み、形状は円形、多角形を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、本出願人の出願に係る特開2007-114978に開示の装置が知られている(特許文献1参照)。
この第1の従来技術は、回転ディスクの上面に配置した区分け凹部に硬貨を保持して一ずつ区分けした後、回転する硬貨搬送装置に受け渡すようにした硬貨分離搬送装置において、前記凹部を形成し、かつ、前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体を設け、前記硬貨搬送装置への受け渡し時に前記移動体を前記回転ディスクの直径方向に移動するようにした硬貨分離搬送装置の硬貨送出装置である。
第2の従来技術として、上部が背部方向に向かう傾斜姿勢の傾斜円盤と、この傾斜円盤の低位部と高位部とにより形成された円柱状の境界周縁部と、この傾斜円盤の前面との間に硬貨を貯留する貯留ホッパを形成する貯留ホッパ枠と、傾斜円盤の前面における所定半径位置の円周上に所定ピッチで設けられた傾斜円盤と連動回転して傾斜円盤の下部域の硬貨を1枚ずつ上方域へ掻き上げる複数の掻上げ突起と、傾斜円盤および複数の掻上げ突起を回転駆動する駆動手段とを具備し、掻上げ突起を通じて傾斜円盤の下部域の硬貨を1枚ずつ傾斜円盤の上方域へ掻き上げて傾斜円盤の上方域の硬貨送出域から硬貨を送出する硬貨繰出装置において、前記傾斜円盤の前面の掻上げ突起より外周域で、複数の掻上げ突起のうちの少なくとも1つの掻上げ突起に対応して設けられ、対応する掻上げ突起と協働して傾斜円盤の下部域の硬貨を2点支持し傾斜円盤の上方域へ向けて掻き上げる外周突起を備えていることを特徴とする硬貨繰出装置が知られている(特許文献2参照)。
【0003】
第3の従来技術として、回転するピンホイールにおける同一の仮想円上に硬貨の係止ピンを複数本一定の間隔で設け、当該回転ディスクに対し固定状態に配置し、かつ、当該回転ディスクの中心部に固定配置された棚ホイールに沿わせて移動させた後、当該固定棚ホイールに連続して周方向に延在する固定ナイフに沿わせて前記係止ピンによって移動させる硬貨フィーダ機構が知られている(特許文献3参照)。
第4の従来技術として、一つの機体を備え、その機体は一つの出金口を有し、一つの回転円盤を備え、その回転円盤は機体に設けられ、一つの硬貨搬送面と放射状の列に並んでいる複数の押し柱を有し、その複数の押し柱は回転円盤に固定され、且つ、硬貨搬送面に突出し、各々隣り合う押し柱列の間のスペースが硬貨収納スペースとなり、一つのガイド腕を備え、そのガイド腕は機体上且つ出金口の近くに設けられ、回転円盤上の硬貨搬送面を部分的に覆い、一つのガイド壁と底面にある少なくとも一つの円弧溝を有し、その円弧溝がガイド壁まで連通することにより、前記押し柱は回転円盤の回転とともにガイド腕を通過可能であり、回転円盤は、押し柱から硬貨搬送面上にかけてなだらかに傾斜する形状の複数の硬貨スライディング突部を有し、前記複数の硬貨スライディング突部が硬貨搬送面上に形成され、且つ前記押し柱のガイド壁と反対側の一側に接触していることにより、前記押し柱の一側からの硬貨の押し出しを防止することを特徴とする回転盤式硬貨送出装置が知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-114978(図3〜図4、段落番号0021〜0037)
【特許文献2】特許第4093753号(図1〜図3、段落番号0024〜0062)
【特許文献3】米国特許第6350193号(図3〜図5、第3欄〜第9欄)
【特許文献4】特許第3981372号(図1〜図5、段落番号0006〜0010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の従来技術においては、凹部に硬貨が受け入れられて一個ずつ区分けされて保持される。凹部が硬貨搬送装置への受渡し位置に移動した場合、凹部を形成する移動体が回転ディスクの直径方向へ移動し、凹部に保持されていた硬貨が回転ディスクの直径方向へ積極的に移動されるため、その移動された位置において、硬貨搬送装置に受け渡されることができる。換言すれば、硬貨の払い出し位置は、移動体の移動位置によって制御できるので、払い出し位置が制約されない利点がある。
しかし、第1の従来装置においては、移動体を移動させる移動機構が必要であるので、部品点数が増加し、コスト低減には限界があった。
このコスト低減のため、第2の従来技術に開示される、回転する傾斜円盤と、傾斜円盤上面に形成された支持棚と、貯留ホッパ枠と、複数の掻上げ突起と、この掻上げ突起より外周域において対応する掻上げ突起と協働して傾斜円盤の下部域の硬貨を2点支持し、傾斜円盤の上方域へ向けて掻き上げる外周突起と、当該掻上げ突起と外周突起とにより掻き上げられた硬貨を傾斜円盤に対して片持ち固定状態に設けられ、かつ、周方向に延在する投出部材によって拾い上げて後、搬送ベルトに受け渡す機構の採用が考えられる。
しかし、第2の従来技術を採用した場合、傾斜円盤と投出部材との隙間を最薄硬貨の厚みよりも小さい間隔及び投出部材の先端と支持板との隙間を可及的に小さい状態に組み付けせねばならず、それらの組み付け関係を所定範囲に収めるための調整が容易でなく、結果的にコスト低減できず、俄に採用できない。
そこで、傾斜円盤と投出部材の位置関係の調整を容易にするため、第2の従来技術の境界周縁部及び投出部材を第3の従来技術に開示された固定棚ホイールと固定ナイフに置き換えることが考えられる。
この場合、掻上げ突起によって押動することにより投出部材に沿わせて移動させ、当該投出部材に案内されて直線的に移動する硬貨を無端状の搬送ベルトによって挟んで移動させる場合、何ら問題なく搬送ベルトに受け渡しできる。
しかし、第1の従来技術に示す回転する硬貨搬送体に受け渡して当該回転搬送体によってセンサ部を移動させる場合、回転押動体によって硬貨を投出部材に押しつける方向が大角度になり、投出部材にぶつかった反動で硬貨が投出部材から跳ね上がり、硬貨が投出部材に沿って移動しない場合がある。これにより、投出部材の近くにセンサ部を配置することができない。これを解決するため、硬貨が跳ね上がっても正確に硬貨の物理的特性を検出できるよう、跳ね上がり後の投出部材に沿った経路にセンサ部を配置せねばならず、結果として大型化する問題がある。
また、第2の従来技術における掻き上げ突起を、第4の従来技術に開示されているように複数配置することが考えられるが、これによっても回転する硬貨搬送体によって投出部材に対し押しつける力の方向は改善されず、前記と同様の問題がある。
【0006】
本発明の第1の目的は、硬貨を1つずつ分離して回転する搬送体に確実に受け渡すことができる硬貨分離搬送装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、硬貨を1つずつ分離して回転する搬送体に確実に受け渡すことができる小型の硬貨分離搬送装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、硬貨を1つずつ分離して回転する搬送体に確実に受け渡すことができる硬貨分離搬送装置を小型かつ安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的を達成するため、本発明は以下のように構成されている。
第一番目の発明は、
硬貨をバラ状態で保留する保留容器の底部に少なくとも下側部分が傾斜配置された回転ディスクを含み、前記回転ディスクの上面に突出し、かつ、当該突出量が最薄の硬貨の厚みよりも小さい押動体が形成され、当該押動体の間に形成された保持面に面接触する硬貨を当該押動体によって個別に押動し、前記回転ディスクの中心部から周方向に延在して固定状態に設けられた周方向案内部に沿わせた後、軸心を中心に回転する回転搬送体によって前記周方向案内部に案内されている前記硬貨をセンサ部へ移動させるようにした硬貨分離搬送装置において、前記保持面の上側において前記回転ディスクの回転軸線に対し上側に形成され、かつ、前記周方向案内部に連続する硬貨支持棚を設け、
前記押動体は前記保持面に対してリブ状に突出配置され、前記回転ディスクの周方向の長さが最大直径硬貨の直径よりも実質的に長く形成され、かつ、前記回転ディスクの回転方向の後位側に前記回転ディスクの回転軸線から所定の半径であって、かつ、所定の長さを有する保持縁が形成され、前記周方向案内部と前記保持縁とにより受渡位置において静止状態に支持された前記硬貨が前記回転搬送体によって押動を開始されることを特徴とする硬貨分離搬送装置である。
第二番目の発明は、第一番目の発明において、
前記押動体は、前記保持縁に連続する回転後位側が前記回転ディスクの外周縁側から前記回転軸線側に向かって順次前記上面から離れる斜面に形成されていることを特徴とする硬貨分離搬送装置である。
第三番目の発明は、第一番目の発明において、
前記押動体は、前記回転ディスクの回転軸線から所定の第1距離離れた第1押動体と、前記第1距離よりも大きな第2距離離れた第2押動体とを含み、前記第1押動体は、最小径硬貨が前記硬貨支持棚に支えられた場合、前記最小径の中心よりも前記回転軸線に近い周面を押動することを特徴とする硬貨分離搬送装置である。
第四番目の発明は、第三番目の発明において、
前記第2押動体は、前記第1押動体によって前記周方向案内体に沿って前記回転ディスクの周方向に移動された少なくとも前記最小径硬貨を押動するように配置されていることを特徴とする硬貨分離搬送装置である。
第五番目の発明は、第四番目の発明において、
前記第2押動体は、前記保持縁に連続する回転後位側が前記回転ディスクの外周縁側から前記回転軸線側に向かって順次前記上面から離れる斜面に形成されていることを特徴とする硬貨分離搬送装置である。
第六番目の発明は、第一番目又は第二番目の発明において、
前記押動体の硬貨と接する部位は金属であることを特徴とする硬貨分離搬送装置である。
第七番目の発明は、第一番目又は第二番目の発明において、
前記押動体は、周方向に複数に分割された分割押動体によって構成され、前記回転ディスクの上面に対し個別に進退可能であり、前記周方向案内体に相対した際、前記各分割押動体は個別に前記回転ディスクの上面に向かって没入し、それ以外は前記上面から弾性的に突出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第一番目の発明によれば、保留容器内にバラ積み状態に保留された硬貨は、回転ディスクの上面の下端部に対し相対する。そして、回転ディスクの上面から突出する押動体が当該バラ積みされた硬貨中を進行するため、当該バラ積みされた硬貨は当該押動体によって攪拌され、様々に姿勢が変化される。そして、それら硬貨のうちの一枚の硬貨の表裏面の一方が回転ディスクの押動体の間の保持面に面接触した場合、当該面接触した硬貨は前記押動体によって押動されて回転ディスクの回転と共に移動する。詳細には、上面に面接触した硬貨は、おおよそ前記回転ディスクの下側部分域においては硬貨の周面が保留容器の内周面によって案内されつつ押動される。
押動体と押動体との周方向の間隔は、保持面に硬貨が面接触した状態において、最小径の硬貨が二枚接触することが出来ない間隔に設定されている。換言すれば、回転ディスクの押動体間の保持面には、最小径硬貨であっても一枚のみが面接触可能である。
保持面に面接触しつつ押動体によって押動される一枚の硬貨は、少なくとも回転ディスクの回転軸心を通る水平線よりも上方においては、バラ積み状態の硬貨中を通り抜けない。
押動体の高さは最薄の硬貨厚み以下であるので、もし、最薄硬貨が二枚重なっている場合、上に載っている硬貨は押動体によって支えられず、重力によって下方の保留容器内に落下する。
即ち、回転ディスクの回転軸線を通る水平線よりも上方において、押動体の間の保持面には最小径硬貨一枚のみが面接触しつつ保持され、回転ディスクの回転と共に移動されることができる。
回転ディスクの保持面に面接触した硬貨は、時計の文字盤に例えると、大凡二時の位置において、自重により保持面を滑り落ち、周方向案内部の硬貨支持棚によって下側周面が支えられる。この周方向案内部の回転ディスクの保持面からの突出量も、少なくとも硬貨が支えられる硬貨支持棚は最薄硬貨の厚みよりも低いため、硬貨が二枚重なって支持されることはない。
硬貨支持棚によって支えられた硬貨は、押動体によって継続して押され、周方向案内部に沿って回転ディスクの周方向へ移動される。
押動体によって押動されつつ周方向案内部に沿って移動された硬貨は、押動体に対して横方向、換言すれば回転ディスクの周縁側へずれ、保持縁と接触する。
保持縁は、回転ディスクの軸心から大凡一定の半径に形成されているので、回転ディスクが回転しても、当該周方向案内部及び保持縁に接触したほぼ一定位置において、硬貨は静止状態になる。この静止位置が受渡位置である。
この受渡位置において、回転搬送体が回転してくるので、当該硬貨は回転搬送体によって周方向案内部に沿って押動され、センサ部へ移動される。
よって、硬貨は静止した状態において回転搬送体によって押動されるので、引き継ぎがスムーズに行われ、バウンド等は生じない。
第二番目の本発明において、前記押動体は、前記保持縁に連続する回転後位側が前記回転ディスクの外周面側から前記回転軸線側に向かって順次前記上面から離れる斜面に形成されている。
この構成により、当該斜面部分が回転ディスクの回転軸よりも上側に位置した場合、下向きの斜面になるため、当該下向き斜面に下端部が載った硬貨は当該斜面から滑り落ちる。換言すれば、保持縁よりも回転後位側の押動体に硬貨が載ることができないので、一枚の硬貨のみを回転搬送体に受け渡すことができる利点を有する。
第三番目の本発明において、前記押動体は、前記回転ディスクの回転中心から所定の第1距離離れた第1押動体と、前記第1距離よりも大きな第2距離離れた第2押動体とを含み、前記第1押動体は、最小径硬貨が前記硬貨支持棚に支えられた場合、前記最小径の中心よりも回転中心に近い周面を押動する。
この構成により、第1押動体は最小径硬貨における支持棚に面する周面、換言すれば下向き周面を押すことになる。これにより、下向き周面は第1押動体から押し上げる力、換言すれば支持棚から離される方向に力を受ける。その後、硬貨が周方向案内部によって案内されて回転ディスクの周方向へ移動する過程において、第2押動体が硬貨を押すようになり、最終的に保持縁によって所定の位置に保持される。
大径硬貨が支持棚に支えられた場合、第2押動体によって側方周面、換言すれば回転ディスクの回転軸心から硬貨の中心までの距離を半径とした円弧線の近傍にて硬貨を押動し、最終的に第2押動体に形成された支持棚によって支えられる。
これにより、最小径硬貨と最大径硬貨の直径差が大きい場合であっても、硬貨を周方向案内部に沿わせて円滑かつ確実に移動させることができる利点がある。
第四番目の本発明において、第2押動体は、前記第1押動体によって前記周方向案内部に沿って前記回転ディスクの周方向に移動された前記硬貨を押動するように配置されている。
この構成により、第1押動体によって下側周面を押されて周方向案内部に沿って移動された硬貨は、回転ディスクの周方向へ移動されることから、第2押動体によって下側周面を押されて周方向案内部に案内されつつ移動し、最終的に保持縁によって所定の位置に保持される。
したがって、硬貨は下側周面を第1押動体又は第2押動体によって押されて移動することから、硬貨は下から上方へ向かう力、換言すれば周方向案内部から浮かされる方向の力を受けつつ移動するので、円滑かつ確実に移動されることができる利点がある。
第五番目の本発明において、前記第2押動体は、前記保持縁に連続する回転後位側が前記回転ディスクの外周面側から前記回転軸線側に向かって順次前記上面から離れる斜面に形成されている。
この構成において、当該第2押動体の斜面部分が回転ディスクの回転軸よりも上側に位置した場合、下向きの斜面になるため、当該下向き斜面に下端部が載った硬貨は斜面から滑り落ちる。換言すれば、保持縁よりも回転後位側の押動体に硬貨が載ることができないので、二枚の硬貨が同時に回転搬送体によって受け取られることがない。これにより、硬貨が二枚重なって回転搬送体に受け取られない利点を有する。
第六番目の本発明において、前記押動体は、金属である。
殆どの硬貨は金属製であるため、当該押動体を樹脂にて成型した場合、硬度差が大きく、硬貨との接触によって早期に摩耗し、耐久性が問題となる。しかし、押動体を金属製にすることにより、硬度差を小さく、又は、硬貨の硬度よりも大きくできるので、摩耗を抑制し、耐久性が向上する利点がある。
第七番目の本発明において、前記押動体は、周方向に複数に分割された分割押動体によって構成され、前記回転ディスクの上面に対し個別に進退可能であり、前記周方向案内部に相対した際、各分割押動体は個別に前記回転ディスクの上面に向かって没入し、それ以外は前記上面から突出する。
この構成において、押動体は周方向案内部に相対する位置において、回転ディスク内に待避動することができる。換言すれば周方向案内体に押動体が通過するための溝を形成しなくとも良いので、周方向案内体の製造が容易になり、安価に製造することができる利点がある。
【0009】
第一番目の本発明に係る硬貨分離搬送装置は、硬貨を1つずつ分離して回転する搬送体に確実に受け渡すことができる利点を有する。
第二番目の本発明に係る硬貨分離搬送装置は、さらに、最小径硬貨と最大径硬貨の直径差が大きい場合であっても、硬貨を周方向案内部に沿わせて円滑かつ確実に移動させることができる利点がある。
第三番目の本発明に係る硬貨分離搬送装置は、さらに、小型かつ安価に製造することができる利点がある。
第四番目に係る硬貨分離搬送装置は、さらに、硬貨を円滑かつ確実に移動させることができる利点がある。
第五番目に係る硬貨分離搬送装置は、さらに、二枚の硬貨が同時に回転搬送体によって受け取られることがない利点を有する。
第六番目に係る硬貨分離搬送装置は、さらに、耐久性が向上する利点がある。
第七番目に係る硬貨分離搬送装置は、さらに、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置における保留容器及び上側センサ本体を取り外した状態の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置における保留容器及び上側センサ本体を取り外した状態の正面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置における回転ディスクの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置における回転ディスクの平面図(A)及び正面図(B)である。
【図6】図6は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置における回転ディスクの回転軸心を通る平面で切断した断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置における周方向案内体の斜視図である。
【図8】図8は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置における周方向案内体の正面図(A)及び背面斜視図(B)である。
【図9】図9は、図3におけるA−A線断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置の作用説明図である(分離された1円)。
【図11】図11は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置の作用説明図である(支持棚に支持された1円)。
【図12】図12は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置の作用説明図である(押動途中1円)。
【図13】図13は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置の作用説明図である(支持棚に支持された1円)。
【図14】図14は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置の作用説明図である(分離された500円)。
【図15】図15は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置の作用説明図である(支持棚に支持された500円)。
【図16】図16は、本発明の実施例1の硬貨分離搬送装置の作用説明図である(支持棚に支持された500円)。
【図17】図17は、本発明の実施例2の硬貨分離搬送装置に用いられる回転ディスクの斜視図である
【図18】図18は、本発明の実施例2の硬貨分離搬送装置の第1構成体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、硬貨をバラ状態で保留する保留容器の底部に少なくとも下側部分が傾斜配置された回転ディスクを含み、前記回転ディスクにはその上面に突出し、かつ、当該突出量が最薄の硬貨の厚みよりも小さい複数の押動体が形成され、当該押動体によって硬貨を個別に押動し、前記回転ディスクの中心部から周方向に延在して固定状態に設けられた周方向案内部に沿わせた後、軸心を中心に回転する回転搬送体によって前記周方向案内部に案内されている前記硬貨をセンサ部へ移動させるようにした硬貨分離搬送装置において、前記上面の上側において前記回転ディスクの回転軸線に対し同心の所定の半径で形成され、かつ、前記周方向案内部の棚に連続する硬貨支持棚を設け、前記押動体は前記上面に対してリブ状かつ弧状に突出して最大直径硬貨の直径よりも実質的に長く形成され、少なくとも前記押動体は回転方向の後位側に前記回転ディスクの回転中心から所定の半径であって、かつ、所定の長さを有する保持縁が形成され、
前記押動体は、前記回転ディスクの回転中心から所定の第1距離離れた第1押動体と、前記第1距離よりも大きな第2距離離れた第2押動体とを有し、前記第1押動体は、最小径硬貨が前記硬貨支持棚に支えられた場合、前記最小径の中心よりも回転中心に近い周面を押動し、
前記第1押動体と前記第2押動体の硬貨と接する部位は金属により形成され、
前記第1押動体は、さらに、前記保持縁に連続する回転後位側が前記回転ディスクの外周面側から前記回転軸線側に向かって順次前記上面から離れる斜面に形成され、
前記周方向案内体と前記保持縁とにより受渡位置に静止状態に保持された前記硬貨が前記回転搬送体によって押動を開始されることを特徴とする硬貨分離搬送装置である。
【実施例1】
【0012】
本実施例1は、日本国の通貨である、アルミニュウム製であって直径20ミリの1円、黄銅製であって直径22ミリの5円、青銅製であって直径23.5ミリの10円、白銅製であって直径21ミリの50円、白銅製であって直径22.6ミリの100円、及びニッケル黄銅製であって直径26.5ミリの500円硬貨の6金種の硬貨を処理する硬貨分離搬送装置に関する。
本実施例1の硬貨分離搬送装置100は、バラ積み状態に保留された1円〜500円硬貨を一枚ずつ分離し、所定の方向へ一つずつ間隔を空けて搬送する機能を有する。
換言すれば、実施例1の硬貨分離搬送装置100は、バラ状態で保留容器108に保留された直径が異なる複数金種の硬貨を一つずつ区分けして回転ディスクに対する所定の方向に送り出し、当該送り出された硬貨を一つずつ回転する回転搬送体に円滑に受渡できる硬貨分離搬送装置に関する。
【0013】
図1において、硬貨分離搬送装置100は、大まかには硬貨送出装置102、硬貨搬送装置104及び硬貨判別装置106を含んでいる。
すなわち、硬貨送出装置102によって、硬貨Cを一枚ずつ区分けして送り出して硬貨搬送装置104に受け渡し、硬貨搬送装置104によって所定経路を搬送する途上において硬貨判別装置106によって硬貨の物理的性質を取得するようにした硬貨分離搬送装置100である。
【0014】
まず、硬貨送出装置102の構造が図1〜9を参照して説明される。
硬貨送出装置102は、バラ状態に保留された複数金種の硬貨Cを一枚ずつ区分けして一枚ずつ所定の方向へ送り出す機能を有する。
硬貨送出装置102は、保留容器108、回転ディスク112及び周方向案内体114を含んでいる。
【0015】
まず、保留容器108を図1及び図6を参照して説明する。
保留容器108は、回転ディスク112の前方に硬貨Cをバラ状態で保留する機能を有する。
保留容器108は、回転ディスク112側の端部が半円形に形成された樋形をしている。保留容器108は、当該半円形の上端部を、傾斜配置された矩形板状のベース116の上向き面に回転ディスク112を挟むように所定間隔で固定された一対の右支柱118と左支柱122の間に挿入し、右支柱118と左支柱122とから横向きに向かい合うように突出する右支軸124と左支軸126とに回動自在に支持されている。
保留容器108は、右支軸124の側方においてリンク128を介して電磁アクチュエータ132の鉄心に連結されている。電磁アクチュエータ132が消磁されている場合、鉄心に作用するスプリング(図示せず)によって保留容器132の半円形端部130(図6参照)の端面がベース116の上面に圧接される。換言すれば、保留容器132は回転ディスク112の前方に逆三角形状の硬貨Cのための保留室134を形成する。
電磁アクチュエータ132が励磁された場合、保留容器108はリンク128を介して右支軸124及び左支軸126を中心に図1において時計方向へ回動される。これにより、保留容器108の半円形端部130がベース116から離れてベース116との間に隙間が形成される。
この隙間を介して保留室134内に滞留したゴミ等の異物を排除する。
保留室134から異物の排除が終了した場合、電磁アクチュエータ132は消磁され、保留容器108の半円形端部130をベース116へスプリング(図示せず)の弾発力で押し付ける。
保留容器108が硬貨Cから時計方向への回動力を受けた場合、保留容器108はリンク128に組み込まれたセルフロック機構によってセルフロックされているので、半円形端部130が実質的にベース116から離れないように構成されている。
【0016】
次に、回転ディスク112が主に図3〜図6を参照して説明される。
回転ディスク112は、保留室134にバラ積み状態で保留される硬貨Cを攪拌し、後述の保持部148に硬貨Cを一つずつ受け入れて区分けする機能及び当該受け入れた硬貨Cをその回転方向へ搬送する機能を有する。
回転ディスク112は、所定の厚みを有する円板形であって、ほぼ平面の上面136と、周面に被動ギヤ142が形成されている。
回転ディスク112は、ベース116の上向き面側に配置され、その回転軸線144が所定角度傾斜しており、その上面136の下側部分が保留容器108の半円形開口に隣接して配置され、保留室134の底面を構成する。
保留室134は、回転ディスク112の上面136と保留容器108によって囲われた大凡下向き三角形の空間である。したがって、回転ディスク112の上面136はその下側部分が保留室134の底壁(側壁)を構成し、保留室134内の硬貨Cと接触する。
【0017】
回転ディスク112の上面136には、押動体146が突出形成され、当該押動体146と上面136によって保持部148が画定形成されている。
押動体146は、主に保留室134内の硬貨Cを攪拌する機能及び一枚に区分けした硬貨Cを押動する機能を有する。
本実施例1において、押動体146は第1押動体152と第2押動体154とにより構成され、かつ、各第1押動体152と第2押動体154は三組設けられている。しかし、押動体146は、対象硬貨の直径差によって本実施例1に示すところの第2押動体154のみであっても良い。換言すれば、押動体は一つであっても良い。また、第1押動体152と第2押動体154の組は三組でなく、一組又は二組若しくは四組以上にすることもできる。一組又は二組である場合、回転ディスク112を小型化できる利点があるが、単位時間当たりの処理数が少ない。一方、四組以上は単位時間当たりの処理数は増加するが、回転ディスク112の直径が大径化するため装置が大型化する問題がある。よって、単位時間当たりの処理数及び小型化の観点において、第1押動体152と第2押動体154との組は三組にすることが好ましい。
【0018】
まず、第1押動体152が主に図4及び図5を参照して説明される。
第1押動体152は、主に後述の支持棚174に支持された小径硬貨SC(本実施例1では1円硬貨1C)を最初に押動する機能を有する。
第1押動体152は、回転ディスク112の回転軸線144を中心とする所定の第1半径R1(第1距離L1)において所定の第1幅W1で、かつ、所定の第1角度θ1でリブ状に突出した弧状突条である。第1押動体152は、少なくとも1つ配置されればよいが、硬貨Cの処理速度向上のため、複数設けることが好ましい。本実施例1においては、等間隔で三つの第1押動体152A、152B、及び152Cが同一形状に形成されている。以下、特に区別の必要ある場合を除き、第1押動体152と称する。第1押動体152以外の場合も同様とする。
「リブ状」とは、所定の、高さ、かつ、長さで山脈状に連続していることをいう。例えば、高さに高低差がある場合、又は山脈状の突条が複数に分割されていても、一体の場合と同様の作用・効果を生ずる場合は、本発明における「リブ状」に該当する。
第1押動体152A、152B、及び152Cの形状は全て同一であるので、第1押動体152Aを代表して説明する。
第1押動体152Aは、回転ディスク112の上面136に対し所定の第1高さH1(図5(B))で突出している。所定の高さとは、実質的に最薄硬貨、本実施例1では1円硬貨及び5円硬貨の厚み1.5ミリ以下であることをいう。実質的とは、上面136に面接触した最薄硬貨Cの上に他の硬貨Cが重なった状態において、上側の硬貨Cを押動しないことをいう。例えば、本実施例1においては、高さが1.5ミリを超えていても端部が面取りされているため、硬貨Cの周縁の丸みとも相まって上側の硬貨Cは押動されないことをいう。しかし、第1押動体152Aの高さH1は、物理的にも最薄硬貨Cの厚みよりも薄いことが好ましい。硬貨Cに粘着液等が付着している場合であっても、上に重なった硬貨Cが押動されないからである。
第1押動体152の第1幅W1は、可及的に狭いことが好ましい。周方向案内体114の裏面に設ける第1通過溝158の幅を狭くできるので、周方向案内体114の強度低下を抑制できるからである。
第1押動体152の回転方向前位側の前端部152Fと後位側の後端部152Rとは半円形状に形成することが好ましい。硬貨Cの周面と摺動する際、摺動抵抗にならないためである。
第1押動体152が形成される第1角度θ1(便宜的には第1長さL1)は、最大径硬貨LCがその上に載った場合、最大径硬貨LCの相対する部位よりも第1押動体152の第1長さL1の方が長くなるように設定される。硬貨Cを確実に一枚ずつ区分けするためである。
【0019】
次に第2押動体154が説明される。
第2押動体154は、主に最大径硬貨LC及び周方向案内体114に沿って第1押動体152によって押動される小径硬貨SCを継続して押動する機能を有する。
第2押動体154は、回転軸線144を中心とする第1半径R1よりも大きい所定の第2半径R2(第2距離L2)において所定の第2幅W2で、かつ、所定の第2角度θ2でリブ状に突出した弧状突条である。本実施例1において第1角度θ1よりも第2角度θ2の方が小さいが、第2押動体154は、第1押動体152と同数設けられている。これら第1押動体152と第2押動体154及び後述の支持棚174並びに上面136とによって硬貨Cの保持面138を画定するためである。したがって、押動体146が一つである場合、押動体146と支持棚174及び上面136とによって保持面138が画定される。
第2押動体154A、154B、154Cの形状は全て同一である。
第2押動体154Aは、上面136に対し所定の第2高さH2で突出している。所定の第2高さH2とは、前記第1押動体152と同一の考え方で設定される。本実施例1においては、第1押動体152の第1高さH1と、第2押動体154の第2高さH2は同一である。しかし、第2押動体154の第2高さH2を第1高さH1よりも低く、又は、高くすることが出来る。
第2押動体154の第2幅W2は、可及的に狭いことが好ましい。周方向案内体114の裏面に設ける第2通過溝160の幅を狭くできるので、周方向案内体114の強度低下を抑制できるからである。
第1押動体152の回転方向前位側の前端部154Fと後位側の後端部154Rとは半円形状に形成することが好ましい。硬貨Cの周面と摺動する際、摺動抵抗が小さいためである。
第2押動体154が形成される第2角度θ2(便宜的には第2長さ(L2)は、最大径硬貨LCが第2押動体154に載った場合、最大径硬貨LCの相対する部位よりも第2押動体154の第2長さL2の方が長くなるように設定される。
【0020】
次に保持棚166を説明する。
保持棚166は、第2押動体154によって周方向案内体114に沿わせて回転ディスク112の周方向に移動させた硬貨Cを当該保持棚166と周方向案内体114とによって支えて所定の受渡位置DPに静止状態に保持する機能を有する。
保持棚166は、第2押動体154の回転方向前位側の前端部154Fに連なる所定の第3半径R3によって所定の第3角度θ3(第3長さL3で形成された外周縁である。
換言すれば、第2押動体154A、154B及び154C毎に保持棚166A、166B及び166Cが設けられている。
保持棚166A、166B及び166Cは同一構成であるので、保持棚166Aを代表して説明する。 保持棚166Aは回転軸線144を中心とする第3半径R3で、第3角度θ3(第3長さL3)において形成された弧状突起である。
保持棚166Aを形成する第3半径R3及び第3長さL3は、硬貨搬送装置104との関係で硬貨Cを円滑に硬貨搬送装置104による搬送が開始されるよう適宜設定される。したがって、保持棚166は、回転軸線144を中心とする第3半径R3によって全長に亘って形成する必要はない。例えば、前側端154Fから回転後位側に行くにしたがって、回転軸線144から離れるように形成してもよい。
本実施例1において、保持棚166Aの高さは第2高さH2と同一である。
保持棚166Aに対し回転ディスク112の回転方向後位側に連なる第2押動体154の外周縁168は、上面136と同一面内に位置している。
第2押動体154は、外周縁168から回転軸線144に向かって第2幅W2の範囲において上り坂になる第1斜面172(172A)に形成されている。第2押動体154Aの内周縁173Aは、第2高さH2と同一に形成されている。
したがって、第1斜面172Aは回転軸線144よりも上側へ移動した場合、下向き前下がりの斜面になり、その上に載っている硬貨Cは自重によって滑落する。
【0021】
第1押動体152及び第2押動体154とも、回転方向前位側の前端部152F、154Fを金属で構成することが好ましい。硬貨Cと擦れ合うことによる摩耗防止のためである。
例えば、前位側端部152F、154Fに平面視かまぼこ形であって回転ディスク112に下端部を埋め込んだ金属ピンを配置することによって構成することができる。当該金属ピンにすることにより、容易に装着でき、かつ、耐摩耗性を高めることができる。また、保持棚166を含めて金属にすることにより、より一層耐摩耗性を向上させることができる。
【0022】
次に保持部148が主に図4及び図5を参照して説明される。
保持部148は、硬貨Cが一枚のみ面接触可能にして硬貨Cを一枚ずつ区分けする機能を有する。
換言すれば、最小径硬貨SCが二枚並んで面接触できない寸法に押動体146及び先端部162が配置されている。
図3において明らかなように、保持部148は、押動体146(第1押動体152及び第2押動体154)、支持棚174又は保留容器108の半円形端部130及び大凡扇形の回転ディスク112の保持面138とで囲われた領域である。
本実施例1においては、三つの保持部148A、148B、148Cが等間隔(頭角度)で形成されている。
保持部148A、148B、148Cが保留容器108に相対する場合、換言すれば、回転軸線114よりも下方に位置する場合、それら保持部148A、148B、148Cは保留容器108の半円形端部130、第1押動部152、第2押動部154及び周方向案内体114によって囲われた保持部148には最小径硬貨SCであっても、一枚のみが面接触可能である。
保留室134に相対する位置において、保持面138に面接触しなければ硬貨Cは第2押動体154によって押動されず、半円形端部130の内面に沿って移動されない。
【0023】
回転ディスク112は、図示しない電気モータによって、正常時は所定の速度で図3において反時計方向へ回転される。もし必要があれば、例えば、前記電気モータの回転負荷が増加したことを前記電気モータに流れる電流値の増加又は回転速度によって判別し、前記回転負荷が所定値以上になった場合、前記電気モータを逆転(図3において時計方向)させることが出来る。換言すれば、回転ディスク112の回転負荷が増加した場合、硬貨Cが回転ディスク112と他の部材との間に噛み込んで回転ディスク112の回転が停止したものと推定し、回転ディスク112を自動的に逆転させて硬貨Cの噛み込みを自動的に解除することができる。
【0024】
次に周方向案内体114が主に図6〜図9を参照して説明される。
周方向案内体114は、保持部148に保持され、かつ押動体146によって押動される硬貨Cを係止し、当該硬貨Cの回転ディスク112との一体的移動を阻止して回転ディスク112の周方向へ案内する機能を有する。
周方向案内体114は、大凡棒状であって、先端が大凡円形の先端部162、当該先端部162に連なり、図3において左上がりに時計における10時の方向に向かって直状に延在する周方向案内部176、当該周方向案内部176に連なり図3において水平方向に直状に延在する取付部180を含んでいる。
周方向案内部176は、その上端側が薄く、中央から下端側にかけて上端よりも2〜3倍の厚みに形成されている。周方向案内体114の強度を増すためである。
取付部180は、周方向案内部176の下端側の厚みと同一厚みに形成されている。
周方向案内体114の先端部162は、外形が栽頭円錐形であって、中心部178が高く(厚く)形成され、当該中心部178に形成された第1貫通孔182に皿ビス184を貫通させ、ベース116に固定された固定軸186にねじ込むことによりベース116に固定されている。
ベース116に固定された状態において、先端部162の裏面側端部は、回転ディスク112の回転軸線144回りに形成された円形の穴187に配置されている。
周方向案内体114の取付部180は、回転ディスク112の側方において、第2貫通孔188を貫通するスクリュウ190によってベース116に固定されている。
周方向案内体114は、先端部162と基端部である取付部180とが皿ビス184とスクリュウ190でそれぞれベース116に固定されることにより、強度を上げることができ、金属の他、金属よりも強度が低い樹脂によっても製造することができ、結果として安価に製造できる利点がある。
【0025】
次に支持棚174を説明する。
支持棚174は、押動体146によって押動される硬貨Cを一枚ずつ周方向案内部176へ案内する機能を有する。
支持棚174は、先端部162の上側に形成されている。
先端部162は、時計における2時〜10時にわたる下側が、第4半径R4によって半円形の下縁194に形成されている。上側は、時計における2時〜12時(図3)の約60度の角度において、第4半径R4よりも大きい第5半径R5によって、扇形に形成されている。
この第5半径R5の外周縁が支持棚174である。支持棚174は、図9において明らかなように、上面136(保持面138)に対して直角をなし、幅は最薄の硬貨Cの厚みと同一の第3幅W3に形成されている。詳細には、上面136と当該上面136に面接触した最薄の硬貨Cの上面との第1距離D1(図9参照)と、支持棚174の第3幅W3とが一致又は、第3幅W3の方が僅かに小さく設定される。最薄の硬貨Cが二枚重なった状態で支持棚174に支持されないようにするためである。
支持棚174と中心部178とは第2斜面196に形成されている。換言すれば、第2斜面196は、支持棚174の下方に中心部178が位置するので、支持棚174から中心部178へ下向きに傾斜する斜面である。
この構成によって、保持面138に面接触している硬貨Cの上に重なっている硬貨Cは、支持棚174に支持されずに自重により、第2斜面196上に落下して案内された後、保留室134内に落下する。
中心部178と下縁194との間も第3斜面198によって接続されている。
これにより、回転軸線144の下方において第3斜面198は、上面136が存する傾斜平面を横切ることになり、硬貨Cが上面136と先端部162との間に挟み込まれることは無い。。
【0026】
次に周方向案内棚202を説明する。
周方向案内棚202は、支持棚174によって支持及び案内された硬貨Cを、回転ディスク112の周方向に案内する機能を有する。
周方向案内棚202は、周方向案内体114の周方向案内部176の上側端面に形成される。
したがって、周方向案内棚202は支持棚174に連続し、図3に示すように水平線HLに対し20〜30度の角度で上向きに傾斜する直状を呈し、支持棚174とは弧状の滑らかな曲線で接続されている。
周方向案内棚202の第4幅W4は、支持棚174の第3幅W3と同一に設定されている。
周方向案内部176の長手方向に延在する直状中央部204は、周方向案内棚202よりも厚く形成されているので、周方向案内棚202から直状中央部204まで第4斜面206に形成されている。
したがって、第4斜面206は、周方向案内棚202から下向きに傾斜する斜面であり、先端部162の第2斜面196に連続する斜面に形成されている。
周方向案内棚202から落下した硬貨Cは、第4斜面206上を滑落し、保留室134内に落下する。
【0027】
次に周方向案内体114の周方向案内部176の裏面208の形状を説明する。
裏面208には、第1通過溝158及び第2通過溝160が弧状に形成されている。
第1通過溝158及び第2通過溝160は、それぞれ対応する第1押動体152又は第2押動体154が通過できる深さと幅を有する。
周方向案内体114の裏面208は、回転ディスク112の上面136に密接する程度に近接配置することが好ましい。硬貨Cが回転ディスク112と周方向案内体114との間に噛み込まれること及び支持棚174及び周方向案内棚202から硬貨Cが落下し難くするためである。
図6に示すように、周方向案内棚202における第1通過溝158及び第2通過溝160の端面に相対する部位は第1開口212、及び第2開口214になっている。
したがって、第1開口212、及び第2開口214が位置する周方向案内棚202は線状であり、実質的に硬貨Cを案内出来ないので、その幅(回転ディスク112の直径方向の長さ)は可及的に小さいことが好ましい。換言すれば、硬貨Cはその周面の一部が第1開口212及び第2開口214に落ち込みつつ移動されるので、落ち込んだ際の振動によって硬貨Cが周方向案内棚202から落下しないようにするためである。
【0028】
次に受渡支持棚216が説明される。
受渡支持棚216は、回転ディスク112の押出体146に連なる保持棚166に支えられ、かつ、周方向案内棚202に案内された後の硬貨Cが、受渡位置DPにおいて静止した状態に保持される機能を有する。
受渡支持棚216は、周方向案内体114の上端縁面であり、回転ディスク112の上面136に相対する位置において、周方向案内棚202に対する直線的延長上に形成されている。受渡支持棚216の第5幅W5は直状中央部188の幅と同じ幅(厚み)に形成されている。本実施例1のように受渡支持棚216を第4幅W4よりも幅広に構成することにより後述の回転搬送体218が硬貨Cに対し衝撃的に衝突した場合であっても、硬貨Cが受渡支持棚216から落下せずに回転搬送体218によって次工程へ搬送できる利点がる。
本実施例1において次工程とは、硬貨搬送装置104である。
【0029】
次にセンサ部ガイド218が図3を参照して説明される。
センサ部ガイド218は、硬貨搬送装置104によって搬送される硬貨Cをセンサ部22に案内する機能を有する。
センサ部ガイド218は、本実施例1においては、受渡支持棚216(周方向案内棚202)に対し約160度の鈍角をなして直線状に延在している細幅のガイドレールである。本実施例1において、センサ部ガイド218は大凡直角三角形に形成され、取付部180に宛われた状態でベース116にスクリュウ220によって固定されているガイド体219の斜面である。センサ部ガイド218の幅は、受渡支持棚216の第5幅W5と同一に形成されている。
したがって、硬貨Cは硬貨搬送装置104によって押動される過程において、受渡支持棚216からセンサ部ガイド218に沿って直線的に案内されつつセンサ部222を通過し、次工程へ送られる。次工程は、例えば、硬貨Cを金種別に整列する整列部である。
【0030】
次ぎに硬貨搬送装置104が図3を参照して説明される。
硬貨搬送装置104は、保持棚166と受渡支持棚216とにより受渡位置DPにおいて静止状態に保持された硬貨Cを受取り、そして、センサ部ガイド218に沿わせて所定の速度で移動させる機能を有する。
本実施例1において、硬貨搬送装置104は回転搬送体224である。回転搬送体224は、回転ディスク112に形成された保持部148と同数の押動レバ226を有する。本実施例1の押動レバ226は、等角度で形成された大凡扇形の三本の押動レバ226A、226B、226Cを含み、それら押動レバ226A、226B、226Cの間に扇形の保持凹部228、本実施例1では三つの保持凹部228A、228B、228Cが形成されている。
回転搬送体224はその中心が回転軸232に固定され、有底円形の搬送穴234内において回転ディスク112と連動して回転する。換言すれば被動ギヤ142に噛み合うギヤ(図示せず)を介して回転軸232が回転ディスク112と連動して回転比一対一の関係で回転される。さらに換言すれば、硬貨Cが押動体146の保持棚166と受渡支持棚216とによって保持されて受渡位置DPに静止しているところへ押動レバ226A、226B、226Cの何れか一つが回動してきて図3において時計方向へ押動する。
搬送穴234の底部236は、回転ディスク112の上面136が位置する平面と同一平面内に形成されている。
したがって、回転搬送体224は、押動レバ226が、受渡位置DPに静止している硬貨Cを受け取った後、センサ部222へ移送する機能を有する。
【0031】
次にセンサ部222が図3を参照して説明される。
センサ部222は、硬貨Cの直径、厚み、材質及び模様等の物理的性質を検知する機能を有する。
本実施例1において、センサ部222は、搬送穴234の底部236の裏面に配置したコイル238と、搬送穴234を覆うように配置したカバ242(図1参照)とに相対配置したコイル(図示せず)とによって構成され、取得した硬貨Cの直径、厚み及び材質に関する情報に基づいて正貨と偽貨とに判別し、さらに、正貨の場合金種判別をする。しかし、センサ部222は、硬貨Cの物理的性質を検知できれば、コイルに限定されず、例えば、表面の模様を画像センサによって検知することにより正貨と偽貨とに識別することもできる。
【0032】
次に図10〜16も参照して本実施例1の作用を説明する。
まず、図10〜図13を参照して1円硬貨1Cが保持部148に保持されたケースを説明する。
保留室134にバラ状態で硬貨Cが投入された場合、保留容器108の壁面の傾斜によって回転ディスク112側へ案内され、回転ディスク112と接触する。
回転ディスク112は、硬貨投入を検知して自動的に、または、常時回転されている。
【0033】
回転ディスク112の回転により、硬貨Cは第1押出体152及び第2押出体154によって攪拌され、保持部148に進入する。
硬貨Cは、保持部148の上面136(保持面138)に面接触した場合、最小径硬貨Cであっても、一枚の硬貨Cのみが保持面138に面接触することができる。この状態で回転ディスク112がさらに反時計方向に回転された場合、水平線HLよりも下方においては、殆どのケースでは硬貨Cが保留容器108の内面に下端周面が支持され、かつ、第2押動体154によって押されて同方向へ移動される(図3鎖線示)。この場合、第2押動体154の第2高さH2は最薄硬貨Cの厚みよりも低いので、硬貨Cが二枚重なっていても、保持面138(上面136)に面接触している硬貨Cのみが押される(図10の状態)。
【0034】
そして、水平線HLよりも上方に回動した場合においては、保持部148の保持面138(上面136)に面接触している硬貨Cのみが、回転ディスク112の回転と共に移動される。
【0035】
さらに、回転ディスク112が反時計方向へ回動し、硬貨Cが時計における大凡2時の位置に達した場合、硬貨Cは下端周面が支持されていないことから、重力による移動力が保持面138(上面136)との摩擦力よりも増加し、結果として回転ディスク112の回転軸線144側へ滑り落ちる。
滑り落ちた硬貨Cは、支持棚174にその下端周面が支持される(図11の状態)。もし、硬貨Cが二枚重なっている場合、支持棚174は、最薄硬貨Cの厚みよりも小さい第3幅W3に形成されているので、上側に載っている硬貨Cは、当該支持棚174に支えられずに第2斜面196へ落下し、一枚の硬貨Cのみが保持部148に位置する。
【0036】
さらに回転ディスク112が回動すると、硬貨Cの下周面が弧状の支持棚174に案内されつつ第1押動体152又は第2押動体154に押されて移動される(図11参照)。この際、硬貨Cはその下側周面を第1押動体152によって押動される。下側周面とは、支持棚174に相対している硬貨Cの硬貨中心よりも下側の円弧周面をいう。これにより、第1押動体152によって1円硬貨1Cが押された場合、硬貨支持棚174から離れる方向の力が1円硬貨1Cに作用する(図11参照)。換言すれば、1円硬貨1Cと支持棚174との接触圧力を減少するように第1押動体152から力を受けるので、硬貨Cが支持棚174との間に噛み込まれる問題がない。
さらに回転ディスク112が回動した場合、硬貨Cの下周面は周方向案内棚202によって案内されるようになり、回転ディスク112の周方向へ移動される(図12参照)。
これにより、回転ディスク112の中心部から周方向へ移動される過程において、当初第1押動体152によって押されていた1円硬貨1Cは、第2押動体154によって押されるようになる(図12参照)。
第2押動体154によって1円硬貨1Cが押動される場合、第2押動体154は1円硬貨1Cの中心よりも回転軸線144から遠くずれた周面を押されるが、そのずれ量は小さいので、周方向案内棚202に対し押し付ける力は殆ど増加しない。よって、1円硬貨1Cが周方向案内体114と上面136との間に噛み込まれることがない。
【0037】
さらに回転ディスク112が回動した場合、硬貨Cは回転ディスク112の、さらに周方向へ移動され、受取支持棚216に案内されるようになる。そして、第2押動体154との接触から保持棚166に移り、当該保持棚166によって支持されると共に受取支持棚216によって移動を阻止されて受渡位置DPにおいて静止状態になる(図13参照)。換言すれば、回転ディスク112が回転しても、硬貨Cは受渡位置DPにおいて静止状態を継続する。
【0038】
硬貨Cが受渡位置DPに位置した直後に、押動レバ226が1円硬貨1Cを押動するようになる。
1円硬貨1Cは押動レバ226の回転によってセンサガイド218に沿って直線的に案内される。1円硬貨1Cは、この移動過程において、センサ部222を通過し、物理的特性を検知される。そしてセンサ部222により検知された物理的特性情報に基づいて硬貨Cの真偽及び金種が判別される。
【0039】
次に500円硬貨500Cの例を図14〜図16を参照して説明する。
500円硬貨500Cも第1押動体152及び第2移動体154の移動によって攪拌され、一枚の500円硬貨500Cが保持部148A、148B、又は148Cにおける保持面138A、138B又は138Cの何れかに面接触する(図14参照)。
【0040】
この状態から反時計方向へ回転ディスク112が回転すると、500円硬貨500Cは第2押動体154によって押されて反時計方向へ移動される。そして、500円硬貨500Cは時計における大凡2時の位置において自重によって支持棚174側へ滑り支持棚174によって支持される(図15参照)。この時点で500円硬貨500Cは第2押動体154によっても押動される位置関係になる。
【0041】
次いで更なる回転ディスク112の回転によって、500円硬貨500Cは支持棚174によって案内された後、周方向案内棚202、引き続いて受渡支持棚216によって案内される。そして、500円硬貨500Cは保持棚166に支持されるようになり、受渡位置DPにおいて静止状態にされる。
そして、押動レバ226によって押動され、1円硬貨1Cと同様に受け取られる。
【実施例2】
【0042】
次に実施例2を図17及び図18を参照して説明する。
実施例2は、実施例1における押動体146がその長手方向に複数に分割され、回転ディスク112内に弾性的に進退可能に構成した例である。換言すれば、押動体146が回転ディスク112の上面136と実質的に面一になるまで引っ込むことができる。これにより、周方向案内体114の裏面208に押動体146が通過するための第1通過溝158及び第2通過溝160を形成しなくとも良いので、周方向案内体114の形状を更に単純化でき、結果として安価に製造できる利点がある。
【0043】
実施例2においても、第1押動体252及び第2押動体254を有し、かつ、全体的形状においては実施例1と同一である。すなわち、実施例2においても第1押動体252は、等間隔に形成された三つの第1押動体252A、252B、252Cを含み、第2押動体254は、等間隔に形成された三つの第2押動体254A、254B254Cを含んでいる。しかし、実施例2においては、第1押動体252は、それぞれその長手方向において、第1構成体2521、第2構成体2522及び第3構成体2523によって構成されている。
また、第2押動体254はそれぞれ、第1構成体2541、第2構成体2542及び第3構成体2543、第4構成体2544及び第5構成体2545によって構成されている。
これら構成体2521〜2523、2541〜2545を上面136から弾性的に突出させる構成は同一であるので、第1構成体2521を代表して図18を参照して説明する。
【0044】
回転ディスク112に形成した凹部256に下端のストッパ部258を挿入し、蓋体262の通孔264を介して第1構成体2521の頭部266を上面136から突出させている。蓋体262の上面が回転ディスク112の上面136である。
凹部256の底部と第1構成体2521の下端面との間にスプリング268を配置し、第1構成体2521が凹部256から突出するよう付勢し、下端部のストッパ272が蓋体162の裏面に係止されて突出位置PPに静止される。
第1構成体2521が押し下げられた場合、頭部266が蓋体262の上面136と面一になるまで没入されることができる。
したがって、周方向案内体114における第1開口194及び第2開口196に相対する部位を回転ディスク112の上面136に近づく斜面に形成することにより、当該斜面によって第1構成体2521を回転ディスク112の上面136に没入させ、周方向案内体114の下方を通過できる。
また、第1構成体2521が周方向案内体114の下方を通過した場合、押し下げ力を受けないので、スプリング268の弾発力によって、ストッパ292が蓋体262の下面に係止されるまで突出し、元の位置に戻る。
第2構成体2522、第3構成体2523も周方向案内体114によって同様に没入させられ、また、通過した場合、スプリング268によって元の位置に突出される。
第2押動体254を構成する第1構成体2541〜第5構成体2545も同様である。
【0045】
本発明は日本円に限定されることなく、米国硬貨、ユーロ硬貨、イギリス硬貨、中国硬貨及びその他の国の硬貨について使用することができる。
押動体146は、最小径硬貨と最大径硬貨の直径差が大きくない場合、第1押動体152又は第2押動体154の何れか一つにより構成することができる。
回転ディスク112は、保持部148を少なくとも一つ有していればよい。例えば、実施例1において、第1押動体152A、152B及び152Cを連続してC形にし、保持部148Aのみ形成することができる。しかし、回転ディスク112の一回転で一つの硬貨Cのみしか区分けして送り出すことができないので、単位時間当たりの処理能力が低いため、実施例1及び2のように一つの回転ディスク112に複数の保持部148を設けることが好ましい。
支持棚174は、実施例1においては弧状に形成されているが、必ずしも弧状の必要はない。したがって、支持棚174は直線状にすることができる。しかし、押動体146によって硬貨Cを押動する際、硬貨Cを支持棚174に大きな角度で押すことによる硬貨Cの噛み込みを防止するため、弧状にすることが好ましい。
本発明において、押動体146は1以上であれば良いが、実施例に示す2の他、3以上にすることが出来る。押動体を2以上にすることにより、周方向案内棚202に対する各押動体の押し付け方向を浅い角度、換言すれば周方向案内棚202に対し可及的に平行な方向に設定できる。よって、一層小さい直径の硬貨Cから大径の硬貨Cまで一つずつ分離して送り出すことができる利点がある。
【符号の説明】
【0046】
C 硬貨
DP 受渡位置
LC 最大径硬貨
L1 第1距離
L2 第2距離
R3 第3半径
SC 最小径硬貨
108 保留容器
112 回転ディスク
136 上面
138 保持面
144 回転軸線
146 押動体
166 保持縁
168 外周縁
172 斜面
174 硬貨支持棚
176 周方向案内部
224 回転搬送体
222 センサ部
2521〜2523、2541〜2545 分割押動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨(C)をバラ状態で保留する保留容器(108)の底部に少なくとも下側部分が傾斜配置された回転ディスク(112)を含み、前記回転ディスク(112)の上面(136)に突出し、かつ、当該突出した量が最薄の硬貨(C)の厚み以下の押動体(146)が形成され、当該押動体(146)の間に形成された保持面(138)に面接触する硬貨(C)を当該押動体(146)によって個別に押動し、前記回転ディスク(112)の中心部から周方向に延在して固定状態に設けられた周方向案内部(176)に沿わせた後、軸心を中心に回転する回転搬送体(224)によって前記周方向案内部(176)に案内されている前記硬貨(C)をセンサ部(222)へ移動させるようにした硬貨分離搬送装置において、
前記保持面(138)の上側において前記回転ディスク(112)の回転軸線(144)に対し上側に形成され、かつ、前記周方向案内部(176)に連続する硬貨支持棚(174)を設け、
前記押動体(146)は前記保持面(138)に対してリブ状に突出配置され、かつ、周方向の長さが最大径硬貨(LC)の直径よりも実質的に長く形成され、さらに、前記回転ディスク(112)の回転方向の後位側に前記回転ディスク(112)の回転軸線(144)から所定の半径(R3)であって、かつ、所定の長さを有する保持縁(166)が形成され、
前記周方向案内部(176)と前記保持縁(166)とにより受渡位置(DP)において静止状態に支持された前記硬貨(C)が前記回転搬送体(224)によって押動を開始されること
を特徴とする硬貨分離搬送装置。
【請求項2】
前記押動体(146)は、前記保持縁(166)に連続する回転後位側が前記回転ディスク(112)の外周縁(168)側から前記回転軸線(144)側に向かって順次前記上面(136)から離れる斜面(172)に形成されていることを特徴とする請求項1の硬貨分離搬送装置。
【請求項3】
前記押動体(146)は、前記回転ディスク(112)の回転軸線(144)から所定の第1距離(L1)離れた第1押動体(152)と、前記第1距離(L1)よりも大きな第2距離離れた第2押動体(154)とを含み、前記第1押動体(152)は、最小径硬貨(SC)が前記硬貨支持棚(174)に支えられた場合、前記最小径(SC)の中心よりも前記回転軸線(144)に近い周面を押動することを特徴とする請求項1の硬貨分離搬送装置。
【請求項4】
前記第2押動体(154)は、前記第1押動体(152)によって前記周方向案内部(176)に沿って前記回転ディスク(112)の周方向に移動された少なくとも前記最小径硬貨(SC)を押動するように配置されていることを特徴とする請求項3の硬貨分離搬送装置。
【請求項5】
前記第2押動体(154)は、前記保持縁(166)に連続する回転後位側が前記回転ディスク(112)の外周縁(168)側から前記回転軸線(144)側に向かって順次前記上面(136)から離れる斜面(172)に形成されていることを特徴とする請求項4の硬貨分離搬送装置。
【請求項6】
前記押動体(146)の硬貨(C)と接する部位は金属であることを特徴とする請求項1又は2の硬貨分離搬送装置。
【請求項7】
前記押動体(146)は、周方向に複数に分割された分割押動体(2521〜2523、2541〜2545)によって構成され、前記回転ディスク(112)の保持面(138)に対し個別に進退可能であり、前記周方向案内部(114)に相対した際、前記各分割押動体(2521〜2523、2541〜2545)は個別に前記回転ディスク(112)の上面(136)に向かって没入し、それ以外は前記保持面(138)から弾性的に突出することを特徴とする請求項1又は2の硬貨分離搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−194830(P2012−194830A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58901(P2011−58901)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】