説明

硬貨収容容器

【課題】収容金額の把握や計数が容易で、運搬中に硬貨が壁面に当たる音を低減することができる硬貨収容容器を提供する。
【解決手段】区画された収容部において硬貨を種類別に収容する容器部2と、該容器部を覆う蓋部5と、を備えた硬貨収容容器1であって、収容される硬貨の直径に応じた幅を有する硬貨収容部4を、幅方向に延びる仕切板10によって、単位枚数ごとに積み重ねた際の硬貨の厚みに相当する長さに区分した。硬貨が単位枚数ごとに区画されるので、収容金額の把握が容易であり、硬貨の移動範囲が規制されるので、持ち運びの際に硬貨が壁に当たる音を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を種類別に収容した状態で持ち運びできる硬貨収納容器に関し、特に、持ち運んだ際に硬貨が散乱するのを防止できる硬貨収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
小売業などにおける日常の会計業務に使用される硬貨収容容器には、図12に示す硬貨収容容器1のように、硬貨を種類別に区分けした状態で容器部2に収容することができるように、区画壁3によって硬貨のサイズに応じた大きさに区画されたものが多い(特許文献1の図10を参照)。
そして、このような硬貨収容容器1の多くは、収容される硬貨の直径に応じた幅を有する硬貨収容部4を備えたもので、その硬貨収容部4に硬貨を積み重ねて収容することで、容易に計数することができるようにしている。
【0003】
このような硬貨収容容器において、容器部2の一側部2aに蓋5を回動可能に設け、容器部2の他端部に設けられた操作部6を操作することによって、容器部2に設けられた係止部7と、蓋部5に設けられた被係止部8とが係脱し、蓋部5が開閉される構造を採用したものが多く、分別収納された硬貨が運搬中に位置ずれするのを防止するために、蓋部5の内側に突条を設ける技術が提案されている(特許文献1の図4を参照)。
【特許文献1】特開2004−225440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の硬貨収容容器1において、容器部2を平面上に置いて計数作業を行なう際に、硬貨収容部4に硬貨が略満杯に収容されていない時には、硬貨収容部4内で硬貨が倒れたり斜めになったりしてしまい、収容金額を瞬時に把握することができない。
この状態において、硬貨を計数する必要がある場合は、硬貨を再度整列させ、最下位から順に数えていかなければならないので、計数作業が煩雑であった。
【0005】
また、硬貨収容部4に適度な空間がある場合は、持ち運びの際に、硬貨が硬貨収容部4の壁に当たるので、騒音が激しかった。
そこで、本発明は、収容金額の把握や計数が容易で、運搬中に硬貨が壁面に当たる音を低減することができる硬貨収容容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、区画された収容部において硬貨を種類別に収容する容器部と、該容器部を覆う蓋部と、を備えた硬貨収容容器であって、収容される硬貨の直径に応じた幅を有する硬貨収容部を、幅方向に延びる仕切板によって、単位枚数ごとに積み重ねた際の硬貨の厚みに相当する長さに区分したことを特徴とするものである。
この場合、前記蓋部を閉じた際に前記硬貨収容部の側壁の上端部に近接又は略接触する高さの突条を、該蓋部の内側に設け、該突条に、前記仕切板に近接又は略接触する高さのリブを設けてもよい。
また、前記仕切板の上縁部に凹状の窪み部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る硬貨収容容器は、硬貨の直径に応じた幅に形成された硬貨収容部を、仕切板によって、5枚、10枚等の単位枚数ごとに積み重ねた際の硬貨の厚みに相当する長さに区分したので、当該硬貨収容部において、硬貨の詰まった区分の数を数えることで、収容されている硬貨の金額を瞬時に概算することができるようになる。
また、区画された硬貨収用部を更に仕切板で区分したので、硬貨収容部において収容されている硬貨の枚数が少ない場合であっても、硬貨収容部内で硬貨が倒れるのを防止できる。
また、仕切板によって硬貨の移動範囲を規制することができるので、持ち運びの際に硬貨が大きく移動するのを防止することができ、硬貨が壁に当たる音を小さくすることができる。
【0008】
請求項2に係る硬貨収容容器は、蓋を閉じた際には、蓋部の内側に設けられた突条と、硬貨収容部の側壁によって、硬貨の収納領域が規制されるので、硬貨が他の硬貨収納部へと移動するのを防止できる。
また、硬貨収容部が、蓋部の突条に設けられたリブと硬貨収容部の仕切板によって、単位枚数に相当する長さに区画されるので、1つの区画に収容された硬貨の枚数が、その区画に収容されるべき単位枚数に満たない場合であっても、他の区画へと移動するのを防止できる。
これによって、持ち運び後においても、硬貨が種類毎に整列され、尚且つ単位枚数毎に仕切られた状態を維持させることができる。
【0009】
請求項3に係る硬貨収容容器は、仕切板の上縁部に凹状の窪み部を設けたので、窪み部に指を差し入れて硬貨を摘み出すことで、硬貨を容易に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得るものであれば、他の態様も可能である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る硬貨収容容器1を示す斜視図である。
この硬貨収容容器1は、小売業などにおける日常の会計業務に使用されるもので、硬貨を種類別に区分した状態で収容する容器部2と、その容器部2の一側部2aに回動可能に設けられた蓋部5と、によって構成されたものである。
【0012】
この容器部2は、合成樹脂製の材料によって、蓋部5と共に一体成形されたものであり、その内部は、縦方向に延びる区画壁3によって、複数の硬貨収容部4に区画されている。
即ち、容器部2の背面側に位置する後端部2aにおいて、商標や本製品の使用方法等を表示するための表示部9を設け、その表示部9より手前側に、1円、5円、10円等の直径の小さい硬貨を収容するための硬貨収容部4a、4b,4cが設けられ、残りの領域に、50円、100円、500円等の直径の大きい硬貨を収容するための硬貨収容部4d,4f、4eが形成されている。
【0013】
これらの硬貨収容部4を形成するための区画壁3は、容器2の正面側前端部から後端部に達しており、その上端部は、容器2の開口縁部と同一の高さにまで達している。
このような区画壁3によって形成された硬貨収容部4は、図2に示すように、各硬貨収容部4a,4b,4c,4d,4eに収容される硬貨の直径に応じた幅Wを有する空間部であって、夫々の硬貨収容部4は、幅方向に延びる仕切板10によって、複数の区画に区分されている。
【0014】
この仕切板10は等間隔に複数配設されており、これらの仕切板10によって区切られている各区画は、硬貨を単位枚数(例えば10枚)ごとに積み重ねた際の厚みに相当する長さMを有している。
この仕切板10の上縁部は、図3に示すように、容器部2の開口縁部よりも上方に突出しており、その上縁の中間部には、凹状の窪み部12が設けられている。この窪み部12に指を差し入れることで、その区画に収容されている硬貨を容易に取り出すことができる。
【0015】
仕切板10の板面には、2本のリブ13が設けられている。このリブ13によって、当該区画に収容されている硬貨と仕切板10との間に隙間を生じさせることができるので、区画内に硬貨が詰まっている場合であっても、容易に摘み出すことが出来る。
夫々の硬貨収容部4の底部には、そこに収容される硬貨の直径に応じた高さの凸部14が延設されており(図4参照)、蓋を閉じた際に、蓋部5に設けられた後述する凸部15との間で硬貨を保持するようにしたことで、持ち運びの際の硬貨のガサつきを防止できる(図5参照)。
【0016】
この容器部2の後端部には、図2に示すように、ヒンジ16を介して蓋部5が回動可能に設けられており、前端部には、蓋部5に設けられた開閉操作部6に係止されて嵌めこまれる係止部7が設けられている。
次に、蓋部5の構成について説明する。
【0017】
蓋部5の内側には、容器部2の区画壁3に対応する位置において、突条17が延設されている。
この突条17は、図4に示すように、蓋を閉じた際に、容器2に設けられた区画壁3に近接又は略接触する程度の高さに設計されており、その突条17の両側には、容器部2の仕切板10に対応する位置にリブ18が設けられている。
【0018】
このリブ18は、仕切板10に近接又は略接触するような高さに設計されており、硬貨を収容した状態で蓋を閉じた際に、図6に示すように、このリブ18と容器2の仕切板10とによって硬貨の収容空間を規制できるようにしている。
市場に流通している硬貨の殆どにおいて、計数に便利な単位枚数の硬貨の厚み(即ち、硬貨5枚の厚み、硬貨10枚の厚み)は硬貨の直径よりも小さいので、仕切板10の配設間隔(即ち収容区画4の長さM)も硬貨の直径未満である。
【0019】
このため、収容される硬貨の枚数が少ない場合であっても、容器2を水平に置いた際に硬貨が倒れたり、持ち運び中に移動して、他の収容区画へと散乱するのを防止できる。
この蓋5の正面部には、開閉操作を行なうための操作部6が設けられている。
この操作部6は、容器2及び蓋5に一体成型されたものであり、厚みの薄いヒンジ部6aを介して蓋5に対して回動可能となっている。
この操作部6の板面には、係止孔6bが設けられており、蓋を閉じた際に、容器部2に設けられた係止部7が係止されて嵌合されるようになっている。
【0020】
上記構成の硬貨収容容器1の使用状態を説明する。
硬貨を硬貨収容部4に入れる際は、図5に示すように、硬貨のサイズに応じた硬貨収容部4に収容されるが、この際、各硬貨収容部4においては、図8に示すように、夫々の区画が満杯になるように順次収容していく。満杯にならない区画については、蓋部5の内側に設けられた突条17と、硬貨収容部4の区画壁3によって、硬貨の収納領域が規制されるので、端数の硬貨は、区画内において位置規制される。
【0021】
このように、収容されている硬貨の枚数が少なくて、硬貨収容部内で硬貨が動くことがあっても、硬貨は仕切板10やリブ18に係止された状態となり、硬貨が平面状に倒れないようにすることができるので、その区画内における硬貨の収容枚数を容易に把握することができる。
当該硬貨収容部4における合計金額を計数する際には、硬貨の詰まった区分の数を数えた後、端数の硬貨を数えることで、収容金額を瞬時に計算することができる。
硬貨収容容器1を持ち運ぶ際は、蓋を閉じることによって、蓋部5の内側に設けられた突条17と、硬貨収容部4の区画壁3によって、硬貨の収納領域が規制される。これによって、運搬中に、硬貨が他の硬貨収納部へと移動するのを防止できる。
【0022】
また、仕切板10とリブ18によって硬貨の移動範囲を規制することができるので、持ち運びの際に硬貨が大きく移動するのを防止することができ、硬貨が壁に当たる音を小さくすることができる。
1つの区画に収容された硬貨の枚数が、その区画に収容されるべき単位枚数に満たない場合であっても、運搬中の衝撃によって、硬貨が他の区画へと移動することがない。これによって、持ち運び後においても、硬貨が種類毎に整列され、尚且つ単位枚数毎に仕切られた状態を維持させることができる。
【0023】
なお、本実施形態において、夫々の硬貨収容部4に、図8に示すような目盛りを設けてもよい。
この目盛りは、上方に硬貨の種類を示すタイトル(例えば1円)を表示し、その下を硬貨積載方向に沿って3列に区分し、1列目に、下端部から硬貨1枚分の間隔をあけて基準線pを設けた後、硬貨2枚に相当する間隔の目盛り線aと硬貨3枚に相当する間隔の目盛り線bとを交互に配設し、夫々の目盛りに、その位置に対応する金額(例えばタイトルが1円の場合、1、3、6,8,11,13,・・・n,n+2,n+2+3)を表示している。
中央の2列目には、下端部から硬貨2枚分の間隔をあけて基準線p’を設けた後、同様に硬貨2枚に相当する間隔の目盛り線bと硬貨3枚に相当する間隔の目盛り線cとを交互に配設し、夫々の目盛りにその位置に対応する金額(2、4、7,9,12,14・・・n+1,n+1+2,n+1+2+3)を表示し、そして、3列目には、下端部p”から硬貨5枚分に相当する間隔c毎に、その位置に対応する金額(5,10,15・・・n)を表示している(nは5の倍数)。
【0024】
このように、硬貨積載方向に沿って3列に区分し、そのうちの2列の表示部に、硬貨2枚に相当する間隔の目盛り線aと硬貨3枚に相当する間隔の目盛り線bとを交互に配設し、残りの1列に硬貨5枚に相当する目盛りすることによって、5枚単位に計数することが容易になり、1円玉5枚と5円、10円玉5枚と50円、100円玉5枚と500円の両替にも便利である。
下から硬貨を積み上げて収容し、その積み上げられた硬貨の上端の表示を読むことで、その硬貨収容部4に収容されている硬貨の合計金額を把握することができる。
【0025】
また、本実施形態においては、蓋部5に突条17とリブ18を設けることによって、硬貨の移動空間を規制したが、所定間隔毎(M)に配設された仕切板10によっても硬貨の移動空間を規制することができるので、必ずしも突条17又はリブ18は設ける必要はない。
この場合、仕切板10の上縁部を蓋部5に近接させることによって、硬貨が移動しないようにすることができるが、硬貨の収容作業における便宜を考えると、仕切板10の高さを容器部2の高さと同程度とし、蓋部5との間に生じた空間を、突起18やリブ18によって仕切るのが好ましい。
【実施例2】
【0026】
次に、本発明の第2実施形態に係る硬貨収容容器1について説明する。
この硬貨収容容器1は、図9に示すように、手提金庫100のトレイ40に組み込まれたものであり、計数作業の際に、トレイ40から取り外して使用できるようにしている。
この硬貨収容容器1の組み込まれる金庫100は、耐火性の高い材料からなる有底無蓋の箱状体であり、容器102の縁部に沿って開口部を形成し、その内部に貴重品等を保管するための収納スペース106を設けている。
【0027】
そして、容器102の開口縁部には、別部材からなるトレイ40が載置されている。
このトレイ40は、収納スペース106を遮蔽すると共に、硬貨や紙幣等を種類ごとに分離して収容するためのものであり、硬貨や紙幣のサイズに応じて複数の収容部が画成されている。
【0028】
紙幣を収容するための紙幣収容部41には、トレイ40の上縁部に設けられた図示しない捩りコイルバネを介して札押さえ部材43が設けられている。
この札押さえ部材43は、径の細い針金を折曲させて形成されたもので、紙幣収納部41内に収納された紙幣を上方から押圧すべく、捩りコイルバネによって付勢されている。この付勢力に抗して札押さえ部材43を上方に持ち上げ、紙幣収納部41内に紙幣を差し入れる。
【0029】
これらの収納部41の底部には、幅の狭い溝部44が形成されている。最下層に収納した紙幣を取り出す際には、この溝部44に指先を挿入することによって取り出しを容易にすることができる。
硬貨を収容するための硬貨収容部には、図10に示すように、別体の硬貨用トレイ50が取り付けられている。
【0030】
この硬貨用トレイ50は、後述する硬貨用トレイ蓋60と共に本発明の第2実施形態に関わる硬貨収容容器1を構成するもので、区画された収容部において硬貨を種類別に収容できるようになっている。
詳しくは、区画された収容部のうち、中央に設けられた3列の硬貨収容部4は、硬貨の計数を容易にするための部位であり、収容される硬貨の直径に応じた幅を有し、幅方向に延びる仕切板10によって、硬貨を例えば10枚ごとに積み重ねた際の厚みに相当する長さに区分されている。
【0031】
このように構成することで、硬貨の詰まった区分の数を数えることで、収容されている硬貨の金額を瞬時に把握することができる。また、硬貨の収容枚数が少ない場合であっても、硬貨収容部4内で硬貨が倒れるのを防止できる。また、仕切板10によって硬貨の移動範囲を規制することができるので、持ち運びの際に硬貨が大きく移動するのを防止することができ、硬貨が壁に当たる音を小さくすることができる。
また、これらの硬貨収容部4の端部には、凹状部53が設けられており、作業用スペース54からの指先によるアクセスを容易にしている。
【0032】
この硬貨用トレイ50は、トレイ40から取り出して使用する際に、手前が下になるように傾斜させることができるように、正面から底部にかけての外壁面が傾斜状又は湾曲状になっている。
この硬貨用トレイ50の上方には、硬貨用トレイ蓋60が設けられており、収納部内に収容された硬貨を上方から覆うようにしている(図11を参照)。
【0033】
硬貨用トレイ蓋60の内側には、硬貨用トレイ50の区画壁3に対応する位置において、突条17が延設されている。この突条17は、蓋を閉じた際に、硬貨用トレイ50の区画壁3に係合するような高さに設計されており、硬貨用トレイ蓋60を硬貨用トレイ50に被せることによって、金庫を持ち運んだ際の硬貨の位置ずれを防止できる。
また、硬貨用トレイ蓋60の角部に突出部62を設け、この突出部62を硬貨用トレイ50の隅部に差し込むことによって、持ち運びの際に蓋が外れるのを防止するようにしている。
【0034】
このような硬貨収容容器1が組み込まれたトレイ40を介装した状態で容器102を遮蔽することができるように、容器102の開口縁部102aに設けられたヒンジ102bを介して、蓋103が回動可能に取り付けられている。
この蓋103には、上面を一部内側に陥没させて凹部104が設けられており、この凹部104に設けられた取付部を介して把持部105が回動可能に取り付けられている。
【0035】
把持部105は、手を挿入して掴持できるような形状の取っ手部材からなり、上側に回転させることで、運搬時に金庫100の手提げが可能となる。
不使用時には、把持部105を下側に回転させて蓋103の凹部104内に収容し、蓋102の上面から突出しないようにすることができる。このように構成することで、不使用時にはコンパクトになり、戸棚や引き出しへの収納が容易になり、積み重ねも可能となる。
【0036】
この金庫101には、シリンダ錠20とダイヤル錠30の2種類の施錠手段が設けられている。
詳しくは、蓋103の正面側の縁部には、シリンダ錠のための係止片21と,ダイヤル錠のための係止片31が設けられ、容器102には、それらに対応する位置に係止溝22、32が設けられている。
蓋103を閉じた際に、係止溝22,32に係止片21,31が差し込まれて係合し、その係合状態を、夫々の施錠手段20、30が、以下の機構によってロックする。
【0037】
シリンダ錠20は、鍵穴21内に別体の鍵を差し込んで回転させて、係止片21と係合溝22とのロック状態を切り替える。
ダイヤル錠30は、所定の目盛りに合わせてダイヤル操作部33を回転させることによって、係止片31と係止溝32とのロック状態を切り替える。
双方の施錠手段20、30におけるロックを解除した後、正面中央に設けられた操作レバー35を操作することで、係止溝22,32内に設けられた図示しない係合手段が、係止片21,31から離脱し、係止片21,31と係止溝22,32との係止状態が解除され、蓋102が開放される。
【0038】
このような施錠手段20,30は、金庫1の正面側の外壁の中央を窪ませた部位に設けられている。詳しくは、金庫1の正面に化粧板を兼ねた正面部材10を取り付け、その正面部材110にシリンダキー20の鍵穴と、ダイヤル錠30のダイヤル操作部33と、操作レバー35とを設けている。
この正面部材110は、所定部位に凹部を有する四角形の板部材であり、その凹部に、ダイヤル操作部33等が設けられる。
【0039】
正面部材110の上縁部111と下縁部112は、レール状になっており、それらの端縁部111,112に、カバー部材113がスライド自在に取り付けられている。
このカバー部材113は、透明な合成樹脂製の板部材からなり、不使用時にはダイヤル操作部33を覆い、ダイヤル操作時にのみスライドさせて、ダイヤル操作部33を露呈させることができるような形状に形成れている。
【0040】
このように、正面部材110の端縁部をレール状にして、そこにカバー部材113をスライド可能に取り付け、カバー部材113をスライドさせることによって、ダイヤル操作部33を覆ったり、露呈させたりすることができるようにしたので、不使用時はカバー部材でダイヤル操作部を覆っておくことによって、ダイヤルが不用意に回転されるのを防止することができる。
このため、開錠された状態のダイヤルに手が触れるのを回避できるので、ダイヤル錠が意に反して施錠されてしまうのを回避でき、ダイヤル番号の失念等により開閉不能となることを効果的に防止できる。
【0041】
また、容器102の壁面に、所定位置に凹部を有する正面部材110を取り付け、その凹部にダイヤル操作部33を設けることで、ダイヤルに手が触れるのを効果的に防止できる。
このように、金庫100の壁面から窪んだ部位にダイヤル操作部33を設けると共に、正面部材110の側縁部をもって、カバー部材113をスライド可能に取り付けるレール部としたので、正面部材110の上面にカバー部材113を摺接させることができる。これによって、金庫100の壁面から構造物が突出するのを抑制することができ、コンパクトにすることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、正面部材の縁部111,112をもってレール部材としたが、金庫100の壁面にダイヤル錠を直接設け、その両側にレール状の部材を設け、そのレール部材に、カバー部材113を取り付けてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材113を透明部材で構成することによって、ダイヤル操作部の位置や施錠状態を把握し易いようにしたが、不透明部材を使用することによってデザイン性を高めてもよい。
【0043】
この場合、ダイヤル操作部33をカバー部材113で覆った際に、ダイヤルの目盛りが僅かに表れるような形状(例えば、本実施形態のような「くの字型」)にカバー部材113を構成することによって、ダイヤル操作部33の位置を把握し易くしてもよいし、ダイヤルが全て隠れるような形状にしてもよい。
また、本実施形態の金庫1は、容器の蓋部に把持部を設けた手提げ金庫であるが、把持部を設けない設置型の金庫でもよいし、ダイヤル錠を金庫の扉に設けても良いし、上面に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、単体で使用される硬貨収容容器のみではなく、あらゆる収納庫に組み込まれた硬貨収容容器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る硬貨収容容器を示す斜視図である。
【図2】上記硬貨収容容器を開放した状態の平面図である。
【図3】図2における正面図である。
【図4】蓋を閉じた状態におけるA−A線矢視断面図である。
【図5】図4において、硬貨を収容した状態を示すA−A線矢視断面図である。
【図6】硬貨を収容した状態で蓋を閉じた状態を示すB−B線矢視断面図である。
【図7】硬貨収容部に表示可能な目盛りの例を示し、(A)は1円収容部の表示で、(B)は10円収容部の表示で、(C)は100円収容部の表示である。
【図8】上記硬貨収容容器の使用状態を示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る硬貨収容容器が組み込まれた金庫を示す斜視図である。
【図10】上記金庫のトレイに硬貨収容容器が組み込まれる状態を示す斜視図である。
【図11】上記硬貨収容容器の蓋部を示す斜視図である。
【図12】従来の硬貨収容容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1・・・硬貨収容容器
2・・・容器部
3・・・区画壁
4・・・硬貨収容部
5・・・蓋部
6・・・操作部
7・・・係止部
9・・・表示部
10・・・仕切板
12・・・窪み部
13・・・リブ
14・・・凸部
15・・・凸部
16・・・ヒンジ
17・・・突条
18・・・リブ
20・・・シリンダ錠
21・・・係止部
22・・・係止溝
30・・・ダイヤル錠
31・・・係止部
32・・・係止溝
33・・・ダイヤル操作部
35・・・操作レバー
40・・・トレイ
41・・・紙幣収容部
43・・・札押さえ部材
44・・・溝部
50・・・硬貨用トレイ
51・・・収納部
52・・・仕切板
53・・・凹状部
54・・・作業用スペース
60・・・硬貨用トレイ蓋
61・・・蓋押圧部
62・・・突出部
100・・・金庫
102・・・容器
100・・・金庫
102・・・容器
103・・・蓋
104・・・凹部
105・・・把持部
106・・・収納スペース
110・・・正面部材
111・・・上端縁部(レール部材)
112・・・下端縁部(レール部材)
113・・・カバー部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画された収容部において硬貨を種類別に収容する容器部(2)と、該容器部(2)を覆う蓋部(5)と、を備えた硬貨収容容器(1)であって、
収容される硬貨の直径に応じた幅を有する硬貨収容部(4)を、幅方向に延びる仕切板(10)によって、単位枚数ごとに積み重ねた際の硬貨の厚みに相当する長さに区分したことを特徴とする硬貨収容容器。
【請求項2】
前記蓋部(5)を閉じた際に前記硬貨収容部(4)の側壁(3)の上端部に近接又は略接触する高さの突条(17)を、該蓋部(5)の内側に設け、
該突条(17)に、前記仕切板(10)に近接又は略接触する高さのリブ(18)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の硬貨収容容器。
【請求項3】
前記仕切板(10)の上縁部に凹状の窪み部(12)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬貨収容容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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