説明

硬貨識別センサ

【課題】均一な磁場を形成することで精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ること。
【解決手段】搬送面を挟んで対向する位置にそれぞれ配置したコイルのうち、少なくとも磁束を発する側であるコイルの搬送面側の端面に所定の傾きを設けるように硬貨識別センサを構成する。また、搬送面とコイルとの間に導磁板を備えることとしたうえで、硬貨の径の大きさに応じて導磁板の傾きや位置を調整する調整機構を備えるように硬貨識別センサを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送面に沿って搬送される硬貨が所定の検出区間を通過する際の磁場変化を検出する硬貨識別センサに関し、特に、均一な磁場を形成することで精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができる硬貨識別センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁極を対向させて配置することで磁場を形成し、かかる磁場を被検体が通過することで生じる磁場変化を検出して、被検体の形状や厚みなどを計測する磁気センサが知られている。
【0003】
そして、かかる磁気センサの中には、硬貨の真偽や正損を識別する硬貨識別装置に備えられ、硬貨識別センサとして用いられるものがある。たとえば、特許文献1には、搬送面に沿って搬送される硬貨の径や厚み、エッジなどを磁気的に計測する硬貨識別センサが開示されている。
【0004】
かかる特許文献1の硬貨識別センサは、第一のコイルおよび第二のコイルを対向させて配置し、一方のコイルへ励磁電流を印加することによって磁場を形成する。なお、ここにいうコイルとは、コアに巻線を巻回した一般的なコアコイルを指す。
【0005】
ここで、特許文献1の技術では、硬貨の搬送面は、コイルの対向する向きと直交する向きで磁場を貫くように設けられる。以下では、かかる搬送面の設けられる向きを「X方向」と、また、X方向と直交する向き(すなわちコイルの対向する向き)を「Y方向」と、それぞれ記載することとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−229428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術を用いた場合、被検体である硬貨を通過する磁束の向きが一様になりにくい、言い換えれば、磁場が不均一となりやすいという問題点があった。
【0008】
具体的には、磁場変化を精度良く検出したい場合、検出区間において硬貨を通過する磁束がY方向成分のみであることが好ましいが、ループ状に閉じるという磁力線の性質上、検出区間においてはコイルの外縁部ほど磁束へX方向成分が加わりやすかった。
【0009】
この点、コイルの幅を搬送路の幅より大きくすることで上述の外縁部付近の磁束を避け、コイルの中央部の磁束のみを用いることとすれば、硬貨を通過する磁束のX方向成分を低減することが可能である。
【0010】
しかしながら、かかる対処を行った場合、硬貨識別センサの筐体自体が大型化するうえ、使用しない磁束の増加にともなって信号雑音比(以下、「S/N比」と記載する)の低下を招くため、好ましくない。
【0011】
これらのことから、均一な磁場を形成することで精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができる硬貨識別センサをいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0012】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、均一な磁場を形成することで精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができる硬貨識別センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、前記第1の磁極部材は、搬送面側の面の一部が前記搬送面に対して傾きを有するコア部材と、当該コア部材に巻回された巻線とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記コア部材の前記搬送面側の面が凹形を形成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、前記第1の磁極部材は、コア部材と、前記搬送面に対して傾きを有するように当該コア部材に巻回された巻線とを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、前記第1の磁極部材は、搬送面側の面と接する端面の一部が前記搬送面の垂線に対して傾きを有するコア部材と、当該コア部材に巻回された巻線とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、前記第1の磁極部材は、コア部材と、当該コア部材に巻回された巻線と、当該コア部材および前記検出区間の間に設けられた導磁板とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、前記導磁板は、搬送面側の面が前記搬送面に対して傾きを成すように設けられることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記の発明において、前記導磁板の前記搬送面側の面が凹形を形成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記の発明において、前記硬貨の径に応じて前記導磁板の傾きを調整する傾き調整機構をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、前記第1の磁極部材は、回動可能に設けられ、回動量に応じて搬送方向と直交する搬送面側の面の長さが変化するコア部材と、搬送される前記硬貨の径に応じて当該コア部材を所定位置まで回動する回動機構と、当該コア部材に巻回された巻線とを備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記の発明において、前記所定位置における前記コア部材の前記搬送面側の面が凹形を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、検出区間に形成された磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、第1の磁極部材は、搬送面側の面の一部が搬送面に対して傾きを有するコア部材と、コア部材に巻回された巻線とを含むこととしたので、均一な磁場を形成することで精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、コア部材の搬送面側の面が凹形を形成することとしたので、磁束の拡がりを抑えることができ、また、筐体の大型化を回避することができるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、検出区間に形成された磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、第1の磁極部材は、コア部材と、搬送面に対して傾きを有するようにコア部材に巻回された巻線とを含むこととしたので、巻線の巻回角度を調整することで検出区間における均一な磁場形成の最適化を図ることができるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明によれば、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、検出区間に形成された磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、第1の磁極部材は、搬送面側の面と接する端面の一部が搬送面の垂線に対して傾きを有するコア部材と、コア部材に巻回された巻線とを含むこととしたので、巻線の巻回幅をコア部材の上部へ向けて徐々に狭くすることで検出区間における均一な磁場形成の最適化を図ることができるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明によれば、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、検出区間に形成された磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、第1の磁極部材は、コア部材と、コア部材に巻回された巻線と、コア部材および検出区間の間に設けられた導磁板とを備えたこととしたので、導磁板を用いることで、磁極の端面へ所定の傾きを設ける場合と同様に均一な磁場を形成することができ、これにより、精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0028】
また、本発明によれば、導磁板は、搬送面側の面が搬送面に対して傾きを成すように設けられることとしたので、磁極の端面へ所定の傾きを設ける場合と同様に均一な磁場を形成することができ、これにより、精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0029】
また、本発明によれば、導磁板の搬送面側の面が凹形を形成することとしたので、磁束の拡がりを抑えることができ、また、筐体の大型化を回避することができるという効果を奏する。
【0030】
また、本発明によれば、硬貨の径に応じて導磁板の傾きを調整する傾き調整機構をさらに備えたこととしたので、硬貨の径に応じた最適な磁場を形成することができるという効果を奏する。
【0031】
また、本発明によれば、励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、検出区間に形成された磁場の変化を検出する第2の磁極部材とを備え、第1の磁極部材は、回動可能に設けられ、回動量に応じて搬送方向と直交する搬送面側の面の長さが変化するコア部材と、搬送される硬貨の径に応じてコア部材を所定位置まで回動する回動機構と、コア部材に巻回された巻線とを備えたこととしたので、シンプルな機構で、硬貨の径に応じた最適な磁場を形成することができるという効果を奏する。
【0032】
また、本発明によれば、所定位置におけるコア部材の搬送面側の面が凹形を形成することとしたので、磁束の拡がりを抑えることができ、また、筐体の大型化を回避することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明に係る硬貨識別センサの概要を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係る硬貨識別センサが備える各コイルの配置例を示す図である。
【図3】図3は、実施例1の変形例に係る硬貨識別センサが備える一次コイルの巻線の巻回例を示す図である。
【図4】図4は、実施例2に係る硬貨識別センサが備える導磁板の配置例を示す図である。
【図5】図5は、実施例2の変形例に係る硬貨識別センサが備える導磁板の傾き調整機構を説明するための図である。
【図6】図6は、実施例2の変形例に係る硬貨識別センサが備える導磁板の位置調整機構を説明するための図である。
【図7】図7は、実施例3に係る硬貨識別センサが備える一次コイルの回動機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る硬貨識別センサの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下における用語の定義として、単位面積あたりの磁力線の垂直成分を足し合わせたものを「磁束」と、単位面積当たりの「磁束」量を「磁束密度」と、「磁束密度」が均一な磁場を「均一な磁場」と、それぞれ記載するものとする。
【0035】
また、以下では、硬貨識別センサが備える磁極が、フェライトなどの鉄心(コア)に巻線を巻回した一般的なコアコイルである場合について説明することとし、かかるコアコイルを単に「コイル」と記載することとする。
【0036】
まず、実施例の詳細な説明に先だって、本発明に係る硬貨識別センサの概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る硬貨識別センサの概要を示す図である。なお、同図の(A)には、従来技術に係る硬貨識別センサ1または本発明に係る硬貨識別センサ10の概略斜視図を、同図の(B)には、従来技術に係る硬貨識別センサ1をXY平面で切断した概略断面図を、同図の(C)には、本発明に係る硬貨識別センサ10をXY平面で切断した概略断面図を、それぞれ示している。
【0037】
図1の(A)に示したように、硬貨識別センサ1または10は、Z軸方向からみた場合に凹字形状に相似したハウジング11を筐体として用いる。ここで、ハウジング11は、逆T字形状である切り欠き14を有しており、かかる切り欠き14を貫通して硬貨100を搬送する搬送面12および搬送ベルト13が設けられる。
【0038】
なお、かかるハウジング11と搬送面12とが交わる区間が、磁場変化の検出区間となる。また、搬送ベルト13は、硬貨100を搬送面12の面上へ押さえつける部材である。また、搬送方向200は、Z軸方向に平行であるものとする。
【0039】
ここで、従来技術に係る硬貨識別センサ1の構成および問題点について、同図の(B)を用いて説明する。同図の(B)に示したように、従来技術に係る硬貨識別センサ1は、それぞれ巻線を巻回した一次コイル15a、二次コイル15bおよび15cを備えている。
【0040】
なお、硬貨100は、搬送路のいずれかの側壁へ片寄せされて搬送される。たとえば、同図の(B)には、硬貨100が、搬送路の二次コイル15b側の側壁へ片寄せされている例を示している。
【0041】
ここで、一次コイル15aと、二次コイル15bおよび15cとは、搬送面12を挟んで対向する位置へ配置されており、一次コイル15aへ励磁電流が印加されることによって、一次コイル15aと、二次コイル15bおよび15cとの間(すなわち検出区間)に磁場が形成される。なお、同図の(B)に曲線で示した各矢印は、形成された磁場における磁束の向きをあらわしている。
【0042】
しかしながら、上述したように、ループ状に閉じるという磁力線の性質上、磁束はX方向成分を加えながら拡がるため、検出区間における磁場が不均一となり、精度良く磁場変化を検出しづらいという問題点があった。そして、かかる磁束の拡がりは、特に一次コイル15aの外縁部ほど曲率が大きかった(同図の(B)参照)。
【0043】
そこで、同図の(B)に示したように、従来技術に係る硬貨識別センサ1では、一次コイル15aの幅を搬送路幅wよりも大きくすることによって、一次コイル15aの外縁部付近の磁束を避け、X方向成分の比較的少ない磁束が硬貨100を通過するようにした。
【0044】
しかしながら、かかる場合、あわせてハウジング11のサイズを大きくする必要があるため、硬貨識別センサ1の筐体自体が大型化するという問題点が生じていた。また、一次コイル15aの外縁部付近の磁束を磁場変化の検出に使用しないことによって、S/N比の低下を招いていた。
【0045】
そこで、本発明に係る硬貨識別センサ10では、少なくとも磁束を発する側である一次コイル15aの搬送面12側の端面へ「所定の傾き」を設けることとした。たとえば、同図の(C)に示したように、本発明に係る硬貨識別センサ10は、搬送面12側の端面をR形状とすることによって端面の中央部へ向かって「所定の傾き」を設けた一次コイル15aを備えている。
【0046】
なお、ここにいう「R形状とする」とは、曲面をもって端面を形成することを指し、真円および楕円のRを含むものとする。
【0047】
ここで、かかる端面は、中央部が凹んだR形状となるように形成されているので、検出区間における磁束を、一次コイル15aの中心線方向へ集積する役割を果たす。したがって、磁束はいずれ拡がるものの、少なくとも検出区間における磁場を均一にすることが可能となる。
【0048】
また、一次コイル15aの外縁部付近における磁束についてもX方向成分を低減できるため、従来技術に係る硬貨識別センサ1のように筐体自体が大型化することを回避することができる。
【0049】
なお、同図の(C)に示した例では、一次コイル15aの搬送面12側の端面をR形状とすることによって「所定の傾き」を設けた場合について説明したが、かかる「所定の傾き」の形成は、R形状とすることに限定されない。たとえば、端面の凹部を多角形状に形成することとしてもよい。
【0050】
また、二次コイル15bあるいは15cの搬送面12側の端面へ「所定の傾き」を設けることとしてもよい。これらの点の詳細については、図2を用いて後述する。また、かかる「所定の傾き」を、一次コイル15aに巻回する巻線の巻回角度へ設けることとしてもよい。かかる点の詳細については、図3を用いて後述する。
【0051】
あるいは、搬送面12と一次コイル15aとの間に導磁板を備えることで、一次コイル15aの端面に「所定の傾き」を設けた場合と同様の制御を行うこととしてもよい。かかる点の詳細については、図4〜6を用いて後述する。
【0052】
また、切断面によって「所定の傾き」が変化するように形成された一次コイル15aを備えることとしたうえで、かかる一次コイル15aを回動などすることによって「所定の傾き」を調整することとしてもよい。かかる点の詳細については図7を用いて後述する。
【0053】
このように、本発明に係る硬貨識別センサ10は、少なくとも磁束を発する側である一次コイル15aの搬送面12側の端面に「所定の傾き」を設けることとしたので、検出区間における磁場を均一とすることができる。したがって、精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることを可能とすることができる。
【0054】
以下では、図1を用いて説明した本発明に係る硬貨識別センサ10の実施例を詳細に説明する。なお、実施例1では、少なくとも一次コイル15aの端面に所定の傾きを設けた場合について、実施例2では、搬送面12と一次コイル15aとの間に導磁板を備えた場合について、実施例3では、一次コイル15aを回動することによって一次コイル15aの端面の傾きを調整する場合について、それぞれ説明する。
【実施例1】
【0055】
図2は、実施例1に係る硬貨識別センサ10が備える各コイル15a〜15cの配置例を示す図である。なお、実施例1に係る硬貨識別センサ10は、図1の(C)に示した本発明に係る硬貨識別センサ10を基本形態とする。したがって、実施例1に係る硬貨識別センサ10では、少なくとも一次コイル15aの搬送路側の端面へR形状による「所定の傾き」を設けている。
【0056】
また、図2の(A)〜(G)に示す各配置例は、図1で示したXY平面で切断した概略断面図をさらに簡略化したものであり、各コイル15a〜15cのコアの断面形状のみを示している。
【0057】
図2の(A)に示したように、一次コイル15aの端面へ所定の傾きを設けるにあたっては、端面をR形状とすることに限定されない。たとえば、同図の(A)に示したように、平面のみによってかかる所定の傾きを構成することができる。なお、二次コイル15bおよび15cについては、断面形状が矩形であることとし、所定の傾きを設けないこととしてよい。
【0058】
また、図2の(B)に示したように、一次コイル15aの搬送路側でない端面についても特に形状を限定されるものではない。たとえば、同図の(B)には、一次コイル15aの搬送路側の端面および搬送路側でない端面の双方をR形状に形成した例を示している。
【0059】
また、同図の(C)に示したように、一次コイル15aだけでなく、二次コイル15bおよび15cの搬送路側の端面へ所定の傾きを設けることとしてもよい。たとえば、同図の(C)には、二次コイル15bおよび15cの搬送路側の端面へ一次コイル15aと同様のR形状による所定の傾きを設けた例を示している。
【0060】
また、同図の(D)に示したように、一次コイル15aの端面と、二次コイル15bおよび15cの端面とを、異なるR形状にすることとしてもよい。また、同図の(E)に示したように、各コイル15a〜15cをすべて異なる形状とすることとしてもよい。
【0061】
また、同図の(F)に示したように、少なくとも一次コイル15aの端面のみへ所定の傾きを設けることとしたうえで、一次コイル15aと、二次コイル15bおよび15cとの配置位置を近づけることとしてもよい。また、搬送路の構造などに応じて、同図の(G)に示したように、二次コイル15bまたは15cの一方のみを一次コイル15aの方へ近づけることとしてもよい。なお、同図の(G)には、二次コイル15cのみを近づけた例を示している。
【0062】
このように、実施例1に係る硬貨識別センサ10は、各コイル15a〜15cの端面へさまざまな形状で所定の傾きを設けることができる。また、各コイル15a〜15cの配置位置についても、さまざまなパターンで構成することができる。
【0063】
なお、上述した各コイル15a〜15cの端面の形状や配置位置は、磁場変化の検出区間において均一な磁場を形成するうえでの主要因である。したがって、検出区間における磁束のX方向成分が可能な限り低減され、かつ、磁束密度が均しくなるようにかかる形状や配置位置を調整することが好ましい。
【0064】
ところで、実施例1では、硬貨識別センサ10が備える各コイル15a〜15cの端面へ所定の傾きを設ける場合について説明したが、コイルの端面ではなく、各コイル15a〜15cに巻回する巻線の巻回角度へ所定の傾きを設けることとしてもよい。
【0065】
そこで、以下では、巻線の巻回角度へ所定の傾きを設けた場合の変形例について、図3を用いて説明する。図3は、実施例1の変形例に係る硬貨識別センサ10aが備える一次コイル16aの巻線の巻回例を示す図である。なお、同図の(A)には、巻線の巻回角度によって磁束を制御する巻回例を、同図の(B)には、巻線の巻回幅によって磁束を制御する巻回例を、それぞれ示している。
【0066】
図3の(A)に示したように、実施例1の変形例に係る硬貨識別センサ10aは、側面に巻回みぞ(破線の閉曲線dで囲まれた部分参照)を切った一次コイル16aを備えている。そして、巻線は、かかる巻回みぞへ掛けられる形で一次コイル16aへ巻回される。
【0067】
したがって、かかる巻回みぞに沿って巻線を巻回することで、巻線の巻回角度へ所定の傾きを設けることが可能となる。たとえば、同図には、巻線をXY平面上にV字状を描くように巻回した例を示している。
【0068】
そして、このように所定の傾きをもって巻回された巻線へ励磁電流を印加した場合、フレミングの左手の法則にしたがって、磁束は巻線の巻回角度と直交する向きへはたらくこととなる。
【0069】
かかる場合、磁力線の性質上、磁束は徐々に拡がることとなるが、巻線の巻回角度を精緻に調整することにより、検出区間における磁束のX方向成分を低減することができる。したがって、均一な磁場の形成を可能とすることができる。
【0070】
なお、同図の(A)には、巻線をすべて同じ巻回角度で巻回した例を示しているが、すべて同じ巻回角度としなくともよい。たとえば、搬送面側の端面に近い巻線については所定の巻回角度を設けることとし、もう一方の端面へ向けては徐々に巻回角度を0(すなわち搬送面と平行)とするようにしてもよい。
【0071】
また、同図の(B)に示したように、XY平面(同図の(A)参照)で切断した断面形状が台形となる一次コイル16aに対して、巻回幅が一次コイル16aの上部では狭く、下部では広くなるように巻線を巻回することとしてもよい。かかる場合には、磁束を一次コイル16aの上部へ向けて収束させることができる(図中の矢印を参照)ので、やはり検出区間における磁束のX方向成分を低減することが可能となる。
【0072】
なお、同図の(B)には断面形状のみを示したが、一次コイル16a全体の形状は、円錐あるいは角錐の上部を切り取ったような立体形状としてもよい。また、同図の(B)には、断面形状が台形である場合を示しているが、一次コイル16aの上部へ向けて巻線の巻回幅が徐々に狭くなる形状であればよく、たとえば、台形の傾きがカーブを描く形状であってもよい。
【0073】
上述してきたように、実施例1では、搬送面を挟んで対向する位置にそれぞれ配置したコイルのうち、少なくとも磁束を発する側であるコイルの搬送面側の端面に所定の傾きを設けるように硬貨識別センサを構成した。また、磁束を発する側であるコイルへ巻回する巻線の巻回角度へ所定の傾きを設けるように硬貨識別センサを構成した。したがって、検出区間における磁束の向きを搬送面に直交する方向へ制御することが可能となり、均一な磁場を形成することができる。また、これにともなって、精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができる。
【0074】
ところで、実施例1では、少なくとも磁束を発する側であるコイルの搬送面側の端面あるいは巻線の巻回角度へ所定の傾きを設ける場合について説明したが、搬送面とコイルとの間に磁束板を備えることで、所定の傾きを設けた場合と同様の制御を行うこととしてもよい。そこで、以下に示す実施例2では、搬送面とコイルとの間に導磁板を備えた場合について説明することとする。
【実施例2】
【0075】
図4は、実施例2に係る硬貨識別センサ20が備える導磁板の配置例を示す図である。なお、同図の(A)には、1枚板の導磁板50を配置する場合を、同図の(B)には、複数の分割導磁板51および52を配置する場合を、それぞれ示している。
【0076】
同図の(A)に示したように、実施例2に係る硬貨識別センサ20は、搬送面12(図1参照)と一次コイル15aとの間に導磁板50を備える点で、実施例1に係る硬貨識別センサ10とは異なる。
【0077】
なお、本実施例2では、断面形状が矩形である一次コイル15aを用いる場合について説明するが、実施例1に係る硬貨識別センサ10と同様に、端面へ所定の傾きを設けた一次コイル15aを用いることとしてもよい。
【0078】
ここで、導磁板50は、1枚板の導磁性素材であり、搬送面12と一次コイル15aとの間に、搬送面12と平行に配置される。そして、かかる導磁板50を備えることによって、実施例2に係る硬貨識別センサ20は、磁束へY方向成分を加味することができる。すなわち、磁束の拡がりを抑え、検出区間において磁場変化の検出に好ましい均一な磁場を形成することが可能となる。
【0079】
なお、導磁板50は、一次コイル15aと接触しないように配置されることが好ましい。なぜなら、導磁板50と一次コイル15aとを接触させると、導磁板50は磁極として一次コイル15aと一体化してしまうため、磁束の拡がりを抑える効果を得られないからである。また、図示しないが、導磁板50の搬送面12側の端面を中央部が凹んだR形状とすることとしてもよい。
【0080】
また、図4の(B)に示したように、実施例2に係る硬貨識別センサ20は、1枚板の導磁板50ではなく、複数の分割導磁板を備えることとしてもよい。たとえば、同図の(B)には、実施例2に係る硬貨識別センサ20が、2枚の分割導磁板51および52を備えた例を示している。
【0081】
ここで、分割導磁板51および52は、1枚板の導磁板50と同様に、搬送面12と一次コイル15aとの間に配置されるが、搬送面12と平行としなくてもよい。たとえば、同図の(B)に示したように、分割導磁板51および52を、検出区間における磁束が可能な限りY方向成分のみとなるように所定の傾きをもって備え付けることとしてもよい。
【0082】
なお、同図の(B)には、分割導磁板51および52の双方とも所定の傾きをもって備え付けた例を示しているが、一方のみへ所定の傾きを設けることとしてもよい。また、双方とも所定の傾きを設けないこととしてもよい。
【0083】
ところで、同図の(B)に示した例では、実施例2に係る硬貨識別センサ20が、搬送面12と一次コイル15aとの間に2枚の分割導磁板51および52を所定の傾きをもって備え付ける例を示したが、かかる傾きを被検体である硬貨の径の大きさに応じて調整する傾き調整機構を備えることとしてもよい。
【0084】
そこで、以下では、硬貨の径に応じて分割導磁板51あるいは52の傾きを調整する場合の変形例について、図5を用いて説明する。図5は、実施例2の変形例に係る硬貨識別センサ20が備える導磁板の傾き調整機構を説明するための図である。
【0085】
なお、同図の(A)には、硬貨の相対的な大きさの差異を示す図を、同図の(B)には、被検体が径の大きい硬貨である場合の図を、同図の(C)には、被検体が径の小さい硬貨である場合の図を、それぞれ示している。
【0086】
同図の(A)に示したように、硬貨は、その種別によって径が異なるのが一般的である。そこで、以下では、同図の(A)に示したように2つの種別の硬貨を例にとることとし、相対的に径の大きい硬貨を硬貨大101として、また、相対的に径の小さい硬貨を硬貨小102として、説明することとする。
【0087】
また、ここで、硬貨識別センサを備える硬貨識別装置について説明しておく。硬貨の真偽や正損を識別する硬貨識別装置は、硬貨の形状やデザインといった種々の被検体に関する情報を検出するために、磁気センサあるいは光学センサなど複数のセンサを備えているのが通常である。
【0088】
すなわち、被検体である硬貨は、搬送面12(図1参照)に沿って搬送される間にこれら複数のセンサの検出区間を通過することとなるが、かかる複数のセンサには硬貨の径を計測する径センサが含まれる。したがって、以下では、かかる径センサによって硬貨の径が計測済みであることを前提とする。
【0089】
図5の(B)に示したように、搬送面12を沿って搬送される被検体が、径センサによって硬貨大101であると検出済みである場合、実施例2の変形例に係る硬貨識別センサ20は、たとえば、分割導磁板51および52へ所定の傾きを設けないとすることができる。
【0090】
なぜなら、径が大きい硬貨大101の場合には、磁束を通過させるべき硬貨の面積が大きいため、拡がる磁束の向きを硬貨大101の方へ大きく矯正する必要がないからである。したがって、かかる場合、実施例2の変形例に係る硬貨識別センサ20が備える導磁板の傾き調整機構は、分割導磁板51および52を搬送面12と平行に保持する。
【0091】
一方、径が小さい硬貨小102の場合には、磁束を通過させるべき硬貨の面積が小さいため、拡がる磁束の向きを硬貨小102の方へ大きく矯正する必要がある。したがって、かかる場合、同傾き調整機構は、分割導磁板51および52へ搬送面12に対する所定の傾きを付与する。
【0092】
たとえば、同図の(C)に示したように、被検体が径センサによって硬貨小102であると検出済みである場合、同傾き調整機構は、分割導磁板51の傾きを方向201の方向へ調整する。また、同様に、分割導磁板52の傾きを方向202の方向へ調整する。
【0093】
なお、かかる傾きの調整は、検出区間において均一な磁場が適宜形成されるように行うこととすればよい。したがって、分割導磁板51および52の双方を同時に調整してもよいし、片方のみを調整してもよい。また、傾きの角度は、分割導磁板51および52のそれぞれについて異なっていてもよい。
【0094】
ところで、図5を用いた説明では、実施例2に係る硬貨識別センサ20が、2枚の分割導磁板51および52の所定の傾きを被検体である硬貨の径の大きさに応じて調整する傾き調整機構を備える場合について説明したが、分割導磁板51あるいは52の位置を調整する位置調整機構を備えることとしてもよい。
【0095】
そこで、以下では、硬貨の径に応じて分割導磁板51あるいは52の位置を調整する場合の変形例について、図6を用いて説明する。図6は、実施例2の変形例に係る硬貨識別センサ20が備える導磁板の位置調整機構を説明するための図である。
【0096】
なお、同図の(A)には、被検体が径の大きい硬貨大101である場合の図を、同図の(B)には、被検体が径の小さい硬貨小102である場合の図を、それぞれ示している。
【0097】
同図の(A)に示したように、搬送面12を沿って搬送される被検体が、径センサによって硬貨大101であると検出済みである場合、実施例2の変形例に係る硬貨識別センサ20は、たとえば、分割導磁板51および52を所定の位置へ保持することができる。
【0098】
なぜなら、径が大きい硬貨大101の場合には、硬貨大101と搬送路の側壁との間に生じる隙間が小さいため、硬貨大101を通過しない(すなわち雑音成分となる)磁束量が相対的に少ないからである。
【0099】
したがって、かかる場合、実施例2の変形例に係る硬貨識別センサ20が備える導磁板の位置調整機構は、分割導磁板51および52を所定の位置へ保持する。
【0100】
一方、径が小さい硬貨小102の場合には、硬貨小102と搬送路の側壁との間に生じる隙間が大きいため、雑音成分となる磁束量が相対的に多くなる。したがって、かかる場合、同位置調整機構は、雑音成分となる磁束量が低減される位置へ導磁板51および52を移動する。
【0101】
たとえば、同図の(B)に示したように、被検体が径センサによって硬貨小102であると検出済みである場合、同位置調整機構は、分割導磁板52の位置を方向203の方向へ移動する。なお、側壁との間の隙間が生じていない側の分割導磁板については、同図の(B)に示したように、所定の位置へ保持することができる。
【0102】
上述してきたように、実施例2では、搬送面とコイルとの間に導磁板を備えるように硬貨識別センサを構成した。また、被検体である硬貨の径の大きさに応じて導磁板の傾きや位置を調整する調整機構を備えるように硬貨識別センサを構成した。したがって、検出区間における磁場形成を硬貨の径の大きさに応じて最適化することが可能となる。また、これにともなって、精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができる。
【0103】
ところで、実施例2では、搬送面とコイルとの間に導磁板を備えたうえで、硬貨の径の大きさに応じて導磁板の傾きや位置を調整する場合ついて説明したが、コイルの端面へ複数の所定の傾きを設けることとしたうえで、硬貨の径の大きさに応じてかかる端面を切り換えることとしてもよい。そこで、以下に示す実施例3では、回動することによって所定の傾きの切り替えが可能なコイルを備える場合について説明することとする。
【実施例3】
【0104】
図7は、実施例3に係る硬貨識別センサ30が備える一次コイル17aの回動機構を説明するための図である。なお、同図の(A)に示したのは、一次コイル17aを、Y軸の正方向からみた概略上面図、Z軸の正方向からみた概略側面図およびX軸の正方向からみた概略側面図である。
【0105】
また、同図の(B)には、被検体が径の大きい硬貨大101である場合の図を、同図の(C)には、被検体が径の小さい硬貨小102である場合の図を、それぞれ示している。
【0106】
同図の(A)に示したように、実施例3に係る硬貨識別センサ30が備える一次コイル17aは、Z軸の正方向からみた場合にはR形状R1の端面を、X軸の正方向からみた場合にはR形状R2の端面を有している。なお、双方のR形状は異なるものとする。
【0107】
また、同図の(A)に示したように、一次コイル17aは、Y軸の正方向からみた場合には軸支点Pで軸支されており、実施例3に係る硬貨識別センサ30は、かかる軸支点Pを中心として一次コイル17aを方向204の方向へ回動する回動機構を備えている。
【0108】
ここで、同図の(B)に示したように、搬送面12(図1参照)に沿って搬送される被検体が、径センサによって硬貨大101であると検出済みである場合、実施例3に係る硬貨識別センサ30は、R形状R1の端面が搬送面12の搬送方向(Z軸方向)と直交するように一次コイル17aを回動する。
【0109】
また、図7の(C)に示したように、搬送面12に沿って搬送される被検体が、径センサによって硬貨小102であると検出済みである場合、実施例3に係る硬貨識別センサ30は、R形状R2の端面が搬送面12の搬送方向(Z軸方向)と直交するように一次コイル17aを回動する。
【0110】
なお、同図の(A)には、軸支点Pが一次コイル17aの中心点である場合を示しているが、軸支点Pはかかる中心点に限定されない。したがって、硬貨の大きさに応じて適宜均一な磁場が形成される位置へ軸支点Pを設けることとしてもよい。
【0111】
また、同図を用いた説明では、R形状R1およびR2の2つの所定の傾きを有する一次コイル17aについての例を示したが、硬貨の種別ごとに所定の傾きを有することとしてもよい。
【0112】
上述してきたように、実施例3では、回動角度によって異なる所定の傾きを有するコイルを備えることとしたうえで、被検体である硬貨の径の大きさに応じてかかるコイルを回動することによって搬送面に対する所定の傾きを調整する回動機構を備えるように硬貨識別センサを構成した。したがって、コイルを回動するのみというシンプルな機構で、検出区間における磁場形成を硬貨の径の大きさに応じて最適化することが可能となる。また、これにともなって、精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上のように、本発明に係る硬貨識別センサは、均一な磁場を形成することで精度良く磁場変化を検出し、かつ、小型化を図りたい場合に有用であり、特に、硬貨が流通に適するか否かを識別する硬貨識別装置への適用に適している。
【符号の説明】
【0114】
1 硬貨識別センサ
10 硬貨識別センサ
10a 硬貨識別センサ
11 ハウジング
12 搬送面
13 搬送ベルト
14 切り欠き
15a 一次コイル
15b 二次コイル
15c 二次コイル
16a 一次コイル
17a 一次コイル
20 硬貨識別センサ
30 硬貨識別センサ
50 導磁板
51 分割導磁板
52 分割導磁板
100 硬貨
101 硬貨大
102 硬貨小

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、
励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、
前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材と
を備え、
前記第1の磁極部材は、
搬送面側の面の一部が前記搬送面に対して傾きを有するコア部材と、
当該コア部材に巻回された巻線と
を含むことを特徴とする硬貨識別センサ。
【請求項2】
前記コア部材の前記搬送面側の面が凹形を形成することを特徴とする請求項1に記載の硬貨識別センサ。
【請求項3】
搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、
励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、
前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材と
を備え、
前記第1の磁極部材は、
コア部材と、
前記搬送面に対して傾きを有するように当該コア部材に巻回された巻線と
を含むことを特徴とする硬貨識別センサ。
【請求項4】
搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、
励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、
前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材と
を備え、
前記第1の磁極部材は、
搬送面側の面と接する端面の一部が前記搬送面の垂線に対して傾きを有するコア部材と、
当該コア部材に巻回された巻線と
を含むことを特徴とする硬貨識別センサ。
【請求項5】
搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、
励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、
前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材と
を備え、
前記第1の磁極部材は、
コア部材と、
当該コア部材に巻回された巻線と、
当該コア部材および前記検出区間の間に設けられた導磁板と
を備えたことを特徴とする硬貨識別センサ。
【請求項6】
前記導磁板は、
搬送面側の面が前記搬送面に対して傾きを成すように設けられることを特徴とする請求項5に記載の硬貨識別センサ。
【請求項7】
前記導磁板の前記搬送面側の面が凹形を形成することを特徴とする請求項6に記載の硬貨識別センサ。
【請求項8】
前記硬貨の径に応じて前記導磁板の傾きを調整する傾き調整機構をさらに備えたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の硬貨識別センサ。
【請求項9】
搬送路上の検出区間を通過する硬貨を識別する硬貨識別センサであって、
励磁電流により磁場を形成する第1の磁極部材と、
前記検出区間に形成された前記磁場の変化を検出する第2の磁極部材と
を備え、
前記第1の磁極部材は、
回動可能に設けられ、回動量に応じて搬送方向と直交する搬送面側の面の長さが変化するコア部材と、
搬送される前記硬貨の径に応じて当該コア部材を所定位置まで回動する回動機構と、
当該コア部材に巻回された巻線と
を備えたことを特徴とする硬貨識別センサ。
【請求項10】
前記所定位置における前記コア部材の前記搬送面側の面が凹形を形成することを特徴とする請求項9に記載の硬貨識別センサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−248775(P2011−248775A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123381(P2010−123381)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】