説明

硬貨釣銭機

【課題】顧客から預かった硬貨の識別計数をより迅速に行うことができる硬貨釣銭機を提供する。
【解決手段】硬貨釣銭機10は、筐体12と、1または複数の硬貨を筐体12の外部から受け入れる受入部分14aおよび受入部分14aに受け入れられた硬貨を筐体12の内部に1枚ずつ繰り込む繰込機構14b、14cを有する第1の硬貨投入部14とを備えている。また、筐体12の外部から硬貨が1枚ずつ投入されるよう構成された第2の硬貨投入部16が追加的に設けられている。識別部20は、第1の硬貨投入部14に投入された硬貨に加えて、第2の硬貨投入部16に投入された硬貨の識別計数を行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の内部に硬貨が投入され、この投入された硬貨を識別計数するとともに釣銭として硬貨を出金する硬貨釣銭機に関し、とりわけ、顧客から預かった硬貨の識別計数をより迅速に行うことができる硬貨釣銭機に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等のレジには、POSシステム(販売時点情報管理システム)等の上位装置に接続された紙幣処理装置や硬貨処理装置が導入されている(例えば、特許文献1等参照)。概して、紙幣処理装置および硬貨処理装置は併設されている。特許文献1に開示される硬貨処理装置は、硬貨投入口に投入された硬貨を一時的に保留してから金種別に硬貨収納部に収容するとともに硬貨払出口に釣銭として硬貨を払い出すようになっている。ここで、特許文献1に開示される硬貨処理装置としては、受け取った硬貨を釣銭として再利用することができるリサイクルタイプのものが用いられている。
【0003】
より具体的には、特許文献1に開示される硬貨処理装置において、硬貨投入口に投入された硬貨は搬送ベルトにより筐体の内部に搬送される。硬貨投入口には規制ローラが設けられており、この規制ローラにより硬貨投入口に投入された硬貨が1枚ずつ筐体の内部に繰り込まれるようになっている。搬送ベルトで1枚ずつ搬送される硬貨は識別部により識別計数される。
【0004】
【特許文献1】特開2006−309467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の硬貨処理装置では、顧客から預かった硬貨が硬貨投入口に一度に投入され、硬貨投入口から硬貨が1枚ずつ筐体の内部に繰り込まれ、この繰り込まれた硬貨の識別計数が識別部により行われるようになっている。そして、硬貨処理装置による硬貨の識別結果および紙幣処理装置による紙幣の計数結果と、実際の購入品の合計金額とにより釣銭額が算出され、釣銭としての硬貨が硬貨払出口に払い出される。
【0006】
しかしながら、硬貨投入口に一度に投入された複数の硬貨は、非整列状態から1枚ずつ整列状態にされて筐体の内部に繰り込む必要があるため、識別部により識別計数されるまでに時間がかかるという問題があった。とりわけ、顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合は、硬貨投入口で硬貨が立った状態となって回転し、直ぐに筐体の内部に繰り込まれない場合があり、顧客にとって待ち時間が長く感じられるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、追加的に設けられた第2の硬貨投入部に硬貨を1枚ずつ投入することにより、第2の硬貨投入部に投入された硬貨をすぐに識別部により識別計数することができ、このため、より迅速に硬貨の識別計数を行うことができる硬貨釣銭機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の硬貨釣銭機は、筐体と、硬貨を前記筐体の外部から受け入れる受入部分および前記受入部分に受け入れられた硬貨を前記筐体の内部に1枚ずつ繰り込む繰込機構を有する第1の硬貨投入部と、前記筐体の外部から硬貨が1枚ずつ投入されるよう構成された第2の硬貨投入部と、前記筐体の内部に設けられ、前記第1の硬貨投入部の前記繰込機構により前記筐体の内部に繰り込まれた硬貨を搬送する搬送部と、前記第1の硬貨投入部に投入された硬貨および前記第2の硬貨投入部に投入された硬貨の識別計数をそれぞれ行う識別部と、前記識別部による硬貨の計数結果に基づいて釣銭としての硬貨を出金する硬貨払出部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような硬貨釣銭機によれば、1または複数の硬貨を筐体の外部から受け入れるとともにこの受け入れられた硬貨を筐体の内部に1枚ずつ繰り込む第1の硬貨投入部の他に、筐体の外部から硬貨が1枚ずつ投入されるよう構成された第2の硬貨投入部が追加的に設けられており、識別部は、第1の硬貨投入部に投入された硬貨に加えて、第2の硬貨投入部に投入された硬貨の識別計数を行うようになっている。このため、例えば顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合には、この硬貨を第2の硬貨投入部に1枚ずつ投入することにより、第2の硬貨投入部に投入された硬貨をすぐに識別部により識別計数することができる。ここで、複数の硬貨を一度に受け入れるとともにこの受け入れられた硬貨を繰込機構により1枚ずつ筐体の内部に繰り込むような第1の硬貨投入部に硬貨を投入する場合と比較して、第2の硬貨投入部に硬貨を投入した場合には、非整列状態にある複数の硬貨を繰込機構により1枚ずつ筐体の内部に繰り込むための時間を省くことができる分、より迅速に識別部により硬貨の識別計数を行うことができる。
【0010】
本発明の硬貨釣銭機においては、前記識別部は、前記搬送部に介設され、この搬送部により搬送される硬貨の識別計数を行うようになっており、前記第2の硬貨投入部は、この第2の硬貨投入部に投入された硬貨が前記搬送部における前記第1の硬貨投入部と前記識別部との間に送られるよう構成されていることが好ましい。
【0011】
この場合、前記第2の硬貨投入部に投入された硬貨は、前記搬送部における前記識別部の近傍に送られるようになっていることがより好ましい。
【0012】
本発明の硬貨釣銭機においては、前記第2の硬貨投入部は、この第2の硬貨投入部に投入された硬貨が前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に送られるよう構成されており、前記識別部は、前記搬送部に介設され、当該搬送部により搬送される硬貨の識別計数を行う第1の識別部分と、前記第2の硬貨投入部の近傍に設けられ、当該第2の硬貨投入部に投入された硬貨の識別計数を行う第2の識別部分とを有することが好ましい。
【0013】
本発明の硬貨釣銭機においては、前記第1の硬貨投入部の受入部分を開閉自在に塞ぐ蓋部を更に備え、前記第2の硬貨投入部は前記蓋部に設けられており、この第2の硬貨投入部は、前記蓋部が前記受入部分を塞ぐような閉止位置にあるときに当該第2の硬貨投入部に投入された硬貨が前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に送られるよう構成されており、前記識別部は、前記搬送部に介設され、当該搬送部により搬送される硬貨の識別計数を行う第1の識別部分と、前記蓋部に設けられ、前記第2の硬貨投入部に投入された硬貨の識別計数を行う第2の識別部分とを有することが好ましい。
【0014】
この場合、前記蓋部は、前記第1の硬貨投入部の受入部分を塞ぐような閉止位置と当該受入部分を開く開口位置との間で摺動自在となっているシャッター部材からなり、前記シャッター部材が開口位置にあるときに硬貨が前記筐体の外部から前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に受け入れられ、前記シャッター部材が閉止位置にあるときに前記筐体の外部から硬貨が1枚ずつ前記第2の硬貨投入部に投入されるようになっていることがより好ましい。
【0015】
あるいは、前記蓋部は、前記第1の硬貨投入部の受入部分を塞ぐような閉止位置と当該受入部分を開く開口位置との間で移動自在となっており蝶番により前記筐体に取り付けられた扉部材からなり、前記扉部材が開口位置にあるときに硬貨が前記筐体の外部から前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に受け入れられ、前記扉部材が閉止位置にあるときに前記筐体の外部から硬貨が1枚ずつ前記第2の硬貨投入部に投入されるようになっていてもよい。
【0016】
上述のような硬貨釣銭機においては、前記第2の硬貨投入部に硬貨が投入されたときに、前記第1の識別部分による硬貨の識別計数の結果と、前記第2の識別部分による硬貨の識別計数の結果とが一致しているか否かが判断されるようになっていることがより好ましい。
【0017】
また、上述のような硬貨釣銭機においては、前記第2の硬貨投入部に硬貨が投入されたときに、当該第2の硬貨投入部から前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に送られて当該受入部分で保留された硬貨は、前記第1の硬貨投入部に硬貨繰込開始信号が送られたときに前記繰込機構によって前記筐体の内部に1枚ずつ繰り込まれるようになっていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の硬貨釣銭機によれば、顧客から預かった硬貨の識別計数をより迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。ここで、図1乃至図3は、本実施の形態に係る硬貨釣銭機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による硬貨釣銭機の構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す硬貨釣銭機の内部の構成を示す構成図である。また、図3は、図1に示す硬貨釣銭機における第1の硬貨投入部、第2の硬貨投入部、搬送部および識別部の構成を示す概略側面図である。
【0020】
本発明における硬貨釣銭機は、概して、紙幣釣銭機と併設されている。そして、硬貨釣銭機および紙幣釣銭機はそれぞれ例えばPOSレジスタ(販売時点情報管理機能を有する金銭登録機)からなる制御端末機に接続されている。制御端末機は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨釣銭機や紙幣釣銭機に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。制御端末機はホストサーバに接続されており、この制御端末機からホストサーバに売上情報等が送信されるようになっている。
【0021】
図1等に示すように、本実施の形態に係る硬貨釣銭機10は、略直方体形状の筐体12と、筐体12の外部から硬貨がそれぞれ投入される第1の硬貨投入部14および第2の硬貨投入部16と、釣銭としての硬貨を出金する硬貨払出部30とを備えている。
【0022】
第1の硬貨投入部14は、1または複数の硬貨を筐体12の外部から受け入れるとともにこの受け入れられた硬貨を筐体12の内部に1枚ずつ繰り込むようになっている。より具体的には、図3に示すように、第1の硬貨投入部14は、1または複数の硬貨Cを筐体12の外部から非整列状態で受け入れる受入部分14aと、受入部分14aに非整列状態で受け入れられた硬貨Cを筐体12の内部に向かって搬送する搬送ベルト14bと、搬送ベルト14bと僅かな隙間を隔てて設けられ、当該隙間において搬送ベルト14bによる硬貨Cの搬送方向と逆方向(図3の矢印方向)に回転する逆転ローラ14cとを有している。ここで、搬送ベルト14bおよび逆転ローラ14cにより、受入部分14aに受け入れられた硬貨Cを筐体12の内部に1枚ずつ繰り込む繰込機構が構成されている。
【0023】
筐体12の内部には搬送部18が設けられている。この搬送部18は、第1の硬貨投入部14の繰込機構により筐体12の内部に繰り込まれた硬貨を1枚ずつ搬送するようになっている。図3に示すように、搬送部18は複数の搬送ベルトを有している。図2および図3に示すように、この搬送部18には、当該搬送部18により搬送される硬貨の識別計数を行う識別部20が介設されている。
【0024】
図1等に示すように、第2の硬貨投入部16は、筐体12の外部から硬貨が1枚ずつ整列状態で投入されるよう構成されている。この第2の硬貨投入部16の開口部分の大きさは、硬貨釣銭機10の筐体12の内部に投入されるべき硬貨よりもわずかに大きなものとなっている。図3に示すように、第2の硬貨投入部16は、この第2の硬貨投入部16に投入された硬貨が搬送部18における第1の硬貨投入部14と識別部20との間に送られるよう構成されている。より具体的には、第2の硬貨投入部16に投入された硬貨は、搬送部18における識別部20の近傍に送られるようになっている。すなわち、第2の硬貨投入部16に投入された硬貨は、すぐに識別部20により識別計数されるようになっている。
【0025】
図2に示すように、搬送部18における識別部20よりも下流側には分岐部23が設けられている。識別部20により正常な硬貨であると識別された硬貨は、分岐部23から入金搬送部26に送られるようになっている。一方、識別部20により正常な硬貨ではないと識別された硬貨(リジェクト硬貨)は、分岐部23から直接硬貨払出部30に送られるようになっている。
【0026】
図2に示すように、筐体12の内部には、硬貨の収納を金種別に行う収納部24が設けられている。この収納部24は、各金種に対応する複数の収納部部分24a〜24fを有しており、各収納部部分24a〜24fに、それぞれ対応する金種の硬貨が収納されるようになっている。分岐部23から入金搬送部26に送られた硬貨は、金種別に収納部24の各収納部部分24a〜24fに収納されるようになっている。また、収納部24の各収納部部分24a〜24fには出金搬送部28が接続されており、これらの各収納部部分24a〜24fに収納された硬貨は出金搬送部28を介して硬貨払出部30に釣銭として出金されるようになっている。
【0027】
次に、このような構成からなる硬貨釣銭機10の動作について説明する。
【0028】
オペレータが顧客から紙幣や硬貨を預かったり、オペレータが収納部24に釣銭としての硬貨を補充したりする場合には、オペレータは、硬貨を硬貨釣銭機10の内部に投入する。具体的には、顧客から預かった硬貨の枚数が多い場合や、収納部24に釣銭としての硬貨を補充する場合には、オペレータは第1の硬貨投入部14に硬貨を投入する。第1の硬貨投入部14に投入された硬貨は受入部分14aに受け入れられ、搬送ベルト14bおよび逆転ローラ14cからなる繰込機構により筐体12の内部に1枚ずつ繰り込まれる。筐体12の内部に繰り込まれた硬貨は搬送部18により1枚ずつ搬送され、識別部20によりこの硬貨の識別計数が行われる。識別部20により識別された硬貨が正常な硬貨である場合には、この硬貨は分岐部23から入金搬送部26に送られ、当該硬貨の金種に対応する収納部24の収納部部分24a〜24fに収納される。一方、識別部20により正常な硬貨ではないと識別された硬貨(リジェクト硬貨)は、分岐部23から直接硬貨払出部30に送られる。
【0029】
一方、オペレータが顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合には、オペレータは第2の硬貨投入部16に硬貨を投入する。この第2の硬貨投入部16に投入された硬貨は搬送部18からすぐに識別部20に送られ、この識別部20で識別計数されることとなる。識別部20により識別された硬貨は、前述のように、当該硬貨の金種に対応する収納部24の収納部部分24a〜24fに収納されるか、あるいは分岐部23から直接硬貨払出部30に送られる。
【0030】
その後、顧客に釣銭としての硬貨を返却する場合には、硬貨釣銭機10の識別部20による硬貨の計数結果と、紙幣釣銭機による紙幣の計数結果と、実際の購入品の合計金額とにより釣銭額が算出される。そして、釣銭としての硬貨が収納部24の各収納部部分24a〜24fから出金搬送部28に繰り込まれ、出金搬送部28から硬貨払出部30に硬貨が送られる。オペレータは、硬貨払出部30に出金された硬貨を釣銭として顧客に返却する。
【0031】
以上のように本実施の形態の硬貨釣銭機10によれば、1または複数の硬貨を筐体12の外部から受け入れるとともにこの受け入れられた硬貨を筐体12の内部に1枚ずつ繰り込む第1の硬貨投入部14の他に、筐体12の外部から硬貨が1枚ずつ投入されるよう構成された第2の硬貨投入部16が追加的に設けられており、識別部20は、第1の硬貨投入部14に投入された硬貨に加えて、第2の硬貨投入部16に投入された硬貨の識別計数を行うようになっている。このため、例えば顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合には、この硬貨を第2の硬貨投入部16に1枚ずつ投入することにより、第2の硬貨投入部16に投入された硬貨をすぐに識別部20により識別計数することができる。ここで、複数の硬貨を一度に受け入れるとともにこの受け入れられた硬貨を繰込機構により1枚ずつ筐体12の内部に繰り込むような第1の硬貨投入部14に硬貨を投入する場合と比較して、第2の硬貨投入部16に硬貨を投入した場合には、非整列状態にある複数の硬貨を繰込機構により1枚ずつ筐体12の内部に繰り込むための時間を省くことができる分、より迅速に識別部20により硬貨の識別計数を行うことができる。
【0032】
また、本実施の形態の硬貨釣銭機10においては、図3に示すように、第2の硬貨投入部16は、この第2の硬貨投入部16に投入された硬貨が搬送部18における第1の硬貨投入部14と識別部20との間に送られるよう構成されている。より具体的には、第2の硬貨投入部16に投入された硬貨は、搬送部18における識別部20の近傍に送られるようになっている。このことにより、第2の硬貨投入部16に投入された硬貨は、すぐに識別部20により識別計数することができる。
【0033】
第2の実施の形態
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで、図4乃至図7は、本実施の形態に係る硬貨釣銭機を示す図である。このうち、図4は、本実施の形態による硬貨釣銭機の構成を示す斜視図であり、図5は、図4に示す硬貨釣銭機の内部の構成を示す構成図である。また、図6は、図4に示す硬貨釣銭機における第1の硬貨投入部、第2の硬貨投入部、搬送部および識別部の構成を示す概略側面図であり、図7は、図6に示す硬貨釣銭機のA−A矢視による側面図である。図4乃至図7に示す第2の実施の形態の硬貨釣銭機において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態の硬貨釣銭機と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施の形態に係る硬貨釣銭機40は、図1乃至図3に示す硬貨釣銭機10と比較して、概ね第1の硬貨投入部および第2の硬貨投入部の構成が異なるのみであり、他は実質的に図1乃至図3に示す硬貨釣銭機10と同様の構成を有している。本実施の形態に係る硬貨釣銭機40について以下に説明する。
【0035】
硬貨釣銭機40は、筐体12の外部から硬貨がそれぞれ投入される第1の硬貨投入部44および第2の硬貨投入部46を備えている。
【0036】
第1の硬貨投入部44は、1または複数の硬貨を筐体12の外部から受け入れるとともにこの受け入れられた硬貨を筐体12の内部に1枚ずつ繰り込むようになっている。より具体的には、図6に示すように、第1の硬貨投入部44は、1または複数の硬貨Cを筐体12の外部から非整列状態で受け入れる受入部分44aと、受入部分44aに非整列状態で受け入れられた硬貨Cを筐体12の内部に向かって搬送する搬送ベルト44bと、搬送ベルト44bと僅かな隙間を隔てて設けられ、当該隙間において搬送ベルト44bによる硬貨Cの搬送方向と逆方向(図6の矢印方向)に回転する逆転ローラ44cとを有している。ここで、搬送ベルト44bおよび逆転ローラ44cにより、受入部分44aに受け入れられた硬貨Cを筐体12の内部に1枚ずつ繰り込む繰込機構が構成されている。
【0037】
第2の硬貨投入部46は、筐体12の外部から硬貨が1枚ずつ整列状態で投入されるよう構成されている。図4等に示すように、第2の硬貨投入部46は第1の硬貨投入部44の近傍に設けられており、この第2の硬貨投入部46に投入された硬貨は第1の硬貨投入部44の受入部分44aに送られるようになっている。より具体的には、第2の硬貨投入部46は、オペレータにより硬貨が投入される硬貨投入口46aと、硬貨投入口46aに投入された硬貨が自重により下方に向かって搬送される硬貨搬送路46bと、第1の硬貨投入部44の受入部分44aの側壁に設けられた硬貨放出口46cとを有している。硬貨投入口46aの開口部分の大きさは、硬貨釣銭機40の筐体12の内部に投入されるべき硬貨よりもわずかに大きなものとなっている。第2の硬貨投入部46において、硬貨投入口46aに投入された硬貨は硬貨搬送路46bで搬送されて硬貨放出口46cから放出され、最終的に受入部分44aに送られるようになっている。
【0038】
また、図6および図7に示すように、第2の硬貨投入部46の近傍には識別部21が追加的に設けられている。この識別部21は、搬送部18に介設された識別部20と同様に、第2の硬貨投入部46の硬貨搬送路46bで搬送される硬貨の識別計数を行うようになっている。すなわち、第2の硬貨投入部46の硬貨投入口46aに投入された硬貨は、すぐに識別部21により識別計数されるようになっている。
【0039】
ここで、本実施の形態においては、2つの識別部20、21のうち、搬送部18に介設された識別部20を第1の識別部分とし、第2の硬貨投入部46の近傍に設けられた識別部21を第2の識別部分とする。
【0040】
次に、このような構成からなる硬貨釣銭機40の動作について説明する。
【0041】
オペレータが顧客から紙幣や硬貨を預かったり、オペレータが収納部24に釣銭としての硬貨を補充したりする場合には、オペレータは、硬貨を硬貨釣銭機40の内部に投入する。具体的には、顧客から預かった硬貨の枚数が多い場合や、収納部24に釣銭としての硬貨を補充する場合には、オペレータは第1の硬貨投入部44に硬貨を投入する。第1の硬貨投入部44に投入された硬貨は受入部分44aに受け入れられ、搬送ベルト44bおよび逆転ローラ44cからなる繰込機構により筐体12の内部に1枚ずつ繰り込まれる。筐体12の内部に繰り込まれた硬貨は搬送部18により1枚ずつ搬送され、識別部20によりこの硬貨の識別計数が行われる。識別部20により識別された硬貨が正常な硬貨である場合には、この硬貨は分岐部23から入金搬送部26に送られ、当該硬貨の金種に対応する収納部24の収納部部分24a〜24fに収納される。一方、識別部20により正常な硬貨ではないと識別された硬貨(リジェクト硬貨)は、分岐部23から直接硬貨払出部30に送られる。
【0042】
その後、顧客に釣銭としての硬貨を返却する場合には、硬貨釣銭機40の識別部20による硬貨の計数結果と、紙幣釣銭機による紙幣の計数結果と、実際の購入品の合計金額とにより釣銭額が算出される。そして、釣銭としての硬貨が収納部24の各収納部部分24a〜24fから出金搬送部28に繰り込まれ、出金搬送部28から硬貨払出部30に硬貨が送られる。オペレータは、硬貨払出部30に出金された硬貨を釣銭として顧客に返却する。
【0043】
一方、オペレータが顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合には、オペレータは第2の硬貨投入部46の硬貨投入口46aに硬貨を投入する。この第2の硬貨投入部46の硬貨投入口46aに投入された硬貨は硬貨搬送路46bで搬送されて硬貨放出口46cから受入部分44aに送られる。ここで、第2の硬貨投入部46の硬貨投入口46aに投入された硬貨が硬貨搬送路46bで搬送される際に、この硬貨は識別部21により識別計数される。
【0044】
そして、硬貨釣銭機40の識別部21による硬貨の計数結果と、紙幣釣銭機による紙幣の計数結果と、実際の購入品の合計金額とにより釣銭額が算出される。そして、釣銭としての硬貨が収納部24の各収納部部分24a〜24fから出金搬送部28に繰り込まれ、出金搬送部28から硬貨払出部30に硬貨が送られる。オペレータは、硬貨払出部30に出金された硬貨を釣銭として顧客に返却する。第2の硬貨投入部46から第1の硬貨投入部44の受入部分44aに送られ、この受入部分44aに保留された硬貨は、制御端末機から硬貨釣銭機40の第1の硬貨投入部44に硬貨繰込開始信号が送られたときに、第1の硬貨投入部44の繰込機構により筐体12の内部に1枚ずつ繰り込まれる。その後、筐体12の内部に繰り込まれた硬貨は搬送部18により1枚ずつ搬送され、識別部20によりこの硬貨の識別計数が行われる。
【0045】
なお、オペレータにより第2の硬貨投入部46に硬貨が投入された場合には、識別部20による硬貨の識別計数の結果と、識別部21による硬貨の識別計数の結果とが一致しているか否かが判断される。そして、両者の識別計数の結果が一致していない場合には、制御端末機により音声または画面の表示にてオペレータに警報が送られたり、制御端末機からホストサーバにこの情報が送られたりするようになっている。
【0046】
以上のように本実施の形態の硬貨釣銭機40によれば、第2の硬貨投入部46は、この第2の硬貨投入部46に投入された硬貨が第1の硬貨投入部44の受入部分44aに送られるよう構成されている。そして、搬送部18に介設された識別部20の他に、第2の硬貨投入部46の近傍に識別部21が追加的に設けられており、第2の硬貨投入部46に投入された硬貨の識別計数が識別部21により行われるようになっている。このため、例えば顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合には、この硬貨を第2の硬貨投入部46に1枚ずつ投入することにより、第2の硬貨投入部46に投入された硬貨をすぐに識別部21により識別計数することができる。ここで、第2の硬貨投入部46に硬貨を投入した場合には、即座に識別部21により投入硬貨の識別計数を行うことができるため、第1の硬貨投入部44に直接硬貨を投入した場合と比較して、非整列状態にある複数の硬貨を繰込機構により1枚ずつ筐体12の内部に繰り込むための時間を省くことができる分、より迅速に識別部20により硬貨の識別計数を行うことができる。
【0047】
また、第2の硬貨投入部46に硬貨が投入されたときに、識別部20による硬貨の識別計数の結果と、識別部21による硬貨の識別計数の結果とが一致しているか否かが判断されるようになっている。ここで、基本的には、第2の硬貨投入部46を使用するときには、第1の硬貨投入部44に直接的に硬貨を投入することがないが、第2の硬貨投入部46を使用するときに誤って第1の硬貨投入部44に直接的に硬貨を投入した場合には、このことを検出することができる。
【0048】
また、第2の硬貨投入部46に硬貨が投入されたときに、当該第2の硬貨投入部46から第1の硬貨投入部44の受入部分44aに送られた硬貨は、第1の硬貨投入部44に硬貨繰込開始信号が送られたときにはじめて繰込機構によって筐体12の内部に1枚ずつ繰り込まれるようになっている。このため、第2の硬貨投入部46から第1の硬貨投入部44の受入部分44aに送られた硬貨は受入部分44aで一時的に保留されることとなるため、第1の硬貨投入部44の受入部分44aを一時保留部として使用することができるようになる。
【0049】
なお、本実施の形態における硬貨釣銭機40において、第1の硬貨投入部44の受入部分44aを開閉自在に塞ぐ蓋部(図示せず)を設けてもよい。このような蓋部を設けた場合には、店舗の営業期間中は蓋部により第1の硬貨投入部44の受入部分44aを塞ぎ、オペレータは顧客から預かった硬貨をその枚数の大小に関係なく第2の硬貨投入部46に投入するようになる。一方、硬貨釣銭機40の収納部24に釣銭としての硬貨を補充する場合には、蓋部を開いて第1の硬貨投入部44の受入部分44aに直接的に硬貨を投入し、この受入部分44aに投入された硬貨を筐体12の内部に繰り込むことにより収納部24の各収納部部分24a〜24fに硬貨を金種別に収納させる。
【0050】
第3の実施の形態
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで、図8乃至図12は、本実施の形態に係る硬貨釣銭機を示す図である。このうち、図8は、本実施の形態による硬貨釣銭機の構成を示す斜視図であり、図9は、図8に示す硬貨釣銭機の内部の構成を示す構成図である。また、図10は、図8に示す硬貨釣銭機における第1の硬貨投入部、第2の硬貨投入部、搬送部、識別部および蓋部の構成を示す概略側面図である。また、図11は、図10に示す硬貨釣銭機のB−B矢視による側面図であって、シャッター部材が閉止位置にあるときの状態を示す図であり、図12は、図10に示す硬貨釣銭機のB−B矢視による側面図であって、シャッター部材が開口位置にあるときの状態を示す図である。図8乃至図12に示す第3の実施の形態の硬貨釣銭機において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態の硬貨釣銭機と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施の形態に係る硬貨釣銭機50は、図1乃至図3に示す硬貨釣銭機10と比較して、概ね第1の硬貨投入部および第2の硬貨投入部の構成が異なるのみであり、他は実質的に図1乃至図3に示す硬貨釣銭機10と同様の構成を有している。本実施の形態に係る硬貨釣銭機50について以下に説明する。
【0052】
硬貨釣銭機50は、筐体12の外部から硬貨がそれぞれ投入される第1の硬貨投入部54および第2の硬貨投入部56と、第1の硬貨投入部54の受入部分54aを開閉自在に塞ぐ蓋部58とを備えている。
【0053】
第1の硬貨投入部54は、1または複数の硬貨を筐体12の外部から受け入れるとともにこの受け入れられた硬貨を筐体12の内部に1枚ずつ繰り込むようになっている。より具体的には、図10に示すように、第1の硬貨投入部54は、1または複数の硬貨Cを筐体12の外部から非整列状態で受け入れる受入部分54aと、受入部分54aに非整列状態で受け入れられた硬貨Cを筐体12の内部に向かって搬送する搬送ベルト54bと、搬送ベルト54bと僅かな隙間を隔てて設けられ、当該隙間において搬送ベルト54bによる硬貨Cの搬送方向と逆方向(図10の矢印方向)に回転する逆転ローラ54cとを有している。ここで、搬送ベルト54bおよび逆転ローラ54cにより、受入部分54aに受け入れられた硬貨Cを筐体12の内部に1枚ずつ繰り込む繰込機構が構成されている。
【0054】
図8等に示すように、第1の硬貨投入部54の受入部分54aを開閉自在に塞ぐ蓋部58はシャッター部材から構成されている。より具体的には、蓋部58は、略直方体形状の本体部分58aと、本体部分58aを案内するガイドレール58bとを有している。本体部分58aは、ガイドレール58bに沿って、第1の硬貨投入部54の受入部分54aを塞ぐような閉止位置(図8や図11参照)と、この受入部分54aを開く開口位置(図12参照)との間で摺動自在となっている。すなわち、蓋部58の本体部分58aは、ガイドレール58bに沿って図8の矢印方向に往復移動するようになっている。
【0055】
第2の硬貨投入部56は、筐体12の外部から硬貨が1枚ずつ投入されるよう構成されている。図10等に示すように、第2の硬貨投入部56は蓋部58に設けられている。そして、蓋部58の本体部分58aが図8や図11に示すような閉止位置にあるときにおいて、第2の硬貨投入部56に投入された硬貨は第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られるようになっている。より具体的には、第2の硬貨投入部56は、蓋部58の上面に設けられオペレータにより硬貨が投入される硬貨投入口56aと、硬貨投入口56aに投入された硬貨が自重により下方に向かって搬送される硬貨搬送路56bと、蓋部58の下面に設けられた硬貨放出口56cとを有している。硬貨投入口56aの開口部分の大きさは、硬貨釣銭機50の筐体12の内部に投入されるべき硬貨よりもわずかに大きなものとなっている。第2の硬貨投入部56において、硬貨投入口56aに投入された硬貨は硬貨搬送路56bで搬送されて硬貨放出口56cから放出され、最終的に受入部分54aに送られるようになっている。
【0056】
蓋部58の本体部分58aが図12に示すような開口位置にあるときには、1または複数の硬貨が筐体12の外部から第1の硬貨投入部54の受入部分54aに直接的に受け入れられるようになっている。一方、蓋部58の本体部分58aが図8や図11に示すような閉止位置にあるときには、筐体12の外部から硬貨が1枚ずつ第2の硬貨投入部56に投入され、この投入された硬貨は第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られるようになっている。
【0057】
また、図10乃至図12に示すように、蓋部58には識別部22が追加的に設けられている。この識別部22は、搬送部18に介設された識別部20と同様に、第2の硬貨投入部56の硬貨搬送路56bで搬送される硬貨の識別計数を行うようになっている。すなわち、第2の硬貨投入部56の硬貨投入口56aに投入された硬貨は、すぐに識別部22により識別計数されるようになっている。
【0058】
ここで、本実施の形態においては、2つの識別部20、22のうち、搬送部18に介設された識別部20を第1の識別部分とし、蓋部58に設けられた識別部22を第2の識別部分とする。
【0059】
次に、このような構成からなる硬貨釣銭機50の動作について説明する。
【0060】
オペレータが顧客から紙幣や硬貨を預かったり、オペレータが収納部24に釣銭としての硬貨を補充したりする場合には、オペレータは、硬貨を硬貨釣銭機50の内部に投入する。具体的には、顧客から預かった硬貨の枚数が多い場合や、収納部24に釣銭としての硬貨を補充する場合には、蓋部58を図12に示すような開口位置に移動させ、オペレータは第1の硬貨投入部54に硬貨を投入する。第1の硬貨投入部54に投入された硬貨は受入部分54aに受け入れられ、搬送ベルト54bおよび逆転ローラ54cからなる繰込機構により筐体12の内部に1枚ずつ繰り込まれる。筐体12の内部に繰り込まれた硬貨は搬送部18により1枚ずつ搬送され、識別部20によりこの硬貨の識別計数が行われる。識別部20により識別された硬貨が正常な硬貨である場合には、この硬貨は分岐部23から入金搬送部26に送られ、当該硬貨の金種に対応する収納部24の収納部部分24a〜24fに収納される。一方、識別部20により正常な硬貨ではないと識別された硬貨(リジェクト硬貨)は、分岐部23から直接硬貨払出部30に送られる。
【0061】
その後、顧客に釣銭としての硬貨を返却する場合には、硬貨釣銭機50の識別部20による硬貨の計数結果と、紙幣釣銭機による紙幣の計数結果と、実際の購入品の合計金額とにより釣銭額が算出される。そして、釣銭としての硬貨が収納部24の各収納部部分24a〜24fから出金搬送部28に繰り込まれ、出金搬送部28から硬貨払出部30に硬貨が送られる。オペレータは、硬貨払出部30に出金された硬貨を釣銭として顧客に返却する。
【0062】
一方、オペレータが顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合には、蓋部58を図10や図11に示すような閉止位置に移動させ、オペレータは第2の硬貨投入部56の硬貨投入口56aに硬貨を投入する。なお、店舗の営業期間中において、蓋部58は図10や図11に示すような閉止位置に常時位置するようになっていてもよい。この場合は、オペレータは顧客から預かった硬貨をその枚数の大小に関係なく第2の硬貨投入部56に投入することとなる。また、この場合、硬貨釣銭機40の収納部24に釣銭としての硬貨を補充するときにのみ、蓋部58を図12に示すような開口位置に移動させることとなる。
【0063】
第2の硬貨投入部56の硬貨投入口56aに投入された硬貨は硬貨搬送路56bで搬送されて硬貨放出口56cから受入部分54aに送られる。ここで、第2の硬貨投入部56の硬貨投入口56aに投入された硬貨が硬貨搬送路56bで搬送される際に、この硬貨は識別部22により識別計数される。
【0064】
そして、硬貨釣銭機50の識別部22による硬貨の計数結果と、紙幣釣銭機による紙幣の計数結果と、実際の購入品の合計金額とにより釣銭額が算出される。そして、釣銭としての硬貨が収納部24の各収納部部分24a〜24fから出金搬送部28に繰り込まれ、出金搬送部28から硬貨払出部30に硬貨が送られる。オペレータは、硬貨払出部30に出金された硬貨を釣銭として顧客に返却する。第2の硬貨投入部56から第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られ、この受入部分54aに保留された硬貨は、制御端末機から硬貨釣銭機50の第1の硬貨投入部54に硬貨繰込開始信号が送られたときに、第1の硬貨投入部54の繰込機構により筐体12の内部に1枚ずつ繰り込まれる。その後、筐体12の内部に繰り込まれた硬貨は搬送部18により1枚ずつ搬送され、識別部20によりこの硬貨の識別計数が行われる。
【0065】
なお、オペレータにより第2の硬貨投入部56に硬貨が投入された場合には、識別部20による硬貨の識別計数の結果と、識別部22による硬貨の識別計数の結果とが一致しているか否かが判断される。そして、両者の識別計数の結果が一致していない場合には、制御端末機により音声または画面の表示にてオペレータに警報が送られたり、制御端末機からホストサーバにこの情報が送られたりするようになっている。
【0066】
以上のように本実施の形態の硬貨釣銭機50によれば、第1の硬貨投入部54の受入部分54aを開閉自在に塞ぐ蓋部58が設置されており、第2の硬貨投入部56は蓋部58に設けられており、蓋部58が受入部分54aを塞ぐような閉止位置にあるときにこの第2の硬貨投入部56に投入された硬貨が第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られるようになっている。そして、搬送部18に介設された識別部20の他に、蓋部58に識別部22が追加的に設けられており、第2の硬貨投入部56に投入された硬貨の識別計数が識別部22により行われるようになっている。このため、例えば顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合には、この硬貨を第2の硬貨投入部56に1枚ずつ投入することにより、第2の硬貨投入部56に投入された硬貨をすぐに識別部22により識別計数することができる。ここで、第2の硬貨投入部56に硬貨を投入した場合には、第1の硬貨投入部54に硬貨を投入した場合と比較して、非整列状態にある複数の硬貨を繰込機構により1枚ずつ筐体12の内部に繰り込むための時間を省くことができる分、より迅速に識別部22により硬貨の識別計数を行うことができる。
【0067】
また、第2の硬貨投入部56に硬貨が投入されたときに、識別部20による硬貨の識別計数の結果と、識別部22による硬貨の識別計数の結果とが一致しているか否かが判断されるようになっている。ここで、基本的には、第2の硬貨投入部56を使用するときには、第1の硬貨投入部54に直接的に硬貨を投入することがないが、第2の硬貨投入部56を使用するときに誤って第1の硬貨投入部54に直接的に硬貨を投入した場合には、このことを検出することができる。
【0068】
また、第2の硬貨投入部56に硬貨が投入されたときに、当該第2の硬貨投入部56から第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られた硬貨は、第1の硬貨投入部54に硬貨繰込開始信号が送られたときにはじめて繰込機構によって筐体12の内部に1枚ずつ繰り込まれるようになっている。このため、第2の硬貨投入部56から第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られた硬貨は受入部分54aで一時的に保留されることとなるため、第1の硬貨投入部54の受入部分54aを一時保留部として使用することができるようになる。
【0069】
なお、本実施の形態における硬貨釣銭機において、第1の硬貨投入部54の受入部分54aを開閉自在に塞ぐ蓋部は、図8乃至図12に示すようなシャッター部材からなるものに限定されることはない。次に、図13および図14により、本実施の形態における硬貨釣銭機の他の例について説明する。ここで、図13は、本実施の形態による硬貨釣銭機の他の構成を示す斜視図であり、図14は、図13に示す硬貨釣銭機における第1の硬貨投入部、第2の硬貨投入部および蓋部の構成を示す概略側面図である。
【0070】
図13および図14に示すような硬貨釣銭機60においては、蓋部はシャッター部材ではなく、蝶番により筐体12に取り付けられた蓋部材から構成されている。より具体的には、図13および図14に示すような硬貨釣銭機60における蓋部62は、略直方体形状の本体部分62aと、本体部分62aを筐体12に取り付けるための蝶番62bとから構成されている。そして、本体部分62aは筐体12に対して蝶番62bを中心として図13や図14の矢印方向に往復移動するようになっている。
【0071】
また、図13や図14に示すように、第2の硬貨投入部56は蓋部62に設けられている。そして、蓋部62の本体部分62aが図13や図14に示すような閉止位置にあるときにおいて、第2の硬貨投入部56に投入された硬貨は第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られるようになっている。
【0072】
図13および図14に示すような硬貨釣銭機60においても、蓋部62の本体部分62aを移動させて第1の硬貨投入部54の受入部分54aを開いたときには、1または複数の硬貨が筐体12の外部から第1の硬貨投入部54の受入部分54aに直接的に受け入れられる。一方、蓋部62の本体部分62aが図13や図14に示すような閉止位置にあるときには、筐体12の外部から硬貨が1枚ずつ第2の硬貨投入部56に投入され、この投入された硬貨は第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られる。
【0073】
このように、図13および図14に示すような硬貨釣銭機60でも、図8乃至図12に示すような硬貨釣銭機50と同様に、第2の硬貨投入部56は蓋部62に設けられており、蓋部62が第1の硬貨投入部54の受入部分54aを塞ぐような閉止位置にあるときにこの第2の硬貨投入部56に投入された硬貨が第1の硬貨投入部54の受入部分54aに送られるようになっている。そして、搬送部18に介設された識別部20の他に、蓋部62に識別部22が追加的に設けられており、第2の硬貨投入部56に投入された硬貨の識別計数が識別部22により行われるようになっている。このため、例えば顧客から預かった硬貨の枚数が少ない場合には、この硬貨を第2の硬貨投入部56に1枚ずつ投入することにより、第2の硬貨投入部56に投入された硬貨をすぐに識別部22により識別計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施の形態による硬貨釣銭機の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す硬貨釣銭機の内部の構成を示す構成図である。
【図3】図1に示す硬貨釣銭機における第1の硬貨投入部、第2の硬貨投入部、搬送部および識別部の構成を示す概略側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による硬貨釣銭機の構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示す硬貨釣銭機の内部の構成を示す構成図である。
【図6】図4に示す硬貨釣銭機における第1の硬貨投入部、第2の硬貨投入部、搬送部および識別部の構成を示す概略側面図である。
【図7】図6に示す硬貨釣銭機のA−A矢視による側面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による硬貨釣銭機の構成を示す斜視図である。
【図9】図8に示す硬貨釣銭機の内部の構成を示す構成図である。
【図10】図8に示す硬貨釣銭機における第1の硬貨投入部、第2の硬貨投入部、搬送部、識別部および蓋部の構成を示す概略側面図である。
【図11】図10に示す硬貨釣銭機のB−B矢視による側面図であって、シャッター部材が閉止位置にあるときの状態を示す図である。
【図12】図10に示す硬貨釣銭機のB−B矢視による側面図であって、シャッター部材が開口位置にあるときの状態を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態による硬貨釣銭機の他の構成を示す斜視図である。
【図14】図13に示す硬貨釣銭機における第1の硬貨投入部、第2の硬貨投入部および蓋部の構成を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 硬貨釣銭機
12 筐体
14 第1の硬貨投入部
14a 受入部分
14b 搬送ベルト
14c 逆転ローラ
16 第2の硬貨投入部
18 搬送部
20〜22 識別部
23 分岐部
24 収納部
24a〜24f 収納部部分
26 入金搬送部
28 出金搬送部
30 硬貨払出部
40 硬貨釣銭機
44 第1の硬貨投入部
44a 受入部分
44b 搬送ベルト
44c 逆転ローラ
46 第2の硬貨投入部
46a 硬貨投入口
46b 硬貨搬送路
46c 硬貨放出口
50 硬貨釣銭機
54 第1の硬貨投入部
54a 受入部分
54b 搬送ベルト
54c 逆転ローラ
56 第2の硬貨投入部
56a 硬貨投入口
56b 硬貨搬送路
56c 硬貨放出口
58 蓋部
58a 本体部分
58b ガイドレール
60 硬貨釣銭機
62 蓋部
62a 本体部分
62b 蝶番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
硬貨を前記筐体の外部から受け入れる受入部分および前記受入部分に受け入れられた硬貨を前記筐体の内部に1枚ずつ繰り込む繰込機構を有する第1の硬貨投入部と、
前記筐体の外部から硬貨が1枚ずつ投入されるよう構成された第2の硬貨投入部と、
前記筐体の内部に設けられ、前記第1の硬貨投入部の前記繰込機構により前記筐体の内部に繰り込まれた硬貨を搬送する搬送部と、
前記第1の硬貨投入部に投入された硬貨および前記第2の硬貨投入部に投入された硬貨の識別計数をそれぞれ行う識別部と、
前記識別部による硬貨の計数結果に基づいて釣銭としての硬貨を出金する硬貨払出部と、
を備えたことを特徴とする硬貨釣銭機。
【請求項2】
前記識別部は、前記搬送部に介設され、この搬送部により搬送される硬貨の識別計数を行うようになっており、
前記第2の硬貨投入部は、この第2の硬貨投入部に投入された硬貨が前記搬送部における前記第1の硬貨投入部と前記識別部との間に送られるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の硬貨釣銭機。
【請求項3】
前記第2の硬貨投入部に投入された硬貨は、前記搬送部における前記識別部の近傍に送られるようになっていることを特徴とする請求項2記載の硬貨釣銭機。
【請求項4】
前記第2の硬貨投入部は、この第2の硬貨投入部に投入された硬貨が前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に送られるよう構成されており、
前記識別部は、前記搬送部に介設され、当該搬送部により搬送される硬貨の識別計数を行う第1の識別部分と、前記第2の硬貨投入部の近傍に設けられ、当該第2の硬貨投入部に投入された硬貨の識別計数を行う第2の識別部分とを有することを特徴とする請求項1記載の硬貨釣銭機。
【請求項5】
前記第1の硬貨投入部の受入部分を開閉自在に塞ぐ蓋部を更に備え、
前記第2の硬貨投入部は前記蓋部に設けられており、この第2の硬貨投入部は、前記蓋部が前記受入部分を塞ぐような閉止位置にあるときに当該第2の硬貨投入部に投入された硬貨が前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に送られるよう構成されており、
前記識別部は、前記搬送部に介設され、当該搬送部により搬送される硬貨の識別計数を行う第1の識別部分と、前記蓋部に設けられ、前記第2の硬貨投入部に投入された硬貨の識別計数を行う第2の識別部分とを有することを特徴とする請求項1記載の硬貨釣銭機。
【請求項6】
前記蓋部は、前記第1の硬貨投入部の受入部分を塞ぐような閉止位置と当該受入部分を開く開口位置との間で摺動自在となっているシャッター部材からなり、
前記シャッター部材が開口位置にあるときに硬貨が前記筐体の外部から前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に受け入れられ、前記シャッター部材が閉止位置にあるときに前記筐体の外部から硬貨が1枚ずつ前記第2の硬貨投入部に投入されるようになっていることを特徴とする請求項5記載の硬貨釣銭機。
【請求項7】
前記蓋部は、前記第1の硬貨投入部の受入部分を塞ぐような閉止位置と当該受入部分を開く開口位置との間で移動自在となっており蝶番により前記筐体に取り付けられた扉部材からなり、
前記扉部材が開口位置にあるときに硬貨が前記筐体の外部から前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に受け入れられ、前記扉部材が閉止位置にあるときに前記筐体の外部から硬貨が1枚ずつ前記第2の硬貨投入部に投入されるようになっていることを特徴とする請求項5記載の硬貨釣銭機。
【請求項8】
前記第2の硬貨投入部に硬貨が投入されたときに、前記第1の識別部分による硬貨の識別計数の結果と、前記第2の識別部分による硬貨の識別計数の結果とが一致しているか否かが判断されるようになっていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の硬貨釣銭機。
【請求項9】
前記第2の硬貨投入部に硬貨が投入されたときに、当該第2の硬貨投入部から前記第1の硬貨投入部の前記受入部分に送られて当該受入部分で保留された硬貨は、前記第1の硬貨投入部に硬貨繰込開始信号が送られたときに前記繰込機構によって前記筐体の内部に1枚ずつ繰り込まれるようになっていることを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載の硬貨釣銭機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate