説明

硬質ポリウレタンフォームの発泡装置

【課題】硬質ポリウレタン発泡装置において、液化二酸化炭素の一部が気体状態となり圧送が困難となることのない発泡装置の提供。
【解決手段】冷媒の温度を調節するチラー内に、冷媒とその冷媒を冷却する伝熱管を有し、かつ該チラー内(チラーの冷媒槽内部)に液化二酸化炭素の移送流路を設けた硬質ポリウレタンフォームの発泡装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡剤として液化二酸化炭素を第三成分として使用した硬質ポリウレタンフォームの発泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬質ポリウレタンフォームは、断熱ボード、吹付による断熱材、盛土材等で広く利用されている。硬質ポリウレタンフォームを製造する際には、現在、発泡剤としてハイドロフルオロカーボン(HFC)が用いられているが、このものは液化二酸化炭素と比較してGWP(地球温暖化係数)が数百倍から千倍と非常に高いため、環境への影響を考慮すると課題が残るものである。
【0003】
そこで、発泡剤として、液化二酸化炭素を第三成分として利用する方法が新しく考案された。
【0004】
この液化二酸化炭素を第三成分として使用する技術において、二酸化炭素は臨界点が約30℃、約7MPaであり、常温では気体になり易いものである。そのため、ボンベなどの液化二酸化炭素貯蔵容器から例えば計量ポンプを使用して、所定量の液化二酸化炭素を圧送する際、外界の雰囲気温度や圧力条件の影響により気化した二酸化炭素がその移送流路内に混在してしまう場合があり、その結果計量ポンプの吸引側で圧力が低下し、所定量を圧送するのが困難であった。
【0005】
そこで、計量ポンプに至る液化二酸化炭素の移送流路において、この液化二酸化炭素を液体状態に保持させておく必要があり、具体的方法として、特許文献1のようにその移送流路を熱交換器により冷却する方法が提案されている。
【0006】
特許文献1は、冷媒温度を調整するためのチラーと、液化二酸化炭素の移送流路を冷却するための熱交換器とが別々に設けられ、また前記熱交換器において冷却された液化二酸化炭素が計量ポンプに供給され、液化二酸化炭素を圧送している記載がされている。なお、チラーによって冷却された冷媒は、前記熱交換器と計量ポンプ間を循環し各々を冷却していた。
【特許文献1】特開2003−82050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、液化二酸化炭素を前記熱交換器にて冷却すると、熱交換器表面が結露するので、熱交換器の全面に硬質ポリウレタンフォーム等の断熱材を巻いて熱絶縁をする必要があり、その結果熱交換器の大型化を招いた。そのため、発泡設備の設置において、熱交換器に充分な場所を確保する必要があった。
【0008】
また、特許文献1のようにチラーと熱交換器(液化二酸化炭素の移送流路を冷却する装置)とが別々だと、チラーで冷却された冷媒を熱交換器へ移送する流路において冷媒の熱ロス(外界の雰囲気温度により冷媒温度が上昇する)が生じ、該熱交換器において液化二酸化炭素が充分冷却されない場合があり、その結果液化二酸化炭素の一部が気体状態へと移行し、計量ポンプを使用して所定量の液化二酸化炭素を圧送することが困難な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、冷媒の温度を調節するチラー内に、冷媒とその冷媒を冷却する伝熱管を有し、かつ該チラー内(チラーの冷媒槽内部)に液化二酸化炭素の移送流路を設けることで、液化二酸化炭素の計量ポンプに至るまでにおいて、液化二酸化炭素が気体状態に移行するのをより効率的に避けることができる。その結果、所定量液化二酸化炭素を計量ポンプへ供給し、圧送することができた。また、熱交換器の熱絶縁や別々に設けていた熱交換器の設置スペースも省くことができたので、装置がコンパクト化し運搬性が向上した。さらに、従来のように(図2参照)チラーと熱交換器(液化二酸化炭素の移送流路を冷却する装置)とが別々だと、チラーで冷却された冷媒を熱交換器へ移送する流路において冷媒の熱ロス(外界の雰囲気温度により冷媒温度が上昇する)が生じていたが、それを防止することができた。その上、チラーの温度管理により液化二酸化炭素の移送流路内温度を厳密に管理することができ、より液化二酸化炭素の気化を防ぐことができた。
【0010】
すなわち、本発明の硬質ポリウレタンフォームの発泡装置は、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分、液化二酸化炭素の三成分をそれぞれの流路よりそれぞれのポンプによって計量圧送し、最終的には前記三成分を合流して、吐出部にて撹拌後吐出する硬質ポリウレタンフォームの発泡装置であって、液化二酸化炭素の移送流路を冷却する熱交換器があり、該熱交換器は、冷媒温度を調節するチラーを有するものであり、該チラー内には液化二酸化炭素の移送流路を冷却する冷媒と該冷媒を冷却する伝熱管とを有するものであり、該チラー内に液化二酸化炭素の移送流路を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷媒の温度を調節するチラー内に、冷媒とその冷媒を冷却する伝熱管を有し、かつ該チラー内(チラーの冷媒槽内部)に液化二酸化炭素の移送流路を設けることで、液化二酸化炭素の計量ポンプに至るまでにおいて、液化二酸化炭素が気体状態に移行するのをより効率的に避けることができる。その結果、所定量液化二酸化炭素を計量ポンプへ供給し、圧送することができた。特に、該ポンプの吸引側で圧力を低下させることがないので、所定量の液化二酸化炭素を圧送することができた。さらに、ポリオール成分に所定量の液化二酸化炭素を混合することが可能となり、硬質ポリウレタンフォームを所望な密度にコントロールすることができた。また、熱交換器の熱絶縁や別々に設けていた熱交換器の設置スペースも省くことができたので、装置がコンパクト化し運搬性が向上した。さらに、従来のように(図2参照)チラーと熱交換器(液化二酸化炭素の移送流路を冷却する装置)とが別々だと、チラーで冷却された冷媒を熱交換器へ移送する流路において冷媒の熱ロス(下界の雰囲気温度により冷媒温度が上昇する)が生じていたが、それを防止することができた。その上、チラーの温度管理により液化二酸化炭素の移送流路内温度を厳密に管理することができたので、より液化二酸化炭素の気化を防ぐことができた
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明における硬質ポリウレタンフォームの発泡装置の一実施形態にかかる基本構成図であり、図2は従来技術の形態にかかる基本構成図である。
【0014】
この硬質ポリウレタンフォームの発泡装置は、図1に示すように、液化二酸化炭素ボンベ10と、チラー50と冷媒20と伝熱管L20とからなる熱交換器と、液化二酸化炭素計量ポンプ30と、ポリオール成分貯蔵容器60と、ポリオール成分計量ポンプ70と、スタティックミキサー80と、ヒータ90と、加温ホース100と、ポリイソシアネート成分貯蔵容器110と、ポリイソシアネート成分計量ポンプ120と、ヒータ130と、加温ホース140と、吐出部(吐出装置)を備えたガン150とからポリウレタンフォームの発泡装置が構成されている。なお、硬質ポリウレタンフォームを製造するための、液化二酸化炭素以外の発泡剤、整泡剤、難燃剤、減粘剤、触媒等の添加剤は、予めポリオール及び/又はポリイソシアネートに混合しておくことが好ましい。
【0015】
まず、この硬質ポリウレタンフォーム発泡装置における液化二酸化炭素の冷却手段について説明すると、液化二酸化炭素の貯蔵ボンベ10とチラー50とが流路L10を介して接続されており、チラー50内部は、螺旋状に設けられた伝熱管L20と、その伝熱管L20により冷却された冷媒20によって満たされ、伝熱管L20の内側に液化二酸化炭素の移送流路L11を設けるようにしており、チラー50と計量ポンプ30とが流路L21を介して接続されている。伝熱管L20の内側に液化二酸化炭素の移送流路L11を設けたので、外界の雰囲気温度の影響をより受け難いものにすることができる。なお、チラー50内(冷媒槽内部)において、伝熱管L20により冷却された冷媒が液化二酸化炭素の気化しない温度に管理されていれば、例えば該伝熱管L20の外側に液化二酸化炭素の移送流路L11を設けてもよいし、伝熱管の内側から外側(或いは外側から内側)を通るように移送流路L11を設けてもよい。
【0016】
また、液化二酸化炭素の貯蔵ボンベ10を例えば温湿布のようなもので温調することにより、ボンベ10内の液化二酸化炭素をチラー50内部に安定供給することができる。
【0017】
また、チラー50と計量ポンプ30とが流路L21を介して接続されており、この計量ポンプ30によってチラー50内で冷却された液化二酸化炭素が吸引されて圧送できるように構成している。この計量ポンプ30は往復駆動されるピストン31を有しており、ピストン31のストロークの長さ調整によって液化二酸化炭素の圧送量を任意に設定できる構成になっている。
【0018】
また、チラー50と計量ポンプ30とが流路L51を介して接続されており、チラー50内部で冷却された冷媒20が図示しないチラーに付属するポンプによって、L51を介して計量ポンプ30へ流れ、計量ポンプ30とチラー50とが流路L52を介して接続されており、計量ポンプ30にて熱交換された冷媒20がチラー内部へ流れる循環を繰り返すものである。
【0019】
さらに、計量ポンプ30のシリンダーの外周部(図示せず)には、チラー50内で冷却された冷媒20が流路L51を介して供給され、一方流路L52がチラー50に接続され、つまり、冷却熱交換後の冷媒はチラー50と計量ポンプ30との間で循環できるように構成されている。
【0020】
すなわち、チラー50内で冷却された冷媒が流路L51を介して液化二酸化炭素計量ポンプ30のシリンダーの外周に供給され、液化二酸化炭素計量ポンプ30内に吸引・圧送される液化二酸化炭素と熱交換することで液化二酸化炭素を冷却するようになっており、熱交換後の冷媒は流路L52を介してチラー50に戻され所定の温度に冷却される。
【0021】
また、チラー内に冷媒と伝熱管とを有し、且つそのチラー内に液化二酸化炭素の移送流路を設けたことにより、従来の技術では別個に設けられていた熱交換器を省くことが出来、また従来の熱交換器での熱ロスも防ぐことができるため、ピストン31で設定された所定ストロークの圧送量の液化二酸化炭素を安定供給することができる。
【0022】
また、硬質ポリウレタンフォームの一つの原料であるポリオールが含有されたポリオール成分貯蔵容器60は流路L60を介してポリオール成分計量ポンプ70に接続されている。このポリオール成分計量ポンプ70もピストン(図示せず)のストロークの長さの調整によってポリオール成分の吐出量を任意に設定できる構成になっている。そして、ポリオール成分計量ポンプ70は流路L70を介して撹拌手段を構成するスタティックミキサー80に接続されている。これにより、ポリオール成分を設定吐出量で撹拌手段であるスタティックミキサー80に圧送することができる。
【0023】
また、液化二酸化炭素計量ポンプ30は流路L30を介して流路L70に接続されている。そして、液化二酸化炭素計量ポンプ30から圧送された液化二酸化炭素は、流路L70においてポリオール成分と合流し、スタティックミキサー80にて混合・撹拌される。
【0024】
なお、液化二酸化炭素計量ポンプ30は、発泡性原料液の総質量に対して0.5〜30質量%の液化二酸化炭素を計量圧送できる容量を有することが好ましい。
【0025】
そして、スタティックミキサー80において液化二酸化炭素とポリオール成分は十分に混合・撹拌されることになる。
【0026】
スタティックミキサー80は流路L80を介して加温手段を構成するヒータ部90に接続されている。このヒータ部90は、スタティックミキサー80で撹拌された後のポリオール成分と液化二酸化炭素との混合物を設定温度に加温するためのものである。
【0027】
また、ヒータ部90は流路L90を介して加温ホース100に接続されており、加温ホース100はさらに吐出部を構成するガン150に接続されている。これにより、ヒータ部90において超臨界状態、亜臨界状態又は液体状態の何れかの状態となった液化二酸化炭素とポリオール成分との混合物は吐出部を構成するガン150に圧送される。
【0028】
また、硬質ポリウレタンフォームのもう一方の原料であるポリイソシアネートが含有されたポリイソシアネート成分貯蔵容器110は流路L110を介してポリイソシアネート成分計量ポンプ120に接続されている。このポリイソシアネート成分計量ポンプ120もピストン(図示せず)のストロークの長さの調整によってポリイソシアネート成分の吐出量を任意に設定できる構成になっている。そして、ポリイソシアネート成分計量ポンプ120は流路L120を介して加温手段を構成するヒータ部130に接続されている。さらに、ヒータ130部は流路140を介して加温ホース140に接続されており、加温ホース140はさらに吐出部を構成するガン150に接続されている。
【0029】
これにより、ポリイソシアネート成分を設定吐出量でガン150に圧送することができる。ここで、加温ホース140はガン150中にポリイソシアネートが導入される前にこれを加温することにより、ガン150中において調製される原料液の保温と保圧を図るために設けられるものである。
【0030】
ここで、ガン150内には加温ホース140から流入するポリイソシアネート成分と、加温ホース100から流入する液化二酸化炭素及びポリオール成分の混合物とを、混合するために撹拌する手段としてミキシングチャンバー等のスペース(図示せず)が設けられている。
【0031】
ミキシングチャンバーは、メカニカルの撹拌羽根を用いたものを使用しても良いが、吹付けによるポリウレタンフォームを製造する場合、衝突撹拌によって撹拌できる構造のもの(衝突撹拌手段)を用いることが好ましい。
【0032】
次に、ポリウレタンフォームの発泡装置の作用とともに、ポリウレタンフォームの発泡について説明する。
【0033】
先ず、チラー50を運転し、流路L51、L52を通して、伝熱管L20の収まるチラー50の冷媒槽と液化二酸化炭素計量ポンプ30との間で冷媒を循環させる。また、液化二酸化炭素計量ポンプ30、ポリオール成分計量ポンプ70、イソシアネート成分計量ポンプ120、ヒータ部90及びヒータ部130の作動を開始させる。なお、各計量ポンプには圧送(吐出)側が設定圧力以上になると作動を停止するような制御がなされている。
【0034】
次いで、液化二酸化炭素計量ポンプ30が作動することにより、液化二酸化炭素ボンベ10中の液化二酸化炭素は、流路L10を通ってチラー50に供給され、流路L11内を流れる。この際、チラー50内を満たしている冷媒によって、液化二酸化炭素の温度が−10〜30℃に調整される。
【0035】
そして、チラー50から出た液化二酸化炭素は、二酸炭素計量ポンプ30に送られ、設定された圧送量で流路L30に圧送される。なお、計量ポンプ30においてもチラー50からの冷媒によって液化二酸化炭素の温度は−10〜30℃、好ましくは−5〜10℃に維持されている。
【0036】
一方、ポリオール成分計量ポンプ70が作動することにより、ポリオール成分貯蔵容器60中のポリオール成分は流路L60を通ってポリオール成分計量ポンプ70に供給され、設定吐出量で流路L70に圧送される。また、流路L30に圧送された液化二酸化炭素は、流路L70に圧送され、ポリオール成分とともにスタティックミキサー80に圧送され、ここでこれら二成分は十分に混合・撹拌される。
【0037】
さらに、スタティックミキサー80から流路L80に圧送されたポリオール成分と液化二酸化炭素との混合物はヒータ部90に圧送され、流路L90及び加温ホース100を通ってガン150中に圧送される。
【0038】
一方、ポリイソシアネート成分計量ポンプ120が作動することにより、ポリイソシアネート成分貯蔵容器110中のポリイソシアネート成分は流路L110を通ってポリイソシアネート成分計量ポンプ120に供給され、設定吐出量で流路L120に圧送される。また、流路L120に圧送されたポリイソシアネート成分は、ヒータ部140において設定温度にされ、流路L130及び加温ホース140を通ってガン150に圧送される。そして、ガン150のミキシングヘッド内において加温ホース140から圧送されたポリイソシアネートと、加温ホース100から圧送された液体状態の液化二酸化炭素及び活性水素化合物の混合物とを合流させてこれを撹拌することにより発泡性原料液が調製され、その後吐出される。
【0039】
なお、液化二酸化炭素計量ポンプ30、ポリオール成分計量ポンプ70及びポリイソシアネート成分計量ポンプ120は、連動するよう構成することが好ましい。
これらは電気的な連動によっても良いが、機械的な連動、すなわち一つの駆動部に三成分のポンプを連結することがより好ましく、機械的な連動によれば各ポンプの成分比を正確に保つことが容易となる。
本発明において、液化二酸化炭素の移送流路は耐腐食性の高いステンレス等の金属製の導管が望ましいが、銅、真鍮、アルミ等の一般的な導管用金属部材の他、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、耐圧ゴム等の常用圧力が5MPa以上のものであれば何れのものでも可能である。
【0040】
液化二酸化炭素の移送配管の内径は硬質ポリウレタンフォームの吐出量により異なるが0.2〜10mm、より好ましくは0.5〜4mmが適する。液化二酸化炭素の導管内径は、液化二酸化炭素の滞留による熱損失を出来る限り防ぐ為、液化二酸化炭素の必要流量が確保される可能な限り、細い方が望ましい。
【0041】
液化二酸化炭素のボンベは液化二酸化炭素の安定的な供給を確保する為、ボンベの内圧を、バンドヒーター、ベルトヒーターなどの温湿布を直接ボンベの表面に貼り付けたり、若しくは簡易保温庫で空調を行い、ボンベの表面温度で温度管理を行いながら液化二酸化炭素の供給圧力を確保する。ボンベ表面温度の温度管理目安は0〜30℃、より好ましくは15〜25℃が適し、その時のボンベ内圧力は4〜8MPa、より好ましい温度域では5〜7MPaが確保されていることが必要である。雰囲気温度、ボンベ表面温度が低くても、ボンベ内の液化二酸化炭素が前述の温度、圧力条件下を維持し、液化した状態で充分に計量ポンプ迄供給が可能な状態であれば、問題無いが上記範囲の下限以下ではボンベ内の残量によって充分な液化二酸化炭素が計量ポンプまで供給できない場合がある。
チラーで管理される冷媒の温度、液化二酸化炭素の熱交換部分を通過してから計量ポンプ迄の移送流路内のニ酸化炭素は、−10〜30℃、より好ましくは-5〜10℃に管理するのが好ましく、移送流路の温度は移送流路に接する冷媒の温度で管理する。
【0042】
液化二酸化炭素の流路の長さについては、ボンベから熱交換部分の手前までの間は特に制約しない。冷媒と直に接する熱交換部分の流路の長さは、その流路内を流れる液化二酸化炭素の流速により異なるが、0.5m以上、より好ましくは1m以上が適する。また、チラー内における液化二酸化炭素移送流路内の液化二酸化炭素温度を安定させる為に、出来る限りチラーの冷媒槽に液化二酸化炭素の移送流路を据え付けることが好ましいので、熱交換部分における液化二酸化炭素の移送流路においては長い方が好ましい。熱交換部分を出てから計量ポンプに至る迄の流路の長さは、例えば、その流路周囲に断熱材を施したり、使用時の雰囲気温度、液化二酸化炭素の滞留度合い等の環境により左右されるが、硬質ポリウレタンフォームの吐出能力が吐出量10kg/分程度までの発泡設備を使用する場合においては、10m以内が好ましい。
【0043】
本発明の装置に投入されるポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、また、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基の一部をウレタン及び/又はウレアに変性したものものを用いてもよく、イソシアネート基の一部をビュウレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサジリドン、アシド、イミド等に変性したものを用いてもよい。
【0044】
本発明の装置に投入されるポリオール(活性水素基含有化合物)としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、シュークローズ、グルコース、フラクトースソルビトール、メチルグリコキシド等の活性水素を有する化合物のうち少なくとも1種が挙げられる。また、例えば、上記の他の活性水素を有する化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等のようなアミンのうちの少なくとも1種が挙げられる。
【0045】
さらに、活性水素基含有化合物としてポリエーテルポリオールを使用してもよく、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記例示した活性水素化合物のうちの少なくとも一種を開始剤として、アルキレンオキサイド等のモノマーを公知の方法により付加重合することによって得られるものが挙げられる。
【0046】
なお、付加重合反応に使用するモノマーとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0047】
また、活性水素基含有化合物としてポリエステルポリオールを使用してもよく、ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチルー1、5−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールAのような少なくとも2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物のうちの少なくとも1種と、例えば、アジピン酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、シュウ酸、フタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、トリメリット酸、グルタコン酸、α−ヒドロムコン酸、β−ジエチルサクシン酸、ヘミメリチン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸等のような少なくとも2つ以上のカルボキシル基を有する化合物のうちの少なくとも1種とを使用し、公知の方法によって製造したものが挙げられる。
【0048】
さらに、上記のポリエステルポリオールの他に、ポリアルキレンテレフタレートポリマーと低分子ジオールとのエステル交換により生成されるポリエステルポリオールも使用することができる。なお、低分子ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0049】
ポリイソシアネートとポリオールとのウレタン化反応を進行させるための触媒は特に限定されず、例えば公知の触媒を使用することができる。
【0050】
また、整泡剤も特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタンフォームの製造において使用されているものは全て利用できる。
【0051】
例えば、上記の実施形態においては、発泡剤となる液化二酸化炭素をポリオール成分に混入させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第3成分としての液化二酸化炭素は、ポリオール成分よりも先にポリイソシアネート成分に混入させてもよく、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との両方に混入させてもよい。
例えば、図1におけるポリオール成分貯蔵容器60とポリイソシアネート成分貯蔵容器110の設置位置を変える等して液化二酸化炭素をポリイソシアネート成分に混合する構成としてもよい。さらに、図1において、流路L30を分岐して例えば流路L120に接続し、流路L30内の液化二酸化炭素をポリイソシアネート成分とポリオール成分の両方に混合してもよい。
【0052】
L10の流路のどこかに、減圧弁を設けて液化二酸化炭素計量ポンプへの供給圧力を一定にすることが好ましい。そうすることによって、より液化二酸化炭素計量ポンプで圧送される液化二酸化炭素の圧送量を正確にコントロールできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明における、硬質ポリウレタンフォームの発泡装置の一実施形態にかかる基本構成図である。
【図2】従来技術に基づく硬質ポリウレタンフォームの発泡装置の一実施形態にかかる基本構成図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ウレタンフォームの発泡装置
10 液化二酸化炭素ボンベ
11 温湿布
12 開閉弁
20 冷媒
30 液化二酸化炭素計量ポンプ
31 ピストン
50 チラー(冷却手段)
60 ポリオール成分貯蔵容器
70 ポリオール成分計量ポンプ
80 スタティックミキサー(撹拌手段)
90 ヒータ部(加温手段)
100 加温ホース(加温手段)
110 ポリイソシアネート成分貯蔵容器
120 ポリイソシアネート成分計量ポンプ
130 ヒータ部(加温手段)
140 加温ホース(加温手段)
150 ガン(吐出部)
160 発泡性原料液
L20 伝熱管
L10,L11,L21,L30,L50,L51,L52,L53,L54,L55,L56,L60,L70,L80,L90,L110,L120,L130 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分、液化二酸化炭素の三成分をそれぞれの流路よりそれぞれのポンプによって計量圧送し、最終的には前記三成分を合流して、吐出部にて撹拌後吐出する硬質ポリウレタンフォームの発泡装置であって、
液化二酸化炭素の移送流路を冷却する熱交換器があり、該熱交換器は冷媒温度を調節するチラーを有するものであり、該チラー内には液化二酸化炭素の移送流路を冷却する冷媒と該冷媒を冷却する伝熱管とを有するものであり、該チラー内に液化二酸化炭素の移送流路を設けたことを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの発泡装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−298995(P2006−298995A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119357(P2005−119357)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】