説明

硬質ポリウレタンフォームの製造方法および該方法により得られる硬質ポリウレタンフォーム

【課題】低密度で、施工性に優れ、しかも高温時の寸法安定性などに優れた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】発泡剤として、水とポリイソシアネート成分との反応により発生する二酸化炭素と、超臨界状態、亜臨界状態、液体状態の少なくとも1つの状態の二酸化炭素とを併用することにより、かつポリイソシアネート成分とポリオール成分の混合前において前記水と液体状態の二酸化炭素とを前記ポリオール成分に加えることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法で、ポリオール成分中にビスマス化合物からなる触媒が含有されており、該触媒はポリオール成分中のポリオール100重量部に対して1〜4重量部含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度で、施工性に優れ、しかも高温時の寸法安定性などに優れた硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタンフォームは、断熱性、成形性等に優れ、住宅、冷蔵倉庫等の断熱材や構造材として広く利用されている。
現在、この硬質ポリウレタンフォームの製造に際し、発泡剤として、水とポリイソシアネートとの反応により発生する二酸化炭素を利用する方法が一般的となっている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、このような二酸化炭素のみを使用して硬質ポリウレタンフォームを製造した場合、フォーム中に形成された気泡(セル)中の二酸化炭素が気泡外へ拡散する速度が、気泡中に流入する空気の速度よりも速いため、気泡の内圧が低くなり、気泡が収縮しやすくなる等の欠点がある。
この問題を解決するため、先に、本発明者らは、従来の水とポリイソシアネートとの反応により発生する二酸化炭素に加えて、超臨界状態、亜臨界状態又は液体状態の二酸化炭素を発泡剤として併用することで、セル形状を球形に近づけ寸法安定性を向上させる技術を提案している(特許文献2参照)(以下、先提案技術)。
【0004】
一方、発泡剤としてハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロカーボンが用いられていた従来の断熱材では、透湿係数との兼ね合いから、独立気泡率の高いものが使用されていたが、前述のように発泡剤として二酸化炭素を用いる最近では、経時使用に伴う気泡外への拡散による収縮を考慮すると、この独立気泡率を低くする(気泡の一部を連通化させる)試みがなされてきている。
他方、スプレー工法(ポリイソシアネート成分とポリオール成分を発泡機により混合し、施工対象に吹き付けて硬質ポリウレタンフォームを得る工法)において、合板などの施工対象物に吹き付けた際に、該合板の横方向にはみ出す(いわゆる「横のび」)問題があった。そして、横のびがあると、形成された断熱層の厚みが不均一となり、切削仕上げが必要となる。
【0005】
【特許文献1】特開2006−348099号公報
【特許文献2】特開2004−107376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の諸点を考慮し、先提案技術とは異なる手法により、低密度で、スプレー工法時の施工性がよく、しかも高温時の寸法安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を行った結果、
まず、発泡剤として、水とポリイソシアネートとの反応により発生する二酸化炭素と、超臨界状態、亜臨界状態あるいは液体状態の二酸化炭素とを併用することで、セル形状を球形に近づける技術に加えて、
さらに、特定量のビスマス化合物を触媒として用いることで、スプレー工法時の横のびの問題も改善されることを見出した。
【0008】
本発明は、このような知見の下でなし得たものであり、以下を要旨とする。
(1)発泡剤として、水とポリイソシアネート成分との反応により発生する二酸化炭素と、超臨界状態、亜臨界状態、液体状態の少なくとも1つの状態の二酸化炭素とを併用することにより、かつポリイソシアネート成分とポリオール成分の混合前において前記水と液体状態の二酸化炭素とを前記ポリオール成分に加えることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、前記ポリオール成分中には、ビスマス化合物からなる触媒が含有されており、前記触媒は、ポリオール成分中のポリオール100重量部に対して1〜4重量部含有するものであることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
(2)前記(1)に記載の製造方法により得られる独立気泡率が80%未満であり、透湿係数が厚さ25mmにおいて360ng/(m・S・Pa)以下である硬質ポリウレタンフォーム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、低密度で、施工性がよく、難燃性や平滑性、寸法安定性に優れる硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
特に、スプレー工法において施工対象物に吹き付けた際に、横のびが発生しにくいため、平滑性に優れたフォームを得ることが出来、産業上の利用価値は極めて大きい。なお、本発明の製造方法は、スプレー工法以外にも連続的にフォームを生産する方法にも適用出来る。
【0010】
また、発泡剤として、水とポリイソシアネート成分との反応により発生する二酸化炭素と、超臨界状態、亜臨界状態、液体状態のうちの少なくとも1つの状態の二酸化炭素とを併用することにより、低密度の硬質ポリウレタンフォームを製造できるため、国土交通省告1302号による難燃材料試験に合格しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明においては、特に、形成される硬質ポリウレタンフォームの施工性(横のび)を改善する為に、発泡剤として、水とポリイソシアネート成分との反応により発生する二酸化炭素と、超臨界状態、亜臨界状態、液体状態の少なくとも1つの状態の二酸化炭素とを併用することが重要であり、この水と液体状態の二酸化炭素とは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合させる前に、ポリオール成分に加えることが重要である。
このようにして硬質ポリウレタンフォームを製造するに際し、本発明では、ビスマス化合物からなる触媒をポリオール成分中に含有させるが、このビスマス化合物からなる触媒の含有量は、ポリオール成分中のポリオール100重量部に対して1〜4重量部となるように設定することが必要である。
【0012】
本発明の製造方法で用いる装置については、予めポリオール成分中にビスマス化合物からなる触媒を含有し、かつ、ポリオール成分への水と液体状態の二酸化炭素との添加時期をポリイソシアネート成分とポリオール成分の混合前に設定することが必要であり、例えば、図1に示されるような装置を用いることができる。
【0013】
図1において、ポリイソシアネート成分1は、タンク2から配管4を介して接続された計量ポンプ3で計量され、設定温度に加温するためのヒーター部18、加温ホース19を経て、ミキシングヘッド5に移送される。一方、ポリオール成分11は、タンク12から配管13を介して接続された計量ポンプ14で計量され、設定温度に加温するためのヒーター部10、加温ホース9を経て、ミキシングヘッド5に移送される。
水貯蔵タンク15の水は、各ポンプと連動して動作する計量ポンプ16によって計量され、配管13に接続した配管17を通ってポリオール成分に投入され、ミキシングヘッド5に至る流路で移送中のポリオール成分中に混合される。
二酸化炭素ボンベ6の二酸化炭素は、各ポンプと連動して動作する計量ポンプ7によって計量され、配管13に接続した配管8を通ってポリオール成分に投入され、ミキシングヘッド5に至る流路で移送中のポリオール成分中に混合される。
このとき、二酸化炭素及び水の投入位置からミキシングヘッドまでの間にスタテックミキサーを設けることで、混合効率をより高めてもよい。
ミキシングヘッド5内で、ポリイソシアネート成分と(二酸化炭素及び水が混合された)ポリオール成分とが衝突混合されて大気中に液状或いは泡状のミストで噴出され、その後反応硬化して硬質ポリウレタンフォームが形成される。
【0014】
このような製造方法において、本発明では、ポリオール成分中のポリオール100重量部に対してビスマス化合物を1〜4重量部含有するもので、発泡剤が、水とポリイソシアネート成分との反応により発生する二酸化炭素と超臨界状態、亜臨界状態、あるいは液体状態の二酸化炭素とを併用するものであることが重要である。その結果、「横のび」が生じず、平滑性に優れたフォームを得ることが出来る。
このビスマス化合物の含有量が、少なすぎると、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応速度が十分に高められず「横のび」が発生する虞がある。一方、多すぎると、発泡方向にのびた異方性のあるセル形状となるため発泡方向に対して垂直方向の強度が弱くなり、収縮変形するため寸法安定性が非常に悪くなる。
【0015】
ビスマス化合物としては、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスを1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、触媒として、ビスマス化合物のみを用いてもよいし、他の触媒を併用してもよい。併用し得る他の触媒としては、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等のアミン触媒を使用することができ、特に、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等、ポリイソシアネート成分と水との反応を促進するいわゆる泡化触媒が好ましい。また、ジブチル錫ジラウレート等の金属触媒や、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドローs−トリアジン、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等のイソシアヌレート化触媒を使用してもよい。これらは触媒は単独でもよいし、複数の触媒を組み合わせて使用することも可能である。
【0016】
発泡剤としては、水とポリイソシアネート成分との反応により発生する二酸化炭素とともに、超臨界状態、亜臨界状態、あるいは液体状態の二酸化炭素を併用する。
超臨界状態、亜臨界状態、あるいは液体状態の二酸化炭素を併用することによって、水とポリイソシアネートとの反応により発生する二酸化炭素のみを使用した場合の欠点:例えば、
α)収縮防止のためには密度を高くする必要があり、コスト高となる、
β)逆に、密度を下げるためには多量の水が必要となり、過剰な尿素結合が生じ、得られるウレタンフォームが脆くなりやすい、
等が解消され、より優れた施工性と寸法安定性がもたらされる。
さらに、前記発泡剤と、ビスマス化合物からなる触媒をポリオール成分中に含有して使用することによって、スプレー工法で施工対象物に吹き付けた際に「横のび」が発生してフォームの厚みが不均一となる問題を解消することが出来る。
【0017】
本発明において、水とともにポリオール成分中に含有させる液体状態の二酸化炭素の添加量は、製造しようとする硬質ポリウレタンフォームの密度や、ポリイシアネート成分、ポリオール成分の粘度にもよるが、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計に対して、0.5〜3重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜2重量%である。
【0018】
ポリオール成分に添加される水の量は、ポリオール成分中のポリオール100重量部に対して4〜8重量部が好ましい。
4重量部未満では発泡が不十分となって生成する硬質ポリウレタンフォームの密度が高くなり、国土交通省告示1302号による難燃材料試験に合格することが困難となる。また8重量部を超えると、過剰の尿素結合が生じて、生成する硬質ポリウレタンフォームが脆くなって接着性が低下する傾向にある。
【0019】
本発明においては、ポリオール成分に水と液体状態の二酸化炭素を添加し、該ポリオール成分を、ポリイソシアネート成分との混合前に、45〜50℃、6MPa以上(好ましくは7〜7.5MPa)に加熱加圧することで、液体状態の二酸化炭素を超臨界状態、亜臨界状態とすることが出来る。
図1に示すような構成の装置を使用する場合においては、ポリイソシアネート成分と、液体状態の二酸化炭素及び水が混合されたポリオール成分とを、ミキシングヘッド5に至る流路内で、上記のような温度と圧力に保持すればよく、このときの温度と圧力を上記範囲内で適宜設定することで、上記状態の二酸化炭素を適宜調製することができる。
【0020】
二酸化炭素は、超臨界状態あるいは亜臨界状態において、高い拡散係数を有し、硬質ポリウレタンフォームの気泡を微細にする顕著な作用を発現する。これにビスマス化合物による触媒作用が加わって、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応速度を促進させて施工性を向上させることができる。
【0021】
なお、本発明において、「亜臨界状態の二酸化炭素」とは、圧力が二酸化炭素の臨界圧以上であり、かつ温度が臨界温度未満である液体状態の二酸化炭素、或いは圧力が二酸化炭素の臨界圧未満であり、かつ温度が臨界温度以上である液体状態の二酸化炭素、又は温度及び圧力が共に臨界点未満ではあるが、これに近い状態の二酸化炭素を指す。また、「超臨界状態の二酸化炭素」とは、圧力が二酸化炭素の臨界圧以上であり、かつ温度が臨界温度以上である二酸化炭素を指す。
【0022】
本発明に使用されるポリオール成分については、芳香族ポリエステルポリオール単独でもよいし、または芳香族ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを組み合わせて使用してもよい。
芳香族ポリエステルポリオールとしては、例えば、無水フタル酸、ポリエチレンテレフタレートのスクラップ、ジメチルテレフタレートプロセス残渣等から誘導されるポリオールを挙げることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンジアミン、トリレンジアミン、トリエタノールアミン、マンニッヒ縮合物等にエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したアミノポリオールが好ましい。
【0023】
芳香族ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを組み合わせて使用する際には、ポリオール成分の合計100重量部に対して、芳香族ポリエステルポリオールを60〜90重量部、ポリエーテルポリオールを40〜10重量部含有することが好ましい。
芳香族ポリエステルポリオールの含有量が60重量部未満では、国土交通省告示1302号による難燃材料試験に不合格となる場合があり、90重量部を超えると、フォームの硬化が遅延する傾向が強くなる。
芳香族ポリエステルポリオールの特に好ましい含有量は、70〜80重量部である。
【0024】
本発明において使用されるポリイソシアネート成分としては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,6−ジメチル-1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、9,10−アントラセンジイソシアネート、4,3’−ジメチルー4,4’−ジフェニルジイソシアネート、キシリレンジージフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。
その使用量はNCO/OH当量比で1.0〜2.0が適当である。
【0025】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法においては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系整泡剤、オルガノシロキサン等のシリコーン系整泡剤や、オキシエチレンアルキルフェノールのような相溶化剤、難燃剤、減粘剤、着色剤、安定剤等、硬質ポリウレタンフォームの製造に際して一般的に使用される添加剤を使用することもできる。
【0026】
難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート等の燐酸エステルであり、その添加量はポリオール100重量部に対して20〜40重量部が好ましい。
20重量部未満では、国土交通省告示1302号による難燃材料試験に不合格となる場合がある。燐酸エステル等はウレタン樹脂に可塑性を付与するために水を発泡剤とする硬質ポリウレタンフォームの欠点である脆性を改良し接着を向上させる効果を有するが、40重量部を超えると、過度の可塑化によって、強度が低下しやすい。
【0027】
以上の製造方法により得られる硬質ポリウレタンフォームは、独立気泡率が80%未満、透湿係数が厚さ25mmにおいて360ng/(m・S・Pa)以下であることが好ましい。
独立気泡率の下限値については、透湿係数との兼ね合いから70%程度が好適である。
【0028】
また、本発明の製造方法により得られる硬質ポリウレタンフォームの密度は20〜40kg/mであることが好ましい。
このような低密度であるため、製品として経済的である。
【実施例】
【0029】
(使用原料)
・ポリイソシアネート:ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(NCO含量30%)
・ポリオールA:ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルポリオール(水酸基価110)
・ポリオールB:マンニッヒ系ポリエーテルポリオール(水酸基価315)
・整泡剤:シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング社製 商品名“L-5420”)
・触媒A:ペンタメチルジエチレントリアミン(花王社製 商品名“カオライザーNo.3”)
・触媒B:オクチル酸鉛(大日本インキ社製 商品名“Pb-Oc”)
・触媒C:オクチル酸ビスマス(日本化学産業社製 商品名“プキャット25”)
・難燃剤:トリスクロロプロピルホスフェート(大八化学社製 商品名“TMCPP”)
・減粘剤:プロピレンカーボネート(アーコケミカル社製 商品名“PC1000”)
【0030】
表1に記載の配合処方にしたがい、図1に示す装置としてグラコ社製モデルFF1600発泡機を用いて、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合し、厚さ12mmの合板とケイカル板にスプレー発泡して硬質ポリウレタンフォームを得た。
この時のポリオール成分とイソシアネート成分の加温ホース9,19内での温度と圧力は、それぞれ50℃、7MPaとした。
【0031】
得られた各フォームについて、A)平滑性、B)施工性(横のび)、C)密度(kg/m)、D)独立気泡率(%)、E)透湿係数ng/(m.S.Pa)、F)寸法安定性、G)難燃性を測定し、その結果を併せて表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
平滑性と施工性(横のび)に関しては、スプレー発泡時に観察した。
A)平滑性は、表面が平滑の状態であれば○とし、凹凸の状態であれば×とした。
B)施工性は、合板に吹き付けた場合、合板の四方ともフォームのはみ出しがなければ横のびがなしとし○、フォームのはみ出しが20mm未満の場合△、フォームのはみ出しが20mm以上の場合を×とした。
【0034】
密度、独立気泡率、透湿係数、寸法安定性に関しては、前記方法に従って厚さ30mmにスプレー発泡した硬質ポリウレタンフォームについて測定した。
C)密度(kg/m)は、70mmx70mmx20mmの試験片を計量することにより測定した。
D)独立気泡率(%)は、ASTM D2856に基づいて測定を行った。
E)透湿係数ng/(m.S.Pa)は、JIS Z0208に基づいて測定を行った。
【0035】
F)寸法安定性;
高温時の寸法安定性は、70mmx70mmx20mmの試験片を100℃、48時間放置した後、変形の有無を調べ、変形無しを○、変形有りを×とした。
低温時の寸法安定性は、70mmx70mmx20mmの試験片を−20℃、48時間放置した後、変形の有無を調べ、変形無しを○、変形有りを×とした。
G)難燃性;
国土交通省告示1302号による発熱性試験に規定された難燃材料試験方法に基づき、厚さ12mmのケイカル板に厚さ30mmにスプレー発泡した後、フォーム厚み20mmにカットした試験体で行い、合否の判断を行った。
【0036】
表1から明らかなように、実施例1〜3において形成された硬質ポリウレタンフォームは、いずれも低密度で、70〜80%の独立気泡率を有し、施工性(横のび)も寸法安定性も優れていた。
これに対し、比較例1は、超臨界、亜臨界状態、あるいは液体状態の二酸化炭素を使用しない例であるが、横のびが発生したため平滑性に優れたフォームを得られなかったうえ、高温時にフォームの収縮が起こった。
また、比較例2,3では、スプレー発泡時に横のびが発生したため平滑性に優れたフォームを得られなかった。比較例4では、施工性は良好であったが、発泡方向にのびた異方性のあるセル形状であったため、フォーム形成後、寸法安定性を測定するためにフォームを垂直カットしたところ、発泡方向に対して垂直方向からの空気圧に耐えられず収縮(変形)してしまった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】硬質ポリウレタンフォームの製造装置の一態様を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ポリイソシアネート成分
2 ポリイソシアネート成分タンク
3 ポンプ
4 配管
5 ミキシングヘッド
6 液体状態の二酸化炭素ボンベ
7 計量ポンプ
8 配管
9 加温ホース
10 ヒーター
11 ポリオール成分
12 ポリオール成分タンク
13 配管
14 計量ポンプ
15 水貯蔵タンク
16 計量ポンプ
17 配管
18 ヒーター
19 加温ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤として、水とポリイソシアネート成分との反応により発生する二酸化炭素と、超臨界状態、亜臨界状態、液体状態の少なくとも1つの状態の二酸化炭素とを併用することにより、かつポリイソシアネート成分とポリオール成分の混合前において前記水と液体状態の二酸化炭素とを前記ポリオール成分に加えることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
前記ポリオール成分中には、ビスマス化合物からなる触媒が含有されており、
前記触媒は、ポリオール成分中のポリオール100重量部に対して1〜4重量部含有するものであることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
請求項1項に記載の製造方法により得られる独立気泡率が80%未満であり、透湿係数が厚さ25mmにおいて360ng/(m・S・Pa)以下である硬質ポリウレタンフォーム。

【図1】
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【公開番号】特開2009−84434(P2009−84434A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256116(P2007−256116)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】