説明

硬質ポリウレタンフォームの製造方法

a)ポリイソシアネートをb)イソシアネート基に対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物と、c)発泡剤の存在下で、反応させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、成分b)はヒマシ油bi)を含み、前記反応は、アルキレンカーボネート、炭酸アミド及びピロリドンからなる群から選択される化合物d)の存在下で行うことを特徴とする製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネートをイソシアネート基に対して反応性である少なくとも2個の炭素原子を有する化合物と反応させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタンフォームは以前から既知であり、例えば、冷蔵装置、温水タンク、地域暖房パイプ又は建物及び構造物において、例えばサンドイッチ素材に主に断熱のために使用されている。硬質ポリウレタンフォームの製造及び使用の概要については、例えば、Kunststoff-Handbuch, volume 7, polyurethane, 第1版1966年、Dr. R. Vieweg及びDr. A. Hochtlen編、第2版1983年、Dr. Gunter Oetel編、及び第3版1993年、Dr. Gunter Oertel編, Carl Hanser Verlag, Munich, Viennaに記載されている。
【0003】
これらは通常、触媒、発泡剤並びに助剤及び/又は添加剤の存在下で、ポリイソシアネートをイソシアネート基に対して反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物と反応させることにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US5798533
【特許文献2】WO2004009667
【特許文献3】EP1806374
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
硬質ポリウレタンフォームが満たさなければならない重要な条件は、低い熱伝導性、良好な流動性、被覆層に対するフォームの十分な接着性及び良好な機械的特性である。
【0006】
特に発泡剤として水を使用して製造された硬質ポリウレタンフォームの場合は、フォームの接着性が十分でないことがしばしばある。
【0007】
特許文献1(US5798533)には、冷蔵装置で使用するため、ポリスチレン又はABSに対する接着性を向上させることを目的として、水だけで発泡させた硬質フォームの接着性を改善するための特定の触媒を使用することについて記載されている。しかしながらこれはフォームの流動性及び機械的性質に不利な影響を与え得る。
【0008】
特許文献2(WO2004009667)には、水だけで発泡させる硬質フォーム組成物においてグラフトポリオールを使用することにより、フォームの脆化を低減し、他の基材との接着性を向上させることが記載されている。しかしながら、グラフトポリオールは高価であり、ポリウレタンシステムの他の成分と相溶性がないことがしばしばある。
【0009】
特許文献3(EP1806374)には、アルコキシル化モノアミン(アニリン等)を使用することにより、接着性が向上した冷蔵装置用硬質ポリウレタンフォームが記載されている。しかしながら、これらの化合物は、フォームの処理特性に対して不利な影響を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、フォーム用組成物が、アルキレンカーボネート、炭酸アミド及びピロリドンからなる群から選択される化合物及びヒマシ油を含む場合には、発泡剤として水のみを又は水を主に使用して製造される硬質ポリウレタンフォームは接着性が向上することが見出された。
【0011】
US2008051481には、とりわけ、良好な難燃性を有する特定の硬質フォームのため、特に低温モールドを使用する場合に、プロピレンカーボネート又はヒマシ油を接着剤として使用することが記載されている。ハロゲン化ポリオールを他の難燃剤と組み合わせて使用することが記載されている。この硬質フォームは建築分野での使用を想定している。冷蔵分野に使用される硬質フォームは通常、ハロゲン化ポリオール及び難燃剤を含まないが、その理由は重要な技術的必要要件として考えられていないからである(少なくとも現時点では)。
【0012】
US2008051481には、ハロゲン化、特に臭素化ポリオールを使用して製造された難燃性硬質ポリウレタンフォームが記載されている。発泡剤として、物理的発泡剤、必要に応じて共発泡剤として水を付随的に使用することが好ましいとされている。これらの製造物の接着性を向上させるために接着剤を使用することが記載されている。一連の他の材料は別として、プロピレンカーボネート又はヒマシ油を使用することも提案されている。
【0013】
US2008051481に記載のハロゲン化難燃剤は通常、冷蔵装置に使用されるフォームの場合には使用されない。
【0014】
本発明は、
a)ポリイソシアネートを
b)イソシアネート基に対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物と、
c)発泡剤の存在下で、
反応させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
成分b)はヒマシ油bi)を含み、前記反応は、アルキレンカーボネート、炭酸アミド及びピロリドンからなる群から選択される化合物d)の存在下で行うことを特徴とする製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
アルキレンカーボネートは、好ましくはエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネート、特に好ましくはプロピレンカーボネートである。
【0016】
炭酸アミドとしては、尿素及び/又はアルキル尿素を使用することが好ましい。アルキル尿素は、特にテトラメチル尿素及びイソブチル尿素である。
【0017】
ピロリドンは、特に1−メチル−2−ピロリドンである。
【0018】
成分d)は好ましくは成分b)の質量に対して1.5〜15質量%の量で使用することが好ましい。
【0019】
上記成分は単独でも互いの混合物としても使用することができる。プロピレンカーボネートを使用することが好ましい。
【0020】
硬質フォームの製造において、成分d)は、イソシアネート基に対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物に加えることが好ましい。
【0021】
ヒマシ油bi)は、成分b)の質量に対して1〜20質量%の量で使用することが好ましい。
【0022】
ヒマシ油は化学的に変性されていてもよく、特にアルキレンオキシドの添加によって変性されていてもよい。しかしながら、未変性のヒマシ油を使用することが好ましい。
【0023】
上述したように、発泡剤c)としては水が使用される。水を唯一の発泡剤として使用することが可能であるが、他の発泡剤、特に物理的発泡剤との混合物として水を使用することもできる。水は少なくとも、50%の発泡作用に相当する量で使用すべきである。
【0024】
これは、気体のモル量により決定することができる。個々の発泡剤の発泡体積は次のように計算及び合計される:
n[mol]=m[g]/M[g/mol]
n=モル量
m=質量
M=分子量

ポリオール成分100g当たりのVolgas[l]=n[mol]*22.414[l/mol]

PUR100g当たりのVolgas[l]=(ポリオール成分100g当たりのVolgas[l]/混合比(ポリオール成分+イソシアネート成分))*100
【0025】
本発明の方法に記載のポリエーテルアルコールに加えて使用できる出発化合物について、以下に詳細を述べる。
【0026】
使用可能な有機ポリイソシアネートa)は既知である全ての有機ジイソシアネート及びポリイソシアネート、好ましくは芳香族多価イソシアネートである。
【0027】
具体的な例は、トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)及びその対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネート(MDI)及びその対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’−及び2,4’−ジイソシアネートの混合物、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネートとポリフェニルポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)の混合物及び粗製MDIとトリレンジイソシアネートの混合物である。有機ジイソシアネート及びポリイソシアネートは単独でも混合物としても使用することができる。
【0028】
変性多価イソシアネート、すなわち、有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートの化学反応により得られる生成物もしばしば使用される。例えば、ウレトジオン、カルバメート、イソシアヌレート、カルボジイミド、アロファネート及び/又はウレタン基を含むジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートである。変性ポリイソシアネートは必要により互いに混合してもよいし、ジフェニルメタン2,4’−、4,4’−ジイソシアネート、粗製MDI、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート等の未変性の有機ポリイソシアネートと混合してもよい。
【0029】
更に、多価イソシアネートと多価ポリオールとの反応生成物、及びこれと他のジイソシアネート及びポリイソシアネートとの混合物を使用することもできる。
【0030】
特に有用であることが分かっている有機ポリイソシアネートは粗製MDI、特にNCO含有量が29〜33質量%であり且つ25℃における粘度が150〜1000mPasである粗製MDIである。
【0031】
成分bi)に加えて使用される、イソシアネート基に対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)として使用可能なものは、少なくとも2個の反応性基、好ましくはOH基を含む化合物、特にOH価が25〜800mgKOH/gであるポリエーテルアルコール及び/又はポリエステルアルコールである。
【0032】
使用されるポリエステルアルコールは、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する多価アルコール、好ましくはジオールと、2〜12個の炭素原子を有する多価カルボン酸(例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸及び好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸の異性体類)との縮合により製造されるのが通常である。
【0033】
使用されるポリエステルアルコールは通常、官能価が1.5〜4である。
【0034】
特に、既知の方法により、例えば触媒(好ましくはアルカリ金属水酸化物又は複合金属シアン化物触媒(DMC触媒))の存在下で、アルキレンオキシドをH−官能性開始剤にアニオン重合させることにより製造されるポリエーテルアルコールが使用される。
【0035】
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを使用することが通常であるが、更にテトラヒドロフラン、種々のブチレンオキシド、スチレンオキシド、好ましくは純粋な1,2−プロピレンオキシドも使用される。アルキレンオキシドは単独で、交互に連続して又は混合物として使用することができる。
【0036】
使用可能な開始剤は、特に、少なくとも2個、好ましくは2〜8個のヒドロキシル基又は少なくとも2個の第1級アミノ基を分子内に有する化合物である。
【0037】
分子内に少なくとも2個、好ましくは2〜8個のヒドロキシル基を有する開始剤としては、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖類化合物(グルコース、ソルビトール、マンニトール及びスクロース等)、多価フェノール類、レゾール、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとのオリゴマーの縮合生成物、及びフェノール類、ホルムアルデヒド及びジアルカノールアミン並びにメラミンのマンニッヒ縮合物を使用することが好ましい。
【0038】
分子内に少なくとも2個の第1級アミノ基を有する開始剤としては、芳香族ジアミン及び/又はポリアミン、例えばフェニレンジアミン及び4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジアミノジフェニルメタン、並びに脂肪族ジアミン及びポリアミン、例えばエチレンジアミンである。
【0039】
ポリエーテルアルコールは、2〜8の官能価及び25mgKOH/g〜800mgKOH/g、特に150mgKOH/g〜570mgKOH/gの水酸基価を有する。
【0040】
本発明の方法の好ましい実施の形態では、成分b)は、水酸基価が350〜600であり官能価が3.5〜5.5である少なくとも1種のポリエーテルアルコールbii)を含む。
【0041】
ポリエーテルアルコールbii)は好ましくは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドを、H−官能性開始剤に付加することにより製造される。開始剤としては、上記糖類、特にスクロース又はソルビトールを使用することが好ましい。糖類は、共開始剤、通常、室温で液体の2−又は3−官能性アルコール(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール)又は水の存在下でアルキレンオキシドと反応させるのが通常である。塩基性化合物、好ましくは水酸化カリウム又はアミンを触媒として使用するのが通常である。
【0042】
ポリエーテルアルコールbii)は、成分b)の質量に対して35〜55質量%の量で使用することが好ましい。この範囲であれば、特に良好な接着性が得られ、フォームの脆性を低減することができる。
【0043】
更に好ましい実施の形態では、成分b)は少なくとも1種のポリエーテルアルコールbiii)を含む。これは、水酸基価が150〜450mgKOH/gの2〜3官能性ポリエーテルアルコールである。開始剤としては、グリセロール及び/又はトリメチロールプロパンを使用することが好ましく、好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、特にプロピレンオキシドである。成分biii)は、成分b)の質量に対して、18〜35質量%の量で使用するのが好ましい。好ましい類型では、ポリエーテルアルコールbiii)は、水酸基価が150〜420mgKOH/gである3官能性ポリエーテルアルコールである。
【0044】
本発明の方法の特に好ましい実施の形態では、成分biii)として、少なくとも1種のポリエーテルアルコールbiiia)及び少なくとも1種のポリエーテルアルコールbiiib)を使用する。
【0045】
ポリエーテルアルコールbiiia)は、3官能性の、好ましくはトリメチロールプロパンを開始剤とする水酸基価が150〜200mgKOH/gのポリエーテルアルコールである。
【0046】
ポリエーテルアルコールbiiib)は、3官能性の、好ましくはグリセロールを開始剤とする水酸基価が350〜420mgKOH/gのポリエーテルアルコールである。
【0047】
ポリエーテルアルコールbiiiを使用することにより、ポリオール成分の相安定性を向上させることができる。
【0048】
イソシアネートに対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物には、必要に応じて付随的に使用される鎖延長剤と架橋剤も含まれる。2官能性の鎖延長剤、3官能性以上の架橋剤又はこれらの任意の混合物を添加することにより、機械的性質を改質するために有利であることが判明している。鎖延長剤及び/又は架橋剤として、アルカノールアミン及び特に分子量が400未満、好ましくは60〜300であるジオール及び/又はトリオールを使用することが好ましい。
【0049】
鎖延長剤、架橋剤又はこれらの混合物は、ポリオール成分に対して1〜20質量%、好ましくは2〜5質量%の量で使用することが有利である。
【0050】
硬質フォームの製造は通常、発泡剤、触媒、難燃剤及び気泡安定剤、並びに必要に応じて更なる助剤及び/又は添加剤の存在下で行うことが通常である。
【0051】
発泡剤としては、上述したように、イソシアネート基と反応して二酸化炭素又は二酸化炭素及び一酸化炭素を遊離する水を単独で又は主に使用する。水と組み合わせて、物理的発泡剤を使用することも可能である。これらは、出発成分に対して不活性であり、室温で通常液体でありウレタン反応の条件下で蒸発する化合物である。これらの化合物の沸点は、50℃未満であることが好ましい。物理的発泡剤としては、室温でガス状であり、大気圧を超える圧力下で出発成分に導入されるか、出発成分中に溶解する化合物、例えば二酸化炭素、低沸点のアルカン及びフルオロアルカンも挙げられる。
【0052】
発泡剤は通常、ギ酸、アルカン及び/又は少なくとも4個の炭素原子を有するシクロアルカン、ジアルキルエーテル、エステル、ケトン、アセタール、1〜8個の炭素原子を有するフルオロアルカン、及びアルキル鎖に1〜3個の炭素原子を有するテトラアルキルシラン、特にテトラメチルシランからなる群から選択される。
【0053】
挙げられる例は、プロパン、n−ブタン、イソブタン及びシクロブタン、n−ペンタン、イソペンタン及びシクロペンタン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、ギ酸メチル、アセトン、及び対流圏で分解可能であるためオゾン層を破壊しないフルオロアルカン、例えばトリフルオロメタン、ジフルオロメタン、1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ジフルオロエタン及びヘプタフルオロプロパンである。上記物理的発泡剤は単独でも互いに組み合わせても使用することができる。
【0054】
使用する触媒は、特に、イソシアネート基に対して反応性である基とイソシアネート基との反応を強力に促進する化合物である。このような触媒は、例えば、塩基性アミン(第2級脂肪族アミン、イミダゾール、アミジン、アルカノールアミン等)、ルイス酸又は有機金属化合物、特にスズを基礎とする有機金属化合物である。種々の触媒の混合物を含む触媒組成物を使用することもできる。
【0055】
イソシアヌレート基を硬質フォームに組み込む場合には特定の触媒が必要となる。イソシアヌレート触媒としては、金属カルボキシレート、特に酢酸カリウム及びこれらの溶液を使用することが通常である。触媒は、必要条件によるが、単独でもあらゆる互いの混合物としても使用することができる。
【0056】
使用可能な助剤及び/又は添加剤は、この目的のためにそれ自体既知の材料、例えば界面活性剤、フォーム安定剤、気泡調整剤、フィラー、顔料、染料、酸化防止剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、静真菌剤及び静細菌剤である。
【0057】
本発明の方法を行うために使用する出発材料、発泡剤、触媒並びに助剤及び/又は添加剤に関する更なる詳細は、例えば、Kunststoffhandbuch, 第7巻, "Polyurethane" Carl-Hanser-Verlag Munich, 1996年第1版、1983年第2版及び第3版1993年に記載されている。
【0058】
上記したように、本発明の方法ではハロゲンを含まない難燃剤を使用する。
【0059】
イソシアネートを基礎とする硬質フォームを製造するためには、ポリイソシアネートとイソシアネート基に対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物を、ポリウレタンフォームの場合にはイソシアネートインデックスが100〜220、好ましくは115〜180となる量で反応させる。
【0060】
硬質ポリウレタンフォームを製造するためには、ポリイソシアネートa)と成分b)を、イソシアネートインデックスが90〜350、好ましくは100〜180、より好ましくは110〜140となる量で反応させる。
【0061】
2成分(2液型)プロセスを採用すること及びイソシアネート基に対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物と発泡剤、フォーム安定剤及び難燃剤並びに触媒更に助剤及び/又は添加剤とを組み合わせてポリオール成分を調製し、後者をポリイソシアネート又はポリイソシアネートと必要により混合される発泡剤との混合物(イソシアネート成分とも称される)と反応させることが特に有利であることが見出さされている。
【0062】
水のみで又は水を主として発泡したポリウレタンフォームの接着性は、本発明の方法により改善することができている。また、フォームの機械的特性、更にはポリオール成分の相安定性を改善することができている。
【0063】
本発明を以下の実施例により説明する。
【0064】
測定方法の概要
接着性の測定:
金属表面に対するポリウレタンフォームの接着性の測定を、200×200×80mmの寸法を有し、アルミニウムが被覆された紙材で裏打ちされ、モールド温度が35℃である箱型モールドを用いて行った。フォームをアルミニウムが被覆された表面に施した。反応混合物を導入した後、モールドを密閉し、試験試料を7分後に取り出した。次に、モールドの底部に面する試験試料のアルミニウム被覆側を、6cmの間隔でナイフを用いて評価した。接着性の測定は、引張試験機を用いてモールドから除去してから10分後に被覆紙材を100mm/minの引張速度でデフレクションローラーを介して成形体の平面に対して垂直に引き剥がすことにより行い、実行するのに必要な平均力を測定する。
【0065】
ポリオール成分の相安定性の測定:
ポリオール成分の各成分を発泡剤と激しく混合し、撹拌で混入した空気泡を超音波浴内で除去し、密閉試薬瓶中で室温で保存した。相安定性は、視覚で認識可能な濁り又は成分の相分離が生じず、混合物を室温で保存することができる時間である。
【0066】
硬質フォームの脆性の測定:
脆性は、フォームの表面領域を親指で窪ませることにより質的に測定した。脆いフォームは、小さな変形時にフォームの不可逆的変形を示す。
【実施例】
【0067】
表1に示すポリオール成分を表示した量のイソシアネート成分と、カップ内で実験室撹拌機を用いて撹拌速度を1分当たり1400回転として撹拌時間10s混合し、発泡させた。クリーム時間、ファイバー時間及びライズ時間並びにフォームの密度をこのカップ試験で測定した。
【0068】
使用した出発材料
ポリオール1:スクロース、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール及びプロピレンオキシドを基礎とし且つOH価が400mgKOH/gで25℃における粘度が2200mPasで官能価が4のポリエーテルアルコール
ポリオール2:ソルビトール及びプロピレンオキシドを基礎とし且つOH価が490mgKOH/gで25℃における粘度が23000mPasで官能価が5であるポリエーテルアルコール
ポリオール3:トリメチロールプロパン及びプロピレンオキシドを基礎とし且つOH価が160mgKOH/gで25℃における粘度が300mPasで官能価が3であるポリエーテルアルコール
ポリオール4:グリセロール及びプロピレンオキシドを基礎とし且つOH価が400mgKOH/gで25℃における粘度が400mPasで官能価が3であるポリエーテルアルコール
ポリオール5:OH価が160mgKOH/g、20℃における粘度が1000mPas、官能価が3であるヒマシ油
フォーム安定剤:Tegostab(登録商標)8462(Evonic)
アミン触媒1:ジメチルシクロアミン
アミン触媒2:Lupragen(登録商標)(BASF SE)
イソシアネート:BASF SE社製Lupranat(登録商標)M20、NCO含有量=31.8%
出発材料の量及び測定結果を表に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
出発材料の量は質量部として示している。
【0071】
結果の概要:
実施例1
ヒマシ油、プロピレンカーボネート及びポリオールbiiib)を含まない場合:接着性が不十分であり、フォームが脆弱である。
【0072】
実施例2
プロピレンカーボネートを含み、ヒマシ油及びポリオールbiiib)を含まない場合:接着性の改善がごく僅かであり、フォームが脆弱である。
【0073】
実施例3
ヒマシ油を含み、プロピレンカーボネート及びポリオールbiiib)を含まない場合:接着性の改善がごくわずかであり、フォームが脆弱であり、ポリオール成分の相安定性が不十分である。
【0074】
実施例4
ヒマシ油及びプロピレンカーボネートを含み、ポリオールbiiib)を含まない場合:接着性の改善が顕著であり、フォームの脆化が軽減されたが、ポリオール成分の相安定性が不十分である。
【0075】
実施例5
プロピレンカーボネートとヒマシ油の組み合わせにより、接着性が顕著に改善され、同時にポリオールbiiib)を添加することにより、ポリオール成分の相安定性が確保されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリイソシアネートを
b)イソシアネート基に対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物と、
c)発泡剤の存在下で、
反応させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
成分b)はヒマシ油bi)を含み、前記反応は、アルキレンカーボネート、炭酸アミド及びピロリドンからなる群から選択される化合物d)の存在下で行うことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記アルキレンカーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及び1−メチル−2−ピロリドンからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルキレンカーボネートがプロピレンカーボネートである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭酸アミドとして、尿素及びアルキル尿素を使用する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルキル尿素として、テトラメチル尿素及びジイソブチル尿素を使用する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ピロリドンが1−メチル−2−ピロリドンである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
化合物d)を、成分b)の質量に対して1.5〜15質量%の量で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒマシ油bi)を、成分b)の質量に対して1〜20質量%の量で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
成分b)が、官能価2〜3で水酸基価150〜450mgKOH/gのポリエーテルアルコールbiii)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリエーテルアルコールbii)を、成分b)の質量に対して3〜25質量%の量で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
成分b)が、官能価3.5〜5.5で水酸基価350〜600mgKOH/gの少なくとも1種のポリエーテルアルコールbii)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリエーテルアルコールbii)を、成分b)の質量に対して35〜55質量%の量で使用する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
成分b)が、水酸基価150〜420mgKOH/gの少なくとも1種の3官能性ポリエーテルアルコールbiii)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリエーテルアルコールbiii)を、成分b)の質量に対して18〜35質量%の量で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
成分biii)が、少なくとも1種のポリエーテルアルコールbiiia)及び少なくとも1種のポリエーテルアルコールbiiib)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリエーテルアルコールbiiia)が、水酸基価150〜200mgKOH/gの3官能性ポリエーテルアルコールである請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリエーテルアルコールbiiib)が、水酸基価350〜420mgKOH/gの3官能性ポリエーテルアルコールである請求項1に記載の方法。
【請求項18】
発泡剤c)として水を使用する請求項1に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか1項に記載の方法により製造可能な硬質ポリウレタンフォーム。

【公表番号】特表2013−506042(P2013−506042A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531327(P2012−531327)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063935
【国際公開番号】WO2011/039082
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】