説明

磁化率勾配マッピング

本発明は磁化率勾配マップを決定する方法に関し、方法は磁気共鳴k空間データセットを取得するステップ300を有し、前記データセットは磁気共鳴エコーデータを有し、磁化率勾配マップを決定するために再帰的反復が使用される。さらに、本発明は磁化率勾配マップを決定する方法に関し、方法は磁気共鳴k空間データセットを取得するステップを有し、前記データセットは磁気共鳴エコーデータを有し、取得したデータセットは異なるエコー時間を持つマルチエコーの磁気共鳴エコーデータを有し、磁化率勾配マップは各エコー時間に対して個別に決定されて仮磁化率勾配マップをもたらし、方法は全ての決定された仮磁化率勾配マップを結合することによって総磁化率勾配マップを計算するステップをさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁化率勾配マップを決定する方法、磁気共鳴イメージングによって対象の磁化率勾配マップを決定するためのコンピュータプログラム製品及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元若しくは3次元画像を形成するために磁場と核スピンの間の相互作用を利用する画像形成MR(磁気共鳴)法は、特に医療診断の分野において、軟組織のイメージングにとってこれが多くの点で他のイメージング法よりも優れており、電離放射線を必要とせず、通常は非侵襲性であるため、今日広く使用されている。
【0003】
一般にMR法によれば、患者の身体若しくは一般に対象が、強い均一な磁場内に配置されなければならず、磁場の方向は測定の基準となる座標系の軸(通常はz軸)を同時に規定する。磁場は磁場強度と無関係な個々の核スピンに対する異なるエネルギーレベルを生じ、この核スピンは規定周波数(いわゆるラーモア周波数若しくはMR周波数)の交流電磁場(RF場)の印加によって励起されることができる(スピン共鳴)。微視的観点から、個々の核スピンの分布は全体の磁化を生じ、これは適切な周波数の電磁パルス(RFパルス)の印加によって平衡状態から偏向され得、一方磁場は縦軸とも呼ばれるz軸に垂直に広がり、磁化がz軸まわりに歳差運動を行うようになっている。歳差運動は円錐の表面を描き、その開口角はフリップ角と呼ばれる。フリップ角の大きさは印加される電磁パルスの強度と期間に依存する。いわゆる90度パルスの場合、スピンはz軸から横断面へ偏向される(フリップ角90度)。
【0004】
RFパルスの終了後、磁化は元の平衡状態へ緩和し、ここでz方向の磁化は第1の時定数T1(スピン格子若しくは縦緩和時間)で再度増大し、z軸に垂直な方向の磁化は第2の時定数T2(スピン若しくは横緩和時間)で緩和する。磁化の変動は、磁化の変動がz軸に垂直な方向に測定されるような方法でMR装置の検査ボリューム内に配置され配向される受信RFコイルを用いて検出されることができる。横磁化の減衰は、例えば90度パルスの印加後、同位相の秩序状態から、全位相角が均一に分布している状態へ、局所磁場不均一性によって誘導される核スピンの転移を伴う(ディフェージング)。ディフェージングはリフォーカシングパルス、例えば180度パルスを用いて補正されることができる。これは受信コイル内にエコー信号(スピンエコー)を生じる。
【0005】
体内の空間分解能を実現するために、3つの主軸に沿って広がる線形傾斜磁場が均一磁場に重ねられ、スピン共鳴周波数の線形空間依存性につながる。そして受信コイル内で受信される信号は体内の異なる位置と関連付けられ得る異なる周波数の成分を含む。受信コイルを介して得られる信号データは空間周波数領域に対応し、k空間データと呼ばれる。k空間データは通常、異なる位相エンコーディングで取得される多重線を含む。各線は複数のサンプルを収集することによってデジタル化される。k空間データのセットはフーリエ変換を用いてMR画像に変換される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
周囲から逸脱する磁化率を持つ対象は主磁場の局所不均一性を作り出す。これは手術器具、インプラント若しくは他の装置などの金属性物体、脱酸素化血液及び組織内の自然発生鉄沈着のような鉄含有物質、又は酸化鉄ベースの造影剤若しくは標識細胞に当てはまる。これはまた、空の領域(ガスで満たされる)と周辺組織の間に強い磁化率の差があるため、撮像した体内の空の領域にも当てはまる。この効果の利用は、造影剤(例えばSIPO)及び自然発生組織境界の検出からカテーテル若しくはインプラントのような装置の位置特定に至るまで、異なるMRイメージング応用にとって重要なツールである。
【0007】
磁化率コントラスト強調MRイメージングは通常T若しくはT強調シーケンスによって実行される。これらのシーケンスで、局所磁場かく乱の側で信号損失によってコントラストが作られる。こうした既知の技術によって生成される画像において、磁場不均一性に起因する暗い画像特徴は、低スピン密度若しくは非常に短いT2時間など、信号損失につながる他の効果に起因する特徴から区別することができない。
【0008】
この暗信号をポジティブコントラストに変換するいくつかのMRシーケンスが提案されている。様々な方法は明るいポジティブコントラスト画像を示すが、ポジティブ画像コントラストを最適化するために磁場かく乱の強度についての予備知識が必要とされる。これはグラジエントエコー画像からポジティブコントラストを計算するために開発されたいくつかの後処理法を用いて回避される。グラジエントエコーベース画像の取得中、磁化率勾配は適用されるイメージング勾配を局所的に変化させる。周知の幾何学的歪みに加えて、これはk空間内の影響を受けたエコーのシフトにつながる。全イメージングボクセル(3Dピクセル)に対するこのシフトの決定は磁化率誘導勾配のマップにつながる。
【0009】
磁化率勾配マップを決定するために、現在2つのアルゴリズムが使用される。第1のアルゴリズムは短時間フーリエ変換の計算に依存する'オリジナル磁化率勾配マッピング'(SGM)アルゴリズムである。この方法は例えばWO2007/122527A2で詳細に論じられる。高分解能で磁化率勾配マップをもたらす第2の方法は切り捨て(truncated)フーリエ変換の使用に依存する。このアルゴリズムは、以下'真の分解能SGM'と呼ばれ、Dahnke H,Liu W,Bowtell R,Frank JA,High Resolution Positive Contrast via Post‐Processing from Conventional 3D Imaging,Int Soc Magn Reson Med 2008;16 1513に詳細に記載される。これはChen N,Oshio K,Panych LP,Application of k‐space energy spectrum analysis to susceptibility field mapping and distortion correction in gradient‐echo EPI,NeuroImage 2006;31:609‐622で紹介されたk空間エネルギースペクトル分析法に基づく。
【0010】
真の分解能SGMのためのアルゴリズムは非常に高い計算時間を伴い、これは臨床ルーチンに適用されるのを妨げる。Chenらによる上記引用文献で提案されるアルゴリズムでの64×64×1画像のための2Dマップの計算時間は典型的には約11秒で、これは例えば典型的な脳の臨床データセット(256×256×150)の場合計算時間がほぼ40時間程度になり得ることを示唆する。Dahnkeらによる上記引用文献で提案される真の分解能SGMの改良は計算時間をほぼ20時間程度に削減し得るが、これは依然として臨床応用にとって長過ぎる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、高品質かつ高速で真の分解能磁化率勾配マップを決定するための改良された方法が必要とされることが容易に理解される。その結果、高品質かつ高速で真の分解能磁化率勾配マップの決定を可能にするMR装置を提供することも本発明の目的である。
【0012】
本発明によれば、磁化率勾配マップを決定する方法が開示される。方法は磁気共鳴k空間データセットを取得するステップを有し、前記データセットは磁気共鳴エコーデータを有し、及び取得したk空間データセットを画像データセットI(x,y,z)に変換するステップを有し、所与のk空間方向、例えばxに対して、方法は以下のステップを有する:
a)所与のk空間方向に沿って画像データセットの1D離散フーリエ変換を実行するステップ。前記1Dフーリエ変換はフーリエ項のセットをもたらし、前記セットの各フーリエ項は所与のk空間方向(x)に沿ってk空間指数に関連している。
b)前記k空間方向に沿って−N/2及びN/2の間で定常的に変動している切り捨て値(kx)を選択するステップ。Nはその方向に沿ったk空間データセットのサイズである。
c)関連するk空間指数が前記切り捨て値に対応する、フーリエ項のセットのフーリエ項を決定し、決定されたフーリエ項を直前の画像データセット生成ステップで生成された画像データセットIkx−1(x,y,z)から減算することによって、更新画像データセットIkx(x,y,z)を再帰的に生成するステップ。前記減算は新たな更新画像データセットIkx(x,y,z)をもたらす。
d)新たな更新画像データセットの強度Mkx(x,y,z)を計算するステップ。
e)切り捨て値(kx)の増加若しくは減少とともにステップb)乃至d)を繰り返すステップ。
f)新たな更新画像データセット間の強度変動からエコーシフト(m)を所与のk空間方向に対して計算するステップ。
g)前記エコーシフトから所与のk空間方向に沿って磁化率勾配(Gsu)を計算するステップ。
【0013】
好適には、上述のステップは全k空間方向に対して実行され、その後異なる磁化率勾配マップが1つの強度勾配マップに結合され得る。
【0014】
本発明にかかる方法は、品質を犠牲にすることなく磁化率勾配マップを決定するための従来技術の真の分解能SGM法と比較して計算時間を劇的に削減することを可能にし、臨床診療でのこの技術の応用を可能にする。例えば、上記臨床データセットが各k空間データセットとして使用される場合、ほぼ10分程度の計算時間が得られる。
【0015】
従って、本発明によれば、従来技術の真の分解能SGM法のような、反復フルサイズ3Dフーリエ変換の適用はシーケンシャルアルゴリズムによって置き換えられ、各反復において切り捨てフーリエ変換の計算を更新するために再帰的関係が使用される。得られるアルゴリズムは近似的にN×N×N×(N+N+N)演算において3DSGMを計算し、その結果例えば神経学応用において見られるような大きな3Dデータセットを妥当な時間内に処理することを可能にする。
【0016】
一般に、SGM法の入力は好適には3D、あるいはまたエコーシーケンス、例えばグラジエントエコーシーケンスで得られる2D複素画像でもある。グラジエントエコーシーケンスは一般にB0不均一性に、特に磁化率の局所変化に敏感であることが知られている。幾何学的歪み、急激な信号減衰、及びエコーシフトなど、磁化率誘導B0不均一性に起因するいくつかの効果若しくはアーチファクトが知られている。SGM法において、B0不均一性勾配から生じる局所エコーシフトはこれらの勾配のマップを導出するために利用される。
【0017】
磁化率誘導B0不均一性勾配Gsuによって生じる局所エコーシフトmは次式によって与えられる。
【数1】

Gは3つの空間方向(r:読み出し、e:位相エンコーディング、s:スライス)のうち1つに適用されるイメージング勾配であり、τは勾配Gが適用される時間間隔(読み出し方向に対するドウェル時間)であり、TEはシーケンスの所望のエコー時間である。
【0018】
この式から所与の勾配Gsuに対してエコーシフトがエコー時間TEとともに直線的に増加することが明らかである。
【0019】
上記式における関係は反転されてk空間におけるエコーシフトと磁化率勾配Gsuの強度を関連付ける単純化した式をもたらすことができる。
【数2】

suは磁化率誘導B0不均一性勾配であり、Gは3つの空間方向(r:読み出し、e:位相エンコーディング、s:スライス)のうちの1つに適用されるイメージング勾配(若しくは勾配増分)であり、mはエコーシフトであり、τは勾配Gが適用される時間間隔(読み出し方向に対するドウェル時間)であり、TEはシーケンスの所望のエコー時間である。
【0020】
真の分解能SGM法は各空間方向におけるエコーシフトの量を局所的に(すなわち各ボクセルに対して)計算することによって進む。このステップはk空間スペクトル分析を用いて達成される。この分析の原理はX方向におけるエコーシフトの計算の場合にその後例示される。取得したk空間信号S(kx,ky,kz)、及びX方向におけるサンプリングマトリクスの次元Nxを示し、真の分解能SGMアルゴリズムは以下のステップを実行する。
‐ kx=−Nx/2…0の各値に対して、全サンプルS(k,ky,kz),k<kxを0に設定する。この切り捨て量は以下Skxと示される。そしてSkxの3Dフーリエ変換の強度を計算し、Mkxと示される。
‐ 各ボクセルに対して合計:M(x,y,z)=Σkxkx(x,y,z)を計算する。
‐ 同じ手順をkx=+Nx/2…0に対して繰り返し、M(x,y,z)をもたらす。
‐ 正規化した差:(M(x,y,z)−M(x,y,z))/M(x,y,z)としてエコーシフトを計算する。MはSの3Dフーリエ変換の強度である(切り捨てなし)。
【0021】
切り捨ての程度kxの関数としての数量Mkxの展開は図1にB0不均一性勾配の非存在下で、図2にB0不均一性勾配の存在下で描かれる。信号減少100が第1の場合にkx=0に対して、信号減少200が第2の場合にkx≠0に対して観察される。そして差M(x,y,z)−M(x,y,z)はX方向においてエコーシフトm(図2の参照数字202参照)に比例し、これは上記式(2)を用いる磁化率勾配Gsuの計算を可能にする。
【0022】
従来技術の真の分解能SGMに関する上記記載から理解できる通り、全ての切り捨てられた取得したk空間信号の反復フルサイズ3Dフーリエ変換が真の分解能SGM法において実行され、その結果これはたくさんの時間を消費する。
【0023】
本発明によれば、取得したk空間信号の切り捨てとその後の3Dフーリエ変換は、再帰的関係が使用されるシーケンシャルアルゴリズムによって置き換えられる。これは次式で理解され得る。
【数3】

【0024】
ここで、I(x,y,z)は3D複素画像をあらわし、Ikx(x,y,z)は切り捨て信号Skx(k,ky,kz)の3Dフーリエ変換を、S(k,y,z)は画像I(x,y,z)の(X方向に沿った)1Dフーリエ変換のk次フーリエ係数をあらわし、k=0は"ゼロ"周波数項に対応する。3D複素画像I(x,y,z)は信号S(kx,ky,kz)の3Dフーリエ変換によって取得され得ることが留意されるべきである。
【0025】
上記式はMの計算に含まれる項Mkx(x,y,z)を効率的に計算する方法を提供する。Mの計算に対して、対応関係は以下となる。
【数4】

【0026】
上記方法は好適には全ボクセル(x,y,z)に対して実行されることが留意されるべきである。好適には、Iknとフーリエ項の間の減算はボクセルワイズ(voxel‐wise)になされる。式(3)及び(4)における指数の計算と保存は、例えば対応する余弦及び正弦項を明確に評価し保存することによって、各切り捨て値に対し一度だけ実行されることがさらに留意されるべきである。そしてこれらの指数は全ボクセルにわたって反復するときに再利用され得る。これらの指数は切り捨て値と、例えばX方向の場合、他の2つの指数"y"及び"z"ではなく"x"にのみ依存する。
【0027】
このアルゴリズムは近似的に(Nx+Ny+Nz)・Nx・Ny・Nz演算において3DSGMを計算する。比較のため、元のアルゴリズム(反復3Dフーリエ変換の使用)は同じ計算のために(Nx+Ny+Nz)・(Nx・Ny・Nz)・ln(Nx・Ny・Nz)演算を必要とし、再帰的関係を適用しない1Dフーリエ変換のみの使用はNx・Ny・Nz・(Nx・ln(Nx)+Ny・ln(Ny)+Ny・ln(Ny))演算を必要とする。
【0028】
上記において、M及びMが計算され、後にMとMの正規化した差を用いてエコーシフトを計算するために使用される。これは本発明の実施形態に対応し、ステップbにおける第1のループにおいて切り捨て値はゼロから前記k空間方向に沿ったk空間データセットのサイズの半分まで定常的に増加しており、ステップcにおいて第1の新たな更新画像データセットを、ステップdにおいて第1の強度をもたらす。さらに、この実施形態においてステップbにおける第2のループにおいて切り捨て値は0から前記k空間方向に沿ったk空間データセットのサイズの半分のマイナスまで定常的に減少しており、これはステップcにおいて第2の新たな更新画像データセットを、ステップdにおいて第2の強度をもたらす。さらに、ステップfにおいて、全ての第2の新たな更新画像データセットの全ての第2の強度の合計と、全ての第1の新たな更新画像データセットの全ての第1の強度の合計との差から、エコーシフトが計算される。
【0029】
しかしながら、これは一実施形態に過ぎないことが留意されるべきである。一般にステップfにおいて異なるk空間切り捨て値に対して強度変動を比較し、全ボクセルに対して強度変化が起こるk空間指数を検出すれば十分である。強度変化が起こるk空間指数を検出することによって、各ボクセルに対するk空間シフトが決定されることができる。
【0030】
0と所与のk空間方向に沿ったk空間データセットのサイズの半分の間の切り捨て値を、第1及び第2の更新画像データセットの全強度の合計の間の差(すなわちM−M)からのエコーシフト計算と組み合わせて使用することの特徴は、エコーシフトを確実に決定するということである。その結果、k空間切り捨てがこの目的のためにk空間の両半分に対して別々に、+kmaxからk(k=0)及び他方の方向−kmaxからkまで実行される。しかしながら、全ボクセルに対して強度変化が起こるk空間指数を検出する任意の他の技術が、ステップcにおいて論じたシーケンシャル及び再帰的アルゴリズムと組み合わせて使用されることができる。
【0031】
本発明のさらなる実施形態によれば、第1若しくは第2の強度を計算する各個別ステップの後、前記実際に計算された第1若しくは第2の強度が合計されて、それまでに計算された全ての第1及び第2の強度の合計となり、全ての第1若しくは第2の強度の新たなそれまでに(すなわち今まで)計算された合計をもたらす。すなわち、Mkx及びMkxの各更新後、合計M及びMの計算が実行される。これは提案されるアルゴリズムのストレージ要求を制限する。メモリ内で各強度計算ステップ後に個々の強度を維持する代わりに、新たに計算された強度が前に決定された強度に単純に加算され、数学的にMnew=Mnew+Mactually calculatedとあらわされる。
【0032】
本発明のさらなる実施形態によれば、方法は全ての残りのk空間方向に対してステップa乃至gを繰り返すステップをさらに有する。例えばこれらのk空間方向は読み出し勾配方向、位相エンコーディング方向、若しくはスライスエンコーディング方向のうちの1つを有する。その結果、全ステップを繰り返すことによって、総勾配マップが提供されることができる。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、3D及び1D離散フーリエ変換は高速フーリエ変換(FFT)である。その結果、アルゴリズムがさらに高速化される。
【0034】
本発明のさらなる実施形態によれば、ステップc(すなわち再帰的アルゴリズムステップ)がはじめて実行される場合、方法は取得したk空間データセットの3Dフーリエ変換によって初期画像データセットを生成するステップを有し、この場合ステップcにおいて前の画像データセット生成ステップは前記初期画像データセットの生成によって与えられる。言い換えれば、最初に取得したk空間データセットの3Dフーリエ変換が実行されて初期画像データセットをもたらし、これがステップcにおける更新画像データセットの再帰的生成のための開始点として使用される。まさに最初の('更新')画像生成において、その結果決定されたフーリエ項が初期画像データセットから減算され、これはさらなる再帰的ステップのために使用されることができる更新画像データセットをもたらす。
【0035】
本発明のさらなる実施形態によれば、取得したデータセットは異なるエコー時間を持つマルチエコーの磁気共鳴エコーデータを有し、磁化率勾配マップが各エコー時間に対して個別に決定されて仮磁化率勾配マップをもたらし、方法は全ての決定された仮磁化率勾配マップを結合することによって総磁化率勾配マップを計算するステップをさらに有する。例えばマルチエコーはデュアルエコーである。これは取得及びデータ処理時間における相当の遅延を伴わずに、得られる磁化率勾配マップの品質をさらに改良することを可能にする。
【0036】
これをより深く理解するために、式(2)を参照すると、この式の適応はエコー時間TEの特定の選択に依存しない磁化率勾配の測定をもたらす。しかしながら、TEの選択は計算された磁化率勾配マップのSNR(信号対ノイズ比)に影響を及ぼす。Gsuを計算するために使用されるグラジエントエコー画像が、S/σ(S及びσはそれぞれ局所信号振幅及びノイズ標準偏差である)に等しいSNRによって特徴づけられると仮定すると、エコーシフトmの計算におけるノイズ標準偏差はσ/Sに比例することが示され得る。式(2)から、所与の取得パラメータG及びτについて、磁化率勾配マップのノイズ標準偏差がσ/(S・TE)に比例することを最終的に結論付けることができる。
【0037】
従って、エコー時間の増加はSGMのSNRに直接影響を及ぼす。すなわちエコー時間の倍増は磁化率勾配マップのSNRを倍増する。しかしながら、信号振幅Sもまた横緩和時間T2を通じてTEによって影響される。TE増加を通じて得られるノイズ低減は通常、指数関数的T2減衰に由来する信号損失を上回るが、B0不均一性勾配が非常に大きい場合、非常に速く減衰する信号が観察され得る。この状況において、磁化率勾配を計算するために適用されるTEにおいて利用可能な信号は局所的にもう存在しない可能性がある。
【0038】
長いエコー時間によって与えられる高いSNRの利益を得るために、非常に大きなB0不均一性に由来する完全信号損失を回避しながら、一実施形態に従ってデュアルエコー法(若しくは一般にマルチエコー法)が使用される。'通常の'エコー時間TEにおいて取得されるグラジエントエコー画像に加えて短いエコー時間TEにおけるグラジエントエコー画像が取得される。一般に、TEは十分に長いので、これはいかなるスキャン時間の不利益もなくデュアルエコースキャンでなされることができる。TEとTEの選択を例示する一実施例は、TEがTEよりも少なくとも3倍大きいものである。
【0039】
2つのグラジエントエコー画像S及びSから、2つの磁化率勾配マップGsu,0及びGsu,1が上記SGM法の適用によって計算されることができる。しかしながら、一般にいかなるSGM法もこのマルチエコー(例えばデュアルエコー)法と組み合わせて使用されることができる。2つのマップGsu,0及びGsu,1を結合することによって最適磁化率勾配マップGsuが得られる。
【0040】
これら2つのマップを結合する多くの異なる方法があるが、本発明の一実施形態によれば線形結合が使用され得、最終マップにおけるノイズを最小化するように重みwとwが選ばれる。これは次式を与える。
【数5】

【0041】
重みw及びwは局所信号振幅S(x,y,z)及びS(x,y,z)に依存する。式(5)において、S及びSのノイズ標準偏差は同一であると仮定されており、これはデュアルエコー法のように2つの画像がエコー時間を除いて同じシーケンスパラメータで取得される場合に当てはまる。そうでなければ、wとwの定義は適宜修正されるべきである。
【0042】
重みw及びwに対する式(5)を用いて、信号強度とエコー時間の間で各ピクセルに対して最適自動平衡が得られる。得られる磁化率勾配マップGsuは2つのマップGsu,0及びGsu,1の各々と比較して改良されたSNRを持ち、Gsu,1よりもシグナルボイドによる影響が少ない。非常に速く減衰している信号に由来するアーチファクトが完全に回避されることができる程度は、最小の達成可能なエコー時間TE(通常はほぼ2‐3ms程度)、グラジエントエコー画像の空間分解能、及びB0不均一性の強度に依存する。
【0043】
これらの制限を克服するために、本発明の一実施形態によれば、第1のエコーの取得がUTE(例えばRahmer J,Boernert P,Groen J,Bos C.3D Radial ultrashort echo‐time imaging with T2 adapted sampling.Magn Reson Med 2006;55:1075‐1082に記載)のような超短エコー時間シーケンスでなされることができる。
【0044】
提案された方法のマルチエコー画像の取得への拡張が可能である。マルチエコーグラジエントエコーシーケンスが、T2マッピングに対して使用される通り、この目的のために適用されることができる。代替的に、画像は増加したエコー時間において個別に取得されることができ、これはエコー時間の選択におけるさらなる柔軟性を可能にする。そして磁化率勾配マップGsu,iが各エコー時間TEに対して計算される。最適マップGsuを得るために個々のマップGsu,iの結合が次式に従って式(5)の一般化によりなされる。
【数6】

【0045】
マルチエコー法はエコー時間の特定の選択が生成されたSGMにほとんど影響を及ぼさないという利点を持つ。理想的に、ユーザはどのくらいスキャン時間を費やすべきかを決定するしかなく、エコー時間の数及び間隔はシステムによって自動的に選ばれる。この設定はSGM結果の最大ユーザ内及びユーザ間再現性を保証する。
【0046】
別の態様において、本発明は磁化率勾配マップを決定する方法に関し、方法は磁気共鳴k空間データセットを取得するステップを有し、前記データセットは磁気共鳴エコーデータを有し、取得したデータセットは異なるエコー時間を持つマルチエコーの磁気共鳴エコーデータを有し、磁化率勾配マップが各エコー時間に対して個別に決定されて仮磁化率勾配マップをもたらし、方法は全ての決定された仮磁化率勾配マップを結合することによって総磁化率勾配マップを計算するステップをさらに有し、すなわちこの方法はいかなる種類のSGM法とも使用されることができる。
【0047】
別の態様において、本発明は上記の方法を実行するコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータプログラム製品に関する。
【0048】
別の態様において、本発明は磁気共鳴イメージングによって対象の磁化率勾配マップを決定するための装置に関し、装置は磁気共鳴k空間データセットを取得するためのデータ取得システムを有し、前記データセットは磁気共鳴データを有し、装置は取得したk空間データセットを画像データセットI(x,y,z)に変換するように構成され、所与のk空間方向例えばxに対して装置はさらに以下のように構成される:
a)所与のk空間方向に沿って画像データセットの1D離散フーリエ変換を実行するステップ。前記1Dフーリエ変換はフーリエ項のセットをもたらし、前記セットの各フーリエ項は所与のk空間方向に沿ってk空間指数に関連している。
b)前記k空間方向に沿って−N/2及びN/2の間で定常的に変動している切り捨て値(kx)を選択するステップ。Nはその方向におけるk空間データセットのサイズである。
c)関連するk空間指数が前記切り捨て値に対応するフーリエ項のセットのフーリエ項を決定することによって、画像データセットIkx(x,y,z)を再帰的に生成するステップ(式3及び4)、及び直前の画像データセット生成ステップにおいて生成された画像データセットIkx−1(x,y,z)から決定されたフーリエ項を減算するステップ。前記減算は新たな更新画像データセットIkx(x,y,z)をもたらす。
d)新たな更新画像データセットの強度Mkxを計算するステップ。
e)切り捨て値(kx)の増加若しくは減少とともにステップb)乃至d)を繰り返すステップ。
f)新たな更新画像データセット間の強度変動からエコーシフト(m)を所与のk空間方向に対して計算するステップ。
g)前記エコーシフトから所与のk空間方向に沿って磁化率勾配(Gsu)を計算するステップ。
【0049】
好適には、上述のステップは全k空間方向に対して実行され、その後異なる磁化率勾配マップが1つの強度勾配マップに結合され得る。
【0050】
別の態様において、本発明は磁気共鳴イメージングによって対象の磁化率勾配マップを決定するための装置に関し、装置は異なるエコー時間を持つマルチエコーの磁気共鳴エコーデータを有する磁気共鳴k空間データセットを取得するためのデータ取得システムを有し、装置は、
a)各エコー時間に対して個別に磁化率勾配マップを決定して仮磁化率勾配マップをもたらすステップ、
b)全ての決定された仮磁化率勾配マップを結合することによって総磁化率勾配マップを計算するステップ
のために構成される。
【0051】
同封の図面は本発明の好適な実施形態を開示する。しかしながら図面は本発明の制限の定義としてではなく例示の目的のためだけに設計されることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】b0不均一性勾配の非存在下で切り捨て度の関数として切り捨て信号振幅の展開を図示する。
【図2】b0不均一性勾配の存在下で切り捨て度の関数として切り捨て信号振幅の展開を図示する。
【図3】本発明にかかる方法の様々なステップを図示するフローチャートである。
【図4】3Tにおけるデュアルエコー磁化率勾配マッピングに対して取得される様々な画像を図示する。
【図5】本発明にかかるMRスキャナを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1及び2はB0不均一性勾配のない場合(図1)とある場合(図2)における切り捨ての程度kxの関数として切り捨て信号振幅Mkxの展開を図示する。図1ではkx=0に対して信号減少100が観察され、一方図2では=0ではない値kxに対して信号減少200が観察される。これはエコーシフト202をもたらし、詳細に上述した通り式2を用いて磁化率勾配Gsu,xの計算を可能にする。一般に、図1及び2に示した両強度曲線下の面積を減算し、ボクセル強度へ正規化することは、各ボクセルに対するエコーのシフトにつながる。この手順を全空間次元、好適には全ボクセルに対して実行することが磁化率勾配マップの生成を可能にする。
【0054】
図3は磁化率勾配マップを決定するための個々の方法ステップを図示するフローチャートである。方法はステップ300において磁気共鳴k空間データセットの取得で開始し、このデータセットは磁気共鳴エコーデータを有する。ステップ302においてデータセットが3D画像(I)に変換され、所望のk空間方向が設定されるステップ304が続く。
【0055】
その後、ステップ306において1D離散フーリエ変換が例えば高速フーリエ変換を用いて、ステップ304において設定されたk空間方向に沿って画像データセットに実行される。これはフーリエ項のセットをもたらし、前記セットの各フーリエ項は所与のk空間方向に沿って各k空間指数に関連する。式3及び4において、これらの項は各指数を乗じたフーリエ係数S(k,y,z)に対応する。
【0056】
方法はステップ308に続き、kn及びhが1に設定される。ここでnはステップ304において設定された空間方向を示し、すなわちnは本実施形態において例えばx、y若しくはz方向である。MRスキャンが実行される任意の空間方向に独立して、空間方向として任意の適切な方向が使用され得ることが留意されるべきである。knは切り捨て値を示す。
【0057】
図3に関して論じた実施形態において、k空間の両半分が個別に分析されるので、各指標hは1と2の間の値を持つ。その結果、h=1の場合、knの値は−N/2…0の間であり(n=xに対して)、h=2の場合kxの値は+N/2…0の間であり、Nxはx方向(若しくは一般に所望のk空間方向n)におけるサンプリングマトリクスの次元である。
【0058】
さらに、ステップ308においてIkn及びIknがIに等しく設定される。式3及び4においてこれはこれらの式で実行される最初のステップに対応する。
【0059】
ステップ308の実行後、方法は再帰であるステップ310と続き、切り捨て信号の3Dフーリエ変換が計算される。詳細に、ステップ310においてkn=1に対応する項がkn=0に対応する切り捨て信号の前に計算された3Dフーリエ変換から減算される。このkn=0の切り捨て信号の3Dフーリエ変換は3Dフーリエ変換I、すなわち3D複素画像としてステップ308において定義された。これは最終的に新たな更新3Dフーリエ変換をもたらす。全ボクセル(x,y,z)にわたる反復に存在するステップ310内の追加内側ループが存在し得ることが言及されるべきである。上述の通り、Iknとフーリエ項の間の減算はボクセルワイズになされ得る。
【0060】
ステップ312において、ステップ310で計算された前記3Dフーリエ変換の強度が決定され、前のステップで計算された強度に加えられる。前のステップはこのとき存在していないので、'前の強度'は0とみなされる。その結果、強度Mkn(h=1若しくはh=2,kn=0)はIkn(h=1若しくはh=2,kn=0)の強度に対応する。
【0061】
ステップ314において、knが1ずつ増やされ、ステップ316においてknの絶対値がNx/2(一般にNn/2)よりも大きいかどうかチェックされる。これが当てはまらないと仮定すると、方法はステップ310に戻って新たなknに対して更新画像データセットが決定される。ここで、前のステップで取得された画像データセットが使用され、新たなknに対応する項がこの画像データセットから減算される。これは新たな更新画像データセットをもたらし、ステップ312において更新強度計算のために使用される。ステップ312におけるこの計算は、前のループにおいてステップ312で計算された強度へのステップ310で決定された更新画像データセットの強度の加算を有する。
【0062】
ステップ314において、knが再度増加され、一方ステップ316において再度knの絶対値がNx/2(一般にNn/2)よりも大きいかどうかがチェックされる。
【0063】
knの絶対値がNn/2よりも大きい場合、これはk空間の前半に対して全k空間値が分析されたことを示す。従って、ステップ318においてこれがすでになされているかどうか最初にチェックされるように、強度計算に対する同じ分析が後半について実行されなければならない。現在これが当てはまらないので、方法はステップ320と続き、hが2に設定されknが−1に設定される。その後、すでに上記した通り反復は再度ステップ310と316の間でループを継続する。
【0064】
代替的な実施形態においてステップ"h=1"及び"h=2"はアルゴリズムの最内側ループにおいて同時になされ得ることが留意されるべきである。
【0065】
最後に、所望のk空間方向においてk空間内の全切り捨て値がうまく分析されたとき、方法はステップ322へ向けられ、所望のk空間方向nに対するエコーシフトmが計算される。この計算は上記ですでに詳細に論じた。基本的に、k空間の後半の全更新画像データセットの全強度の合計と、k空間の前半の全更新画像データセットの全強度の合計との差が計算され、ステップ300において取得されたデータセットの3Dフーリエ変換の強度によって正規化される。これはエコーシフトの計算と、さらに式1を用いて所望の磁化率勾配の計算を可能にする。
【0066】
方法はステップ324に続き、k空間における次の方向が分析のために利用可能であるかどうかチェックされる。これが当てはまる場合、方法はステップ304に戻り、さらなるk空間方向が設定され、ステップ306‐324でループを継続する。k空間方向がもう分析のために残っていない場合、方法はステップ326において磁化率勾配マップの最終計算で終了する。
【0067】
図4は3Tにおけるデュアルエコー磁化率勾配マッピングを図示する。ステップaにおいて、第1のグラジエントエコー画像Sが短いエコー時間TEにおいて取得される。図4bに示す画像は対応する磁化率勾配マップGsu,0を示し、対応する重みマップwは図4cに示され、これは上記の通り式5に従って計算された。
【0068】
長い方のエコー時間TEにおいて取得される第2のグラジエントエコー画像S、対応する磁化率勾配マップGsu,1、及び対応する重みマップw1は図4d,e,fに示される。第2のグラジエントエコー画像Sのエコー時間TEは図4aの第1のグラジエントエコー画像Sの取得のために使用されたエコー時間TEと比較して約3倍大きい。
【0069】
最終画像4gは重みw及びwとともにGsu,0とGsu,1の線形結合として得られる結合磁化率勾配マップGsuを示す。重みマップは0(黒)と1(白)の間でスケールされる。顕著な改良は大きな磁化率勾配の描写(矢印)において達成される。これらは第2のグラジエントエコー画像において信号がほとんど失われているが、第1のエコーにまだ存在する場所に対応する。
【0070】
図5において本発明にかかるMRイメージング装置1がブロック図として示される。装置1は定常かつ実質的に均一な主磁場を生じるための1セットの主磁気コイル2と、選択方向に勾配を持つ制御可能な強度の追加磁場を重ねるための3セットの傾斜磁場コイル3,4,5を有する。従来、主磁場の方向がz方向と標識され、垂直な2方向がx及びy方向と標識される。傾斜磁場コイル3,4,5は電源11によって励起される。
【0071】
イメージング装置1は身体7へ高周波(RF)パルスを発するためのRF送信アンテナ6をさらに有する。アンテナ6はRFパルスを生成し変調するための変調器9に結合される。MR信号を受信するためのRF受信器もまた設けられ、受信器は送信アンテナ6と同一であるか若しくは個別であることができる。送信アンテナ6と受信器が図1に示す通り物理的に同じアンテナである場合、送信‐受信スイッチ8が放出されるパルスから受信信号を分離するために配置される。受信MR信号は復調器10に入力される。送信‐受信スイッチ8、変調器9、傾斜磁場コイル3,4,5のための電源11は制御システム12によって制御される。制御システム12はアンテナ6へ与えられるRF信号の位相と振幅を制御する。
【0072】
制御システム12は通常はメモリとプログラム制御を持つマイクロコンピュータである。復調器10は再構成手段14、例えば視覚表示ユニット15上に表示され得る画像への受信信号の変換のためのコンピュータなどに結合される。
【0073】
さらに、MRイメージング装置1は3つのシムコイルのセット(不図示)を有する。シム電流源から個別シムチャネルを介してシムコイルを通過したシム電流によって補助磁場が生成される。シム電流の強度は主磁場の均一性を最適化するように制御システム12によって制御される。
【0074】
本発明の実用的な実施のために、MR装置1は上記方法を実行するためのプログラミングを有する。プログラムは例えば再構成手段14によって、又は装置1に取り付けられるさらなるコンピュータ若しくはハードウェア部品によって実行され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁化率勾配マップを決定する方法であって、磁気共鳴k空間データセットを取得するステップであって、前記データセットが磁気共鳴エコーデータを有する、ステップと、前記取得したk空間データセットを画像データセットに変換するステップとを有し、所与のk空間方向に対して、
a)前記所与のk空間方向に沿って前記画像データセットの1D離散フーリエ変換を実行し、前記1Dフーリエ変換はフーリエ項のセットをもたらし、前記セットの各フーリエ項は前記所与のk空間方向に沿ってk空間指数に関連している、ステップ、
b)前記k空間方向に沿って−N/2及びN/2の間で定常的に変動している切り捨て値を選択するステップであって、Nは前記k空間方向における前記k空間データセットのサイズである、ステップ、
c)関連するk空間指数が前記切り捨て値に対応する、前記フーリエ項のセットのフーリエ項を決定し、前記決定されたフーリエ項を直前の画像データセット生成ステップで生成された画像データセットから減算することによって更新画像データセットを再帰的に生成するステップであって、前記減算は新たな更新画像データセットをもたらす、ステップ、
d)前記新たな更新画像データセットの強度を計算するステップ、
e)切り捨て値の増加若しくは減少とともにステップb)乃至d)を繰り返すステップ、
f)前記所与のk空間方向に対して前記新たな更新画像データセット間の強度変動からエコーシフトを計算するステップ、
g)前記エコーシフトから前記所与のk空間方向に沿って磁化率勾配を計算するステップ、
を有する、方法。
【請求項2】
ステップb)における第1のループにおいて、前記切り捨て値がゼロから前記k空間方向に沿った前記k空間データセットのk空間指数の総数の半分まで定常的に増加しており、ステップc)において第1の新たな更新画像データセットを、ステップd)において第1の強度をもたらし、
ステップb)における第2のループにおいて、前記切り捨て値がゼロから前記k空間方向に沿った前記k空間データセットのk空間指数の総数の半分のマイナスまで定常的に減少しており、ステップc)において第2の新たな更新画像データセットを、ステップd)において第2の強度をもたらし、
ステップf)において前記エコーシフトが、全ての第2の新たな更新画像データセットの全ての第2の強度の合計と、全ての第1の新たな更新画像データセットの全ての第1の強度の合計との差から計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1若しくは第2の強度を計算する各個別ステップの後、前記実際に計算された第1若しくは第2の強度が合計されて、それまでに計算された全ての第1若しくは第2の強度の合計になり、新たなそれまでに計算された全ての第1若しくは第2の強度の合計をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
残りのk空間方向全てに対してステップa)乃至g)を繰り返すステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記k空間方向が読み出し勾配方向、位相エンコーディング方向、若しくはスライスエンコーディング方向のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記3D及び1D離散フーリエ変換が高速フーリエ変換である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップc)がはじめて実行される場合、前記取得したk空間データセットの3Dフーリエ変換によって初期画像データセットを生成するステップを有し、この場合ステップc)において前の画像データセット生成ステップが前記初期画像データセットの生成によって与えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記取得したデータセットが異なるエコー時間を持つマルチエコーの磁気共鳴エコーデータを有し、磁化率勾配マップが各エコー時間に対して個別に決定されて仮磁化率勾配マップをもたらし、全ての決定された仮磁化率勾配マップを結合することによって総磁化率勾配マップを計算するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マルチエコーがデュアルエコーである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マルチエコーの1つに対する前記磁気共鳴k空間データセットの取得が超短エコー時間シーケンスで実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
磁化率勾配マップを決定する方法であって、磁気共鳴k空間データセットを取得するステップを有し、前記データセットが磁気共鳴エコーデータを有し、前記取得したデータセットが異なるエコー時間を持つマルチエコーの磁気共鳴エコーデータを有し、磁化率勾配マップが各エコー時間に対して個別に決定されて仮磁化率勾配マップをもたらし、前記方法が全ての決定された仮磁化率勾配マップを結合することによって総磁化率勾配マップを計算するステップをさらに有する、方法。
【請求項12】
請求項1乃至10若しくは11のいずれか一項に記載の方法を実行するコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータプログラム。
【請求項13】
磁気共鳴イメージングによって対象の磁化率勾配マップを決定するための装置であって、前記装置が磁気共鳴k空間データセットを取得するためのデータ取得システムを有し、前記データセットが磁気共鳴エコーデータを有し、前記装置が取得した前記k空間データセットを画像データセットへ変換するように構成され、前記装置がさらに、
a)所与のk空間方向に沿って前記画像データセットの1D離散フーリエ変換を実行し、前記1Dフーリエ変換がフーリエ項のセットをもたらし、前記セットの各フーリエ項が前記所与のk空間方向に沿ってk空間指数に関連している、
b)前記k空間方向に沿って−N/2及びN/2の間で定常的な切り捨て値を選択し、Nはその方向における前記k空間データセットのサイズである、
c)関連するk空間指数が前記切り捨て値に対応する、前記フーリエ項のセットのフーリエ項を決定し、決定されたフーリエ項を直前の画像データセット生成ステップにおいて生成された画像データセットから減算することによって、更新画像データセットを再帰的に生成し、前記減算が新たな更新画像データセットをもたらす、
d)前記新たな更新画像データセットの強度を計算する、
e)切り捨て値の増加若しくは減少とともにステップb)乃至d)を繰り返す、
f)前記所与のk空間方向に対して前記新たな更新画像データセット間の強度変動からエコーシフトを計算する、
g)前記エコーシフトから前記所与のk空間方向に沿って磁化率勾配を計算する、
ように構成される、装置。
【請求項14】
磁気共鳴イメージングによって対象の磁化率勾配マップを決定するための装置であって、前記装置が、異なるエコー時間を持つマルチエコーの磁気共鳴エコーデータを有する磁気共鳴k空間データセットを取得するためのデータ取得システムを有し、前記装置が、
‐各エコー時間に対して個別に磁化率勾配マップを決定し、仮磁化率勾配マップをもたらす、
‐全ての決定された仮磁化率勾配マップを結合することによって総磁化率勾配マップを計算する、
ように構成される、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a)】
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【図4b)】
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【図4c)】
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【図4d)】
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【図4e)】
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【図4f)】
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【図4g)】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−517829(P2013−517829A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549450(P2012−549450)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050230
【国際公開番号】WO2011/089551
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】