説明

磁気シールド室

【課題】磁性部材同士の接合・離間部を設けることなく出入口を形成することができる磁気シールド室を提供する。
【解決手段】磁気的に遮蔽された遮蔽空間4を形成する磁気シールド室1であって、遮蔽空間4を囲む第1の磁気シールド構造部10を備える。第1の磁気シールド構造部10は、遮蔽空間4を囲む環状の形状をなすとともに所定の第1の軸方向に厚みをもつ薄板上をなし、第1の軸方向に間隔を空けて配列された複数の第1の環状磁性体13と、少なくとも一部の第1の環状磁性体13を第1の軸方向に移動可能に支持する第1の支持部14と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気的に遮蔽された遮蔽空間を形成するシールド構造を備える磁気シールド室に関する。
【背景技術】
【0002】
微弱な磁気の影響を受けやすい電子顕微鏡などの装置類は、一般的に磁気的に遮断された磁気シールド室に設置される。代表的な磁気シールド技術の一つであるパッシブ磁気シールド技術では、所定の空間を囲むように透磁率の高い磁性材料を配置して磁力線を磁性材料中に導き、磁力線を迂回させることによって磁気的に遮蔽された空間を形成する。特許文献1には、磁性部材が間隔をおいて配列された壁部を備える磁気シールド室が記載されている。この磁気シールド室は、人や機器等が磁気シールド室に出入りするための出入口であるシールドドアを備えている。シールドドアは、壁部に配列された磁性部材の一部を切断して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−351598号公報
【特許文献2】特開2006−147669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような磁気シールド室では、壁面側の磁性部材とシールドドア側の磁性部材との切断部から、磁束が漏洩する問題がある。これに対し、壁面側の磁性部材とシールドドア側の磁性部材とを、物理的に接合・離間可能とする技術が特許文献2に記載されている。この技術では、上述した磁性部材同士を離間させてシールドドアの開閉を行い、使用時には上述した磁性部材同士を接合させて磁束の漏洩を防止する。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載された技術では、磁性部材同士の物理的な接合・離間を繰り返すことにより磁性部材同士の衝突が繰り返されるので、この接合・離間部が劣化し磁気遮蔽性能が劣化するおそれがある。
【0006】
上記問題に対して、本発明は、磁気遮蔽性能を確保しながら出入口を形成することができる磁気シールド室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の磁気シールド室は、磁気的に遮蔽された遮蔽空間を形成する磁気シールド室であって、遮蔽空間を囲む第1の磁気シールド構造部を備え、第1の磁気シールド構造部は、遮蔽空間を囲む環状の形状をなすとともに所定の第1の軸方向に厚みをもつ薄板状をなし、第1の軸方向に間隔を空けて配列された複数の第1の環状磁性体と、少なくとも一部の第1の環状磁性体を第1の軸方向に移動可能に支持する第1の支持部と、を有することを特徴とする。
【0008】
この磁気シールド室は、第1の環状磁性体を有する第1の磁気シールド構造部を備える。従って、第1の環状磁性体により囲まれた所定の空間に侵入する磁束、或いは所定の空間の内部から放出される磁束は第1の環状磁性体に導かれるので、第1の環状磁性体により囲まれた所定の空間を磁気的に遮蔽することができる。また、第1の環状磁性体を第1の軸方向に移動可能に支持する第1の支持部を有しているので、少なくとも一部の第1の環状磁性体を第1の軸方向に移動可能である。従って、互いに離間している第1の環状磁性体の間隔の一部を第1の軸方向に広げることにより、当該第1の磁性体同士の間から人や機器を出入りさせることができる。また、各々の第1の環状磁性体は第1の軸方向に移動するのみであり、切断したり変形させたり接合・離間部を設けたりする必要がない。これ故、第1の環状磁性体の磁気遮蔽性能を低下させることなく好適に確保できる。従って、この磁気シールド室は、磁気遮蔽性能を確保しながら出入口を形成することができる。
【0009】
また、本発明の磁気シールド室は、第1の磁気シールド構造部を囲む第2の磁気シールド構造部を更に備え、第2の磁気シールド構造部は、第1の磁気シールド構造部を囲む環状をなすとともに第1の軸方向に直交する第2の軸方向に厚みをもつ薄板状をなし、第2の軸方向に間隔を空けて配列された複数の第2の環状磁性体と、少なくとも一部の第2の環状磁性体を第2の軸方向に移動可能に支持する第2の支持部と、を有することとしてもよい。
【0010】
この場合、第1の磁気シールド構造部により遮蔽される磁力線の方向は主に第1の軸に垂直な方向であり、第2の磁気シールド構造部により遮蔽される磁力線の方向は主に第2の軸に垂直な方向であるため、磁気シールド室が遮蔽可能な磁力線の方向が拡大する。また、遮蔽壁が2層になった壁面では磁気遮蔽性能が高められる。
【0011】
また、本発明の磁気シールド室は、第2の磁気シールド構造部を囲む第3の磁気シールド構造部を更に備え、第3の磁気シールド構造部は、第2の磁気シールド構造部を囲む環状をなすとともに第1及び第2の軸方向の両方に直交する第3の軸方向に厚みをもつ薄板状をなし、第3の軸方向に間隔を空けて配列された複数の第3の環状磁性体と、少なくとも一部の第3の環状磁性体を第3の軸方向に移動可能に支持する第3の支持部と、を有することとしてもよい。
【0012】
この場合、第1の磁気シールド構造部により遮蔽される磁力線の方向と第2の磁気シールド構造部により遮蔽される磁力線の方向に加えて第3の磁気シールド構造部によって第3の軸に垂直な方向に対する遮蔽性能が加わる。遮蔽壁が2層になった壁面では磁気シールド室の磁気遮蔽性能が高められる。
【0013】
また、本発明の磁気シールド室は、基礎部と床板とを有する床構造を更に備え、基礎部又は床板の何れか一方は、第1の環状磁性体を、床面上面からの荷重の伝達がないように遊嵌させる複数の第1の遊嵌溝を有し、少なくとも一部の第1の遊嵌溝は他よりも幅広に形成され複数の第1の環状磁性体を遊嵌させてもよい。
【0014】
この場合、第1の環状磁性体は第1の遊嵌溝に遊嵌される。これ故、第1の環状磁性体に床板上面から荷重が伝達されることがない。そのため、第1の環状磁性体の磁気特性が劣化しない。従って、床板に重量物を載置したときでも所望の磁気遮蔽性能を得ることができる。
【0015】
また、本発明の磁気シールド室は、基礎部と床板とを有する床構造を更に備え、基礎部又は床板の何れか一方は、第2の環状磁性体を、床面上面からの荷重の伝達がないように遊嵌させる複数の第2の遊嵌溝を有し、少なくとも一部の第2の遊嵌溝は他よりも幅広に形成され複数の第2の環状磁性体を遊嵌させてもよい。
【0016】
この場合、第2の環状磁性体は第2の遊嵌溝に遊嵌される。これ故、第2の環状磁性体に床板上面から荷重が伝達されることがない。そのため、第2の環状磁性体の磁気特性が劣化しない。従って、床板に重量物を載置したときでも所望の磁気遮蔽性能を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の磁気シールド室によれば、磁気遮蔽性能を確保しながら出入口を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明に係る磁気シールド室の第1実施形態を示す正面図であり、(b)部は本発明に係る磁気シールド室の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】(a)は本発明に係る磁気シールド室の第1実施形態を示す正面図であり、(b)部は本発明に係る磁気シールド室の第1実施形態を示す側面図である。
【図3】環状磁性体の間隔を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る床構造の変形例を示す断面図である。
【図5】(a)は第1実施形態に係る床構造の別の変形例を示す平面図であり、(b)は第1実施形態に係る床構造の別の変形例を示す正面図である。
【図6】(a)及び(b)は第1実施形態に係る磁気シールド構造部の変形例を示す斜視図である。
【図7】(a)は本発明に係る磁気シールド室の第2実施形態を示す平面図であり、(b)部は本発明に係る磁気シールド室の第2実施形態を示す正面図である。
【図8】(a)は第2実施形態に係る第2の磁気シールド構造部の変形例を示す平面図であり、(b)は第2実施形態に係る第2の磁気シールド構造部の変形例を示す正面図である。
【図9】本発明に係る磁気シールド室の第3実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る磁気シールド室の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、互いに同様又は同等の構成要素については図面に同一の符号を付すこととし、重複する説明を省略する。また、図1〜図9に示すようにXYZ座標系を設定し、以下の説明に用いる。以下の各実施形態において、XYZ座標系のY方向が鉛直方向である。
【0020】
<第1実施形態>
図1〜図3を用いて、本実施形態に係る磁気シールド室1を詳細に説明する。図1及び図2は、磁気的に遮蔽された空間を形成する磁気シールド室1の一実施形態を示す。図1(a)は磁気遮蔽機能を発揮する状態の磁気シールド室1の正面図であり、図1(b)はその側面図である。図2(a)は出入口6が形成された状態の磁気シールド室1の正面図であり、図2(b)はその側面図である。図3は本実施形態に係る磁気シールド室1が有する環状磁性体13(第1の環状磁性体)の間隔Gを説明するための図である。
【0021】
図1(a)を参照すると、磁気シールド室1は、磁気シールド構造部10(第1の磁気シールド構造部)と移動手段17とを備える。磁気シールド構造部10は、天井2と床3との間に設けられている。磁気シールド構造部10は磁気的に遮蔽された遮蔽空間4を形成する。また、本実施形態に係る磁気シールド構造部10は、天井2に固定されたワイヤ5aにより吊り下げられた吊り床5を有している。
【0022】
磁気シールド構造部10は、複数の遮蔽板11a、11b(第1の遮蔽板)及び支持部14(第1の支持部)を有する。遮蔽板11a、11bは、Z軸方向(第1の軸方向)に移動可能に構成された可動遮蔽板11aと、固定された固定遮蔽板11bとの2種類に分類される。本実施形態に係る磁気シールド構造部10は、4つの可動遮蔽板11aと、2つの固定遮蔽板11bとを含む。遮蔽板11a、11bは、Z軸方向に等間隔で配列されている。遮蔽板11a、11bは、Z軸方向に沿って一の固定遮蔽板11b、可動遮蔽板11a、他の固定遮蔽板11bの順に配列されている。可動遮蔽板11aは支持部14によりZ軸方向に移動可能に支持されている。可動遮蔽板11aは、連結ひも20により連結されている。固定遮蔽板11bは図示しない所定の支持部材を介して天井2又は床3に固定されている。
【0023】
遮蔽板11a、11bは環状磁性体13と基材12とを備えている。基材12は環状磁性体13を支持するものである。基材12は矩形状の外形を有しZ軸方向に厚みを持つ薄板状をなしている。基材12は、Z軸方向に貫通する貫通孔12aと環状磁性体13が取り付けられる取付け面12bとを有する。貫通孔12aは矩形状の輪郭をなし、該輪郭が遮蔽空間4の輪郭である。基材12は、剛性のある木材や合成樹脂、金属などからなる。
【0024】
環状磁性体13は、複数(ここでは4枚)の磁性体板13aからなる。磁性体板13aは矩形状の外形を有しZ軸方向に厚みを持つ薄板状をなしている。磁性体板13aは、例えば鉄、電磁鋼板、パーマロイなどの磁性材からなる。基材12の取付け面12bにおいて、磁性体板13aは遮蔽空間4を囲むように環状に配置される。即ち、4枚の磁性体板13aが、縁部同士を互いに接触させた状態で環状に配置されることで、遮蔽空間4を囲む環状薄板状の環状磁性体13が構成される。なお、ここでは、4枚の磁性体板13aから環状磁性体13が構成されるが、環状磁性体13を一体で形成してもよい。Z軸方向に移動されるときに環状磁性体13に衝撃が印加されることを防止するために、環状磁性体13は基材12に固定されている。また、環状磁性体13の変形を防止するために、環状磁性体13は基材12に固定されている。
【0025】
環状磁性体13同士の間隔Gは、式(1)を満たすように設定される。本実施形態に係る磁気シールド構造部10では、環状磁性体13同士の間隔Gは、等間隔に設定される。図3を参照すると、シールドすべき磁束の方向が方向D1であるとき、Smはシールドすべき磁束の方向D1と直交する方向におけるそれぞれの環状磁性体13の断面積である。μsは、環状磁性体13の比透磁率である。Saは、互いに隣り合う環状磁性体13の間隔Gにおける磁束の方向と直交する方向の断面積である。このように間隔Gを設定することで、磁気シールド構造部10はXY平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮できる。
Sm・μs/Sa>1…(1)
【0026】
支持部14は可動遮蔽板11aをZ軸方向に移動可能に支持する。支持部14は、遮蔽板11aを支持するガイド15と天井2から吊り下げられる吊りボルト16とを有する。ガイド15は吊りボルト16により固定されている。ガイド15は、遮蔽板11aの基材12が有する貫通孔12aに挿通されて、可動遮蔽板11aをZ軸方向に移動可能に支持する。Z軸方向に移動されるときに環状磁性体13が変形されることを防止するために、ガイド15は環状磁性体13とは直接接触せずに、基材12と接している。すなわち、ガイド15は環状磁性体13とは離間している。なお、支持部14は、床3に設けられた図示しない支持柱によりガイド15が支持される構成であってもよい。
【0027】
移動手段17は、ワイヤ18、複数の滑車19及び制御部21を有する。滑車19は天井2から吊り下げられている。ワイヤ18の一部は、固定遮蔽板11bと隣り合う可動遮蔽板11aに連結されている。ワイヤ18の一の端部と他の端部とは制御部21に連結されている。制御部21は、ワイヤ18の一の端部側から巻き取る又は他の端部側から巻き取ることにより、可動遮蔽板11aの位置を制御する。制御部21はユーザが操作するための操作部21aを有する。操作部21aは、遮蔽空間4の内部及び遮蔽空間4の外部に設けられる。なお、遮蔽空間4が大きく遮蔽板11aの重量が大きいときには、遮蔽板11aの移動を容易にするために滑車等を用いてもよい。また、移動手段17は、支持部14のガイド15が電動ガイドである構成としてもよい。また、ワイヤ18で可動遮蔽板11aの位置を制御する手段に代えて、エアーバルーン、バネ、油圧シャフト等を用いることもできる。
【0028】
連結ひも20は、可動遮蔽板11a同士を接続する。連結ひも20に代えて、例えば鎖等を用いることもできる。
【0029】
本実施形態に係る磁気シールド構造部10は、遮蔽板11a、11bとして6つの遮蔽板11a、11bを有しているが、遮蔽板11a、11bの数は上述した数に限定されない。遮蔽空間4をZ軸方向に長く形成するときには、更に多い数の遮蔽板11a、11bを有していてもよい。また、本実施形態に係る可動遮蔽板11aは4つの遮蔽板からなるが、大きい出入口6を形成するときには4つ以上の個数であってもよい。
【0030】
本実施形態に係る磁気シールド構造部10は、少なくとも1つの遮蔽壁を有していてもよい。遮蔽壁は、Z軸方向を厚さ方向とする板状の構成を有する。遮蔽壁は、貫通孔12aを有しない基材と、該基材の取付け面に設けられた少なくとも1つの磁性体とを有する。遮蔽壁を有する磁気シールド構造部10はZ軸方向に沿って、一の遮蔽壁、一の固定遮蔽板11b、可動遮蔽板11a、他の固定遮蔽板11b、他の遮蔽壁の順に配列される。このような構成を有する磁気シールド室1は磁気遮蔽性能をさらに高めることができる。
【0031】
続いて、上述した磁気シールド室1に出入口6を形成する方法を図1及び図2を用いて説明する。図1を参照すると、遮蔽板11a、11bは、Z軸方向に間隔Gを空けて等間隔に配列されている。制御部21の操作部21aを操作すると、ワイヤ18の一の端部側からワイヤ18が巻き取られる。ワイヤ18が巻き取られると、ワイヤ18は正のZ軸方向に向く矢印A1の方向に引っ張られる。ワイヤ18は、固定遮蔽板11bと隣り合う可動遮蔽板11aに接続されているので、該可動遮蔽板11aはガイド15に案内されて正のZ軸方向に移動される。正のZ軸方向に移動される可動遮蔽板11aは、隣り合う別の可動遮蔽板11aを押すように動く。図2を参照すると、可動遮蔽板11a同士の間は狭くなる。その一方、ワイヤ18が連結された可動遮蔽板11aと該可動遮蔽板11aと隣接する固定遮蔽板11bとの間が広くなり、この間を通じて人や機器を遮蔽空間4の内部に出入りさせることが可能になる。即ち、可動遮蔽板11aと固定遮蔽板11bとの間隙が出入口6となる。
【0032】
次に、図2を用いて出入口6を閉じる方法について説明する。操作部21aを操作すると、ワイヤ18の他の端部側からワイヤ18が巻き取られる。ワイヤ18が巻き取られると、ワイヤ18は負のZ軸方向に向く矢印A2の方向に引っ張られる。ワイヤ18は、可動遮蔽板11aに連結されているので、該可動遮蔽板11aはガイド15に案内されて負のZ軸方向に移動される。続けてワイヤ18を巻き取ると、可動遮蔽板11a同士は連結ひも20で接続されているので、可動遮蔽板11aは負のZ軸方向に移動される。連結ひも20により、可動遮蔽板11a同士の間は間隔Gに設定され、図1の状態に戻る。
【0033】
以上のような磁気シールド室1は、遮蔽空間4が環状の形状をなす環状磁性体13により囲まれているので、遮蔽空間4に磁束が入ることを防止することができる。これ故、磁気的に遮蔽された空間である遮蔽空間4を形成することができる。磁気シールド室1は、特に、XY平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する。また、環状磁性体13をZ軸方向に移動可能に支持する支持部14を有しているので、少なくとも一部の環状磁性体13をZ軸方向に移動可能である。従って、互いに離間している環状磁性体13の間隔の一部をZ軸方向に広げることにより、当該環状磁性体13同士の間から人や機器を出入りさせることができる。また、各々の環状磁性体13はZ軸方向に移動するのみであり、切断したり変形させたり接合・離間部を設けたりする必要がない。これ故、環状磁性体13の磁気遮蔽性能を好適に確保できる。従って、この磁気シールド室1は、磁気遮蔽性能を確保しながら出入口6を形成することができる。
【0034】
また、特許文献2の磁気シールド室のように磁性部材同士の接合・離間部を有する磁気シールド室においては大きい出入口を形成するとき、磁気的な接合部の数が増大するため、磁気シールド室の磁気遮蔽性能を保つことは困難である。一方、本実施形態に係る磁気シールド室1が有する環状磁性体13は、Z軸方向に移動可能に支持部14により支持されている。そして環状磁性体13をZ軸方向に移動させる移動手段17を備えている。従って、磁気シールド室1は、磁性材同士の接合・離間を伴うことなく出入口6を形成することができる。また、このような出入口6は、天井2側の面にも形成されるので、クレーン等を使用して天井2側の面の出入口から機器を搬入することができる。そのため、磁気シールド室1への機器の搬入搬出が容易になる。環状磁性体13は、支持部14のガイド15上に所定の間隔Gで配置することができるので、出入口6の大きさを容易に変更することができる。これ故、機器の搬入搬出における利便性が向上する。
【0035】
上述した吊り床5を備える床構造に代えて、図4に示す床構造40を採用してもよい。図4では、床構造40と一の可動遮蔽板11aを図示し、その他の構成要素は省略する。床構造40は基礎部41を備えている。基礎部41には空隙42が形成され、可動遮蔽板11aは、Z軸方向に移動させることができる。また、基礎部41の上面部41aは、機器8を載置しても変形することがない強度を有している。そのため、基礎部41の上に人7や機器8が存在しても、可動遮蔽板11aに荷重が伝達されない。従って、可動遮蔽板11aが有する環状磁性体13が変形されることがないので、磁気遮蔽性能を好適に確保することができる。
【0036】
上述した吊り床5を備える床構造に代えて、図5に示す床構造50を採用してもよい。図5は床構造50を備える磁気シールド室1bを説明するための図である。図5(a)は出入口6、6aが形成された状態の磁気シールド室1bの平面図であり、図5(b)はその正面図である。なお、図5(a)及び(b)では、可動遮蔽板11a、11bの外形のみ図示し、基材12及び環状磁性体13の詳細な図示は省略する。また、図5(a)及び(b)では、例えば移動手段17のような上述した構成要素以外の構成要素については図示を省略する。
【0037】
図5(b)を参照すると、磁気シールド室1bは、磁気シールド構造部10と床構造50とを備える。上述した磁気シールド室1と異なる点は、吊り床5に代えて床構造50を備える点である。
【0038】
床構造50は基礎部51と床板52とを有する。基礎部51は、X軸方向に延びる遊嵌溝(第1の遊嵌溝)51a、51bを有する。遊嵌溝51aは、他の遊嵌溝51bよりも幅広に形成されている。遊嵌溝51a、51bは、Z軸方向に互いに離間して設けられている。
【0039】
遊嵌溝51aには、複数の可動遮蔽板11aが遊嵌される。遊嵌溝51aは、可動遮蔽板11aを遊嵌可能な深さを有している。遊嵌溝51aの幅は、可動遮蔽板11aをZ軸方向に移動可能にするために、Z軸方向に長くなるように形成されている。本実施形態における出入口6は人7が出入り可能な程度の大きさを有している。
【0040】
遊嵌溝51bには、固定遮蔽板11bが遊嵌される。遊嵌溝51bの深さは、例えば上述した遊嵌溝51aと同じ深さになるように設定されている。遊嵌溝51bの幅は、固定遮蔽板11bのZ軸方向の厚さよりも長く設定される。床板52は、複数の凸部の上に載置される。床面上面52aには機器8が載置される。床板52は、床板52の上に機器8を載置しても変形することがない強度を有している。
【0041】
以上のような磁気シールド室1bは、可動遮蔽板11aを遊嵌する遊嵌溝51aと固定遮蔽板11bを遊嵌する遊嵌溝51bとを有している。遊嵌溝51aに遊嵌されている可動遮蔽板11aは、遊嵌溝51a及び床板52に接していない。これ故、床板52の上に機器8を載置しても、可動遮蔽板11aに荷重は伝達されない。また、遊嵌溝51bに遊嵌されている固定遮蔽板11bは、遊嵌溝51b及び床板52に接していない。これ故、床板52の上に機器8を載置しても、固定遮蔽板11bに荷重は伝達されない。そのため、機器8を床板52の上に載置しても可動遮蔽板11a及び固定遮蔽板11bが有する環状磁性体13の変形を防止できるので、磁気シールド室1bの磁気遮蔽性能の低下を防止することができる。なお、基礎部51は平坦な構造とし、床板52の底面に遊嵌溝51a,51bを設けてもよい。また、出入口6を複数形成したいときは、複数の可動遮蔽板11aが遊嵌される遊嵌溝51aを複数形成すればよい。
【0042】
また、上述した磁気シールド構造部10に代えて、図6に示す磁気シールド構造部60を採用してもよい。磁気シールド構造部60は、XZ平面に平行な磁束成分に対して磁気遮蔽性能を発揮するものである。図6はXZ平面に平行な磁束成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する磁気シールド室1cを説明するための図である。図6(a)は磁気遮蔽性能を発揮する状態の磁気シールド室1cの斜視図であり、図6(b)は出入口6、6bが形成された状態の磁気シールド室1cの斜視図である。なお、図6では、可動遮蔽板61a(第1の遮蔽板)の外形のみ図示し、基材12及び環状磁性体13の詳細な図示は省略する。また、図6では、例えば移動手段17のような上述した構成要素以外の構成要素については図示を省略する。
【0043】
図6(a)を参照すると、磁気シールド室1cは、磁気シールド構造部60(第1のシールド構造部)及び支持部64(第1の支持部)を有する。可動遮蔽板61aは、Y方向(第1の軸方向)に沿うように設置されている。即ち、磁気シールド室1が備える磁気シールド構造部10が設置された方向と、磁気シールド室1cが備える磁気シールド構造部60を設置された方向は異なっている。なお、それぞれの可動遮蔽板61aは、設置方向が異なる点を除き可動遮蔽板11aと同様の構成を有する。
【0044】
支持部64は、可動遮蔽板61aをY軸方向に移動可能に支持する。支持部64は複数の支持柱65を有する。支持柱65は、Y軸方向に延びるように形成されている。支持柱65は、可動遮蔽板61aを支持するように床3の上に配置されている。なお、支持部64は、例えば天井2に接続された吊りボルトにより支持される構成であってもよい。
【0045】
以上のような磁気シールド室1cは、XZ平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する磁気シールド構造部60を備えている。従って、磁気シールド室1と異なる方向の磁束成分を遮蔽することができる。また、磁気シールド構造部60が有する可動遮蔽板61aは、支持部64によりY軸方向に移動可能に支持されている。これ故、図6(b)に示すように、可動遮蔽板61aを上下動させて出入口6、6bを容易に設けることができる。
【0046】
<第2実施形態>
図7を参照しながら、本実施形態に係る磁気シールド室1dについて詳細に説明する。図7は本実施形態に係る出入口6、6aを形成した磁気シールド室1dを説明するための図である。図7(a)は出入口6、6aが形成された状態の磁気シールド室1dの平面図であり、図7(b)はその正面図である。磁気シールド室1dは、第1実施形態に係る磁気シールド室1bに更に第2の磁気シールド構造部70を加えた構成を有する。なお、図7(a)及び(b)では、遮蔽板11a、11b、71a、71bの外形のみ図示し、基材12及び環状磁性体13の詳細な図示は省略すると共に、例えば移動手段17のような上述した構成要素以外の構成要素については図示を省略する。
【0047】
本実施形態に係る磁気シールド室1dは、第1の磁気シールド構造部10、第2の磁気シールド構造部70及び床構造50Aを備えている。本実施形態における第1の磁気シールド構造部10は、第1実施形態に係る磁気シールド構造部10と同様の構成を有する。第2の磁気シールド構造部70はYZ平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する。
【0048】
第2の磁気シールド構造部70は、第1の磁気シールド構造部10を囲むように構成されている。第2の磁気シールド構造部70は、複数の遮蔽板71a、71b及び第2の支持部74を有する。遮蔽板71a、71bは、X軸方向(第2の軸方向)に移動可能に構成された可動遮蔽板71aと、固定された固定遮蔽板71bとの2種類に分類される。遮蔽板71a、71bは、X軸方向に間隔を空けて配列されている。遮蔽板71a、71bは、X軸方向に沿って一の固定遮蔽板71b、可動遮蔽板71a、他の固定遮蔽板71bの順に配列されている。可動遮蔽板71aは支持部74によりX軸方向に移動可能に支持されている。
【0049】
可動遮蔽板71a及び固定遮蔽板71bは、外形寸法、貫通孔72aの寸法及び配置の構成以外は、可動遮蔽板11aと同様の構成を有する。また、第2の支持部74は、可動遮蔽板71aをX軸方向に移動可能に支持する構成以外は、支持部14と同様の構成を有する。さらに、可動遮蔽板71aは移動手段17と同様の構成を有する図示しない移動手段により移動される。
【0050】
床構造50Aは、第1実施形態に係る床構造50に、更にZ軸方向に延びる遊嵌溝(第2の遊嵌溝)77a、77bを加えて形成した構成を有する。複数の遊嵌溝77a、77bの少なくとも一部の遊嵌溝77aは、他の遊嵌溝77bよりも幅広に形成されている。遊嵌溝77a、77bは、X軸方向に互いに離間して設けられている。
【0051】
遊嵌溝77aには複数の可動遮蔽板71aが遊嵌される。遊嵌溝77aは、可動遮蔽板11a及び可動遮蔽板71aを遊嵌可能な深さを有している。遊嵌溝77aの幅は、可動遮蔽板71aをX軸方向に移動可能にするために、X軸方向に長くなるように形成されている。遊嵌溝77bには、固定遮蔽板71bが遊嵌される。遊嵌溝77bの深さは、例えば上述した遊嵌溝77aと同じ深さになるように設定されている。遊嵌溝77bの幅は、固定遮蔽板71bのX軸方向の厚さよりも長く設定される。
【0052】
以上のような磁気シールド室1dは、XY平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する第1の磁気シールド構造部10に加えて、YZ平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する第2の磁気シールド構造部70を備えている。従って、磁気シールド室1dの磁気遮蔽性能を更に高めることができる。また、第2の磁気シールド構造部70が有する可動遮蔽板71aは、第2の支持部74によりX軸方向に移動可能に支持されている。これ故、人7が出入りするための出入口6を容易に設けることができる。
【0053】
また、可動遮蔽板11aは遊嵌溝51aに遊嵌され、可動遮蔽板71aは遊嵌溝77aに遊嵌されている。そして、固定遮蔽板11bは遊嵌溝51bに遊嵌され、固定遮蔽板71bは遊嵌溝77bに遊嵌されている。これ故、床板52の上に機器8を載置しても、遮蔽板71a、71bに荷重は伝達されない。そのため、機器8を床板52の上に載置しても遮蔽板71a、71bが有する環状磁性体13の変形を防止できるので、磁気シールド室1dの磁気遮蔽性能の低下を防止することができる。
【0054】
なお、第2の磁気シールド構造部70に代えて、図8に示すように第2の磁気シールド構造部80を採用してもよい。第2の磁気シールド構造部80は、XZ平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮するものである。図8を参照しながら、本実施形態に係る磁気シールド室1eについて詳細に説明する。図8は本実施形態に係る出入口6、6aを形成した磁気シールド室1eを説明するための図である。図8(a)は出入口6、6aを形成した磁気シールド室1eの平面図であり、図8(b)はその正面図である。磁気シールド室1eは、第1実施形態に係る磁気シールド室1bに更に第2の磁気シールド構造部80を加えた構成を有する。なお、図8(a)及び(b)では、可動遮蔽板81aの外形のみ図示し、基材12及び環状磁性体13の詳細な図示は省略すると共に、例えば移動手段17のような上述した構成要素以外の構成要素については図示を省略する。
【0055】
本実施形態に係る磁気シールド室1eは、第1の磁気シールド構造部10、第2の磁気シールド構造部80及び床構造50を備えている。本実施形態における第1の磁気シールド構造部10は、第1実施形態に係る磁気シールド構造部10と同様の構成を有する。第2の磁気シールド構造部80はXZ平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する。
【0056】
第2の磁気シールド構造部80は、第1の磁気シールド構造部10を囲むように構成されている。第2の磁気シールド構造部80は、複数の可動遮蔽板81a及び第2の支持部84を有する。可動遮蔽板81aは、Y軸方向(第2の軸方向)に移動可能に構成されている。可動遮蔽板81aは、Y軸方向に間隔を空けて配列されている。
【0057】
可動遮蔽板81aは、外形寸法、貫通孔82aの寸法及び配置の構成以外は、可動遮蔽板11aと同様の構成を有する。また、第2の支持部84は、第1実施形態に係る磁気シールド室1cが備える支持部64と同様の構成を有する。即ち、第2の支持部84は、可動遮蔽板81aをY軸方向に移動可能に支持する。
【0058】
以上のような磁気シールド室1eは、XY平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する第1の磁気シールド構造部10に加えて、XZ平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する第2の磁気シールド構造部80を備えている。従って、磁気シールド室1eの磁気遮蔽性能を更に高めることができる。また、第2の磁気シールド構造部80が有する可動遮蔽板81aは、支持柱85によりY軸方向に移動可能に支持されている。これ故、人7が出入りするための出入口6を容易に設けることができる。
【0059】
<第3実施形態>
図9を参照しながら、本実施形態に係る磁気シールド室1fについて詳細に説明する。図9は本実施形態に係る出入口6、6a、6bを形成した磁気シールド室1fを説明するための斜視図である。磁気シールド室1fは、第2実施形態に係る磁気シールド室1dに更に第3の磁気シールド構造部90を加えた構成を有する。また、床構造50に代えて吊り床5を備えている。なお、図9では、可動遮蔽板91aの外形のみ図示し、基材12及び環状磁性体13の詳細な図示は省略すると共に、例えば移動手段17のような上述した構成要素以外の構成要素については図示を省略する。
【0060】
第3の磁気シールド構造部90は、第2の磁気シールド構造部70を囲むように構成されている。第3の磁気シールド構造部90は、複数の可動遮蔽板91a(第3の遮蔽板)を有する。可動遮蔽板91aは、第2の磁気シールド構造部70を囲むことができる貫通孔92aを有する。可動遮蔽板91aは、Y軸方向に厚みを持つ薄板状をなしている。可動遮蔽板91aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。磁気遮蔽効果を発揮させるとき、可動遮蔽板91a同士の間隔は、上述した式(1)を満たすように設定される。第3の支持部94は、可動遮蔽板91aをY軸方向に移動可能に支持する。第3の支持部94は、複数の支持柱95を有する。支持柱95は、Y軸方向に延びるように形成されている。支持柱95は、可動遮蔽板91aを支持するように床3の上に配置されている。なお、第3の支持部94は、例えば天井2に接続された吊りボルトにより支持される構成であってもよい。
【0061】
従来の磁気的な接触部を伴った出入口では、磁気シールド構造部の多層化に伴い接触箇所が増大するので、磁気遮蔽性能の確保が容易ではなかった。本実施形態に係る磁気シールド室1fは、XY平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する第1の磁気シールド構造部10とYZ平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する第2の磁気シールド構造部70とに加えて、XZ平面に平行な磁界成分に対して磁気遮蔽性能を発揮する第3の磁気シールド構造部90を備えている。従って、磁気シールド室1fの磁気遮蔽性能を更に高めることができる。また、第3の磁気シールド構造部90が有する可動遮蔽板91aは、Y軸方向に移動可能に構成されている。これ故、多層構造を備える磁気シールド室1fに出入口6、6a、6bを容易に設けることができる。
【0062】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。例えば、複数の遮蔽板を全て可動遮蔽板とすることにより、可動遮蔽板を迅速かつコンパクトに収納することができる。このような構成を有する磁気シールド室は、所定の空間において磁気遮蔽性能が不要なとき、磁気遮蔽性能を有しない通常の部屋として利用できる。また、磁気の影響を受けやすい装置類を覆う磁気シールドボックス等に適用すれば、従来構法よりも磁気的に遮蔽された空間に設置された装置へのアクセスが容易になり、利便性を向上できる。また、各実施形態で示した磁気シールド室の各構成要素(例えば、第1の磁気シールド構造部10、第2の磁気シールド構造部70、第1の磁気シールド構造部90、吊り床5、床構造50、50A等)は自由に組み合わせることが可能であり、上述の実施形態において例示した組み合わせ以外の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…磁気シールド室、2…天井、3…床、4…遮蔽空間、5…吊り床、6…出入口、7…人、8…機器、10…第1のシールド構造部、11a…可動遮蔽板、11b…固定遮蔽板、12…基体、13…環状磁性体、14…支持部、15…ガイド、16…吊りボルト、17…移動手段、18…ワイヤ、19…滑車、20…連結ひも、21…制御部、40…床構造、41…基礎部、51a、51b…遊嵌溝、70…第2のシールド構造部、90…第3のシールド構造部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気的に遮蔽された遮蔽空間を形成する磁気シールド室であって、
前記遮蔽空間を囲む第1の磁気シールド構造部を備え、
前記第1の磁気シールド構造部は、
前記遮蔽空間を囲む環状の形状をなすとともに所定の第1の軸方向に厚みをもつ薄板状をなし、前記第1の軸方向に間隔を空けて配列された複数の第1の環状磁性体と、
少なくとも一部の前記第1の環状磁性体を前記第1の軸方向に移動可能に支持する第1の支持部と、を有することを特徴とする磁気シールド室。
【請求項2】
前記第1の磁気シールド構造部を囲む第2の磁気シールド構造部を更に備え、
前記第2の磁気シールド構造部は、
前記第1の磁気シールド構造部を囲む環状をなすとともに前記第1の軸方向に直交する第2の軸方向に厚みをもつ薄板状をなし、前記第2の軸方向に間隔を空けて配列された複数の第2の環状磁性体と、
少なくとも一部の前記第2の環状磁性体を前記第2の軸方向に移動可能に支持する第2の支持部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気シールド室。
【請求項3】
前記第2の磁気シールド構造部を囲む第3の磁気シールド構造部を更に備え、
前記第3の磁気シールド構造部は、
前記第2の磁気シールド構造部を囲む環状をなすとともに前記第1及び第2の軸方向の両方に直交する第3の軸方向に厚みをもつ薄板状をなし、前記第3の軸方向に間隔を空けて配列された複数の第3の環状磁性体と、
少なくとも一部の前記第3の環状磁性体を前記第3の軸方向に移動可能に支持する第3の支持部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の磁気シールド室。
【請求項4】
基礎部と床板とを有する床構造を更に備え、
前記基礎部又は前記床板の何れか一方は、
前記第1の環状磁性体を、前記床面上面からの荷重の伝達がないように遊嵌させる複数の第1の遊嵌溝を有し、
少なくとも一部の前記第1の遊嵌溝は他よりも幅広に形成され複数の前記第1の環状磁性体を遊嵌させていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気シールド室。
【請求項5】
基礎部と床板とを有する床構造を更に備え、
前記基礎部又は前記床板の何れか一方は、
前記第2の環状磁性体を、前記床面上面からの荷重の伝達がないように遊嵌させる複数の第2の遊嵌溝を有し、
少なくとも一部の前記第2の遊嵌溝は他よりも幅広に形成され複数の前記第2の環状磁性体を遊嵌させていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の磁気シールド室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−216571(P2012−216571A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79088(P2011−79088)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】