説明

磁気ストライプ読み取り装置

【課題】
異なる仕様の磁気ストライプが混在しても各通帳を高速に読み取ることのできる磁気ストライプ読み取り装置を提供する。
【解決手段】
搬送方向に直交する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプに対応する磁気ヘッドを備えた横磁気読み取り装置14と、
搬送方向に並行する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプに対応する磁気ヘッドを備えた縦磁気読み取り装置15と、
前記横磁気読み取り装置および縦磁気読み取り装置の読み取りを制御する制御装置を備え、
該制御装置は、横読み取り装置の磁気ヘッドを介して通帳面に形成した磁気ストライプを読み取る際、読み取り動作期間中の短期間にのみ微小読み取り信号を検出したとき、読み取り装置を横読み取り装置から縦読み取り装置に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ストライプ読み取り装置に係り、特に異なる仕様の磁気ストライプが混用された通帳を高速に読み取ることのできる磁気ストライプ読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、磁気ストライプの仕様が異なる通帳を使用する銀行が合併した場合、合併後の新銀行の現金自動預け払い機(Automatic Teller Machine)には、磁気ストライプの仕様が異なる複数の通帳が混在して挿入されることになる。
【0003】
例えば、特許文献1には、これらの通帳を判別する場合、例えば、一方の仕様の磁気ストライプをそれ専用の読み取り機構を用いて読み取りを行い、読み取りが不可である場合、他方の仕様の磁気ストライプをそれ専用の読み取り機構を用いて読み取りを行うことが示されている。また、磁気ストライプの読み取りに際して、磁気読み取りのヘッドを動作させ磁気ストライプの位置を検出することが示されている。
【特許文献1】特開平2004−162640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、一方の仕様の磁気ストライプをそれ専用の読み取り機構を用いて読み取りを行い、読み取りが不可である場合、他方の仕様の磁気ストライプをそれ専用の読み取り機構を用いて読み取りを行う。すなわち、前記一方の仕様の磁気ストライプの読み取りが不可の場合であっても最後まで読み取り動作を継続し、この読み取り動作の終了を待って、他方の仕様の磁気ストライプの読み取りを開始する。
【0005】
このため、通帳に貼付された磁気ストライプの読み取りに時間を要し、処理速度が低下する。
【0006】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、異なる仕様の磁気ストライプが混在しても、各通帳を高速に読み取ることのできる磁気ストライプ読み取り装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0008】
搬送方向に直交する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプに対応する磁気ヘッドを備えた横磁気読み取り装置と、搬送方向に並行する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプに対応する磁気ヘッドを備えた縦磁気読み取り装置と、前記横磁気読み取り装置および縦磁気読み取り装置の読み取りを制御する制御装置を備え、該制御装置は、横読み取り装置の磁気ヘッドを介して通帳面に形成した磁気ストライプを読み取る際、読み取り動作期間中の短期間にのみ微小読み取り信号を検出したとき、読み取り装置を横読み取り装置から縦読み取り装置に切り換える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上の構成を備えるため、異なる仕様の磁気ストライプが混在しても各通帳を高速に読み取ることのできる磁気ストライプ読み取り装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に実施形態に係る磁気ストライプ読み取り装置を説明する図である。図1において、11は磁気ストライプが貼付された通帳、12は通帳挿入口、13は磁気ストライプ読み書き装置を備えた通帳印字機構17の搬送路である。搬送路13は複数の搬送ローラ13aを備える。
【0011】
14は横磁気読み書き装置であり、横磁気ストライプ(搬送方向に直交する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプ)の読み取りに対応した磁気読み書き装置である。15は縦磁気読み書き装置であり、縦磁気ストライプ(搬送方向に並行する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプ)の読み取りに対応した縦磁気読み書き装置である。また、16はページ替え機構であり、縦磁気読み書き装置15側から搬入された通帳のページ替えを行った後、前記縦磁気読み書き装置15側に返送する。
【0012】
図2は、横磁気読み書き装置を説明する図である。図において、14は横磁気読み書き装置、42は横磁気ストライプであり、通帳11の搬送方向(Y)に直交する方向(X)に沿って通帳面に磁気ストライプ42を形成してある。また、21は横磁気読み取り装置14の読み取りヘッドであり、通帳の搬送方向(Y)に直交する方向(X)に沿って駆動される。
【0013】
図3は、縦磁気読み書き装置を説明する図である。図において、15は縦磁気読み書き装置である。44は縦磁気ストライプであり、通帳11の搬送方向(Y)に沿って通帳面に形成してある。また、31は縦磁気読み取り装置15の読み取りヘッドであり、縦磁気読み書き装置15に固定して取り付けてある。このため、通帳に貼付された縦磁気ストライプ44は読み取りヘッド31に沿って搬送されることになる
図4は、磁気ストライプを貼付した通帳を説明する図である。ここで、図4(a)は横磁気ストライプ(搬送方向に直交する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプ42)を備えた通帳を示し、図4(b)は縦磁気ストライプ(搬送方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプ44)を備えた通帳を示す。
【0014】
図5は、横磁気読み書き装置14に対し、縦磁気ストライプ44を貼付した通帳を読み取る例を説明する図である。この例の場合、横磁気読み書き装置14の読み取りヘッド21は、通帳の搬送方向(Y)に直交する方向(X)に沿って駆動される。このため、読み取りヘッド21は、前記駆動(スキャン)の途中、すなわち、縦磁気ストライプを横切ってスキャンしたときに微小な信号信号波形を検出することができる。
【0015】
図6は、縦磁気読み書き装置15に対し、横磁気ストライプ42を貼付した通帳を読み取る例を説明する図である。この例の場合、縦磁気読み書き装置15の読み取りヘッド31は、前述のように磁気読み取り装置15に対して固定して取り付けてある。このため、読み取りヘッド31は、通帳の搬送に伴い、通帳上をY方向の駆動(スキャン)することになる。このスキャンの途中、すなわち、横磁気ストライプを横切ってスキャンしたときに微小な信号波形を検出することができる。
【0016】
図7は、磁気ストライプ読み取り装置の読み取りを制御する制御装置の処理を説明する図である。まず、ステップS71において、通帳11を通帳印字機構17の通帳挿入口12に挿入する。通帳の挿入を検知すると、通帳印字機構17は通帳の搬送路13を構成する搬送ローラ13aを駆動し、通帳11を横磁気読み書き装置14の位置まで搬送する。ここで横磁気読み書き装置の読み取りヘッド21を通帳のX方向に駆動しスキャンを行う。
【0017】
ステップS72において、ステップS71における読み取りが正常に終了したか否かを判別し、正常に終了した場合は、ステップS73において、挿入された通帳は横磁気ストライプ仕様の通帳であると判断する。
【0018】
読み取りが正常に行えない場合はステップS74に進み、ここで、微小な信号波形が検出できたか否かを判別する(前述のように横磁気読み書き装置41の読み取りヘッド21は、その駆動(スキャン)の途中、縦磁気ストライプを横切ったときに微小な信号波形を検出することができる)。
【0019】
微小な信号波形が検出できない場合は、ステップS75に進む。ステップS75において、リトライ回数が所定回数以下であるか否かを判別し、所定回数以下である場合はステップS72に戻って再度スキャン(リトライ)を行う。所定回数リトライを繰り返しても正常に読み取りを終了できない場合は、ステップS78(縦磁気ストライプ処理)に移行する。
【0020】
前記、ステップS74において、微小な信号波形が検出できた場合はステップS77に移行し、ここで縦磁気ストライプ処理に切り替える。ステップS78において、通帳11を縦磁気読み書き装置15の位置まで搬送する。なお、縦磁気読み書き装置の読み取りヘッド31は固定されているため、搬送ローラ13aを駆動して通帳をY方向にスキャンすることにより、縦磁気ストライプを読み取る。
ステップS79において、読み取りが正常に終了したか否かを判別し、正常に終了した場合は、ステップS80において、挿入された通帳は縦磁気ストライプ仕様の通帳であると判断する。
【0021】
読み取りが正常に行えない場合はステップS81に進み、ここで、リトライ回数が所定回数以下であるか否かを判別し、所定回数以下である場合はステップS72に戻って再度スキャン(リトライ)を行う。所定回数リトライを繰り返しても正常に処理を狩猟できない場合は処理(取引)を中止する。
【0022】
この例の場合には、ステップS71において読み取りが正常に行えない場合、ステップS74において、微小な信号波形が検出できるか否かを判別する。この微小な信号波形は、前述のように横磁気読み書き装置41の読み取りヘッド21が、その駆動(スキャン)の途中、縦磁気ストライプを横切ったときに得られる信号波形である。このため、前記微小な信号波形を検出したとき直ちに縦磁気ストライプ処理(ステップS77)に切り替えることができる。すなわちステップS74の処理を追加するだけで処理速度を格段に向上することができる。
【0023】
以上は、通帳搬送路の通帳挿入口12側から順に、横磁気読み書き装置、および縦磁気読み書き装置を配置したが、これとは逆順に配置することもできる。この場合は図7における「縦磁気ストライプ」に対する処理と「横磁気ストライプ」に対する処理を置換すればよい。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、横磁気ストライプ用の読み取りヘッドが縦磁気ストライプを横切ったとき得られる微小な信号波形、あるいは縦磁気ストライプ用の読み取りヘッドが横磁気ストライプを横切ったとき得られる微小な信号波形を検出して、通帳の仕様(横磁気ストライプ、縦磁気ストライプ)を判別する。このため、リトライ処理を省略することができ、判別に要する時間を短縮することができる。また、この処理は、プログラムの一部を変更するのみで実現することができる。このため通帳印字機構にに余分な機構を付けることなく安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に実施形態に係る磁気ストライプ読み取り装置を説明する図である。
【図2】横磁気読み書き装置を説明する図である。
【図3】縦磁気読み書き装置を説明する図である。
【図4】磁気ストライプを貼付した通帳を説明する図である。
【図5】横磁気読み書き装置に対し、縦磁気ストライプを貼付した通帳を読み取る例を説明する図である。
【図6】縦磁気読み書き装置に対し、横磁気ストライプを貼付した通帳を読み取る例を説明する図である。
【図7】磁気ストライプ読み取り装置の読み取りを制御する制御装置の処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
11 通帳
12 挿入口
13 搬送路
13a 搬送ローラ
14 横磁気読み書き装置
15 縦磁気読み書き装置
16 ページ替え機構
21 横磁気ストライプ読み取りヘッド
31 縦磁気ストライプ読み取りヘッド
42 横磁気ストライプ
44 縦磁気ストライプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に直交する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプに対応する磁気ヘッドを備えた横磁気読み取り装置と、
搬送方向に並行する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプに対応する磁気ヘッドを備えた縦磁気読み取り装置と、
前記横磁気読み取り装置および縦磁気読み取り装置の読み取りを制御する制御装置を備え、
該制御装置は、横読み取り装置の磁気ヘッドを介して通帳面に形成した磁気ストライプを読み取る際、読み取り動作期間中の短期間にのみ微小読み取り信号を検出したとき、読み取り装置を横読み取り装置から縦読み取り装置に切り換えることを特徴とする磁気ストライプ読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気ストライプ読み取り装置において、
横磁気読み取り装置を構成する磁気ヘッドを、読み取りの際、搬送方向に直交する方向に沿って走査させることを特徴とする磁気ストライプ読み取り装置。
【請求項3】
請求項1記載の磁気ストライプ読み取り装置において、
通帳を搬送する搬送路の上流側に横磁気読み取り装置を配置し、下流側に縦磁気読み取り装置を配置することを特徴とする磁気ストライプ読み取り装置。
【請求項4】
搬送方向に直交する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプに対応する磁気ヘッドを備えた横磁気読み取り装置と、
搬送方向に並行する方向に沿って通帳面に形成した磁気ストライプに対応する磁気ヘッドを備えた縦磁気読み取り装置と、
前記横磁気読み取り装置および縦磁気読み取り装置の読み取りを制御する制御装置を備え、
該制御装置は、縦読み取り装置の磁気ヘッドを介して通帳面に形成した磁気ストライプを読み取る際、読み取り動作期間中の短期間にのみ微小読み取り信号を検出したとき、読み取り装置を縦磁気読み取り装置から横磁気読み取り装置に切り換えることを特徴とする磁気ストライプ読み取り装置。
【請求項5】
請求項4記載の磁気ストライプ読み取り装置において、
横磁気読み取り装置を構成する磁気ヘッドを、読み取りの際、搬送方向に直交する方向に沿って走査させることを特徴とする磁気ストライプ読み取り装置。
【請求項6】
請求項4記載の磁気ストライプ読み取り装置において、
通帳を搬送する搬送路の上流側に縦磁気読み取り装置を配置し、下流側に横磁気読み取り装置を配置することを特徴とする磁気ストライプ読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−18241(P2007−18241A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198887(P2005−198887)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】