説明

磁気テープドライブ装置

【課題】
磁気テープドライブ装置のクリーニング方法として、脱着式クリーナーおよび柔軟粘着性材を採用することにより、効果的にクリーニングを行い、かつ一旦除去した塵埃、汚れ等の再付着を防ぎ、弊害を抑制、低減することのできる磁気テープドライブ装置を提供する。
【解決手段】
磁気テープとライトヘッド及びリードヘッドを非接触状態とする手段と、脱着式クリーナーをライトヘッド及びリードヘッドに搬送して接触させる手段とを備え、脱着式クリーナーのライトヘッド及びリードヘッドとの接触部分には柔軟粘着性材を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムのデータバックアップとして使用される磁気テープドライブ装置に関し、磁気テープドライブ装置のライトヘッドおよびリードヘッドの汚染による、書き込み/読み込みエラー、ならびにエラーレート上昇等の問題を、従来のクリーニングよりも効果的な脱着式クリーナーを設けること、柔軟粘着性材を採用することで、問題を改善する磁気テープドライブ装置のクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル化に伴い、データの大容量化が進み、コンピュータシステム装置等の高信頼性の需要が高まっている。コンピュータシステム装置は、障害が発生したとき、速やかに現状復帰できることが要求される。そのために、大容量のデータを定期的にバックアップしておくことが重要となる。従来からコンピュータシステム装置のデータバックアップとして磁気テープドライブ装置が使用されている。磁気テープ媒体は一般的に単位容量あたりの単価が安く、他の媒体に比べて大容量であることから、コンピュータシステム装置のハードディスクドライブ装置等の障害に備えて、ハードディスク等のメディアに記録されているデータをバックアップする用途に広く利用されている。
【0003】
磁気テープ媒体は、カートリッジ内に磁性体を塗布した磁気テープが収納されており、供給リール(サプライリール)のみを持つタイプと、供給リール(サプライリール)および巻取りリール(テイクアップリール)をもつタイプがある。前者は巻取りリール(テイクアップリール)を内蔵している磁気テープドライブ装置に使用する。磁気テープドライブ装置は、磁気テープ媒体を装填したり、排出したりすることができ、磁気テープ媒体は、いわゆるリムーバブルなメディアである。従って、同じ磁気テープ媒体に記録しているデータを、他の磁気テープドライブ装置で読み出したり、記録したりすることができる。代表的な磁気テープ媒体としては、数百ギガバイト以上の大容量記録を可能とするLTO(Linear Tape Open)、AIT(Advanced Intelligent Tape)、数十ギガバイトの容量記録を可能とするDDS(Digital Data Storage)などがある。
【0004】
磁気テープ媒体に供給リール(サプライリール)と巻取りリール(テイクアップリール)があるタイプの媒体を使用する磁気テープドライブ装置は、一般的にヘリカルスキャン方式と呼ばれ、図2に示すように構成されている。磁気テープドライブ装置1に挿入された磁気テープカートリッジ2内の磁気テープ5は、磁気テープドライブ装置1内の複数のピンチローラー10とキャプスタンローラー9によって引き出され、ライトヘッド7とリードヘッド8を搭載したドラム6に接触させる。ドラム6は高速で回転しており、磁気テープ5は、ピンチローラー10とキャプスタンローラー9によって一定速度で進み、ライトヘッド7とリードヘッド8にて、磁気テープ5に書き込み/読み出しが行われる。そして、書き込み/読み出しされた磁気テープ5は、磁気テープカートリッジ2のテイクアップリール4へ収納される。
【0005】
使用する磁気テープ媒体に供給リール(サプライリール)のみを備え、磁気テープドライブ装置に巻取りリール(テイクアップリール)を備えている磁気テープドライブ装置は、一般的にリニア方式と呼ばれ、図4に示すように構成されている。磁気テープドライブ装置1に挿入された磁気テープカートリッジ2内の磁気テープ5は、磁気テープドライブ装置内のテイクアップリール4と一体のテイクアップテープ17で磁気テープ5を引き出し、ピンチローラーを介してライトヘッド7およびリードヘッド8にて、磁気テープ5に書き込み/読み出しが行われる。そして、書き込み/読み出しされた磁気テープ5は、磁気テープドライブ装置1内のテイクアップリール4へ収納される。
【0006】
以上のような磁気テープドライブ装置において、塵埃付着が原因で発生する弊害は、(1)磁気テープ走行経路のメカ系トラブル。(磁気テープドライブ装置への磁気テープ絡み等)(2)ライトヘッドおよびリードヘッドへの塵埃付着によるエラーレート上昇。(3)ヘッドダメージによる短寿命化などが考えられ、何らかの塵埃対策が必要である。
【0007】
【特許文献1】特開2001−176038号公報
【特許文献2】特開2001−167412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2に示すような磁気テープドライブ装置の場合、磁気テープ走行経路およびライトヘッドおよびリードヘッドの塵埃対策は、ブレード式クリーナー12とブラシ式クリーナー11で行われている。ブレード式クリーナー12は、磁気テープ5に一定の圧力を加えて、磁気テープ5に付着している塵埃を擦り取っているが、その塵埃を排除する手段およびブレード自体をクリーニングする手段がなく、磁気テープ5の逆送時にせっかく除去した塵埃を再び磁気テープに付着させてしまう恐れがある。ブラシ式クリーナー11は、高速回転しているドラム6に接触させ、ライトヘッド7およびリードヘッド8のクリーニングを行っているが、こちらも同様に、その塵埃を排除する手段およびブラシ自体をクリーニングする手段がなく、除去した塵埃を再びライトヘッド7とリードヘッド8に付着させてしまう恐れがある。
【0009】
ヘリカルスキャン方式の磁気テープドライブ装置のクリーニングには、ブレード式クリーナー、ブラシ式クリーナーと併用して、磁気テープカートリッジと同型のクリーニングカートリッジにてクリーニングを行う。このクリーニング方法は、ライトヘッドおよびリードヘッド表面に付着した塵埃、汚れ等をクリーニングテープで擦り取るものだが、前述のブレード式クリーナーやブラシ式クリーナーと同様に、除去した塵埃、汚れ等を磁気テープドライブ装置外に排除する手段がないため、塵埃、汚れ等が再付着する可能性は同様にある。図5はライトヘッドおよびリードヘッドとクリーニングテープとの接触状態を示している。ライトヘッド7およびリードヘッド8の表面はわん曲しており、クリーニングテープはライトヘッド7およびリードヘッド8のわん曲した先端にしか接触しないため、ライトヘッド7およびリードヘッド8の両端面に付着した塵埃、汚れ等は除去できないと同時に、塵埃、汚れ等が溜まりやすい状態でもある。この塵埃、汚れ等が、ライト/リード時に移動してライトヘッド7およびリードヘッド8の先端(実際にライト/リードしている部分)に再付着するとライト/リードの障害となってしまう。
【0010】
リニア方式の磁気テープドライブ装置も同様にクリーニングカートリッジにてクリーニングを行うが、クリーニングに使用したテープ領域をライトヘッドおよびリードヘッド上を走行させて磁気テープカートリッジに巻き戻すため、ヘリカルスキャン方式よりも除去した塵埃をライトヘッドおよびリードヘッドに再付着させてしまう要因が高い。
【0011】
本発明の目的は、磁気テープドライブ装置に脱着式クリーナーを新設し、磁気テープドライブ装置内から塵埃を排除すること、また柔軟粘着性材を採用することにより、より効果的なクリーニング方法で、上記弊害を抑制、低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
磁気テープとライトヘッド及びリードヘッドを非接触状態とする手段と、脱着式クリーナーをライトヘッド及びリードヘッドに搬送して接触させる手段とを備え、脱着式クリーナーのライトヘッド及びリードヘッドとの接触部分には柔軟粘着性材を用いる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように本発明の磁気テープドライブ装置のクリーニング方法は、以下に示す効果を得ることが出来る。
【0014】
磁気テープドライブ装置内に、脱着式クリーナーを新設し、ライトヘッドおよびリードヘッドに付着している塵埃を、柔軟粘着性材により、より効果的なクリーニングを行い、磁気テープドライブ装置内から排除するので、塵埃による磁気テープ走行経路のメカ系トラブル、ライトヘッドおよびリードヘッドへの塵埃付着によるエラーレート上昇、ヘッドダメージによる短寿命などを抑制、低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0016】
図1で磁気テープ5がライト/リードされてない状態、すなわちドラム6から磁気テープ5が離れた状態でクリーニングを行う。ドラム6の制御により脱着式クリーナー13が、ライトヘッド7およびリードヘッド8へ接触するポジションへドラム6を回転させその位置を固定する。脱着式クリーナー13は台座搬送機構に装着するための固定台座と柔軟粘着性樹脂とで構成されており、磁気テープドライブ装置1の脱着口18より台座搬送機構に装着し、モーター駆動などによる台座搬送機構によって、既にドラム6の制御で固定されているライトヘッド7、あるいはリードヘッド8に搬送/接触される。実際にライトヘッド7およびリードヘッド8に接触させる部分は、柔軟粘着性樹脂14で出来ており、オンゾウラボ社製 ゼロダスト・スタイラスチップクリーナーを代表とする柔軟粘着性樹脂で塵埃、汚れ等を確実に吸着させ、再脱落しない柔軟粘着性樹脂を採用する。
【0017】
従来技術では、ライトヘッド7およびリードヘッド8の両端面の塵埃、汚れ等は除去できなかったが、本発明では、図6に示したように、柔軟粘着性樹脂14を採用することで、従来のライトヘッド7およびリードヘッド8の端面に付着した塵埃、汚れ等16は確実に除去されることになる。これを2つのライトヘッド7、2つのリードヘッド8、合計4個のヘッドに対して繰り返し行う。塵埃、汚れ等を採取した脱着式クリーナー13は、磁気テープドライブ装置1外に排出し、使い捨てとする。これにより採取した塵埃、汚れ等を再付着させることなく運用することが可能である。なお、本発明を採用するにあたり、従来のブラシ式クリーナー11、ブレード式クリーナー12は、逆効果を生ずる可能性があるため、磁気テープドライブ装置1より排除することが望ましい。あるいは、ブラシ式クリーナー11、ブレード式クリーナー12も同様に、脱着式として使い捨てとして運用すれば、更なるクリーニング効果も期待できる。
【0018】
リニア方式の磁気テープドライブ装置に対しては、図3に示すように、ライトヘッド7およびリードヘッド8上にあるテイクアップテープ17を、ピンチローラーの移動でライトヘッド7およびリードヘッド8から離し、磁気テープドライブ装置1の上部に設けた脱着口18より、脱着式クリーナーを装填して同様にクリーニングを行えば、採取した塵埃、汚れ等を再付着させることなく、クリーニング効果を高めた運用をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による磁気テープドライブ装置の構成図である。
【図2】ヘリカルスキャン方式の磁気テープドライブ装置の構成図である。
【図3】本発明による磁気テープドライブ装置の構成図である。
【図4】リニア方式の磁気テープドライブ装置の構成図である。
【図5】従来のクリーニングテープによるクリーニング状態を示す図である。
【図6】本発明による柔軟粘着性樹脂によるクリーニング状態を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1:磁気テープドライブ装置
2:磁気テープカートリッジ
3:サプライリール
4:テイクアップリール
5:磁気テープ
6:ドラム
7:ライトヘッド
8:リードヘッド
9:キャプスタンローラー
10:ピンチローラー
11:ブラシ式クリーナー
12:ブレード式クリーナー
13:脱着式クリーナー
14:柔軟粘着性樹脂
15:クリーニングテープ
16:塵埃、汚れ等
17:テイクアップテープ
18:脱着口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給リールから磁気テープを引き出す手段と、磁気テープに書き込み及び読み出しを行うライトヘッド及びリードヘッドと、磁気テープを巻取りリールへ収納する収納手段とからなる磁気テープドライブ装置において、磁気テープとライトヘッド及びリードヘッドを非接触状態とする手段と、脱着式クリーナーをライトヘッド及びリードヘッドに搬送して接触させる手段とを備えることを特徴とする磁気テープドライブ装置。
【請求項2】
前記脱着式クリーナーのライトヘッド及びリードヘッドとの接触部分に柔軟粘着性材を用いることを特徴とする磁気テープドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−146643(P2010−146643A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323111(P2008−323111)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)