説明

磁気テープ装置、その論理ボリューム割当方法、磁気テープカートリッジ、コンピュータシステム

【課題】 大容量の磁気テープの記録領域を有効利用できる磁気テープ装置、その論理ボリューム割当方法、磁気テープカートリッジ、コンピュータシステムを提供する。
【解決手段】 1巻の磁気テープ24を予め固定容量のパーティション241に分割し、1巻の磁気テープ24を複数の論理ボリュームを格納した仮想マガジン30として扱い、論理ボリュームに対して複数のパーティション241を割り当てる管理テーブル242を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープ装置、その論理ボリューム割当方法、磁気テープカートリッジ、コンピュータシステムに関し、特に、大容量の磁気テープを有効に利用することができる磁気テープ装置、その論理ボリューム割当方法、磁気テープカートリッジ、コンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープ装置の利用形態のひとつとして、チェンジャー付き磁気テープ装置がある。
【0003】
チェンジャー付き磁気テープ装置とは、マガジンへ複数巻の磁気テープを格納し、マガジンを装置内に装着し、ホストコンピュータからの指示で、マガジン内の磁気テープをチェンジャーでドライブへ装填することができるものである。なお、チェンジャー付き磁気テープ装置は、SCSI Primary Commands 3(ANSI INCITS 408−2005)において、Removable Medium Devices with an Attached Medium Changerと定義されている。
【0004】
チェンジャー付磁気テープ装置は、ソフトウェアがマガジンのスロットを意識せずに磁気テープを格納順に使用する運用や、ソフトウェアがマガジンのスロットと磁気テープとの対応付けを行い、磁気テープを選択して使用する運用などがある。これらの運用設計は、磁気テープの記録容量を考慮している。
【0005】
近年、磁気テープの大容量化が進んでいる。しかし、大容量の磁気テープを用いて既存の運用設計に基づくチェンジャー付磁気テープ装置の運用を行うと、大容量の磁気テープは、記録容量をフルに使用されないことになる。従って、チェンジャー付磁気テープ装置は、記録領域に未使用で空きのある磁気テープを多く作成し、磁気テープの大容量を有効に利用することができない。
【0006】
また、磁気テープの大容量にあわせて運用を変更する設計は、既存の磁気テープの運用に基づいて作成した多くのソフトウェアや、JCL(Job Control Language)などを見直すことが必要となる。運用設計の見直し、変更は、多大な工数、費用を要し、容易に行うことができない。
【0007】
そこで、大容量の磁気テープを効率よく扱う技術としては、特許文献1、2に記載のようなものがある。
【0008】
特許文献1は、1巻の磁気テープをデータ容量にあわせた可変長の論理ボリュームにて分割し、既にデータが書き込まれている論理ボリュームに対してデータを書き込む場合、論理ボリューム全体を磁気テープの有効なデータの終端位置から書き直す。
【0009】
特許文献2は、1巻の磁気テープを予め均等な固定容量の記録領域に分割し、各々の記録領域を独立した論理ボリュームとして扱い、論理ボリュームをマガジンのスロットに対応づける。従って、データを書き込み済みの論理ボリュームに対して再度データを書き込む際、論理ボリューム全体をデータの終端位置から書き直す必要が無くなるため、無効なデータが磁気テープ上に残らなくなる。
【0010】
また、チェンジャー付き磁気テープ装置を利用するソフトウェアやJCLなどを変更することなく、マガジンとしてエミュレートする技術としては、特許文献3に記載のようなものがある。
【0011】
特許文献3は、1巻の磁気テープをデータ容量にあわせた可変長の論理ボリュームにて分割し、ホストコンピュータからのロード命令を論理ボリュームへアクセスする命令にすりかえる。
【0012】
【特許文献1】特開平09−069028号公報
【特許文献2】特開平09−050351号公報
【特許文献3】特開2005−122433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の特許文献1、3の技術は、磁気テープを可変長の論理ボリュームに分割している。図10は、可変長の論理ボリューム(L−VOL1、L−VOL2、L−VOL3)に分割した磁気テープ124を示す図である。
【0014】
図10に示す磁気テープ124に対し書き込み、読み出しを行う磁気テープ装置(図示せず)では、既にデータが書き込まれている論理ボリュームに対してデータを書き込む場合、論理ボリューム全体を磁気テープ124の有効なデータのデータ終端位置130から書き直す。従って、無効となったデータが磁気テープ上に残る(図10では、L−VOL2)。この操作を繰り返すと、無効な領域が数多く残ることになる。磁気テープの記録領域を有効活用するためには、有効なデータのみを別の磁気テープ124に書き直すなど、データの再配置を行うことが必要になるという課題がある。
【0015】
また、上述の特許文献2の技術は、使用可能なスロットの範囲に制限があるホストコンピュータで使用する際、使用可能な範囲を超えたスロット位置に割り当てた論理ボリュームを使用することができないという課題がある。
【0016】
例えば、図11に示すように、ホストコンピュータ(図示せず)は、使用可能な範囲が10スロット(スロット0〜スロット9)とする。このとき、ホストコンピュータは、磁気テープ125を16スロット分(スロット0〜スロット15)に対応する固定領域に分割(L−VOL1〜L−VOL16)しても、残り6スロット分(スロット10〜スロット15)の分割領域(L−VOL11〜L−VOL16)を使用できない。
【0017】
本発明の目的は、大容量の磁気テープの記録領域を有効利用できる磁気テープ装置、その論理ボリューム割当方法、磁気テープカートリッジ、コンピュータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の磁気テープ装置は、磁気テープを予め固定容量の記録領域に分割し、1巻の磁気テープを複数の論理ボリュームを格納した仮想マガジンとして扱う磁気テープ装置において、論理ボリュームに対して複数の記録領域を割り当てる管理テーブルを有することを特徴とする。
【0019】
本発明の磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法は、磁気テープを予め固定容量の記録領域に分割し、1巻の磁気テープを複数の論理ボリュームを格納した仮想マガジンとして扱う磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法であって、記録領域と論理ボリュームとの対応関係を管理テーブルで管理し、論理ボリュームに対して複数の記録領域を割り当てることを特徴とする。
【0020】
本発明の磁気テープカートリッジは、カートリッジケースに内包する磁気テープを予め固定容量の記録領域に分割し、磁気テープを複数の論理ボリュームを格納した仮想マガジンとして扱う磁気テープカートリッジであって、論理ボリュームに対して複数の記録領域を割り当て、記録領域と論理ボリュームとの対応関係を管理する管理テーブルを有し、管理テーブルは、仮想マガジンのスロット番号と、スロットに搭載した論理ボリュームの論理ボリューム番号と、論理ボリュームに割り当てる最初の記録領域の先頭記録領域番号とを格納する第1テーブルと、記録領域間のリンク状態を格納する第2テーブルとを有することを特徴とする。
【0021】
本発明のコンピュータシステムは、ホストコンピュータと、複数の固定容量の記録領域に分割した1巻の磁気テープを仮想的にマガジンに格納した複数の論理ボリュームとしてホストコンピュータに見せかける磁気テープ装置とを有し、磁気テープ装置は、論理ボリュームに対して複数の記録領域を割り当てる管理テーブルを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の磁気テープ装置、その論理ボリューム割当方法、磁気テープカートリッジ、コンピュータシステムは、使用可能なマガジンのスロット数と分割可能な記録領域数が一致しない場合でも、大容量の磁気テープを有効に利用することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
[実施例1]
本発明の磁気テープ装置20の第1実施例について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の磁気テープ装置20の第1実施例を示す概略構成ブロック図、図2は、磁気テープ装置20を用いたコンピュータシステム80の概略構成ブロック図、図3は、磁気テープカートリッジ23を示す概略構成図、図4は、仮想マガジン30を示す概略構成斜視図である。
【0026】
図1を参照すると、磁気テープ装置20は、磁気テープ24と、磁気テープ24に対してデータの書き込み、読み出しを行うドライブ22と、ドライブ22の制御、および、ホストコンピュータ90からの命令の処理を行う制御部21とで構成する。
【0027】
図2を参照すると、コンピュータシステム80は、ホストコンピュータ90と、図1に示す磁気テープ装置20とで構成する。
【0028】
図3を参照すると、磁気テープカートリッジ23は、磁気テープ24と、磁気テープ24を内包するカートリッジケース25と、カートリッジメモリ26とで構成する。磁気テープカートリッジ23は、大容量の磁気テープ24を備える。なお、不揮発性メモリであるカートリッジメモリ26は、磁気テープカートリッジ23内に設けなくてもよい。
【0029】
図4を参照すると、仮想マガジン30は、複数のスロット31を持ち、スロット31内に磁気テープカートリッジ230を装着する構成である。仮想マガジン30は、各スロット31にスロット番号400(”0”〜”N”:但し、Nは、整数)を付与している。仮想マガジン30のスロット31に装着する磁気テープカートリッジ230の記憶容量は、図3に示す磁気テープカートリッジ23の記憶容量より小さい。例えば、磁気テープカートリッジ23は、400GB(ギガバイト)〜800GBの磁気テープ24を内包しており、磁気テープカートリッジ230は、1.6GB〜30GBの磁気テープ(図示せず)を内包している。
【0030】
図1〜4を参照すると、磁気テープ24は、複数の記録領域(以降、パーティション241と称す)と、論理ボリューム(磁気テープカートリッジ230)に対して複数のパーティション241を割り当てるための管理テーブル242とを備える。パーティション241は、1本の磁気テープ24を均等に分割した複数の固定容量の記録領域である。
【0031】
管理テーブル242は、磁気テープ24を仮想マガジン30として扱うとき、スロット31とスロット31に装着する論理ボリューム(磁気テープカートリッジ230)との関係、および、論理ボリュームとパーティション241とのリンク状態とを格納する。なお、管理テーブル242は、第1テーブル40と第2テーブル41とを備えるが、その詳細は、後述する。
【0032】
管理テーブル242は、磁気テープ24の特定パーティション241にデータとして記録されるか、或いは、カートリッジメモリ26に記録されるかの何れでもよい。なお、図1においては、管理テーブル242を磁気テープ24に記録する場合を示している。
【0033】
磁気テープ装置20は、磁気テープ24のパーティション241を作成時に同時に管理テーブル242を作成し、任意に編集可能である。
【0034】
制御部21は、管理テーブル242を参照し、ホストコンピュータ90から指示があったスロット31と論理ボリュームとの対応付けを行い、ドライブ22を制御する。
【0035】
なお、ホストコンピュータ90、ドライブ22は、共に当業者にとってよく知られている故、それぞれの構成は、省略する。
【0036】
次に、上述のように構成した磁気テープ装置20の動作について、図面を参照して説明する。
【0037】
本実施例では、磁気テープ24は、16個のパーティション241に既に分割済みであり、各スロット31に論理ボリュームを装着した10個のスロット31の仮想マガジン30に見せかける(図4において、N=9)。一般的に、磁気テープ24をパーティション241に分割する際、磁気テープ24は、2の累乗で分割される。磁気テープ24は、2の4乗で分割され、16個のパーティション241に分割したものとする。
【0038】
また、仮想マガジン30のスロット番号400が1〜6のスロット31に装着している6巻の論理ボリュームは、パーティション241の2個分の容量を割り当てるものとする。
【0039】
上述の前提条件を踏まえ、先ず、管理テーブル242の詳細について、図面を参照して説明する。
【0040】
図5(a)、図5(b)は、各々、第1テーブル40、第2テーブル41を説明するための図である。
【0041】
図5(a)を参照すると、第1テーブル40は、仮想マガジン30のスロット番号400と、論理ボリューム番号401と、先頭パーティション番号402とを格納する。
【0042】
スロット番号400は、仮想マガジン30の各々のスロット31を示す。論理ボリューム番号401は、スロット31に装着している論理ボリューム(磁気テープカートリッジ230)の番号を示す。先頭パーティション番号402は、論理ボリュームに割り当てる最初のパーティション241を示す。
【0043】
図5(b)を参照すると、第2テーブル41は、パーティション241同士の双方向のリンク状態を格納する。第2テーブル41は、パーティション241を示すパーティション番号410と、割り当てる次のパーティション番号410を示すNEXT412と、割り当てる前のパーティション番号410を示すPREV411とを格納する。
【0044】
ここに、PREV411、NEXT412は、パーティション241間のリンク状態を示している。第2テーブル41は、次のパーティション241があればNEXT412に、前のパーティション241があればPREV411に、パーティション番号410を記録する。
【0045】
図5(a)、(b)を参照すると、スロット番号400が0〜9のスロット31には、論理ボリューム番号401が0〜9の論理ボリュームを格納する。論理ボリューム番号401が0〜9の論理ボリュームには、先頭パーティション番号402として0〜9のパーティション241を最初に割り当てている。特に、論理ボリューム番号401が1〜6の論理ボリュームは、各々パーティション番号410が1〜6のパーティション241の次にパーティション番号410が10〜15のパーティション241を割り当てている状態を示している。
【0046】
次に、ホストコンピュータ90が磁気テープ装置20に書き込み命令を発行したときの磁気テープ装置20の動作について、図面を参照して説明する。
【0047】
図6は、磁気テープ装置20の動作を説明するためのフローチャートである。
【0048】
図6を参照すると、磁気テープ装置20は、ホストコンピュータ90から書き込み命令を受け取ると、まず、書き込み処理を行う(S500)。
【0049】
磁気テープ装置20の制御部21は、書き込み処理が正常終了したか否かを判断し(S501)、書き込みが正常終了すれば、書き込み完了を報告し(S504)、命令に対する処理を終了する。
【0050】
書き込みがオーバーフローにより異常終了すれば、制御部21は、第2テーブル41を参照して、使用中のパーティション241のパーティション番号410に対応するNEXT412にパーティション241の記録があるか否かを判断する(S502)。
【0051】
NEXT412に記録があるならば、制御部21は、次のパーティション241の先頭に位置づけて書き込み処理を行い(S503)、書き込み完了を報告し(S504)、処理を終了する。
【0052】
上記(S502)、(S503)の具体例について、図5(b)の第2テーブル41を参照して説明する。例えば、図示しない書き込み用の磁気ヘッドは、パーティション番号410が”1”のパーティション241の最後に位置づいた状態であるとする。パーティション番号410が”1”のパーティション241のNEXT412には、”10”の記録がある。制御部21は、パーティション番号410が”10”のパーティション241の先頭に磁気ヘッドを位置づけるよう磁気テープ24の送り制御を行い、磁気ヘッドにより書き込み処理を行うことができる(S503)。
【0053】
上記(S502)においてNEXT412に記録がなければ、制御部21は、オーバーフローエラーを報告し、処理を終了する(S505)。
【0054】
上述のように、第1実施例の磁気テープ装置20は、管理テーブル242を用いて、二つのパーティション241を連結しておくことにより、パーティション241を有効利用することができる。
【0055】
[実施例2]
次に、本発明の磁気テープ装置20の第2実施例について、図面を参照して説明する。
【0056】
図7および図9は、第2実施例の管理テーブル252を示す図、図8は、第2実施例の動作を説明するためのフローチャートである。図7(a)、図9(a)は、第1テーブル40を示し、図7(b)、図9(b)は、第2テーブル43を示す。
【0057】
第2実施例は、パーティション241のリンク状態を動的に生成する点が、リンク状態を予め生成しておく第1実施例と異なり、他は、同一であり、異なる点のみを重点的に以下に説明する。なお、第1実施例と同一構成要素は、同一符号で表示する。
【0058】
図7に示す管理テーブル252は、初期状態を示している。
【0059】
磁気テープ24は、16個のパーティション241に既に分割済みである。磁気テープ24は、各スロット31に論理ボリューム(磁気テープカートリッジ230)を格納した10スロット31の仮想マガジン30として扱う。
【0060】
図7(a)に示す第1テーブル40は、第1実施例の図5(a)と同一であり、説明を省略する。
【0061】
図7(b)に示す第2テーブル43は、未使用の(余った)パーティション241をFREE620のパーティション241にリンクして管理する。
【0062】
第2テーブル43は、未使用状態であることを示すFREE620のデータをパーティション番号610として設け、未使用のパーティション241のリンクの先頭を記録する。
【0063】
従って、図7(a)、(b)を参照すると、スロット番号400が0〜9のスロット31には、論理ボリューム番号401が0〜9の論理ボリュームを格納する。論理ボリューム番号401が0〜9の論理ボリュームには、先頭パーティション番号402として0〜9のパーティション241を最初に割り当てている。パーティション番号610が10〜15のパーティション241は、FREE620のパーティション241にリンクしている。
【0064】
次に、ホストコンピュータ90が磁気テープ装置20に書き込み命令を発行したときの第2実施例の動作について、図面を参照して説明する。
【0065】
図8を参照すると、磁気テープ装置20は、ホストコンピュータ90から書き込み命令を受け取ると、まず、書き込み処理を行う(S700)。
【0066】
磁気テープ装置20の制御部21は、書き込み処理が正常終了したか否かを判断し(S701)、書き込みが正常終了すれば、書き込み完了を報告し(S704)、命令に対する処理を終了する。
【0067】
書き込みがオーバーフローにより異常終了すれば、制御部21は、第2テーブル43を参照して、使用中のパーティション241のパーティション番号610に対応するNEXT612にパーティション241の記録があるか否かを判断する(S702)。
【0068】
NEXT612に記録があるならば、制御部21は、次のパーティション241の先頭に位置づけて書き込み処理を行い(S703)、書き込み完了を報告し(S704)、処理を終了する。
【0069】
上記(S702)においてNEXT612に記録がなければ、制御部21は、空きパーティション241があるか否かを判断する(S705)。制御部21は、パーティション番号610に設けているFREE620に対応するNEXT612にパーティション番号610の記録があるか否かで空きパーティション241の有無を判断する。
【0070】
空きパーティション241があれば、制御部21は、空きパーティション241を確保し(S706)、確保したパーティション241の先頭に位置づけ書き込みを行う(S703)。
【0071】
空きパーティション241がなければ、制御部21は、オーバーフローエラーを報告し、処理を終了する(S707)。
【0072】
上記(S705)、(S706)の具体例について、図7(b)の第2テーブル43を参照して説明する。
【0073】
例えば、図示しない書き込み用の磁気ヘッドは、パーティション番号610が”1”のパーティション241の最後に位置づいた状態であるとする。
【0074】
パーティション番号610がFREE620に対応するNEXT612として“10”の記録があるので、制御部21は、空きパーティション241があると判断する。制御部21は、パーティション番号610が”10”のパーティション241の確保処理を行う。
【0075】
制御部21は、確保処理において、パーティション番号610がFREE620に対応するNEXT612に”11”を記録してFREE620のリンクから外す。制御部21は、リンクから外した後、パーティション番号610が”1”のパーティション241のNEXT612に“10”を記録し、パーティション番号610が”10”のパーティション241のPREV611に”1”を記録する。このようにして、制御部21は、パーティション番号610が”10”のパーティション241を、パーティション番号610が”1”のパーティション241の後ろにリンクする。
【0076】
上述の確保処理を行った結果、管理テーブル252は、図7の状態から図9に示す状態になる。
【0077】
以上説明したように、磁気テープ装置20の第2実施例は、パーティション241同士のリンク状態の管理に加え、リンク状態を動的に変更することにより、大容量の磁気テープ24を更に有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の磁気テープ装置の第1実施例を示す概略構成ブロック図である。
【図2】本発明のコンピュータシステムの概略構成ブロック図である。
【図3】本発明の磁気テープカートリッジを示す概略構成図である。
【図4】仮想マガジンを示す概略構成斜視図である。
【図5】第1実施例の管理テーブルを示す図である。
【図6】磁気テープ装置の第1実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】第2実施例の管理テーブルの初期状態を示す図である。
【図8】磁気テープ装置の第2実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】第2実施例の管理テーブルのパーティション確保処理後の状態を示す図である。
【図10】可変長の論理ボリュームに分割した磁気テープを示す図である。
【図11】ホストコンピュータが使用可能な固定長の論理ボリューム数に限度があることを説明するための図である。
【符号の説明】
【0079】
20 磁気テープ装置
21 制御部
22 ドライブ
23 磁気テープカートリッジ
230 磁気テープカートリッジ
24 磁気テープ
124 磁気テープ
125 磁気テープ
130 データ終端位置
241 パーティション
242 管理テーブル
252 管理テーブル
25 カートリッジケース
26 カートリッジメモリ
30 仮想マガジン
31 スロット
40 第1テーブル
41 第2テーブル
43 第2テーブル
80 コンピュータシステム
90 ホストコンピュータ
400 スロット番号
401 論理ボリューム番号
402 先頭パーティション番号
410 パーティション番号
411 PREV
412 NEXT
610 パーティション番号
611 PREV
612 NEXT
620 FREE

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープを予め固定容量の記録領域に分割し、1巻の前記磁気テープを複数の論理ボリュームを格納した仮想マガジンとして扱う磁気テープ装置において、前記論理ボリュームに対して複数の前記記録領域を割り当てる管理テーブルを有することを特徴とする磁気テープ装置。
【請求項2】
前記管理テーブルは、前記記録領域と前記論理ボリュームとの対応関係を管理する手段を有することを特徴とする請求項1記載の磁気テープ装置。
【請求項3】
前記管理テーブルは、前記仮想マガジンのスロット番号と、スロットに搭載した前記論理ボリュームの論理ボリューム番号と、前記論理ボリュームに割り当てる最初の記録領域の先頭記録領域番号とを格納する第1テーブルと、前記記録領域間のリンク状態を格納する第2テーブルとを有することを特徴とする請求項2記載の磁気テープ装置。
【請求項4】
前記第2テーブルは、前記記録領域を示す記録領域番号と、割り当てる次の前記記録領域番号と、割り当てる前の前記記録領域番号とを有することを特徴とする請求項3記載の磁気テープ装置。
【請求項5】
前記第2テーブルは、前記リンク状態を予め生成しておくことを特徴とする請求項3または4記載の磁気テープ装置。
【請求項6】
前記第2テーブルは、前記リンク状態を動的に生成することを特徴とする請求項3または4記載の磁気テープ装置。
【請求項7】
前記第2テーブルは、未使用状態を示す前記記録領域番号を設け、未使用状態の前記記録領域を先頭としてリンクする前記記録領域を格納することを特徴とする請求項4または6記載の磁気テープ装置。
【請求項8】
前記管理テーブルは、前記磁気テープを内包するカートリッジケースに搭載のメモリまたは前記磁気テープに格納することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の磁気テープ装置。
【請求項9】
磁気テープを予め固定容量の記録領域に分割し、1巻の前記磁気テープを複数の論理ボリュームを格納した仮想マガジンとして扱う磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法であって、前記記録領域と前記論理ボリュームとの対応関係を管理テーブルで管理し、前記論理ボリュームに対して複数の前記記録領域を割り当てることを特徴とする磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法。
【請求項10】
前記管理テーブルは、前記仮想マガジンのスロット番号と、スロットに搭載した前記論理ボリュームの論理ボリューム番号と、前記論理ボリュームに割り当てる最初の前記記録領域の先頭記録領域番号とを第1テーブルへ格納し、前記記録領域間のリンク状態を第2テーブルへ格納することを特徴とする請求項9記載の磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法。
【請求項11】
前記第2テーブルは、前記記録領域を示す記録領域番号と、割り当てる次の前記記録領域番号と、割り当てる前の前記記録領域番号とを格納することを特徴とする請求項10記載の磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法。
【請求項12】
前記第2テーブルは、割り当てる前の前記記録領域番号に未使用状態の前記記録領域を設け、未使用状態の前記記録領域を先頭としてリンクに繋げて前記記録領域番号を格納し、前記リンク状態を動的に生成することを特徴とする請求項11記載の磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法。
【請求項13】
前記論理ボリュームの書き込み命令を受け、書き込み処理が異常終了のとき、前記管理テーブルにより書き込みに使用中の前記記録領域番号に対応する割り当てる次の前記記録領域番号が記録されているか否かを判断し、次の前記記録領域番号の記録があれば、次の前記記録領域番号に位置づけて書き込み処理を行い、次の前記記録領域番号の記録がなければエラー処理を行うことを特徴とする請求項11記載の磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法。
【請求項14】
前記論理ボリュームの書き込み命令を受け、書き込み処理が異常終了のとき、前記管理テーブルにより書き込みに使用中の前記記録領域番号に対応する割り当てる次の前記記録領域番号が記録されているか否かを判断し、次の前記記録領域番号の記録があれば、次の前記記録領域番号に位置づけて書き込み処理を行い、次の前記記録領域番号の記録がなければ、前記管理テーブルにより未使用状態の前記記録領域があるか否かを判断し、未使用状態の前記記録領域があれば、未使用状態の前記記録領域を確保し、確保した前記記録領域に位置づけて書き込み処理を行うことを特徴とする請求項11または12記載の磁気テープ装置の論理ボリューム割当方法。
【請求項15】
カートリッジケースに内包する磁気テープを予め固定容量の記録領域に分割し、前記磁気テープを複数の論理ボリュームを格納した仮想マガジンとして扱う磁気テープカートリッジであって、前記論理ボリュームに対して複数の前記記録領域を割り当て、前記記録領域と前記論理ボリュームとの対応関係を管理する管理テーブルを有し、前記管理テーブルは、前記仮想マガジンのスロット番号と、スロットに搭載した前記論理ボリュームの論理ボリューム番号と、前記論理ボリュームに割り当てる最初の前記記録領域の先頭記録領域番号とを格納する第1テーブルと、前記記録領域間のリンク状態を格納する第2テーブルとを有することを特徴とする磁気テープカートリッジ。
【請求項16】
前記第2テーブルは、前記記録領域を示す記録領域番号と、割り当てる次の前記記録領域番号と、割り当てる前の前記記録領域番号とを格納することを特徴とする請求項15記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項17】
前記管理テーブルは、前記カートリッジケースに搭載のメモリまたは前記磁気テープに格納することを特徴とする請求項15または16記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項18】
ホストコンピュータと、複数の固定容量の記録領域に分割した1巻の磁気テープを仮想的にマガジンに格納した複数の論理ボリュームとして前記ホストコンピュータに見せかける磁気テープ装置とを有し、前記磁気テープ装置は、前記論理ボリュームに対して複数の前記記録領域を割り当てる管理テーブルを有することを特徴とするコンピュータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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