説明

磁気ヘッドの支持装置およびカード処理装置

【課題】磁気ヘッドの着脱時に可動部材のアーム部を容易に回動させることが可能な磁気ヘッドの支持装置を提供する。
【解決手段】支持機構50は、一対の板状部51bを有する固定部材51と、固定部材51に回動可能に設けられ、一対のアーム部52aを有する可動部材52と、可動部材52をA方向に付勢するバネ部材53とを備える。板状部51bには、矢印Z2方向に延びるように切欠部51eが形成される。アーム部52aには、矢印Y2方向に延びるように切欠部52iが形成されるとともに、爪部52eが形成される。切欠部51eと切欠部52iとが交差する領域に、磁気ヘッド31を保持するブラケット32に設けられた軸部32aが配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ヘッドを移動可能に支持する磁気ヘッドの支持装置およびそれを備えたカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ヘッドと、磁気ヘッドの支持機構とを備えた磁気ヘッドユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、図14および図15に示すように、カードに対して処理を施す磁気ヘッド550と、磁気ヘッド550を矢印Z1およびZ2方向に移動可能に支持する支持機構500とを備えた磁気ヘッドユニット600が開示されている。この磁気ヘッド550には、一対の軸部550aが設けられている。
【0004】
支持機構500は、一対の板状部501aを有する固定部材501と、固定部材501に回動可能に設けられ、一対のアーム部502aを有する可動部材502と、可動部材502をA方向に付勢するバネ部材503とを含んでいる。
【0005】
固定部材501の板状部501aには、下端部に矢印Z2方向に延びるように切欠部501bが形成されている。可動部材502のアーム部502aには、先端部に矢印Y2方向に延びるように切欠部502bが形成されている。そして、切欠部501bと切欠部502bとが交差する領域に、磁気ヘッド550の軸部550aが配置されている。すなわち、可動部材502の切欠部502bは、磁気ヘッド550の軸部550aを支持するとともに、固定部材501の切欠部501bは、軸部550aの矢印Y1およびY2方向への移動を規制している。
【0006】
ここで、上記特許文献1の磁気ヘッドユニット600では、支持機構500から磁気ヘッド550を取り外す際に、可動部材502の矢印Y2方向側の端部をバネ部材503の付勢力に抗してD方向に持ち上げることにより、可動部材502のアーム部502aをB方向に回動させて、軸部550aを切欠部501b、502bから離脱させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3664644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の磁気ヘッドユニット600では、可動部材502の矢印Y2方向側の端部の近傍に、カード処理装置のその他の部品などが配置されることなどに起因して、当該端部をD方向に持ち上げることが困難な場合がある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、磁気ヘッドの着脱時に可動部材のアーム部を容易に回動させることが可能な磁気ヘッドの支持装置およびカード処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の磁気ヘッドの支持装置は、対向するように配置される一対の板状部を有する固定部材と、固定部材に回動可能に設けられ、一対のアーム部を有する可動部材と、可動部材が所定の位置に配置されるように、可動部材を付勢する付勢部材と、を備えた磁気ヘッドの支持装置において、板状部には、第1方向に延びるように第1切欠部が形成され、アーム部には、第1方向と交差する第2方向に延びるように第2切欠部が形成されるとともに、爪部が形成され、第1切欠部と第2切欠部とが交差する領域に、磁気ヘッドに設けられる軸部が配置される。
【0011】
このように構成することによって、アーム部に形成された爪部を用いて、アーム部を容易に回動させることができる。これにより、磁気ヘッドの着脱(取り付け、および、取り外し)を容易に行うことができる。
【0012】
上記磁気ヘッドの支持装置において、第1切欠部は、板状部の下端部に形成され、第2切欠部は、アーム部の先端部に形成され、爪部は、アーム部の下端部に下方に突出するように形成されていてもよい。このように構成すれば、支持装置の下方から磁気ヘッドの着脱を容易に行うことができる。
【0013】
この場合において、可動部材は、固定部材にスライド移動可能に設けられ、アーム部の下端部には、第1切欠部と対応する領域に、傾斜部が形成されていてもよい。このように構成すれば、磁気ヘッドの軸部を固定部材の第1切欠部に挿入することにより、磁気ヘッドの軸部が可動部材の傾斜部に接触するので、可動部材をスライド移動させることができる。このため、磁気ヘッドの軸部を固定部材の第1切欠部に挿入することにより、磁気ヘッドの軸部を第1切欠部と第2切欠部とが交差する領域に配置することができるので、磁気ヘッドの取り付けをより容易に行うことができる。
【0014】
上記磁気ヘッドの支持装置において、固定部材は、一対の板状部がカードの挿入方向に対して垂直になるように設けられ、可動部材は、一対の板状部の間に配置され、磁気ヘッドは、一対のアーム部の間に配置されていてもよい。なお、カードの挿入方向に対して垂直とは、カードの挿入方向に対して実質的に垂直な場合を含む。このように構成すれば、磁気ヘッドが一対のアーム部の間に配置されることにより、カードが磁気ヘッドに接触した際に、磁気ヘッドがカードの搬送方向に移動するのを抑制することができる。
【0015】
また、本発明のカード処理装置は、軸部が設けられ、カードに対して処理を施す磁気ヘッドと、上記のいずれかの磁気ヘッドの支持装置と、を備える。
【0016】
このように構成することによって、アーム部に形成された爪部を用いて、アーム部を容易に回動させることができる。これにより、磁気ヘッドの着脱(取り付け、および、取り外し)を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、磁気ヘッドの着脱時に可動部材のアーム部を容易に回動させることが可能な磁気ヘッドの支持装置およびカード処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態によるカード処理装置が設けられたATMの構成を示したブロック図である。
【図2】図1のカード処理装置の概略を示した側面図である。
【図3】図2の磁気ヘッドユニットを示した正面図である。
【図4】図3の磁気ヘッドユニットの側面図である。
【図5】図3の磁気ヘッドユニットの平面図である。
【図6】図4の磁気ヘッドユニットから磁気ヘッドが取り外された状態を示した側面図である。
【図7】図6の300−300線に沿った断面図である。
【図8】図1のカード処理装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図9】図7の支持機構に磁気ヘッドを取り付ける際の動作を説明するための図である。
【図10】図3の磁気ヘッドユニットから磁気ヘッドを取り外す際の動作を説明するための図である。
【図11】図3の磁気ヘッドユニットから磁気ヘッドを取り外す際の動作を説明するための図である。
【図12】本実施形態の第1変形例による磁気ヘッドユニットを示した正面図である。
【図13】本実施形態の第2変形例による磁気ヘッドユニットを示した平面図である。
【図14】従来の磁気ヘッドユニットを示した正面図である。
【図15】図14の磁気ヘッドユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、ATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)に設けられたカード処理装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0020】
まず、図1〜図8を参照して、本実施形態によるカード処理装置100およびATM150の構成について説明する。
【0021】
ATM150は、図1に示すように、ATM本体151と、電源152と、カード処理装置100とを備えている。ATM150は、現金の引き出しなどの取引を利用者が行うために、金融機関などに設置されている。
【0022】
本発明の一実施形態によるカード処理装置100は、ATM150に設けられており、電源152から電力が供給されている。このカード処理装置100は、利用者により挿入されたカード200に対して、所定の処理を施すように構成されている。
【0023】
具体的には、カード処理装置100は、カード200の磁気ストライプ200aに記憶されたデータを読み出し、その読み出したデータをATM本体151に送信する。また、カード処理装置100は、ATM本体151から送信されたデータを受信し、その受信したデータをカード200の磁気ストライプ200aに書き込む。また、カード処理装置100は、ATM本体151からの指令に応じて、カード200の磁気ストライプ200aに記憶されたデータを消去する。
【0024】
カード処理装置100は、図2に示すように、筐体1と、搬送ローラ2a〜2dと、磁気ヘッドユニット3と、押さえローラ4とを含んでいる。筐体1には、矢印X2方向側の端部にカード200が挿入される挿入口1aが設けられている。搬送ローラ2a〜2dは、それぞれ、搬送路Pを挟んで上下一対に設けられている。搬送ローラ2a〜2dは、カード200を挿入方向(矢印X1方向)および排出方向(矢印X2方向)に搬送する。
【0025】
磁気ヘッドユニット3は、押さえローラ4の下方に配置されている。この磁気ヘッドユニット3は、図3に示すように、カード200の磁気ストライプ200a(図1参照)に対して所定の処理を施す磁気ヘッド31と、磁気ヘッド31を矢印Z1およびZ2方向に移動可能に支持する支持機構50とを含んでいる。なお、支持機構50は、本発明の「支持装置」の一例である。
【0026】
磁気ヘッド31は、下方(矢印Z1方向)に延びるリード端子31aを複数有する。この磁気ヘッド31は、ブラケット32に保持されている。ブラケット32は、図4および図5に示すように、一対の軸部32aを有する。一対の軸部32aは、一方が矢印X1方向に突出するように形成されるとともに、他方が矢印X2方向に突出するように形成されている。
【0027】
支持機構50は、図3〜図7に示すように、固定部材51と、固定部材51に回動可能に設けられた可動部材52と、可動部材52を付勢するバネ部材53と、支軸54とを含んでいる。なお、バネ部材53は、本発明の「付勢部材」の一例である。また、固定部材51および可動部材52は樹脂製であり、バネ部材53および支軸54は金属製である。
【0028】
固定部材51は、基部51aと、基部51aの両端に形成された一対の板状部51bとを有する。基部51aには、固定部材51を筐体1(図2参照)に取り付けるための取付孔51c(図4参照)が形成されている。一対の板状部51bは、矢印X1方向(矢印X2方向)において、対向するように配置されている。また、板状部51bは、カード200(図1参照)の挿入方向(矢印X1方向)に対して実質的に垂直になるように配置されている。
【0029】
板状部51bは、図3に示すように、基部51aから矢印Z2方向に延びる垂直部と、矢印Y1方向に延びる水平部とを有しており、正面視において逆L字状に形成されている。板状部51bの水平部の下端部51dには、矢印Z2方向に延びるように切欠部51eが形成されている。なお、切欠部51eは、本発明の「第1切欠部」の一例であり、矢印Z2方向は、本発明の「第1方向」の一例である。この切欠部51eは、軸部32aの矢印Y1およびY2方向への移動を規制している。
【0030】
また、板状部51bには、支軸54を矢印Y2方向(矢印Y1方向)にスライド移動可能に支持する溝部51fが形成されている。また、板状部51bには、図5に示すように、内側面に円柱状の突出部51gが形成されている。
【0031】
可動部材52は、一対のアーム部52aと、一対のアーム部52aを連結する連結部52bとを有する。可動部材52は、固定部材51の一対の板状部51bの間に配置されており、アーム部52aは、それぞれ、板状部51bの内側面と隣接するように配置されている。また、一対のアーム部52aの間には、磁気ヘッド31が配置されている。
【0032】
アーム部52aは、連結部52bの両端からそれぞれ矢印Y1方向に延びるように形成されている。このアーム部52aは、板状に形成されており、カード200(図1参照)の挿入方向(矢印X1方向)に対して実質的に垂直になるように配置されている。また、アーム部52aには、図3に示すように、矢印Y2方向側(連結部52b側)に支軸54が挿入される挿入孔52cが形成されている。
【0033】
アーム部52aの下端部52dには、フック状(鉤状)の爪部52eが形成されている。具体的には、爪部52eは、下端部52dから矢印Z1方向に延びる垂直部521eと、垂直部521eの先端から矢印Y1方向に延びる水平部522eとを有する。したがって、爪部52eは、正面視において板状部51bの下端部51dよりも下方に突出するように形成されている。
【0034】
アーム部52aの下端部52dには、傾斜部52fが形成されている。すなわち、アーム部52aの下端部52dと先端部52hとの境界が面取りされている。傾斜部52fは、正面視(矢印Y1およびY2方向)において、切欠部51eと対応する領域に配置されている。また、アーム部52aの下端部52dには、係合部52gが形成されている。
【0035】
アーム部52aの先端部52hには、矢印Y2方向に延びるように切欠部52iが形成されている。なお、切欠部52iは、本発明の「第2切欠部」の一例であり、矢印Y2方向は、本発明の「第2方向」の一例である。この切欠部52iは、正面視において切欠部51eと実質的に直交するように形成されており、軸部32aを支持している。すなわち、磁気ヘッド31を保持するブラケット32に設けられた軸部32aは、正面視において切欠部51eと切欠部52iとが交差する領域に配置されている。
【0036】
アーム部52aには、上端部に突出部51gと係合する凹部52jが形成されている。すなわち、アーム部52aの凹部52jと、板状部51bの突出部51gとは、アーム部52aのA方向への回動を規制する回動規制部として機能する。
【0037】
バネ部材53は、図3および図6に示すように、両端がアーム部52aの係合部52gに係合するとともに、中央部が固定部材51の基部51aに係合している。これにより、バネ部材53は、可動部材52が図3に示した所定の位置に配置されるように、可動部材52をA方向に付勢する。
【0038】
支軸54は、固定部材51の溝部51fに挿入されるとともに、可動部材52の挿入孔52cに挿入されることにより、可動部材52をA方向およびB方向に回動可能で、かつ、矢印Y1およびY2方向にスライド移動可能に支持している。
【0039】
また、カード処理装置100は、図8に示すように、搬送ローラ2a〜2dを駆動するモータ5と、ATM本体151とデータのやり取りを行うための入出力部6と、カード処理装置100の動作を制御する制御部7とを含んでいる。
【0040】
次に、図1〜図3を参照して、本実施形態によるカード処理装置100の磁気ヘッドユニット3のカード処理時の動作について説明する。
【0041】
図2において、筐体1の挿入口1aから挿入されたカード200は、搬送ローラ2a〜2dにより搬送される。そして、カード200が押さえローラ4と磁気ヘッドユニット3との間を通過する際に、カード200の磁気ストライプ200a(図1参照)が磁気ヘッド31(図3参照)に接触する。そして、接触した磁気ヘッド31によりカード200の磁気ストライプ200aに対して所定の処理が施される。
【0042】
このとき、カード200と磁気ヘッド31とが接触することにより、図3に示す磁気ヘッド31がバネ部材53の付勢力に抗して矢印Z1方向に移動するとともに、カード200の反りに応じて磁気ヘッド31が軸部32aを中心にしてC方向に回動する。その後、カード200が通過し、カード200と磁気ヘッド31との接触状態が解除されると、バネ部材53の付勢力により、磁気ヘッド31が図3に示す所定の位置に復帰する。
【0043】
次に、図3、図7および図9を参照して、本実施形態によるカード処理装置100の磁気ヘッド31の取り付け時の動作について説明する。
【0044】
まず、作業員が図7に示す支持機構50の下方から、磁気ヘッド31を保持するブラケット32の軸部32a(図9参照)を、固定部材51の板状部51bの切欠部51eに沿って矢印Z2方向に挿入する。このとき、図9に示すように、軸部32aが可動部材52のアーム部52aの傾斜部52fと接触する。
【0045】
そして、アーム部52aの凹部52jが板状部51bの突出部51gと係合することにより可動部材52のA方向への回動が規制されているので、軸部32aが矢印Z2方向に挿入されることにより、可動部材52がバネ部材53の付勢力に抗して矢印Y2方向にスライド移動する。すなわち、可動部材52が切欠部51eから矢印Y2方向に退避する。このとき、支軸54も可動部材52とともに、板状部51bの溝部51fに沿って矢印Y2方向に移動する。
【0046】
その後、磁気ヘッド31を保持するブラケット32の軸部32aが図3に示す位置まで移動されると、バネ部材53の付勢力により、可動部材52および支軸54が矢印Y1方向にスライド移動し、可動部材52および支軸54が所定の位置に復帰する。そして、磁気ヘッド31を保持するブラケット32の軸部32aがアーム部52aの切欠部52iに支持される。このようにして、磁気ヘッド31が支持機構50に取り付けられる。
【0047】
次に、図3、図7、図10および図11を参照して、本実施形態によるカード処理装置100の磁気ヘッド31の取り外し時の動作について説明する。
【0048】
まず、作業員が図3に示す支持機構50の下方から、爪部52eの水平部522eをB方向に引っ張ることにより、アーム部52aがバネ部材53の付勢力に抗してB方向に回動される。このとき、図10に示すように、可動部材52の切欠部52iに支持される軸部32aが、固定部材51の切欠部51eに沿って、矢印Z1方向に移動する。
【0049】
そして、図11に示すように、可動部材52がさらにB方向に回動されることにより、固定部材51の切欠部51eと可動部材52の切欠部52iとが交差する状態が解消され、軸部32aが切欠部51e、52iから離脱して、磁気ヘッド31が支持機構50から取り外される。その後、作業員が爪部52eを離すと、バネ部材53の付勢力により、可動部材52がA方向に回動し、可動部材52が図7に示す所定の位置に復帰する。
【0050】
本実施形態では、上記のように、可動部材52のアーム部52aに爪部52eを形成することによって、可動部材52の連結部52bを持ち上げることなく、爪部52eを用いることにより、アーム部52aを容易に回動させることができる。このため、可動部材52の連結部52bの近傍にカード処理装置100のその他の部品(図示省略)が配置されることにより、連結部52bを持ち上げることが困難である場合にも、その部品を解体することなく、爪部52eを用いてアーム部52aを回動させることができる。したがって、磁気ヘッド31の着脱(取り付け、および、取り外し)を容易に行うことができる。また、可動部材52の連結部52bを持ち上げることが可能なように、作業員の指などが挿入される領域を確保しておく必要がないので、カード処理装置100の小型化を図ることができる。
【0051】
また、本実施形態では、爪部52eを固定部材51の下端部51dよりも下方に突出するようにフック状に形成することによって、支持機構50の下方から磁気ヘッド31の着脱を容易に行うことができる。
【0052】
また、本実施形態では、可動部材52を固定部材51にスライド移動可能に取り付けるとともに、可動部材52の下端部52dに傾斜部52fを形成することによって、磁気ヘッド31を保持するブラケット32の軸部32aを固定部材51の切欠部51eに挿入することにより、軸部32aが可動部材52の傾斜部52fに接触するので、可動部材52を矢印Y2方向にスライド移動させることができる。このため、軸部32aを切欠部51eに挿入することにより、軸部32aを切欠部51eと切欠部52iとが交差する領域に配置することができるので、磁気ヘッド31の取り付けをより容易に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、磁気ヘッド31を保持するブラケット32に設けられた軸部32aを、切欠部51eと切欠部52iとが交差する領域に配置することによって、可動部材52を回動またはスライド移動させることにより、ねじなどの締結部材を用いることなく、磁気ヘッド31の着脱を行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、カード200と磁気ヘッド31とが接触する際に、カード200に反りが発生している場合、カード200の反りに応じて磁気ヘッド31が軸部32aを中心にしてC方向に回動することによって、カード200に反りが発生している場合にも、カード200に対して適切に処理を施すことができる。
【0055】
また、本実施形態では、磁気ヘッド31が一対のアーム部52a間に配置されることによって、カード200が磁気ヘッド31に接触した際に、磁気ヘッド31が矢印X1およびX2方向に移動するのを抑制することができる。
【0056】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、ATM150に設けられたカード処理装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、入退室管理装置などのその他の上位装置に設けられたカード処理装置に本発明を適用してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、アーム部52aに傾斜部52fを形成する例を示したが、これに限らず、アーム部52aに傾斜部52fが形成されていなくてもよい。この場合には、爪部52eを用いて、アーム部52aをB方向に回動させることにより、磁気ヘッド31を支持機構50に取り付ければよい。
【0058】
また、上記実施形態では、一対のアーム部52aの両方に爪部52eが形成される例を示したが、これに限らず、一対のアーム部52aのいずれか一方のみに爪部52eが形成されるようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、図3に示すように、爪部52eの水平部522eが矢印Y1およびY2方向において、固定部材51の切欠部51eの下方に配置される例を示したが、これに限らず、図12に示した本実施形態の第1変形例による爪部52eのように、水平部523eが矢印Y1およびY2方向において、固定部材51の切欠部51eの下方に配置されていなくてもよい。このように構成すれば、支持機構50に磁気ヘッド31を取り付けるときに、磁気ヘッド31を保持するブラケット32の軸部32aを固定部材51の切欠部51eに挿入する際に、爪部52eの水平部523eに遮られることなく、磁気ヘッド31を矢印Z2方向に移動させることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、爪部52eが、下端部52dから矢印Z1方向に延びる垂直部521eと、垂直部521eの先端から矢印Y1方向に延びる水平部522eとを有する例を示したが、これに限らず、爪部52eが、垂直部521eの先端から矢印Y1方向以外の方向に延びる水平部を有していてもよい。
【0061】
たとえば、図13に示した本実施形態の第2変形例のように、爪部52eが、垂直部521eの先端から外方へ延びる水平部524eと、水平部524eの先端から矢印Y1方向に延びる水平部525eとを有するようにしてもよい。このように構成すれば、第1変形例と同様に、磁気ヘッド31を保持するブラケット32の軸部32aを固定部材51の切欠部51eに挿入する際に、爪部52eの水平部525eに遮られることなく、磁気ヘッド31を矢印Z2方向に移動させることができる。また、第1変形例に比べて、爪部52eと支軸54との距離を長くすることができるので、可動部材52を回動させるために、爪部52eに加える力を小さくすることができる。
【0062】
また、上記実施形態では、アーム部52aの凹部52jと、板状部51bの突出部51gとが、アーム部52aのA方向への回動を規制する回動規制部として機能する例を示したが、これに限らず、たとえば、アーム部52aに凹部が形成されておらず、アーム部52aの上端部と、板状部51bの突出部51gとが、回動規制部として機能するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、固定部材51に溝部51fが形成されるとともに、可動部材52に挿入孔52cが形成されることにより、可動部材52および支軸54がスライド移動する例を示したが、これに限らず、固定部材51に挿入孔が形成されるとともに、可動部材52に溝部が形成されることにより、可動部材52のみがスライド移動するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、樹脂製の可動部材52の挿入孔52cに金属製の支軸54が挿入される例を示したが、これに限らず、樹脂製の可動部材および支軸が一体的に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
31 磁気ヘッド
32a 軸部
50 支持機構(支持装置)
51 固定部材
51b 板状部
51d 下端部
51e 切欠部(第1切欠部)
52 可動部材
52a アーム部
52e 爪部
52f 傾斜部
52h 先端部
52i 切欠部(第2切欠部)
53 バネ部材(付勢部材)
100 カード処理装置
200 カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向するように配置される一対の板状部を有する固定部材と、
前記固定部材に回動可能に設けられ、一対のアーム部を有する可動部材と、
前記可動部材が所定の位置に配置されるように、前記可動部材を付勢する付勢部材と、を備えた磁気ヘッドの支持装置において、
前記板状部には、第1方向に延びるように第1切欠部が形成され、
前記アーム部には、前記第1方向と交差する第2方向に延びるように第2切欠部が形成されるとともに、爪部が形成され、
前記第1切欠部と前記第2切欠部とが交差する領域に、磁気ヘッドに設けられる軸部が配置される、ことを特徴とする磁気ヘッドの支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気ヘッドの支持装置において、
前記第1切欠部は、前記板状部の下端部に形成され、
前記第2切欠部は、前記アーム部の先端部に形成され、
前記爪部は、前記アーム部の下端部に下方に突出するように形成されている、ことを特徴とする磁気ヘッドの支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気ヘッドの支持装置において、
前記可動部材は、前記固定部材にスライド移動可能に設けられ、
前記アーム部の下端部には、前記第1切欠部と対応する領域に、傾斜部が形成されている、ことを特徴とする磁気ヘッドの支持装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の磁気ヘッドの支持装置において、
前記固定部材は、前記一対の板状部がカードの挿入方向に対して垂直になるように設けられ、
前記可動部材は、前記一対の板状部の間に配置され、
前記磁気ヘッドは、前記一対のアーム部の間に配置されている、ことを特徴とする磁気ヘッドの支持装置。
【請求項5】
軸部が設けられ、カードに対して処理を施す磁気ヘッドと、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の磁気ヘッドの支持装置と、を備えることを特徴とするカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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