説明

磁気健康器具

【課題】高い磁束密度が得られ且つ低電圧で使用でき、連結部を2軸回転可能にして動きに自由度を持たせて身体にフィットし易く、また、電磁コイルを簡単に製造できる磁気健康器具を提供する。
【解決手段】複数の合成樹脂製ケース1が結合具2により屈曲且つ捩りの二軸回転可能に連結され、合成樹脂製ケースは、長手方向の一方の側が直線状に形成され、他方の側が内側に凹む円弧状に形成され、それぞれの合成樹脂製ケースには、フェライトコアに交流電流を流すコイルが巻かれたボビンが配置され、コイルの両側に外フェライトコアが配置され、直線状の面及び円弧状の面に面どうしを磁着させる磁石Mが設けられている磁気健康器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電流の通電により電磁コイルから発生する交番磁界を利用した健康を増進させるための磁気健康器具に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に磁気を作用させると、皮下組織に刺激を与え、血行を促進させたり筋肉を活性化させたりして肩こりなどの症状を回復させる効果があることが知られている。このため従来から各種の磁気健康器具が提案されているが、磁気発生手段とし、永久磁石の他に電磁コイルを利用したものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図6及び図7において、積層鉄芯21とコイル24とから成る電磁コイルがケース20の内部に収容配備されてなる磁界発生治療具において、複数枚の珪素鋼板を積層して形成した積層鉄芯21は積層端面に磁界集中用の突起22が一体突設され、コイルボビン23は、両端に鍔部25を有するスプールの周面にコイル24が巻かれて形成されており、スプールの一方の鍔部25は積層鉄芯21の突起22の高さと一致する厚みに形成して、この鍔部25が突起22の位置に対応位置するよう積層鉄芯上にコイルボビン23が嵌め込まれている磁界発生治療具が記載されている。
【0004】
この磁界発生治療具は、磁界が放射される側を身体における痛みやこりなどの発生部位に向けて巻き付け固定した後、電源を投入すると、各磁界発生器の各コイルへ通電され、積層鉄芯の脚部の端面、特に突起より各コイルの重畳磁束が発生する。これに伴って鉄芯および各コイルから発熱が生じ、この熱がケースを経て痛みやこりへ伝達され、血行が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−122853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の磁界発生治療具では、磁束密度を大きくしようとすると、珪素鋼板を積層して形成する積層鉄芯が大きくなるためにケースが大きくなり、取り扱いやすいサイズにすると、大きい磁束密度が得られない問題があった。また、磁束密度の関係で低電圧で使用することが出来ないため、多くの安全対策が必要であった。
【0007】
また、電磁コイルの積層鉄芯は、突起が形成された珪素鋼板を成形し、積層していくために、鉄芯の製造に手間がかかっていた。また、振動を起こしてマッサージ効果を得るために、積層鉄心を重量化して電流により積層鉄心自体を振動させるか、振動板なる部品を追加する方法があったが、前者は重量、後者は振動板部品はずれの故障が発生する問題が生じていた。
【0008】
さらに、前記従来の磁界発生治療具では、連結部の動きが一軸方向の屈曲のみなので、身体の場所によってはフィットしない場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、高い磁束密度が得られ且つ低電圧で使用でき、連結部を2軸回転可能にして動きに自由度を持たせて身体フィットし易く、また、電磁コイルを簡単に製造できる磁気健康器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の磁気健康器具は、複数の合成樹脂製ケースが結合具により屈曲且つ捩りの二軸回転可能に連結され、合成樹脂製ケースは、長手方向の一方の側が直線状に形成され、他方の側が内側に凹む円弧状に形成され、それぞれの合成樹脂製ケースには、フェライトコアに交流電流を流すコイルが巻かれたボビンが配置され、コイルの両側に外フェライトコアが配置されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成において、ボビンの上面に被せる樹脂製の蓋の内面には、フェライトコアに対向して間隔をおいてフェライト板が配置されていることを特徴とする。また、前記円弧状に形成された側の面及び/又は前記直線状に形成された側の面に、二つの磁気健康器具の円弧状に形成された側の面どうし、又は前記直線状に形成された側の面どうしを対向して並べて磁着する磁石が設けられていることを特徴とする。また、前記フェライトコアの上部が先細りの形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、加工し易いフェライトコアを使用するため、より磁力を飛ばす最良とされる形状に容易に加工することができ、その結果、磁力線が集中し、磁束密度が高くすることが可能となった。フェライトコアの使用により、従来の硅素鋼板の積層鉄心に比べて低電圧で交番磁力を発生させることができるとともに、高い磁束密度が得られる。さらにフェライトコアの使用により、ケースの厚みも薄くなりコンパクトになって小型化が可能となり、さらに小型化により従来品に比べて軽量化することが可能となった。
【0013】
本発明は、屈曲可能で且つ捩り回転可能に連結され2軸方向に回動し、長手方向の一方の側が内側に凹む円弧状に形成されているので、こりや痛みなどの部位に確実に接触し易くなった。また、磁気健康器具の円弧状の面を対向させて並べることにより環状を形成して首回り全体に磁気を作用させることが可能となる。一方、直線状の面どうしを対向させて並べることにより背中や腰回りに磁気を作用させることが可能となった。
【0014】
本発明は、ボビンの上面に被せる樹脂製の蓋の内面に、フェライトコアに対向して間隔をおいてフェライト板を配置して振動させることにより、振動板部品はずれの故障もなくマッサージ効果を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の磁気健康器具の斜視図である。
【図2】本発明の磁気健康器具の電磁コイルのケース内の配置図である。
【図3】(a)本発明の磁気健康器具の電磁コイルの斜視図、(b)は断面図である。
【図4】本発明の磁気健康器具の使用状態を示す図である。
【図5】本発明の磁気健康器具の別の使用状態を示す図である。
【図6】本発明の磁気健康器具のさらに別の使用状態を示す図である。
【図7】従来の磁界発生治療具の平面図である。
【図8】図7に示す磁界発生治療具の電磁コイルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1および図2において、複数の合成樹脂製ケース1のそれぞれが結合具2により長手方向に屈曲可能で且つ捩りの2軸回転可能に連結されている。2軸回転可能とすることによりフレキシブルとなるので、身体にフィットし易く、三次元に磁気を作用させて治療が可能となる。
【0018】
合成樹脂製ケース1は、長手方向の一方の側が直線状に形成され、他方の側が内側に凹む円弧状に形成されている。円弧状に形成することにより、磁気健康器具を首回りに沿って接触させることができる。連結する合成樹脂製ケース1の数は、首回りに沿って接触させた時に、図4に示すように両端の合成樹脂製ケース1が肩に載る程度が好ましい。
【0019】
別の使用形態として、合成樹脂製ケースの円弧状に形成された側の面の端部に、二つの磁気健康器具の円弧状の面どうしを対向して並べて磁着させる磁石Mを設けることにより、図5に示すように、首回り全体に磁気を作用させることが可能となる。あるいはまた、合成樹脂製ケース1の一方の側の直線状の面に二つの磁気健康器具の直線状の面どうしを対向して並べて磁着させることができる磁石Mを設けることにより、合成樹脂製ケース1の直線状部分を磁着させて身体への接触面積を大きくして磁力線が作用する領域を広げることができるので、背中や図6に示すように腰回りなどに対して磁気を作用させることが可能となる。
【0020】
それぞれの合成樹脂製ケース1は、電磁コイル3を固定する電磁コイル固定用ケース4とこれに被せるケース蓋5からなる。隣り合う電磁コイル固定用ケース4を連結する結合具2が、一方の電磁コイル固定用ケース4に保持されている回転筒6に回転可能に支持されるととともに、他方の電磁コイル固定用ケース4を前記回転筒6に直交する回転筒7に保持する構造となっている。この構造により、隣り合う合成樹脂製ケース1が折り曲げ可能で且つ捩り可能となって2軸回転により三次元的に自在に曲げられるので、磁気健康器具を患部にフィットさせることが可能となる。両回転筒6,7内には、各電磁コイル3間を電気接続するため電力用及び制御用のリード線8が挿通されている。リード線8は、電源、操作器に接続された電気コード線9から電気や信号が入力される。リード線8は両回転筒6,7内を挿通させてあるため、屈曲したりするおそれはない。
【0021】
図2、図3に示すように、各電磁コイル固定用ケース4には、電磁コイル3が収納固定されている。電磁コイル3は、ケース蓋5側へ磁界が放射される。電磁コイル3は、フェライトコア10にボビン11に巻いたコイル12を配備し、このコイル12に交流電流を流すことにより交番磁界を発生させるものである。フェライトコアはコイルを巻く中央のコアとフェライトコア10に巻いたコイル12の外の両側に外フェライトコア13が配置され、フェライトコア10と両側の外コア13のベース14は接続されて一体となっている。フェライトは加工しやすく、より磁力を飛ばす最良とされる形状に容易に成形でき、フェライトコアの先端を先細りの形状に成形することにより磁束密度を大きくすることが可能となる。また、フェライトコア10、さらに外フェライトコア13をコイルの外側に配置することにより、磁束密度を大きくすることが可能となる。
【0022】
電磁コイル3の表面には、樹脂製の蓋15を被せる。蓋の内面には、フェライトコア10に対向して間隔をおいてフェライト板16を配置すれば、電磁コイル3の通電時に交番電流によりフェライト円板16を振動させることができる。
【0023】
本発明の磁気健康器具は、まず身体におけるこりや痛みなどの発生部位に対しケースが当たるように磁気健康器具を首の後に巻いて固定する。つぎに電源を投入すると、各ケースの電磁コイルへ通電され、各コイルの磁束が発生する。これに伴ってフェライトコア及びコイルから発熱が生じ、この熱がケースへ伝達される。この場合に過度な発熱が生じない用にサーミスタで温度が制御される。
【0024】
フェライトコアを使用した本発明の磁気健康器具と従来のケイ素鋼板の積層鉄心を使用した磁界発生治療具の比較を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
本発明の磁気健康器具は、従来のAC100VをAC30Vの低電圧に大幅に落として、従来低電圧で発生させていない90mTの交番磁力を発生させることが可能となった。また、厚みが薄くなりコンパクト、軽量化することができた。
【符号の説明】
【0027】
1:合成樹脂製ケース 2:結合具
3:電磁コイル 4:電磁コイル固定用ケース
5:ケース蓋 6:回転筒
7:回転筒 8:リード線
9:電気コード線 10:フェライトコア
11:ボビン 12:コイル
13:外フェライトコア 14:ベース
15:蓋 16:フェライト板
20:ケース 21:積層鉄芯
22:突起 23:コイルボビン
24:コイル 25:鍔部
M:磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の合成樹脂製ケースが結合具により屈曲且つ捩りの二軸回転可能に連結され、合成樹脂製ケースは、長手方向の一方の側が直線状に形成され、他方の側が内側に凹む円弧状に形成され、それぞれの合成樹脂製ケースには、フェライトコアに交流電流を流すコイルが巻かれたボビンが配置され、コイルの両側に外フェライトコアが配置されていることを特徴とする磁気健康器具。
【請求項2】
前記ボビンの上面に被せる樹脂製の蓋の内面には、フェライトコアに対向して間隔をおいてフェライト板が配置されていることを特徴とする請求項1記載の磁気健康器具。
【請求項3】
前記円弧状に形成された側の面及び/又は前記直線状に形成された側の面に、二つの磁気健康器具の円弧状に形成された側の面どうし、又は前記直線状に形成された側の面どうしを対向して並べて磁着する磁石が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気健康器具。
【請求項4】
前記フェライトコアの上部が先細りの形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気健康器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−284372(P2010−284372A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141367(P2009−141367)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000153225)株式会社NIKKEN (2)
【Fターム(参考)】