説明

磁気券発券機

【課題】磁気券の発券停止による、利用者の利便性の低下が抑えられる磁気券発券機を提供する。
【解決手段】券売機1は、乗車券発行ユニット7で乗車券を発券するとともに、乗車券に発券にかかる取引明細を明細票発行部8で発行する。乗車券発行ユニット7が使用する用紙は、一方の面に磁気シートを貼付した磁気券であり、明細票発行部8が使用する用紙は、磁気シートを貼付していない非磁気券である。また、券売機1は、明細票発行部8で用紙切れが発生したときには、乗車券発行ユニット7で明細票を発行し、乗車券の販売を行うので、利用者の利便性を低下させることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一方の面に磁気シートを貼付した磁気券に対して、券情報を磁気データで記録するとともに、他方の面(磁気シートを貼付していない面)に券情報を印字して発券する磁気券発券機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅では、鉄道利用者(以下、単に利用者と言う。)に対してキップ等の乗車券を販売する券売機を、改札口周辺の券売機コーナに設置している。券売機は、利用者の入力操作に応じた種類の乗車券を発券する。一般的な券売機は、発券した乗車券が自動改札機で使用されることを前提にしているので、一方の面に磁気シートを貼付した磁気券を乗車券として発券する。券売機は、発券する乗車券に対して、券情報(発行駅、発行時刻、有効区間等)を磁気データで磁気シートに記録する。また、券売機は、券情報を乗車券の他方の面(磁気シートを貼付していない面)に印字する。
【0003】
また、乗車券の購入にかかる代金がクレジットカード等で精算できる券売機では、カード取引にかかる取引明細票(レシート)を印字して発行するレシートプリントを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の装置は、乗車券を発券する発券メカ、およびレシートを発行するレシート発行部を有している。レシートは、利用者が取引内容を確認できればよいので、磁気シートを貼付していない非磁気券(感熱紙や普通紙)を使用している。
【0004】
なお、磁気券は、非磁気券よりも高価であるので、磁気券をレシートとして使用すると運用コストが嵩む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−296701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等に記載されている従来の券売機は、レシート発行部で用紙切れが発生すると、乗車券の販売を停止している。すなわち、乗車券が発券できる状態(磁気券については用紙切れが発生していない状態)であっても、レシート発行部の用紙切れにより、乗車券の販売を停止している。
【0007】
このため、乗車券を購入する利用者の利便性を低下させるという問題があった。
【0008】
この発明の目的は、磁気券の発券停止による、利用者の利便性の低下が抑えられる磁気券発券機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の磁気券発券機は、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
【0010】
この磁気券発行装置は、券情報を磁気データで記録した磁気券を、装置本体前面に設けた磁気券発券口に発券する。
【0011】
磁気データ記録部は、装置本体前面に設けた第1の操作部で発券にかかる入力操作を受け付けると、その入力操作に応じた券情報を、磁気券発券口に今回発券する磁気券に磁気データで記録する。また、磁気券印字部は、磁気券発券口に今回発券する磁気券に対して、券情報を印字する。磁気券は、用紙の一方の面に磁気シートを貼付したものである。
【0012】
また、第1の非磁気券印字部は、今回発券する磁気券に関連する券関連情報を非磁気券に印字し、装置本体前面に設けた第1の非磁気券発券口に発券する。券関連情報は、例えば、今回発券する磁気券の精算にかかる取引明細にかかる情報である。また、非磁気券は、磁気シートを貼付していない感熱紙や普通紙であればよい。
【0013】
さらに、制御部は、第1の非磁気券印字部が券関連情報を非磁気券に印字するときに、非磁気券が切れていれば、磁気券印字部に対して、券関連情報を磁気券に印字し、磁気券発券口に発券することを指示する。
【0014】
このように、非磁気券が用紙切れで発券できない状態になっても、磁気券が用紙切れでなければ、装置本体(磁気券の発券)を停止するのではなく、券関連情報を磁気券に印字して発券する。したがって、磁気券の発券停止による、利用者の利便性の低下が抑えられる。
【0015】
また、装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付ける第2の操作部を装置本体背面側に設けるとともに、この第2の操作部で装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付けたとき、その入力操作に応じたメンテナンス結果を非磁気券に印字し、装置本体背面側に設けた第2の非磁気券発券口に発券する第2の非磁気券印字部を設けてもよい。
【0016】
また、第1の非磁気券印字部は、第1の操作部で装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付けたとき、その入力操作に応じたメンテナンス結果を非磁気券に印字し、装置本体前面に設けた第1の非磁気券発券口に発券する構成としてもよい。このように構成すれば、装置本体の背面側だけでなく、前面側でも、メンテナンスにかかる作業が行える。
【0017】
また、第1の操作部で装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付け、第1の非磁気券印字部が今回の入力操作に応じたメンテナンス結果を非磁気券に印字するときに、当該第1の非磁気券印字部の非磁気券が切れていれば、制御部は、第2の非磁気券印字部に対して、今回のメンテナンス結果の印字を指示するほうが好ましい。すなわち、比較的高価な磁気券を使用せず、比較的安価な非磁気券を使用するので、運用コストを無駄に増大させることがない。
【0018】
さらに、第1の操作部、または第2の操作部で装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付け、第2の非磁気券印字部が今回の入力操作に応じたメンテナンス結果を非磁気券に印字するときに、当該第2の非磁気券印字部の非磁気券が切れていれば、エラー処理を行えばよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、磁気券の発券停止による、利用者の利便性の低下が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】券売機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】券売機の前面概略図である。
【図3】券売機の背面概略図である。
【図4】券売機の動作を示すフローチャートである。
【図5】券売機の動作を示すフローチャートである。
【図6】券売機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態である券売機について説明する。
【0022】
図1は、この実施形態にかかる券売機の主要部の構成を示すブロック図である。また、図2は、この券売機の前面概略図であり、図3はこの券売機の背面概略図である。この券売機1は、駅の改札口周辺の券売機コーナに設置し、鉄道利用者(以下、単に利用者と言う。)に対してキップ等の乗車券を販売する。券売機コーナでは、壁によって券売機1の前面側と、背面側とを仕切っている。券売機1の前面側は、利用者等が通行する通路に面しており、券売機1の背面側は、係員の専用通路に面している。言い換えれば、券売機1に対して、背面側から操作できる人を制限している。また、この券売機1は、乗車券の発券にかかる取引金額の精算が現金、およびクレジットカード(以下、単にカードと言う。)で行える。
【0023】
図1に示すように、この券売機1は、制御部2と、硬貨処理ユニット3と、紙幣処理ユニット4と、カード処理ユニット5と、前面側操作部6と、乗車券発行ユニット7と、明細票発行部8と、係員操作部9と、背面側プリンタ10と、を備えている。制御部2は、券売機1本体各部の動作を制御する。
【0024】
硬貨処理ユニット3は、硬貨の金種や真偽を識別する硬貨識別部を有している。券売機1本体内部には、硬貨を金種別に収納する金種別硬貨カートリッジが収納されている。また、券売機1には、投入硬貨受皿3a、および放出硬貨受皿3bが本体前面に設けられている。さらに、硬貨処理ユニット3は、投入硬貨受皿3a、放出硬貨受皿3b、硬貨識別部、および金種別硬貨カートリッジを結ぶ硬貨搬送路に沿って硬貨を搬送する硬貨搬送部を有している。投入硬貨受皿3aに入れられた硬貨は、硬貨搬送路に沿って硬貨識別部に搬送され、その金種や真偽が識別される。硬貨処理ユニット3は、硬貨識別部での識別結果に応じて、硬貨を金種別硬貨カートリッジに搬送する。また、硬貨処理ユニット3は、必要に応じて、金種別硬貨カートリッジに収納している硬貨を繰り出し、繰り出した硬貨を硬貨搬送路に沿って搬送し、放出硬貨受皿3bに放出する。
【0025】
紙幣処理ユニット4は、紙幣の金種や真偽を識別する紙幣識別部を有している。券売機1本体内部には、紙幣を金種別に収納する金種別紙幣カートリッジが収納されている。また、券売機1には、紙幣投入口4a、および紙幣放出口4bが本体前面に設けられている。さらに、紙幣処理ユニット4は、紙幣投入口4a、紙幣放出口4b、紙幣識別部、および金種別紙幣カートリッジを結ぶ紙幣搬送路に沿って紙幣を搬送する紙幣搬送部を有している。紙幣投入口4aに投入された紙幣は、紙幣搬送路に沿って紙幣識別部に搬送され、その金種や真偽が識別される。紙幣処理ユニット4は、紙幣識別部での識別結果に応じて、紙幣を金種別紙幣カートリッジに搬送する。また、紙幣処理ユニット4は、必要に応じて、金種別紙幣カートリッジに収納している紙幣を繰り出し、繰り出した紙幣を紙幣搬送路に沿って搬送し、紙幣放出口4bに放出する。
【0026】
カード処理ユニット5は、本体前面に設けたカード挿入口5aに挿入されたカードを取り込み、そのカードに記録されているカードデータを読み取る。また、カード処理ユニット5は、公知のカード取引にかかる認証処理(クレジット認証処理)を行うための機能を有している。
【0027】
前面側操作部6は、本体前面に設けた表示器6a、およびこの表示器6aの表示画面に貼付したタッチパネル6bを有している。前面側操作部6は、表示器6aにおける画面表示を制御するとともに、タッチパネル6bの押下位置を検出し、券売機1本体に対する入力操作を受け付ける。この前面側操作部6が、この発明で言う第1の操作部に相当する。
【0028】
乗車券発行ユニット7は、本体前面に設けた乗車券発券口7aに乗車券を放出する。乗車券は、一方の面に磁気シートを貼付した磁気券である。乗車券発行ユニット7は、ロール状に巻いた磁気券を磁気券収納部(用紙収納部)に収納している。乗車券発行ユニット7は、磁気券収納部に収納している磁気券を繰り出し、適当なサイズにカットして、乗車券発券口7aに放出する。また、乗車券発行ユニット7は、乗車券発券口7aに放出する乗車券に対して、券情報等を磁気データで記録する磁気データ記録部71や、券情報等を印字する磁気券印字部72を有している。磁気データ記録部71は、磁気券収納部から繰り出し、乗車券発券口7aに搬送している磁気券の磁気シートに磁気ヘッドを当接し、券情報を磁気データで磁気シートに記録する。また、磁気券印字部72は、乗車券発券口7aに搬送されている磁気券に券情報等を印字する印字ヘッドを有している。磁気券における、磁気券印字部72による券情報等の印字面は、磁気シートが貼付されていない面である。
【0029】
明細票発行部8は、本体前面に設けた明細票発行口8aに明細票を放出する。明細票発行部8は、ロール状に巻いた用紙(感熱紙や普通紙)を用紙収納部に収納しており、カード取引にかかる取引情報等を、この用紙収納部に収納している用紙に印字し、明細票発行口8aに放出する。この明細票発行部8が、この発明で言う第1の非磁気券印字部に相当する。
【0030】
係員操作部9は、本体背面側に設けた表示器9a、およびこの表示器9aの表示画面に貼付したタッチパネル9bを有している。ここでは、表示器9aは、券売機1本体の背面扉の内側(本体内部側)に取り付けており、この背面扉を開することによって、確認できる。係員操作部9は、表示器9aにおける画面表示を制御するとともに、タッチパネル9bの押下位置を検出し、券売機1本体に対する入力操作を受け付ける。この係員操作部9が、この発明で言う第2の操作部に相当する。
【0031】
背面側プリンタ10は、本体背面側に設けている。背面側プリンタ10は、ロール状に巻いた用紙(感熱紙や普通紙)を用紙収納部に収納しており、運用情報や障害ログ等を、この用紙収納部に収納している用紙に印字し、放出する。この背面側プリンタ10が、この発明で言う第2の非磁気券印字部に相当する。
【0032】
この券売機1は、乗車券を販売する運用モード、および保守作業を行うメンテナンスモードの2つのモードで動作する。この券売機1では、モード切換操作により、運用モードと、メンテナンスモードとの切り換えが行える。モード切換操作は、例えばキースイッチによる操作であってもよいし、前面側操作部6での特定の入力操作であってもよい。
【0033】
また、運用モードでは、前面側操作部6で乗車券の購入にかかる入力操作を受け付けるとともに、係員操作部9で保守作業にかかる入力操作を受け付ける。メンテナンスモードでは、前面側操作部6、または係員操作部9で保守作業にかかる入力操作を受け付ける。すなわち、この券売機1は、運用モードであっても、係員操作部9で保守作業にかかる操作が行える。また、メンテナンスモードに切り換えることで、前面側操作部6で保守作業にかかる操作が行える。
【0034】
以下、この券売機1の動作について説明する。
【0035】
まず、乗車券の販売にかかる券売機1の動作について説明する。図4は、乗車券の購入にかかる券売機の動作を示すフローチャートである。券売機1は、運用モードに設定されている。また、上述したように、券売機1は、前面側操作部6で乗車券の購入にかかる入力操作を受け付ける。
【0036】
券売機1は、前面側操作部6で利用者による、乗車券の購入にかかる入力操作を受け付ける(s1)。s1では、乗車券の購入にかかる取引金額の精算に用いる、硬貨や紙幣の投入、またはカードの投入を受け付ける。投入された硬貨は、硬貨処理ユニット3で処理される。また、投入された紙幣は、紙幣処理ユニット4で処理される。また、投入されたカードは、カード処理ユニット5で処理される。また、s1では、利用者が購入する乗車券の種類にかかる入力操作を前面側操作部6で受け付ける。
【0037】
なお、券売機1は、投入された硬貨や、紙幣の合計金額以内の乗車券について、選択を受け付ける。また、券売機1は、カードが投入されたときには、カード処理ユニット5で当該カードについての認証処理を行う。カード取引にかかる認証処理等については、公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
次に、券売機1は、明細票の発行が必要であるかどうかを判定する(s2)。s2では、例えば、乗車券の購入にかかる取引金額の精算にカードが使用されている場合、明細票の発行が必要であると判定する。言い換えれば、乗車券の購入にかかる取引金額が現金で精算される場合には、明細票の発行が不要であると判定する。また、前面側操作部6において、明細票の発行有無を、利用者に選択させる構成としてもよい。
【0039】
券売機1は、s2で明細票の発行が必要であると判定すると、明細票発行部8で用紙切れが発生しているかどうかを判定する(s3)。券売機1は、明細票発行部8で用紙切れが発生していないと判定すると、明細票発行部8において今回の乗車券の購入にかかる取引明細を印字した明細票を発行する(s4)。s4では、明細票を明細票発行口8aに放出する。利用者は、放出された明細票を受け取る。
【0040】
また、券売機1は、s3で、明細票発行部8で用紙切れが発生していると判定すると、乗車券発行ユニット7で磁気券の用紙切れが発生しているかどうかを判定する(s5)。券売機1は、乗車券発行ユニット7で用紙切れが発生していないと判定すると、乗車券発行ユニット7において今回の乗車券の販売にかかる明細票を発行する(s6)。すなわち、s6では、今回の乗車券の購入にかかる取引明細を磁気券に印字した明細票を発行する。このとき、乗車券発行ユニット7は、磁気券印字部72が今回の乗車券の販売にかかる明細を、磁気券の磁気シートが貼付されていない面に印字する。s6では、明細票を乗車券発券口7aに放出する。利用者は、放出された明細票を受け取る。
【0041】
券売機1は、s5で磁気券の用紙切れが発生していると判定すると、エラー処理を行う(s7)。s7にかかるエラー処理では、障害発生を通知するメッセージを表示器6aに表示するとともに、障害発生を通知する警告報知を行う。これにより、利用者や、係員等に、障害の発生を認識させる。
【0042】
券売機1は、s2で明細票の発行が不要であると判定した場合、または、上述のs4、またはs6で明細票を発行すると、乗車券発行ユニット7で磁気券の用紙切れが発生しているかどうかを判定する(s8)。券売機1は、磁気券の用紙切れが発生していれば、s7でエラー処理を行う。一方、券売機1は、磁気券の用紙切れが発生していなければ、乗車券発行ユニット7において乗車券を発行する(s9)。s9では、発券する乗車券(磁気券)に対して、磁気データ記録部71が乗車券情報を磁気データで記録するとともに、磁気券印字部72が乗車券情報を印字する。この乗車券は、乗車券発券口7aに放出される。利用者は、放出された乗車券を受け取る。
【0043】
券売機1は、乗車券を発行すると、必要に応じて釣銭の放出や、カードの返却等を行い(s10)、本処理を終了する。
【0044】
このように、この券売機1は、明細票発行部8で用紙切れが発生したときには、乗車券発行ユニット7で明細票を発行し、乗車券の販売を行うので、利用者の利便性を低下させることがない。
【0045】
また、明細票発行部8で用紙切れが発生していないときには、明細票を明細票発行部8で発行する。すなわち、通常時は、明細票を磁気券ではなく、比較的コストの安い感熱紙や普通紙で発行するので、運用コストを無駄に増加させることもない。
【0046】
また、明細票発行部8で用紙切れが発生したときには、その旨を係員等に通知するようにしてもよい。このようにすれば、係員が迅速に対応でき、磁気券での明細票の発行頻度が抑えられる。
【0047】
次に、メンテナンスにかかる券売機1の動作について説明する。メンテナンスにかかる入力操作は、券売機1本体をメンテナンスモードに設定することにより、前面側操作部6で行える。また、係員操作部9では、券売機1本体のモード(運用モード、メンテナンスモード)に関係なく、メンテナンスにかかる入力操作が行える。図5は、メンテナンスにかかる入力操作を前面側操作部で行うときの、券売機の動作を示すフローチャートである。このとき、券売機1は、メンテナンスモードに設定されている。
【0048】
係員は、前面側操作部6でメンテナンスにかかる入力操作を行う。券売機1は、前面側操作部6でのメンテナンスにかかる入力に応じて、乗車券の販売にかかる運用履歴や、発生した障害のログ等を処理結果として印字出力するかどうかを判定する(s11、s12)。券売機1は、s12で処理結果を印字出力する必要がないと判定すると、本処理を終了する。
【0049】
券売機1は、s12で処理結果を印字出力する必要があると判定すると、明細票発行部8で用紙切れが発生しているかどうかを判定する(s13)。券売機1は、明細票発行部8で用紙切れが発生していないと判定すると、明細票発行部8において今回の処理結果を印字して出力し(s14)、本処理を終了する。
【0050】
また、券売機1は、s13で、明細票発行部8で用紙切れが発生していると判定すると、背面側プリンタ10で用紙切れが発生しているかどうかを判定する(s15)。券売機1は、背面側プリンタ10で用紙切れが発生していないと判定すると、背面側プリンタ10において今回の処理結果を印字して出力し(s16)、本処理を終了する。s16では、明細票発行部8で用紙切れが発生していること、および、処理結果を背面側プリンタ10で印字して出力していることを表示器6aに表示する。これにより、係員は、明細票発行部8で用紙切れが発生していること、および、今回のメンテナンスにかかる処理結果が背面側プリンタ10で印字されたことを認識する。
【0051】
また、券売機1は、s15で背面側プリンタ10でも用紙切れが発生していると判定すると、エラー処理を行い(s17)、本処理を終了する。s17では、明細票発行部8、および背面側プリンタ10の両方で用紙切れが発生していることを表示器6aに表示する。これにより、係員は、明細票発行部8、および背面側プリンタ10の両方で用紙切れが発生していることを認識する。
【0052】
このように、この券売機1は、メンテナンスにかかる入力操作が前面側操作部6で行われたときには、通常明細票発行部8で処理結果を印字するが、この明細票発行部8で用紙切れが発生しているときには、背面側プリンタ10で処理結果を印字する。したがって、明細票発行部8で用紙切れが発生しても、背面側プリンタ10で用紙切れが発生していなければ、エラー処理されることなく、背面側プリンタ10で処理結果が印字される。このため、メンテナンスにかかる係員の作業が煩雑になるのを防止できる。
【0053】
なお、s15で、背面側プリンタ10で用紙切れが発生していると判定したときに、乗車券発行ユニット7で磁気券の用紙切れが発生していなければ、乗車券発行ユニット7において今回のメンテナンスにかかる処理結果を磁気券に印字してもよい。ここでは、磁気券が比較的高価であることから、メンテナンスにかかる処理結果を印字しない構成にしている。
【0054】
次に、メンテナンスにかかる入力操作が係員操作部9で行われたときの券売機1の動作について説明する。図6は、メンテナンスにかかる入力操作が係員操作部で行われたときの券売機の動作を示すフローチャートである。
【0055】
係員は、係員操作部9でメンテナンスにかかる入力操作を行う。券売機1は、メンテナンスにかかる入力に応じて、乗車券の販売にかかる運用履歴や、発生した障害のログ等を処理結果として印字出力するかどうかを判定する(s21、s22)。券売機1は、s22で処理結果を印字出力する必要がないと判定すると、本処理を終了する。
【0056】
券売機1は、s22で処理結果を印字出力する必要があると判定すると、背面側プリンタ10で用紙切れが発生しているかどうかを判定する(s23)。券売機1は、背面側プリンタ10で用紙切れが発生していないと判定すると、背面側プリンタ10において今回の処理結果を印字して出力し(s24)、本処理を終了する。
【0057】
また、券売機1は、s23で、背面側プリンタ10で用紙切れが発生していると判定すると、エラー処理を行い(s25)、本処理を終了する。s25では、背面側プリンタ10で用紙切れが生じていることを表示器9aに表示する。これにより、係員は、背面側プリンタ10で用紙切れが生じていることを認識する。
【0058】
このように、この券売機1は、係員操作部9でメンテナンスにかかる入力操作が行われた場合は、メンテナンス結果を、券売機1本体前面側に位置する、乗車券発行ユニット7や、明細票発行部8等で印字出力しない。
【0059】
なお、上記実施形態では、乗車券を販売する券売機を例にして本願発明を説明したが、本願発明は、乗車券以外の磁気券を発券する機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…券売機
2…制御部
3…硬貨処理ユニット
3a…投入硬貨受皿
3b…放出硬貨受皿
4…紙幣処理ユニット
4a…紙幣投入口
4b…紙幣放出口
5…カード処理ユニット
5a…カード挿入口
6…前面側操作部
6a…表示器
6b…タッチパネル
7…乗車券発行ユニット
71…磁気データ記録部
72…磁気券印字部
7a…乗車券発券口
8…明細票発行部
8a…明細票発行口
9…係員操作部
9a…表示器
9b…タッチパネル
10…背面側プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
券情報を磁気データで記録した磁気券を、装置本体前面に設けた磁気券発券口に発券する磁気券発行装置において、
装置本体前面に設け、装置本体に対する入力操作を受け付ける第1の操作部と、
前記第1の操作部で発券にかかる入力操作を受け付けたとき、その入力操作に応じた券情報を、前記磁気券発券口に今回発券する磁気券に磁気データで記録する磁気データ記録部と、
前記磁気券発券口に今回発券する磁気券に対して、券情報を印字する磁気券印字部と、
今回発券する磁気券に関連する券関連情報を非磁気券に印字し、装置本体前面に設けた第1の非磁気券発券口に発券する第1の非磁気券印字部と、
前記第1の非磁気券印字部が券関連情報を非磁気券に印字するときに、非磁気券が切れていれば、前記磁気券印字部に対して、券関連情報を磁気券に印字し、前記磁気券発券口に発券することを指示する制御部と、を備えた磁気券発券機。
【請求項2】
装置本体背面側に設け、装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付ける第2の操作部と、
前記第2の操作部で装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付けたとき、その入力操作に応じたメンテナンス結果を非磁気券に印字し、装置本体背面側に設けた第2の非磁気券発券口に発券する第2の非磁気券印字部と、を備えた請求項1に記載の磁気券発券機。
【請求項3】
前記第1の非磁気券印字部は、前記第1の操作部で装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付けたとき、その入力操作に応じたメンテナンス結果を非磁気券に印字し、装置本体前面に設けた前記第1の非磁気券発券口に発券する、請求項2に記載の磁気券発券機。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の操作部で装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付け、前記第1の非磁気券印字部が今回の入力操作に応じたメンテナンス結果を非磁気券に印字するときに、当該第1の非磁気券印字部の非磁気券が切れていれば、前記第2の非磁気券印字部に対して、今回のメンテナンス結果の印字を指示する請求項3に記載の磁気券発券機。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の操作部、または前記第2の操作部で装置本体のメンテナンスにかかる入力操作を受け付け、前記第2の非磁気券印字部が今回の入力操作に応じたメンテナンス結果を非磁気券に印字するときに、当該第2の非磁気券印字部の非磁気券が切れていれば、エラー処理を行う、請求項3、または4に記載の磁気券発券機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−242918(P2011−242918A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113047(P2010−113047)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)