説明

磁気治療器

【課題】磁石付き帽子において、粒状磁石を直接帽子に接着すると接着面積が小さいため十分な接着強度が得られず、また、磁石同士の吸着により磁石の接着面が剥がれてしまうなどの不具合があった。
【解決手段】粒状磁石を貼り付け材に接着し、その貼り付け材を帽子の内側に接着し、磁石の極性の向きを揃えることを特徴とした、磁石付帽子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石を利用した治療器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気を頭部に作用させて、頭皮の血行を改善し発毛を促す効果を狙った技術として、例えば、下記文献に記載された手法が知られている。
【0003】
そのうち代表的な事例が、下記特許文献2である。これは、ヘアネット(伸縮性の網素材でできた帽子)の内側に多数の粒状磁石を設置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−117349
【特許文献2】特開平8−117350
【特許文献3】特開平9−108367
【特許文献4】特開平10−108914
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(課題1)上記特許文献1、2、はヘアネットに永久磁石を取り付ける方式であるが、実際に試作してみると「磁石をネットに取り付ける手段」が大きな問題となることがわかった。その理由は、皮膚に局部的な磁気刺激を与えるため、通常はあまり磁石のサイズを大きくせずに、粒状の小さい磁石(直径5ミリメートル程度)を用いるからである。しかし、小さい磁石はネットの網目を通り抜けてしまうので、ヘアネットに取り付けることは困難である。また、ヘアネットではなく、通常の布地の帽子に取り付けようとしても、粒状磁石では接着面積が小さいため十分な接着強度が得られない、という課題があった。
【0006】
(課題2)このような磁石付帽子を保管している状態(頭に被っていない状態)では、磁石同士がくっついていることが普通である。 しかし、磁極同士が直接くっ付いてしまうと、吸着力が強力なため、それをいちいち引き剥がすのは面倒である。
また、磁石同士を引き剥がすときに、磁石と帽子との接着面の方が剥がれてしまうこともある。 さらに、ヘアネットを用いる場合、磁石同士を引き剥がすために大きな力でヘアネットを引っ張る必要があるが、ネット生地は局部的に引っ張られるストレスに弱いため、それが原因でヘアネットの伸縮性が損なわれたり、ネット生地自体を破損してしまう、という課題があった。
【0007】
(課題3)また、頭部は皮下脂肪が薄いため、磁石のような固い物質が直接頭皮に触れている場合、外部から何らかの衝撃が加わると頭皮を傷つける恐れがある、という不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(課題1を解決するための手段)磁石を帽子の生地に取り付ける際、まず磁石を磁石よりも面積が大きい下地の材質(貼り付け材)に接着し、その下地を帽子の生地に接着することにより、課題1を解決することができる。
【0009】
(課題2を解決するための手段)磁石の磁極の向きを全て揃えることにより、磁石同士が吸着する場合には必ず磁石と磁石の間に貼り付け材とネット素材が挟まることになり、磁石同士の吸着力を弱めることができ、課題2を解決することができる。
【0010】
(課題3を解決するための手段)磁石の表面を弾性樹脂等の素材で覆うことにより、課題3を解決することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明を用いれば、磁石をネットに接着する際、ネットに対して十分大きな接着強度を得ることができ、磁石同士の吸着によるネットの破損を防止し、頭皮が傷つくことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る磁気治療器付きヘアネットの構成を示す図である。
【図2】(a)本発明に係る磁気治療器付きヘアネットを上から見た図である。(b)は(a)のヘアネットを正面横から見た図である。(c)は(a)のヘアネットを下から見た図である。
【図3】(a)本発明に係る磁気治療器付きヘアネットにおいて、磁石の配置を後頭部から頭頂部と前頭部の範囲に集中させた構成を、正面横から見た図である。(b)は(a)のヘアネットを下から見た図である。
【図4】(a)磁石と貼り付け材で構成された磁気治療器単体部分、を上から見た図である。(b)は(a)の磁気治療器単体部分、を正面横から見た図である。
【図5】(a)磁石全体を弾性樹脂で覆った磁気治療器単体部分、を上から見た図である。(b)は(a)の磁気治療器単体部分、を正面横から見た図である。
【図6】(a)磁石の上面を弾性樹脂で覆った磁気治療器単体部分、を上から見た図である。(b)は(a)の磁気治療器単体部分、を正面横から見た図である。
【図7】(a)本発明に係る磁気治療器付きキャップを正面横から見た図である。(b)は(a)のキャップを下から見た図である。
【図8】(a)本発明に係る磁気治療器付きハットを正面横から見た図である。(b)は(a)の磁気治療器付きハットを下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
磁石をネット生地に接着する際、ネット生地に対して十分大きな接着強度を得ることができ、磁石同士の吸着によるネットの破損を防止し、頭皮が傷つくことを防ぐ、という目的を簡易な方法で実現した。
【実施例1】
【0014】
図1と図2は、本発明を実施するための形態の一例である。ヘアネットの内側に貼り付け材を接着し、その貼り付け材の内側に磁石を接着している。
【実施例2】
【0015】
図3は、磁石の配置を頭頂部から前頭部の範囲に集中させた一実施例である。 磁石の配置を、頭部の形状や、頭皮、毛髪の状態に合わせるように配置すれば、より効果的に磁気刺激を受けることができる。
しかし、このような特殊な磁石配置をした場合、帽子を被る向きが限定される。そこで、ヘアネットやハットのように、前後左右の区別がない帽子については、どこかに目印をつけておくようにする。図3の例では、ヘアネットの後縁部にリボンを目印として取り付けている。
【実施例3】
【0016】
図6は、本発明をキャップに応用した一実施例である。
【実施例4】
【0017】
図7は、本発明をハットに応用した一実施例である。
【0018】
また、これら上記の図に記載されている磁石の極性は、帽子側と頭皮側の方向に対して全て同じ極性に揃えてある。
【実施例5】
【0019】
図4は、磁気治療器単体部分の構成を示す図である。貼り付け材(102)において、磁石を設置している面とは反対側に粘着層を設けている。一般に市販されている磁気治療器とは、磁石と粘着層の面が逆になっていることがわかる。
【実施例6】
【0020】
図5は、磁石全体を、弾性樹脂等で覆った磁気治療器単体部分を示す一実施例である。
【実施例7】
【0021】
図6は、磁石の上部だけを、弾性樹脂等で覆った磁気治療器単体部分を示す一実施例である。
【0022】
また、これらの図では貼り付け材の形状を円形としているが、特に円形に限定する必要はなく、十分な接着面積を得ることさえできれば、楕円形でも四角形でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、扱いやすく壊れにくい磁気治療器付きの帽子を簡単な構成で作成することができる。
【符号の説明】
【0024】
101…磁気治療器単体
102…磁気治療器の貼り付け材
103…磁気治療器の磁石
104…磁気治療器の貼り付け材の粘着層
105…磁気治療器の磁石全体を覆っている弾性樹脂
106…磁気治療器の磁石の上面だけを覆っている弾性樹脂
201…ヘアネット
202…ヘアネットのバンド部分
203…帽子の前後の向きを示す目印のリボン
301…キャップの頭に被る部分
302…キャップのツバ部分
401…ハットの頭に被る部分
402…ハットのツバ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽子本体と、複数の粒状永久磁石と、永久磁石を取り付ける貼付け材と、から構成されることを特徴とした磁石付帽子。
【請求項2】
請求項1の磁石付帽子において、永久磁石を帽子の内側に取り付け、かつ、9割以上の磁石の極性を同じ方向に揃えることを特徴とした磁石付帽子。
【請求項3】
貼付け材と永久磁石から構成される磁気治療器において、貼り付け材の片面に粘着層、反対側の片面に磁石を設け、磁石の表面を樹脂等で覆うことを特徴とした貼り付け型の磁気治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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