説明

磁気記録ディスク及び磁気記録ディスクドライブ

【課題】前後面上に同一の予めパターン化されたサーボパターンを備えた磁気記録ディスク、および同一のサーボパターンを用いて動作できるサーボ制御システムを備えたディスクドライブを提供する。
【解決手段】ディスクドライブ内の磁気記録ディスク510は、その前面511および後面511a上に同一の予めパターン化されたサーボパターンを有する。各ディスク表面上のサーボパターンは、単一のマスタープレートを用いて予めパターン化されるので、各ディスク表面上に同一のパターンが得られる。2つのディスク表面上のサーボセクタ518,518aは、データトラックを横切って半径方向に延びる、角度を成して離間した弓状線または直線の同一のパターンを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、マスターテンプレートを用いて形成された、予めパターン化されたサーボパターンを有する磁気記録ディスク、およびサーボパターンを用いて動作可能なサーボ制御システムを有する磁気記録ディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の磁気記録ハードディスクドライブは、磁気記録データビットを規定する磁化領域がハードディスク上の記録層の面内に配向される水平記録、または磁化領域が記録層の面に垂直に配向される垂直記録のどちらかを使用する。ディスク上の記録面はそれぞれ磁性材料の連続層であり、この層は、記録ヘッドが磁性材料に書込みを行うと、磁気記録データビットを含む同心のデータトラックを形成する。ディスク表面はそれぞれ、サーボセクタの固定の予め記録されたパターンも含み、サーボセクタは、記録ヘッドによって上書きすることができず、また、ヘッドを所望のデータトラックに位置付け、ヘッドをデータトラック上で維持するのに使用される。
【0003】
サーボセクタのパターンを生成する従来の方法は、専用の書込みヘッドおよびサーボライタを用いるか、あるいはディスクドライブ内の製品の記録ヘッドを用いて、トラックごとにパターンを「サーボ書込み」することによるものである。これには多大な時間がかかり、したがってプロセスが高価なので、サーボパターンを生成する他の方法が提案されてきた。
【0004】
磁気プリンティングまたは磁気リソグラフィ(ML)と称されることもある、接触磁気複写または転写(CMT)では、ディスクに転写されるサーボパターンに対応するパターンの形態の軟磁性(低保磁力)材料の領域または島を含む、「マスター」テンプレートが使用される。CMTマスターテンプレートは、典型的には、特許文献1及び特許文献2、ならびに非特許文献1に記載されているような、剛性の基板またはその上に形成されたプラスチックフィルムを有する剛性の基板である。本出願と同一の譲受人に譲渡された特許文献3は、CMTテンプレート、および垂直磁気記録ディスク内にサーボパターンを形成するプロセスを記載している。可撓性のマスターテンプレートを使用する磁気リソグラフィ(ML)が、本出願と同一の譲受人に譲渡された特許文献4、ならびに非特許文献2に記載されている。
【0005】
サーボパターンを形成するCMTプロセスは、同心のデータトラックが記録ヘッドによって磁性材料の連続層に形成される従来の「連続的な」磁気媒体だけではなく、「個別トラックの」媒体にも適用可能である。このタイプの媒体では、例えば特許文献5に記載されているように、各データトラックは連続的な磁性材料から成るが、個々のデータトラックは非磁性の保護帯域によって分離される。CMTプロセスは、サーボパターンだけではなく個別のトラックを形成するのにも使用されてもよい。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6347016号明細書
【特許文献2】米国特許第6433944号明細書
【特許文献3】米国特許第6791774号明細書
【特許文献4】米国特許第6798590号明細書
【特許文献5】米国特許第4912585号明細書
【非特許文献1】Ishida,T.et al.,“Magnetic Printing Technology−Application to HDD”,IEEE Transactions on Magnetics,Vol.39,No.2,March 2003,pp.628−632
【非特許文献2】Bandic et al.,“Magnetic lithography for servowriting applications using flexible magnetic masks nanofabricated on plastic substrates”,Microsystems Technology,DOI 10.1007/s00542−006−0287−8
【非特許文献3】Bandic et al.,“Patterned magnetic media:impact of nanoscale patterning on hard disk drives”,Solid State Technology S7+ Suppl.S,SEP 2006
【非特許文献4】Terris et al.,“TOPICAL REVIEW:Nanofabricated and self−assembled magnetic structures as data storage media”,J.Phys.D:Appl.Phys.38(2005)R199−R222
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パターン化磁気媒体は、ディスクドライブ内のデータ記憶密度を増加させるため、従来の連続的な磁気媒体に代わるものとして提案されてきた。パターン化媒体では、ディスク表面上の磁性材料は、各島、すなわち各「ビット」に単一の磁区が存在するようにして、小さな隔離されたデータ島の形態にパターン化される。パターン化されたデータ島の必要な磁気絶縁を生じさせるため、島間の領域の磁気モーメントは、これらの領域が本質的に非磁性になるように消去されるか、または大幅に低減されなければならない。あるいは、パターン化媒体は、島間の領域に磁性材料がないように製作されてもよい。パターン化媒体は、ナノインプリンティングによってマスターテンプレートから複写することで製造することができる。ナノインプリンティング・プロセスは、データトラック内の分離されたデータ島だけではなく、サーボパターンも形成する。ナノインプリンティングでは、マスター型またはテンプレートによって、ディスク基板上のポリマーレジスト被膜上にトポグラフィパターンが複写され、次に、磁性材料がパターンの上にスパッタ蒸着される。パターン化媒体のナノインプリンティングは、非特許文献3および非特許文献4に記載されている。
【0008】
ハードディスクドライブでは、ディスクの後面上のサーボパターンは、ディスクの前面上のサーボパターンと同一ではなく、その鏡像である。したがって、CMTまたはナノインプリンティングのどちらかによってサーボパターンを形成するためには、ディスクの前面用とディスクの後面用の2つのマスターテンプレートを製作する必要がある。このため、マスターテンプレートを製作する時間とコストが2倍になる。ナノインプリンティングの場合、マスターテンプレートは、一般的に、比較的費用が高い低速の電子ビームリソグラフィ機器によって作られるので、非常に高価になるとともに製作に数日を要する可能性がある。
【0009】
単一のマスターテンプレートを使用して、ディスクの両面にサーボパターンを形成することができるように、前面および後面上に同一のサーボパターンを有する磁気記録ディスク、および同一のサーボパターンを用いて動作できるサーボ制御システムを備えたディスクドライブが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その前後面上に同一の予めパターン化されたサーボパターンを備えた磁気記録ディスク、および同一のサーボパターンを用いて動作できるサーボ制御システムを備えたディスクドライブである。各ディスク表面上のサーボパターンは、単一のマスターテンプレートを用いて予めパターン化され、結果として各ディスク表面上に同一のパターンが得られる。第1の実施形態では、2つのディスク表面上のサーボセクタは、データトラックを横切ってほぼ半径方向に延びる、角度を成して離間した弓状線の同一のパターンを形成することができる。一方の表面、例えば前面上の弓状線は、一般に、回転式アクチュエータによって記録ヘッドがデータトラックを横切って移動すると、記録ヘッドの経路を複写するので、ヘッドの半径方向位置に関わらず、前面上のサーボセクタのサンプリング速度は一定である。しかし、他方の表面、すなわち後面上の弓状線は、記録ヘッドの経路を複写しないので、サーボサンプリング速度は一定ではなく、ヘッドの半径方向位置によって変わる。したがって、サーボ制御システムが後面上のサーボセクタから動作しているとき、サーボ制御プロセッサは、ヘッドの半径方向位置の推定からタイミング調整を計算する。次に、このタイミング調整は、時間窓を開く時間を調整して、後面上のサーボセクタを検出できるようにするために使用される。
【0011】
第2の実施形態では、2つのディスク表面上のサーボセクタは、データトラックを横切って半径方向に延びる、角度を成して離間した直線の同一のパターンを形成することができる。半径方向の直線は、一方の表面上の記録ヘッドの経路を複写しないので、サーボサンプリング速度は一定ではなく、各表面上のヘッドの半径方向位置によって変わる。したがって、サーボ制御システムが一方の表面上のサーボセクタから動作しているとき、サーボ制御プロセッサは、ヘッドの半径方向位置の推定からタイミング調整を計算する。次に、第1の実施形態に必要なタイミング調整の半分であるこのタイミング調整は、時間窓を開く時間を調整して、各表面上のサーボセクタを検出できるようにするために使用される。
【0012】
前面および後面は同一のサーボパターンを有するので、後面上のサーボセクタのサーボフィールドの順序は、第1の表面上における順序の逆になる。一実施形態では、サーボフィールドは変化しないので、後面上のサーボフィールドは逆の順序で読み取られ、メモリに格納され、次に復号化される。別の実施形態では、ほぼ対称的なサーボフィールドを有するサーボセクタが使用されるので、サーボフィールドが読み取られる順序は前面と後面とで同一である。
【0013】
本発明の性質および利点のさらに十分な理解のため、添付図面とともに以下の詳細な説明を参照されたい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単一のマスターテンプレートを使用して、ディスクの両面にサーボパターンを形成することができるように、前面および後面上に同一のサーボパターンを有する磁気記録ディスク、および同一のサーボパターンを用いて動作できるサーボ制御システムを備えたディスクドライブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、回転式アクチュエータ2と、第1の、すなわち「前」面11上に形成された、予めパターン化されたサーボセクタ18を有する剛性の磁気記録ディスク10とを有するディスクドライブを示す。ディスク10は、中心軸100の周りを方向102に回転する。前面11は、内径(ID)14および外径(OD)16によって規定される環状のデータ帯域12を有する。サーボセクタ18間のデータ帯域の部分は、ユーザデータの格納に使用され、円形のデータトラックを含み、各データトラックは一般的に物理的なデータセクタに分割される。回転式アクチュエータ2はピボット4の周りを回転し、その端部において読取り/書込みヘッド6を支持する。アクチュエータ2が回転すると、ヘッド6は、ID14とOD16の間のほぼ弓状の経路をたどる。
【0016】
サーボセクタ18は、従来のサーボ書込みではなく、マスターテンプレートを使用したパターニングプロセスによって形成される。磁気リソグラフィ(ML)とも呼ばれる接触磁気転写(CMT)では、磁気マスクがマスターテンプレートの役割を果たす。ナノインプリンティングでは、マスターテンプレートにより、ディスク基板上のポリマーレジスト被膜上にトポグラフィパターンが複写され、次に磁性材料がパターンの上にスパッタ蒸着される。サーボセクタ18は、ID14からOD16までほぼ半径方向に延びる、角度を成して離間した弓状線のパターンを形成する。サーボセクタの弓形状は、ヘッド6の弓状の経路と一致する。ディスクドライブの動作中、ヘッド6は、環状のデータ帯域12のID14とOD16の間に位置する、多数の同心円のデータトラックの選択された1つの上においてデータを読み書きする。選択されたトラックから正確にデータを読み取り、またはそれに書き込むため、ヘッド6は、トラックの中心線上で維持される必要がある。したがって、サーボセクタ18の1つがヘッド6の下を通過するごとに、ヘッド6は、サーボセクタの位置誤差信号(PES)フィールド内の個別の磁化サーボブロックを検出する。PESは、ディスクドライブのヘッド位置制御システムによって生成され、使用されて、ヘッド6をトラック中心線に向かって移動させる。したがって、ディスク10が完全に回転する間、ヘッド6は、連続する角度を成して離間したサーボセクタ18のサーボブロックからのサーボ情報によって、トラック中心線の上で継続的に維持される。
【0017】
一般的なサーボセクタ18および3つのデータトラック部分の拡大平面図が図2に示される。3つのデータトラック20、22、および24は輪郭で示される。ディスク10が、表面11のデータ部分に磁気記録材料の連続層を有するタイプである場合、トラック20、22、および24は、連続記録層に記録するとき、その半径方向幅がヘッド6によって一般に規定される連続的なトラックである。ディスク10が個別のトラックを有するタイプである場合、トラック20、22、および24は、トラックに沿って連続記録材料を含み、ただしトラックは非磁性保護帯域によって互いに分離される。ディスク10がパターン化媒体を有するタイプである場合、トラック20、22、および24はそれぞれ、磁化可能な材料の個別の島を含む。
【0018】
図2の影付き部分はすべて、同じ方向で磁化された個別のサーボブロックを表す。それらはすべて、ディスクドライブが長手方向または水平磁気記録用に設計されている場合は、同じ方向で水平に、すなわち図2において紙面に平行な面で磁化されてもよく、あるいは、ディスクドライブが垂直磁気記録用である場合は、垂直に、すなわち紙面を出入りする方向に磁化されてもよい。また、米国特許出願公開第2006/0279871号として公開され、本出願と同じ譲受人に譲渡された米国特許出願第11/149,028号明細書に記載されているように、図2の影付きの部分が1つおきに反対の磁性を有し、影を付けていない領域が非磁性であってもよい可能性もあり、それによって、サーボパターンの信号品質が改善される。サーボセクタ18がCMTによって形成された場合、図2の影を付けていない部分は、サーボブロックの磁化と反対方向に磁化された領域を表すが、それは、これらの部分が、CMTプロセスの前にDC磁化プロセスによってこの反対の磁化を保持するためである。サーボセクタ18がナノインプリンティングによって形成された場合、図2の影を付けていない部分は、非磁性領域を、すなわち、非磁性材料の領域か、一般に書込みヘッドによって磁化することができない磁性材料の領域かのどちらかを表す。
【0019】
図2に示されるように、サーボセクタ18を構築するサーボブロックは、フィールド30、40、50、および60の形で配置される。サーボフィールド30は、信号の振幅を測定し、後で読み取られるサーボブロックに対して規定される利得を調整するのに使用される、ブロック31〜35の自動利得制御(AGC)フィールドである。サーボフィールド40は、タイミングマークを提供して、後に続くサーボブロックの開始/停止タイミング窓を確立する、サーボタイミングマーク(STM)フィールドとも呼ばれるセクタ識別(SID)フィールドである。サーボフィールド50は、トラックの「シリンダ」からの複数の積み重ねられたトラックを有するディスクドライブ内の、すべてのディスク表面からのトラックという理由で、シリンダ(CYL)フィールドとも呼ばれるトラック識別(TID)フィールドである。TIDフィールド50は、一般的にはグレイコード化されたトラック番号を含み、半径方向位置の整数部を判断する。サーボフィールド60は、位置誤差信号(PES)フィールドであり、この例では、周知の「カッドバースト(quad−burst)」PESパターンの一部として、サーボブロックのA、B、C、およびDのサブフィールドを含み、半径方向位置の小数部を判断するのに使用される。
【0020】
図3は、ディスクドライブサーボ制御システムのブロック図であり、読取り/書込み電子機器210、サーボ電子機器220、インターフェース電子機器230、およびコントローラ電子機器240を示す。読取り/書込み電子機器210は、ヘッド6から信号を受け取り、サーボ情報をサーボセクタからサーボ電子機器220に渡し、データ信号をコントローラ電子機器240に渡す。サーボ電子機器220は、サーボ情報を使用して、アクチュエータ2を駆動してヘッド6を位置付ける信号を221において生成する。インターフェース電子機器230は、インターフェース231を通してホストシステム(図示なし)と通信して、ディスク10のデータセクタを読取り/書込みするためのホストシステムからの要求を含む、データおよびコマンド情報を渡す。インターフェース電子機器230は、インターフェース233を通してコントローラ電子機器240と通信する。
【0021】
コントローラ電子機器240は、マイクロプロセッサ241と、制御アルゴリズムなどの様々なアルゴリズムを実行するためのコンピュータプログラムが格納された関連するメモリ242とを含む。制御アルゴリズムは、メモリ242に格納された、かつアクチュエータ2の静特性および動特性に基づく一組のパラメータを使用する。制御アルゴリズムは本質的に行列乗算アルゴリズムであり、パラメータは乗算に使用される係数である。
【0022】
コントローラ電子機器240は、要求されたデータセクタのリストをインターフェース電子機器230から受け取り、それらを、ディスク10上の所望のデータセクタの物理的位置を一意に識別するシリンダ(すなわち、トラック)番号、ヘッド番号、およびデータセクタ番号に変換する。ヘッド番号およびシリンダ番号はサーボ電子機器220に渡され、それによって、適切なシリンダ上の適切なデータセクタの上にヘッド6が位置付けられる。サーボ電子機器220に提供されるシリンダ番号が、ヘッド6が現在その上に位置付けられているシリンダの番号と同じでない場合、サーボ電子機器220は、最初に「シーク」動作を実行して、その現在のシリンダから所望のシリンダまでヘッド6を移動させる。
【0023】
サーボ電子機器220は、最初にセクタ計算の実行を開始して、所望のデータセクタを見つけて識別する。サーボセクタがヘッド6の下を通過すると、サーボセクタがそれぞれ検出される。要するに、SIDはサーボセクタを見つけるために使用され、インデックスマークを含むサーボセクタからのSIDの計数が、各サーボセクタを一意に識別する。SIDデコーダ400は、次のSIDの検出のための時間窓を開く制御入力430をコントローラ電子機器240から受け取る。次に、SIDデコーダ400は、読取り/書込み電子機器210からの入力として、クロックトデータストリーム211を受け取る。SIDが検出されると、SID発見信号420が生成される。SID発見信号420は、残りのサーボセクタに対する動作シーケンスを制御するタイミング回路401を調整するのに使用される。SIDが検出された後、トラック識別(TID)デコーダ402は、タイミング情報422をタイミング回路401から受け取り、TIDフィールド50(図2)によって生成された信号を読み取り、次に復号化されたTID情報424をコントローラ電子機器240に渡す。シーク動作中、コントローラ電子機器240は、TID情報を使用して、位置および速度推定器245として表される格納された命令のプログラムから、ヘッドの位置および速度を推定する。
【0024】
サーボ電子機器220が適切なシリンダの上にヘッド6を位置付けると、サーボフィールドがヘッド6によって読み取られ、読取り/書込み電子機器210は信号211をサーボ電子機器220に入力する。続いて、PESデコーダ403は、PESフィールド60(図2)からの信号を捕捉し、次にPES426をコントローラ電子機器240に渡す。コントローラ電子機器240は、所望のトラックの中心線上でヘッド6を維持するため、PESを制御アルゴリズムへの入力として使用して、アクチュエータ位置コントローラ404に対する信号428を計算する。
【0025】
図1を再び参照すると、サーボセクタ18は、その回転中心がアクチュエータ2のピボット4である円弧の形になっていることが分かる。サーボセクタのこの弓形状によって、ヘッドがどのトラック上にあるかに関わらず、ヘッドを通る連続するセクタ間の時間間隔が固定のままであることが確保される。一定のサーボサンプリング速度はヘッドの運動に関わらず達成されるので、このことによって、ヘッド位置決めサーボシステムの設計および動作が単純化される。
【0026】
ただし、サーボセクタの形状に対するこの要件は、各ディスクの第2の表面、すなわち「後」面が、第1の表面、すなわち前面の鏡像でなければならないことを意味する。このことによってさらに、ヘッドによって検出されるサーボフィールド(図2)の順序が各ディスク表面で同じであることが確保されるので、サーボ制御システムを修正する必要がない。図4Aおよび4Bは、ディスクが方向102に回転する際の、従来技術のディスク10の前面11(図4A)および後面11a(図4B)の比較を示す。弓状のサーボセクタ18(図4A)の湾曲方向を、弓状のサーボセクタ18a(図4B)の湾曲方向と比較すると、2つのサーボパターンは同一ではなく、互いの鏡像であることが示される。したがって、後面11a上にサーボセクタ18aをパターン化するのに使用されるマスターテンプレートは、前面11上にサーボセクタ18をパターン化するのに使用されるマスターテンプレートの鏡像でなければならない。しかし、これは、単一のディスクのサーボパターンを形成するために、2つの異なるマスターテンプレートが製作され使用されなければならないことを必要とする。
【0027】
本発明では、単一のマスターテンプレートが両方のディスク表面に使用され、同一のサーボパターンを有する前面および後面が得られる。図5Aおよび5Bは、本発明によるディスク510の一実施形態の、前面511(図5A)および後面511a(図5B)の同一のサーボパターンを示す。弓状のサーボセクタ518(図5A)の湾曲方向を、弓状のサーボセクタ518a(図5B)の湾曲方向と比較すると、2つのサーボパターンは同一であることが示される。ただし、後面511a上のサーボセクタ518aは、アクチュエータ2の円弧をたどる形状を有さないことは明白なので、一定のサーボサンプル速度は表面511a上では達成されなくなる。また、表面511および511a上のサーボパターンは同一なので、後面511a上でヘッド6aによって検出されるサーボフィールドの順序は、前面511上でヘッド6によって検出されるサーボフィールドの順序の逆になる。したがって、本発明では、サーボ制御システムの動作および/またはサーボセクタ内のフィールドの配置が修正される。
【0028】
本発明では、サーボセクタの検出のためのタイミング調整は、後面511a上のパターンを適応させるように作られる。これは、一般的なディスクドライブの幾何学形状を示す図6を使用して説明される。アクチュエータは、ピボット4とディスク中心軸100の間の距離pに位置し、ピボット4からヘッドが位置するアクチュエータ先端RWまでの距離であるアクチュエータ長さaを有する。アクチュエータの先端上のヘッドは、ディスク内径rIDにおける地点b1からディスク外径rODにおける地点b2まで、ディスクを横切る円弧、すなわち経路Z1を成す。この場合、前面511上にあるような従来のサーボセクタ518は、半径aの曲率を有するようになる。図6から、半径の関数としての「スキュー」角度が次式によって与えられると結論付けることは容易である。
【0029】
α(r)=arccos[(p+r−a)/2pr)]−arccos[(p+rID−a)/2prID
ヘッドはアクチュエータの先端で固定されるので、ヘッドによって書き込まれる磁気転移は、半径と同一直線上にはない(すなわち、トラック方向に直交しない)。これはヘッド「スキュー」と呼ばれる。三角形(4−100−RW)から、ヘッドスキューは次式によって与えられる。
【0030】
skew=90−arccos[(a+r−p)/2ar]
直線状のセクタ(b1からb2まで直線を描くことによって得られるもの)と比較したときの弓状セクタの時間遅延は、次式によって与えられる。
【0031】
τ(r)=(60/rpm)×[α(r)/360°]
式中、角度αは度数で表される。このタイミング調整は、半径の関数として、また、0であると仮定されるrIDにおけるタイミング調整に対して、図7にプロットされている。図7は、ディスクの回転数が15,000rpmのときの、図6に列挙される寸法に基づいて生成される。
【0032】
したがって、図5A〜5Bに示されるような本発明の第1の実施形態では、サーボ制御システムが前面511上で動作しているとき、タイミング調整は不要である。しかし、サーボ制御システムが後面511a上で動作しているとき、図7に示されるものの2倍のタイミング調整が導入される。後面511a上のパターンによって引き起こされる不適正なタイミングを適応させるためのサーボ制御システムの修正は、一般的にはメモリ242に格納されたコンピュータプログラム命令である、タイミング調整計算器250として図3に示される。シーク動作中、ヘッドの半径方向位置が変わるため、連続するサーボセクタ間のタイミング調整が変わる。コントローラ電子機器240は、推定器245からの推定ヘッド位置および速度を使用して、タイミング調整を計算する。タイミング調整は、ヘッドが位置する半径(すなわち、シリンダ)、すなわち推定器245からのヘッドの推定位置を使用して、ルックアップテーブルまたは図7のデータから生成される式のどちらかから計算される。次に、コントローラ電子機器240は、この計算されたタイミング調整を使用して、SIDの検出のための時間窓を開くようにSIDデコーダ400をトリガする。
【0033】
第2の実施形態では、サーボセクタは、ほぼ半径方向に向いた直線(図6の中のb1とb2の間)であってもよい。第1の実施形態と同様に、サーボパターンは前面と後面で同一である。しかし、この実施形態では、サーボ制御システムが各表面上で動作しているとき、図7に示されるようなタイミング調整が導入される。例えば、図7を参照すると、半径20mm(rIDに対するタイミング調整は15μs)から半径26mm(タイミング調整=30μs)までのシークが必要な場合、15μs(30μs〜15μs)の遅延が導入される。
【0034】
本発明におけるサーボセクタタイミング調整の要件に加えて、前面511と後面511aは同一のサーボパターンを有するので、表面511a上でヘッドによって検出されるサーボフィールドの順序は、表面511上における順序の逆になる。これを適応させるため、サーボ制御システムはいくつか修正される。一実施形態では、サーボフィールドに対する変更はないが、後面511a上のサーボセクタは逆の順序で、すなわちPES、CYL、SID、AGCの順で読み取られ、メモリに格納される。AGCが読み取られ、サーボ信号振幅に翻訳された後、SIDが分析され、タイミングが確立される。SIDマークが予測と比較して時間反転されていても、逆転されたビット列に対して適応させる場合を除いて、前面511に使用されたのと同じ相関手順が依然として使用されてもよい。タイミングが確立された後、CYL値が復号化され(やはり逆転されたビット列を考慮に入れる)、PESが復号化される。この実施形態では、コントローラ電子機器240によるあらゆる計算が行われる前に、サーボセクタが読み取られ、メモリに格納されるので、後面511a上では、1つのサーボセクタの長さにほぼ対応する時間遅延がある。
【0035】
別の実施形態では、図8に示されるような、ほぼ対称的なサーボフィールドを有するサーボセクタが使用される。図8の実施形態では、サーボフィールドが読み取られる順序は前面と後面で同じである。例えば、図5Aに示される前面511では、サーボフィールドは矢印102で示される方向で移動し、図5Bに示される後面511aでは、サーボフィールドは矢印102で示される方向で移動する。サーボフィールドは、サーボセクタの中心の周りでほぼ対称的である。PESフィールドはサーボセクタの中心に位置し、CYL1およびCYL2として割り当てられたCYLコードがPESフィールドの対向する両端にある。完全なCYLフィールドは、通常、実際のトラック情報を含むm個のビットと、n個の誤り訂正コード(ECC)ビットとを含み、mおよびnは一般的に類似の値である。図8の対称的な形式の場合、CYLフィールドは2つのサブフィールド(CYL1およびCYL2)に分割される。CYL1およびCYL2はそれぞれ、シリンダ番号に関する部分情報を提供してもよいが、両方とも、ECCも伴う正確なトラック番号を得る必要がある。例えば、CYL1およびCYL2はそれぞれm+n/2ビットを有することができる。これによって、長いシークのために十分な情報が可能になる。同一のAGCフィールド(AGC1およびAGC2)はサーボセクタの各端部に位置し、同一のSIDフィールド(SID1およびSID2)は、AGCフィールドとCYLフィールドの間にそれぞれ位置する。図8に示されるサーボセクタ形式では、追加のディスク表面「オーバーヘッド」は、第2のSIDフィールドと、第2のCYLフィールドの余分なm個のビットのためのものである。一般的なサーボシステム、例えば、各ディスク表面の周りで角度を成して離間した140個のサーボセクタでは、これによって、2つのCYLフィールド(ECCがないものと仮定して)と、第2のSIDフィールド用の約12〜16ビットとのため、約16ビットのオーバーヘッドが得られる。一般的なサーボセクタは、約40ビットのAGC、12ビットのSID、32ビットのトラックコード、12ビットのセクタコード、および48ビットのPESコードの、合計約144ビットを有してもよい。したがって、追加の28〜32ビットは、従来のサーボパターン(図2)よりも、約20%のサーボオーバーヘッドの増加になる。
【0036】
ほぼ対称的なサーボフィールドを有するサーボセクタの別の実施形態は、位相ベースのサーボシステム(タイミングベースのサーボシステムとも呼ばれる)を使用し、そのパターンが図9に示される。PESフィールド700は、複数のトラックを横切ってほぼ半径方向に延びる、一般に傾斜した位置マークの2つの対称的な組702および704を含む。同一のフィールド開始(SOF)マーク701および703は、PESフィールド700のそれぞれの端部に位置し、トラックを横切って半径方向に延びる。SOFマークの検出から傾斜した位置マークの検出までの時間は、ヘッドの半径方向位置を示す。このタイプのPESフィールドは、図2の従来のカッドバーストPESフィールド60とは異なり、したがって異なるタイプのPES復号化システムが使用される。位相ベースのサーボシステムおよび復号化方法は、例えば、米国特許第5,689,384号、同第5,923,272号、および同第5,930,065号に記載されているように周知である。図9の実施形態では、CYLフィールドは、組702および704の前または後に位置する追加のパターンの形態に符号化することができる。あるいは、CYLフィールドは、位置マーク間の全体的な位相関係に影響しない形で、位置マークの対をパターン内の他の位置マークよりも早く、または遅くにずらすことによって、傾斜した位置マークの組702および704内で符号化することができる。タイミングベースのパターンを用いたそのような符号化の一例は、上記で引用した米国特許第5,923,272号および同第5,930,065号に記載されている。CYLフィールドを符号化するこの方法は、各サーボセクタに単一または数個のみのビットを埋め込むので、完全なCYLアドレスを完全に読み取るには複数の連続するサーボセクタを必要とする。
【0037】
本発明を、好ましい実施形態を参照して具体的に示しかつ説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更が行われてもよいことが、当業者には理解されるであろう。したがって、開示される発明は単に例示目的のものであり、その範囲は、添付の特許請求の範囲に明記されるものによってのみ限定されるものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】回転式アクチュエータと、第1の、すなわち「前」面上に形成された、予めパターン化されたサーボセクタを有する剛性の磁気記録ディスクとを有するディスクドライブの概略図である。
【図2】図1に示されるディスクの一般的なサーボセクタの部分と3つのデータトラックの部分の拡大図である。
【図3】本発明に使用するための修正を示すディスクドライブサーボ制御システムのブロック図である。
【図4A】従来技術のディスクの前面のサーボパターンを示す図である。
【図4B】従来技術のディスクの後面のサーボパターンを示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態によるディスクの前面のサーボパターンを示す図である。
【図5B】本発明の一実施形態によるディスクの後面のサーボパターンを示す図である。
【図6】一般的なディスクドライブの幾何学形状の一例を示す図である。
【図7】直線のサーボセクタを有するディスク表面の場合の、内径(rID)におけるゼロタイミング調整に対する、半径の関数としてのタイミング調整のグラフである。
【図8】ほぼ対称的なサーボフィールドを有する本発明によるサーボセクタの部分の図である。
【図9】位相ベースのサーボシステム(タイミングベースのサーボシステムとも呼ばれる)に使用するための、ほぼ対称的なサーボフィールドを有する本発明によるサーボセクタの部分の図である。
【符号の説明】
【0039】
2…アクチュエータ、6,6a…ヘッド、12…環状のデータ帯域、18…サーボセクタ、20,22,24…データトラック、30…自動利得制御(AGC)フィールド、40…セクタ識別(SID)フィールド、50…トラック識別(TID)フィールド、60…位置誤差信号(PES)フィールド、100…中心軸、210…読取り/書込み電子機器、220…サーボ電子機器、230…インターフェース電子機器、240…コントローラ電子機器、241…マイクロプロセッサ、242…メモリ、245…位置/速度推定器、250…タイミング調整計算機、400…セクタ識別デコーダ、401…タイミング回路、402…トラック識別デコーダ、403…位置誤差信号デコーダ、404…アクチュエータ位置コントローラ、510…磁気記録ディスク、511…前面、511a…後面、514,514a…ディスク内径、516,516a…ディスク外径、518,518a…サーボセクタ、700…PESフィールド、701,703…フィールド開始(SOF)マーク、702,704…傾斜した位置マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のほぼ平面の表面と、前記第1のほぼ平面の表面と向かい合った第2のほぼ平面の表面と、前記表面に垂直な中心軸とを有する磁気記録ディスクであって、
前記第1のほぼ平面の表面上にあり、前記中心軸の周りで角度を成して離間された線のサーボパターンを形成するとともに、ほぼ半径方向で延び、磁性材料の複数の個別のブロックをそれぞれ含む、複数のサーボセクタと、
前記第2のほぼ平面の表面上にあり、前記第1のほぼ平面の表面上の前記サーボパターンと同一のサーボパターンを形成する複数のサーボセクタとを備える磁気記録ディスク。
【請求項2】
前記表面それぞれの上にある前記サーボパターンの前記線がそれぞれ、前記中心軸を中心とする半径方向内側および外側の円の間を延びるほぼ弓状の線である請求項1に記載の磁気記録ディスク。
【請求項3】
前記表面それぞれの上にある前記サーボパターンの前記線がそれぞれ、前記中心軸を中心とする半径方向内側および外側の円の間を延びる、半径方向にほぼ直線の線である請求項1に記載の磁気記録ディスク。
【請求項4】
前記表面がそれぞれ連続的な磁性材料の層を含み、前記個別のブロックが、前記磁性材料の磁化されたブロックを備える請求項1の磁気記録ディスク。
【請求項5】
前記表面がそれぞれ、前記中心軸を中心とする、磁化可能な材料と磁化不能な材料の保護帯域との複数の同心円データトラックを含み、半径方向に隣接した前記同心円データトラックが前記保護帯域によって分離される請求項1に記載の磁気記録ディスク。
【請求項6】
前記表面がそれぞれ、磁化可能な材料の個別のデータ島の複数の同心円データトラックを含む請求項1に記載の磁気記録ディスク。
【請求項7】
各サーボセクタの前記個別のブロックが、自動利得制御(AGC)フィールド、セクタ識別(SID)フィールド、トラック識別フィールド(TID)、およびサーボ位置誤差信号(PES)フィールドを含む、角度を成して離間したフィールドの形態で配置される請求項1に記載の磁気記録ディスク。
【請求項8】
各サーボセクタの前記個別のブロックが角度を成して離間したフィールドの形態で配置され、前記フィールドが、前記サーボセクタの中心の周りでほぼ対称的である請求項1に記載の磁気記録ディスク。
【請求項9】
前記角度を成して離間したフィールドの第1のものが自動利得制御(AGC)フィールドであり、前記フィールドの第2のものがセクタ識別(SID)フィールドであり、前記フィールドの最後から2番目のものが類似のSIDフィールドであり、前記フィールドの最後のものが類似のAGCフィールドである請求項8に記載の磁気記録ディスク。
【請求項10】
各サーボセクタの前記個別のブロックが、それらが上に形成される表面にほぼ平行に磁化される請求項1に記載の磁気記録ディスク。
【請求項11】
各サーボセクタの前記個別のブロックが、それらが上に形成される表面にほぼ垂直に磁化される請求項1に記載の磁気記録ディスク。
【請求項12】
第1のほぼ平面の表面と、前記第1のほぼ平面の表面と向かい合った第2のほぼ平面の表面と、前記表面に垂直な中心軸とを有する磁気記録ディスクであって、
前記表面それぞれの上にあり、前記中心軸を中心とする、磁性材料の複数のほぼ同心円のデータトラックと、
前記第1のほぼ平面の表面上にあり、前記中心軸の周りで角度を成して離間した線のサーボパターンを形成するとともに、前記データトラックを横切ってほぼ半径方向に延びる複数のサーボセクタであって、前記データトラックに沿って角度を成して離間するとともに、サーボセクタの中心の周りでほぼ対称的なフィールドの形態で配置された、磁性材料の複数の個別のブロックをそれぞれ備えるサーボセクタと、
前記第2のほぼ平面の表面上にあって、前記第1のほぼ平面の表面上の前記サーボパターンと同一のサーボパターンを形成する複数のサーボセクタとを備える磁気記録ディスク。
【請求項13】
前記表面それぞれの上の前記サーボパターンの前記線がそれぞれ、前記中心軸を中心とする半径方向内側および外側の円の間を延びるほぼ弓状の線である請求項12に記載の磁気記録ディスク。
【請求項14】
前記表面それぞれの上の前記サーボパターンの前記線がそれぞれ、前記中心軸を中心とする半径方向内側および外側の円の間を延びる、半径方向にほぼ直線の線である請求項12に記載の磁気記録ディスク。
【請求項15】
前記個別のブロックがそれぞれ前記磁性材料の磁化されたブロックを含む請求項12に記載の磁気記録ディスク。
【請求項16】
半径方向に隣接したデータトラックが磁化不能な材料の保護帯域によって分離される請求項12に記載の磁気記録ディスク。
【請求項17】
各サーボセクタの前記個別のブロックが、自動利得制御(AGC)フィールド、セクタ識別(SID)フィールド、トラック識別フィールド(TID)、およびサーボ位置誤差信号(PES)フィールドを含む、角度を成して離間されたフィールドの形態で配置される請求項12に記載の磁気記録ディスク。
【請求項18】
ほぼ平面の前面と、前記ほぼ平面の前面と向かい合ったほぼ平面の後面と、前記前後面に垂直な回転中心軸とを有する回転可能な磁気記録ディスクであって、(a)前記表面それぞれの上にあり、前記回転中心軸を中心とする、磁性材料の複数のほぼ同心円のデータトラックと、(b)前記前面上にあり、前記回転中心軸の周りで角度を成して離間した線のサーボパターンを形成するとともに、前記データトラックを横切ってほぼ半径方向に延びる複数のサーボセクタであって、前記データトラックに沿って角度を成して離間したフィールドの形態で配置され、磁性材料の複数の別個のブロックをそれぞれ備え、前記フィールドの1つが位置誤差信号(PES)フィールドであるサーボセクタと、(c)前記後面上にあり、前記前面上の前記サーボパターンと同一のサーボパターンを形成する複数のサーボセクタとを備える磁気記録ディスクと、
前記前面上の前記サーボセクタを検出する第1のヘッドと、
前記後面上の前記サーボセクタを検出する第2のヘッドと、
前記ヘッドに接続された、前記ヘッドを異なるデータトラックに対して位置付けるとともに、前記ヘッドを前記データトラック上で維持するアクチュエータと、
前記ヘッドおよび前記アクチュエータに連結され、特定の時間窓の間、前記PESフィールドの検出を可能にするとともに、前記ヘッドによる前記PESフィールドの検出に応答して、アクチュエータ制御信号を生成するプロセッサと、
前記プロセッサに連結され、前記プロセッサが読取り可能な命令プログラムであって、前記ヘッドの半径方向位置を推定し、推定された前記位置からの時間調整を計算し、計算された前記時間調整を使用して前記時間窓を調整することを含む方法動作を行う命令プログラムを含むメモリと、を備える磁気記録ディスクドライブ。
【請求項19】
前記表面それぞれの上にある前記サーボパターンの前記線がそれぞれ、前記回転中心軸を中心とする半径方向内側および外側の円の間を延びるほぼ弓状の線であり、時間調整を計算する前記動作が、前記PESフィールドが前記第2のヘッドによって検出されたときのみ、時間調整を計算する動作を含む請求項18に記載の磁気記録ディスクドライブ。
【請求項20】
前記表面それぞれの上にある前記サーボパターンの前記線がそれぞれ、前記回転中心軸を中心とする半径方向内側および外側の円の間を延びる、半径方向にほぼ直線の線であり、時間調整を計算する前記動作が、前記PESフィールドが前記第1のヘッドによって検出されたとき、および前記PESフィールドが前記第2のヘッドによって検出されたときに、時間調整を計算する動作を含む請求項18の磁気記録ディスクドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−276911(P2008−276911A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87303(P2008−87303)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】