説明

磁気記録媒体及び磁気記録再生装置

【課題】記録要素と凹部との磁気的な差異が両者の境界において明確であり生産効率が良い磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】磁気記録媒体10は、基板12と、基板12の上に所定の凹凸パターンで形成され該凹凸パターンの凸部が記録要素14Aを構成する記録層14と、記録要素14Aの間の凹部16を充填する充填部18と、を有し、凹部16の底面の中央部16Aが凹部の16の底面の端部16Bよりも基板12と反対側に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸パターンで形成された記録層を有する磁気記録媒体及びこれを備えた磁気記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスク等の磁気記録媒体は、記録層を構成する磁性粒子の微細化、材料の変更、ヘッド加工の微細化等の改良により著しい面記録密度の向上が図られており、今後も一層の面記録密度の向上が期待されているが、磁気ヘッドの加工限界、磁気ヘッドの記録磁界の広がりに起因する記録対象のトラックに隣り合うトラックへの誤った情報の記録、再生時のクロストークなどの問題が顕在化し、従来の改良手法による面記録密度の向上は限界にきている。
【0003】
これに対し、一層の面記録密度の向上を実現可能である磁気記録媒体の候補として、記録層が凹凸パターンで形成され、凹凸パターンの凸部が記録要素を構成するディスクリートトラックメディアや、パターンドメディアが提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、ハードディスク等の磁気記録媒体ではヘッド浮上高さを安定させて良好な記録/再生特性を得るために表面の平坦性が重視される。従って、凹凸パターンで形成された記録層の上に充填材料を成膜して記録要素の間の凹部を充填材料で充填し、記録層の上の余剰の充填材料を除去して記録要素及び充填材料の上面を平坦化することが好ましい。
【0004】
充填材料を成膜して凹部を充填する手法としては、スパッタリング法等の真空成膜法を利用できる。余剰の充填材料を除去して表面を平坦化する手法としては、IBE(Ion Beam Etching)等のドライエッチングやCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等の研磨による方法を利用できる。
【0005】
記録対象のトラックに隣り合うトラックへの誤った情報の記録や再生時のクロストークを抑制するためには、記録要素の間の凹部において記録要素同士を完全に分断することが好ましい。例えば、記録要素の間に充分に深い凹部を形成することにより記録要素同士を凹部において完全に分断することが可能である。
【0006】
一方、記録要素の間の凹部が深い程、記録要素の間の凹部を充填するための充填材料を厚く成膜する必要があるので、充填材料を成膜する工程の効率が低下する。
【0007】
又、充填材料は記録層の凹凸パターンに倣って凹凸パターンで形成され、記録要素の間の凹部が深く記録層の凹凸パターンの凹凸の段差が大きい程、成膜された充填材料の上面の凹凸の段差も大きい。記録要素及び充填材料の上面を平坦化する工程では、記録層の上の余剰の充填材料が除去されながら充填材料の上面の凹凸が少しずつ減少するので、記録要素の間の凹部が深く、成膜された充填材料の上面の凹凸の段差が大きい場合、余剰の充填材料が薄いと記録要素及び充填材料の上面を充分に平坦化できない。従って、記録要素の間の凹部が深い程、余剰の充填材料が充分に厚くなるように充填材料を厚く成膜する必要があり、充填材料を成膜する工程の効率がこの点でも低下する。
【0008】
又、記録層の上の余剰の充填材料が厚いと、余剰の充填材料を除去して記録要素及び充填材料の上面を平坦化する工程の効率も低下する。
【0009】
即ち、記録要素の間の凹部が深い程、生産効率が低下するという問題がある。従って、記録要素の間の凹部の底面と記録層の下の層の上面とが一致するように凹部を形成することが好ましいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−97419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、実際には記録要素の間の凹部の底面と記録層の下の層の上面とが一致するように凹部を形成することは困難であり、凹部の底面に記録層が残存することがあった。これにより、記録要素と凹部との磁気的な差異が両者の境界において明確でなく良好な記録/再生特性が得られないことがあった。
【0012】
又、余剰の充填材料が充分に厚くなるように充填材料を厚く成膜してから余剰の充填材料を除去しても記録要素及び充填材料の上面を平坦化できないことがあった。より詳細には、凹部を充填する充填材料の上面の中央部が上面の端部よりも基板側に凹んだ形状になってしまうことがあった。
【0013】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、記録要素と凹部との磁気的な差異が両者の境界において明確であり生産効率が良い磁気記録媒体及びこれを備えた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基板と、該基板の上に所定の凹凸パターンで形成され該凹凸パターンの凸部が記録要素を構成する記録層と、記録要素の間の凹部を充填する充填部と、を有し、凹部の底面の中央部が底面の端部よりも基板と反対側に突出している磁気記録媒体により上記目的を達成したものである。
【0015】
発明者らは、本発明を完成する過程において、余剰の充填材料が充分に厚くなるように充填材料を厚く成膜してから余剰の充填材料を除去しても、凹部を充填する充填材料の上面の中央部が上面の端部よりも基板側に凹んだ形状になってしまう原因について鋭意検討した結果、次のような知見を得た。
【0016】
充填材料は記録層の凹凸パターンに倣って凹凸パターンで形成されるが、充填材料の上面の形状は記録層の凹凸パターンの形状と厳密には一致せず、図23に示される被加工体100のように充填材料17の上面における記録層14の凹凸パターンの角部に相当する部位は記録層の凹凸パターンの角部よりも若干丸みを帯びた形状になる。これにより、充填材料17における記録層14の凹凸パターンの凹部16の底面の端部の上の部分は凹部16の底面の中央部の上の部分よりも厚くなる。記録要素14A及び充填材料17の上面を平坦化する工程では、記録層14の上の余剰の充填材料17が除去されながら充填材料17の上面の凹凸が少しずつ減少する。この際、充填材料17の凸部は凹部よりも選択的に早く除去される傾向があるが、凹部の端部の厚さと凹部の中央部の厚さとの差は減少しにくい。成膜された充填材料17における凹部の端部の厚さと凹部の中央部の厚さとの差が大きいと、記録要素14Aの上の充填材料17が除去された後も両者の差が残存し、図24に示されるように凹部16を充填する充填部18(充填材料17)の上面の中央部が上面の端部よりも基板側に凹んだ形状になってしまうと考えられる。尚、凹部の幅が大きい程、凹部16を充填する充填部18の上面の中央部と上面の端部との高さの差が大きい傾向がある。
【0017】
これに対し、上記の磁気記録媒体は、記録要素の間の凹部の底面の中央部が底面の端部よりも基板と反対側に突出しているので、凹部の底面が平坦な場合よりも凹部を充填する充填部の上面の中央部と上面の端部との高さの差が小さく抑制される。従って、記録要素及び充填材料の上面を平坦化する工程において、充填材料の上面における記録要素の間の凹部の端部の上の部分と凹部の中央部の上の部分との高さの差を充分に減少させることができる。
【0018】
又、上記の磁気記録媒体は、記録要素の間の凹部の底面の中央部よりも底面の端部が基板側に凹んでいるので、記録要素と凹部との磁気的な差異が両者の境界において明確である。
【0019】
例えば、記録要素の間の凹部の底面と記録層の下の層の上面とが一致するように凹部を形成した場合に、仮に凹部の底面に記録層が部分的に残存したとしても、記録層は凹部の底面の中央部に残存し、端部には残存しないので、記録要素と凹部との磁気的な差異が両者の境界において明確である。
【0020】
又、凹部の底面の全体に記録層が残存する場合も、凹部に存在する記録層の厚さは凹部の底面の端部において凹部の底面の中央部におけるよりも薄いので、凹部に存在する記録層の厚さが一定の場合よりも、記録要素と凹部との磁気的な差異が両者の境界において明確である。
【0021】
即ち、次のような本発明により、上記目的を達成することができる。
【0022】
(1)基板と、該基板の上に所定の凹凸パターンで形成され該凹凸パターンの凸部が記録要素を構成する記録層と、前記記録要素の間の凹部を充填する充填部と、を有し、前記凹部の底面の中央部が前記凹部の前記底面の端部よりも前記基板と反対側に突出していることを特徴とする磁気記録媒体。
【0023】
(2) (1)において、前記凹部の前記底面は前記基板と反対側に突出する円弧状の断面形状を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【0024】
(3) (1)又は(2)において、前記記録層の下面が前記凹部の前記底面の少なくとも前記端部において分断されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【0025】
(4) (3)において、前記記録層と前記基板との間に配置され前記記録層の下面に接する下地層を更に備え、前記下地層の下面が連続していることを特徴とする磁気記録媒体。
【0026】
(5) (4)において、前記凹部において前記下地層が前記記録層から露出しており、且つ、前記下地層における前記記録要素の下の部分の厚さと前記下地層における前記凹部の前記中央部の下の部分の厚さとがほぼ等しいことを特徴とする磁気記録媒体。
【0027】
(6) (1)乃至(5)のいずれかに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対して磁気信号の記録/再生を行うための磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0028】
尚、本出願において「凹凸パターンで形成され該凹凸パターンの凸部が記録要素を構成する記録層」とは、連続記録層が所定のパターンで分割され記録要素を構成する凸部が相互に完全に分離した記録層の他、データ領域では相互に分離した凸部同士がデータ領域とサーボ領域との境界付近等では連続している記録層、又、例えば螺旋状の渦巻き形状の記録層のように基板の上の一部に連続して形成される記録層、凹凸パターンの下の層の凸部の上面と凹部の底面とに分離されて形成され凸部の上面に形成された部分が記録要素を構成する記録層、凹部が記録層の上面と下面の間の位置まで形成されて底部において連続した記録層、凹凸パターンの下の層に倣って凹凸パターンで成膜された連続膜の記録層も含む意義で用いることとする。
【0029】
又、本出願において「凹部の底面」とは、記録要素の間の凹部を充填する充填部の下面に接する層の上面という意義で用いることとする。例えば、記録層の上面と下面の間の位置まで凹部が形成され凹部の下にも記録層が存在している場合、記録要素の間の凹部に存在する記録層の上面が凹部の底面である。又、記録層の下に配置された配向層や軟磁性層まで凹部が形成され凹部に記録層が存在しない場合、凹部を充填する充填部の下面に接する配向層や軟磁性層の上面が凹部の底面である。又、記録要素の間の凹部の一部に記録層が存在している場合、凹部を充填する充填部の下面に接する記録層の上面と配向層及び/又は軟磁性層の上面が凹部の底面である。尚、充填部が複数の層又は要素から構成される場合、「凹部の底面」は、充填部における最も基板側に存在する層又は最も基板側に存在する部分の下面に接する層の上面という意義で用いることとする。
【0030】
又、本出願において「凹部の底面の端部」とは、凹部の底面における記録要素と凹部との境界に沿う部分という意義で用いることとする。
【0031】
又、本出願において「記録層の下面」とは、記録層における基板側の面という意義で用いることとする。「下地層の下面」、「充填部の下面」についても同様である。
【0032】
又、本出願において「磁気記録媒体」という用語は、情報の記録、読み取りに磁気のみを用いるハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ等に限定されず、磁気と光を併用するMO(Magneto Optical)等の光磁気記録媒体、磁気と熱を併用する熱アシスト型の記録媒体も含む意義で用いることとする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、記録要素と凹部との磁気的な差異が両者の境界において明確であり生産効率が良い磁気記録媒体及びこれを備えた磁気記録再生装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す斜視図
【図2】同磁気記録再生装置に備えられた磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図
【図3】同磁気記録媒体の凹部の構造を拡大して示す側断面図
【図4】同磁気記録媒体の製造工程の概要を示すフローチャート
【図5】同製造工程において原盤を作製するための被加工体の出発体の構造を模式的に示す側断面図
【図6】レジスト層及びマスク層が凹凸パターンに加工された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図7】同被加工体を加工して得られた原盤の形状を模式的に示す側断面図
【図8】同原盤の凹部の構造を拡大して示す側断面図
【図9】同原盤に基づいて得られた樹脂スタンパの形状を模式的に示す側断面図
【図10】前記製造工程において磁気記録媒体を作製するための被加工体の出発体の構造を模式的に示す側断面図
【図11】前記樹脂スタンパにより凹凸パターンの樹脂層が形成された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図12】樹脂層及び第2マスク層が凹凸パターンに加工された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図13】第1マスク層が凹凸パターンに加工された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図14】記録層が凹凸パターンに加工された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図15】同記録層の上に充填材料が成膜された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図16】余剰の充填材料が除去された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図17】本発明の第2実施形態に係る磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図
【図18】同磁気記録媒体の凹部の構造を拡大して示す側断面図
【図19】本発明の第3実施形態に係る磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図
【図20】同磁気記録媒体の凹部の構造を拡大して示す側断面図
【図21】本発明の第4実施形態に係る磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図
【図22】同磁気記録媒体の凹部の構造を拡大して示す側断面図
【図23】比較例に係る記録層の上に充填材料が成膜された被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図24】余剰の充填材料が除去された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置2は、磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10に対して磁気信号の記録/再生を行うために磁気記録媒体10の表面に近接して浮上可能であるように設置された磁気ヘッド4と、を備えている。
【0037】
尚、磁気記録媒体10は中心孔10Aを有し、中心孔10Aにおいてチャック6に固定され、該チャック6と共に回転自在とされている。又、磁気ヘッド4は、アーム8の先端近傍に装着され、アーム8はベース9に回動自在に取付けられている。これにより、磁気ヘッド4は磁気記録媒体10の表面に近接して磁気記録媒体10の径方向に沿う円弧軌道で可動とされている。
【0038】
磁気記録媒体10は垂直記録型のディスクリートトラックメディアであり、図2及び3に示されるように、基板12と、基板12の上に所定の凹凸パターンで形成され該凹凸パターンの凸部が記録要素14Aを構成する記録層14と、記録要素14Aの間の凹部16を充填する充填部18と、を有し、凹部16の底面の中央部16Aが凹部16の底面の端部16Bよりも基板12と反対側に突出していることを特徴としている。他の構成については本第1実施形態の理解のために重要とは思われないため説明を適宜省略する。
【0039】
磁気記録媒体10は、軟磁性層24、配向層(下地層)26、記録層14、保護層28、潤滑層30を備え、これらの層がこの順で前記基板12の上に形成されている。
【0040】
基板12は、中心孔を有する略円板形状である。基板12の材料としてはガラス、Al、Al等を用いることができる。
【0041】
記録層14は、厚さが5〜30nmである。記録層14の材料としてはCoCrPt合金等のCoPt系合金、FePt系合金、これらの積層体、SiO等の酸化物系材料のマトリックス中にCoCrPt等の強磁性粒子を含ませた材料等を用いることができる。記録層14の凸部である記録要素14Aは、データ領域において径方向に微細な間隔で分離された多数の同心の円弧形状で形成されており、図2及び3はこれを示している。データ領域における記録要素14Aの上面の径方向の幅は10〜100nmである。又、記録要素14Aの上面のレベルにおける凹部16の径方向の幅は10〜100nmである。尚、記録要素14Aはサーボ領域において、所定のサーボパターンで形成されている(図示省略)。本第1実施形態では記録層14は凹凸パターンの凸部である記録要素14Aの部分だけに形成されており凹部16に記録層14は形成されていない。即ち、記録層14の下面は凹部16において分断されている。
【0042】
充填部18の材料としては、SiO、Al、TiO、MgO、ZrO、フェライト等の酸化物、AlN等の窒化物、SiC等の炭化物、Si、C(炭素)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、CuやCrのような非磁性の金属、樹脂材料等を用いることができる。本第1実施形態において充填部18の(中央部の)上面のレベルと記録要素14Aの上面のレベルとはほぼ一致している。
【0043】
軟磁性層24は、厚さが50〜300nmである。軟磁性層24の材料としてはFe合金、Co合金等を用いることができる。
【0044】
配向層26は、厚さが2〜40nmである。配向層26の材料としては非磁性のCoCr合金、Ti、Ru、RuとTaの積層体、MgO等を用いることができる。配向層26は、記録層14の下面に接する下地層を構成している。本第1実施形態では、凹部16は配向層26まで形成され、凹部16において配向層26は記録層14から露出しており充填部18の下面に接している。従って、本第1実施形態では、配向層26における凹部16に相当する部分の上面が凹部16の底面である。凹部16の底面は基板12と反対側に突出する円弧状の断面形状を有している。又、配向層26の下面は凹部16で分断されず連続している。配向層26における記録要素14Aの下の部分の厚さと配向層26における凹部16の中央部の下の部分の厚さとはほぼ等しい。
【0045】
保護層28は、厚さが1〜5nmである。保護層28の材料としてはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を用いることができる。
【0046】
潤滑層30は、厚さが1〜2nmである。潤滑層30の材料としてはPFPE(パーフロロポリエーテル)を用いることができる。
【0047】
次に、磁気記録媒体10の作用について説明する。
【0048】
磁気記録媒体10は、凹部16の底面の中央部16Aが底面の端部16Bよりも基板12と反対側に突出しているので、後述するように凹部16に充填材料を充填する工程において、凹部16を充填する充填材料の上面における凹部16の中央部16Aの上の部分と凹部16の端部16Bの上の部分との高さの差を小さく抑制することができる。従って、平坦化が容易である。
【0049】
又、磁気記録媒体10は、凹部16の底面の中央部16Aよりも底面の端部16Bが基板12側に凹んでいるので、記録層14の凸部である記録要素14Aと凹部16との磁気的な差異が両者の境界において明確である。
【0050】
例えば、本第1実施形態では記録層14は凹凸パターンの凸部である記録要素14Aの部分だけに形成されており凹部16に記録層14は形成されていないが、製造時のばらつき等により凹部16の底面に記録層14が部分的に残存することもある。このように、仮に凹部16の底面に記録層14が部分的に残存したとしても、記録層14は凹部16の底面の中央部16Aに残存し、凹部16の底面の端部16Bには残存しないので、記録要素14Aと凹部16との磁気的な差異が両者の境界において明確である。
【0051】
次に、磁気記録媒体10の製造方法について図4に示されるフローチャートに沿って説明する。
【0052】
まず記録層14の凹凸パターンに相当する凹凸パターンを有する原盤を作製する(S102:原盤作製工程)。具体的には、図5に示されるような被加工体40の出発体を用意する。被加工体40の出発体は、基板42、マスク層44、レジスト層46を備え、これらがこの順で積層された構成である。基板42は、厚さが例えば0.6〜3mmである。基板42の材料としては例えばSi、SiOやガラス状カーボンを用いることができる。マスク層44は、厚さが例えば2〜10nmである。マスク層44の材料としては例えばNi、CrやTiを用いることができる。レジスト層46は、厚さが例えば50〜100nmである。レジスト層46の材料としては例えば電子線レジスト、X線レジスト等のフォトレジストを用いることができる。露光及び現像によりレジスト層46を記録層14の凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工する。更に、この凹凸パターンのレジスト層46に基づいて例えばArガスを用いたIBE(Ion Beam Etching)又はRIE(Reactive Ion Etching)によりマスク層44をエッチングする。これにより図6に示されるようにマスク層44も記録層14の凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工される。尚、本出願において「IBE」という用語は、例えばイオンミリング等の、イオン化したガスを被加工体に照射して加工対象物を除去する加工方法の総称という意義で用いることとする。又、本出願では、希ガスのように加工対象物と化学的に反応しないガスを用いる場合でも、RIE装置を用いてエッチングを行う場合には「RIE」という用語を用いることとする。次に、マスク層44の上に残存するレジスト層46を例えばOガスを用いたRIEにより除去する。更に、この凹凸パターンのマスク層44に基づいて例えばCF等のハロゲンガス又はハロゲンガスとOガスとの混合ガスを用いたRIEにより基板42をエッチングする。基板42に形成される凹凸の段差が30〜60nmになるように基板42の厚さ方向の途中の位置でエッチングを停止する。これにより基板42が記録層14の凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工される。この際、エッチング条件を調整することにより、図7及び8に示されるように基板42に形成される凹部の底面の中央部が凹部の底面の端部よりも突出した形状に加工される。例えば、チャンバ内の圧力を一般的な圧力よりも高め(一例を示すと1Pa程度又はこれよりも高い値)に設定することにより、基板42に形成される凹部の底面の中央部が凹部の底面の端部よりも突出した形状に加工される。尚、このように基板42に形成される凹部の底面の中央部が凹部の底面の端部よりも突出した形状に加工される理由としては以下のような理由が考えられる。チャンバ内の圧力が高い程、加工用ガスの平均自由行程の距離が延びなくなり加工用ガスの直進性が悪化するため、凹部の側面がテーパ形状に加工されやすくなる。この場合、加工用ガスの一部は凹部の側面に衝突して凹部の底部の端部に集中し、凹部の底面の中央部のエッチング量よりも凹部の底面の端部のエッチング量が大きくなると考えられる。尚、このようなエッチングでは一般的には凹部の底面が平坦になるようなエッチング条件が設定され、上述の一般的な圧力とは、そのような場合に設定されるチャンバ内の圧力である。更に、被加工体40をアミド硫酸等の酸性溶液中に浸漬することにより基板42の凸部の上に残存するマスク層44が除去され、図7及び8に示されるような原盤48が得られる。
【0053】
次に、メタルマスタを作製する(S104:メタルマスタ作製工程)。具体的には、原盤48の凹凸パターンの表面に蒸着法、スパッタリング法、化学メッキ法等によりNiの導電膜を成膜する。更に、電解メッキ法により導電膜の上にNiの電解メッキ層を形成する。これら導電膜及び電解メッキ層を一体で原盤48から剥離することによりメタルマスタ(図示省略)が得られる。メタルマスタには原盤48の凹凸パターンと凹凸関係が逆の凹凸パターンが形成される。
【0054】
次に、メタルマザーを作製する(S106:メタルマザー作製工程)。具体的には、メタルマスタの凹凸パターンの表面に、電解メッキ法によりNiの電解メッキ層を形成する。この電解メッキ層をメタルマスタから剥離し、所定のサイズに打ち抜く。更に、凹凸パターンが形成された面の反対の裏面を研磨することによりメタルマザー(図示省略)が得られる。メタルマザーには原盤48の凹凸パターンと凹凸関係が等しい凹凸パターンが形成される。尚、メタルマザーから更に2回又は4回以上の偶数回、電解メッキ法による転写を繰り返し、原盤48の凹凸パターンと凹凸関係が等しい凹凸パターンを有するメタルスタンパ(図示省略)を作製してもよい。
【0055】
次に、樹脂スタンパを作製する(S108:樹脂スタンパ作製工程)。具体的には、メタルマザー、又は原盤48の凹凸パターンと凹凸関係が等しい凹凸パターンを有するメタルスタンパを金型内に設置し、射出成形により図9に示されるような樹脂スタンパ50を作製する。樹脂スタンパ50には原盤48の凹凸パターンと凹凸関係が逆の凹凸パターンが形成される。従って、樹脂スタンパ50の凸部の上面の中央部は上面の端部よりも凹んだ形状である。又、樹脂スタンパ50は紫外線及び又は可視光線が透過可能な透光性を有している。
【0056】
次に、図10に示されるような被加工体60の出発体を用意する(S110:被加工体の出発体用意工程)。被加工体60の出発体は基板12の上に、軟磁性層24、配向層26、(凹凸パターンに加工される前の連続膜の)記録層14、第1マスク層62、第2マスク層64をこの順でスパッタリング法等により成膜することにより得られる。
【0057】
第1マスク層62は、厚さが3〜50nmである。第1マスク層62の材料としては、DLCのようなC(炭素)が主成分である材料を用いることができる。第2マスク層64は、厚さが3〜30nmである。第2マスク層64の材料としては、Ni等を用いることができる。
【0058】
次に、図11に示されるように、被加工体60の第2マスク層64の上に樹脂層66を形成する(S112:樹脂層形成工程)。具体的には、スピンコート法により被加工体60の第2マスク層64の上に樹脂材料を塗布し、更に樹脂スタンパ50を用いてインプリント法により樹脂材料に記録層14の凹凸パターンに相当する凹凸パターンを転写する。インプリント法としては、紫外線等による光インプリント、熱インプリント等を用いることができる。光インプリントの場合、樹脂層66の材料としては紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。又、光インプリントの場合、樹脂スタンパ50を介して樹脂材料に紫外線及び又は可視光線を照射して樹脂材料を硬化させる。又、熱インプリントの場合、樹脂層66の材料としては熱可塑性樹脂等を用いることができる。尚、熱インプリントの場合は、メタルスタンパをインプリント時のスタンパとして用いることもできる。樹脂層66の厚さ(凸部の厚さ)は、例えば、10〜300nmである。樹脂層66に形成される凹部の底面は中央部が底面の端部よりも突出した形状となる。
【0059】
次に、凹凸パターンの樹脂層66に基づいて記録層14を凹凸パターンに加工する(S114:記録層加工工程)。具体的には、Arガス等の希ガスを用いたIBE又はRIEにより、凹部底部の樹脂層66及び第2マスク層64を除去する。凹部に第1マスク層62を露出させた時点でエッチングを停止する。図12に示されるように凹部における第1マスク層62の上面は中央部が端部よりも突出した形状となる。尚、この時点で凸部には樹脂層66及び第2マスク層64が残存している。次に、Oガスを用いたIBE又はRIEにより、凸部の樹脂層66及び第2マスク層64に基づいて第1マスク層62をエッチングする。図13に示されるように凹部の端部においてエッチングが記録層14の上面まで到達した時点で第1マスク層62のエッチングを停止する。尚、この時点で凸部の樹脂層66は完全に消失し、凸部の第2マスク層64は厚さ方向の一部が残存する。又、凹部の底面には第1マスク層62が残存するが、凹部の底面の端部では第1マスク層62は概ね消失している。又、凹部における第1マスク層62の上面は中央部が端部よりも突出した形状となる。次に、Arガス等の希ガスを用いたIBE又はRIEにより、第1マスク層62に基づいて記録層14をエッチングする。凹部における第1マスク層62の上面(凹部の底面)の中央部は上面の端部よりも突出した形状であり、凹部の底面の端部では第1マスク層62は概ね消失しているので、凹部の底面の端部において凹部の底面の他の部分よりも先に記録層14のエッチングが始まる。凹部の記録層14を除去し、凹部において配向層26が記録層14からほぼ完全に露出した時点で記録層14のエッチングを停止する。これにより図14に示されるように、記録層14が多数の記録要素14Aに分割される。尚、この時点で記録要素14Aの上の第2マスク層64は完全に消失するが第1マスク層62は残存する。記録要素14Aの間の凹部16における配向層26の上面(凹部の底面)は中央部16Aが端部16Bよりも突出した形状となる。配向層26における凹部16の中央部の上面のレベルと記録要素14Aの下面のレベルとが一致していることが好ましい。言い換えれば、配向層(下地層)26における記録要素14Aの下の部分の厚さと配向層(下地層)26における凹部16の中央部の下の部分の厚さとがほぼ等しいことが好ましい。尚、配向層26における凹部16の中央部の上面のレベルと記録要素14Aの下面のレベルとが一致するように凹部16を形成した場合に、仮に凹部16の底面に記録層14が部分的に残存したとしても、記録層14は凹部16の底面の中央部16Aに残存し、凹部16の底面の端部16Bには残存しないので、この場合も記録要素14Aと凹部16との磁気的な差異が両者の境界において明確である。
【0060】
次に、図15に示されるようにスパッタリング法、蒸着法、気相成長法等の真空成膜法により、凹凸パターンの記録層14を有する被加工体60の上にSiO等の充填材料17を成膜し、記録要素14Aの間の凹部16に充填材料17で構成され凹部16を充填する充填部18を形成する(S116:充填材料成膜工程)。充填材料17は、記録層14の凹凸パターンに倣って記録層14及び第1マスク層62を覆うように記録要素14Aの上の第1マスク層62の上にも成膜される。一方、凹部16においては凹部16の底面の中央部16Aが底面の端部16Bよりも基板12と反対側に突出しているので、凹部16の底面が平坦な場合よりも、成膜される充填材料17の上面における凹部16の底面の端部16Bの上の部分と凹部16の底面の中央部16Aの上の部分との高さの差が小さく抑制される。尚、充填材料17の表面の凹凸の段差を抑制するためには被加工体にバイアス電圧を印加して充填材料17を成膜することが好ましい。
【0061】
次に、図16に示されるように、Arガス等の希ガスを用いたIBE又はRIEにより、余剰の充填材料17を除去し、記録要素14Aの上面及び充填部18の上面を平坦化する(S118:平坦化工程)。尚、本第1実施形態において「余剰の充填材料17」とは、充填材料17における記録層14の上面のレベルよりも上側(基板12と反対側)に存在する部分という意義で用いることとする。ドライエッチング法は、凸部を凹部よりも選択的に速く除去する傾向があり、特にIBEやRIEは凸部を凹部よりも選択的に速く除去する傾向が強い。従って、記録要素14Aの上の充填材料17を効率良く除去できる。この工程では加工用ガスの照射角を例えば被加工体60の表面に対して90°に設定する。尚、本出願において「加工用ガスの照射角」とは、加工用ガスの主たる進行方向と被加工体の表面とがなす角という意味で用いる。例えば、加工用ガスの主たる進行方向が被加工体の表面と平行である場合、照射角は0°であり、加工用ガスの主たる進行方向が被加工体の表面と垂直である場合、照射角は90°である。このように加工用ガスの照射角を大きく設定することでエッチングレートが高くなり、生産効率の向上に寄与する。又、RIEはIBEよりも加工用ガスの直進性が低く、加工用ガスの照射角を被加工体60の表面に対して垂直な90°に設定しても、一部の粒子は被加工体60の表面に対して傾斜した方向で被加工体60に照射される。従って、凸部が凹部よりも速くエッチングされやすくなり、記録要素14Aの上の第1マスク層62が充填材料17から露出しやすくなる。尚、加工用ガスの照射角は90°よりも小さな角度に設定してもよい。このようにすることで、凸部を凹部よりも速く除去する傾向が強くなるので、第1マスク層62の側面に成膜された充填材料に対するエッチングレートが相対的に高くなり、第1マスク層62の側面が露出しやすくなる。凹部16を充填する充填部18の上面のレベルと記録要素14Aの上面のレベルとがほぼ一致した時点で充填材料17のエッチングを停止する。次に、Nガス、NHガス、Oガス等を用いたIBE又はRIEにより、記録要素14Aの上の第1マスク層62を除去する。これにより記録要素14Aの上面及び充填部18の上面が平坦化される。尚、記録要素14Aの表面の変質層を除去する目的等で、Arガスを用いたIBEで被加工体60の表面をさらにエッチングしてもよい。
【0062】
次に、CVD法により記録要素14A及び充填部18の上に保護層28を形成する(S120:保護層成膜工程)。更に、ディッピング法により保護層28の上に潤滑層30を塗布する(S122:潤滑層成膜工程)。これにより、前記図2及び3に示される磁気記録媒体10が完成する。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。前記第1実施形態に係る磁気記録媒体10は、記録層14が凹凸パターンの凸部である記録要素14Aの部分だけに形成されており凹部16に記録層14は形成されていないのに対し、図17及び18に示されるように、本第2実施形態に係る磁気記録媒体70は、凹部16にも記録層14が部分的に形成されている。より詳細には、記録層14は凹部16において底面の中央部16Aに形成されており、凹部16の底面の端部16Bには記録層14は存在しない。他の構成については前記第1実施形態に係る磁気記録媒体10と同様であるので、同様の構成については図1〜16と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0064】
このように凹部16に記録層14が部分的に形成されている場合も、記録層14は凹部16の底面の中央部16Aに存在し、端部16Bには存在しないので、記録要素14Aと凹部16との磁気的な差異が両者の境界において明確である。又、この場合も、凹部16に充填材料17を成膜する工程において、凹部16を充填する充填材料17の上面における凹部16の中央部の上の部分と上面の端部の上の部分との高さの差を抑制できるので、平坦化が容易である。
【0065】
記録層加工工程(S114)において、第1マスク層62に基づいて記録層14をエッチングする際に、凹部の端部においてのみ配向層26を露出させた時点でエッチングを停止することにより本第2実施形態に係る磁気記録媒体70を製造することができる。尚、エッチングのばらつき等により凹部16の底面の端部にも記録層14が残存する可能性があるが、この場合も記録層14の厚さは凹部16の底面の中央部16Aにおけるよりも端部16Bにおいて薄いので、記録要素14Aと凹部16との磁気的な差異を両者の境界において明確にする一定の効果が得られる。
【0066】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。前記第2実施形態に係る磁気記録媒体80は、凹部16に記録層14が部分的に形成されているのに対し、図19及び20に示されるように、本第3実施形態に係る磁気記録媒体80は、凹部16の底面の全体に記録層14が形成され記録層14の下面が連続している。尚、記録層14の厚さは凹部16の底面の端部16Bにおいて底面の中央部16Aにおけるよりも薄い。他の構成については前記第1及び第2実施形態に係る磁気記録媒体10、70と同様であるので、同様の構成については図1〜18と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0067】
このように凹部16の底面の全体に記録層14が形成される場合も、記録層14の厚さは凹部16の底面の端部16Bにおいて底面の中央部16Aにおけるよりも薄いので、記録要素14Aと凹部16との磁気的な差異を両者の境界において明確にする一定の効果が得られる。尚、記録層14における凹部16の底面に形成された部分が磁気記録媒体10の磁気特性に実質的に影響しない場合がある。又、記録層14における凹部16の底面に形成された部分が非磁性に近い性質に変化するように記録層14を処理することも可能である。例えば、凹部16の底面を反応性ガスにさらして凹部16の底面の記録層を変質させたり、凹部16の底面にイオン注入を行って凹部16の底面の記録層を変質させたりすることができる。このような場合も、凹部16に充填材料17を成膜する工程において、凹部16を充填する充填材料17の上面における凹部16の中央部の上の部分と上面の端部の上の部分との高さの差を抑制できるので、平坦化が容易であるという利点がある。
【0068】
記録層加工工程(S114)において、第1マスク層62に基づいて記録層14をエッチングする際に、凹部の端部において配向層26が露出する前にエッチングを停止することにより本第3実施形態に係る磁気記録媒体80を製造することができる。
【0069】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。前記第1〜第3実施形態に係る磁気記録媒体10、70、80は、記録要素14Aの上面のレベルと凹部16を充填する充填部18の上面のレベルとがほぼ一致しているのに対し、図21及び22に示されるように、本第4実施形態に係る磁気記録媒体90は、充填部18の上面のレベルが記録要素14Aの上面のレベルよりも低い。
【0070】
磁気ヘッド4の浮上高さを安定させるためには磁気記録媒体10の表面が平坦であることが好ましいが、磁気記録媒体10の回転速度やトラックピッチの大きさやヘッドスライダ等の条件により、記録要素14Aの上の表面と凹部16の上の表面との間にある程度の凹凸の段差が存在しても磁気ヘッド4の安定した浮上高さが得られることがある。このような場合、本第4実施形態のように記録要素14Aの上面のレベルよりも充填部18の上面のレベルが低い構成としてもよい。尚、図21及び22は前記第1実施形態のように凹部16に記録層14が存在しない構成を図示しているが、前記第2又は第3実施形態のように、凹部16に記録層14が存在する場合も、磁気ヘッド4の安定した浮上高さが得られれば、充填部18の上面のレベルが記録要素14Aの上面のレベルよりも低い構成としてもよい。
【0071】
充填材料成膜工程(S116)において充填材料17が凹部16を完全に充填する前に(成膜された充填材料17における凹部16に形成された部分の上面が記録要素14Aの上面よりも低い状態で)充填材料17の成膜を停止することにより本第4実施形態に係る磁気記録媒体90を製造することができる。又、平坦化工程(S118)において凹部16を充填する充填部18の上面のレベルが記録要素14Aの上面のレベルよりも低くなるまで充填材料17のエッチングを継続することで本第4実施形態に係る磁気記録媒体90を製造することもできる。又、これらの手法を組み合わせて本第4実施形態に係る磁気記録媒体90を製造することもできる。尚、充填材料成膜工程(S116)において充填材料17が凹部16を完全に充填する前に(成膜された充填材料17における凹部16に形成された部分の上面が記録要素14Aの上面よりも低い状態で)充填材料17の成膜を停止する場合、平坦化工程(S118)においてCMP法等の研磨による方法を用いて記録要素14Aの上の余剰の充填材料17を除去してもよい。
【0072】
本第4実施形態のように充填部18の上面のレベルが記録要素14Aの上面のレベルよりも低い場合も、凹部16の底面の中央部16Aが底面の端部16Bよりも基板12と反対側に突出しているので、凹部16に充填材料17を成膜する工程において、凹部16を充填する充填材料17の上面における凹部16の中央部の上の部分と上面の端部の上の部分との高さの差を抑制でき、平坦化が容易である。従って、充填部18の上面における凹部16の端部の上の部分と凹部16の中央部の上の部分との高さの差を充分に減少させることができ、凹部16の上の表面が平坦に近い形状である。これにより、磁気ヘッド14と磁気記録媒体10との間の空気膜剛性が高くなるので磁気ヘッドの浮上高さを安定させる一定の効果が得られる。
【0073】
尚、前記第1〜第4実施形態において、原盤作製工程(S102)において基板40をエッチングする際に真空チャンバの圧力等のエッチング条件を調整することで凹部の底面の中央部が底面の端部よりも突出した形状の原盤48を作製し、この原盤48に基づいて凹部16の底面の中央部16Aが底面の端部16Bよりも突出した形状の磁気記録媒体10、70、80、90を製造しているが、凹部の底面が平坦な原盤を作製し、記録層加工工程(S114)において記録層14をエッチングする際に真空チャンバの圧力等のエッチング条件を調整することで凹部16の底面の中央部16Aが底面の端部16Bよりも突出した形状の磁気記録媒体10、70、80、90を製造してもよい。尚、記録層14のエッチング法としてCOガスとNHガスとの混合ガスやハロゲンガスを用いたRIEを用いてもよい。
【0074】
又、前記第1〜第4実施形態において、第1マスク層62、第2マスク層64、樹脂層66を連続膜の記録層14の上に形成し、3段階のドライエッチングで記録層14を凹凸パターンに分割しているが、記録層14を高精度で加工できれば、マスク層、樹脂層の材料、積層数、厚さ、ドライエッチングの種類等は特に限定されない。
【0075】
又、前記第1〜第4実施形態において、記録層14の下に軟磁性層24、配向層26が形成されているが、記録層14の下の層の構成は、磁気記録媒体の種類に応じて適宜変更すればよい。例えば、軟磁性層24と基板12との間に(配向層ではない)下地層や反強磁性層を形成してもよい。又、軟磁性層24、配向層26の一方又は両方を省略してもよい。又、基板上に記録層を直接形成してもよい。
【0076】
又、前記第1〜第4実施形態において、磁気記録媒体10、70、80、90は記録層14がデータ領域においてトラックの形状に相当する凹凸パターンで形成された垂直記録型のディスクリートトラックメディアであるが、トラックの径方向及び周方向の両方向に微細な間隔で分割された形状の記録層を有するパターンドメディア、渦巻き形状の記録層を有する磁気ディスク、凹凸パターンの下の層の凸部の上面と凹部の底面とに分離して形成され凸部の上面に形成された部分が記録要素である記録層を有する磁気ディスク、凹凸パターンの下の層に倣って凹凸パターンで成膜された連続膜の凹凸パターンの記録層を有する磁気ディスクにも本発明は適用可能である。又、面内記録型の磁気ディスクにも本発明は当然適用可能である。又、基板の両面に記録層等が形成された両面記録式の磁気記録媒体にも本発明は適用可能である。又、MO等の光磁気ディスク、磁気と熱を併用する熱アシスト型の磁気ディスク、更に、磁気テープ等ディスク形状以外の他の凹凸パターンの記録層を有する磁気記録媒体にも本発明を適用可能である。
【実施例】
【0077】
前記第1実施形態のとおり磁気記録媒体10の3枚のサンプルを作製した。
【0078】
具体的には、原盤作製工程(S102)において、次の条件で原盤48を作製した。
【0079】
基板42の厚さ:2mm
基板42の材料:Si
マスク層44の厚さ:7nm
マスク層44の材料:Ni
レジスト層46の厚さ:60nm
レジスト層46の材料:ポジ型電子線レジスト
(マスク層44のエッチング条件)
エッチング法:IBE
加工用ガス:Ar
Arガス流量:11sccm
チャンバ内圧力:0.03Pa
ソースパワー(プラズマソース電力):400W
ビーム電圧:500V
ビーム電流:500mA
サプレッサー電圧:−400V
イオンビームの照射角:90°
加工時間:40秒
(レジスト層46を除去するエッチングの条件)
エッチング法:RIE
加工用ガス:O
ガス流量:50sccm
チャンバ内圧力:1.0Pa
ソースパワー(プラズマソース電力):1000W
バイアスパワー(被加工体40に印加された電力):20W
加工時間:35秒
尚、最初の15秒間のみバイアスパワーを印加し、残りの20秒間はバイアスパワーを印加しなかった。
(基板42のエッチング条件)
エッチング法:RIE
加工用ガス:CF+O
CFガス流量:45sccm
ガス流量:5sccm
チャンバ内圧力:1.0Pa
ソースパワー(プラズマソース電力):500W
バイアスパワー(被加工体40に印加された電力):20W
基板温度:20℃
加工時間:12秒
(マスク層44を除去するエッチングの条件)
エッチング法:ウェットエッチング
エッチング液:アミド硫酸(3wt%)
【0080】
原盤48の凹部の底面の中央部は底面の端部よりも突出していた。この原盤48に基づいてメタルマスタ作製工程(S104)、メタルマザー作製工程(S106)、樹脂スタンパ作製工程(S108)を実行し、樹脂スタンパ50を得た。
【0081】
次に被加工体の出発体用意工程(S110)を実行し、次のような構成の被加工体60の出発体を用意した。
【0082】
記録層14の厚さ:20nm
記録層14の材料:CoCrPt合金
配向層26の厚さ:20nm
配向層26の材料:Ru
第1マスク層62の厚さ:30nm
第1マスク層62の材料:DLC
第2マスク層64の厚さ:4nm
第2マスク層64の材料:Ni
【0083】
次に樹脂層形成工程(S112)を実行し、次のような条件で樹脂層66を形成した。
【0084】
インプリント法:光(紫外線)インプリント
樹脂層66の厚さ(塗布厚さ):35nm
樹脂層66の材料:紫外線硬化性樹脂
樹脂層66の凹部の底面の中央部は底面の端部よりも突出していた。
【0085】
次に記録層加工工程(S114)を実行し、次のような条件で記録層14を凹凸パターンに加工した。
【0086】
(樹脂層66及び第2マスク層64のエッチング条件)
エッチング法:IBE
加工用ガス:Ar
Arガス流量:5sccm
チャンバ内圧力:0.003Pa
ソースパワー(プラズマソース電力):200W
ビーム電圧:1000V
ビーム電流:100mA
サプレッサー電圧:−500V
イオンビームの照射角:90°
加工時間:18秒
【0087】
凹部底部の樹脂層66及び第2マスク層64を除去し、凹部に第1マスク層62を露出させた時点でエッチングを停止した。図12に示されるように凹部における第1マスク層62の上面(凹部の底面)は中央部が端部よりも突出した形状であった。
【0088】
(第1マスク層62のエッチング条件)
エッチング法:IBE
加工用ガス:O
ガス流量:20sccm
チャンバ内圧力:0.035Pa
ビーム電圧:500V
ビーム電流:70mA
サプレッサー電圧:−500V
イオンビームの照射角:90°
加工時間:40秒
【0089】
図13に示されるように凹部の端部においてエッチングが記録層14の上面まで到達した時点で第1マスク層62のエッチングを停止した。凹部の底部には第1マスク層62が残存していたが、凹部の底面の端部では第1マスク層62は消失していた。又、凹部における第1マスク層62の上面(凹部の底面)は中央部が上面の端部よりも突出した形状であった。又、第1マスク層62の凹部における中央部の厚さは約1nmだった。
【0090】
(記録層14のエッチング条件)
エッチング法:IBE
加工用ガス:Ar
Arガス流量:5sccm
チャンバ内圧力:0.003Pa
ソースパワー(プラズマソース電力):200W
ビーム電圧:1000V
ビーム電流:100mA
サプレッサー電圧:−1500V
イオンビームの照射角:90°
加工時間:16秒
【0091】
これにより図14に示されるように、記録層14が多数の記録要素14Aに分割された。尚、データ領域における記録要素14Aのトラック幅方向(径方向)の幅は43nmだった。又、データ領域における凹部16のトラック幅方向の幅は35nmだった。又、記録要素14Aの間の凹部16における配向層26の上面(凹部16の底面)は中央部が端部よりも突出した形状であった。又、凹部16の中央部の配向層26の上面のレベルと記録要素14Aの下面のレベルとがほぼ一致していた。一方、凹部16の端部の配向層26の上面のレベルは、記録要素14Aの下面のレベルよりも約4nm低かった。
【0092】
次に充填材料成膜工程(S116)を実行し、次のような条件で凹部16に充填部18を形成した。
【0093】
(充填材料17の成膜条件)
成膜法:バイアススパッタリング法
充填材料(ターゲット):SiO
成膜用ガス:Ar
Arガス流量:155sccm
チャンバ内圧力:9Pa
ソースパワー(ターゲットに印加された電力):500W
バイアスパワー(被加工体60に印加された電力):5.6W
成膜厚さ(凹部16における膜厚):50nm
【0094】
次に平坦化工程(S118)を実行し、次のような条件で余剰の充填材料17及び第1マスク層62を除去して記録要素14Aの上面及び充填部18の上面を平坦化した。
【0095】
(充填材料17のエッチング条件)
エッチング法:IBE
加工用ガス:Ar
Arガス流量:5sccm
チャンバ内圧力:0.003Pa
ソースパワー(プラズマソース電力):200W
ビーム電圧:500V
ビーム電流:100mA
サプレッサー電圧:−500V
イオンビームの照射角:90°
加工時間:200秒
【0096】
充填部18の上面(の端部)のレベルと記録要素14Aの上面のレベルとがほぼ一致した時点でエッチングを停止した。
【0097】
(第1マスク層62を除去するエッチング)
エッチング法:RIE
加工用ガス:N
ガス流量:50sccm
チャンバ内圧力:1Pa
ソースパワー(プラズマソース電力):1000W
バイアスパワー(被加工体60に印加された電力):15W
加工用ガスの照射角:90°
加工時間:90秒
【0098】
このようにして磁気記録媒体10の3枚のサンプルを得た。尚、保護層28及び潤滑層30は形成しなかった。
【0099】
これらのサンプルの充填部18の上面と記録要素14Aの上面との段差を測定した。具体的には、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて各サンプルのデータ領域における10箇所の部位とサーボ領域における10箇所の部位において段差を測定した。尚、サーボ領域の測定部位における記録要素14Aのトラック周方向の幅は100nmだった。又、サーボ領域の測定部位における凹部16のトラック周方向の幅は100nmだった。測定結果を表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
尚、表1中におけるデータ領域における段差、サーボ領域における段差はいずれも10箇所の測定部位における測定値の相加平均値である。又、負の測定値は、充填部18の上面のレベルが記録要素14Aの上面のレベルよりも高いことを示す。
【0102】
[比較例]
上記実施例では、原盤作製工程(S102)において基板42をエッチングする際のチャンバ内圧力が1.0Paであったのに対し、比較例では原盤作製工程(S102)において基板42をエッチングする際のチャンバ内圧力を0.18Paに設定した。他の条件は実施例と同じ条件に設定して比較例の原盤を作製した。
【0103】
原盤の凹部の底面はほぼ平坦であった。この原盤に基づいてメタルマスタ作製工程(S104)、メタルマザー作製工程(S106)、樹脂スタンパ作製工程(S108)を実行し、樹脂スタンパを得た。樹脂スタンパの凸部の上面もほぼ平坦であった。この樹脂スタンパを用いて樹脂層形成工程(S112)を実行した。樹脂層66の凹部の底面はほぼ平坦であった。樹脂層66の凹部の底面の厚さは、実施例における樹脂層66の凹部の底面の中央部の厚さよりも薄かった。
【0104】
次に記録層加工工程(S114)を実行し、記録層14を凹凸パターンに加工した。樹脂層66及び第2マスク層64をエッチングする工程では、実施例と同様に凹部に第1マスク層62を露出させた時点でエッチングを停止した。第1マスク層62の上面はほぼ平坦だった。又、凹部の底面に残存した第1マスク層62の厚さは実施例における凹部の底面に残存した第1マスク層62の中央部の厚さよりも薄かった。第1マスク層62をエッチングする工程では、凹部においてエッチングが記録層14の上面まで到達した時点で第1マスク層62のエッチングを停止した。凹部の底部の第1マスク層62は消失していた。記録層14をエッチングする工程では、記録要素14Aの間の凹部16における配向層26の上面のレベルが記録要素14Aの下面のレベルよりも低い位置でエッチングを停止した。配向層26の上面はほぼ平坦だった。又、配向層26の上面のレベルと記録要素14Aの下面のレベルとの差は約4nmだった。尚、この値は、実施例における凹部16の端部の配向層26の上面のレベルと記録要素14Aの下面のレベルとの差とほぼ同じ値である。
【0105】
次に充填材料成膜工程(S116)を実行し、実施例と同様に凹部16に充填部18を形成した。図23に示されるように、充填材料17の上面における記録層14の凹凸パターンの角部に相当する部位は記録層の凹凸パターンの角部よりも若干丸みを帯びた形状であり、充填材料17における記録層14の凹凸パターンの凹部16の端部の上の部分は凹部16の中央部の上の部分よりも厚かった。
【0106】
次に実施例と同様に平坦化工程(S118)を実行し、記録要素14Aの上面及び充填部18の上面を平坦化した。余剰の充填材料17をエッチングした時点(充填部18の上面の端部のレベルと記録要素14Aの上面のレベルとがほぼ一致した時点)において、凹部16を充填する充填材料17の上面は図24に示されるように中央部が端部よりも基板側に凹んだ形状であった。更に第1のマスク層62を除去して磁気記録媒体のサンプルを得た。尚、実施例と同様に保護層28及び潤滑層30は形成しなかった。又、実施例と同様に磁気記録媒体の3枚のサンプルを得た。
【0107】
実施例と同様にこれら比較例のサンプルの充填部18の上面と記録要素14Aの上面との段差を測定した。測定結果を表1に併記する。
【0108】
表1に示されるように、実施例の充填部18の上面と記録要素14Aの上面との段差の測定値は比較例の測定値よりも著しく小さかった。より詳細には比較例では総ての測定値が1.5nm以上であった。これに対し、実施例では総ての測定値(絶対値)が1nmよりも小さかった。
【0109】
上述のように比較例では充填材料成膜工程(S116)において成膜された充填材料17の上面における記録層14の凹凸パターンの角部に相当する部位が図23に示されるように丸みを帯びた形状になっており、充填材料17の上面における記録層14の凹凸パターンの凹部16の端部の上の部分が凹部16の中央部の上の部分よりも高かった。このため平坦化工程(S118)において充填材料17の上面における凹部16の端部の上の部分と凹部16の中央部の上の部分との高さの差が残存し、図24に示されるように凹部16を充填する充填部18の上面の中央部が上面の端部よりも基板側に凹んだ形状になり、充填部18の上面と記録要素14Aの上面との段差が大きかったと考えられる。
【0110】
これに対し、実施例では、凹部16の底面の中央部16Aが底面の端部16Bよりも基板12と反対側に突出していたので、比較例のように凹部16の底面が平坦な場合よりも、図15に示されるように、成膜された充填材料17の上面における凹部16の端部の上の部分と凹部16の中央部の上の部分との高さの差が小さかった。従って、平坦化工程(S118)において、充填材料17の上面における凹部16の端部の上の部分と凹部16の中央部の上の部分との高さの差が小さく抑制され、充填部18の上面と記録要素14Aの上面との段差が小さかったと考えられる。
【0111】
即ち、凹部16の底面の中央部16Aが底面の端部16Bよりも基板12と反対側に突出していた本発明の実施例によれば、比較例のように凹部16の底面が平坦な場合よりも磁気記録媒体の表面を平坦にできることが確認された。尚、実施例でも比較例でもサーボ領域の方がデータ領域よりも充填部18の上面と記録要素14Aの上面との段差が大きかった。これは、サーボ領域の方がデータ領域よりも凹部16の幅が大きく、凹部16を充填する充填部18の上面の中央部と上面の端部との高さの差が大きかったためである。このように記録要素の間の凹部の幅が大きい程、凹部を充填する充填部の上面の中央部と上面の端部との高さの差が大きい傾向があるので、凹部の幅が比較的小さいデータ領域では凹部の底面が平坦であっても、凹部を充填する充填部の上面の中央部と上面の端部との高さの差が実用上問題ない程度に小さい場合もありうる。このような場合、例えば、サーボ領域において凹部の幅が比較的大きい凹部の底面の中央部が底面の端部よりも基板と反対側に突出する形状とし、凹部の幅が比較的小さいデータ領域においては凹部の底面を平坦な形状としてもよい。一方、データ領域の面積はサーボ領域の面積よりも著しく大きい。従って、面積が大きいデータ領域において凹部の底面の中央部が底面の端部よりも基板と反対側に突出する形状として表面を高精度で平坦化すれば、サーボ領域においては凹部の底面を平坦な形状としても、磁気ヘッドの浮上高さを安定させる効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、例えば、ディスクリートトラックメディア、パターンドメディア等の凹凸パターンの記録層を有する磁気記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
2…磁気記録再生装置
4…磁気ヘッド
10、70、80、90…磁気記録媒体
12、42…基板
14…記録層
14A…記録要素
16…凹部
16A…底面の中央部
16B…底面の端部
17…充填材料
18…充填部
24…軟磁性層
26…配向層
28…保護層
30…潤滑層
40、60、100…被加工体
44…マスク層
46…レジスト層
48…原盤
50…樹脂スタンパ
62…第1マスク層
64…第2マスク層
66…樹脂層
S102…原盤作製工程
S104…メタルマスタ作製工程
S106…メタルマザー作製工程
S108…樹脂スタンパ作製工程
S110…被加工体の出発体用意工程
S112…樹脂層形成工程
S114…記録層加工工程
S116…充填材料成膜工程
S118…平坦化工程
S120…保護層成膜工程
S122…潤滑層成膜工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板の上に所定の凹凸パターンで形成され該凹凸パターンの凸部が記録要素を構成する記録層と、前記記録要素の間の凹部を充填する充填部と、を有し、前記凹部の底面の中央部が前記凹部の前記底面の端部よりも前記基板と反対側に突出していることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
請求項1において、
前記凹部の前記底面は前記基板と反対側に突出する円弧状の断面形状を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記記録層の下面が前記凹部の前記底面の少なくとも前記端部において分断されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項4】
請求項3において、
前記記録層と前記基板との間に配置され前記記録層の下面に接する下地層を更に備え、前記下地層の下面が連続していることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項5】
請求項4において、
前記凹部において前記下地層が前記記録層から露出しており、且つ、前記下地層における前記記録要素の下の部分の厚さと前記下地層における前記凹部の前記中央部の下の部分の厚さとがほぼ等しいことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対して磁気信号の記録/再生を行うための磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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