説明

磁気記録媒体読取り書込み装置

【課題】
磁気記録媒体の取り込み姿勢にかかわらずに高速で、且つ、等しい搬送距離及び等しい搬送時間で読取り及び書込み処理をする
【解決手段】
磁気記録媒体が搬送される一本の経路よりなる搬送路1と、前記磁気記録媒体を投入口3に投入された際の姿勢のまま、前記搬送路1内を搬送する搬送手段10、11と、第1の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第1の読取り書込みユニット5と、第2の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第2の読取り書込みユニット6と、第3の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第3の読取り書込みユニット7と、第4の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第4の読取り書込みユニット8とを備え、これらの読取り書込みユニットを前記搬送路1の前段から順に一列に、前記搬送手段10、11と並列に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体読取り書込み装置にかかり、特に、磁気記録媒体の取り込み姿勢にかかわらずに高速で読取り及び書込み処理をすることのできる磁気記録媒体読取り書込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駅の自動改札等で切符・乗車券として磁気記録媒体(磁気券)を扱う磁気記録媒体読取り書込み装置では磁気券に対して、乗降駅、乗降の日時、磁気券特定コード等の情報を磁気情報として読取り又は書込みして、利用客の改札通過の可否を判断等の情報処理をしている。その際、不特定多数の利用客により裏表前後様々な姿勢方向で差し込まれる磁気券に対して、利用客が改札を通過する短い時間のうちに、処理可能な所定の順序で情報を読取り、また磁気券の基準姿勢(例えば、表前方に揃えた姿勢)に対して一定方向で磁気情報を記録する処理を完了しなければならない。
【0003】
このような自動改札に対応するため、従来、投入口から取り込んだ媒体の裏表を判断して、裏の場合には磁気券を迂回路に導き、その迂回路の途中で磁気券を反転させ、再び正規の搬送路へ戻して、所定の処理を行なう自動改札機が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、一方面に複数の磁気トラックが設けられた磁気券をその投入方向にかかわらず処理する改札装置として、磁気券の磁気トラック毎にビット密度の異なるダミーデータを磁気トラックの始点側と終点側に記録しておき、そのビット密度を判別することにより磁気券の裏表及び前後を判断して、その結果に応じて搬送路を選択し、券面の反転や正逆方向の読取り書込み処理をする改札装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−325623号公報
【特許文献2】特開平7−272017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明の改札機では、裏向きに投入された券(裏面券)は、迂回路及び反転機構を通過するので、表面向きに投入された券(表券面)に比較して搬送距離が長くなり、搬送時間が余分にかかる。また、裏表の搬送時間を揃えるには、表券の搬送中断時間を設けたり、裏面券の搬送速度を速めたりする必要がある。
【0007】
特許文献2に記載された発明の改札機では、特許文献1同様に、裏面券と表面券で搬送経路の長さが異なるので、特許文献1の改札機と同様に不揃いの処理時間を調整する必要がある。その上、複数の磁気トラックを有する磁気券に対する処理はできるものの、磁気トラックが1本のみの簡易な磁気券の処理を行なう場合は、投入方向の判断処理ができないという問題がある。
【0008】
特許文献2に記載された発明の改札機は、磁気券処理の最初の段階で、磁気トラックのビット密度に基づいて券種及び投入方向を判断し、その後の処理手順を選択決定している。従って、基準データを内部に持つ必要があるうえ、比較演算等の煩雑なデータ処理を極めて短時間で行なうが必要であり、制御システムの負荷が高く、高速高性能で高価な制御装置が必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、磁気記録媒体の取り込み姿勢にかかわらずに高速で、且つ、等しい搬送距離及び等しい搬送時間で読取り及び書込み処理をすることのできる簡易な磁気記録媒体読取り書込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1、第2、第3及び第4の姿勢を有する磁気記録媒体が投入口から排出口まで搬送される一本の経路よりなる搬送路と、前記磁気記録媒体を投入口に投入された際の姿勢のままで、前記搬送路内を搬送する搬送手段と、第1の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第1の読取り書込みユニットと、第2の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第2の読取り書込みユニットと、第3の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第3の読取り書込みユニットと、第4の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第4の読取り書込みユニットとを備え、前記第1から前記第4の読取り書込みユニットは、前記搬送路の前段から順に一列に、前記搬送手段と並列に配置されていることを特徴とする磁気記録媒体読取り書込み装置である。
【0011】
本発明によれば、第1から第4のいずれの姿勢で投入された磁気記録媒体であっても、即ち磁気記録媒体が裏表前後の異なるどのような姿勢投入された媒体でも、搬送路内で媒体を一定の姿勢に整列させる姿勢転換のための反転や迂回路への分岐をするなど複雑な搬送処理の必要がないので、搬送路の途中で磁気記録媒体が詰まったり変形したりすることがなく、信頼性の高い媒体搬送を行なうことができる。また、簡易な搬送機構となるので、装置のコストを抑制することができる。
【0012】
更に、投入口から排出口まで搬送される一本の経路よりなる搬送路で、第1から第4のいずれの姿勢で投入された磁気記録媒体に対しても、各々の投入姿勢に対応するいずれか1個の読取り書き取りユニットによる1サイクルのみの処理実行で処理が完了するので、高速の処理を行なうことができる。
【0013】
また、本発明は、前記第1から前記第4の読取り書込みユニットは、それぞれ書込みヘッドと読取りヘッドを有し、いずれの読取り書込みユニットも前記搬送路の前段側に前記書込みヘッドを、前記搬送路の後段側に前記読取りヘッドを配置するとともに、前記読取りヘッドをベリファイヘッドと共通としたことが好ましい。
【0014】
本発明によれば、第1から第4の読取り書込みユニットいずれにおいても、まず、排出口よりの装置奥側、即ち搬送路の後段に配置した読取りヘッドで磁気記録媒体の磁気情報の読取りを行なった後、磁気記録媒体を逆転搬送して、前記投入口寄りの側、即ち搬送路の前段に配置したの書込みヘッドにより必要な書込み処理を行い、その後再び正転搬送して読取りヘッドへ磁気記録媒体を後段側に戻して、書込まれた磁気記録の確認(ベリファイ)処理を行なうことになる。
【0015】
従って、装置奥側の読取りヘッドで磁気記録媒体の磁気情報の読取りを行なった後、磁気記録媒体が書込みヘッドの位置へ逆転搬送される間に、上位装置からの書込みデータを受け取ることができるので、媒体を停止させた状態での上位からのデータを待つというデータ待ちの時間を節約することができ、時間の短縮、ひいては処理速度の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明は、前記搬送手段は、前記第1及び第2の読取り書込みユニットに対応する搬送を行なう前段側搬送部と、前記第3及び第4の読取り書込みユニットに対応する搬送を行なう後段側搬送部とよりなり、前記搬送手段の駆動力は、前記前段側搬送部及び前記後段側搬送部に対して、前記搬送路の略中央に設けた共通の駆動手段から伝達されることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、搬送手段の駆動力をその中央位置である搬送路の中段から搬送路の前段側及び後段側に伝達することになるので、搬送路の前段と後段に搬送力がバランスよく伝達され、また駆動力の伝達のロスが防止され、ひいては磁気券の搬送を安定させることができる。
【0018】
更に、本発明は、前記前記搬送手段の駆動力源となる1個のステッピングモータと、前記前段側搬送部として、前記第1及び前記第2の読取り書込みユニットに対応する搬送を実行する第1の搬送ベルトと、前記後段側搬送部として、前記第3及び前記第4の読取り書込みユニットに対応する搬送を実行する第2の搬送ベルトと、前記搬送手段の略中央で、前記第1及び前記第2の搬送ベルトが各々掛け渡されるプーリー部を備えるとともに、前記ステッピングモータの駆動を受けて駆動される共通軸プーリーを備えることが好ましい。
【0019】
本発明によれば、1個の駆動源であるステッピングモータから共通軸プーリーを介して第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトとを同時に駆動するので、搬送路の前段と後段に搬送力がバランスよく伝達され、駆動力の伝達のロスが防止されるとともに、磁気券の搬送を安定させることができる。
【0020】
また、本発明は、前記搬送路の前記第4の読取り書込みユニットよりも後段に、前記磁気記録媒体に対してパンチ穿孔をするパンチ機構を備えることが好ましい。このようにすれば、磁気記録媒体に対して、第1から第4の読取り書込みユニットのいずれかにおける所定の処理完了が確認された後に、最終にパンチ処理をすることができ好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、磁気記録媒体が裏表前後の異なるどのような姿勢投入された媒体であっても、搬送路内で媒体を一定の姿勢に整列させる姿勢転換のための反転や迂回路への分岐をするなど複雑な搬送処理の必要がないので、搬送路の途中で磁気記録媒体が詰まったり変形したりすることがなく、信頼性の高い媒体搬送を行なうことができる。また、簡易な搬送機構となるので、装置のコストを抑制することができる。
【0022】
また、本発明は、投入口から排出口まで搬送される一本の経路よりなる搬送路で、第1から第4のいずれの姿勢で投入された磁気記録媒体に対しても、各々の投入姿勢に対応するいずれか1個の読取り書き取りユニットによる1サイクルのみの処理実行で処理が完了するので、高速の処理を行なうことができる。
【0023】
また、本発明は、搬送路の後段に読取りヘッドを前段に書込みヘッドを配置したので、一本の搬送経路での逆転搬送の間に、上位装置からの書込みデータを受け取ることができる。従って、媒体を停止させた状態での上位からのデータを待つというデータ待ちの時間を節約することができ、時間の短縮、ひいては処理速度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
(装置の構成)
【0025】
(装置の概要)
図1は、本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体読取り書込み装置100の平面図、図2は、その側面図である。
【0026】
磁気記録媒体読取り書込み装置100は、磁気券が搬送される搬送路1と、磁気券の搬送方向と平行に設けられ搬送路1の幅を画定するフレーム2と、磁気券投入口3と磁気券排出口4により構成される。
【0027】
この磁気記録媒体読取り書込み装置100は、搬送路1に沿ってその磁気券搬送面に臨んで、磁気券に対する情報の書込み読取りをする磁気記録再生系及び磁気券を搬送する搬送系が配置されているほか、搬送系全ての駆動源として、1個のステッピングモータ15とその駆動力を搬送系に駆動を伝達する駆動系を有している。なお、磁気記録再生系、搬送系および駆動系の詳細は後述する。
【0028】
そして、搬送路1は、投入口3から磁気記録再生系および搬送系に沿って直線的に形成され、その最後段(排出口4寄り)では、装置上側に開口する排出口4に向けて上側に曲線状に形成されている。
【0029】
また、搬送路1に沿って、磁気券の搬送位置および状態を監視するためのセンサ14a〜14mが所定の間隔又はそれよりも短い間隔で設けられている。ここで、所定の間隔とは、磁気券の搬送(長手)方向の長さよりも僅かに短い距離である。このように配置すれば、磁気券が搬送路1内にあるときは、常にセンサ14a〜14mのうち1又は2のセンサが磁気券を検知していることになるので、搬送路内における磁気券の有無及びその位置を正確に検出することができる。
【0030】
フレーム2は、磁気券の搬送路1を挟む2枚の支持板2a、2bを所定の間隔で平行に連結部材(図示しない)により連結して構成され、磁気券の搬送に際して、その幅方向位置を規制するものである。また、フレーム2の支持板2aと2bとの間には、以下で詳述する各部品を支える支持部材として、サブフレーム2cのほか図示しないサブフレームが搬送路1を挟んでこれと干渉しないように設けられている。
【0031】
磁気券投入口3には、シャッタ31が設けられている。シャッタ31は、磁気券が磁気記録媒体読取り書込み装置100の中にあって処理中である場合に、別の磁気券が装置内に投入されることを防止するものである。
【0032】
また、この磁気記録媒体読取り書込み装置100は、磁気券を穿孔するパンチ機構16を備えている。パンチ機構16は、搬送路1の後段、即ち磁気記録再生系の直後に左右2台(16a、16b)設けられている。この左右2台のパンチ機構16a、16bは、投入された磁気券300の姿勢に対応して、選択的に駆動可能とされている。
【0033】
(磁気記録再生系の構成)
搬送路1に沿う磁気記録再生系は、磁気券投入口3側から順に、即ち、搬送路1の前段から順に配置されている、第1の読取り書込みユニット5、第2の読取り書込みユニット6、第3の読取り書込みユニット7及び第4の読取り書込みユニット8により構成される。
【0034】
第1の読取り書込みユニット5は、搬送路1の前段側(磁気券投入口3側)に第1の書込みヘッドW1が、後段側に第1の読取りヘッドR1がそれぞれ配置され、図示しないフレームに支持されて、搬送路1の下側から磁気券搬送面に臨んでいる。また、第1の書込みヘッドW1および第1の読取りヘッドR1は、搬送路1の幅方向について、支持板2a側寄りの位置に設けられている。
【0035】
第2の読取り書込みユニット6も第1の読取り書込みユニット5と同様に、搬送路1の前段側に第2の書込みヘッドW2が、後段側に第2の読取りヘッドR2が、搬送路1の幅方向について支持板2a寄りの位置に配置され、図示しないフレームに支持されている。但し、第2の書込みヘッドW2および第2の読取りヘッドR2は、搬送路1の上側から磁気券搬送面に臨んでおり、この点が第1の読取り書込みユニット5とは異なる。
【0036】
第3の読取り書込みユニット7は、第1および第2の読取り書込みユニット5、6と同様に、搬送路1の前段側に第3の書込みヘッドW3が、後段側に第3の読取りヘッドR3が設けられている。そして、第3の書込みヘッドW3および第3の読取りヘッドR3は、それぞれ下側から搬送路1に臨んで配置されている。但し、第3の読取り書込みユニット7では、第3の書込みヘッドW3および第3の読取りヘッドR3は、搬送路1の幅方向について支持板2b寄りに配置されており、この点が第1および第2の読取り書込みユニット5、6とは異なる。
【0037】
同様に、第4の読取り書込みユニット8にも、搬送路1の前段側に第4の書込みヘッドW4が、後段側に第4の読取りヘッドR4が設けられている。第4の書込みヘッドW4および第4の読取りヘッドR4は、上側から搬送路1に臨み、搬送路1の幅方向について支持板2b寄りに配置され、図示しないフレームに支持されている。
【0038】
なお、各書込みヘッドW1、W2、W3、W4および各読取りヘッドR1、R2、R3、R4の搬送路を挟んで対向する側には、ヘッドパッドローラPが設けられている。これらのヘッドパッドローラPは、搬送路を搬送される磁気券を各ヘッドに対して押圧する方向に図示しないバネ等により付勢されている。なお、パッドローラPは、発砲ポリウレタン等の弾性材料により形成されていることが好ましい。
【0039】
また、各読取りヘッド(R1〜R4)は、対応する読取り書込みユニット(5〜8)の書込みヘッド(W1〜W4)による書込みの確認をするベリファイヘッドとしての機能も兼ね備えている。従って、ベリファイヘッドを別途設ける必要はない。
【0040】
(搬送系の構成)
次に、搬送系は、搬送路1の前段の磁気券投入口3近傍に取り込みローラ組9、以降順に搬送路1の後段に向かって、第1の搬送ベルト10、第2の搬送ベルト11、第1の排出ローラ組12及び第2の排出ローラ組13が設けられている。
【0041】
取り込みローラ組9は、支持板2a、2bに回転可能に支持される駆動ローラ91とこれに対応する従動ローラ92よりなる。
【0042】
駆動ローラ91は、駆動系により駆動されるもので、支持板2a、2bに支承された軸90によりこれと一体回動可能に支持される。そして、軸90の支持板2bを挟んで搬送路1の外側には、駆動系により回転駆動される受動プーリー93が設けられている。
【0043】
従動ローラ92は、駆動ローラ91に搬送路1を挟んで対向して設けられる。また、従動ローラ92は投入口から投入される磁気券を挟んで搬送するように駆動ローラ91に対して付勢されている。なお、駆動ローラ91は、ゴム製のローラとし、従動ローラ92は潤滑性のある樹脂ローラとすることが好ましい。
【0044】
第1の搬送ベルト10は、搬送路1に沿って、第1の読取り書込みユニット5及び第2の読取り書込みユニット6と並列に、プーリー101とプーリー102に架渡されて、支持板2b寄りの側で搬送路1に臨んで設けられている。また、プーリー101は、支持板2bとサブフレーム2cに回転可能に支持された可転軸17と一体に回動可能とされている。一方、プーリー102は、支持板2a、2bに貫通して回動可能に支持された可転軸18と一体回転可能とされている。
【0045】
プーリー101と102の間の搬送路下側には、第1の搬送ベルト10を回動自在に支持する従動ローラ19a、19b、19cが支持板2bとサブフレーム2cの間に回転自在に支持されている。また、従動ローラ19a、19b、19cの第1の搬送ベルト10を挟んで搬送路1と対向する上側には、パッドローラ20a、20b、20cが磁気券を挟持搬送可能に付勢されて配置されている。また、プーリー101と102と第1の搬送ベルト10を挟んで搬送路1と対向する上側には、パッドローラ201、202が磁気券を挟持搬送可能に付勢されて配置されている。
【0046】
第2の搬送ベルト11は、搬送路1に沿って、第3の読取り書込みユニット7及び第4の読取り書込みユニット8と並列に、プーリー111とプーリー112に架渡されて、支持板2a寄りの側で搬送路1に臨んで設けられている。また、プーリー111は、支持板2aとサブフレーム2cに回転可能に支持された可転軸21と一体に回動可能とされている。一方、プーリー112は、プーリー102と同様に可転軸18と一体回転可能に設けられている。なお、プーリー102、プーリー112及び可転軸18により、共通軸プーリーが形成される。
【0047】
プーリー111と112の間の搬送路下側には、第2の搬送ベルト11を回転自在に支持する従動ローラ19d、19e、19fが支持板2aとサブフレーム2cの間に回転自在に支持されている。また、従動ローラ19d、19e、19fの第2の搬送ベルト11を挟んで搬送路1と対向する上側には、パッドローラ20d、20e、20fが磁気券を挟持搬送可能に付勢されて配置されている。また、プーリー111と112と第2の搬送ベルト11を挟んで搬送路1と対向する上側には、パッドローラ211、212が磁気券を挟持搬送可能に付勢されて配置されている。
【0048】
なお、搬送ベルト10、11は、平ベルトであり、その外周の磁気券搬送面及び内周面が摩擦係数の高いゴム等により形成されている。一方、従動ローラ19a、19b、19c、19d、19e、19f、パッドローラ20a、20b、20c、20d、20e、20f、およびパッドローラ201、202、211、212は、潤滑性のある硬質の樹脂等により形成されている。従って、パッドローラと搬送ベルトに挟持される際に、磁気券がジャムってしまう等により搬送で搬送が乱れることがなく、搬送ベルトの駆動に対応する磁気券の確実な搬送をすることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、プーリー101、プーリー102、プーリー111及びプーリー112をアルミ等の金属材料としているが、搬送ベルト10、11に十分な駆動力を伝達できるように、必要により摩擦係数の高い素材で表面コーティングされていることが好ましい。
【0050】
次に、第1の排出ローラ組12は、パンチ機構16の近傍に設けられ、支持板2a、2bに回転可能に支持される駆動ローラ121とこれに対応する従動ローラ122よりなる。
【0051】
駆動ローラ121は、駆動系により回転駆動されるもので、支持板2a、2bに支承された軸120によりこれと一体回動可能に支持される。そして、軸120の支持板2aを挟んで搬送路1の外側には、駆動系により回転駆動される受動プーリー123が設けられている。
【0052】
従動ローラ122は駆動ローラ121に搬送路1を挟んで対向して設けられる。また、従動ローラ122は磁気券を挟んで搬送するように駆動ローラ121に対して付勢されている。
【0053】
第2の排出ローラ組13は、排出口13の近傍に設けられ、支持板2a、2bに回転可能に支持される駆動ローラ131とこれに対応する従動ローラ132よりなる。
【0054】
駆動ローラ131は、駆動系により回転駆動されるもので、支持板2a、2bに支承された軸130によりこれと一体回動可能に支持される。そして、軸130の支持板2aを挟んで搬送路1の外側には、駆動系により回転駆動される受動プーリー133が設けられている。
【0055】
駆動ローラ131は、駆動系により回転駆動され、従動ローラ132は駆動ローラ131に搬送路1を挟んで対向して設けられる。また、従動ローラ132は磁気券を挟んで搬送するように駆動ローラ131に対して付勢されている。
【0056】
第1および第2の排出ローラ組12、13においても、取り込みローラ組9と同様に、駆動ローラ121、131はゴム製のローラとし、従動ローラ122、132は潤滑性のある樹脂ローラとすることが好ましい。このように構成すれば、駆動ローラと従動ローラに挟持される際に、磁気券がジャムってしまう等により搬送で搬送が乱れることがなく、駆動ローラ121、131の回転に対応する磁気券の確実な搬送をすることができる。
【0057】
(駆動系の構成)
次に、駆動系は、駆動源としてのステッピングモータ15とその駆動力を搬送系へ伝達する駆動伝達手段よりなる。そのうち、まず、第1及び第2の搬送ベルト10、11を駆動する駆動系を説明する。
【0058】
ステッピングモータ15の駆動軸の一端には、駆動プーリー151が取り付けられている。また、可転軸18の支持板2bを挟んで搬送路1の外側には受動プーリー152が可転軸18と一体回転可能に取り付けられている。また、駆動プーリー151と受動プーリー152との間には、駆動ベルト153が架渡されている。
【0059】
従って、受動プーリー152、第1の搬送ベルト10を駆動するプーリー102および第2の搬送ベルト11を駆動するプーリー112がとともに可転軸18に固定されて、共通軸プーリーとして、ステッピングモータ15の駆動に対応して一体回転が可能とされている。
【0060】
また、受動プーリー152の外側(支持板2bとは反対側)には、手動ノブ152aが一体に延設されている。手動ノブ152aは、磁気券が詰まったりした場合の手動での詰まり解除などのメインテナンスを可能としている。この手動ノブ152aは共通軸プーリー(プーリー102、プーリー112)と一体回転可能に設けられており、第1の搬送ベルト10及び第2の搬送ベルト11を直接回転させることができるので、比較的小さな力で搬送ベルトを回動させることができ、メインテナンスに好適である。
【0061】
次に、取り込みローラ組9を駆動する駆動系を説明する。第1の搬送ベルト10の架渡されたプーリー101の取り付けられた可転軸17の支持板2bを挟んで搬送路1の外側には伝動プーリー154が可転軸17と一体回転可能に取り付けられている。そして、伝動プーリー154と取り込みローラ組9を駆動する受動プーリー93との間には、伝動ベルト155が架渡されている。従って、取り込みローラ組9は、第1の搬送ベルト10の駆動と連動して駆動可能とされている。
【0062】
第1の排出ローラ組12を駆動する駆動系は、第2の搬送ベルト11の架渡されたプーリー111の取り付けられた可転軸21の支持板2aを挟んで搬送路1の外側にこれと一体回転可能に取り付けられている伝動プーリー156及びこれと第1の排出ローラ組を駆動する受動プーリー123との間に架渡されている伝動ベルト157により構成される。そして、第1の排出ローラ組12は、第2の搬送ベルト11の駆動と連動して駆動可能とされている。
【0063】
第2の排出ローラ組13を駆動する駆動系は、ステッピングモータ15の回転軸の駆動プーリー151とは反対側の端に取り付けられた駆動プーリー158及び受動プーリー133との間に架渡されている伝動ベルト159により構成される。そして、ステッピングモータ15の駆動により駆動可能とされている。そして、第2の排出ローラ組13は、ステッピングモータ15の駆動に連動して駆動可能とされている。
【0064】
なお、駆動系の駆動ベルト153及び伝動ベルト155、157、159は、内周に歯型を有するタイミングベルトである。これらと噛合う駆動プーリー151、158、受動プーリー93、123、133、152及び伝動プーリー154、156の外周には、駆動伝達を確実にする歯型が形成されている。
【0065】
(磁気券搬送作動)
次に、磁気券の搬送作動について、説明する。
【0066】
磁気記録媒体読取り書込み装置100は、センサセンサ14a〜14mが搬送路1内に磁気券を検知していない場合に、シャッタ31を開放状態として、投入口3からの磁気券の投入を許容する。そして、センサ14aが磁気券の投入を検知するとステッピングモータ15が駆動される。
【0067】
このように磁気券を取り込む際には、ステッピングモータ15が反時計方向(図2で矢印Aの方向)に駆動され、駆動プーリー151から駆動ベルト153を介して受動プーリー152に伝達される。そして、共通軸プーリーである、共通の可転軸18に取り付けられたプーリー102及びプーリー112が反時計方向(図2で矢印Bの方向)に回転駆動される。そして、プーリー102により第1の搬送ベルト10が、プーリー112により第2の搬送ベルト11がそれぞれ磁気券取り込み方向(正転搬送方向)にそれぞれ駆動される。
【0068】
同時に、第1の搬送ベルト10の回転は、プーリー101、可転軸17、伝動プーリー154及び伝動ベルト155を介して軸90を反時計方向(図2で矢印Cの方向)に回転させて、取り込みローラ組9を駆動ささせる。
【0069】
一方、第2の搬送ベルト11の回転は、プーリー111、可転軸21、伝動プーリー156及び伝動ベルト157を介して、軸120を反時計方向(図2で矢印Dの方向)に回転させて、第1の排出ローラ組12を磁気券排出方向に駆動させる。
【0070】
また、ステッピングモータ15の反時計方向(図2で矢印Aの方向)の回転は、駆動プーリー151とは反対側に取り付けられた駆動プーリー158も同時に回転させ、伝動ベルト159及び受動プーリー133を介して軸130を駆動して、第2の排出ローラ組13を磁気券排出方向に駆動させる。
【0071】
このようにステッピングモータ15が反時計方向に回転駆動されると、取り込みローラ組9、第1の搬送ベルト10、第2の搬送ベルト11、第1の排出ローラ組12及び第2の排出ローラ組13、即ち全ての搬送系が磁気券を前段から後段に向けて搬送する正転搬送の方向に同時に駆動される。一方、ステッピングモータ15を反転させると、全ての搬送系が磁気券を後段から前段に向けて搬送する逆転搬送の方向に同時に駆動される。従って、1個のステッピングモータ15の回転を制御するのみで簡易に磁気券の搬送を制御することができる。
【0072】
また、例えば搬送路1の後段の可転軸21をステッピングモータ15で駆動させることもできるが、そのようにした場合は、搬送系の後段から前段に向け順次に駆動力を伝達するので、最遠の取り込みローラ組9に駆動力が伝達されるまでに、ステッピングモータ15へのベルト伝達を介して、第2の搬送ベルト11及び第1の搬送ベルト10への伝達、更に伝動ベルト155による伝達と4段のベルト伝達が必要で、駆動力の伝達にロスが発生する。特に、第2の搬送ベルト11から第1の搬送ベルト10への伝達は、平ベルトから平ベルトへの伝達であるので、すべりロスが発生し易い。
【0073】
これに対して、第1の搬送ベルト10及び第2の搬送ベルト11の中間にあって、共通軸プーリー(プーリー102及びプーリー112)を共通の駆動力源とする場合は、平ベルトから平ベルトへの伝達をする必要がなく、また、ベルト伝達は3段で済むので、伝動効率が低下することはない。
【0074】
(磁気券の構成)
ここで、以上のように構成された磁気記録媒体読取り書込み装置100に適用される磁気券について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体を示す図である。図3(A)は気記録媒体の表面を、図3(B)はその裏面を示す。
【0075】
磁気券300は、例えば、中国等の鉄道の乗車券であって、1回限りの使い切りの磁気券である。従って、比較的耐久性を要求されないため紙等の基材を用い、裏面に磁性材をコーティングして、一本の磁気トラック301が形成された簡易な磁気券である。そして、一般に、磁気券300は、帯状やロール状の媒体を所定の長さLに切断された後に、表面の印刷及び裏面の磁気トラック301への磁気記録が行なわれて発行されている。
【0076】
即ち、磁気券300は、表面には、乗車地、目的地、列車番号及び出発日時、料金、有効期間等が印刷されている(図3(A)参照)。そして、裏面には、表面に記載されている諸事項の他、磁気券の有効無効や使用状況を磁気情報として記録する磁気トラック301が形成されている(図3(B)参照)。また、磁気トラック301は、搬送される方向とは直角の短手の幅方向に対して非対称に、一方側に偏った位置に形成されている。なお、図3(A)中、点線で裏面に形成されている磁気トラック301の位置を示す。
【0077】
この磁気券300は、磁気記録媒体読取り書込み装置100に投入される場合、図中に矢印で示す第1の姿勢310(表面正方向)、第2の姿勢320(裏面逆方向)、第3の姿勢330(表面逆方向)、第4の姿勢340(裏面正方向)のいずれかの姿勢にランダムに投入される。
【0078】
また、磁気記録媒体読取り書込み装置100での処理が完了した磁気券300は、パンチ孔302が穿孔された状態であり、改札通過の確認が可能とされ、また再使用がなされないようになっている。
【0079】
(磁気券処理フロー)
以上のように構成された磁気記録媒体読取り書込み装置100における磁気券300の処理動作について図1及び図2を参照しつつ、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体読取り書込み装置の作動を説明するフローチャートである。
【0080】
磁気券300は、磁気記録媒体読取り書込み装置100の内部に別の磁気券がない場合に、シャッタ31が開放され(S01)、投入口3へ投入される(S02)。そして、磁気券300の投入が、センサ14aにより検知されると、第1の読取り書込みユニット5へ向けて磁気券300の正転搬送が開始される(S11)。
【0081】
磁気券が第1の読取りヘッドR1に到達して磁気信号出力が発生した場合は、磁気券が第1の姿勢310で投入されていたと判断して(S12)次のステップS13へ進み、第1の読取り書込みユニット5によるステップが実行される。一方、磁気信号出力が発生しない場合は、第2の読取り書込みユニット6へ向けて正転搬送が続く(S21)。
【0082】
以下では、まず、ステップS13へ進んだ場合の第1の読取り書込みユニット5による処理を説明する。
【0083】
ステップ13の磁気情報の読取りは、磁気信号出力の検知に引き続き磁気券300が所定の距離だけ搬送されたときに完了したものと検知される(S14)。そして、正転搬送を停止して逆転搬送が開始される(S15)。なお、磁気情報の読取り完了の検知は、第1の読取りヘッドR1の読取り完了位置から予め定められたステップ数をカウントしたときに完了と判断するように設定されている。
【0084】
ステップS15の磁気券300の逆転搬送は、磁気券300が所定の書込み位置に到達するまで実行され、磁気券300の書込み位置への到達が検知されると(S16)、第1の書込みヘッドW1による磁気情報の書込みが実行される(S17)。なお、書込み位置への到達は、正転搬送を停止し逆転搬送を開始した位置からの予め定められたステップ数をカウントしたときに完了と判断するように設定されている。
【0085】
本実施の形態では、ステップS17の書込み作動は、ステップS15の逆転搬送を正転搬送に切り替えて、正転搬送で実行するものとしているが、ステップS15から継続する逆転搬送の状態で実行してもよい。この場合の書込み位置への到達も正転搬送を停止し逆転搬送を開始した位置からの予め定められたステップ数をカウントしたときに完了と判断するように設定することにより検知できる。
【0086】
最後に、書込みの実行(S17)に引き続いて正転搬送された磁気券300は、再び、第1の読取りヘッドR1に到達し、これによるベリファイ(確認)のための読取りが実行され、書込み情報の確認が行なわれる(S18)。これで、第1の読取り書込みユニット5による処理は終了する。
【0087】
その後、ステップS18で正常な書込みが確認されると、そのまま正転搬送が継続されて、磁気券300はパンチ機構16に到達し、パンチ穿孔処理がなされる(S03)。
【0088】
パンチ穿孔処理実行の後、改札ゲートの開放許可するための信号を上位の改札装置等に送り、同時に、磁気券300を排出して(S04)処理が完了される。
【0089】
一方、S18において、正常な書込みが確認されなかった場合は、再処理のために磁気券300を投入口に逆転搬送し、又は改札ゲートを閉鎖や警告アラームの表示等を指示するための信号が上位の改札装置等に送られ(S05)、処理が完了される。
【0090】
次に、磁気券が第1の読取りヘッドR1に到達しても磁気信号出力が発生しない場合、即ち、ステップS12においてNOの場合について説明する。
【0091】
この場合、ステップS11から引き続いて第2の読取り書込みユニット6へ向けて正転搬送が続き(S21)、磁気券300が第2の読取りヘッドR2に到達して磁気信号が発生したとき(S22)には、磁気券300が第2の姿勢320で投入されていたと判断して(S22)、ステップS23へ進み、第2の読取り書込みユニット6による処理が実行される。
【0092】
第2の読取り書込みユニット6による処理は、ステップS22からステップS28までであり、引き続きステップS03及びS04又はステップS05の処理を完了する。
【0093】
次に、磁気券300が第2の読取りヘッドR2に到達しても磁気信号出力が発生しない場合、即ち、ステップS22でNOの場合は、第3の読取り書込みユニット7へ向けて正転搬送が続き(S31)、磁気券300が第3の読取りヘッドR3に到達して磁気信号出力が発生したときは、磁気券300が第3の姿勢330で投入されていたと判断して(S32)、第3の読取り書込みユニット7によるS33以降のステップ(S33〜S38)及びステップS03とS04又はステップS05が実行され処理を完了する。
【0094】
一方、磁気券300が第3の読取りヘッドR3に到達しても磁気信号出力が発生しない場合、即ち、ステップS32でNOの場合は、更に第4の読取り書込みユニット7へ向けて正転搬送が続く(S41)。
【0095】
そして、磁気券300が第4の読取りヘッドR4に到達すると、正常な状態の磁気記録がなされている限り、磁気券300は第4の姿勢340で投入されているので、磁気信号出力が発生して(S42)、第4の読取り書込みユニット8によるS43以降のステップ(S43〜S48)及びステップS03とS04又はステップS05が実行され処理を完了する。
【0096】
一方、磁気券300に読取り可能な磁気録がなされていない等で何らかの不具合があった場合は、ステップS42で第4の読取りヘッドR4による検出がなされず、最終的にステップS05の処理がなされる。即ち、利用者による磁気券300の行使が阻止されることとなる。
【0097】
なお、以上のフローの説明において、第2の読取り書込みユニット6による処理(S23〜S28)、第3の読取り書込みユニット7による処理(S33〜S38)及び第4の読取り書込みユニット8による処理(S43〜S48)は、実行するユニットが異なる以外は、第1の読取り書込みユニット5によるステップ(S13〜S18)と同様であるのでその詳細説明は省略する。
【0098】
(パンチ処理)
ここで、ステップS03における、パンチ処理について説明する。
【0099】
上述のとおり、磁気券300は正規の処理が完了した場合、パンチ孔302がパンチ機構16により穿孔される。その際、パンチ孔302は、磁気券が第1から第4いずれの姿勢(310、320、330、340)で投入された場合であっても、磁気券300の一定の位置となるように搬送系及びパンチ機構16a、16bが選択的に駆動制御されている。
【0100】
搬送路1の正転搬送方向に対して右側のパンチ機構16aは、磁気券300が第1の姿勢(310)及び第2の姿勢(320)で投入されたとき、即ち、図4のステップS12及びS22で磁気信号出力が発生した場合に駆動される。そして、第1の姿勢310の場合、磁気券300は右側パンチ機構16aに対して浅い送り距離で送られたパンチ位置で停止され、パンチ処理される。また、第2の姿勢320の場合、磁気券300は右側パンチ機構16aに対して深い送り距離で送られパンチ処理される。
【0101】
同様に、磁気券300が第3の姿勢(330)及び第4の姿勢(340)で投入され、図4のステップS32及びS42で磁気信号出力が発生した場合には、左側のパンチ機構16bが駆動されパンチ処理が行なわれる。その送り距離は、次の表1に示すとおりである。
【0102】
【表1】


【0103】
なお、浅い送り距離の送りとは、センサ14kが磁気券300を検知した位置を基準として、そこからの搬送距離を短い所定距離とすることである。同様に、深い送り距離の送りとは、センサ14kの磁気券300検知位置からの搬送距離を長い所定距離とすることである。換言すると、ステッピングモータ15をセンサ14kによる磁気券300の検知から所定のパルス数だけ駆動させた位置をパンチ位置として、そのパルス数を制御している。
【0104】
(実施の形態の効果)
以上のように構成した本実施の形態によれば、第1から第4のいずれの姿勢(310、320、330、340)で投入された磁気券300であっても、搬送路1内で媒体300を一定の姿勢に整列させる姿勢転換のための反転や迂回路への分岐をするなど複雑な搬送処理の必要がないので、搬送路の途中で磁気券が詰まったり変形したりすることがなく、信頼性の高い媒体搬送を行なうことができる。また、簡易な搬送機構となるので、装置のコストを抑制することができる。
【0105】
更に、投入口3から排出口4まで搬送される一本の経路よりなる搬送路で、いずれの姿勢で投入された磁気券300に対しても、各々の投入姿勢に対応するいずれか1個の読取り書き取りユニット5、6、7、8による1サイクルのみの処理実行で処理が完了するので、高速の処理を行なうことができる。
【0106】
また、読取り書込みユニット5、6、7、8と搬送手段10、11とを並列配置としたので、磁気券300の搬送に際して、搬送路1の幅方向に対して一方側の書込みユニット側では搬送負荷(摩擦)が発生し、他方側の搬送手段側では磁気券300が搬送方向に向かって強力に付勢されることになる。従って、磁気券300は、搬送路の幅方向に対して読取り書込みユニット側の搬送基準面に付勢されることになるので、読取り書込みの作動を安定させるこができる。
【0107】
更に、本実施の形態では、搬送路前段の第1及び第2の読取り書込みユニット5、6を磁気券の搬送方向とは直角の搬送幅の一方側に寄せて配置し、後段の第3及び前記第4の読取り書込みユニット7、8を前記搬送幅の他方側に寄せて配置したので、搬送路1の前段と後段で搬送手段10、11の左右が入れ代わる。従って、磁気券は、一方の搬送基準面に対してのみ付勢されることがなく、付勢によって変形することがない。
【0108】
本実施の形態によれば、第1から第4の読取り書込みユニット5、6、7、8いずれにおいても、まず、排出口4よりの装置奥側、即ち搬送路1の後段に配置した読取りヘッドR1、R2、R3、R4で磁気券300の磁気情報の読取りを行なった後、磁気券300を逆転搬送して、前記投入口3寄りの側、即ち搬送路1の前段に配置したの書込みヘッドW1、W2、W3、W4により必要な書込み処理を行い、その後再び正転搬送して読取りヘッドR1、R2、R3、R4の後段側へ磁気券300を戻して、書込まれた磁気記録の確認(ベリファイ)処理を行なうことになる。
【0109】
従って、装置奥側の読取りヘッドR1、R2、R3、R4で磁気券300の磁気情報の読取りを行なった後、磁気券300が書込みヘッドW1、W2、W3、W4の位置へ逆転搬送される間に、上位装置からの書込みデータを受け取ることができるので、媒体を停止させた状態での上位からのデータを待つというデータ待ちの時間を節約することができ、時間の短縮、ひいては処理速度の向上を図ることができる。また、データ待ちの時間がないので、書込み処理の実行を待機するために搬送系の空転をさせる機構が不要であり、また、駆動待機時の電力エネルギーの消費を削減できる。
【0110】
本実施の形態によれば、1個の駆動源であるステッピングモータ15から搬送路1の中段に配置した共通の可転軸18に取り付けられたプーリー102及びプーリー112よりなる共通軸プーリーを介して第1の搬送ベルト10と第2の搬送ベルト11とを同時に駆動するので、搬送路1の前段と後段に搬送力がバランスよく伝達され、駆動力の伝達のロスが防止されるとともに、磁気券の搬送を安定させることができる。
【0111】
また、本実施の形態によれば、読取りヘッドR1、R2、R3、R4の磁気信号出力の検出のみで行い、データの比較演算処理等の煩雑なデータ処理をすることなく、磁気券300の投入された姿勢を検知することができるので、装置システムの負荷を最小にして、高速で媒体処理をすることができる。
【0112】
(その他の実施形態)
上述の実施の形態では、搬送手段として主に搬送ベルト10、11を用いたが、これに代えて搬送ローラとすることもできる。その場合でも駆動系は、支持板2a、2bの装置外側には、搬送路1のほぼ中段の位置にステッピングモータ15からの駆動を受けるプーリーを設けるとともに、そのプーリーを中心に、搬送路1の前段及び後段に向けて配置される搬送ローラを駆動する伝動ベルトと伝動プーリーを設ければよい。
【0113】
上述の実施の形態では、1本の搬送路1をほぼ直線状に形成したが、共通軸プーリーを中心として屈折する搬送路とすることもできる。この場合は、装置の全長を短く抑えることができ、改札装置の設置場所の省スペース化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体読取り書込み装置の平面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体読取り書込み装置の側面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体を説明する図。
【図4】本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体読取り書込み装置の作動を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0115】
1 搬送路
3 投入口
4 排出口
5 第1の読取り書込みユニット
6 第2の読取り書込みユニット
7 第3の読取り書込みユニット
8 第4の読取り書込みユニット
10 第1の搬送ベルト(搬送手段)
11 第2の搬送ベルト(搬送手段)
300 磁気券(磁気記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2、第3及び第4の姿勢を有する磁気記録媒体が投入口から排出口まで搬送される一本の経路よりなる搬送路と、
前記磁気記録媒体を投入口に投入された際の姿勢のままで、前記搬送路内を搬送する搬送手段と、
第1の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第1の読取り書込みユニットと、
第2の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第2の読取り書込みユニットと、
第3の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第3の読取り書込みユニットと、
第4の姿勢で投入された磁気記録媒体に対し読取り及び書込みを実行する第4の読取り書込みユニットと、を備え、
前記第1から前記第4の読取り書込みユニットは、前記搬送路の前段から順に一列に、前記搬送手段と並列に配置されていることを特徴とする磁気記録媒体読取り書込み装置。
【請求項2】
前記第1から前記第4の読取り書込みユニットは、それぞれ書込みヘッドと読取りヘッドを有し、いずれの読取り書込みユニットも前記搬送路の前段側に前記書込みヘッドを、前記搬送路の後段側に前記読取りヘッドを配置するとともに、
前記読取りヘッドをベリファイヘッドと共通としたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体読取り書込み装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記第1及び第2の読取り書込みユニットに対応する搬送を行なう前段側搬送部と、前記第3及び第4の読取り書込みユニットに対応する搬送を行なう後段側搬送部とよりなり、
前記搬送手段の駆動力は、前記前段側搬送部及び前記後段側搬送部に対して、前記搬送路の略中央に設けた共通の駆動手段から伝達されることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体読取り書込み装置。
【請求項4】
前記前記搬送手段の駆動力源となる1個のステッピングモータと、
前記前段側搬送部として、前記第1及び前記第2の読取り書込みユニットに対応する搬送を実行する第1の搬送ベルトと、
前記後段側搬送部として、前記第3及び前記第4の読取り書込みユニットに対応する搬送を実行する第2の搬送ベルトと、
前記搬送手段の略中央で、前記第1及び前記第2の搬送ベルトが各々掛け渡されるプーリー部を備えるとともに、前記ステッピングモータの駆動を受けて駆動される共通軸プーリーと、
を備えたことを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体読取り書込み装置。
【請求項5】
前記搬送路の前記第4の読取り書込みユニットよりも後段に、前記磁気記録媒体に対してパンチ穿孔をするパンチ機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体読取り書込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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