説明

磁気転写装置及び磁気転写方法

【課題】転写用原盤に書き込まれた転写情報と被転写媒体の中心を合わせた後、被転写媒体をホルダーに設置する際に、位置ずれや部分的に強く当たることなく確実に設置することで高い転写精度を実現し、また磁気転写後の被転写媒体を確実に回収できる磁気転写装置及び磁気転写方法を提供すること。
【解決手段】転写用原盤の内周部、被転写媒体のクランプ領域に対向する部分に、貫通穴を設け、その貫通穴を介して予め位置調整された被転写媒体を吸引することにより、被転写媒体を高精度に転写用原盤及び転写用原盤ホルダーに把持する。転写後は、一方の転写用原盤ホルダー側の貫通穴を介して被転写媒体を吸引して把持しながら、他方の転写用原盤ホルダー側の貫通穴からエアーを吹き出して被転写媒体を剥離することで、被転写媒体を確実に転写用原盤ホルダーの所定の側に保持しながら転写用原盤ホルダーを開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気転写装置及び磁気転写方法に関し、より詳細には、ハードディスクドライブ(HDD)で用いられる磁気ヘッドの位置決め用サーボ信号または特定のデータを、磁気的な転写技術を用いて磁気記録媒体に書き込む磁気転写装置及び磁気転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、磁気記録媒体は磁気的な情報が何も書かれない状態で出荷され、HDD装置に組み込まれた後、HDD内で必要な磁気的情報が書き込まれるのが一般的である。HDDにおいて、磁気記録媒体は同心円状のトラックと呼ばれる一定の幅を持った領域に磁気的に仕切られ、そのトラック上に磁気ヘッドを追従させながらデータの読み書きを行なう。HDDはトラック上に書かれたサーボ信号と呼ばれる磁気的信号を読み取って磁気ヘッドの位置ズレを検出し、トラックから外れないようヘッドを制御する。
【0003】
しかし、何も書かれていない磁気記録媒体に精密に同心円状にサーボ信号を書き込むためには、精密な位置制御機能を有する装置が必要であり、また、位置合わせに必要な機構を外部よりHDD内に挿入するため、その作業はHDD内への塵埃の侵入を防ぐためにクリーンルーム内で行なう必要がある。また、精密に位置合わせを行ないながら、1面に数十万本あるトラックにサーボ信号を書き込むためには、数時間という時間が必要となる。このサーボ信号の書き込み作業は上記のように、HDD1台毎にクリーンルーム内で行なう必要があり、高精度な装置を使用するため、HDDの製造コストを増大させる大きな要因となっている。
【0004】
このような課題を解決するため、上述のサーボ信号パターンを持つ転写用原盤を磁気記録媒体(被転写媒体)に密着させ、外部より磁界を印加することにより、そのサーボ信号パターンを磁気記録媒体に瞬時に転写するという技術および装置が開発されている。この技術により、ドライブ製造コストの削減やトラックの高密度化(トラック幅の狭域化)が可能となる。
【0005】
図1は、転写用原盤を用いて情報を転写する磁気転写原理を説明するための図である。図1には、転写に必要な最低限の構成である、転写用原盤101、被転写媒体102、磁石103、を示す。
【0006】
転写用原盤101には軟磁性による凹凸パターン105が設けられており、被転写媒体102を密着させて外部磁界106を印加すると、軟磁性凹凸パターン105の凹凸間に漏れ磁束107が発生する。この漏れ磁束107が媒体102側に進入することで、媒体102の磁性層108が磁化109され、転写用原盤101の軟磁性凹凸パターン105に沿った磁気信号が転写される。
【0007】
図2に、転写された磁気信号の一例140を示す。図1では磁石103が転写用原盤101上を回転して片面全体を一度に転写する様子を示しているが、被転写媒体102のもう一方の面にも同様に転写用原盤と磁石を配置すれば両面同時転写も可能である。この場合、2枚の転写用原盤が被転写媒体の両面に密着し、磁石も両面対向するように置かれることになる。
【0008】
但し、この磁気転写を正確に行なうには、転写用原盤に書かれた転写情報と被転写媒体との位置決めを精度良く行なう必要が有る。この位置決め方法として、ホルダーの所定の位置に中心ピンを設け、被転写媒体の内径を中心ピンに通すことにより位置決め設置する方法がある(特許文献1参照)。
【0009】
しかしながら、この方法では設置精度がピンと被転写媒体の内径のクリアランスに依存してしまい十分な精度が得られない、及び、転写面を垂直に立てる構成の装置には適用できないという課題があった。
【0010】
この精度不足を解決する方法として、被転写媒体の内径を転写用原盤の内径よりも小さく設定し、被転写媒体の突出した領域に対応する領域に吸引溝を設け、被転写媒体の内径の周縁を吸引溝で吸引し仮密着させる方法がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−099921号公報
【特許文献2】特許第3775589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、この方法では吸着溝と被転写媒体とを適切に接触させることが難しく、転写用原盤に対して溝部が出ていると被転写媒体に打痕やスクラッチを発生させたり、塵を発生させたりする原因となり、逆に溝部が下がっていると吸着ミスの原因となるため、運用が難しいという課題がある。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転写用原盤に書き込まれた転写情報と被転写媒体の中心を合わせた後、被転写媒体をホルダーに設置する際に、位置ずれや部分的に強く当たることなく確実に設置することで高い転写精度を実現し、また磁気転写後の被転写媒体を確実に回収できる磁気転写装置及び磁気転写方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、磁気的な転写情報を有する転写用原盤を被転写媒体に密着させ、転写用磁界を印加して磁気転写をする磁気転写装置であって、貫通穴を有する対向する1対の転写用原盤ホルダーと、前記転写用原盤ホルダーに固定されたとき、前記転写用原盤ホルダーの貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する転写用原盤と、一方の前記転写用原盤ホルダーの所定の位置で保持し、前記転写用原盤から転写を受ける被転写媒体の中心と、前記転写用原盤に記録された転写情報の中心との内径中心が重なるように前記被転写媒体を位置決めするハンドと、前記転写用原盤ホルダー及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吸引して被転写媒体を前記転写用原盤に仮密着させ、かつ、前記転写用原盤ホルダー及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吹き出して前記被転写媒体を前記転写用原盤から剥離させる仮密着・剥離手段と、前記1対の転写用原盤ホルダーを互いに押圧して前記転写用原盤と前記被転写媒体の密着体を形成するホルダー開閉手段と、前記密着体に磁界を印加する磁界発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の磁気転写装置において、前記転写用原盤ホルダーと前記転写用原盤との間の一方または両方に配置され、前記転写用原盤ホルダー及び前記転写用原盤の貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する弾性体をさらに備え、仮密着・剥離手段は、前記転写用原盤ホルダー、前記弾性体及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吸引し、かつ吹き出すことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、磁気的な転写情報を有する転写用原盤を被転写媒体に密着させ、転写用磁界を印加して磁気転写をする磁気転写装置であって、溝を有する対向する1対の転写用原盤ホルダーと、前記転写用原盤ホルダーに固定されたとき、前記転写用原盤ホルダーの溝上に貫通穴を有する転写用原盤と、一方の前記転写用原盤ホルダーの所定の位置で保持し、前記転写用原盤から転写を受ける被転写媒体の中心と、前記転写用原盤に記録された転写情報の中心との内径中心が重なるように前記被転写媒体を位置決めするハンドと、前記転写用原盤ホルダーの溝及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吸引して被転写媒体を前記転写用原盤に仮密着させ、かつ、前記転写用原盤ホルダーの溝及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吹き出して前記被転写媒体を前記転写用原盤から剥離させる仮密着・剥離手段と、前記1対の転写用原盤ホルダーを互いに押圧して前記転写用原盤と前記被転写媒体の密着体を形成するホルダー開閉手段と、前記密着体に磁界を印加する磁界発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の磁気転写装置において、前記転写用原盤ホルダーと前記転写用原盤との間の一方または両方に配置され、前記転写用原盤の貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する弾性体をさらに備え、仮密着・剥離手段は、前記転写用原盤ホルダーの溝、並びに前記弾性体及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吸引し、かつ吹き出すことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気転写装置であって、前記ホルダー開閉手段は、一方の前記転写用原盤ホルダー側の前記溝又は前記貫通穴から空気を吹き出し、他方の前記転写用原盤ホルダー側の前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引しながら前記一対の転写用原盤ホルダーを開くことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、磁気的な転写情報を有する転写用原盤を被転写媒体に密着させ、転写用磁界を印加して磁気転写をする磁気転写装置であって、溝又は貫通穴を有する対向する1対の転写用原盤ホルダーと、前記転写用原盤ホルダーに固定されたとき、前記転写用原盤ホルダーの溝上又は貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する転写用原盤と、前記被転写媒体を位置決めするハンドと、前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引し、及び吹き出す仮密着・剥離手段と、ホルダー開閉手段と、磁界を印加する磁界発生手段と、を備えた磁気転写装置において行う磁気転写方法であって、前記ハンドにより被転写媒体を一方の前記転写用原盤ホルダーの所定の位置で保持し、前記転写用原盤から転写を受ける被転写媒体の中心と、前記転写用原盤に記録された転写情報の中心との内径中心が重なるように前記被転写媒体を位置決めするステップと、前記仮密着・剥離手段により、前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引して被転写媒体を前記転写用原盤に仮密着させるステップと、前記ホルダー開閉手段により、前記1対の転写用原盤ホルダーを互いに押圧して前記転写用原盤と前記被転写媒体の密着体を形成するステップと、前記磁界発生手段により、前記密着体に磁界を印加するステップと、前記仮密着・剥離手段により、前記溝又は前記貫通穴から空気を吹き出して前記被転写媒体を前記転写用原盤から剥離させるステップと、前記ホルダー開閉手段により、前記1対の転写用原盤ホルダーを開くステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の磁気転写方法において、前記磁気転写装置は、前記転写用原盤ホルダーと前記転写用原盤との間の一方または両方に配置され、前記転写用原盤の貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する弾性体をさらに備え、前記仮密着させるステップは、前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引し、前記剥離させるステップは、前記溝又は前記貫通穴から空気を吹き出すことを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の磁気転写方法において、前記1対の転写用原盤ホルダーを開くステップは、前記仮密着・剥離手段が、一方の前記転写用原盤ホルダー側の前記溝又は前記貫通穴から空気を吹き出し、他方の前記転写用原盤ホルダー側の前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引しながら前記一対の転写用原盤ホルダーを開くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、転写用原盤に書き込まれた転写情報と被転写媒体の中心を合わせた後、被転写媒体をホルダーに設置する際に、位置ずれや部分的に強く当たることなく確実に設置することで高い転写精度を実現し、また磁気転写後の被転写媒体を確実に回収することが低コストで可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)、(b)は、磁気転写原理を模式的に示した図である。
【図2】転写された磁気信号の一例を示す図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る磁気転写装置の動作を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る弾性体の構造を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る転写用原盤の構造を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る転写用原盤ホルダーの構造を示す図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る磁気転写装置における転写部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
先ず、本発明の概要を簡単に説明する。本発明は、転写用原盤の内周部、被転写媒体のクランプ領域に対向する部分に、貫通穴を設け、その貫通穴を介して予め位置調整された被転写媒体を吸引することにより、被転写媒体を高精度に転写用原盤及び転写用原盤ホルダーに把持する。これにより、被転写媒体を転写用原盤に密着させる際、被転写媒体を傷付け難くすることができる。
【0025】
転写後は、一方の転写用原盤ホルダー側の貫通穴を介して被転写媒体を吸引して把持しながら、他方の転写用原盤ホルダー側の貫通穴からエアーを吹き出して被転写媒体を剥離することで、被転写媒体を確実に転写用原盤ホルダーの所定の側に保持しながら転写用原盤ホルダーを開く。これにより、剥離時に被転写媒体を傷付け難くすることができる。
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
図3(a)〜(d)は、本発明を用いて磁気転写するための装置構成を記したものである。図3(a)は、転写用原盤1a、1b、被転写媒体2、弾性体3がホルダー4a、4bに設置され、ホルダー4a、4bの外側に磁場発生装置(磁界発生手段)5a、5bが配置された状態である。また、転写用原盤1a、弾性体3、ホルダー4aにはそれらを貫く貫通穴7aが設けられており、転写用原盤1b、ホルダー4bにはそれらを貫く貫通穴7bが設けられている。被転写媒体2は、貫通穴7bのホルダー4b側から排気することにより転写用原盤1bに密着させられている。
【0028】
本明細書では転写用原盤を2枚としたが、これは被転写媒体2の両面に信号を書き込む場合の構成であり、片面のみに信号を書き込む場合、転写用原盤は1枚、磁界発生手段は1つになる。
【0029】
図3(b)は、被転写媒体2と転写用原盤1の密着体6を形成した状態である。図示してないホルダー移動手段によって、図中上側のホルダー4aを図中下方向に移動させることにより被転写媒体2に転写用原盤1aを密着させ、密着体6を形成した状態を示す。この密着を所望の位置関係で確実に行なう手段として、ホルダー4aは図示していない移動手段(モータやエアシリンダなど)や、空間を作って排気する等によって加圧されることが多い。
【0030】
図3(c)は、磁気転写を行っている状態である。図示していない回転手段によって回転する磁界発生手段5a、5bを、転写用原盤1a、1bと被転写媒体2から成る密着体6に近接/離れることにより磁界を印加し、転写を実施する状態を表す。磁界発生手段は、永久磁石や電磁石が用いられる。
【0031】
図3(d)は、磁気転写された被転写媒体を取り出すために、ホルダーを開いている状態である。ホルダー4aは、図示していない移動手段により図中上方に移動させられる。このとき、貫通穴7aをパージ、7bを排気状態にすることにより、被転写媒体2は確実に図中下側のホルダー1bに保持された状態にできる。図中上側のホルダー1aに保持したい場合は、貫通穴7aを排気、貫通穴7bをパージすれば良い。
【0032】
図4は弾性体の表面に貫通穴を設けた状態を示す。図は円形穴を4つ設けた状態だが、円でなくともよい。数も所要の把持力が得られればいくつでも良い。
【0033】
図5は転写用原盤の表面に貫通穴を設けた状態を示す。図は円形穴を4つ設けた状態だが、円でなくともよい。数も所要の把持力が得られればいくつでも良い。
【0034】
図6はホルダーの表面に形成された吸引用の穴である。図では貫通穴を記したが、貫通穴に限らず溝等でもよい。
【0035】
図7(a)〜(c)は、被転写媒体2を転写用原盤1bに仮密着する様子と、転写後にホルダー4a、4bを開く際の様子とを、詳細に説明するための拡大図である。
【0036】
図7(a)に、仮密着時の状態を示す。(1)被転写媒体2は、図示していないハンドにより把持に把持された状態で、被転写媒体2の中心と転写用原盤1bの転写情報の中心ズレを修正する。(2)ハンドを用いて、被転写媒体2をホルダー4b上の転写用原盤1bに接触させる。(3)転写用原盤1bの内周縁部に設けた貫通穴7bを吸引し、被転写媒体2を把持する。(4)被転写媒体2が確実に吸引された後、ハンドの把持機構を解除し退避させる。この時点から、被転写媒体2は貫通穴7bによる吸引のみにより転写用原盤1bに密着させられる。尚、ハンドは、被転写媒体の内周部を吸引するものや、非接触ハンド等が適するが、それらに限定されない。
【0037】
図7(b)に、密着状態時の状態を示す。(1)図中上側のホルダー4aを、図示していない移動手段で下降させ、転写用原盤1aと被転写媒体2とを密着させる。(2)確実に密着させるために、図示していない手段でホルダー4a、4b間を圧縮する。(3)磁界を印加して情報を転写する。
【0038】
図7(c)に、ホルダー開放工程を示す。ホルダー4aを図中上方に移動させたときに、被転写媒体2が図中下側のホルダー4bに残す場合の操作方法を示す。(1)磁場印加が終わるとともに、貫通穴7aをパージ、貫通穴7bを排気する。(2)ホルダー4aを図示していない移動手段で上昇させる。このようにして被転写媒体2が図中下側のホルダー4bに保持された状態で、ホルダー4a、4bを開くことができる。
【0039】
上記の実施形態によれば、被転写媒体2を、転写用原盤1に対して位置ズレを生じないように確実に配置でき、更に供給時の局所接触等による、欠陥の発生や発塵を防止することができる。また、転写された媒体の剥離/把持も安定して行なえるため、製造工程の安定性も高めることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 転写用原盤
2 被転写媒体
3 弾性体
4 転写用原盤ホルダー
5 磁場発生装置
6 密着体
7 貫通穴
8 給排気用穴
101 転写用原盤
102 被転写媒体
103 磁石
140 転写信号
105 軟磁性による凹凸パターン
106 外部磁界
107 漏れ磁束
108 磁性層
109 磁化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気的な転写情報を有する転写用原盤を被転写媒体に密着させ、転写用磁界を印加して磁気転写をする磁気転写装置であって、
貫通穴を有する対向する1対の転写用原盤ホルダーと、
前記転写用原盤ホルダーに固定されたとき、前記転写用原盤ホルダーの貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する転写用原盤と、
一方の前記転写用原盤ホルダーの所定の位置で保持し、前記転写用原盤から転写を受ける被転写媒体の中心と、前記転写用原盤に記録された転写情報の中心との内径中心が重なるように前記被転写媒体を位置決めするハンドと、
前記転写用原盤ホルダー及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吸引して被転写媒体を前記転写用原盤に仮密着させ、かつ、前記転写用原盤ホルダー及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吹き出して前記被転写媒体を前記転写用原盤から剥離させる仮密着・剥離手段と、
前記1対の転写用原盤ホルダーを互いに押圧して前記転写用原盤と前記被転写媒体の密着体を形成するホルダー開閉手段と、
前記密着体に磁界を印加する磁界発生手段と、
を備えたことを特徴とする磁気転写装置。
【請求項2】
前記転写用原盤ホルダーと前記転写用原盤との間の一方または両方に配置され、前記転写用原盤ホルダー及び前記転写用原盤の貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する弾性体をさらに備え、
仮密着・剥離手段は、前記転写用原盤ホルダー、前記弾性体及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吸引し、かつ吹き出すことを特徴とする請求項1に記載の磁気転写装置。
【請求項3】
磁気的な転写情報を有する転写用原盤を被転写媒体に密着させ、転写用磁界を印加して磁気転写をする磁気転写装置であって、
溝を有する対向する1対の転写用原盤ホルダーと、
前記転写用原盤ホルダーに固定されたとき、前記転写用原盤ホルダーの溝上に貫通穴を有する転写用原盤と、
一方の前記転写用原盤ホルダーの所定の位置で保持し、前記転写用原盤から転写を受ける被転写媒体の中心と、前記転写用原盤に記録された転写情報の中心との内径中心が重なるように前記被転写媒体を位置決めするハンドと、
前記転写用原盤ホルダーの溝及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吸引して被転写媒体を前記転写用原盤に仮密着させ、かつ、前記転写用原盤ホルダーの溝及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吹き出して前記被転写媒体を前記転写用原盤から剥離させる仮密着・剥離手段と、
前記1対の転写用原盤ホルダーを互いに押圧して前記転写用原盤と前記被転写媒体の密着体を形成するホルダー開閉手段と、
前記密着体に磁界を印加する磁界発生手段と、
を備えたことを特徴とする磁気転写装置。
【請求項4】
前記転写用原盤ホルダーと前記転写用原盤との間の一方または両方に配置され、前記転写用原盤の貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する弾性体をさらに備え、
仮密着・剥離手段は、前記転写用原盤ホルダーの溝、並びに前記弾性体及び前記転写用原盤の貫通穴から空気を吸引し、かつ吹き出すことを特徴とする請求項3に記載の磁気転写装置。
【請求項5】
前記ホルダー開閉手段は、一方の前記転写用原盤ホルダー側の前記溝又は前記貫通穴から空気を吹き出し、他方の前記転写用原盤ホルダー側の前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引しながら前記一対の転写用原盤ホルダーを開くことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気転写装置。
【請求項6】
磁気的な転写情報を有する転写用原盤を被転写媒体に密着させ、転写用磁界を印加して磁気転写をする磁気転写装置であって、溝又は貫通穴を有する対向する1対の転写用原盤ホルダーと、前記転写用原盤ホルダーに固定されたとき、前記転写用原盤ホルダーの溝上又は貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する転写用原盤と、前記被転写媒体を位置決めするハンドと、前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引し、及び吹き出す仮密着・剥離手段と、ホルダー開閉手段と、磁界を印加する磁界発生手段と、を備えた磁気転写装置において行う磁気転写方法であって、
前記ハンドにより被転写媒体を一方の前記転写用原盤ホルダーの所定の位置で保持し、前記転写用原盤から転写を受ける被転写媒体の中心と、前記転写用原盤に記録された転写情報の中心との内径中心が重なるように前記被転写媒体を位置決めするステップと、
前記仮密着・剥離手段により、前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引して被転写媒体を前記転写用原盤に仮密着させるステップと、
前記ホルダー開閉手段により、前記1対の転写用原盤ホルダーを互いに押圧して前記転写用原盤と前記被転写媒体の密着体を形成するステップと、
前記磁界発生手段により、前記密着体に磁界を印加するステップと、
前記仮密着・剥離手段により、前記溝又は前記貫通穴から空気を吹き出して前記被転写媒体を前記転写用原盤から剥離させるステップと、
前記ホルダー開閉手段により、前記1対の転写用原盤ホルダーを開くステップと、
を有することを特徴とする磁気転写方法。
【請求項7】
前記磁気転写装置は、前記転写用原盤ホルダーと前記転写用原盤との間の一方または両方に配置され、前記転写用原盤の貫通穴と同じ位置に貫通穴を有する弾性体をさらに備え、
前記仮密着させるステップは、前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引し、前記剥離させるステップは、前記溝又は前記貫通穴から空気を吹き出すことを特徴とする請求項6に記載の磁気転写方法。
【請求項8】
前記1対の転写用原盤ホルダーを開くステップは、前記仮密着・剥離手段が、一方の前記転写用原盤ホルダー側の前記溝又は前記貫通穴から空気を吹き出し、他方の前記転写用原盤ホルダー側の前記溝又は前記貫通穴から空気を吸引しながら前記一対の転写用原盤ホルダーを開くことを特徴とする請求項6又は7に記載の磁気転写方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−182364(P2010−182364A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24098(P2009−24098)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)