磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造
【課題】被固定体への組み付け性に優れ、コア割れが発生し難い、放熱性に優れた、低コストの磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造を提供すること。
【解決手段】磁気部品ユニット1は、コイル21と上コア22及び下コア23とを有する磁気部品2と、磁気部品を保持する保持機能と、磁気部品を被固定体に固定する固定機能とを併せ持つバネホルダ3とを備えている。バネホルダは、上コアの上面221に圧接する板バネ部31と、下コアの下面を係止する保持脚部32と、外側へ突き出した固定脚部33とを有する。バネホルダの保持機能は板バネ部と保持脚部とにより実現され、バネホルダの固定機能は板バネ部と固定脚部とにより実現される。保持脚部は、下コアの側面232に当接する側面当接部321と、下コアの下側角部233の側方にクリアランスを形成するクリアランス形成部322と、下コアの下面を支承する支承部323とを有する。
【解決手段】磁気部品ユニット1は、コイル21と上コア22及び下コア23とを有する磁気部品2と、磁気部品を保持する保持機能と、磁気部品を被固定体に固定する固定機能とを併せ持つバネホルダ3とを備えている。バネホルダは、上コアの上面221に圧接する板バネ部31と、下コアの下面を係止する保持脚部32と、外側へ突き出した固定脚部33とを有する。バネホルダの保持機能は板バネ部と保持脚部とにより実現され、バネホルダの固定機能は板バネ部と固定脚部とにより実現される。保持脚部は、下コアの側面232に当接する側面当接部321と、下コアの下側角部233の側方にクリアランスを形成するクリアランス形成部322と、下コアの下面を支承する支承部323とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気部品を保持すると共に被固定体に固定するためのバネホルダとを備えた磁気部品ユニット、及び磁気部品を被固定体に固定した磁気部品固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランス、チョークコイル、リアクトル等の磁気部品として、導体を巻回してなるコイルと、該コイルを巻回軸方向の両側から挟持するように配された上コア及び下コアとを有するものがある。
かかる磁気部品を筐体等の被固定体に固定するに当たって、図17に示すごとく、磁気部品92の上コア922と下コア923とを保持する保持部931と磁気部品92を被固定体である筐体94に固定する固定部934とを有するバネホルダ93を用いることが提案されている(特許文献1)。
【0003】
すなわち、まず、保持部931によって上コア922と下コア923とを巻回軸方向から挟持することにより、磁気部品92にバネホルダ93を装着して磁気部品ユニットを形成する。次いで、固定部934を筐体94に対してネジ留めすることにより、磁気部品ユニットを筐体94に固定する。
このように、上記バネホルダ93は、磁気部品92の上コア922と下コア923とを保持する機能を有する上記保持部931と、磁気部品92を筐体94に固定する機能を有する上記固定部934とを一体化してなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−94312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記バネホルダ93は、単に、保持部931と固定部934とを一体化しただけの構成である。すなわち、保持部931は、上コア922の上面に当接する保持用板バネ部932と、該保持用板バネ部932の両端から垂下して下コア923の下面を係止する保持脚部933とを有し、固定部934は、上コア922の上面に当接する固定用板バネ部935と、該固定用板バネ部935の両端から垂下すると共に外方へ突出した固定脚部936とを有する。そして、保持用板バネ部931と固定用板バネ部934とにおいて連結部937によって連結されている。
それゆえ、一部材であるにもかかわらず、バネホルダ93の材料費の低減にはつながらない。
【0006】
また、上記磁気部品の固定構造においては、下コア923の下面を筐体94における搭載面941に圧接した状態で、磁気部品92が筐体94に固定される。それゆえ、磁気部品92が筐体94に固定された状態においては、保持部931によって上コア922と下コア923とを保持しておく必要は特にない。
そして、固定用板バネ部935と保持用板バネ部932とは、互いに独立しているため、保持部931において磁気部品92にバネホルダ93を装着した磁気部品ユニットの状態においても、固定部934は変形する前の自由状態にある。それゆえ、磁気部品ユニットを筐体94に固定する際、固定部934を大きく変形させる必要があり、固定作業に手間がかかるという問題もある。
ここで、固定部934の変位を小さくすると、固定部934によって磁気部品92を筐体94に押圧する力が小さくなり、筐体94を通じた磁気部品92の放熱性が低下する、或いは振動に耐えられるだけの固定力を確保できないおそれがある。
【0007】
また、上記バネホルダ93は、保持脚部933が上コア922及び下コア923の側面に、その上下方向の全体にわたって接触するように装着され、下コア923の下側角部924にも、側方から保持脚部933が接触した状態となる。そのため、少しでも保持脚部933が傾斜すると保持脚部933から下側角部924に応力がかかり、下コア923に割れが生じるおそれがある。
また、保持脚部933の下端部には、内側に屈曲して下コア923の下面を支承する支承部938が形成されているが、この支承部938の屈曲部の内側面は曲面状となるため、この曲面部に下コア923の下側角部924が当接して、下コア923に割れが生じるおそれもある。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、被固定体への組み付け性に優れ、コア割れが発生し難い、放熱性に優れた、低コストの磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、互いに対向して配置された上コア及び下コアと、上記上コア及び上記下コアにより形成される磁路が鎖交するように配されたコイルとを有する磁気部品と、
該磁気部品を保持する保持機能と、該磁気部品を被固定体に固定する固定機能とを併せ持つバネホルダとを備え、
該バネホルダは、上記上コアの上面に圧接する板バネ部と、該板バネ部の両端から垂下すると共に上記下コアの下面を係止する少なくとも一対の保持脚部と、上記板バネ部の両端から垂下すると共に外側へ突き出した少なくとも一対の固定脚部とを有し、
該バネホルダの上記保持機能は、上記板バネ部と上記保持脚部とによって実現され、
上記バネホルダの上記固定機能は、上記板バネ部と上記固定脚部とによって実現され、
上記保持脚部は、内側に突出して上記下コアの側面に当接する側面当接部と、該側面当接部よりも下方において上記下コアの下側角部の側方にクリアランスを形成するクリアランス形成部と、上記下コアの下面を支承する支承部とを有することを特徴とする磁気部品ユニットにある(請求項1)。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に係る磁気部品ユニットを上記被固定体に固定してなる磁気部品固定構造であって、
上記被固定体は、上記磁気部品を搭載する搭載面と、上記固定脚部を締結固定する締結面とを有し、
上記締結面に上記固定脚部が締結部材によって締結固定され、
上記搭載面に上記下コアの下面が圧接し、
上記保持脚部の上記支承部は、上記下コアの下面から離れていることを特徴とする磁気部品固定構造にある(請求項10)。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の発明において、上記バネホルダは、上記板バネ部と上記保持脚部とによって上記保持機能を実現し、上記板バネ部と上記固定脚部とによって上記固定機能を実現している。すなわち、上記保持機能と上記固定機能とを、共通の上記板バネ部を利用して実現することができる。そのため、バネホルダの材料費の低減を図ることができる。
【0012】
また、上記バネホルダは、上記板バネ部と、該板バネ部の両端からそれぞれ垂下する上記一対の保持脚部及び上記一対の固定脚部とを有する。これにより、上記磁気部品ユニットを被固定体に固定する際における板バネ部の変形量を小さくすることができる。
つまり、磁気部品にバネホルダを装着した磁気部品ユニットの状態、すなわち、板バネ部が上コアの上面に圧接すると共に保持脚部が下コアの下面に係合した状態において、上記板バネ部は、すでに自由状態からある程度変形(主に弾性変形)した状態となっている。それゆえ、上記磁気部品ユニットを上記被固定体に固定する際には、すでにある程度変形している板バネ部を、さらに同じ方向へ変形させるだけなので、このときの板バネ部の変形量を小さくすることができる。
【0013】
つまり、自由状態にある板バネ部を一気に変形させるのではなく、磁気部品ユニットを構成した時点である程度変形させてあるため、段階的に変形させることができる。
それゆえ、磁気部品ユニットを被固定体に固定する際、板バネ部を大きく変形させる必要がなく、それに伴い固定脚部を大きく変位させる必要がなく、被固定体への組み付けを容易に行うことができる。
【0014】
そして、このときの板バネ部の変位を大きくしなくても、磁気部品ユニットを被固定体に大きな力で押圧することができる。そのため、磁気部品を充分な力で被固定体に圧接することができ、被固定体を通じた磁気部品の放熱性、及び耐振性を充分に確保することができる。
【0015】
また、上記保持脚部は、上記側面当接部を内側に突出形成してなる。そのため、バネホルダに対する磁気部品の水平方向(巻回軸方向に直交する方向)への下コアのずれを防ぐことができる。
そして、上記保持脚部は、上記クリアランス形成部を有し、上記下コアの下側角部の側方にクリアランスを形成している。これにより、保持脚部における支承部の屈曲部の内面が下側角部に干渉することを防ぐことができる。そのため、下側角部から下コアに割れが発生することを効果的に防ぐことができる。
【0016】
上記第2の発明は、上記磁気部品ユニットを被固定体に固定してなる磁気部品固定構造である。そのため、上記第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
そして、上記保持脚部の上記支承部は、上記下コアの下面から離れている。そのため、板バネ部の付勢力(復元力)が直接、被固定体に対する磁気部品の圧接力となる。それゆえ、磁気部品が被固定体に対して強固に圧接された状態で固定されることとなり、安定した磁気部品固定構造を得ることができる。
また、上記下コアの下面が充分な力で上記被固定体に圧接するため、上記磁気部品の熱を被固定体に伝え、磁気部品を効果的に冷却することができる。
【0017】
以上のごとく、本発明によれば、被固定体への組み付け性に優れ、コア割れが発生し難い、放熱性に優れた、低コストの磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1における、磁気部品ユニットの断面図であって、図2のA−A線矢視断面図。
【図2】実施例1における、磁気部品ユニットの平面図。
【図3】実施例1における、バネホルダの斜視図。
【図4】実施例1における、自由状態にあるバネホルダの断面図。
【図5】実施例1における、バネホルダを磁気部品に装着する直前の断面説明図。
【図6】実施例1における、磁気部品の斜視図。
【図7】実施例1における、磁気部品ユニットを筐体内に載置した状態の断面説明図。
【図8】実施例1における、磁気部品固定構造の断面図。
【図9】実施例1における、被固定体の位置決め用突起部にフランジ部の位置決め用係合部が係合した状態を示す平面図。
【図10】バネホルダにクリアランス形成部を設けなかった場合の不具合を示す断面説明図。
【図11】実施例2における、磁気部品固定構造の断面図。
【図12】実施例3における、磁気部品ユニットの部分断面図。
【図13】実施例4における、磁気部品ユニットの平面図。
【図14】図13のB−B線矢視断面図。
【図15】実施例5における、磁気部品ユニットの平面図。
【図16】図15のC−C線矢視断面図。
【図17】背景技術における、磁気部品固定構造の展開斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明において、上記上コア及び上記下コアは、特に上下関係を限定するものではなく、便宜的な表現であり、これらの位置関係が上下逆となっても、水平方向や斜めとなってもよい。同様に、他の「上」、「下」の表現も、実際の上下関係を限定するものではない。
【0020】
また、上記第1の発明または上記第2の発明において、上記磁気部品としては、例えば、トランス、チョークコイル、リアクトル等がある。
また、上記バネホルダは、1個であっても、複数個配設されていてもよい。
また、上記上コア及び上記下コアは、それぞれ複数個であってもよい。この場合、コアの数に対応して、複数の上記バネホルダが配設されていることが好ましい。
【0021】
また、上記バネホルダは、少なくとも上記板バネ部が変形可能となっており、その変形は、主に弾性変形であるが、その変位によっては、塑性変形をも生じることもある。すなわち、板バネ部の変位が弾性域内に収まっていれば、弾性変形のみとなるが、板バネ部の変位が塑性域まで達すれば、弾性変形に併せて塑性変形も生じる。ただし、この場合でも、弾性変形分の復元力は保持した状態にあるため、塑性変形を伴って変形した状態で上記バネホルダが磁気部品に装着されたり、上記被固定体に固定されたりしても、その機能を発揮することは可能である。
したがって、本明細書では、上記板バネ部を含め上記バネホルダの各部に関して「変形」と言った場合には、主に弾性変形を意味するが、弾性変形と併せて塑性変形する場合をも意味する。
【0022】
また、上記バネホルダは、上記一対の保持脚部が互いに近付く方向に付勢されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記磁気部品の位置決めをより確実に行うことができる。また、下コアの下面に支承部をより確実に接触させることができるため、その保持機能を確実に発揮させることができる。
【0023】
また、上記側面当接部は、上記下コアと上記上コアとの双方にわたって当接していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記下コアと上記上コアとの双方の位置決めを正確に行うことができる。
【0024】
また、上記下コアは、上記下面の外周の少なくとも一部に切欠段部を形成してなり、該切欠段部に上記バネホルダの上記支承部が配置されるよう構成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記被固定体における上記下コアを載置する搭載面に、上記バネホルダの上記支承部が干渉することを防ぐことができる。また、上記搭載面に、支承部の干渉を防ぐ逃し部を形成する必要もないため、被固定体の構成を簡単にすることができる。
【0025】
また、上記保持脚部の一部と上記固定脚部の一部とは、上記板バネ部の両端から垂下した共有脚部を共有していることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記板バネ部の弾性力を充分に確保することができる。
【0026】
また、上記保持脚部と上記固定脚部とは、上記共有脚部の下端から互いに分岐して更に下方へ延びていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記固定脚部から独立して上記保持脚部を変形させることができるため、その変形に必要な力は小さく、上記磁気部品への上記バネホルダの装着を容易に行うことができる。
【0027】
また、上記保持脚部及び上記固定脚部は、それぞれ一対ずつ形成されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記バネホルダの構成を簡単にすることができ、磁気部品への装着が容易となると共に、バネホルダの材料費や加工費を低減することができる。
【0028】
また、上記保持脚部の剛性は、上記板バネ部の剛性以下であることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記バネホルダを上記磁気部品に装着する際に、上記板バネ部の変形を抑制し、上記保持脚部を大きく変形させることができるため、磁気部品への装着性を一層向上させることができる。また、板バネ部の過大な変形を避けることができるため、バネホルダを磁気部品に装着した後における板バネ部の復元力を充分に確保することができ、バネホルダによる磁気部品の保持力及び被固定体への固定力を確保することができる。
【0029】
また、上記固定脚部は、外方へ突き出したフランジ部を有し、該フランジ部には、上記バネホルダを上記被固定体に締結するための締結部材を挿通するための貫通孔が形成されており、該貫通孔は、上記フランジ部の突出方向に長い長孔からなることが好ましい(請求項9)。
この場合には、被固定体に対するバネホルダの寸法精度が特に高くなくても、バネホルダを被固定体に容易に固定することができる。すなわち、バネホルダには、曲げ部が多く形成されていると共に、上コア及び下コアを挟持した状態においては自由状態から変形した状態にあるため、特に、フランジ部の突出方向に平行な方向の寸法精度が低くなりやすい。そこで、上記貫通孔が、上記フランジ部の突出方向に長い長孔であることによって、磁気部品を保持したバネホルダを被固定体に固定する際、締結部材を貫通孔に容易に挿通させることができる。
また、特に、磁気部品を被固定体に自動組み付けする際には、被固定体に対する貫通孔のズレは、生産効率に大きな影響を与えることとなるため、貫通孔を長孔とすることによる効果を特に発揮することができる。
【0030】
次に、上記第2の発明において、上記被固定体の上記搭載面には、上記保持脚部の上記支承部との干渉を避けるための逃し部が形成されていてもよい(請求項11)。
この場合には、上記下コアに上記切欠段部を形成する必要が特になくなる。また、上記切込段部を形成してある場合においても、上記逃し部を形成することによって、上記支承部の配設空間を大きくすることができる。これにより、磁気部品ユニットを被固定体に固定する際の板バネ部の変形量を大きくすることも可能になり、設計自由度が向上する。
【0031】
また、上記固定脚部は、上記被固定体における上記締結面に設けた位置決め用突起部と係合する位置決め用係合部を有することが好ましい(請求項12)。
この場合には、磁性部品を保持したバネホルダを被固定体に、締結部材によって締結固定する前に、まず、上記位置決め用突起部に上記位置決め用係合部を係合させることによって、磁性部品を保持したバネホルダを被固定体に対して位置決めすることができる。これにより、両者を容易に締結固定することができる。
また、上記のように、上記位置決め用突起部に上記位置決め用係合部を係合させておくことにより、磁性部品を被固定体に配置した後、締結固定する前までの間に、両者がずれることを防ぐことができる。例えば、磁性部品を被固定体に配置した後、締結固定する前までの間に、磁性部品を載置した被固定体が搬送されることもある。このとき、搬送に伴う振動によって、磁性部品と被固定体とが位置ずれし、被固定体に対するバネホルダの位置がずれてしまうことも考えられる。しかし、上記のように、上記位置決め用突起部に上記位置決め用係合部を係合させておくことにより、両者がずれることを防ぎ、両者の締結固定を円滑に行うことができる。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造につき、図1〜図8を用いて説明する。
本例の磁気部品ユニット1は、図1に示すごとく、磁気部品2とバネホルダ3とを備えている。
【0033】
磁気部品2は、互いに対向して配置された上コア22及び下コア23と、上コア22及び下コア23により形成される磁路が鎖交するように配されたコイル21とを有する。すなわち、導体を巻回してなるコイル21を、巻回軸方向の両側から挟持するように上コア22及び下コア23が配されている。
図1〜図4、図11に示すごとく、バネホルダ3は、磁気部品2を保持する保持機能と、磁気部品2を被固定体としての筐体4に固定する固定機能とを併せ持つ。
【0034】
バネホルダ3は、上コア22の上面221に圧接する板バネ部31と、該板バネ部31の両端から垂下すると共に下コア23の下面231を係止する少なくとも一対の保持脚部32と、板バネ部31の両端から垂下すると共に外側へ突き出した少なくとも一対の固定脚部33とを有する。
【0035】
バネホルダ3の保持機能は、板バネ部31と保持脚部32とによって実現される。また、バネホルダ3の固定機能は、板バネ部31と固定脚部33とによって実現される。
図1に示すごとく、保持脚部32は、内側に突出して下コア23の側面232に当接する側面当接部321と、側面当接部321よりも下方において下コア23の下側角部233の側方にクリアランスを形成するクリアランス形成部322と、下コア23の下面231を支承する支承部323とを有する。
【0036】
本例においては、上記磁気部品2は、絶縁型DC−DCコンバータにおいて使用されるトランスである。それゆえ、本例においては、上記コイル21は、一次コイルと二次コイルとからなるが、図面上はこれを省略している。
また、上コア22及び下コア23は、コイル21の巻回中心軸に沿った平面による断面の形状が略E字状となる、いわゆるE型コアであり、コイル21の内側に挿入配置される中心磁脚228、238と、コイル21の外周に配される外周磁脚229、239とを有する。そして、上コア22と下コア23とは、外周磁脚229、239同士において、互いに当接している。そして、上コア22の側面222と下コア23の側面232とは同一面を構成している。
【0037】
バネホルダ3は、例えばステンレス鋼、銅または銅合金等の金属板を切り曲げすることによって構成されている。
板バネ部31は、中央が下方へ向かうように湾曲しており、その中央部において上コア22の上面221に当接している。
【0038】
バネホルダ3は、一対の保持脚部32が互いに近付く方向に付勢されている。すなわち、図4に示すごとく、磁気部品2に装着する前の状態(自由状態)においては、装着された状態(図1)よりも、一対の保持脚部32が互いに近付いており、一対の側面当接部321の間の距離が小さい状態にある。
【0039】
図1に示すごとく、側面当接部321は、下コア23と上コア22との双方にわたって当接している。側面当接部321は、下コア23の側面232と上コア22の側面222とに接する平面状に形成されており、その平面部が、下コア23と上コア22との接合面の上下にわたって、側面232と側面222とに当接している。
図1、図6に示すごとく、下コア23は、下面231の外周の一部に切欠段部234を形成してなる。この切欠段部234にバネホルダ3の支承部323が配置される。
【0040】
なお、上コア22の上面221の外周の一部にも、上記切欠段部234と同様の切欠段部224が形成されているが、この切欠段部224には、特に部材が配置されることはない。本例においては、生産性の観点から、上コア22と下コア23とを同一形状としているため、上コア22にも切欠段部224が形成されるが、機能上必ずしも必要ではない。
【0041】
図3に示すごとく、保持脚部32の一部と固定脚部33の一部とは、板バネ部31の両端から垂下した共有脚部34を共有している。そして、保持脚部32と固定脚部33とは、共有脚部34の下端から互いに分岐して更に下方へ延びている。
保持脚部32及び固定脚部33は、それぞれ一対ずつ形成されている。
保持脚部32の剛性は、板バネ部31の剛性以下である。本例においては、保持脚部32は、板バネ部31よりも板幅が小さく、剛性が低い。
【0042】
固定脚部33は、共有脚部34から下方に垂下した垂下部331と、該垂下部331の下端から外方へ屈曲したフランジ部332とを有する。フランジ部332には、後述するネジ11を挿通するための貫通孔333が形成されている。貫通孔333は、フランジ部332の突出方向に長い長孔からなる。
保持脚部32は、共有脚部34から、上記垂下部331の下端よりも下方へ延びた位置に、上記側面当接部321を設け、さらに下方へ延びて、その下端において内側へ屈曲することによって、上記支承部323を設けている。図1に示すごとく、支承部323は、下コア23の下面231に平行な状態で、下面231(切欠段部234)に面接触している。
【0043】
支承部323の外側には、保持脚部32を略直角に折り曲げた屈曲部が形成されており、その内側面には、例えば曲率半径1〜2mm程度の曲面が形成されるが、この曲面は下コア23における下側角部233から離れた位置に配置されている。すなわち、支承部323と側面当接部321との間には、上記クリアランス形成部322が形成され、下側角部233の側方には、保持脚部32との間にクリアランスが形成されている。
【0044】
本例の磁気部品ユニット1を形成するに当たっては、まず、図5、図6に示すごとく、コイル21をその上下から上コア22と下コア23とによって挟持した状態の磁気部品2を構成し、該磁気部品2に対して、バネホルダ3を装着する。バネホルダ3の装着に当たっては、図5に示すごとく、バネホルダ3における保持脚部32を外方へ広げるように変形させる。このとき、板バネ部31や、共有脚部34も多少変形するが、保持脚部32が大きく変形する。そして、少なくとも一対の側面当接部321の間の距離が、磁気部品2の幅よりも大きくなるまで変形させる。
【0045】
この状態で、板バネ部31の下面を上コア22の上面221に圧接しながら、保持脚部32を復元させて、側面当接部321を上コア22の側面222と下コア23の側面232に当接させ、さらに下コア23の下方へ支承部323を配置する。
次いで、板バネ部31を復元させることにより、支承部323を下コア23の下面231における切欠段部234に係合させる。
以上により、図1に示す磁気部品ユニット1を組み立てる。
【0046】
そして、図7、図8に示すごとく、筐体4に、磁気部品ユニット1を収容すると共に固定する。
筐体4は、磁気部品2を搭載する搭載面41を有する底板部410と、該底板部410から立設した壁部420とを備え、該壁部420の上面から、ネジ穴43が切られている。すなわち、壁部420の上面が、固定脚部33を締結固定する締結面42となる。
【0047】
磁気部品ユニット1を筐体4に組み付けるに当たっては、図7に示すごとく、まず、下コア23の下面231が筐体4の搭載面41に面接触するように、磁気部品ユニット1を筐体4内に載置する。
ここで、図9に示すごとく、固定脚部33は、筐体4における締結面42に設けた位置決め用突起部421と係合する位置決め用係合部334を有する。位置決め用係合部334は、固定脚部33のフランジ部332における幅方向の両側から内側にくびれた状態で形成されている。
一方、位置決め用突起部421は、筐体4における締結面421から上方へ突出した円柱ピンからなる。この位置決め用突起部421は、一つのフランジ部332に対して2個形成されている。
【0048】
そして、磁気部品ユニット1を筐体4内に載置したとき、フランジ部332に形成された一対の位置決め用係合部334が、2個一対の位置決め用突起部421に係合する。これにより、磁気部品ユニット1は、筐体4に対して、水平方向に位置決めされる。
また、この状態において、一対の固定脚部33のフランジ部332は、筐体4の締結面42から浮いた状態にある。
【0049】
次いで、締結部材としてのネジ11を、フランジ部332に形成された貫通孔333に挿通すると共に、壁部420に形成されたネジ穴43に螺合する。
これにより、図8に示すごとく、フランジ部43は締結面42に接触し、板バネ部31は変形してその付勢力(復元力)を高めた状態で、上コア22の上面221すなわち磁気部品2の上面を圧接する。これに伴い、搭載面41に下コア23の下面231すなわち磁気部品2の下面が圧接する。
その結果、バネホルダ3の固定機能によって、磁気部品2が筐体4に強固に固定されることとなる。
【0050】
また、板バネ部31の変形に伴って、保持脚部32が下降する。これにより、支承部323が下降して、下コア23の下面231(切欠段部234)から離れる。そのため、この状態においては、バネホルダ3の保持機能は働かなくなるが、上記固定機能によって、磁気部品2は一体となって筐体4に固定されるため、保持機能は不要である。
【0051】
また、保持脚部32の下降に伴って、側面当接部321も下降するが、この状態においても、側面当接部321は、上コア22の側面222と下コア23の側面232との双方にわたって当接している。
このようにして、磁気部品2がバネホルダ3によって筐体4に固定された、磁気部品固定構造10が形成される。
【0052】
次に、本例の作用効果につき説明する。
バネホルダ3は、板バネ部31と保持脚部32とによって上記保持機能を実現し、板バネ部31と固定脚部33とによって上記固定機能を実現している。すなわち、保持機能と固定機能とを、共通の板バネ部31を利用して実現することができる。そのため、バネホルダ3の材料費の低減を図ることができる。
【0053】
また、バネホルダ3は、板バネ部31と、板バネ部31の両端からそれぞれ垂下する一対の保持脚部32及び一対の固定脚部33とを有する。これにより、磁気部品ユニット1を被固定体である筐体4に固定する際における板バネ部31の変形量を小さくすることができる。
【0054】
つまり、磁気部品2にバネホルダ3を装着した磁気部品ユニット1の状態(図1)、すなわち、板バネ部31が上コア22の上面221に圧接すると共に保持脚部32が下コア23の下面231に係合した状態において、板バネ部31は、すでに自由状態(図4)からある程度変形した状態となっている。それゆえ、図7、図8に示すごとく、磁気部品ユニット1を筐体4に固定する際には、すでにある程度変形している板バネ部31を、さらに同じ方向へ変形させるだけなので、このときの板バネ部31の変形量を小さくすることができる。
【0055】
つまり、自由状態にある板バネ部31を一気に変形させるのではなく、磁気部品ユニット1を構成した時点である程度変形させてあるため、段階的に変形させることができる。
それゆえ、磁気部品ユニット1を筐体4に固定する際、板バネ部31を大きく変形させる必要がなく、それに伴い固定脚部32を大きく変位させる必要がなく、筐体4への組み付けを容易に行うことができる。
【0056】
そして、このときの板バネ部31の変位を大きくしなくても、磁気部品ユニット1を筐体4に大きな力で押圧することができる。そのため、磁気部品2を充分な力で筐体4に圧接することができ、筐体4を通じた磁気部品2の放熱性、及び耐振性を充分に確保することができる。
【0057】
また、図1に示すごとく、保持脚部32は、側面当接部321を内側に突出形成してなる。そのため、バネホルダ3に対する磁気部品2の水平方向(巻回軸方向に直交する方向)への下コア23のずれを防ぐことができる。
そして、保持脚部32は、クリアランス形成部322を有し、下コア23の下側角部233の側方にクリアランスを形成している。これにより、保持脚部32における支承部323の屈曲部の内面が下側角部233に干渉することを防ぐことができる。そのため、下側角部233から下コア23に割れが発生することを効果的に防ぐことができる。
【0058】
すなわち、仮にクリアランス形成部322がないとすると、図10に示すごとく、保持脚部32における支承部323の屈曲部329に、下コア23の下側角部233が乗り上げるおそれがある。つまり、支承部323は金属板を屈曲させて構成したものであるため、その屈曲部329の内側面には、例えば曲率半径1〜2mm程度の曲面ができてしまう。一方、下コア322は特に面取りを行わないことが多いため、下側角部233はいわゆるピン角となっている。このピン角の下側角部233が屈曲部329に乗り上げると、下側角部233に応力が集中し、ここを起点に下コア23に割れが発生するおそれがある。そして、それにより、磁気部品2の磁気特性に影響を与えるおそれもある。
そこで、図1に示すごとく、上記クリアランス形成部322を形成することによって、下側角部233にバネホルダ3が当接することを防ぐことにより、上記のような不具合を防ぐことができる。
【0059】
また、バネホルダ3は、一対の保持脚部32が互いに近付く方向に付勢されているため、磁気部品32の位置決めをより確実に行うことができる。また、下コア23の下面231に支承部323をより確実に接触させることができるため、その保持機能を確実に発揮させることができる。
また、側面当接部321は、下コア23と上コア22との双方にわたって当接しているため、下コア23と上コア22との双方の位置決めを正確に行うことができる。
【0060】
また、下コア23は切欠段部234を形成してなり、切欠段部234にバネホルダ3の支承部323が配置される。これにより、筐体4の搭載面41に、支承部323が干渉することを防ぐことができる。また、後述する実施例2のように、搭載面41に逃し部(図11における符号411参照。)を形成する必要もないため、筐体4の構成を簡単にすることができる。
【0061】
また、図3に示すごとく、保持脚部32の一部と固定脚部33の一部とが共有脚部34を共有しているため、上記板バネ部31の弾性力を充分に確保することができる。
また、保持脚部32と固定脚部33とは、共有脚部34の下端から互いに分岐して更に下方へ延びている。それゆえ、図5に示すごとく、固定脚部33から独立して保持脚部32を変形させることができるため、その変形に必要な力は小さく、磁気部品2へのバネホルダ3の装着を容易に行うことができる。
【0062】
また、保持脚部32及び固定脚部33は、それぞれ一対ずつ形成されているため、バネホルダ3の構成を簡単にすることができ、磁気部品2への装着が容易となると共に、バネホルダ3の材料費や加工費を低減することができる。
【0063】
また、保持脚部32の剛性は、板バネ部31の剛性以下である。それゆえ、バネホルダ3を磁気部品2に装着する際に、板バネ部31の変形を抑制し、保持脚部32を大きく変形させることができるため、磁気部品2への装着性を一層向上させることができる。
また、板バネ部31の過大な変形を避けることができるため、バネホルダ3を磁気部品2に装着した後における板バネ部31の復元力を充分に確保することができ、バネホルダ3による磁気部品2の保持力及び筐体4への固定力を確保することができる。
【0064】
そして、図8に示すごとく、磁気部品ユニット1を筐体4に固定した磁気部品固定構造10において、保持脚部32の支承部323は、下コア23の下面231(切欠段部234)から離れている。そのため、板バネ部31の付勢力が直接、筐体4に対する磁気部品2の圧接力となる。それゆえ、磁気部品2が筐体4に対して強固に圧接された状態で固定されることとなり、安定した磁気部品固定構造10を得ることができる。
【0065】
また、固定脚部33のフランジ部332に設けた貫通孔333は、フランジ部332の突出方向に長い長孔からなる。そのため、筐体4に対するバネホルダ3の寸法精度が特に高くなくても、バネホルダ3を筐体4に容易に固定することができる。すなわち、バネホルダ3には、曲げ部が多く形成されていると共に、上コア22及び下コア23を挟持した状態においては自由状態から変形した状態にあるため、特に、フランジ部332の突出方向に平行な方向の寸法精度が低くなりやすい。そこで、貫通孔333が、フランジ部332の突出方向に長い長孔であることによって、磁気部品2を保持したバネホルダ3を筐体4に固定する際、締結部材11を貫通孔333に容易に挿通させることができる。
また、特に、磁気部品2を筐体4に自動組み付けする際には、筐体4に対する貫通孔333のズレは、生産効率に大きな影響を与えることとなるため、貫通孔333を長孔とすることによる効果を特に発揮することができる。
【0066】
また、固定脚部33は、筐体4における締結面41に設けた位置決め用突起部421と係合する位置決め用係合部334を有する。そのため、磁性部品2を保持したバネホルダ3を筐体4に、締結部材11によって締結固定する前に、まず、図9に示すごとく、位置決め用突起部421に位置決め用係合部334を係合させることによって、磁性部品2を保持したバネホルダ3を筐体4に対して位置決めすることができる。これにより、両者を容易に締結固定することができる。
【0067】
また、上記のように、位置決め用突起部421に位置決め用係合部334を係合させておくことにより、磁性部品2を筐体4に配置した後、締結固定する前までの間に、両者がずれることを防ぐことができる。例えば、磁性部品2を筐体4に配置した後、締結固定する前までの間に、磁性部品2を載置した筐体4が搬送されることもある。このとき、搬送に伴う振動によって、磁性部品2と筐体4とが位置ずれし、筐体4に対するバネホルダ3の位置がずれてしまうことも考えられる。しかし、上記のように、位置決め用突起部421に位置決め用係合部334を係合させておくことにより、両者がずれることを防ぎ、両者の締結固定を円滑に行うことができる。
【0068】
以上のごとく、本例によれば、被固定体(筐体)への組み付け性に優れ、コア割れが発生し難い、低コストの磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造を提供することができる。
【0069】
(実施例2)
本例は、図11に示すごとく、筐体4の搭載面41に、保持脚部32の支承部323との干渉を避けるための逃し部411を形成した例である。
逃し部411は、筐体4における壁部420の内側の一部に、搭載面41から下方へ窪んで形成されている。そして、この逃し部411の上方に下コア23の下側角部233が配置され、該下側角部233の下方において、上記逃し部411内に支承部323が配置される。
また、本例においては、下コア23には、切欠段部234(図8参照)は形成されていない。これに伴い、上コア22にも切欠段部224(図8参照)が形成されていない。
その他は、実施例1と同様である。
【0070】
本例の場合には、下コア23に切欠段部234(図8参照)を形成する必要が特になくなる。
また、本例において、実施例1と同様に、下コア23に切込段部234(図8参照)を形成してもよい(図示略)。
この場合には、逃し部411を形成することによって、支承部323の配設空間をより大きくすることができる。これにより、磁気部品ユニット1を筐体4に固定する際の板バネ部31の変形量を大きくすることも可能になり、設計自由度が向上する。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0071】
(実施例3)
本例は、図12に示すごとく、バネホルダ3の保持脚部32における支承部323の内側端部を、下方から外側へ向かって折り返してなる折返し部324を設けた例である。
すなわち、折返し部324は、支承部323に対して、90°以上折り曲げられている。
その他は、実施例1と同様である。
【0072】
本例の場合には、バネホルダ3を磁気部品2に装着する際に、折返し部324の内側面を上コア22及び下コア23の側面222、232上を摺動させて、支承部323を下コア23の下面231に係合させることができる。それゆえ、磁気部品2へのバネホルダ3の組み付けを容易に行うことができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0073】
(実施例4)
本例は、図13、図14に示すごとく、上コア22及び下コア23の側面222、232に上下方向に連続した側方溝部24を設けた例である。
そして、この側方溝部24において、図14に示すごとく、バネホルダ3における側面当接部321が、上コア22及び下コア23の側面222、232に当接している。
その他は、実施例1と同様である。
【0074】
本例の場合には、側方溝部24が側面当接部321のガイドとなり、図13に示すごとく、上面から見たときのバネホルダ3の幅方向についての位置決めをより正確に行うことができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0075】
(実施例5)
本例は、図15、図16に示すごとく、上コア22を2個とした例である。
下コア23は、実施例1と同様、1個としている。
そして、磁気部品ユニット1は、2個の上コア22に対応して、バネホルダ3を2個、磁気部品2に装着してなる。一方のバネホルダ3は、下コア23と一方の上コア22とを板バネ部31と保持脚部32とによって保持し、他方のバネホルダ3は、下コア23と他方の上コア22とを板バネ部31と保持脚部32とによって保持している。
また、2個のバネホルダ3は、保持脚部32が内側、固定脚部33が外側となる状態で並列配置されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0076】
本例の場合には、2個の上コア22を有する磁気部品2を、安定して保持するとともに、筐体4に固定することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
なお、下コア23を複数個にしてもよいし、上コア22を3個以上にしてもよい。この場合、コアの数に対応して、複数のバネホルダ3を配設することが好ましい。
【0077】
また、上コア22及び下コア23の形状は、実施例1〜4に示したように、上コア22及び下コア23の断面形状(図1等参照)が略E字形状となる、いわゆるEEタイプ以外にも種々のタイプのものを適用することができる。例えば、一方のコアが中央脚部228(238)及び外周脚部229(239)を有しないI型となる、EIタイプや、一方または双方のコアが中央磁脚228(238)を有しないU型となる、UIタイプ又はUUタイプとすることもできる。
また、上記実施例1〜5においては、磁気部品2がトランスである例を示したが、本発明は、トランスに限らず、例えば、チョークコイル、リアクトル等、他の磁気部品にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 磁気部品ユニット
10 磁気部品固定構造
2 磁気部品
21 コイル
22 上コア
221 上面
23 下コア
231 下面
232 (下コアの)側面
233 下側角部
3 バネホルダ
31 板バネ部
32 保持脚部
321 側面当接部
322 クリアランス形成部
323 支承部
33 固定脚部
4 筐体
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気部品を保持すると共に被固定体に固定するためのバネホルダとを備えた磁気部品ユニット、及び磁気部品を被固定体に固定した磁気部品固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランス、チョークコイル、リアクトル等の磁気部品として、導体を巻回してなるコイルと、該コイルを巻回軸方向の両側から挟持するように配された上コア及び下コアとを有するものがある。
かかる磁気部品を筐体等の被固定体に固定するに当たって、図17に示すごとく、磁気部品92の上コア922と下コア923とを保持する保持部931と磁気部品92を被固定体である筐体94に固定する固定部934とを有するバネホルダ93を用いることが提案されている(特許文献1)。
【0003】
すなわち、まず、保持部931によって上コア922と下コア923とを巻回軸方向から挟持することにより、磁気部品92にバネホルダ93を装着して磁気部品ユニットを形成する。次いで、固定部934を筐体94に対してネジ留めすることにより、磁気部品ユニットを筐体94に固定する。
このように、上記バネホルダ93は、磁気部品92の上コア922と下コア923とを保持する機能を有する上記保持部931と、磁気部品92を筐体94に固定する機能を有する上記固定部934とを一体化してなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−94312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記バネホルダ93は、単に、保持部931と固定部934とを一体化しただけの構成である。すなわち、保持部931は、上コア922の上面に当接する保持用板バネ部932と、該保持用板バネ部932の両端から垂下して下コア923の下面を係止する保持脚部933とを有し、固定部934は、上コア922の上面に当接する固定用板バネ部935と、該固定用板バネ部935の両端から垂下すると共に外方へ突出した固定脚部936とを有する。そして、保持用板バネ部931と固定用板バネ部934とにおいて連結部937によって連結されている。
それゆえ、一部材であるにもかかわらず、バネホルダ93の材料費の低減にはつながらない。
【0006】
また、上記磁気部品の固定構造においては、下コア923の下面を筐体94における搭載面941に圧接した状態で、磁気部品92が筐体94に固定される。それゆえ、磁気部品92が筐体94に固定された状態においては、保持部931によって上コア922と下コア923とを保持しておく必要は特にない。
そして、固定用板バネ部935と保持用板バネ部932とは、互いに独立しているため、保持部931において磁気部品92にバネホルダ93を装着した磁気部品ユニットの状態においても、固定部934は変形する前の自由状態にある。それゆえ、磁気部品ユニットを筐体94に固定する際、固定部934を大きく変形させる必要があり、固定作業に手間がかかるという問題もある。
ここで、固定部934の変位を小さくすると、固定部934によって磁気部品92を筐体94に押圧する力が小さくなり、筐体94を通じた磁気部品92の放熱性が低下する、或いは振動に耐えられるだけの固定力を確保できないおそれがある。
【0007】
また、上記バネホルダ93は、保持脚部933が上コア922及び下コア923の側面に、その上下方向の全体にわたって接触するように装着され、下コア923の下側角部924にも、側方から保持脚部933が接触した状態となる。そのため、少しでも保持脚部933が傾斜すると保持脚部933から下側角部924に応力がかかり、下コア923に割れが生じるおそれがある。
また、保持脚部933の下端部には、内側に屈曲して下コア923の下面を支承する支承部938が形成されているが、この支承部938の屈曲部の内側面は曲面状となるため、この曲面部に下コア923の下側角部924が当接して、下コア923に割れが生じるおそれもある。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、被固定体への組み付け性に優れ、コア割れが発生し難い、放熱性に優れた、低コストの磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、互いに対向して配置された上コア及び下コアと、上記上コア及び上記下コアにより形成される磁路が鎖交するように配されたコイルとを有する磁気部品と、
該磁気部品を保持する保持機能と、該磁気部品を被固定体に固定する固定機能とを併せ持つバネホルダとを備え、
該バネホルダは、上記上コアの上面に圧接する板バネ部と、該板バネ部の両端から垂下すると共に上記下コアの下面を係止する少なくとも一対の保持脚部と、上記板バネ部の両端から垂下すると共に外側へ突き出した少なくとも一対の固定脚部とを有し、
該バネホルダの上記保持機能は、上記板バネ部と上記保持脚部とによって実現され、
上記バネホルダの上記固定機能は、上記板バネ部と上記固定脚部とによって実現され、
上記保持脚部は、内側に突出して上記下コアの側面に当接する側面当接部と、該側面当接部よりも下方において上記下コアの下側角部の側方にクリアランスを形成するクリアランス形成部と、上記下コアの下面を支承する支承部とを有することを特徴とする磁気部品ユニットにある(請求項1)。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に係る磁気部品ユニットを上記被固定体に固定してなる磁気部品固定構造であって、
上記被固定体は、上記磁気部品を搭載する搭載面と、上記固定脚部を締結固定する締結面とを有し、
上記締結面に上記固定脚部が締結部材によって締結固定され、
上記搭載面に上記下コアの下面が圧接し、
上記保持脚部の上記支承部は、上記下コアの下面から離れていることを特徴とする磁気部品固定構造にある(請求項10)。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の発明において、上記バネホルダは、上記板バネ部と上記保持脚部とによって上記保持機能を実現し、上記板バネ部と上記固定脚部とによって上記固定機能を実現している。すなわち、上記保持機能と上記固定機能とを、共通の上記板バネ部を利用して実現することができる。そのため、バネホルダの材料費の低減を図ることができる。
【0012】
また、上記バネホルダは、上記板バネ部と、該板バネ部の両端からそれぞれ垂下する上記一対の保持脚部及び上記一対の固定脚部とを有する。これにより、上記磁気部品ユニットを被固定体に固定する際における板バネ部の変形量を小さくすることができる。
つまり、磁気部品にバネホルダを装着した磁気部品ユニットの状態、すなわち、板バネ部が上コアの上面に圧接すると共に保持脚部が下コアの下面に係合した状態において、上記板バネ部は、すでに自由状態からある程度変形(主に弾性変形)した状態となっている。それゆえ、上記磁気部品ユニットを上記被固定体に固定する際には、すでにある程度変形している板バネ部を、さらに同じ方向へ変形させるだけなので、このときの板バネ部の変形量を小さくすることができる。
【0013】
つまり、自由状態にある板バネ部を一気に変形させるのではなく、磁気部品ユニットを構成した時点である程度変形させてあるため、段階的に変形させることができる。
それゆえ、磁気部品ユニットを被固定体に固定する際、板バネ部を大きく変形させる必要がなく、それに伴い固定脚部を大きく変位させる必要がなく、被固定体への組み付けを容易に行うことができる。
【0014】
そして、このときの板バネ部の変位を大きくしなくても、磁気部品ユニットを被固定体に大きな力で押圧することができる。そのため、磁気部品を充分な力で被固定体に圧接することができ、被固定体を通じた磁気部品の放熱性、及び耐振性を充分に確保することができる。
【0015】
また、上記保持脚部は、上記側面当接部を内側に突出形成してなる。そのため、バネホルダに対する磁気部品の水平方向(巻回軸方向に直交する方向)への下コアのずれを防ぐことができる。
そして、上記保持脚部は、上記クリアランス形成部を有し、上記下コアの下側角部の側方にクリアランスを形成している。これにより、保持脚部における支承部の屈曲部の内面が下側角部に干渉することを防ぐことができる。そのため、下側角部から下コアに割れが発生することを効果的に防ぐことができる。
【0016】
上記第2の発明は、上記磁気部品ユニットを被固定体に固定してなる磁気部品固定構造である。そのため、上記第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
そして、上記保持脚部の上記支承部は、上記下コアの下面から離れている。そのため、板バネ部の付勢力(復元力)が直接、被固定体に対する磁気部品の圧接力となる。それゆえ、磁気部品が被固定体に対して強固に圧接された状態で固定されることとなり、安定した磁気部品固定構造を得ることができる。
また、上記下コアの下面が充分な力で上記被固定体に圧接するため、上記磁気部品の熱を被固定体に伝え、磁気部品を効果的に冷却することができる。
【0017】
以上のごとく、本発明によれば、被固定体への組み付け性に優れ、コア割れが発生し難い、放熱性に優れた、低コストの磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1における、磁気部品ユニットの断面図であって、図2のA−A線矢視断面図。
【図2】実施例1における、磁気部品ユニットの平面図。
【図3】実施例1における、バネホルダの斜視図。
【図4】実施例1における、自由状態にあるバネホルダの断面図。
【図5】実施例1における、バネホルダを磁気部品に装着する直前の断面説明図。
【図6】実施例1における、磁気部品の斜視図。
【図7】実施例1における、磁気部品ユニットを筐体内に載置した状態の断面説明図。
【図8】実施例1における、磁気部品固定構造の断面図。
【図9】実施例1における、被固定体の位置決め用突起部にフランジ部の位置決め用係合部が係合した状態を示す平面図。
【図10】バネホルダにクリアランス形成部を設けなかった場合の不具合を示す断面説明図。
【図11】実施例2における、磁気部品固定構造の断面図。
【図12】実施例3における、磁気部品ユニットの部分断面図。
【図13】実施例4における、磁気部品ユニットの平面図。
【図14】図13のB−B線矢視断面図。
【図15】実施例5における、磁気部品ユニットの平面図。
【図16】図15のC−C線矢視断面図。
【図17】背景技術における、磁気部品固定構造の展開斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明において、上記上コア及び上記下コアは、特に上下関係を限定するものではなく、便宜的な表現であり、これらの位置関係が上下逆となっても、水平方向や斜めとなってもよい。同様に、他の「上」、「下」の表現も、実際の上下関係を限定するものではない。
【0020】
また、上記第1の発明または上記第2の発明において、上記磁気部品としては、例えば、トランス、チョークコイル、リアクトル等がある。
また、上記バネホルダは、1個であっても、複数個配設されていてもよい。
また、上記上コア及び上記下コアは、それぞれ複数個であってもよい。この場合、コアの数に対応して、複数の上記バネホルダが配設されていることが好ましい。
【0021】
また、上記バネホルダは、少なくとも上記板バネ部が変形可能となっており、その変形は、主に弾性変形であるが、その変位によっては、塑性変形をも生じることもある。すなわち、板バネ部の変位が弾性域内に収まっていれば、弾性変形のみとなるが、板バネ部の変位が塑性域まで達すれば、弾性変形に併せて塑性変形も生じる。ただし、この場合でも、弾性変形分の復元力は保持した状態にあるため、塑性変形を伴って変形した状態で上記バネホルダが磁気部品に装着されたり、上記被固定体に固定されたりしても、その機能を発揮することは可能である。
したがって、本明細書では、上記板バネ部を含め上記バネホルダの各部に関して「変形」と言った場合には、主に弾性変形を意味するが、弾性変形と併せて塑性変形する場合をも意味する。
【0022】
また、上記バネホルダは、上記一対の保持脚部が互いに近付く方向に付勢されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記磁気部品の位置決めをより確実に行うことができる。また、下コアの下面に支承部をより確実に接触させることができるため、その保持機能を確実に発揮させることができる。
【0023】
また、上記側面当接部は、上記下コアと上記上コアとの双方にわたって当接していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記下コアと上記上コアとの双方の位置決めを正確に行うことができる。
【0024】
また、上記下コアは、上記下面の外周の少なくとも一部に切欠段部を形成してなり、該切欠段部に上記バネホルダの上記支承部が配置されるよう構成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記被固定体における上記下コアを載置する搭載面に、上記バネホルダの上記支承部が干渉することを防ぐことができる。また、上記搭載面に、支承部の干渉を防ぐ逃し部を形成する必要もないため、被固定体の構成を簡単にすることができる。
【0025】
また、上記保持脚部の一部と上記固定脚部の一部とは、上記板バネ部の両端から垂下した共有脚部を共有していることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記板バネ部の弾性力を充分に確保することができる。
【0026】
また、上記保持脚部と上記固定脚部とは、上記共有脚部の下端から互いに分岐して更に下方へ延びていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記固定脚部から独立して上記保持脚部を変形させることができるため、その変形に必要な力は小さく、上記磁気部品への上記バネホルダの装着を容易に行うことができる。
【0027】
また、上記保持脚部及び上記固定脚部は、それぞれ一対ずつ形成されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記バネホルダの構成を簡単にすることができ、磁気部品への装着が容易となると共に、バネホルダの材料費や加工費を低減することができる。
【0028】
また、上記保持脚部の剛性は、上記板バネ部の剛性以下であることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記バネホルダを上記磁気部品に装着する際に、上記板バネ部の変形を抑制し、上記保持脚部を大きく変形させることができるため、磁気部品への装着性を一層向上させることができる。また、板バネ部の過大な変形を避けることができるため、バネホルダを磁気部品に装着した後における板バネ部の復元力を充分に確保することができ、バネホルダによる磁気部品の保持力及び被固定体への固定力を確保することができる。
【0029】
また、上記固定脚部は、外方へ突き出したフランジ部を有し、該フランジ部には、上記バネホルダを上記被固定体に締結するための締結部材を挿通するための貫通孔が形成されており、該貫通孔は、上記フランジ部の突出方向に長い長孔からなることが好ましい(請求項9)。
この場合には、被固定体に対するバネホルダの寸法精度が特に高くなくても、バネホルダを被固定体に容易に固定することができる。すなわち、バネホルダには、曲げ部が多く形成されていると共に、上コア及び下コアを挟持した状態においては自由状態から変形した状態にあるため、特に、フランジ部の突出方向に平行な方向の寸法精度が低くなりやすい。そこで、上記貫通孔が、上記フランジ部の突出方向に長い長孔であることによって、磁気部品を保持したバネホルダを被固定体に固定する際、締結部材を貫通孔に容易に挿通させることができる。
また、特に、磁気部品を被固定体に自動組み付けする際には、被固定体に対する貫通孔のズレは、生産効率に大きな影響を与えることとなるため、貫通孔を長孔とすることによる効果を特に発揮することができる。
【0030】
次に、上記第2の発明において、上記被固定体の上記搭載面には、上記保持脚部の上記支承部との干渉を避けるための逃し部が形成されていてもよい(請求項11)。
この場合には、上記下コアに上記切欠段部を形成する必要が特になくなる。また、上記切込段部を形成してある場合においても、上記逃し部を形成することによって、上記支承部の配設空間を大きくすることができる。これにより、磁気部品ユニットを被固定体に固定する際の板バネ部の変形量を大きくすることも可能になり、設計自由度が向上する。
【0031】
また、上記固定脚部は、上記被固定体における上記締結面に設けた位置決め用突起部と係合する位置決め用係合部を有することが好ましい(請求項12)。
この場合には、磁性部品を保持したバネホルダを被固定体に、締結部材によって締結固定する前に、まず、上記位置決め用突起部に上記位置決め用係合部を係合させることによって、磁性部品を保持したバネホルダを被固定体に対して位置決めすることができる。これにより、両者を容易に締結固定することができる。
また、上記のように、上記位置決め用突起部に上記位置決め用係合部を係合させておくことにより、磁性部品を被固定体に配置した後、締結固定する前までの間に、両者がずれることを防ぐことができる。例えば、磁性部品を被固定体に配置した後、締結固定する前までの間に、磁性部品を載置した被固定体が搬送されることもある。このとき、搬送に伴う振動によって、磁性部品と被固定体とが位置ずれし、被固定体に対するバネホルダの位置がずれてしまうことも考えられる。しかし、上記のように、上記位置決め用突起部に上記位置決め用係合部を係合させておくことにより、両者がずれることを防ぎ、両者の締結固定を円滑に行うことができる。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造につき、図1〜図8を用いて説明する。
本例の磁気部品ユニット1は、図1に示すごとく、磁気部品2とバネホルダ3とを備えている。
【0033】
磁気部品2は、互いに対向して配置された上コア22及び下コア23と、上コア22及び下コア23により形成される磁路が鎖交するように配されたコイル21とを有する。すなわち、導体を巻回してなるコイル21を、巻回軸方向の両側から挟持するように上コア22及び下コア23が配されている。
図1〜図4、図11に示すごとく、バネホルダ3は、磁気部品2を保持する保持機能と、磁気部品2を被固定体としての筐体4に固定する固定機能とを併せ持つ。
【0034】
バネホルダ3は、上コア22の上面221に圧接する板バネ部31と、該板バネ部31の両端から垂下すると共に下コア23の下面231を係止する少なくとも一対の保持脚部32と、板バネ部31の両端から垂下すると共に外側へ突き出した少なくとも一対の固定脚部33とを有する。
【0035】
バネホルダ3の保持機能は、板バネ部31と保持脚部32とによって実現される。また、バネホルダ3の固定機能は、板バネ部31と固定脚部33とによって実現される。
図1に示すごとく、保持脚部32は、内側に突出して下コア23の側面232に当接する側面当接部321と、側面当接部321よりも下方において下コア23の下側角部233の側方にクリアランスを形成するクリアランス形成部322と、下コア23の下面231を支承する支承部323とを有する。
【0036】
本例においては、上記磁気部品2は、絶縁型DC−DCコンバータにおいて使用されるトランスである。それゆえ、本例においては、上記コイル21は、一次コイルと二次コイルとからなるが、図面上はこれを省略している。
また、上コア22及び下コア23は、コイル21の巻回中心軸に沿った平面による断面の形状が略E字状となる、いわゆるE型コアであり、コイル21の内側に挿入配置される中心磁脚228、238と、コイル21の外周に配される外周磁脚229、239とを有する。そして、上コア22と下コア23とは、外周磁脚229、239同士において、互いに当接している。そして、上コア22の側面222と下コア23の側面232とは同一面を構成している。
【0037】
バネホルダ3は、例えばステンレス鋼、銅または銅合金等の金属板を切り曲げすることによって構成されている。
板バネ部31は、中央が下方へ向かうように湾曲しており、その中央部において上コア22の上面221に当接している。
【0038】
バネホルダ3は、一対の保持脚部32が互いに近付く方向に付勢されている。すなわち、図4に示すごとく、磁気部品2に装着する前の状態(自由状態)においては、装着された状態(図1)よりも、一対の保持脚部32が互いに近付いており、一対の側面当接部321の間の距離が小さい状態にある。
【0039】
図1に示すごとく、側面当接部321は、下コア23と上コア22との双方にわたって当接している。側面当接部321は、下コア23の側面232と上コア22の側面222とに接する平面状に形成されており、その平面部が、下コア23と上コア22との接合面の上下にわたって、側面232と側面222とに当接している。
図1、図6に示すごとく、下コア23は、下面231の外周の一部に切欠段部234を形成してなる。この切欠段部234にバネホルダ3の支承部323が配置される。
【0040】
なお、上コア22の上面221の外周の一部にも、上記切欠段部234と同様の切欠段部224が形成されているが、この切欠段部224には、特に部材が配置されることはない。本例においては、生産性の観点から、上コア22と下コア23とを同一形状としているため、上コア22にも切欠段部224が形成されるが、機能上必ずしも必要ではない。
【0041】
図3に示すごとく、保持脚部32の一部と固定脚部33の一部とは、板バネ部31の両端から垂下した共有脚部34を共有している。そして、保持脚部32と固定脚部33とは、共有脚部34の下端から互いに分岐して更に下方へ延びている。
保持脚部32及び固定脚部33は、それぞれ一対ずつ形成されている。
保持脚部32の剛性は、板バネ部31の剛性以下である。本例においては、保持脚部32は、板バネ部31よりも板幅が小さく、剛性が低い。
【0042】
固定脚部33は、共有脚部34から下方に垂下した垂下部331と、該垂下部331の下端から外方へ屈曲したフランジ部332とを有する。フランジ部332には、後述するネジ11を挿通するための貫通孔333が形成されている。貫通孔333は、フランジ部332の突出方向に長い長孔からなる。
保持脚部32は、共有脚部34から、上記垂下部331の下端よりも下方へ延びた位置に、上記側面当接部321を設け、さらに下方へ延びて、その下端において内側へ屈曲することによって、上記支承部323を設けている。図1に示すごとく、支承部323は、下コア23の下面231に平行な状態で、下面231(切欠段部234)に面接触している。
【0043】
支承部323の外側には、保持脚部32を略直角に折り曲げた屈曲部が形成されており、その内側面には、例えば曲率半径1〜2mm程度の曲面が形成されるが、この曲面は下コア23における下側角部233から離れた位置に配置されている。すなわち、支承部323と側面当接部321との間には、上記クリアランス形成部322が形成され、下側角部233の側方には、保持脚部32との間にクリアランスが形成されている。
【0044】
本例の磁気部品ユニット1を形成するに当たっては、まず、図5、図6に示すごとく、コイル21をその上下から上コア22と下コア23とによって挟持した状態の磁気部品2を構成し、該磁気部品2に対して、バネホルダ3を装着する。バネホルダ3の装着に当たっては、図5に示すごとく、バネホルダ3における保持脚部32を外方へ広げるように変形させる。このとき、板バネ部31や、共有脚部34も多少変形するが、保持脚部32が大きく変形する。そして、少なくとも一対の側面当接部321の間の距離が、磁気部品2の幅よりも大きくなるまで変形させる。
【0045】
この状態で、板バネ部31の下面を上コア22の上面221に圧接しながら、保持脚部32を復元させて、側面当接部321を上コア22の側面222と下コア23の側面232に当接させ、さらに下コア23の下方へ支承部323を配置する。
次いで、板バネ部31を復元させることにより、支承部323を下コア23の下面231における切欠段部234に係合させる。
以上により、図1に示す磁気部品ユニット1を組み立てる。
【0046】
そして、図7、図8に示すごとく、筐体4に、磁気部品ユニット1を収容すると共に固定する。
筐体4は、磁気部品2を搭載する搭載面41を有する底板部410と、該底板部410から立設した壁部420とを備え、該壁部420の上面から、ネジ穴43が切られている。すなわち、壁部420の上面が、固定脚部33を締結固定する締結面42となる。
【0047】
磁気部品ユニット1を筐体4に組み付けるに当たっては、図7に示すごとく、まず、下コア23の下面231が筐体4の搭載面41に面接触するように、磁気部品ユニット1を筐体4内に載置する。
ここで、図9に示すごとく、固定脚部33は、筐体4における締結面42に設けた位置決め用突起部421と係合する位置決め用係合部334を有する。位置決め用係合部334は、固定脚部33のフランジ部332における幅方向の両側から内側にくびれた状態で形成されている。
一方、位置決め用突起部421は、筐体4における締結面421から上方へ突出した円柱ピンからなる。この位置決め用突起部421は、一つのフランジ部332に対して2個形成されている。
【0048】
そして、磁気部品ユニット1を筐体4内に載置したとき、フランジ部332に形成された一対の位置決め用係合部334が、2個一対の位置決め用突起部421に係合する。これにより、磁気部品ユニット1は、筐体4に対して、水平方向に位置決めされる。
また、この状態において、一対の固定脚部33のフランジ部332は、筐体4の締結面42から浮いた状態にある。
【0049】
次いで、締結部材としてのネジ11を、フランジ部332に形成された貫通孔333に挿通すると共に、壁部420に形成されたネジ穴43に螺合する。
これにより、図8に示すごとく、フランジ部43は締結面42に接触し、板バネ部31は変形してその付勢力(復元力)を高めた状態で、上コア22の上面221すなわち磁気部品2の上面を圧接する。これに伴い、搭載面41に下コア23の下面231すなわち磁気部品2の下面が圧接する。
その結果、バネホルダ3の固定機能によって、磁気部品2が筐体4に強固に固定されることとなる。
【0050】
また、板バネ部31の変形に伴って、保持脚部32が下降する。これにより、支承部323が下降して、下コア23の下面231(切欠段部234)から離れる。そのため、この状態においては、バネホルダ3の保持機能は働かなくなるが、上記固定機能によって、磁気部品2は一体となって筐体4に固定されるため、保持機能は不要である。
【0051】
また、保持脚部32の下降に伴って、側面当接部321も下降するが、この状態においても、側面当接部321は、上コア22の側面222と下コア23の側面232との双方にわたって当接している。
このようにして、磁気部品2がバネホルダ3によって筐体4に固定された、磁気部品固定構造10が形成される。
【0052】
次に、本例の作用効果につき説明する。
バネホルダ3は、板バネ部31と保持脚部32とによって上記保持機能を実現し、板バネ部31と固定脚部33とによって上記固定機能を実現している。すなわち、保持機能と固定機能とを、共通の板バネ部31を利用して実現することができる。そのため、バネホルダ3の材料費の低減を図ることができる。
【0053】
また、バネホルダ3は、板バネ部31と、板バネ部31の両端からそれぞれ垂下する一対の保持脚部32及び一対の固定脚部33とを有する。これにより、磁気部品ユニット1を被固定体である筐体4に固定する際における板バネ部31の変形量を小さくすることができる。
【0054】
つまり、磁気部品2にバネホルダ3を装着した磁気部品ユニット1の状態(図1)、すなわち、板バネ部31が上コア22の上面221に圧接すると共に保持脚部32が下コア23の下面231に係合した状態において、板バネ部31は、すでに自由状態(図4)からある程度変形した状態となっている。それゆえ、図7、図8に示すごとく、磁気部品ユニット1を筐体4に固定する際には、すでにある程度変形している板バネ部31を、さらに同じ方向へ変形させるだけなので、このときの板バネ部31の変形量を小さくすることができる。
【0055】
つまり、自由状態にある板バネ部31を一気に変形させるのではなく、磁気部品ユニット1を構成した時点である程度変形させてあるため、段階的に変形させることができる。
それゆえ、磁気部品ユニット1を筐体4に固定する際、板バネ部31を大きく変形させる必要がなく、それに伴い固定脚部32を大きく変位させる必要がなく、筐体4への組み付けを容易に行うことができる。
【0056】
そして、このときの板バネ部31の変位を大きくしなくても、磁気部品ユニット1を筐体4に大きな力で押圧することができる。そのため、磁気部品2を充分な力で筐体4に圧接することができ、筐体4を通じた磁気部品2の放熱性、及び耐振性を充分に確保することができる。
【0057】
また、図1に示すごとく、保持脚部32は、側面当接部321を内側に突出形成してなる。そのため、バネホルダ3に対する磁気部品2の水平方向(巻回軸方向に直交する方向)への下コア23のずれを防ぐことができる。
そして、保持脚部32は、クリアランス形成部322を有し、下コア23の下側角部233の側方にクリアランスを形成している。これにより、保持脚部32における支承部323の屈曲部の内面が下側角部233に干渉することを防ぐことができる。そのため、下側角部233から下コア23に割れが発生することを効果的に防ぐことができる。
【0058】
すなわち、仮にクリアランス形成部322がないとすると、図10に示すごとく、保持脚部32における支承部323の屈曲部329に、下コア23の下側角部233が乗り上げるおそれがある。つまり、支承部323は金属板を屈曲させて構成したものであるため、その屈曲部329の内側面には、例えば曲率半径1〜2mm程度の曲面ができてしまう。一方、下コア322は特に面取りを行わないことが多いため、下側角部233はいわゆるピン角となっている。このピン角の下側角部233が屈曲部329に乗り上げると、下側角部233に応力が集中し、ここを起点に下コア23に割れが発生するおそれがある。そして、それにより、磁気部品2の磁気特性に影響を与えるおそれもある。
そこで、図1に示すごとく、上記クリアランス形成部322を形成することによって、下側角部233にバネホルダ3が当接することを防ぐことにより、上記のような不具合を防ぐことができる。
【0059】
また、バネホルダ3は、一対の保持脚部32が互いに近付く方向に付勢されているため、磁気部品32の位置決めをより確実に行うことができる。また、下コア23の下面231に支承部323をより確実に接触させることができるため、その保持機能を確実に発揮させることができる。
また、側面当接部321は、下コア23と上コア22との双方にわたって当接しているため、下コア23と上コア22との双方の位置決めを正確に行うことができる。
【0060】
また、下コア23は切欠段部234を形成してなり、切欠段部234にバネホルダ3の支承部323が配置される。これにより、筐体4の搭載面41に、支承部323が干渉することを防ぐことができる。また、後述する実施例2のように、搭載面41に逃し部(図11における符号411参照。)を形成する必要もないため、筐体4の構成を簡単にすることができる。
【0061】
また、図3に示すごとく、保持脚部32の一部と固定脚部33の一部とが共有脚部34を共有しているため、上記板バネ部31の弾性力を充分に確保することができる。
また、保持脚部32と固定脚部33とは、共有脚部34の下端から互いに分岐して更に下方へ延びている。それゆえ、図5に示すごとく、固定脚部33から独立して保持脚部32を変形させることができるため、その変形に必要な力は小さく、磁気部品2へのバネホルダ3の装着を容易に行うことができる。
【0062】
また、保持脚部32及び固定脚部33は、それぞれ一対ずつ形成されているため、バネホルダ3の構成を簡単にすることができ、磁気部品2への装着が容易となると共に、バネホルダ3の材料費や加工費を低減することができる。
【0063】
また、保持脚部32の剛性は、板バネ部31の剛性以下である。それゆえ、バネホルダ3を磁気部品2に装着する際に、板バネ部31の変形を抑制し、保持脚部32を大きく変形させることができるため、磁気部品2への装着性を一層向上させることができる。
また、板バネ部31の過大な変形を避けることができるため、バネホルダ3を磁気部品2に装着した後における板バネ部31の復元力を充分に確保することができ、バネホルダ3による磁気部品2の保持力及び筐体4への固定力を確保することができる。
【0064】
そして、図8に示すごとく、磁気部品ユニット1を筐体4に固定した磁気部品固定構造10において、保持脚部32の支承部323は、下コア23の下面231(切欠段部234)から離れている。そのため、板バネ部31の付勢力が直接、筐体4に対する磁気部品2の圧接力となる。それゆえ、磁気部品2が筐体4に対して強固に圧接された状態で固定されることとなり、安定した磁気部品固定構造10を得ることができる。
【0065】
また、固定脚部33のフランジ部332に設けた貫通孔333は、フランジ部332の突出方向に長い長孔からなる。そのため、筐体4に対するバネホルダ3の寸法精度が特に高くなくても、バネホルダ3を筐体4に容易に固定することができる。すなわち、バネホルダ3には、曲げ部が多く形成されていると共に、上コア22及び下コア23を挟持した状態においては自由状態から変形した状態にあるため、特に、フランジ部332の突出方向に平行な方向の寸法精度が低くなりやすい。そこで、貫通孔333が、フランジ部332の突出方向に長い長孔であることによって、磁気部品2を保持したバネホルダ3を筐体4に固定する際、締結部材11を貫通孔333に容易に挿通させることができる。
また、特に、磁気部品2を筐体4に自動組み付けする際には、筐体4に対する貫通孔333のズレは、生産効率に大きな影響を与えることとなるため、貫通孔333を長孔とすることによる効果を特に発揮することができる。
【0066】
また、固定脚部33は、筐体4における締結面41に設けた位置決め用突起部421と係合する位置決め用係合部334を有する。そのため、磁性部品2を保持したバネホルダ3を筐体4に、締結部材11によって締結固定する前に、まず、図9に示すごとく、位置決め用突起部421に位置決め用係合部334を係合させることによって、磁性部品2を保持したバネホルダ3を筐体4に対して位置決めすることができる。これにより、両者を容易に締結固定することができる。
【0067】
また、上記のように、位置決め用突起部421に位置決め用係合部334を係合させておくことにより、磁性部品2を筐体4に配置した後、締結固定する前までの間に、両者がずれることを防ぐことができる。例えば、磁性部品2を筐体4に配置した後、締結固定する前までの間に、磁性部品2を載置した筐体4が搬送されることもある。このとき、搬送に伴う振動によって、磁性部品2と筐体4とが位置ずれし、筐体4に対するバネホルダ3の位置がずれてしまうことも考えられる。しかし、上記のように、位置決め用突起部421に位置決め用係合部334を係合させておくことにより、両者がずれることを防ぎ、両者の締結固定を円滑に行うことができる。
【0068】
以上のごとく、本例によれば、被固定体(筐体)への組み付け性に優れ、コア割れが発生し難い、低コストの磁気部品ユニット及び磁気部品固定構造を提供することができる。
【0069】
(実施例2)
本例は、図11に示すごとく、筐体4の搭載面41に、保持脚部32の支承部323との干渉を避けるための逃し部411を形成した例である。
逃し部411は、筐体4における壁部420の内側の一部に、搭載面41から下方へ窪んで形成されている。そして、この逃し部411の上方に下コア23の下側角部233が配置され、該下側角部233の下方において、上記逃し部411内に支承部323が配置される。
また、本例においては、下コア23には、切欠段部234(図8参照)は形成されていない。これに伴い、上コア22にも切欠段部224(図8参照)が形成されていない。
その他は、実施例1と同様である。
【0070】
本例の場合には、下コア23に切欠段部234(図8参照)を形成する必要が特になくなる。
また、本例において、実施例1と同様に、下コア23に切込段部234(図8参照)を形成してもよい(図示略)。
この場合には、逃し部411を形成することによって、支承部323の配設空間をより大きくすることができる。これにより、磁気部品ユニット1を筐体4に固定する際の板バネ部31の変形量を大きくすることも可能になり、設計自由度が向上する。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0071】
(実施例3)
本例は、図12に示すごとく、バネホルダ3の保持脚部32における支承部323の内側端部を、下方から外側へ向かって折り返してなる折返し部324を設けた例である。
すなわち、折返し部324は、支承部323に対して、90°以上折り曲げられている。
その他は、実施例1と同様である。
【0072】
本例の場合には、バネホルダ3を磁気部品2に装着する際に、折返し部324の内側面を上コア22及び下コア23の側面222、232上を摺動させて、支承部323を下コア23の下面231に係合させることができる。それゆえ、磁気部品2へのバネホルダ3の組み付けを容易に行うことができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0073】
(実施例4)
本例は、図13、図14に示すごとく、上コア22及び下コア23の側面222、232に上下方向に連続した側方溝部24を設けた例である。
そして、この側方溝部24において、図14に示すごとく、バネホルダ3における側面当接部321が、上コア22及び下コア23の側面222、232に当接している。
その他は、実施例1と同様である。
【0074】
本例の場合には、側方溝部24が側面当接部321のガイドとなり、図13に示すごとく、上面から見たときのバネホルダ3の幅方向についての位置決めをより正確に行うことができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0075】
(実施例5)
本例は、図15、図16に示すごとく、上コア22を2個とした例である。
下コア23は、実施例1と同様、1個としている。
そして、磁気部品ユニット1は、2個の上コア22に対応して、バネホルダ3を2個、磁気部品2に装着してなる。一方のバネホルダ3は、下コア23と一方の上コア22とを板バネ部31と保持脚部32とによって保持し、他方のバネホルダ3は、下コア23と他方の上コア22とを板バネ部31と保持脚部32とによって保持している。
また、2個のバネホルダ3は、保持脚部32が内側、固定脚部33が外側となる状態で並列配置されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0076】
本例の場合には、2個の上コア22を有する磁気部品2を、安定して保持するとともに、筐体4に固定することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
なお、下コア23を複数個にしてもよいし、上コア22を3個以上にしてもよい。この場合、コアの数に対応して、複数のバネホルダ3を配設することが好ましい。
【0077】
また、上コア22及び下コア23の形状は、実施例1〜4に示したように、上コア22及び下コア23の断面形状(図1等参照)が略E字形状となる、いわゆるEEタイプ以外にも種々のタイプのものを適用することができる。例えば、一方のコアが中央脚部228(238)及び外周脚部229(239)を有しないI型となる、EIタイプや、一方または双方のコアが中央磁脚228(238)を有しないU型となる、UIタイプ又はUUタイプとすることもできる。
また、上記実施例1〜5においては、磁気部品2がトランスである例を示したが、本発明は、トランスに限らず、例えば、チョークコイル、リアクトル等、他の磁気部品にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 磁気部品ユニット
10 磁気部品固定構造
2 磁気部品
21 コイル
22 上コア
221 上面
23 下コア
231 下面
232 (下コアの)側面
233 下側角部
3 バネホルダ
31 板バネ部
32 保持脚部
321 側面当接部
322 クリアランス形成部
323 支承部
33 固定脚部
4 筐体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置された上コア及び下コアと、上記上コア及び上記下コアにより形成される磁路が鎖交するように配されたコイルとを有する磁気部品と、
該磁気部品を保持する保持機能と、該磁気部品を被固定体に固定する固定機能とを併せ持つバネホルダとを備え、
該バネホルダは、上記上コアの上面に圧接する板バネ部と、該板バネ部の両端から垂下すると共に上記下コアの下面を係止する少なくとも一対の保持脚部と、上記板バネ部の両端から垂下すると共に外側へ突き出した少なくとも一対の固定脚部とを有し、
該バネホルダの上記保持機能は、上記板バネ部と上記保持脚部とによって実現され、
上記バネホルダの上記固定機能は、上記板バネ部と上記固定脚部とによって実現され、
上記保持脚部は、内側に突出して上記下コアの側面に当接する側面当接部と、該側面当接部よりも下方において上記下コアの下側角部の側方にクリアランスを形成するクリアランス形成部と、上記下コアの下面を支承する支承部とを有することを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記バネホルダは、上記一対の保持脚部が互いに近付く方向に付勢されていることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記側面当接部は、上記下コアと上記上コアとの双方にわたって当接していることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記下コアは、上記下面の外周の少なくとも一部に切欠段部を形成してなり、該切欠段部に上記バネホルダの上記支承部が配置されるよう構成されていることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記保持脚部の一部と上記固定脚部の一部とは、上記板バネ部の両端から垂下した共有脚部を共有していることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記保持脚部と上記固定脚部とは、上記共有脚部の下端から互いに分岐して更に下方へ延びていることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記保持脚部及び上記固定脚部は、それぞれ一対ずつ形成されていることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記保持脚部の剛性は、上記板バネ部の剛性以下であることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記固定脚部は、外方へ突き出したフランジ部を有し、該フランジ部には、上記バネホルダを上記被固定体に締結するための締結部材を挿通するための貫通孔が形成されており、該貫通孔は、上記フランジ部の突出方向に長い長孔からなることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットを上記被固定体に固定してなる磁気部品固定構造であって、
上記被固定体は、上記磁気部品を搭載する搭載面と、上記固定脚部を締結固定する締結面とを有し、
上記締結面に上記固定脚部が締結部材によって締結固定され、
上記搭載面に上記下コアの下面が圧接し、
上記保持脚部の上記支承部は、上記下コアの下面から離れていることを特徴とする磁気部品固定構造。
【請求項11】
請求項10に記載の磁気部品固定構造において、上記被固定体の上記搭載面には、上記保持脚部の上記支承部との干渉を避けるための逃し部が形成されていることを特徴とする磁気部品固定構造。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の磁気部品固定構造において、上記固定脚部は、上記被固定体における上記締結面に設けた位置決め用突起部と係合する位置決め用係合部を有することを特徴とする磁気部品固定構造。
【請求項1】
互いに対向して配置された上コア及び下コアと、上記上コア及び上記下コアにより形成される磁路が鎖交するように配されたコイルとを有する磁気部品と、
該磁気部品を保持する保持機能と、該磁気部品を被固定体に固定する固定機能とを併せ持つバネホルダとを備え、
該バネホルダは、上記上コアの上面に圧接する板バネ部と、該板バネ部の両端から垂下すると共に上記下コアの下面を係止する少なくとも一対の保持脚部と、上記板バネ部の両端から垂下すると共に外側へ突き出した少なくとも一対の固定脚部とを有し、
該バネホルダの上記保持機能は、上記板バネ部と上記保持脚部とによって実現され、
上記バネホルダの上記固定機能は、上記板バネ部と上記固定脚部とによって実現され、
上記保持脚部は、内側に突出して上記下コアの側面に当接する側面当接部と、該側面当接部よりも下方において上記下コアの下側角部の側方にクリアランスを形成するクリアランス形成部と、上記下コアの下面を支承する支承部とを有することを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記バネホルダは、上記一対の保持脚部が互いに近付く方向に付勢されていることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記側面当接部は、上記下コアと上記上コアとの双方にわたって当接していることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記下コアは、上記下面の外周の少なくとも一部に切欠段部を形成してなり、該切欠段部に上記バネホルダの上記支承部が配置されるよう構成されていることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記保持脚部の一部と上記固定脚部の一部とは、上記板バネ部の両端から垂下した共有脚部を共有していることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記保持脚部と上記固定脚部とは、上記共有脚部の下端から互いに分岐して更に下方へ延びていることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記保持脚部及び上記固定脚部は、それぞれ一対ずつ形成されていることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記保持脚部の剛性は、上記板バネ部の剛性以下であることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットにおいて、上記固定脚部は、外方へ突き出したフランジ部を有し、該フランジ部には、上記バネホルダを上記被固定体に締結するための締結部材を挿通するための貫通孔が形成されており、該貫通孔は、上記フランジ部の突出方向に長い長孔からなることを特徴とする磁気部品ユニット。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁気部品ユニットを上記被固定体に固定してなる磁気部品固定構造であって、
上記被固定体は、上記磁気部品を搭載する搭載面と、上記固定脚部を締結固定する締結面とを有し、
上記締結面に上記固定脚部が締結部材によって締結固定され、
上記搭載面に上記下コアの下面が圧接し、
上記保持脚部の上記支承部は、上記下コアの下面から離れていることを特徴とする磁気部品固定構造。
【請求項11】
請求項10に記載の磁気部品固定構造において、上記被固定体の上記搭載面には、上記保持脚部の上記支承部との干渉を避けるための逃し部が形成されていることを特徴とする磁気部品固定構造。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の磁気部品固定構造において、上記固定脚部は、上記被固定体における上記締結面に設けた位置決め用突起部と係合する位置決め用係合部を有することを特徴とする磁気部品固定構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−253877(P2011−253877A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125633(P2010−125633)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]