磁界ループアンテナ
【課題】本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、金属やコンクリート等の遮られたタグを検知できると共に、建物の美観を損なうことなく、かつ大がかりな工事の必要がない磁界ループアンテナを得る。
【解決手段】 全周0.5波長以下の長さ(50cm以下)の導体(ループコイル16という)とコンデンサ17(10PF以下)とを直列接続してケース18に内蔵し、検出用の導体20をコイル状にして、この一端をケーブル4(給電線)と接続するコネクト19の心線に接続され、他方がコネクタ19のシールド側に接続する。前述の検出用の導体20と、ループコイルとの空間は例えば5mm程度としている。
【解決手段】 全周0.5波長以下の長さ(50cm以下)の導体(ループコイル16という)とコンデンサ17(10PF以下)とを直列接続してケース18に内蔵し、検出用の導体20をコイル状にして、この一端をケーブル4(給電線)と接続するコネクト19の心線に接続され、他方がコネクタ19のシールド側に接続する。前述の検出用の導体20と、ループコイルとの空間は例えば5mm程度としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線タグと通信を行うリーダライターに使用するための磁界ループアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグリーダーライターのアンテナにはLF帯(124,135KHz)及びHF(13.56MHz)用としては、銅線をコイル状に平面に巻き込んだ磁界ループアンテナが使用される。
【0003】
一方、無線タグリーダーライターの送信出力は電波法の規制で制限されているため、これらアンテナと無線タグ(Radio Frequency ID:RFID)との間の通信距離はおのずと制限がある。
【0004】
このため、広い範囲に配置された無線タグを同時に検知しようとする場合には、複数の無線タグリーダーライターとアンテナを配置する必要がある。
【0005】
また、現在日本で使用できる無線タグは概略して下記の4種類がある。
【0006】
(1)124KHz、135KHz帯
(2)13.56MHz帯
(3)900MHz帯(950MHz帯)
(4)2.45GHz帯(波長約13m)
(5)300MHz帯(微弱電波)
このような周波数帯の無線タグを用いて現在は様々な目的に使用されている。
【0007】
このうち(1)と(2)は、価格は比較的安価であるが、探索距離で数cm〜数十cm程度の短距離しか検索できない。したがって、タグを数m以上の離れた距離から検知することは不可能である。
【0008】
一方、数10cm〜数m以上の遠距離で探索を行う場合には(3)、(4)、(5)が適している。これらの無線タグの場合は、その使用周波数が高いため、波長が短いので、実用的なアンテナの大きさで、高効率なものが使用できる。
【0009】
このうち、(3)、(4)の周波数は伝搬特性に直進性が著しい特徴があるため、見通し距離だけの検知用途に適している。
【0010】
しかし、タグがアンテナから見通せず、電波を吸収する金属やコンクリートなどの物陰などへ隠れた場合には検知できなくなる。
【0011】
一方、(5)の300MHz帯は、電波伝搬特性上、反射波が効率良く伝搬し、しかも波長が1m程度であることから、アンテナも理論的に100%効率の各種型式のアンテナを実用的な大きさで使用できる。そのため、様々な工夫を行うことで、タグの検知距離を10m以上も延ばすことが可能である。しかも、アンテナに対して金属やコンクリート等の物陰に遮られたタグを検知することも可能である。
【0012】
この300MHz帯の無線タグを使用した無線タグ検知システムを図11、図12、図13、図14にを用いて説明する。
【0013】
図11の無線タグ検知システムは、ダイポールアンテナ2と無線タグ受信機3をケーブル4で接続し、無線タグ2からの電波をダイポールアンテナ3で受信し、この受信信号をケーブル4を介して無線タグ受信機3に送出する。無線タグ受信機3は、受信信号をネットワーク6を介して監視システム7に送信する。
【0014】
このダイポールアンテナ2を用いた無線タグ検知システムとして、例えば学校の校門にダイポールアンテナ2を取付けてランドセルに入れらた無線タグ5を検出するものもある。
【0015】
図12の無線タグ検知システムは、八木アンテナ8と無線タグ受信機3をケーブル4で接続し、無線タグ2からの電波を八木アンテナ8で受信し、この受信信号をケーブル4を介して無線タグ受信機3に送出する。無線タグ受信機3は、受信信号をネットワーク6を介して監視システム7に送信する。
【0016】
図13の無線タグ検知システムは、ホイップアンテナ9と無線タグ受信機3をケーブル4で接続し、無線タグ2からの電波をホイップアンテナ9で受信し、この受信信号をケーブル4を介して無線タグ受信機3に送出する。無線タグ受信機3は、受信信号をネットワーク6を介して監視システム7に送信する。
【0017】
図14の無線タグ検知システムは、平面アンテナ(パッチアンテナ)10と無線タグ受信機3をケーブル4で接続し、無線タグ2からの電波を平面アンテナ(パッチアンテナ)10で受信し、この受信信号をケーブル4を介して無線タグ受信機3に送出する。無線タグ受信機3は、受信信号をネットワーク6を介して監視システム7に送信する。
【0018】
すなわち、300MHz帯UHFタグで使用されている受信用アンテナは、ダイポールアンテナ(図11)、八木アンテナ(図12)、ホイップアンテナ(図13)、パッチアンテナ、平面アンテナ(図14)等であり、これらは全て電界型アンテナと呼ばれ、電波の中の電界成分を検出する動作原理である。
【0019】
一方、特開2004−85277号公報(特許文献1)のように前述の無線タグを衣類に取付て検知装置がアンテナ部で無線タグからの電波を受けて衣類が濡れてきたことを検知するものもある。このアンテナ部は、送信用コイルと受信用コイルとを有している。
【特許文献1】特開2004−85277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、図11の300MHz帯UHFタグで使用されているダイポールアンテナは、2分の1波長(50cm)必要であり、実際に取り付けるには1m以上の取付エリアを必要とする。
【0021】
また、図12の八木アンテナを用いた場合は、少なくとも50cm×1m以上は必要であり、取付のためのエリアも大きくなる。
【0022】
また、図13のホイップアンテナを用いた場合は、アースが十分とれない場合は、どうしても50cmの長さが必要である。
【0023】
さらに、図14のパッチアンテナ(平面アンテナ)は、大きさがA4サイズであり、これも取付エリアが大きくなる。
【0024】
すなわち、電界型アンテナと呼ばれる上記の各種の受信アンテナは、取り付けるための工事を必要とすると共に、取付のために比較的大きなエリアを必要とするという課題があった。
【0025】
一方、これらのアンテナは、電界型アンテナと呼ばれるものであり、電界で動いているので、近くに金属があると、検出ができないという課題があった。
【0026】
例えば、無線タグ受信機に接続されているアンテナが金属やコンクリートなど電波を吸収する物体に近接して設置されている場合は、上記の300MHz帯でも、その特徴を発揮できず、無線タグの検知距離は極めて短くなってしまう。
【0027】
その理由は、一般的に300MHz帯、UHFタグで使用されている受信用アンテナは、電界型アンテナであるため、アンテナ周囲数波長以内に電波を吸収、反射する金属やコンクリートなどが存在する場合、そのアンテナ本来の性能を発揮せず、指向性が乱れ、効率は著しく低下してしまう。
【0028】
そのため、無線タグとの電波の送受信が出来なくなり(電波が届かなくなり)無線タグの検知距離が著しく低下してしまう。
【0029】
こう言った電界型アンテナの物理的性質は、無線タグシステムの実用用途から見た場合、極めて不都合である。
【0030】
一例をあげると、建物内部で無線タグを検知する場合、建物内部にアンテナを設置する必要がある。
【0031】
この場合は、美観や建物内部での人々の活動性などを優先させるため、タグ検知用のアンテナはできる限り目立たず、邪魔にならないように、床下や、壁面、天井裏などの限られたスペースへ押し込むように設置することが要求される。
【0032】
しかし、上述のようにアンテナの電波特性から見れば、アンテナ周辺、数波長のエリア内には電波に影響を与える物体が存在しないことが望ましい。
【0033】
すなわち、システム要求から来る設置条件と、アンテナ技術から来る設置条件は合い矛盾し、お互いのトレードオフで、妥協点を探し、適当なところを現地調整や現物テストを行いながら決定せざるを得ない。
【0034】
しかも、最近の建物は、鉄筋コンクリート構造であるため、建物スラブはコンクリートであり、しかもインテリジェントな電子配線を可能ならしめるべく、床がフリーアクセス構造で、スラブから数10cm程度の僅かなスペースで、金属性の床板を設置し、その僅かなスペース間に電子配線を設置したり、ここへの無線タグ用アンテナの設置を強いられる場合が多い。
【0035】
或は、建物の壁面へ無線タグ用アンテナを設置する場合もあるが、ここも建物のコンクリートスラブと壁面化粧ボードのわずか10数cm程度の隙間へ、無線タグアンテナを埋め込む必要がある。
【0036】
また、天井に無線タグアンテナを設置する場合も同様であり、天井化粧ボードから下へ出すことは許容できず、コンクリート製の建物スラブと天井化粧ボードの僅かな隙間の天井裏へ無線タグアンテナを設置しなければならない。
【0037】
これらの空間は300MHZの波長に対しては僅か1/10波長以下程度にしかならず、上述の各種電界型アンテナが必要とする数波長の自由空間に比べて、はるかに不足するスペースしか許容されない。このため、アンテナとしての性能を非常に犠牲にしなければならない。
【0038】
つまり、あらかじめシステム設計したとおりの性能がでないため、現地での無駄な作業、コストがかかり、必要以上な高価なシステムとなったり、使いにくいシステムとなる課題があった。
【0039】
さらに、これを避けるため、無線タグ用アンテナが問題なく性能を発揮するような建物内のスペースへ設置した場合は、美観や、その建物内で活動する人間の作業性、居住性などに影響を与え、本来、こういった人間の活動を助けるべきシステムが、アンテナがあるが故に逆効果をもたらすという課題もあった。
【0040】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、金属やコンクリート等の遮られたタグをアンテナの特性を十分発揮して検知できると共に、建物の美観を損なうことなく、かつ大がかりな工事の必要がない磁界ループアンテナを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明は、UHF帯無線タグを使用した無線タグ検知システムにおいて、構造物に装着されて使用される磁界ループアンテナである。
【0042】
共振用のコンデンサと、前記コンデンサの一端に、当該アンテナの一端を接続し、前記コンデンサの他端に当該アンテナの他端を接続し、全周が0.5波長以下にされたループ状のアンテナと、前記アンテナに対して所定距離話されて重なるように設けられ、前記アンテナのループの大きさより、小さなループ状の検出用のコイルと、前記検出用のコイルの一端と他端とに接続されたコネクタと、前記コネクタを壁面に取り付けして、前記コンデンサ、アンテナ、検出用コイルを内部に収納した箱とを備えたことを要旨とする。
【0043】
また、本発明の磁界ループアンテナは、10PF以下のコンデンサを介在させて、全周が0.5波長以下となるループ状の第1の銅箔が貼り付けられた第1の基板と、前記第1の基板に対して一定間隔を有して設けられ、前記ループ状の第1の銅箔より直径が10分の1の大きさのループ状の第2の銅箔が貼り付けられた第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に例えば5mmの厚さで設けられた絶縁部材と、前記第1、第2の基板及び絶縁部材とを内蔵したケースと、前記第2の基板のループ状の第2の銅箔の両端に接続可能に前記ケースに取り付けられたコネクタとを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0044】
以上のように本発明によれば、300MHz帯は電波伝搬特性上、反射波が効率よく伝搬し、しかも波長が1m程度であることから、アンテナも理論的には100%効率の各種型式のアンテナを実用的な大きさで使用でき、かつアンテナに対して金属やコンクリート等の遮られたタグを検知できるという効果が得られている。
【0045】
また、建物の美観を損なうことなく、かつ大がかりな工事の必要がなく、かつ近傍に金属、コンクリートが存在していても、アンテナとしての性能を十分に発揮できるという効果が得られている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は本実施の形態の300MHz帯の磁界ループアンテナを使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【0047】
図1に示すように、本実施の形態の無線タグ検知システムは、コンデンサ17とループコイル16とを直列接続した磁界ループアンテナ15をケーブル4に接続して用いている。
【0048】
このシステムは、磁界ループアンテナ15が無線タグ受信機3からの出力信号に基づいて電波を放射し、無線タグ5からの電波を受信する。このとき、無線タグ5から輻射される電波のうち、磁界成分だけに磁界ループアンテナ15は反応し、得られた信号を無線タグ受信機3にケーブル4を介して出力する。
【0049】
無線タグ受信機3は磁界ループアンテナ15からの信号からIDコードを解読し、このIDコードをネットワーク6を介して監視システム7に出力する。
【0050】
前述の磁界ループアンテナ15について図2を用いて説明する。図2に示すように、全周0.5波長以下の長さ(50cm以下:例えば20cm)の導体(以下ループコイル16という)とコンデンサ17(10PF以下)とを直列接続してケース18に内蔵している。つまり、直列共振電流が流れる。ループコイル16は、ケース18の低に固定されている。
【0051】
また、検出用の導体20をコイル状(リンクコイルともいう)にして、この一端をケーブル4(給電線)と接続するコネクト19の心線に接続され、他方がコネクタ19のシールド側に接続されている。
【0052】
前述の検出用の導体20と、ループコイル16との空間は例えば5mm程度としている。この検出用の導体20によってループコイル16で検出された磁界成分の信号が出力されることになる。
【0053】
このような、300MHz帯の磁界ループアンテナ15が建物の中等で最適な性能を発揮するには、最適な設計パラメータを規定する必要がある。
【0054】
以下に設計パラメータ(コンデンサの容量、ループコイル長、幅等を含む)について説明する。
【0055】
まず、以下にアンテナから輻射される電磁波の発信源からの距離と電磁波の強度の関係について示す。
【0056】
ある空間の原点にある長さ1の電気ダイポールから距離rだけ離れた場所Pにおける電荷量をq(t)(tは時刻)とすると、電荷量の変化の割合が電流であるので、
【数1】
【0057】
と微分の形で書き表すことができる。
【0058】
原点にz軸方向を向いた微小ダイポールがあったとき、図3に示す点Pにおける微小ダイポールの電界E(t)および磁界H(t)を電荷量の変化q(t)で表現すると、
【数2】
【数3】
【0059】
となる。これらの式は極座標に基づいて表記されており、er、eθ、eΦは各々e方向、θ方向、Φ方向単位ベクトルである。またcは空間中の電磁波の伝搬速度である。
【0060】
これらの式でr−3に比例する項は静電磁場を作り出す項で、電気ダイポールの場合電界のにみ存在する。
【0061】
r−2の項は誘導電磁場を発生させる項である。r−1項は放射界を作り出す項である。充分遠方であれば静電項、誘導項は放射項と比べてはるかに小さくなる。ゆえにダイポールから充分離れた場所における電界・磁界(遠方界という)は
【数4】
【数5】
【0062】
となる。方向単位ベクトルは直交しているので、遠方界では電界と磁界は直交し、波の進行方向に電界・磁界の成分がない。
【0063】
周波数領域表示では遠方界電界・磁界の成分は
【数6】
【数7】
【0064】
となる。
【0065】
ここで、遠方電界と磁界の比ξを波動インピーダンスといい、以下の式で表される。
【数8】
【0066】
〔数6〕、〔数7〕より、近傍界領域では波原との距離rが短くなるほど波動インピーダンスξが大きくなることから、近傍界領域(フレネル領域)では電磁界のうち磁界成分が強く、遠方界領域(フラウンフォーファー領域)で電界成分が強くなって行くと言える。
【0067】
以上より、アンテナ近傍の磁界成分だけを検知する為には、アンテナ自体を電流モードで動作させ、アンテナ導線(ループコイル)への大きな電流を生じさせ、その電流から磁界成分がまず、空間に輻射されるようにアンテナの物理的構成を決定すればよい。
【0068】
これを実現させるには、アンテナ自体を使用周波数である300MHz帯で、直列共振する回路として形成し、アンテナ導線とそれを含む構造体に大きな直列共振電流が流れるようにすればよい。
【0069】
具体的には、アンテナ導線によりインダクタンスが構成されるので、それ自体を閉ループとして、そのインダクタンスに共振するコンデンサの値を決定し、それらを直列に電気的に接続する。
【0070】
この共振ループと給電用の同軸ケーブルに対してエネルギーを送受する方法は、リンクコイル方式、インピーダンスタップ方式など、どのような方法を採用しても差し支えない。
【0071】
こうすることにより、磁界ループアンテナが形成され、その動作インピーダンスは直列共振回路の共振インピーダンスとなる。
【0072】
つまり、導体のインダクタンスによる誘導リアクタンス分と、コンデンサのキャパシタンスによる静電リアクタンス分はお互いに打ち消しあって0となり、閉ループのインピーダンスは原理的には導体の純抵抗分だけの、1Ω以下の非常に低い値となる。
【0073】
従って、大きな電流が閉ループ内を流れる。そして、アンテナの近傍領域の磁界成分だけに反応して、そのエネルギーを空間とアンテナの間で効率良く送受信することができる。 すなわち、アンテナは極めて低いインピーダンスの電流モードで動作するため、アンテナ直近に電磁波の電界成分を乱すような金属やコンクリートといった物質が存在しても、磁界ループアンテナの特性に対しては殆ど影響を与えることはない。
【0074】
定量的な数値例を示すと、以下のようになる。
【0075】
いま近接した導体のサイズについて
N:ループ状導体のターン数(回)
W:導体の1辺の長さ(m)(形状が正方形の場合を仮定)
a:導体の半径(m)(導体が線状と仮定)
μs:比透磁率
とすると、このインダクタンスは下式で定義される。
【数9】
【0076】
この式に実際のシステムに適用する各種無線タグサイズを考慮して、適切な値を代入して導体サイズと、コンデンサの値を決定すればよい。
【0077】
例えば、
L=約40(nH)
となるサイズの導体構造とした場合には、C=約7(PF)のコンデンサを接続すれば、
f=1/2π√LC
の関係より約300MHZに共振することになる。
【0078】
空間の電磁波エネルギーをいかに効率良くアンテナとの間で送受信するかは、ループの面積が広いほど、アンテナの利得は高くなる。
【0079】
すなわち、
h:アンテナの相対利得(実行高)
A:ループの面積
N:ループの巻数
とすれば、
h=(2π/λ)NA
となる。
【0080】
そこで、アンテナの利得を上げるべく、ループをどんどん大型化すると、ループのインダクタンスもどんどん増加してしまう。そのため、その大きなインダクタンスを打ち消して、ループを300MHZ帯に共振させるためにはコンデンサの値をどんどん小さくしなければならなくなる。
【0081】
計算と実験によれば、ループの材料に安価で入手しやすく、加工も容易な銅を使用した場合、ループ全長は20cm程度(ループ直径5〜6cm程度)で、共振用コンデンサの値は数PFである。この場合のアンテナ利得は通常の1/2波長ダイポールアンテナに対して−数〜−10dB程度であり充分実用的な利得が得られる。
【0082】
これ以上、アンテナ利得を上げようとして、ループ長を大きくすると、コンデンサの値は計算上1PF以下となってしまい、実際にアンテナを製作しようとしても、物理的に実現不可能なコンデンサ静電容量値となってしまう。
【0083】
更に、ループが磁界モードで動作する理論的限界は全周0.5波長以下(300MHZ帯の場合は50cm以下)であり、これ以上の長さとなると、ループ導体上の電流分布が一定でなくなり、定在波が発生してしまう。
【0084】
この定在波によって、ループは必然的に電界型アンテナとしての動作にモードが替わり、もはや磁界ループアンテナではなくなってしまう。
【0085】
一方で、コンデンサの値を10PF程度より大きくして、製作や調整を容易ならしめようとすると、ループ長(ループの面積)がどんどん小さくなり、アンテナ利得が低下してしまう。
【0086】
しかも、ループ長が小さくなればなるほど、ループの導体インピーダンスがどんどん低くなり、ループを形成している材料(この場合は銅)の直流抵抗が無視できなくなり、300MHZの高周波による表皮効果ともあいまって、導体抵抗損失によるアンテナ効率の低下が顕著となる。
【0087】
これを防ぐ為には銅の表面に高周波抵抗の低い材料である金メッキを施し、表皮効果によるオーム損失を低減させるなどの対策が必要となり、非常にコストが上がってしまう。
【0088】
従って、300MHZ帯の無線タグ用磁界ループアンテナの実用的なサイズは、全周0.5波長以下で、共振用コンデンサの値は10PF以下が適切となる。
【0089】
実験によれば、図11に示すようなダイポールアンテナを例えば図6のような床下に設置して無線タグとの通信を行った場合は、室内での検知距離は僅か1〜2m程度まで短縮されてしまう。
【0090】
そこに、全く同じ条件でアンテナだけを本実施の形態の磁界ループアンテナに設置するだけで、検知距離は7〜8m程度まで改善される結果を得ることが可能となった。
【0091】
そして、このような磁界ループアンテナ15のループコイル16と導体20(以下単に磁界ループアンテナという)は、図4(a)、図4(b)に示すような収納ケース21に内蔵して用いるのが好ましい。
【0092】
図4は300MHZ帯で使用する磁界ループアンテナを内蔵した収納ケースの外観図である。
【0093】
図4(a)、(b)に示すように、磁界ループアンテナを内蔵したケース21にはケーブル4と接続されるコネクタ19が取り付けられ、また内部壁等に固定するための治具23,24が取り付けられている。このように、ケース21は汎用的な壁埋め込み型の箱(ACコンセント型、スイッチ型)としているので、実際の構築物に実装する場合、そのサイズと構造から作業性が高い。
【0094】
このように、本実施の形態の磁界ループアンテナを、汎用品の電源用BOX形の収納ケースに収納しているので、非常に安価である。
【0095】
しかも、アンテナ自体を金属、コンクリートなどの電波特性上、極めて不利な材料で構成された構造物の極めて近接した狭いスペースに設置できる。
【0096】
そのため、無線タグシステムでのアンテナ設置場所の選定の問題から開放され、アンテナ設置場所を選ばず、ケースバイケースで最もエンドユーザーが最も使いやすい任意の場所にアンテナを設置することが可能なる。
【0097】
これらにより、安価で使いやすいシステムを実現でき、しかも現場での建設、調整作業を簡略化でき、経済的な無線タグシステムを短時間に構築可能である。
【0098】
そして、上記のような磁界ループアンテナを図4のようなケースに内蔵して用いることによって、鉄筋、コンクリート等からなる建物26の部屋の壁27との間が5cm〜15m程度であっても、無線タグ5からの電波の磁界成分を特性に影響なく検出できる。このため、室内の大きさを大きくとることができると共に、取付ても美観を損なわない。
【0099】
つまり、図5のように、建物、その他構造物から1波長以内の距離に磁界ループアンテナを設置しても、アンテナ本来の性能から大きな劣化なく動作可能である。
【0100】
同じように構造物から1波長以内の場合に、電界型アンテナ(ダイポールアンテナ、ホイップアンテナ、八木アンテナなど)を設置した場合には、構造物によって、アンテナ近傍の電界が影響を受け、アンテナ自体の動作インピーダンスも乱れることにより、そのアンテナ本来の性能(利得、指向性など)が発揮されなかった。
【0101】
しかし、本発明の磁界ループアンテナをこのように構造物に極めて近接した波長以内の距離に設置しても、低インピーダンスの電流モードで動作して、磁界モードで動作しているため、構造物の影響を殆ど受けないという大きな特徴がある。
【0102】
しかも、構造物から1波長以内という近接した距離に設置できることは、実用上もシステムを極めてコンパクトに構築することができ、実用上も非常に有利となる。
【0103】
図6は建物の床面、天井面、壁面などが金属やコンクリートで形成されており、その近傍の非常に狭く、周囲をこういった部材の構造物で囲まれた空間に本実施の形態の磁界ループアンテナを設置した例である。
【0104】
このように、金属やコンクリートといった、本来、電波を吸収してしまう材料で構成された極めて狭く厳しい電波環境条件の場所に、磁界ループアンテナが設置されても、前述のこのアンテナの特徴を発揮し、アンテナ本来の性能を大きく損なうことなく動作するため、天井面や床面の僅かな隙間や、金属面に発生する渦電流効果などによって、建物内の空間とアンテナとの間で電磁波のエネルギーのやり取りが可能となる。
【0105】
そのため、建物内から見た場合、アンテナは一切その姿を目視できる位置には現さない。従って、目視上の美観、建物内での活動などにアンテナが邪魔になることはなく、極めて、都合が良い。
【0106】
もし、このようなシステムに従来の電界型アンテナを使用した場合は、天井裏、床下、壁面などのスペースではアンテナとしての正常な動作をなさなくなってしまう。しかも、これらの面が金属などで構成されている場合には、アンテナと空間の電磁波のエネルギー送受信は電界シールド効果により充分になされない大きな問題点がある。
【0107】
そこで、電界型アンテナが正常に動作できる位置へ設置した場合、天井や、床、壁から電波特性面から判断して適切な距離を離して設置する必要がある。その場合、美観上問題になったり、建物内でも様々な活動の邪魔になったりと大きな問題となってしまう。
【0108】
本実施の形態の磁界ループアンテナはこう言った問題を一切発生させることなく、無線タグシステムを構築できている。
【0109】
また、図7は同じような事例で、磁界ループアンテナをロッカーや様々な品物の収納箱など、建物よりも更に小さいものへ収納した事例である。
【0110】
この場合にも上述と全く同じ理由により、磁界ループアンテナの特徴を発揮する。
【0111】
<その他の実施の形態>
図8はその他の実施の形態の磁界ループアンテナの構成図である。図9はA方向から見たときの側面図である。図8の磁界ループアンテナ28は、銅箔のループコイル31(50cm以下:20cm)と10PF以下のコンデンサ30とをプリント基板32に設け、かつ銅箔の検出コイル33(大きさはループコイル31の約10分の1)をプリント基板34に設け、プリント基板32とプリント基板34との間隔を約5mmとした部材35(ガラスエポキシ)で構成している。そして、このプリント基板34とプリント基板32と部材35とで構成される磁界ループアンテナ28はケース29に内蔵している。すなわち、ループコイル31と検出コイル33とは約5mmの部材35を介して重なる関係にされている。
【0112】
また、検出コイル33の一方はコネクタ36(50Ω)の心線に接続され、他方はコネクタ36のシールド側に接続されている。
【0113】
また、図10に周波数とSWRの関係を示す。図10に示すように、ループコイルのLとCとの大きさで図10に示すSWRカーブが横方向に動き、検出コイルとループコイルの間隔でSWRカーブが上下に動く。
【0114】
本実施の形態では、間隔が5mmのときに、最も深いSWRカーブを得ることができた。
【0115】
すなわち、プリント基板と部材で磁界ループアンテナを作成したので、量産化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施の形態の300MHz帯の磁界ループアンテナを使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【図2】本実施の形態の300MHz帯の磁界ループアンテナの構成図である。
【図3】アンテナから発信される電磁波の発信源から距離と電磁波の強度の関係を説明する説明図である。
【図4】300MHZ帯で使用する磁界ループアンテナを内蔵した収納ケースの外観図である。
【図5】本実施の形態の磁界ループアンテナを他構造物から1波長以内に設置して使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【図6】本実施の形態の磁界ループアンテナを他構造物、床、天井に設置して使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【図7】本実施の形態の磁界ループアンテナをロッカーに使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【図8】他の実施の形態の磁界ループアンテナの概略構成図である。
【図9】図8の磁界ループアンテナの側面図である。
【図10】本実施の形態の磁界ループアンテナのSWR特性を説明する説明図である。
【図11】従来の無線タグ検知システム(ダイポールアンテナ使用)の概略構成図である。
【図12】従来の無線タグ検知システム(八木アンテナ使用)の概略構成図である。
【図13】従来の無線タグ検知システム(ホイップアンテナ使用)の概略構成図である。
【図14】従来の無線タグ検知システム(平面アンテナ使用)の概略構成図である。
【符号の説明】
【0117】
4 ケース
15 磁界ループアンテナ
16 ループコイル
17 コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は無線タグと通信を行うリーダライターに使用するための磁界ループアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグリーダーライターのアンテナにはLF帯(124,135KHz)及びHF(13.56MHz)用としては、銅線をコイル状に平面に巻き込んだ磁界ループアンテナが使用される。
【0003】
一方、無線タグリーダーライターの送信出力は電波法の規制で制限されているため、これらアンテナと無線タグ(Radio Frequency ID:RFID)との間の通信距離はおのずと制限がある。
【0004】
このため、広い範囲に配置された無線タグを同時に検知しようとする場合には、複数の無線タグリーダーライターとアンテナを配置する必要がある。
【0005】
また、現在日本で使用できる無線タグは概略して下記の4種類がある。
【0006】
(1)124KHz、135KHz帯
(2)13.56MHz帯
(3)900MHz帯(950MHz帯)
(4)2.45GHz帯(波長約13m)
(5)300MHz帯(微弱電波)
このような周波数帯の無線タグを用いて現在は様々な目的に使用されている。
【0007】
このうち(1)と(2)は、価格は比較的安価であるが、探索距離で数cm〜数十cm程度の短距離しか検索できない。したがって、タグを数m以上の離れた距離から検知することは不可能である。
【0008】
一方、数10cm〜数m以上の遠距離で探索を行う場合には(3)、(4)、(5)が適している。これらの無線タグの場合は、その使用周波数が高いため、波長が短いので、実用的なアンテナの大きさで、高効率なものが使用できる。
【0009】
このうち、(3)、(4)の周波数は伝搬特性に直進性が著しい特徴があるため、見通し距離だけの検知用途に適している。
【0010】
しかし、タグがアンテナから見通せず、電波を吸収する金属やコンクリートなどの物陰などへ隠れた場合には検知できなくなる。
【0011】
一方、(5)の300MHz帯は、電波伝搬特性上、反射波が効率良く伝搬し、しかも波長が1m程度であることから、アンテナも理論的に100%効率の各種型式のアンテナを実用的な大きさで使用できる。そのため、様々な工夫を行うことで、タグの検知距離を10m以上も延ばすことが可能である。しかも、アンテナに対して金属やコンクリート等の物陰に遮られたタグを検知することも可能である。
【0012】
この300MHz帯の無線タグを使用した無線タグ検知システムを図11、図12、図13、図14にを用いて説明する。
【0013】
図11の無線タグ検知システムは、ダイポールアンテナ2と無線タグ受信機3をケーブル4で接続し、無線タグ2からの電波をダイポールアンテナ3で受信し、この受信信号をケーブル4を介して無線タグ受信機3に送出する。無線タグ受信機3は、受信信号をネットワーク6を介して監視システム7に送信する。
【0014】
このダイポールアンテナ2を用いた無線タグ検知システムとして、例えば学校の校門にダイポールアンテナ2を取付けてランドセルに入れらた無線タグ5を検出するものもある。
【0015】
図12の無線タグ検知システムは、八木アンテナ8と無線タグ受信機3をケーブル4で接続し、無線タグ2からの電波を八木アンテナ8で受信し、この受信信号をケーブル4を介して無線タグ受信機3に送出する。無線タグ受信機3は、受信信号をネットワーク6を介して監視システム7に送信する。
【0016】
図13の無線タグ検知システムは、ホイップアンテナ9と無線タグ受信機3をケーブル4で接続し、無線タグ2からの電波をホイップアンテナ9で受信し、この受信信号をケーブル4を介して無線タグ受信機3に送出する。無線タグ受信機3は、受信信号をネットワーク6を介して監視システム7に送信する。
【0017】
図14の無線タグ検知システムは、平面アンテナ(パッチアンテナ)10と無線タグ受信機3をケーブル4で接続し、無線タグ2からの電波を平面アンテナ(パッチアンテナ)10で受信し、この受信信号をケーブル4を介して無線タグ受信機3に送出する。無線タグ受信機3は、受信信号をネットワーク6を介して監視システム7に送信する。
【0018】
すなわち、300MHz帯UHFタグで使用されている受信用アンテナは、ダイポールアンテナ(図11)、八木アンテナ(図12)、ホイップアンテナ(図13)、パッチアンテナ、平面アンテナ(図14)等であり、これらは全て電界型アンテナと呼ばれ、電波の中の電界成分を検出する動作原理である。
【0019】
一方、特開2004−85277号公報(特許文献1)のように前述の無線タグを衣類に取付て検知装置がアンテナ部で無線タグからの電波を受けて衣類が濡れてきたことを検知するものもある。このアンテナ部は、送信用コイルと受信用コイルとを有している。
【特許文献1】特開2004−85277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、図11の300MHz帯UHFタグで使用されているダイポールアンテナは、2分の1波長(50cm)必要であり、実際に取り付けるには1m以上の取付エリアを必要とする。
【0021】
また、図12の八木アンテナを用いた場合は、少なくとも50cm×1m以上は必要であり、取付のためのエリアも大きくなる。
【0022】
また、図13のホイップアンテナを用いた場合は、アースが十分とれない場合は、どうしても50cmの長さが必要である。
【0023】
さらに、図14のパッチアンテナ(平面アンテナ)は、大きさがA4サイズであり、これも取付エリアが大きくなる。
【0024】
すなわち、電界型アンテナと呼ばれる上記の各種の受信アンテナは、取り付けるための工事を必要とすると共に、取付のために比較的大きなエリアを必要とするという課題があった。
【0025】
一方、これらのアンテナは、電界型アンテナと呼ばれるものであり、電界で動いているので、近くに金属があると、検出ができないという課題があった。
【0026】
例えば、無線タグ受信機に接続されているアンテナが金属やコンクリートなど電波を吸収する物体に近接して設置されている場合は、上記の300MHz帯でも、その特徴を発揮できず、無線タグの検知距離は極めて短くなってしまう。
【0027】
その理由は、一般的に300MHz帯、UHFタグで使用されている受信用アンテナは、電界型アンテナであるため、アンテナ周囲数波長以内に電波を吸収、反射する金属やコンクリートなどが存在する場合、そのアンテナ本来の性能を発揮せず、指向性が乱れ、効率は著しく低下してしまう。
【0028】
そのため、無線タグとの電波の送受信が出来なくなり(電波が届かなくなり)無線タグの検知距離が著しく低下してしまう。
【0029】
こう言った電界型アンテナの物理的性質は、無線タグシステムの実用用途から見た場合、極めて不都合である。
【0030】
一例をあげると、建物内部で無線タグを検知する場合、建物内部にアンテナを設置する必要がある。
【0031】
この場合は、美観や建物内部での人々の活動性などを優先させるため、タグ検知用のアンテナはできる限り目立たず、邪魔にならないように、床下や、壁面、天井裏などの限られたスペースへ押し込むように設置することが要求される。
【0032】
しかし、上述のようにアンテナの電波特性から見れば、アンテナ周辺、数波長のエリア内には電波に影響を与える物体が存在しないことが望ましい。
【0033】
すなわち、システム要求から来る設置条件と、アンテナ技術から来る設置条件は合い矛盾し、お互いのトレードオフで、妥協点を探し、適当なところを現地調整や現物テストを行いながら決定せざるを得ない。
【0034】
しかも、最近の建物は、鉄筋コンクリート構造であるため、建物スラブはコンクリートであり、しかもインテリジェントな電子配線を可能ならしめるべく、床がフリーアクセス構造で、スラブから数10cm程度の僅かなスペースで、金属性の床板を設置し、その僅かなスペース間に電子配線を設置したり、ここへの無線タグ用アンテナの設置を強いられる場合が多い。
【0035】
或は、建物の壁面へ無線タグ用アンテナを設置する場合もあるが、ここも建物のコンクリートスラブと壁面化粧ボードのわずか10数cm程度の隙間へ、無線タグアンテナを埋め込む必要がある。
【0036】
また、天井に無線タグアンテナを設置する場合も同様であり、天井化粧ボードから下へ出すことは許容できず、コンクリート製の建物スラブと天井化粧ボードの僅かな隙間の天井裏へ無線タグアンテナを設置しなければならない。
【0037】
これらの空間は300MHZの波長に対しては僅か1/10波長以下程度にしかならず、上述の各種電界型アンテナが必要とする数波長の自由空間に比べて、はるかに不足するスペースしか許容されない。このため、アンテナとしての性能を非常に犠牲にしなければならない。
【0038】
つまり、あらかじめシステム設計したとおりの性能がでないため、現地での無駄な作業、コストがかかり、必要以上な高価なシステムとなったり、使いにくいシステムとなる課題があった。
【0039】
さらに、これを避けるため、無線タグ用アンテナが問題なく性能を発揮するような建物内のスペースへ設置した場合は、美観や、その建物内で活動する人間の作業性、居住性などに影響を与え、本来、こういった人間の活動を助けるべきシステムが、アンテナがあるが故に逆効果をもたらすという課題もあった。
【0040】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、金属やコンクリート等の遮られたタグをアンテナの特性を十分発揮して検知できると共に、建物の美観を損なうことなく、かつ大がかりな工事の必要がない磁界ループアンテナを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明は、UHF帯無線タグを使用した無線タグ検知システムにおいて、構造物に装着されて使用される磁界ループアンテナである。
【0042】
共振用のコンデンサと、前記コンデンサの一端に、当該アンテナの一端を接続し、前記コンデンサの他端に当該アンテナの他端を接続し、全周が0.5波長以下にされたループ状のアンテナと、前記アンテナに対して所定距離話されて重なるように設けられ、前記アンテナのループの大きさより、小さなループ状の検出用のコイルと、前記検出用のコイルの一端と他端とに接続されたコネクタと、前記コネクタを壁面に取り付けして、前記コンデンサ、アンテナ、検出用コイルを内部に収納した箱とを備えたことを要旨とする。
【0043】
また、本発明の磁界ループアンテナは、10PF以下のコンデンサを介在させて、全周が0.5波長以下となるループ状の第1の銅箔が貼り付けられた第1の基板と、前記第1の基板に対して一定間隔を有して設けられ、前記ループ状の第1の銅箔より直径が10分の1の大きさのループ状の第2の銅箔が貼り付けられた第2の基板と、前記第1の基板と第2の基板との間に例えば5mmの厚さで設けられた絶縁部材と、前記第1、第2の基板及び絶縁部材とを内蔵したケースと、前記第2の基板のループ状の第2の銅箔の両端に接続可能に前記ケースに取り付けられたコネクタとを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0044】
以上のように本発明によれば、300MHz帯は電波伝搬特性上、反射波が効率よく伝搬し、しかも波長が1m程度であることから、アンテナも理論的には100%効率の各種型式のアンテナを実用的な大きさで使用でき、かつアンテナに対して金属やコンクリート等の遮られたタグを検知できるという効果が得られている。
【0045】
また、建物の美観を損なうことなく、かつ大がかりな工事の必要がなく、かつ近傍に金属、コンクリートが存在していても、アンテナとしての性能を十分に発揮できるという効果が得られている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は本実施の形態の300MHz帯の磁界ループアンテナを使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【0047】
図1に示すように、本実施の形態の無線タグ検知システムは、コンデンサ17とループコイル16とを直列接続した磁界ループアンテナ15をケーブル4に接続して用いている。
【0048】
このシステムは、磁界ループアンテナ15が無線タグ受信機3からの出力信号に基づいて電波を放射し、無線タグ5からの電波を受信する。このとき、無線タグ5から輻射される電波のうち、磁界成分だけに磁界ループアンテナ15は反応し、得られた信号を無線タグ受信機3にケーブル4を介して出力する。
【0049】
無線タグ受信機3は磁界ループアンテナ15からの信号からIDコードを解読し、このIDコードをネットワーク6を介して監視システム7に出力する。
【0050】
前述の磁界ループアンテナ15について図2を用いて説明する。図2に示すように、全周0.5波長以下の長さ(50cm以下:例えば20cm)の導体(以下ループコイル16という)とコンデンサ17(10PF以下)とを直列接続してケース18に内蔵している。つまり、直列共振電流が流れる。ループコイル16は、ケース18の低に固定されている。
【0051】
また、検出用の導体20をコイル状(リンクコイルともいう)にして、この一端をケーブル4(給電線)と接続するコネクト19の心線に接続され、他方がコネクタ19のシールド側に接続されている。
【0052】
前述の検出用の導体20と、ループコイル16との空間は例えば5mm程度としている。この検出用の導体20によってループコイル16で検出された磁界成分の信号が出力されることになる。
【0053】
このような、300MHz帯の磁界ループアンテナ15が建物の中等で最適な性能を発揮するには、最適な設計パラメータを規定する必要がある。
【0054】
以下に設計パラメータ(コンデンサの容量、ループコイル長、幅等を含む)について説明する。
【0055】
まず、以下にアンテナから輻射される電磁波の発信源からの距離と電磁波の強度の関係について示す。
【0056】
ある空間の原点にある長さ1の電気ダイポールから距離rだけ離れた場所Pにおける電荷量をq(t)(tは時刻)とすると、電荷量の変化の割合が電流であるので、
【数1】
【0057】
と微分の形で書き表すことができる。
【0058】
原点にz軸方向を向いた微小ダイポールがあったとき、図3に示す点Pにおける微小ダイポールの電界E(t)および磁界H(t)を電荷量の変化q(t)で表現すると、
【数2】
【数3】
【0059】
となる。これらの式は極座標に基づいて表記されており、er、eθ、eΦは各々e方向、θ方向、Φ方向単位ベクトルである。またcは空間中の電磁波の伝搬速度である。
【0060】
これらの式でr−3に比例する項は静電磁場を作り出す項で、電気ダイポールの場合電界のにみ存在する。
【0061】
r−2の項は誘導電磁場を発生させる項である。r−1項は放射界を作り出す項である。充分遠方であれば静電項、誘導項は放射項と比べてはるかに小さくなる。ゆえにダイポールから充分離れた場所における電界・磁界(遠方界という)は
【数4】
【数5】
【0062】
となる。方向単位ベクトルは直交しているので、遠方界では電界と磁界は直交し、波の進行方向に電界・磁界の成分がない。
【0063】
周波数領域表示では遠方界電界・磁界の成分は
【数6】
【数7】
【0064】
となる。
【0065】
ここで、遠方電界と磁界の比ξを波動インピーダンスといい、以下の式で表される。
【数8】
【0066】
〔数6〕、〔数7〕より、近傍界領域では波原との距離rが短くなるほど波動インピーダンスξが大きくなることから、近傍界領域(フレネル領域)では電磁界のうち磁界成分が強く、遠方界領域(フラウンフォーファー領域)で電界成分が強くなって行くと言える。
【0067】
以上より、アンテナ近傍の磁界成分だけを検知する為には、アンテナ自体を電流モードで動作させ、アンテナ導線(ループコイル)への大きな電流を生じさせ、その電流から磁界成分がまず、空間に輻射されるようにアンテナの物理的構成を決定すればよい。
【0068】
これを実現させるには、アンテナ自体を使用周波数である300MHz帯で、直列共振する回路として形成し、アンテナ導線とそれを含む構造体に大きな直列共振電流が流れるようにすればよい。
【0069】
具体的には、アンテナ導線によりインダクタンスが構成されるので、それ自体を閉ループとして、そのインダクタンスに共振するコンデンサの値を決定し、それらを直列に電気的に接続する。
【0070】
この共振ループと給電用の同軸ケーブルに対してエネルギーを送受する方法は、リンクコイル方式、インピーダンスタップ方式など、どのような方法を採用しても差し支えない。
【0071】
こうすることにより、磁界ループアンテナが形成され、その動作インピーダンスは直列共振回路の共振インピーダンスとなる。
【0072】
つまり、導体のインダクタンスによる誘導リアクタンス分と、コンデンサのキャパシタンスによる静電リアクタンス分はお互いに打ち消しあって0となり、閉ループのインピーダンスは原理的には導体の純抵抗分だけの、1Ω以下の非常に低い値となる。
【0073】
従って、大きな電流が閉ループ内を流れる。そして、アンテナの近傍領域の磁界成分だけに反応して、そのエネルギーを空間とアンテナの間で効率良く送受信することができる。 すなわち、アンテナは極めて低いインピーダンスの電流モードで動作するため、アンテナ直近に電磁波の電界成分を乱すような金属やコンクリートといった物質が存在しても、磁界ループアンテナの特性に対しては殆ど影響を与えることはない。
【0074】
定量的な数値例を示すと、以下のようになる。
【0075】
いま近接した導体のサイズについて
N:ループ状導体のターン数(回)
W:導体の1辺の長さ(m)(形状が正方形の場合を仮定)
a:導体の半径(m)(導体が線状と仮定)
μs:比透磁率
とすると、このインダクタンスは下式で定義される。
【数9】
【0076】
この式に実際のシステムに適用する各種無線タグサイズを考慮して、適切な値を代入して導体サイズと、コンデンサの値を決定すればよい。
【0077】
例えば、
L=約40(nH)
となるサイズの導体構造とした場合には、C=約7(PF)のコンデンサを接続すれば、
f=1/2π√LC
の関係より約300MHZに共振することになる。
【0078】
空間の電磁波エネルギーをいかに効率良くアンテナとの間で送受信するかは、ループの面積が広いほど、アンテナの利得は高くなる。
【0079】
すなわち、
h:アンテナの相対利得(実行高)
A:ループの面積
N:ループの巻数
とすれば、
h=(2π/λ)NA
となる。
【0080】
そこで、アンテナの利得を上げるべく、ループをどんどん大型化すると、ループのインダクタンスもどんどん増加してしまう。そのため、その大きなインダクタンスを打ち消して、ループを300MHZ帯に共振させるためにはコンデンサの値をどんどん小さくしなければならなくなる。
【0081】
計算と実験によれば、ループの材料に安価で入手しやすく、加工も容易な銅を使用した場合、ループ全長は20cm程度(ループ直径5〜6cm程度)で、共振用コンデンサの値は数PFである。この場合のアンテナ利得は通常の1/2波長ダイポールアンテナに対して−数〜−10dB程度であり充分実用的な利得が得られる。
【0082】
これ以上、アンテナ利得を上げようとして、ループ長を大きくすると、コンデンサの値は計算上1PF以下となってしまい、実際にアンテナを製作しようとしても、物理的に実現不可能なコンデンサ静電容量値となってしまう。
【0083】
更に、ループが磁界モードで動作する理論的限界は全周0.5波長以下(300MHZ帯の場合は50cm以下)であり、これ以上の長さとなると、ループ導体上の電流分布が一定でなくなり、定在波が発生してしまう。
【0084】
この定在波によって、ループは必然的に電界型アンテナとしての動作にモードが替わり、もはや磁界ループアンテナではなくなってしまう。
【0085】
一方で、コンデンサの値を10PF程度より大きくして、製作や調整を容易ならしめようとすると、ループ長(ループの面積)がどんどん小さくなり、アンテナ利得が低下してしまう。
【0086】
しかも、ループ長が小さくなればなるほど、ループの導体インピーダンスがどんどん低くなり、ループを形成している材料(この場合は銅)の直流抵抗が無視できなくなり、300MHZの高周波による表皮効果ともあいまって、導体抵抗損失によるアンテナ効率の低下が顕著となる。
【0087】
これを防ぐ為には銅の表面に高周波抵抗の低い材料である金メッキを施し、表皮効果によるオーム損失を低減させるなどの対策が必要となり、非常にコストが上がってしまう。
【0088】
従って、300MHZ帯の無線タグ用磁界ループアンテナの実用的なサイズは、全周0.5波長以下で、共振用コンデンサの値は10PF以下が適切となる。
【0089】
実験によれば、図11に示すようなダイポールアンテナを例えば図6のような床下に設置して無線タグとの通信を行った場合は、室内での検知距離は僅か1〜2m程度まで短縮されてしまう。
【0090】
そこに、全く同じ条件でアンテナだけを本実施の形態の磁界ループアンテナに設置するだけで、検知距離は7〜8m程度まで改善される結果を得ることが可能となった。
【0091】
そして、このような磁界ループアンテナ15のループコイル16と導体20(以下単に磁界ループアンテナという)は、図4(a)、図4(b)に示すような収納ケース21に内蔵して用いるのが好ましい。
【0092】
図4は300MHZ帯で使用する磁界ループアンテナを内蔵した収納ケースの外観図である。
【0093】
図4(a)、(b)に示すように、磁界ループアンテナを内蔵したケース21にはケーブル4と接続されるコネクタ19が取り付けられ、また内部壁等に固定するための治具23,24が取り付けられている。このように、ケース21は汎用的な壁埋め込み型の箱(ACコンセント型、スイッチ型)としているので、実際の構築物に実装する場合、そのサイズと構造から作業性が高い。
【0094】
このように、本実施の形態の磁界ループアンテナを、汎用品の電源用BOX形の収納ケースに収納しているので、非常に安価である。
【0095】
しかも、アンテナ自体を金属、コンクリートなどの電波特性上、極めて不利な材料で構成された構造物の極めて近接した狭いスペースに設置できる。
【0096】
そのため、無線タグシステムでのアンテナ設置場所の選定の問題から開放され、アンテナ設置場所を選ばず、ケースバイケースで最もエンドユーザーが最も使いやすい任意の場所にアンテナを設置することが可能なる。
【0097】
これらにより、安価で使いやすいシステムを実現でき、しかも現場での建設、調整作業を簡略化でき、経済的な無線タグシステムを短時間に構築可能である。
【0098】
そして、上記のような磁界ループアンテナを図4のようなケースに内蔵して用いることによって、鉄筋、コンクリート等からなる建物26の部屋の壁27との間が5cm〜15m程度であっても、無線タグ5からの電波の磁界成分を特性に影響なく検出できる。このため、室内の大きさを大きくとることができると共に、取付ても美観を損なわない。
【0099】
つまり、図5のように、建物、その他構造物から1波長以内の距離に磁界ループアンテナを設置しても、アンテナ本来の性能から大きな劣化なく動作可能である。
【0100】
同じように構造物から1波長以内の場合に、電界型アンテナ(ダイポールアンテナ、ホイップアンテナ、八木アンテナなど)を設置した場合には、構造物によって、アンテナ近傍の電界が影響を受け、アンテナ自体の動作インピーダンスも乱れることにより、そのアンテナ本来の性能(利得、指向性など)が発揮されなかった。
【0101】
しかし、本発明の磁界ループアンテナをこのように構造物に極めて近接した波長以内の距離に設置しても、低インピーダンスの電流モードで動作して、磁界モードで動作しているため、構造物の影響を殆ど受けないという大きな特徴がある。
【0102】
しかも、構造物から1波長以内という近接した距離に設置できることは、実用上もシステムを極めてコンパクトに構築することができ、実用上も非常に有利となる。
【0103】
図6は建物の床面、天井面、壁面などが金属やコンクリートで形成されており、その近傍の非常に狭く、周囲をこういった部材の構造物で囲まれた空間に本実施の形態の磁界ループアンテナを設置した例である。
【0104】
このように、金属やコンクリートといった、本来、電波を吸収してしまう材料で構成された極めて狭く厳しい電波環境条件の場所に、磁界ループアンテナが設置されても、前述のこのアンテナの特徴を発揮し、アンテナ本来の性能を大きく損なうことなく動作するため、天井面や床面の僅かな隙間や、金属面に発生する渦電流効果などによって、建物内の空間とアンテナとの間で電磁波のエネルギーのやり取りが可能となる。
【0105】
そのため、建物内から見た場合、アンテナは一切その姿を目視できる位置には現さない。従って、目視上の美観、建物内での活動などにアンテナが邪魔になることはなく、極めて、都合が良い。
【0106】
もし、このようなシステムに従来の電界型アンテナを使用した場合は、天井裏、床下、壁面などのスペースではアンテナとしての正常な動作をなさなくなってしまう。しかも、これらの面が金属などで構成されている場合には、アンテナと空間の電磁波のエネルギー送受信は電界シールド効果により充分になされない大きな問題点がある。
【0107】
そこで、電界型アンテナが正常に動作できる位置へ設置した場合、天井や、床、壁から電波特性面から判断して適切な距離を離して設置する必要がある。その場合、美観上問題になったり、建物内でも様々な活動の邪魔になったりと大きな問題となってしまう。
【0108】
本実施の形態の磁界ループアンテナはこう言った問題を一切発生させることなく、無線タグシステムを構築できている。
【0109】
また、図7は同じような事例で、磁界ループアンテナをロッカーや様々な品物の収納箱など、建物よりも更に小さいものへ収納した事例である。
【0110】
この場合にも上述と全く同じ理由により、磁界ループアンテナの特徴を発揮する。
【0111】
<その他の実施の形態>
図8はその他の実施の形態の磁界ループアンテナの構成図である。図9はA方向から見たときの側面図である。図8の磁界ループアンテナ28は、銅箔のループコイル31(50cm以下:20cm)と10PF以下のコンデンサ30とをプリント基板32に設け、かつ銅箔の検出コイル33(大きさはループコイル31の約10分の1)をプリント基板34に設け、プリント基板32とプリント基板34との間隔を約5mmとした部材35(ガラスエポキシ)で構成している。そして、このプリント基板34とプリント基板32と部材35とで構成される磁界ループアンテナ28はケース29に内蔵している。すなわち、ループコイル31と検出コイル33とは約5mmの部材35を介して重なる関係にされている。
【0112】
また、検出コイル33の一方はコネクタ36(50Ω)の心線に接続され、他方はコネクタ36のシールド側に接続されている。
【0113】
また、図10に周波数とSWRの関係を示す。図10に示すように、ループコイルのLとCとの大きさで図10に示すSWRカーブが横方向に動き、検出コイルとループコイルの間隔でSWRカーブが上下に動く。
【0114】
本実施の形態では、間隔が5mmのときに、最も深いSWRカーブを得ることができた。
【0115】
すなわち、プリント基板と部材で磁界ループアンテナを作成したので、量産化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施の形態の300MHz帯の磁界ループアンテナを使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【図2】本実施の形態の300MHz帯の磁界ループアンテナの構成図である。
【図3】アンテナから発信される電磁波の発信源から距離と電磁波の強度の関係を説明する説明図である。
【図4】300MHZ帯で使用する磁界ループアンテナを内蔵した収納ケースの外観図である。
【図5】本実施の形態の磁界ループアンテナを他構造物から1波長以内に設置して使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【図6】本実施の形態の磁界ループアンテナを他構造物、床、天井に設置して使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【図7】本実施の形態の磁界ループアンテナをロッカーに使用した無線タグ検知システムの概略構成図である。
【図8】他の実施の形態の磁界ループアンテナの概略構成図である。
【図9】図8の磁界ループアンテナの側面図である。
【図10】本実施の形態の磁界ループアンテナのSWR特性を説明する説明図である。
【図11】従来の無線タグ検知システム(ダイポールアンテナ使用)の概略構成図である。
【図12】従来の無線タグ検知システム(八木アンテナ使用)の概略構成図である。
【図13】従来の無線タグ検知システム(ホイップアンテナ使用)の概略構成図である。
【図14】従来の無線タグ検知システム(平面アンテナ使用)の概略構成図である。
【符号の説明】
【0117】
4 ケース
15 磁界ループアンテナ
16 ループコイル
17 コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UHF帯無線タグを使用した無線タグ検知システムにおいて、構造物に装着されて使用される磁界ループアンテナであって、
共振用のコンデンサと、
前記コンデンサの一端に、当該アンテナの一端を接続し、前記コンデンサの他端に当該アンテナの他端を接続し、全周が0.5波長以下にされたループ状のアンテナと、
前記アンテナに対して所定距離話されて重なるように設けられ、前記アンテナのループの大きさより、小さなループ状の検出用のコイルと、
前記検出用のコイルの一端と他端とに接続されたコネクタと、
前記コネクタを壁面に取り付けして、前記コンデンサ、アンテナ、検出用コイルを内部に収納した箱と
を有することを特徴とする磁界ループアンテナ。
【請求項2】
前記コンデンサの静電容量は10PF以下であることを特徴とする請求項1記載の磁界ループアンテナ。
【請求項3】
箱は、汎用の電源コンセント型の長方形の立体形のケースを使用していることを特徴とする請求項1又は2記載の磁界ループアンテナ。
【請求項4】
10PF以下のコンデンサを介在させて、全周が0.5波長以下となるループ状の第1の銅箔が貼り付けられた第1の基板と、
前記第1の基板に対して一定間隔を有して設けられ、前記ループ状の第1の銅箔より直径が10分の1の大きさのループ状の第2の銅箔が貼り付けられた第2の基板と、
前記第1の基板と第2の基板との間に10mm以下の厚さで設けられた絶縁部材と、
前記第1、第2の基板及び絶縁部材とを内蔵したケースと、
前記第2の基板のループ状の第2の銅箔の両端に接続可能に前記ケースに取り付けられたコネクタと
を有することを特徴とする磁界ループアンテナ。
【請求項1】
UHF帯無線タグを使用した無線タグ検知システムにおいて、構造物に装着されて使用される磁界ループアンテナであって、
共振用のコンデンサと、
前記コンデンサの一端に、当該アンテナの一端を接続し、前記コンデンサの他端に当該アンテナの他端を接続し、全周が0.5波長以下にされたループ状のアンテナと、
前記アンテナに対して所定距離話されて重なるように設けられ、前記アンテナのループの大きさより、小さなループ状の検出用のコイルと、
前記検出用のコイルの一端と他端とに接続されたコネクタと、
前記コネクタを壁面に取り付けして、前記コンデンサ、アンテナ、検出用コイルを内部に収納した箱と
を有することを特徴とする磁界ループアンテナ。
【請求項2】
前記コンデンサの静電容量は10PF以下であることを特徴とする請求項1記載の磁界ループアンテナ。
【請求項3】
箱は、汎用の電源コンセント型の長方形の立体形のケースを使用していることを特徴とする請求項1又は2記載の磁界ループアンテナ。
【請求項4】
10PF以下のコンデンサを介在させて、全周が0.5波長以下となるループ状の第1の銅箔が貼り付けられた第1の基板と、
前記第1の基板に対して一定間隔を有して設けられ、前記ループ状の第1の銅箔より直径が10分の1の大きさのループ状の第2の銅箔が貼り付けられた第2の基板と、
前記第1の基板と第2の基板との間に10mm以下の厚さで設けられた絶縁部材と、
前記第1、第2の基板及び絶縁部材とを内蔵したケースと、
前記第2の基板のループ状の第2の銅箔の両端に接続可能に前記ケースに取り付けられたコネクタと
を有することを特徴とする磁界ループアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−281877(P2007−281877A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105387(P2006−105387)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
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