説明

神経刺激システム

本発明は、刺激電極132の空間的アレイ130と、関連付けられたコントローラ110とを有する、特に脳深度刺激DBSに対する神経刺激システムに関する。コントローラ110は、刺激電極132の異なるサブセットに対して電気パルスを順次的に供給するように構成される。好ましくは、コントローラ110は、単一のパルス生成器112と、異なる刺激電極に対して前記パルスを分配する多重化ユニット111とを有する。刺激電極132は、好ましくはプローブ131上に配置されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経刺激システム、特に複数の刺激電極を有する中枢神経系刺激(CNSS)又は脳深部刺激(DBS)に関する。更に、本発明は、このようなDBSシステムを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み電極により脳領域の電気刺激は、幾つかの神経障害に対する可能な治療である。WO2005/039694A1は、幾つかの活性領域を各々持つ複数の生体適合電極を有する脳電気刺激を開示しており、前記活性領域は、刺激パルスを運ぶラインに整流装置により選択的に接続されることができる。前記整流装置の接続パターンは、必要であれば外科的介入の間又は後に刺激の場所を調節するように修正されることができる。前記装置の通常動作中に、前記接続パターンは、しかしながら、固定であり、全ての利用可能な活性領域のサブセットのみが電気パルスを供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この背景に基づき、本発明の目的は、神経刺激システム、特にCNSS又はDBSシステムの電気生理学的効率を向上させる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の神経刺激システム及び請求項15に記載の方法により達成される。好適な実施例は、従属請求項に開示される。
【0005】
本発明による神経刺激システムは、特に中枢神経系(CNS)における神経刺激及びより好ましくは脳深部刺激(DBS)に適している。前記システムは、以下の特徴的構成要素を有する。
a)空間的アレイに配置された複数の刺激電極。用語"アレイ"は、本出願との関連で、複数のユニットの任意の2又は3次元配置を示すべきである。しばしば、このようなアレイの前記ユニットは、規則的なパターン、例えばグリッド又はマトリクスパターンに配置される。他の応用例において、前記ユニットは、例えば脳の2つの異なる半球に埋め込まれたDBS電極の場合のように、互いに対して特定の又は規則的な空間的関係を持たないこともありうる。前記刺激電極は、前記神経刺激システムの使用中に神経組織に電気刺激するように機能し、好ましくは生体適合金属から作られる。異なる電極形状、例えば何らかのキャリアの周りにリング形状に延在する電極又はいわゆる指向性電極が可能であり、各指向性電極は、制限された角度のみに広がり、したがって組織に対する電気刺激のより集中的な供給を可能にする。刺激電極の典型的な数は、2つの電極から500の電極までの範囲を取る。
b)全ての刺激電極の異なるサブセットに対する電気パルスの順次的供給を制御するコントローラ。前記サブセットは、オプションとしてただ1つの電極を有してもよく、又は複数の電極を有してもよい。好ましくは、各刺激電極は、唯一のサブセットのメンバである。更に、用語"パルス"は、制限された時間的期間を持つ任意の形状の電気信号として広い意味で理解されるべきである。典型的には、前記パルスは、例えば矩形又は鐘形パルスの場合のように、ゼロからピークまで上昇し、次いでゼロに戻る形状を持つ。反対の極性の位相を持つパルス又は波形、例えば二層パルスは、同様に可能である。更に、前記コントローラが、オプションとして、ワイヤにより、無線リンクにより、光学的に又は他に機械的に、ガルバニック又は無線で前記刺激電極に接続されることができることに注意すべきである。
【0006】
前記神経刺激システムは、典型的には、−少なくとも部分的には−、埋め込み可能であり、生体適合性があり、十分な(好ましくは再充電可能な)電力供給等を持つ。これらの要件は、当業者に既知であり、したがって、以下に明示的には述べられない。
【0007】
提案された前記神経刺激システムは、刺激電極の空間的アレイを使用することにより大きな体積の神経組織を刺激するという利点を持つ。更に、前記システムは、全ての利用可能な刺激電極が同時に作動されるわけではないが、これらの電極の異なるサブセットが次々に作動される刺激シナリオを可能にする。刺激モデル及び実施の確認は、このアプローチが、驚くべきことに、より高い効率及び刺激される神経組織の増大された体積をもたらすことを示す。
【0008】
前記神経刺激システムの前記コントローラは、通常は、前記刺激電極に供給される電気パルスを生成する"パルス生成器"と称される電子ユニットを有する。前記提案された神経刺激システムにおいて、1つのこのようなパルス生成器は、原理的に、刺激電極ごとに存在することができ、各電極に個別のパルスパターンを与えることを可能にする。
【0009】
前記神経刺激システムの好適な実施例において、前記コントローラは、しかしながら、電気パルスを生成する少なくとも1つのパルス生成器と、前記パルス生成器により生成された電気パルスを前記電極のサブセットの少なくとも一部にわたりタイミングを合わせた形式で分配するパルス分配装置とを有する。パルス分配装置を使用することにより、前記パルス生成器の出力は、複数の刺激電極により共有されることができる。これは、ハードウェア費用、したがってコストを減少し、前記神経刺激システムのよりコンパクトな設計を可能にする。更に、前記パルス生成器が与えることができる電力は、その瞬間に選択されている前記刺激電極のサブセットに対して完全に利用可能である。これと対照的に、全ての刺激電極の同時作動は、対応して単一電極に対してより小さい電力を残す。
【0010】
異なるパルス生成器が異なる電極サブセットに対して場合により異なる特性を持つ異なるパルストレインを送ることが可能である場合、非常にフレキシブルな刺激が達成されることができる。これは、複数のパルス生成器を設けることにより第1の実施例において実現されることができ、ここでこれらのパルス生成器の各々は、特定のパルス分配装置と関連付けられる。代替的な実施例において、前記神経刺激装置は、複数のパルス生成器を有し、前記(少なくとも1つの)パルス分配装置は、異なるパルス生成器を全ての刺激電極の異なるサブセットに結合することができる。したがって、単一のパルス分配装置は、例えば、n(パルス生成器の数)の入力部及びm(電極の数)の出力部を持つことができ、前記nの入力部のいずれかが前記mの出力部のいずれかのサブセットに独立に結合される。
【0011】
前記パルス分配装置は、幾つかの形で実現されることができる。例えば、
(1)刺激電極のサブセットに対するパルス生成器のおおよそ一定のルーティングとして実現され、これにより前記パルス生成器が順番に"発火"する。
(2)電極の唯一のサブセットが一度に作動されるように、異なる刺激電極に対して前記パルス生成器により生成されたパルスを動的に分配する多重化ユニットとして実現される。
(3)"チャネル"多重化ユニットとして実現され、前記パルス生成器の出力が制限された数の"チャネル"(例えば4、8等)に対して動的に多重化され、これらのチャネルの各々が、刺激電極のサブセットに接続される。この解決法は、(前記サブセットが、典型的には、固定であるか、又は期間、例えば医者を訪れている間に、一度しか変更されないので)マルチプレクサにおけるより少ない切り替えが必要とされ、これにより電力を節約するという利点を持つ。
【0012】
前記神経刺激システムの前記コントローラは、全ての刺激電極の異なるサブセットに電気パルスを順次的に供給するように構成される。一般に、パルスを受信するサブセットが選択される順序、及び全ての刺激電極のサブセットへの分割は、連続的に変化しうる。電気パルスを提供される刺激電極は、例えば、全ての刺激電極のプールからランダムに選択されてもよい。好適な実施例において、前記コントローラは、しかしながら、前記刺激電極の(固定)サブセットに循環的に電気パルスを印加するように構成される。これは、前記刺激電極のサブセットが、電気パルスを受信するために選択される順番を持ち、前記選択が、全てのサブセットが一度選択された後に前記順番の最初のサブセットで再開することを意味する。前記分配された電気パルスが、一定の周波数Fで生成され、Nのサブセットが選択可能である場合、刺激電極の各単一のサブセットは、周波数f=F/Nでパルスを受ける。これは、周囲の神経組織に対して最適な刺激状況を保証する。
【0013】
前記神経刺激システムの前記コントローラは、好ましくは、異なる刺激電極に対して異なる波形の電気パルスを供給するように構成されることができる。したがって、刺激電極の各サブセットは、固有の刺激波形/パルスを受けることができる。更に、異なる電流/電圧レベルが、所定のサブセットの活性化体積を成形するようにサブセット内の刺激電極に印加されることができる。
【0014】
本発明の好適な実施例において、前記神経刺激システムは、空間的アレイに配置され、前記刺激電極の少なくとも1つを各々持つ複数のプローブを有する。前記プローブは、典型的には、可とう性の生理学的に適合性のある電気絶縁材料、例えばポリイミド又はポリウレタン及びシリコン−ウレタン共重合体から作られた細長いプローブ本体を持つ。プローブの典型的な数は、2ないし10の範囲であり、各プローブは、1ないし約50の刺激電極を持つ。
【0015】
以下、プローブを持つ前述の神経刺激システムの異なる変形例が記載される。
【0016】
原理的に、同時に作動される刺激電極のサブセットが、異なるプローブからの電極を有することが可能であり、前記サブセットは、例えば、各プローブから1つの電極を有することができる。好適な実施例において、各サブセットは、しかしながら、1つの関連付けられたプローブのみからの刺激電極(又はただ1つの刺激電極)を有する。所定の時点において、特定のプローブの周りの組織のみが、この場合に刺激される。
【0017】
好適な実施例において、前記プローブは、軸方向の延在部を持ち、(前記軸方向の延在部に関して)互いに平行に配置される。前記プローブは、この場合、前記軸に沿った移動により脳組織に同時に挿入されることができ、前記プローブは、オプションとして、共通のキャリアに取り付けられることができる。
【0018】
他の実施例において、前記刺激電極のサブセットは、前記サブセットの活性化体積が、全く又はほとんど重複せず(例えば10%より低い)に接するように配置され、電極のセットの前記"活性化体積"は、神経組織が前記電極に送られる(典型的な)電気パルスにより有意に影響を受ける(例えば脱分極される)前記電極の周りの体積として規定される。前記活性化体積が接するので、前記刺激電極のサブセットは、前記神経刺激システムにより制御されることができる脳組織のより大きな接続された体積を効果的に規定する。この設計の具体的な実施例において、各サブセットの全ての刺激電極は、1つの関連付けられたプローブ上に配置されることができる。
【0019】
軸方向に延在する平行なプローブの場合、前記軸方向の延在部に垂直に測定される前記プローブの直径が測定される。前記神経刺激システムの好適な実施例において、前記プローブは、前記直径の1倍ないし10倍に相当する互いからの距離に配置される。
【0020】
更に、前記プローブは、好ましくは、約20mm2ないし約400mm2の面積(前記軸方向の延在部に対して垂直に測定される)にわたり分配される。
【0021】
前記プローブの好適な空間配置は、規則的なパターン、例えば前記プローブが長方形の角及びオプションとして真ん中にも配置されるパターンである。代替的に、三角形又は六角形パターンが使用されることができる。
【0022】
本発明は、更に、空間的アレイに配置された神経刺激システムの複数の刺激電極を制御する方法に関する。前記方法は、以下のステップ、すなわち、
a)電気パルスのシーケンスを生成するステップと、
b)刺激電極の異なるサブセットに前記パルスを順次的に分配するステップと、
を有する。
【0023】
前記方法は、一般に、上記の種類の神経刺激システムで実行されることができるステップを有する。したがって、当該方法の細部、利点及び改良に関するより多くの情報に対して先行する記載が参照される。
【0024】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例を参照して説明され、明らかになる。これらの実施例は、例として、添付の図面の助けとともに記載される。
【0025】
図の同様の参照番号は、同一又は同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】脳深度刺激に対する本発明によるシステムの応用例を概略的に示す。
【図2】図1のDBSシステムの電極構成をより詳細に示す。
【図3a】図2と同様の構成の全ての刺激電極の同時作動に対するシミュレーション結果を示す。
【図3b】図2と同様の構成の全ての刺激電極の同時作動に対するシミュレーション結果を示す。
【図3c】図2と同様の構成の全ての刺激電極の同時作動に対するシミュレーション結果を示す。
【図3d】図2と同様の構成の全ての刺激電極の同時作動に対するシミュレーション結果を示す。
【図4a】単一の電極のみの刺激に対するシミュレーション結果を示す。
【図4b】単一の電極のみの刺激に対するシミュレーション結果を示す。
【図4c】単一の電極のみの刺激に対するシミュレーション結果を示す。
【図4d】単一の電極のみの刺激に対するシミュレーション結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
中枢神経組織に対する小さな電気刺激の印加の有益な治療効果は、1980年代後半にBenabid及び同僚(グレノーブル)により発見された。視床構造に対するいわゆる高周波電気刺激(130Hz、−3V、60μs、典型的な刺激パラメータ)を印加することは、パーキンソン病(PD)患者及び本態性振戦患者の両方の振戦を軽減することができる。後年に、脳深度刺激(DBS)に対する他の目標が識別され(例えば淡蒼球内節GPi及び視床下核STN)、結果としてPD患者のクオリティオブライフの著しい向上を生じた。更に、てんかん及びうつ病のような他の神経障害に対するDBSの使用が研究されている。
【0028】
以下、本発明による神経刺激システムが、DBSに対する応用例に関して記載される。しかしながら、本発明がこの場合に限定されず、神経刺激の他の分野にも応用されることができることに注意すべきである。
【0029】
典型的なDBSシステム100は、図1に示され、
患者1の鎖骨の下に外科的に埋め込まれた埋め込みコントローラ110と、
コントローラ110に接続され、コネクタで終端処理される頭蓋骨まで首に沿って皮下に走る延長ワイヤ120と、
前記頭蓋骨における穿頭孔を通って脳組織に埋め込まれたDBSプローブ装置130と、
からなる。
【0030】
治療の効力を向上させる1つの可能なアプローチは、刺激の印加に使用される電極及び/又はプローブ(電極を持つ存在物)の数を増加することである。より大きな体積の組織をカバーすることにより、より多くの症状が、不所望な場所に刺激を送らないことにより副作用を減少しながらより効果的に治療されることができる。
【0031】
モデル計算が示すように、埋め込みパルス生成器の出力部に対する組織体積に分配された複数の電極の平行接続は、しかしながら、刺激効力の比例する増加を生じない。効果的に、電極ごとの刺激体積は、このように低下する。結果として、Nの電極にわたり前記パルス生成器を分配する場合、組織の刺激される体積の増加は、N倍より大幅に小さい。
【0032】
ここで提案されるこの問題に対する解決法は、前記パルス生成器出力部に対する順次的な前記刺激電極の接続を有する。これは、例えば、
1.周波数N・fで前記パルス生成器を駆動し、ここでNが刺激を印加するのに使用される電極又は(同時にアドレスされる)電極のサブセットの数であり、fが所要の治療刺激周波数であり、
2.各パルスに対する異なる電極又は電極のサブセットに前記パルス生成器の出力をルーティングする、
ことにより達成される。
【0033】
図2は、図1のDBSシステム100の具体的な実施例に対してこの原理を説明する。図示された場合において、DBSシステム100は、z方向の軸方向に延在し、規則的なパターンで互いに平行に配置された5つのプローブ131の空間的パターン又はアレイ130を有する。各プローブ131は、前記プローブの軸方向の延在部に沿って互いから等距離に分配された複数の(図示された例において4つの)リング形状刺激電極132を持つ。図示された例において、5つのプローブ131は、典型的には8ないし12mmの辺の長さを持つ正方形の角及び真ん中に配置され、前記プローブは、約1.27mmの典型的な直径を持つ。刺激電極132は、約1.5mmの典型的な高さを持ち、前記プローブの軸方向の延在部に沿った互いからの典型的には約0.5mmの等距離で分配される。
【0034】
プローブ131の刺激電極132は、本発明によって様々な刺激電極にわたり刺激パルスを分配するコントローラ110に対してライン120により電気的に接続される。前記コントローラは、少なくとも1つのパルス生成器112及びマルチプレクサユニット111を含む。前記コントローラは、好ましくは、第1の密封生体適合コンテインメント内に含まれる。多重化ユニット111は、前記第1のコンテインメント内に物理的に配置されることができる。しかしながら、前記多重化ユニットは、前記第1のコンテインメントの外に配置され、第2の密封生体適合コンテインメント、例えば前記プローブに接続する前記延長ワイヤ上のコンテインメントに一体化されることもできる。
【0035】
パルス生成器112は、多重化ユニット111の入力部に電気パルスを供給する。前記コントローラは、前記多重化ユニットを適切に切り替えることにより前記様々な電極にわたる前記電気パルスの分配を制御する。図示された例において、単一のプローブ131の4つ全ての刺激電極132が、同じラインを介して多重化ユニット111の同じ出力部に接続されている。多重化ユニット111は、その入力部において、周波数N・f(ここではN=5)で矩形パルスのシーケンスを提供するパルス生成器112に接続される。多重化ユニット111は、これらのパルスを異なる出力部に、すなわちプローブアレイ130の異なる刺激電極132に分配する。
【0036】
図示されたもの以外の接続スキームが実現されることができ、例えば各単一の刺激電極を別々の出力部に接続する及び/又は複数のプローブの刺激電極を1つの出力部に接続する。更に、図2が、コントローラ110の機能のみを表しており、実際の空間的設計を表していないと意図されることに注意すべきである。したがって、例えば、多重化ユニット111が、実際にプローブ131の近くに配置され、離れて埋め込まれたパルス生成器112に(単一の)ラインを介して接続されることが可能でありうる。
【0037】
記載されたDBSシステム100は、従来の場合と同様である電極ごとの刺激体積を生じ、N重分配刺激は、したがって、活性化される組織体積の(およそ)N倍の増加を生じる。
【0038】
図3及び4は、コンピュータシミュレーションの結果とともに提案されたDBSシステムの利点を示す。図3は、図2のもののような体積DBS電極装置に対する計算された電圧プロファイル及び活性化関数分布を示し、全ての電極は、同時に(!)−1Vであると仮定される。左上のプロットa)は、プローブアレイ中心を通る10×10mm2軸(xy)平面における電圧(U)分布を示す。右上のプロットb)は、5×5mm2軸(xy)平面における縦方向に走るファイバに対する活性化関数(AF)を示す。左下及び右下のプロットc)及びd)は、それぞれx及びy方向の水平なファイバに対する活性化関数を示す。AFプロットにおける描かれた線は、AFが−40mV、−20mV、0mV、20mV及び40mVに等しい境界を示す。
【0039】
図は、電極間の全ての組織化活性化されるわけではなく、合計アドレス体積におけるゲインが小さいことを示す。
【0040】
図4は、図3に対応する表現において、軸平面における(従来の)単一電極DVS電圧分布及び活性化パターンを示し、前記電極は−1Vの振幅である。
【0041】
図3及び4に示される2つの例に関する計算から、単一電極DBSと比較して同時電極刺激を用いる4つの円周電極を各々持つ5つの平行なプローブの具体例に対する体積DBSについて、以下の結論が引き出される。
−体積DVSは、5ないし8倍多い電流を引き出す。
−活性化の合計体積は、4倍に増加する。
−電極ごとの活性化の体積は、5倍で減少される。
−活性化の体積は、解剖学的形状に一致しない。
−中心領域は、わずかに刺激される。
−刺激は、前記アレイの縁に限定する。
【0042】
前記体積DBSシステムの比較的貧弱な性能の根底にある物理的原因は、特に中心電極における電極ごとの電流低下、及び特に再び前記アレイの中心における電場勾配の低下であると推定されることができる。
【0043】
これら全ての不利点は、上で提案された刺激パターンが印加される、すなわち一度に1つの電極/プローブのみ又は電極のサブセットにパルスを送る場合に回避され、ここで(順次的に作動される)異なるサブセットの活性化体積は、(例えば最小の効果的重複に対応することができる)最適な重複を持つ。
【0044】
最後に、本出願において、用語"有する"が、他の要素又はステップを除外せず、"1つの"("a"又は"an")が、複数を除外せず、単一のプロセッサ又は他のユニットが、複数の手段の機能を満たしてもよいことが指摘される。本発明は、あらゆる特徴的フィーチャ及び特徴的フィーチャのあらゆる組み合わせにある。更に、請求項内の参照符号は、前記請求項の範囲を限定するように解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経刺激システムにおいて、
a)空間的アレイに配置された複数の刺激電極と、
b)全ての刺激電極の異なるサブセットに対する電気パルスの順次的な供給を制御するコントローラと、
を有する神経刺激システム。
【請求項2】
前記コントローラが、少なくとも1つのパルス生成器と、異なる刺激電極に対して前記パルス生成器により生成されたパルスを分配するパルス分配装置とを有することを特徴とする、
請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項3】
前記神経刺激システムが、関連付けられたパルス分配装置を各々持つ複数のパルス生成器を有することを特徴とする、
請求項2に記載の神経刺激システム。
【請求項4】
前記神経刺激システムが、複数のパルス生成器を有し、前記パルス分配装置が、全ての刺激電極の異なるサブセットに対して異なるパルス生成器を結合することができることを特徴とする、
請求項2に記載の神経刺激システム。
【請求項5】
前記パルス分配装置が、刺激電極のサブセットに対するパルス生成器の一定のルーティングを有することを特徴とする、
請求項2に記載の神経刺激システム。
【請求項6】
前記パルス分配装置が、前記パルス生成器により生成されたパルスを個別の刺激電極に対して及び/又は刺激電極のサブセットに対して多重化する多重化ユニットを有することを特徴とする、
請求項2に記載の神経刺激システム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記刺激電極のサブセットに対して循環的に前記電気パルスを印加することを特徴とする、
請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項8】
前記コントローラが、異なる刺激電極に対して異なる波形の電気パルスを供給することを特徴とする、
請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項9】
前記神経刺激システムが、複数のプローブを有し、前記複数のプローブが、空間的アレイに配置され、前記複数のプローブの各々が、少なくとも1つの刺激電極を持つことを特徴とする、
請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項10】
各サブセットが、1つの関連付けられたプローブのみからの刺激電極を有することを特徴とする、
請求項9に記載の神経刺激システム。
【請求項11】
前記プローブが、軸方向の延在部を持ち、前記軸に関して互いに平行に配置されることを特徴とする、
請求項9に記載の神経刺激システム。
【請求項12】
前記刺激電極のサブセットは、活性化体積が接するように配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項13】
前記プローブが、前記プローブの直径の約50%ないし500%の値に相当する互いからの距離に配置されることを特徴とする、
請求項9に記載の神経刺激システム。
【請求項14】
前記プローブが、約20mm2ないし約400mm2の面積にわたり分配されることを特徴とする、
請求項9に記載の神経刺激システム。
【請求項15】
空間的アレイに配置された神経刺激システムの複数の刺激電極を制御する方法において、
a)電気パルスのシーケンスを生成するステップと、
b)刺激電極の異なるサブセットに対して順次的に前記パルスを分配するステップと、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【公表番号】特表2010−533023(P2010−533023A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515633(P2010−515633)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052673
【国際公開番号】WO2009/007883
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】