神経刺激パッチ及び選択された神経を刺激する方法
選択的神経刺激パッチは、頂面及び底面を有する基板と、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、基板の頂面の上にあり互いに電気的に相互接続された内蔵構成部品と、少なくとも1つの神経刺激信号を標的の神経に印加するための、基板の中に内蔵され基板の底面にて露出された電極と、基板及び内蔵構成部品の上にある防水通気性カバーと、基板を囲み、カバーと基板とを互いに結合する支持フランジと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は一般に、神経及び体部位を刺激することに関する。より具体的には、本発明は、治療効果を達成するように神経及び体部位を刺激するために使用される神経刺激パッチに関する。
【0002】
〔関連技術の説明〕
神経は、人体の末梢神経系の一部である。神経は、皮膚及び体器官から中枢神経系まで往復して感覚信号を伝達する。神経は、損耗、身体的外傷、感染、及び/又は神経を囲む血管の障害が原因で、損傷を受けることがある。これらの機能的欠陥は、痛み、しびれ、脱力感を、また場合によっては麻痺状態を伴うことがある。神経の損傷によって生じる他の問題には、尿及び便の失禁が含まれ得る。
【0003】
上記の問題を扱うために、様々な方策が開発されてきた。例えば、尿失禁の治療は、より高頻度に排尿すること及び保護下着を着用することなどの行動修正を伴うことがある。ある社会的状況においては、しかしながら、人は、頻繁に排尿する又は保護下着を着用するという習慣に従うことができないこともある。別の対処法は、処方薬の服用を含めた薬物療法を伴う。しかしながら、この方法論は結果として、副作用又は薬物相互作用を生じることがあり、それによって最終的に中断が必要となる。
【0004】
上記の状態を扱う別の技法は、標的の神経の近くに配置される電子医療装置を使用して神経を刺激することを伴う。そのような電子医療装置の1つが、埋込型パルス発生器(IPG)と一般に呼ばれるものである。IPGは通常、1つ以上の電極と、電気パルス発生器と、電池と、ハウジングとを含む。電気パルス発生器は、標的の神経を刺激するように適合された電気信号を発生する。電極は発生器から信号を受け取ると、電池からエネルギーを引き出し、標的の神経を刺激するのに好適な強度の電界を発生させる。
【0005】
IPGは、神経を刺激するにはある程度効果的であることが判明しているが、外科的手技の間に患者の体の内部に埋め込まれなければならないため、極めて侵襲的である。IPGはまた、相当な量の電力を消費するが、これは、電極間の電気インピーダンスが増加すること、又は、電極とIPGとの間の電気インピーダンスが増加することに起因し得るものである。これは、電極の移動、1つ以上の電極の封入、及び電極又は体組織の物質特性の変化など、いくつかの要素に起因して生じ得るものである。電極の物質特性の変化は、電極の表面に体液が存在することにより化学変化が生じること、電流が組織を頻繁に通過すること、及び、日常生活の間に自然に損耗が生じることを含めて、多数の要因に起因して生じ得るものである。
【0006】
また、より高度な電池電力の消費が、「刺激の脱感作」と呼ばれる現象によって生じることがあり、この現象により、人体は、印加された外部電荷に対して抵抗を呈することによって、その印加された外部電荷に反応する。人体は、標的の神経の刺激閾値を増加させることによって、印加された外部電荷に抵抗し、それにより、初期の刺激レベルは非効果的となる。この問題を克服するには、より強大な電荷が発生されなければならず、それによって、更に多くの電池電力が消費される。これにより、電池の交換及び/又は再充電を頻繁に行うことが必要となる。
【0007】
いくつかの神経刺激装置において、発生した電界は広範囲に広がり、標的の神経と共に、標的でない筋肉及び神経に影響を与えることが観測されている。電界が広範囲に広がることにより、標的の神経における電気信号の強度が相当に低下する。標的の神経を適切に刺激するために、電気信号の強度は相当に増加されなければならない。これにより、装置はより大きな電力を電池から引き出すことが必要となる。
【0008】
より有効でかつ非侵襲的な方式で神経を刺激しようとする多くの尽力がなされてきた。例えば、上記の状態を扱うための非侵襲的技法が、本発明の譲受人に譲渡された、2005年6月7日に出願された米国特許出願公開第2005/0277998号、及び2006年1月31日に出願された同第2006/0195153号において開示されており、それらの開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。具体的には、それらの1つ以上の実施形態において、米国特許出願公開第2005/0277998号は、非侵襲的経皮神経刺激装置を教示しており、その装置は、搬送波信号とパルス包絡線とを含んだ、制御された振幅変調波形を発生させ送信する。搬送波形は、組織のインピーダンスに起因する減衰を克服するのに十分な周波数のものとなるように設計される。パルス包絡線は、特定の神経を刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状の情報を含んでいる。
【0009】
図1及び2は、第1の層22を含む通常の神経刺激装置20を示しており、第1の層22は頂面24と底面26とを有している。第1の層22の底面26は、開口部30A、30Bを有する接着層28によって被覆されており、開口部30A、30Bは、接着層28を貫いて延び、活性集積電極32A及び帰還集積電極32Bを収容する。接着層28は、電極32A、32Bの形状に適合しかつ電極を患者の皮膚の表面に直接接触させる孔を含む。装置20は、対応する電極32A、32Bを被覆する電解質パッド34A、34Bを含む。電極32A、32Bは第1の層22に直接固定されてもよく、あるいは、プラスチックなどの任意の好適な材料から構成された第2の層によって適所に保持されてもよい。集積電極は、刺激電極の電解質に接続するための、金メッキされた又は他の耐食性の電着金属パッドであってよい。この装置は、可撓性の電子基板又はフレキシブル基板の第3の層36を含み、この第3の層36は、米国特許出願公開第2005/0277998号に記載された電子要素のすべてを収容しており、電極32A、32Bに電気的に結合されている。フレキシブル基板36は、電池の接続を完全なものにするように、かつ電子構成部品をより小さな空間に入れるように、電池の上で折り重ねられる部分を有している。第4の層は、電池シール又はリング40によって定位置に保持され得る、任意の寸法及び形状の薄膜電池38であり、上部カバー42は、絆創膏(bandages)に広く使用されているプラスチック被覆などの任意の好適な被覆である。
【0010】
図2を参照すると、神経刺激装置20は、最上層の一部分の下にあるフォトダイオード44を有しており、このフォトダイオード44は、極めて低消費電力の通信受信器として使用され得る。このフォトダイオードは、小型で、廉価であり、非活動時の電力消費がゼロであり、REリンク(RE link)と比べてエネルギー及び空間効率の大いに高いものである。装置20は、電池38A、38Bによって給電される電極32A、32Bを含み、電池38A、38Bは電池シール40A、40Bで囲まれている。2つの刺激電極32A、32Bは一方の側に片寄っており、結果として、装置は幾分D字形状となっている。上部カバー42は、洗濯、入浴、及びシャワーなどの通常の活動の間、内部の構成部品を保護するために、防水性となっている。
【0011】
上記の進歩にもかかわらず、体部位及び神経を刺激する改善された装置及び方法が依然として求められている。特に、より小型であり、より小さな面積(footprint)を有し、より経済的であり、より少数の部品を有し、組み立てがより容易である選択的神経刺激パッチが依然として求められている。また、標的の神経及び体部位を効果的に刺激する一方で、標的でない神経及び体部位は刺激しない改善された神経刺激装置が依然として求められている。更に、より侵襲性が低く、より小さな電力で効果的に動作し、それによって電源を交換及び/又は再充電する必要を最小限にする神経刺激装置が依然として求められている。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明は、神経及び体部位を刺激するためのシステム、装置、及び方法に関する。一実施形態において、小型の選択的神経刺激パッチが、標的の神経及び体部位を刺激するために、身体を効果的に通過する神経刺激信号を発生させ印加する。一実施形態において、神経刺激信号は、波形が身体を通過する効率を向上させるために変調され得る波形である。この効率により、結果として、標的の神経を刺激する一方で標的でない神経は刺激せず、消費する電池電力がより少なく、再充電されるまでより長期間にわたって動作し得る装置が得られる。
【0013】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、頂面と底面とを有する、回路基板などの基板と、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、基板の頂面上にある、互いに電気的に相互接続されている能動及び受動構成部品などの構成部品と、少なくとも神経刺激信号を印加するための、基板の上に配置され基板の底面にて露出されている少なくとも1つの電極とを含む。神経刺激パッチは望ましくは、商標ゴアテックスとして販売されている材料など、基板を覆う防水通気性上部カバーと、基板を囲み、上部カバーを基板と結合する支持フランジとを含む。
【0014】
本発明の一実施形態において、支持フランジは、支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有し、上部カバーの一部分は、支持フランジの頂面に適合する。支持フランジは、支持フランジの裏面から支持フランジの頂面に延びる排出開口部を有してもよい。排出開口部は望ましくは、パッチの内側からパッチの外側に水分を排出するために、上部カバーと連通している。
【0015】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、基板上の構成部品及び基板の頂面を少なくとも部分的に被覆する封入材を含み、それにより、支持フランジは封入材を囲む。一実施形態において、封入材は透明であり、したがって、光が封入材層の中に、また封入材層の外に進むことができる。封入材を覆う上部カバーの少なくとも一部分が、少なくとも部分的に半透明であるか、少なくとも部分的に透明であるか、あるいは透明であってよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、基板上にある構成部品には、パッチを作動させるための電池などの電力源、及びその電力源に結合されたスイッチが含まれる。スイッチは、1回限り作動されるように適合された1回使用型のスイッチであってもよい。構成部品にはまた、パッチが作動されていることを示す光信号を発生させるための、LEDなどの発光素子と、少なくとも1つの神経刺激信号と関連付けられたパラメータを制御するための信号を受信するように適合された、フォトダイオードなどの光センサーとが含まれ得る。一実施形態において、光信号がフォトダイオードに向けられ、感光信号(sense light signals)が、パッチの神経刺激出力を調節するために使用される。
【0017】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、頂面と底面とを有する回路基板と、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、回路基板の頂面上にある複数の内蔵構成部品と、内蔵構成部品に通電するための、回路基板の頂面上にある電力源と、回路基板内に配置された電極とを含む。電極は、回路基板の底面にてアクセス可能であり、少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための内蔵構成部品と電気的に相互接続される。選択的神経刺激パッチは望ましくは、回路基板を覆う防水通気性カバーと、回路基板に結合され、回路基板を囲む支持フランジであって、支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有する、支持フランジとを含む。支持フランジは可撓性であってもよく、支持フランジのその傾斜する頂面にてアクセス可能な複数の排出開口部を有してもよく、排出開口部は、水分をパッチから排出するために、防水通気性上部カバーと連通する。
【0018】
一実施形態において、神経刺激パッチは、パッチを表面に固定するための、電極上にある接着性ヒドロゲルパッドなどの導電性接着パッドを含む。導電性接着パッドは交換可能であり、それにより、パッチを一時的に表面から取り外し、次いで交換するかあるいは表面上に再配置することが可能である。
【0019】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、頂面と底面とを有する基板と、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、基板の頂面上にある互いに電気的に相互接続されている内蔵構成部品と、少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための、基板の中に内蔵され基板の底面にて露出されている電極とを含む。このパッチは望ましくは、基板及び内蔵構成部品を覆う防水通気性カバーと、基板を囲み、防水通気性カバーを基板と結合する支持フランジとを含む。支持フランジは好ましくは、支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有し、それにより、カバーの少なくとも一部分が、支持フランジのその傾斜する頂面に適合する。
【0020】
本発明の一実施形態において、透明な封入材料が内蔵構成部品の上にあり、支持フランジがその透明な封入材料を囲む。内蔵構成部品には、電力源、1回型の作動スイッチ、発光素子、及び光センサーを挙げることができる。一実施形態において、防水通気性カバーは、1回型の作動スイッチと位置合わせされる第1の開口部と、発光素子と位置合わせされる第2の開口部と、光センサーと位置合わせされる第3の開口部とを有する。このパッチは、パッチを表面に取り付けるための、電極を被覆する導電性接着パッドと、防水通気性カバーの周囲の裏面部分を被覆する接着層とを含んでもよい。接着パッド及び接着層により、パッチを表面から一時的に取り外し、次いで後に表面に再び取り付けることが可能になり得る。一実施形態において、接着パッドは、新しい接着パッドと交換されてもよい。
【0021】
本発明は、いかなる特定の動作理論によっても限定されるものではないが、電極を基板に内蔵することにより、神経刺激パッチの寸法及び面積が最小になると考えられる。結果として、神経刺激パッチは、全体としての縦断面がより低く、患者の皮膚表面などの表面に対して面積がより小さなものとなる。
【0022】
本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチは、1つ以上の電極と、1つ以上の波形発生器と、1つ以上の変調器と、電池とを含み得る。波形発生器は好ましくは、標的の神経を選択的に刺激し、かつパッチと標的の神経との間の組織を透過することが可能な波形を発生させる。電池は、神経刺激パッチに好ましい電力源であり、波形発生器は電池から電力を引き出す。変調器は、波形発生器からの波形を変調して変調波形を生成し、その変調波形を電極に送信する。変調器から電気信号を受信すると、電極は望ましくは、標的の神経を刺激するための電界を発生させる。
【0023】
本発明の一実施形態において、電池は非再充電式電池である。本発明の別の実施形態において、電池は再充電式電池であり、その充電式電池は、誘導結合を用いて、共通の磁界を通してエネルギーを伝送することによって、又は、電力源を再充電するための任意の他の既知の技術を用いることによって、無線周波数信号を使用して再充電されてもよい。
【0024】
本発明は、いかなる特定の動作理論によっても限定されるものではないが、各神経は、神経の構成単位であるニューロンに起因する固有の物理的特性を有すると考えられる。直径、長さ、及び髄鞘形成など、ニューロンの物理的特性により、神経における静電容量及び電気信号の伝導速度が決まる。したがって、各神経は、特定の周波数を有する波形を印加することによって、選択的に刺激され得る。
【0025】
通常、標的の神経の興奮周波数は、10Hz〜40Hzの範囲内にある。そのような低周波を有する電気信号は、電極の封入又は時間に伴う電極の移動によって生じ得る、電極と標的の神経との間の組織によってもたらされる組織インピーダンスに打ち勝つことができない。本発明の選択的神経刺激パッチは、搬送波信号とパルス包絡線とから構成された、制御された振幅変調波形を伝送する。搬送波形は、組織インピーダンスに打ち勝つのに十分な周波数のものとなるように設計される。パルス包絡線は、特定の神経を刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状の情報を含んでいる。神経組織を活性化するために変調信号が使用される一方で、高インピーダンス組織(皮下的又は経皮的)を通過させるために高周波搬送波信号が使用され得る。
【0026】
本発明の1つ以上の実施形態において、選択的神経刺激パッチは、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2005/0277998号(2005年6月7日に出願された米国出願第11/146,522号)及び同第2006/0195153号(2006年1月31日に出願された米国出願第11/343,627号)に記載された装置及び技法を使用して、標的の神経を刺激するための変調波形を発生させるように適合されており、これらの特許出願公開の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。この波形は望ましくは、搬送波形をパルス包絡線で変調させることによって発生される。振幅、周波数などの搬送波形の特性は、組織インピーダンス及び標的の神経の刺激閾値に打ち勝つように選択される。パルス包絡線は、標的の神経を選択的に刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状を有する波形である。この波形は、電気信号の強度の損失を最小にして、効率的に組織に透過して標的の神経に到達し、それにより電池電力を節約することが可能であり、電池電力はそれ以外の方法では、標的の神経を低周波信号で刺激する数回の試行で使用されることになる。更に、標的の神経のみが刺激され、標的でない神経は刺激されない。
【0027】
一実施形態において、神経又は体部位を刺激するための選択的神経刺激パッチが、第1の周波数を有する第1の波形を発生させるように適合された第1の波形発生器と、第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する搬送波形を発生させるように適合された第2の波形発生器と、第1及び第2の波形発生器に電気的に結合されており、第1の波形及び搬送波形を変調して変調波形を発生させるように適合された変調器と、変調波形を印加するための、変調器に電気的に結合された電極とを含む。このパッチは、波形発生器及び変調器に電力を供給するための、電池などの電力源を含む。一実施形態において、第1及び第2の波形発生器、変調器、電池、並びに電極はすべて、回路基板などの単一の基板に設けられる。好ましい一実施形態において、第1の波形は、標的の神経又は標的の体部位を刺激するように適合された周波数を有する。第1の波形は、実質的に10Hz〜40Hzの範囲内にある周波数を有してもよく、搬送波形は、実質的に10KHz〜400KHzの範囲内にある周波数を有してもよい。
【0028】
好ましい一実施形態において、選択的神経刺激パッチは、バイオフィードバックデータを受信するように、またバイオフィードバックデータに応答して第1及び第2の波形発生器の動作を制御するように適合されたマイクロプロセッサを含んでもよい。また、このパッチは望ましくは、バイオフィードバックデータを受信するように適合された受信装置を含み、その受信装置は、マイクロプロセッサと通信してマイクロプロセッサにバイオフィードバックデータを供給する。この神経刺激パッチはまた、受信装置と通信する少なくとも1つのセンサーを含んでもよく、その少なくとも1つのセンサーは、膀胱圧など、哺乳類の1つ以上の生理学的状態を感知するように適合されている。感知された1つ以上の生理学的状態を伝送するために、伝送器が少なくとも1つのセンサーと結合されてもよい。伝送器は無線伝送器であってもよい。
【0029】
本発明の1つ以上の実施形態について、女性の神経刺激及び女性の泌尿系に関連して説明しているが、本発明が、男性、小児、及び成人の神経刺激、並びに、男性、小児、及び成人の泌尿系における使用に容易に適合され得ることは理解されよう。更に、本明細書で開示する本発明の原理、機器、及び方法は、冠状動脈又は肺機能などの他の分野における機能性の評価及び治療にも応用性を有し得るものである。更にまた、本明細書で説明する本発明の原理、機器、及び方法は、分娩及び出産の間の神経の刺激など、様々な他の神経を刺激すること、又は、所与の神経束の分岐点を選択的に刺激して種々の患者の状態に選択的に対処することへの応用性を有し得るものである。加えて、本明細書で説明した技法は、腹圧性尿失禁、肛門及び大便失禁、性的機能不全、間質性膀胱炎、限定するものではないが骨盤痛などの慢性疼痛、夜間多尿症、並びに、限定するものではないが胃ペーシングなどの胃腸障害という状態に寄与するかあるいは影響を与える神経系の様々な構成要素に応用され得る。更に、本発明は、ホルモンを分泌する腺、物理療法に伴う二頭筋刺激などの大きな筋群など、神経以外の体部位を刺激するためにも使用され得る。
【0030】
本発明のこれらの及び他の好ましい実施形態について、以下でより詳しく説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の上記の特徴が子細に理解され得るように、上に簡潔に要約した本発明の実施形態のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態が添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本発明の範囲に包含される典型的な実施形態のみを示すものであることに留意されたい。したがって、図面は限定するものとは見なされず、本発明は、他の同等に効果的な実施形態があることを認め得るものである。
【図1】従来の神経刺激パッチの分解図。
【図2】組立て後の図1の神経刺激パッチ。
【図3】本発明の一実施形態による、基板と、成形カバーと、防水通気性上部カバーとを有する選択的神経刺激パッチの分解図。
【図4】図3に示す基板の上面斜視図。
【図5】基板の底面が上に向いた、図3の基板の正面図。
【図6】本発明の一実施形態による、部品が互いに組み立てられた後の、図3に示す基板及び成形カバーの上面図。
【図7A】図3に示す防水通気性上部カバーの上面図。
【図7B】図7Aに示す上部カバーの裏面図。
【図8A】本発明の一実施形態による、基板とその基板を囲む支持フランジとを含む神経刺激パッチの斜視図。
【図8B】本発明の一実施形態による神経刺激パッチの底面図。
【図9A】本発明の一実施形態による神経刺激パッチの横断面図。
【図9B】図8Aに示す神経刺激パッチの別の横断面図。
【図10】本発明の一実施形態による神経刺激パッチの裏面図。
【図11】本発明の更に別の実施形態による神経刺激パッチ。
【図12】図11に示す神経刺激パッチによって発生された例示的な波形。
【図13】本発明の更に別の実施形態による神経刺激パッチ。
【図14】図13に示す神経刺激パッチによって発生された例示的な波形。
【図15】本発明の更に別の実施形態による神経刺激パッチ。
【図16】図15に示す神経刺激パッチによって発生された例示的な波形。
【図17】本発明の更なる実施形態による神経刺激パッチ。
【0032】
〔詳細な説明〕
本明細書にて開示する本発明は、その用途又は使用法において、添付の図面及び説明に示す部品の構造及び構成の細部に限定されるものではない。本発明の例示的な実施形態は、他の実施形態、変形形態、及び修正形態に実装されても、あるいは組み込まれてもよく、また、様々な方式で遂行されても、あるいは実行されてもよい。例えば、本発明の一実施形態について、女性の神経刺激に関連して説明するが、この実施形態が男性及び小児への使用に容易に適合され得ることは理解されよう。また、本明細書で説明する本発明の原理、機器、及び方法は、分娩及び出産の間の神経の刺激など、様々な他の神経を独立に若しくは同時に刺激すること、又は、所与の神経束の分岐点を選択的に刺激して種々の患者の状態に選択的に対処することへの応用性を有し得るものである。したがって、本発明は、例えば、腹圧性尿失禁、肛門及び大便失禁、疼痛、性的機能不全、間質性膀胱炎、限定するものではないが骨盤痛などの慢性疼痛、夜尿症、並びに、限定するものではないが胃ペーシングなどの胃腸障害の状態うちの1つ以上に同時に、選択的に治療を施すか、あるいは影響を与えるために使用され得る。最終的に、本明細書で説明する本発明はまた、ホルモンを分泌する腺、物理療法に伴う二頭筋刺激などの大きな筋群など、神経以外の体部位を刺激するためにも使用され得る。
【0033】
本明細書で使用する見出しは、単に編集を目的としたものであり、説明又は特許請求の範囲を限定するために使用することを意図したものではない。本願の全体を通じて使用されるとき、「してもよい(may)」という語は、義務の意味(すなわち必須を意味する)ではなく、許可の意味で使用されている(すなわち、あることを行う可能性を有することを意味する)。同様に、「含む(include、including、及びincludes)」という語は、あるものを含むが、それらに限定はされないことを意味する。理解を容易にするために、各図に共通する同様の要素を示すために、可能な限り、同様の参照符号が使用されている。
【0034】
図3を参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチ100が、頂面104と底面106とを有する、回路基板などの基板102を有している。回路基板102は、電気信号を発生するように適合された構成部品を装着されており、それらの電気信号は、身体に加えられて、1つ以上の選択された神経を刺激し得る。一実施形態において、回路基板102は、能動的構成部品及び受動的構成部品を有しており、それらの構成部品は、選択された神経を刺激するために、電気信号を発生させ、その信号を変調し、その信号を身体に加える。
【0035】
選択的神経刺激パッチ100は、パッチのエネルギー源を提供する、電池などの電力源108を含んでいる。一実施形態において、電力源108は、好ましくは、基板の頂面104の上に固定されており、導体110の下にある。パッチ100は望ましくは、導体110と電力源108の頂面との間に設けられた導電性接着剤(図示せず)を含む。一実施形態において、導体110は、作動されると回路基板102上の構成部品に電力源108を持続的に接続する使い捨ての又は1回使用型のスイッチの一部である。最初に、導体110は好ましくは、電力源108から離間され分離されている。導体110が電力源の頂面に向かって押し付けられると、導体は電力源に(導電性接着剤を介して)接着して、回路基板及び回路基板に取り付けられた構成部品に電力を供給する。導体110は、好ましくは可撓性である。一実施形態において、この導体はスパイラル導体である。
【0036】
選択的神経刺激パッチ100は、好ましくは、回路基板102の上に組み付けられる成形上部キャップ112を含む。成形上部キャップ112は、以下でより詳細に説明するように、好ましくは透明であり、そのため、光信号が成形上部キャップを通過することができる。成形上部キャップ112の一方の端部は、望ましくは、成形上部キャップ112の中に形成された弱化領域114を有しており、この弱化領域114は、電池108の上部に導体110を押し付けるために、押し下げが可能となっている。他の実施形態において、成形上部キャップ112は、上部キャップの長さ全体にわたって、均一な厚さを有していてもよい。成形上部キャップ112は、好ましくは、下にある回路基板102の形状に適合する。一実施形態において、上部キャップ112は、射出成形技法を用いて基板102の上に形成される。成形上部キャップは、硬化性の封入材料を含んでいてもよい。別の実施形態において、成形上部キャップ112は、回路基板に組み付けられる別個の部品として形成されてもよい。
【0037】
図3を参照すると、選択的神経刺激パッチ100はまた、上部キャップ112及び回路基板102を覆う上部カバー116を有している。一実施形態において、上部カバー116は、商標ゴアテックスとして販売されている材料などの防水通気性材料でできている。上部カバー116は望ましくは、導体110と位置合わせされる第1の開口部118と、基板上に設けられたLEDと位置合わせされる第2の開口部120と、パッチ100によって発生される出力信号又は波形のパラメータを調節するためのフォトダイオードなどの光スイッチと位置合わせされる第3の開口部122とを有している。
【0038】
選択的神経刺激パッチ100はまた、回路基板102の底面106にてアクセス可能な電極(図示せず)と、それぞれの電極の上にある接着性導電性パッド124A、124Bとを含む。一実施形態において、電極は基板に配置され、基板の底面にてアクセス可能である。
【0039】
図4及び5を参照すると、本発明の一実施形態において、回路基板102は、頂面104と底面106とを含む。電池などの電力源108が、頂面104の上に、かつ導体110の下に配置されている。導電性接着剤126が、導体110と電池108の頂面との間に設けられている。導体110が、電池108の頂面に向かって下向きに押し付けられると、回路基板が作動される、つまり「オンにされる」。導電性接着剤は、好ましくは、導体110と電池108との持続的な電気相互接続を維持し、その結果、選択的神経刺激パッチは常に作動された状態を維持する。
【0040】
図4を参照すると、回路基板は好ましくは、頂面104の上にある発光ダイオード(LED)128を有している。回路基板102が作動されると、LED 128は、パッチが動作していることを示す光を発する。LED 128によって発せられた光は、連続的な光線又は断続的な光線を生成することができる。回路基板102はまた、その頂面104の上にある光センサー130を有している。フォトダイオードなどの光センサー130は、神経刺激パッチによって発生された出力波形又は信号を調節するために、入射した光信号に応答する。
【0041】
図5を参照すると、本発明の一実施形態において、回路基板102は、その底面106にてアクセス可能な一対の電極132A、132Bを含む。これらの電極は望ましくは、刺激パッチの寸法を減じるために、回路基板に組み込まれている。図1及び2に示すパッチなどの先行技術のパッチにおいて、電極は回路基板から離間しており、それにより、パッチの全体的寸法及び面積が増加している。本発明は、電極132A、132Bを回路基板の中に組み込み、電極を基板102の底面106にてアクセス可能にすることによって、パッチの寸法及び面積を最小化しようと試みるものである。図5において、接着性導電性パッド124Aが第1の電極132Aの上にある。以下でより詳細に説明するように、接着性導電性パッドは、接着性ヒドロゲルパッドであってもよく、電極132A、132Bと患者の皮膚との間に確実な電気信号経路を形成するように適合されている。
【0042】
図6を参照すると、本発明の一実施形態において、基板に取り付けられた構成部品を保護するために、成形上部キャップ112が回路基板102の上にある。成形上部キャップ112は好ましくは透明であり、そのため、光信号は成形上部キャップ112を通過することができる。一実施形態において、LED 128によって発生された光は、透明な上部キャップ112を通過することができ、そのため、パッチ100の作動状態が観測され得る。加えて、回路基板102に取り付けられた構成部品によって発生される波形又は信号を調節するために、透明な上部キャップ112を通じて光要素130へと光信号が透過されてもよい。成形上部キャップ112は、基板102の上にその場で形成されることができ、あるいは、基板から離れて形成され、次いで基板102に組み付けられてもよい。一実施形態において、成形上部キャップ112は、導体110の上に位置合わせされる、より薄いあるいは弱化された領域114を有する、弱化された領域114は、選択的神経刺激パッチ100を作動させるために、電池108の上部に導体110を押し付けるように押し下げられてもよい。
【0043】
図7A及び7Bを参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチは、回路基板及び成形上部キャップを覆う上部カバー116を含む。上部カバー116は好ましくは、商標ゴアテックスとして販売されている材料などの可撓性の防水通気性材料でできている。当業者には周知のように、ゴアテックス材料は、通常はナイロン又はポリエステルの布地に接合されたウレタンコーティングを有する薄い多孔質フルオロポリマー膜でできている。この膜は、1平方インチ当たり約90億個の孔を有し、各孔は水滴と比べて約20,000分の1の大きさであり、液体水に対して膜を不浸透性にする一方で、より小さな水蒸気は依然として通過させる。結果として、ゴアテックスは、通気性があり、防水性があり、更には防風性のある材料となっている。外側の布地は、撥水剤で処理されてもよい。布地の縫製の間に生じたピンホールを通じた水漏れを防止するために、継ぎ目が封止されてもよい。ウレタンコーティングは、保護層を提供すると共に、異物(すなわち体の油分)が積層体を湿潤させ、膜を通じて水分を運ぶのを防止する。したがって、上部カバー116は、水がパッチに進入するのを防止すると共に、水蒸気及び水分をパッチから流出させる。一実施形態において、上部カバー116は、持ち上がった中央平坦部134と、その中央平坦部134を囲む実質的に平坦な外縁部136と、中央平坦部134と外縁部136との間に延びる傾斜した遷移領域138とを有している。一実施形態において、中央平坦部134は、中央平坦部134を貫いて延びる1つ以上の開口部を有している。第1の開口部118は好ましくは電池の上にある可撓性導体と位置合わせされ、第2の開口部120は好ましくはLEDと位置合わせされ、第3の開口部122は好ましくはフォトダイオードなどの光センサーと位置合わせされる。
【0044】
図7Bを参照すると、本発明の一実施形態において、上部カバー116の裏面は、1つ以上の接着層を上に設けられている。図7Bにおいて、第1の接着層140は、中央平坦部134の裏面を被覆し、第1の接着層140を貫いて延びる開口部を有しており、それらの開口部は、上部カバー116に形成された開口部118、120、122と実質的に位置合わせされる。第2の接着層142は、上部カバー116の裏面の周縁部136を被覆している。第1の接着層140は好ましくは、回路基板を覆う上部キャップに上部カバー116を接着し、第2の接着層140は好ましくは、患者の皮膚表面などの表面に上部カバー116を接着する。
【0045】
図8A及び8Bを参照すると、選択的神経刺激パッチ100は望ましくは、回路基板102を囲む支持フランジ144を含む。支持フランジ140は好ましくは、傾斜頂面146を有しており、この傾斜頂面146は、上部カバー116(図7A)の傾斜した遷移領域138を支持するように適合されている。一実施形態において、支持フランジ144は可撓性である。支持フランジ140は望ましくは、支持フランジ140の傾斜頂面146と底面150との間に延びる複数の排出開口部148を有している。排出開口部148により、望ましくは、水分(例えば汗)がパッチ100から流出することが可能となる。図8Aを参照すると、支持フランジ144はまた、基板102の頂面の上に導入される封入材料を制御し付形するための型として機能してもよい。支持フランジは、封入材料が硬化されるまで、封入材料の流れを制御し制限してもよい。封入材料が硬化されると、その封入材料は基板の上にある構成部品を保護する。
【0046】
図8Bを参照すると、支持フランジ144は、上部カバー116の傾斜した遷移領域138と位置合わせされるように、上部カバー116の裏面に組み付けられている。支持フランジ144は、回路基板102を囲み、回路基板を上部カバー116に結合している。支持フランジは好ましくは、上部カバー116の平坦部と外縁部との間に位置している。
【0047】
図9A及び9Bは、本発明の好ましい一実施形態による神経刺激パッチ100の横断面図を示している。パッチ100は、支持フランジ144によって囲まれた回路基板102を含んでおり、支持フランジ144は、基板102の周辺部の周りに延びている。一実施形態において、支持フランジ144は、基板102の頂面の上にある構成部品154を被覆する封入材料152の型として機能する。封入材料152は好ましくは、エポキシなどの誘電材料である。光信号が封入材層を出入りするのを可能するために、封入材料は透明であってもよい。支持フランジ144は、上部カバー116の傾斜した遷移領域138を支持する傾斜頂面146を有している。パッチはまた、望ましくは、電力源108と、電力源ホルダー156と、電力源カバー158とを含む。本発明の一実施形態において、第2の電池接点160が基板102の上に設けられてもよく、また、最初に間隙162が電力源108の底面と第2の電池接点160との間に存在してもよい。この実施形態において、電力源108は、第2の電池接点160に向かって押し下げられて、神経刺激パッチ100を作動させることができる。
【0048】
図9Bを参照すると、支持フランジ144は望ましくは、パッチから水分を排出するために、支持部ランジ144を貫いて延びる孔を有している。上部カバー116は好ましくは、水分が孔148を通過してパッチから流出するのを可能にする通気性材料でできている。パッチは好ましくは、基板102の底面にてアクセス可能な第1の電極の上にある第1の導電性接着パッド124Aと、基板102の底面にてアクセス可能な第2の電極の上にある第2の導電性接着パッド124Bとを含んでいる。第1及び第2の導電性接着パッド124A、124Bは好ましくは、電極と患者の皮膚との確実な電気的相互接続を形成している。接着性導電性パッチ124A、124Bには、接着性ヒドロゲルパッチを挙げることができる。
【0049】
図10は、図9A及び9Bに示す神経刺激パッチ100の裏面を示しており、支持フランジは取り外されている。回路基板102は、第1の接着層134を使用して、上部カバー116の平坦領域の裏面に接着されている。第2の接着層142は、上部カバーを患者の皮膚表面などの表面に取り付けるために、上部カバー116の裏面の周縁部136の上にある。電極と患者の皮膚との確実な電気的相互接続を形成するために、またパッチを表面に取り付けるために、パッチは、それぞれの電極(図示せず)を被覆する導電性接着パッド124A、124Bを含む。
【0050】
上記のように、神経刺激パッチが体内の神経と筋肉との双方を刺激するために使用され得ることが知られている。従来の神経刺激パッチに伴う1つの問題は、印加された電気信号が広範囲に広がる傾向があり、標的の筋肉及び神経だけでなく、標的でない筋肉及び神経にも作用するということである。更に、この信号の散逸に対処するために、印加電流レベルは、標的の部位における電流密度が適切となるように、相当に増加されなければならない。電気信号の印加に伴う別の難題は、多くの神経が、10Hz〜40Hz程度の低周波信号によって刺激されることである。しかしながら、そのような低周波信号は、体組織を通過して標的の神経に達することができない。これらの難題のうちの多くが本発明によって克服されており、それについて、これから以下でより詳細に説明することにする。
【0051】
本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチは、219KHzの疑似正弦波、振幅変調波形を使用し、包絡線の幅及び繰返し率は、それぞれ200ms及び20Hzから調節可能である。出力振幅は望ましくは、シリアルポートへの光リンクを使用して、2.5ボルト〜10ボルト、約1ボルトの8ステップに設定される。出力電圧は、符号化された赤外線信号によってパッチに光学的にリンクする制御器を使用して、ユーザーによって設定されてもよい。
【0052】
本発明の一実施形態において、刺激出力の波形パラメータの大部分は予め設定され、刺激電極は、構成部品の残りの直接下に配置される。パッチは好ましくは、回路に給電する1回型の作動スイッチを有している。選択的神経刺激パッチは、作動されると、電池が枯渇するまで連続的に動作するように適合されている。電極は、好ましくは回路基板の中に内蔵されており、金メッキされても、急速に酸化することのない貴金属層で被覆されてもよい。このパッチは、パッチの内部及び電極の周りに水分が蓄積するのを防止するために、また、入浴又はシャワーの間に水が侵入するのを防止するために、防水通気性上部カバーを含む。一実施形態において、フォトダイオードが上部カバーの一区分の下に設けられ、低電力通信受信器として使用される。
【0053】
本発明の一実施形態において、本明細書で開示する選択的神経刺激パッチは、粘着性のヒドロゲル電極と、可撓性の上部カバーの縁部にある帯状の周辺部接着剤とを使用して、皮膚に取り付けられるように適合されている。粘着性のヒドロゲルを使用することにより、電極を所定の位置に保持するために、別々の接着剤を有する必要性が排除されている。これらの二重目的型の接着材料は、水分の変化に対して比較的許容性があり、電極を皮膚に長期間にわたって効果的に取り付けるものである。選択的神経刺激パッチと皮膚との境界面では、水性の比較的圧縮性のない電解質材料の使用が必要となることがあり、その電解質材料は、EGG電極で使用されるものなどの半流動体のヒドロゲル、又は、TENS電極で使用されるものなどの半固体のヒドロゲルであり得る。一実施形態において、電極上のヒドロゲルは円柱として構成され、それらの円柱は、回路基板上の電極(例えば金メッキされた接点)の上方で中心に置かれる。円柱の直径により、刺激電極の有効接触面積が決まる。一実施形態において、ヒドロゲル円柱は、寸法において、回路基板上の電極領域と実質的に同様であるが、金属接点を被覆するのに十分な大きさである。一実施形態において、神経刺激パッチは、それぞれの中心が2.54cm(1インチ)離れた、2つの1.07cm(0.420インチ)径の金メッキされた接点を有する。
【0054】
本発明の好ましい一実施形態において、ヒドロゲルパッドは、ある程度の厚さを有しており、その厚さは、通気性、保管寿命、及び局所表面の輪郭への適合性において助けとなるものである。厚さが過度になると、ゲルが追い出される可能性が高くなり、また装置の全高が増加し得るため、ヒドロゲルパッドを過度に厚くすることはできない。パッチの高さは低い方が好ましいので、ヒドロゲルは可能な限り薄くされるべきである。一実施形態において、ゲルは1.52cm(約0.6インチ)厚である。一実施形態において、2つの接点の最短の縁部同士の間隙は1.34cm(0.525インチ)であり、それによって、汗によって生じた塩橋に抗するのに十分な幅の空間がもたらされる。本発明の一実施形態において、電極は並んで配置される。別の実施形態において、電極は同心である。
【0055】
使用中、ヒドロゲルパッドは、パッチが不安定になった場合、患者によって交換されてもよい。更に、ユーザーは、装置を時々使用するだけでもよい。一実施形態において、パッチは、取り外され、後に再配置されるかあるいは表面に再び置かれてもよい。
【0056】
本発明の選択的神経刺激パッチは、使用前に長期間にわたって保管されるように設計されている。したがって、パッチが意図的に作動されるまで、電池と回路とが時期尚早に接触しないように、パッチが構成されていることが重要である。したがって、パッチは望ましくは、1回作動式の密封されたスイッチ機構を有している。そのスイッチ機構は、磁石(パッケージに含まれている)の存在下で常時「オフ」となるリードスイッチ、常時オフから常時オン状態に機械的に切り換えられ得るオーバーセンタースイッチ機構、初期の接触が導電性接着剤によって維持される、上述のスイッチに似たスイッチ、又は、エンドユーザーによって意図的に押されるまで、通常の回路の成立を防止する電池接点の構成を含めて、いくつかの設計を有することができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、パッチは、電池に押し付けることによって作動され、これにより、電池は、回路基板の頂面に配置された接点と持続的に接触するように、環状の電池ホルダー内で下方に0.127mm〜0.254mm(0.005インチ〜0.010インチ)移動し、それによって装置を作動させる、つまり「電源オン」にする。パッチの作動は好ましくは、回路を作動させ、電池が枯渇し神経刺激パッチが機能しなくなるまで回路を動作させる、1回限りの不可逆工程である。
【0058】
先行技術の神経刺激パッチに伴う1つの問題は、パッチの縁部が他の物体に引っ掛かることがあり、その結果、パッチが患者から引き離され得ることである。これらの問題を回避するために、本発明は、皮膚からパッチの全厚まで傾斜して遷移させており、それにより、衣類又は対向する物体に引っ掛かる可能性がより低くなったパッチを提供している。一実施形態において、パッチは、回路基板の周辺に滑り嵌めされる、可撓性の遷移支持フランジを含んでおり、傾斜によって皮膚へと遷移している。排出孔又は送り穴が支持フランジを貫いて延びており、通気性上部カバーを通じて、閉じ込められた水分に流出経路が与えられている。支持フランジは、細りのない(no-pinch)柔軟な縁部をパッチに設けること、ひっかかりを防止する傾斜した周辺部を生じることを含めたいくつかの機能を実施するものであり、その傾斜した周辺部は上部カバーをも支持し、上部カバーは、パッチの上部の平坦な面から皮膚へと遷移し、また上部カバーは、一体の薄型エンクロージャを提供し、その薄型エンクロージャは、長期間にわたる保管と後の使用の間、電子部品を封入し水分及び腐食から保護する封入材料を収容するためのものである。
【0059】
本発明の一実施形態において、封入材料は半硬質のエポキシであり、そのエポキシは、LEDからの光が見えるように、また外部コントローラからのIR光信号がフォトダイオードに到達するように、透明又は半透明となっている。一実施形態において、可撓性の上部カバー材料は、IR又は可視光を通すことができる。別の実施形態において、上部カバーは、その上部カバー内に形成された孔を有しており、その孔は、本明細書で説明する光構成部品に到達するように光を通すことが可能である。
【0060】
本発明の1つ以上の実施形態において、選択的神経刺激パッチは、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2005/0277998号(2005年6月7日に出願された米国出願第11/146,522号)及び同第2006/0195153号(2006年1月31日に出願された米国出願第11/343,627号)に記載された装置及び技法を使用して、標的の神経を刺激するための変調波形を発生させるように適合されており、これらの特許出願公開の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。この波形は望ましくは、搬送波形をパルス包絡線で変調させることによって発生される。振幅、周波数などの搬送波形の特性は、組織のインピーダンス及び標的の神経の刺激閾値に打ち勝つように選択される。パルス包絡線は、標的の神経を選択的に刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状を有する波形である。この波形は、電気信号の強度の損失を最小にして、効率的に組織を透過して標的の神経に到達し、それにより電池電力を節約することが可能であり、電池電力はそれ以外の方法では、標的の神経を低周波信号で刺激する数回の試行で使用されることになる。更に、標的の神経のみが刺激され、標的でない神経は刺激されない。
【0061】
図11を参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチ200が回路基板202を含んでおり、この回路基板202は、神経及び体部位を刺激するための電気信号を発生するように操作され得る。パッチ100は、リチウム電池などの好適な電力源208と、第1の波形発生器264と、第2の波形発生器266と、を含む。第1及び第2の波形発生器264、266は、電池208に電気的に結合されており、電池208によって給電される。波形発生器264、266は、テキサス州ダラス(Dallas)のテキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)によってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。第1の波形発生器264は、体内の神経を刺激することが知られている周波数を有する第1の波形268を発生させる。一実施形態において、その周波数は、約10Hz〜30Hzの範囲内にある。別の実施形態において、その周波数は、約10Hz〜40Hzの範囲内にある。上記のように、そのような低周波信号(例えば10Hz〜40Hz)は、それ自体では、体組織を通過して標的の神経を効果的に刺激することができない。これらの問題を克服するために、本発明の神経刺激パッチ200は、より高い周波数を有する第2の波形270を発生させる第2の波形発生器266を含んでもよい。第2の波形は、約10KHz〜400KHzの周波数を有している。第2の波形270は第1の波形268と共に、テキサスインスツルメンツ社によって販売されている、呼称On−Semi MC1496を有する変調器などの振幅変調器272に加えられる。
【0062】
変調器272は、回路基板202の底面にてアクセス可能な電極232に伝送される変調波形274を発生させる。図11は1つの電極232のみを示しているが、本発明の好ましい実施形態が、2つ以上の電極を有していてもよい。電極232は、変調波形274を標的の神経に加えて、その標的の神経を刺激する。図11及び12を参照すると、第1の波形268は好ましくは、約10Hz〜40Hzの周波数を有する方形波であり、第2の波形270は好ましくは、10KHz〜400KHzの周波数を有する正弦波信号である。上記の周波数範囲は、単に例示的なものであり、したがって、他の周波数範囲が利用されてもよく、また本発明の範囲に依然として含まれる。当業者には容易に理解されるように、第2の波形(搬送波)270を用いた第1の波形268の変調は、結果として、図12に示す外形を有する変調波又は信号274を生じる。
【0063】
本発明の一実施形態において、電極は、選択された体部位(例えば膀胱)に関連付けられる1つ以上の標的の神経(図示せず)に変調波形信号を加えるように適合される。変調波形は、体組織を通じて容易に伝播することが可能な高周波搬送波形と、選択された体部位に対する標的の神経を刺激するように適合された低周波信号とを含む。図12を参照すると、本発明は、動作のいかなる理論にも限定されるものではないが、変調信号274を発生させることで、低周波波形268を標的の神経に効果的に搬送する搬送波形270の高周波性により、神経刺激波形268が組織を通じて伝播することが可能となると考えられる。
【0064】
本発明の一実施形態において、動作の基礎原理は、体内の神経が、隣接するニューロンに影響を与えることなく選択的に刺激の標的にされ得ることである。当業者には周知のように、神経系組織内に見られる興奮性細胞の電気化学的活動の結果として、生体電気性電位が生じる。これらの興奮性細胞は、2つの電気的状態、つまり静止電位又は活動電位にて存在する。適切な刺激が与えられて、細胞が活動又は閾電位に到達し、この時に神経が「発火」し、活動電位が、細胞膜に沿って減衰しない一定の伝導速度で伝わるまで、細胞は静止電位状態を維持する。活動電位のこの全か無かの反応により、細胞の膜電位は、特徴的な反復サイクルを経ることになり、その反復サイクルにおいて、電位はまず、負の静止電位から正の活動電位に移行し、次いですべて約1ms以内に再び低下して負の休止電位に戻る。刺激が閾電位を超える限り、応答は、刺激の大きさにかかわらず依然として同じである。
【0065】
興奮性細胞膜が(適切な刺激から)活動電位の反応を有する場合、第2の刺激に反応する能力は相当に変化する。活動電位の初期の脱分極部分の間、細胞膜は、刺激の強度にかかわらず、更なる刺激に反応することができない。この期間は絶対不応期と呼ばれる。絶対不応期の直後に、相対不応期と呼ばれる期間が続く。相対不応期の間、細胞膜は、強度の刺激にのみ反応することができる。絶対不応期及び相対不応期が存在することにより、結果として、細胞が繰返し放電され得る上限周波数が生じる。したがって、ニューロンは、周波数に依存する装置と見なされ得る。ニューロンの周波数依存成分は、ニューロンの全静電容量に依存し、全静電容量はニューロンごとに異なり、誘電媒体の長さ、直径、被覆(髄鞘形成)、及び透過性の関数となる。換言すれば、いかなる誘電媒体に対しても、ニューロンの長さ若しくは直径か、又は髄鞘形成のいずれかが異なれば、全静電容量は異なるものとなる。
【0066】
人体のニューロンは、直径、長さ、及び髄鞘形成において大いに異なるので、これらのニューロンの静電容量及び伝導速度(動作周波数)も同様に異なる。隣接するニューロンの物理的特性の差異を用いると、選択された神経が、隣接するニューロンに影響を与えることなく、刺激の標的にされ得る。つまり、隣接するニューロンの周波数応答(静電容量)を特徴付け、刺激の周波数を、重複のない領域に合わせることによって、選択的な神経刺激が達成され得る。例えば、ニューロンAは0Hz〜20Hzの動作周波数帯域を有し、ニューロンBは20Hz〜30Hzの動作周波数範囲を有するという、隣接する2つのニューロンに対し、ニューロンBは、ニューロンAに影響を与えることなく、選択的に刺激され得る。更に、上で議論したようにいかなる量の刺激でもニューロンBを発火させることのないニューロンBの絶対不応期の間に刺激が加えられる場合、又は、相対不応期の間に刺激作用を生じさせるのに必要な大きさに刺激が満たない場合、ニューロンAは、重複する周波数範囲においても選択的に刺激され得る。更に本明細書で説明するように、これらの原理は、体内の2つ以上の神経の選択的刺激を達成するために適用され得る。
【0067】
図13を参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチ300が回路基板302を含み、この回路基板302は、標的の神経を刺激するための電気信号を発生させる構成部品を設けられている。神経刺激パッチ300は、リチウムイオン電池などの好適な電力源308と、第1の波形368を生成する第1の波形発生器364と、第2の波形370を生成する第2の波形発生器366と、第3の波形382を生成する第3の波形発生器380と、を含む。第1、第2、及び第3の波形発生器364、366、及び380は好ましくは、電池308に電気的に結合されており、電池308によって給電される。これらの波形発生器は、テキサス州ダラス(Dallas)のテキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)によってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。第1の波形発生器364、第2の波形発生器366、及び第3の波形発生器226の出力は、振幅変調器372に加えられ、振幅変調器372は、これら3つの波形を変調信号パッケージ374へと変調する。「信号パッケージ」という用語は、本明細書において、任意の方式で互いに変調された2つ以上の個々の信号からなる単一の出力信号を表すために使用されている。
【0068】
図13及び14を参照すると、第1の波形発生器364は、約10Hz〜30Hzの範囲の周波数で刺激されることが既知である陰部神経など、第1の選択された体部位を刺激することが既知である周波数を有する第1の波形368又は信号を発生させる。上記のように、そのような低周波信号を、標的の神経を刺激するのに十分な電流密度で特定の標的の神経に到達するように身体組織に通すことは困難であることが判明している。この問題に対処するために、第2の波形発生器366は、より高い周波数の搬送波形370を発生させ、搬送波形370は第1の波形368と共に、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)から販売されているOn−Semi MC1496変調器などの振幅変調器372に加えられる。第1の波形368は好ましくは、約10Hz〜30Hzの周波数を有する方形波であり、第2の波形370は好ましくは、10KHz〜400KHzの周波数を有する正弦波信号である。第2の波形(搬送波形)370を用いて第1の波形368を変調することにより、結果として、概ね図14に示す外形を有する変調波形又は信号374が得られる。図14に示す信号は、単に説明を目的としたものであり、本明細書に記載する例示的な信号を忠実に表現することを意図したものではない。
【0069】
動作中、変調器372によって発生された変調信号374は電極332に伝送される。次に、電極332は変調信号374を標的の神経に印加する。当業者には容易に理解されるように、変調信号374を使用すると、搬送波形の高周波性によって低周波信号が標的の神経に感知され(かつ反応され)得るので、標的の神経が効率的に刺激される。
【0070】
図14を参照すると、変調信号374が、周期的な不活性期384を有することが認められる。神経刺激パッチ(図13)を使用して1つの標的の神経のみを選択的に刺激するのではなく、変調信号374の周期的な不活性期384は、第2の標的の神経又は他の体部位を刺激するように適合された第2の変調信号を発生させるために利用され得る。図13及び14を参照すると、このことを達成するために、第3の波形発生器380は第3の波形382を発生させており、第3の波形382は、第1の波形368とは異なり、かつ第2の神経又は体部位を刺激するように特定的に選択された周波数を有している。例示的な第3の波形382が図14に示されている。第3の波形382は望ましくは、第1の変調信号374と干渉するのを回避するために、第1の波形368とは位相が異なっている。更に、本発明の一実施形態において、第1及び第2の神経を刺激する周波数範囲が重複する場合、第1の神経が第2の変調信号に反応しないようにするために、第1の神経の不応期の間に第3の波形382が発生されるかあるいは印加されることができる。
【0071】
第1及び第3の波形発生器364、380は好ましくは、互いに位相の異なるそれぞれの波形368、382を発生させ、その結果、搬送波形370と組み合わされると、波形368、382は、信号パッケージ386(図14)の別個の分離した部分に沿って現れ、第1及び第3の波形の各々は、様々な神経及び体部位を特定的に標的にするように選択された周波数を有する。例えば、第1の波形368は、陰部神経の自律要素分岐点(autonomic element branches)に影響を及ぼすことが知られる20Hzの周波数を有してもよく(過活動膀胱に作用するため)、また、第3の波形382は、陰部神経の体性運動分岐点(somatomotor branch)に影響を及ぼすことが知られる10Hzの周波数を有してもよい(間質性膀胱炎(intersticial cystitis)の治療に有用である)。周波数範囲に重複が存在する限り、第3の波形382は、第1の神経の不応期の間に印加されてもよい。
【0072】
上述のシステム及び方法により、変調信号パッケージの個々の成分は、様々な神経、様々な神経枝、様々な筋肉、又は選択された他の体部位を選択的に標的とするように使用され得る。つまり、疼痛管理、過活動膀胱、大便失禁、間質性膀胱炎、及び他の任意の骨盤底障害に伴う症状など、複数の様々な症状を緩和するように設計された刺激信号を、単一の神経刺激パッチで提供することができる。
【0073】
好適な変調信号及び/又は信号パッケージが得られるように、適切な信号が様々な方式で操作され得ることが、当業者には理解されよう。例えば、図13及び14を参照すると、本発明の一実施形態において、第4の波形発生器390が含められてもよく、この第4の波形発生器390は、第2の搬送波形370とは異なる周波数を有する第4の搬送波形392を発生させる。このことは、第1及び第2の神経又は体部位の刺激において信号が様々な種類又は量の組織を通過することが要求される場合、望ましいものとなり得る。図示のように、単一の振幅変調器を使用する実施形態において、第4の搬送波形392は好ましくは、変調信号374に影響を与えるのを回避するために、第1の波形368の不活性期間の間にのみ加えられる。
【0074】
図15及び16の実施形態において、第1の波形468及び第2の搬送波470が第1の振幅変調器472Aに供給されて、第1の変調波形474Aが発生され得る。第3の波形482及び第4の搬送波形492が第2の振幅変調器472Bに供給されて、第2の変調波形474Bが発生され得る。これらの第1及び第2の変調波形は、第3の振幅変調器494によって更に変調されて、電極432を通じて伝送され得る変調信号パッケージ496が生成され得る。本発明の一実施形態において、第1及び第2の変調信号474A、474Bは、別々の第1及び第2の電極(図示せず)を通じて印加され得る。本発明の1つ以上の他の実施形態において、変調波形が不活性期間を有する場合、更なる信号がこれらの不活性期間に挿入されて、他の神経、筋肉、又は体部位が標的とされてもよい。
【0075】
図17を参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチ500は望ましくは、1つ以上のバイオフィードバック機構を有している。バイオフィードバック機構は望ましくは、系にフィードバックを与え、系の不変的操作とは対照的に、系の選択的操作を可能にする。結果として、神経刺激は必要なときにのみ生じ得る。
【0076】
パッチ500は、回路基板502と、電池などの電力源508と、第1の波形568を発生させる第1の波形発生器564と、第2の波形570を発生させる第2の波形発生器566と、を含む。第1及び第2の波形発生器564、566は、電池508に電気的に結合されており、電池508によって給電される。波形発生器564、566は、テキサス州ダラス(Dallas)のテキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)によってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。第1の波形発生器564は、体内の神経を刺激することが知られている周波数を有する第1の波形568を発生させる。一実施形態において、その周波数は、約10Hz〜30Hzの範囲内にある。別の実施形態において、その周波数は、約10Hz〜40Hzの範囲内にある。上記のように、そのような低周波信号(例えば10Hz〜40Hz)は、それ自体では、体組織を通過して標的の神経を効果的に刺激することができない。この問題を克服するために、選択的神経刺激パッチ500は、より高い周波数(例えば10KHz〜400KHz)を有する第2の波形570を発生させる第2の波形発生器566を有しており、この第2の波形570は第1の波形566と共に、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)から販売されている呼称On−Semi MC1496を有する変調器など、振幅変調器572に印加される。
【0077】
変調器572は、電極532に伝送される変調波形574を発生させる。次に電極532は、変調波形574を標的の神経(図示せず)に印加して、その標的の神経を刺激する。一実施形態において、選択的神経刺激パッチ500は、第3の波形582を発生させる第3の波形発生器580と、第4の波形592を発生させる第4の波形発生器590とを含んでもよい。
【0078】
神経刺激パッチ500はまた、1つ以上のセンサー装置598を含む。センサー装置は、体内に埋込み可能であってもよい。センサー装置598は好ましくは、選択された生体生理学的特性を感知する少なくとも1つのセンサー600と、以下でより詳しく説明するように、センサー600によって収集されたデータ又は情報を、更に処理するために再び体外に伝送するデータ伝送装置602とを含む。伝送器602は、データを無線で伝送してもよい。
【0079】
一実施形態において、信号伝送器602は、より大きな信号制御システム604の一部であり、その信号制御システム604は、カリフォルニア州サニーヴェール(Sunnyvale)のマキシムセミコンダクターズ社(Maxim Semiconductors)によるMAX1472などの受信装置606を更に含み、受信装置606は、電池508に電気的に結合され、電池508によって給電される。受信装置606は、1つ以上のセンサー装置598からデータを受信し、このデータをマイクロコントローラ608に供給する。マイクロコントローラは好ましくは、データを受信し分析するように、また、このデータに基づいて第1及び第2の波形発生器564、566に入力を供給し、それによって、神経刺激パッチによる信号伝送を制御するようにプログラムされている。バイオフィードバックセンサー600は、膀胱内など体内に埋め込まれる圧力センサーであってもよい。当業者には周知のように、膀胱内の圧力を継続的に測定すると、膀胱収縮の存在及び規模が明らかとなり得る。そのような圧力測定により、(結果として膀胱内の圧力がゆっくりと規律的に上昇する正常な膀胱収縮と比較して)痙性膀胱の筋活動が明らかとなった場合、フィードバック信号が受信装置606に、続いてマイクロコントローラ608に伝送されることができる。受信されたフィードバック信号に応答して、マイクロコントローラ608は、波形発生器564、566を制御することにより、電極532が変調信号を伝送するようにする。変調信号が標的の神経(例えば陰部神経)によって受け取られることで膀胱筋が刺激されて、痙攣性の筋収縮が実質的に排除される。
【0080】
一実施形態において、バイオフィードバック装置598は、電力源、1つ以上のセンサー構成部品、及び電子インターフェイスを含めて複数の電子構成部品を含んでもよく、それらの電子構成部品の各々は、当該技術分野において周知の方式で、互いに電気的に結合され、プリント回路基板上に機械的に装着される。1つ以上のセンサー構成部品は、体内の所定の生理学的特性を感知し、そのような特性を表す信号又はデータを電気的インターフェイスに伝送する。このシステムは、感知した生理学的特性と相関するデータを記憶するデータ記憶要素を含んでもよいが、患者の体から外にデータを伝送する伝送器を更に含んでもよく、したがって、その伝送器は、上述のように変調信号の発生を制御するために使用され得る。バイオフィードバック装置は、折畳み可能なハウジング又はケージで実質的に囲まれてもよい。
【0081】
本発明の好ましい一実施形態において、バイオフィードバック装置は好ましくは、電極の動作を制御するために使用される連続的なフィードバックを供給するために、長期間にわたって身体(例えば膀胱)の中に残される。連続的なフィードバックが使用されない場合、本明細書で説明する埋込み型センサーは、それでもやはり、正確な診断及び/又は適切な治療の提供に有用なデータを取得するために使用され得る。本発明の一実施形態において、装置は1日〜2日間にわたって膀胱内に残され、圧力測定が1/2秒毎に行われ得る。後に、圧力変化の種類及び頻度が分析され、体の機能を評価するためのフィードバックが提供され得る。例えば、時間をかけて小嚢の圧力を測定すると、排尿の回数及び頻度が明らかとなることがあり、過活動膀胱又は膀胱の過剰な張り(overfilling)が示唆され得る。一実施形態において、センサー要素は、拡張スリープモードで動作するように設計され、一定の時間間隔で「起床」して圧力などを測定する。十分なデータが収集されると、装置はその後に、カテーテルを膀胱に挿入して埋込み可能な装置を回収すること、又は、膀胱鏡の操作チャネル又は他の好適な器具を使用して装置を回収することなどによって、膀胱から取り出され得る。カテーテル又は膀胱鏡が膀胱の中に挿入され、装置が把持され、カテーテル又は膀胱鏡のチャネルの中に再び引き込まれ、その後に身体から取り出される。
【0082】
図17を参照すると、バイオフィードバックデータを利用する実施形態において、受信器606は、複数のバイオフィードバック装置598からフィードバックデータを受信することができる。これらの実施形態において、上に示し説明したものに類似した第2の埋込み型バイオフィードバックセンサーが、別の身体の穴(例えば膣管)に挿入されてもよい。第2のバイオフィードバックセンサーは、「タンポンに似た」装置又はケーシングに封入されてもよく、その装置又はケーシングは、タンポンに類似した、巻かれた又は束ねられた木綿で作られたものである。一実施形態において、第2の埋込み型バイオフィードバック装置は腹圧を感知し、第1の埋込み型バイオフィードバック装置は膀胱圧を感知する。結果として、膀胱圧を腹圧から減じることによって、排尿筋圧(すなわち、膀胱組織の壁の筋肉の内張りの圧力)が決定され得る。当業者には周知のように、排尿筋圧の上昇は、患者がいきむ、咳をする、くしゃみをする、笑うなどするときに起こり、これらの圧力の検出は、様々な膀胱及び下部尿道の病態の診断において臨床的に重要である。例えば、排尿筋圧が増加する頻度により、切迫尿失禁を評価するのに有意味なデータが得られる。
【0083】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチを含むシステムが、第1の埋込み型バイオフィードバックセンサーと、第2の埋込み型バイオフィードバックセンサーとを有している。埋込み型バイオフィードバックセンサーの一方は、埋込み型バイオフィードバックセンサーにデータを伝送し、その埋込み型バイオフィードバックセンサーは次いで、データの両セットを受信器606(図17)に無線で伝送する。
【0084】
本発明の一実施形態において、電極から標的の神経又は体部位への刺激エネルギーの伝導性は、電極から標的の神経又は体部位に完全に又は部分的に延び得る導電路を配置することによって増大され得る。導電路は、デンマークのコンチュラ社(Contura)によるアクアミド(Aquamid)(登録商標)ゲル注射剤などの架橋ポリアクリルアミドゲルであってもよい。注射されるかあるいは別の方法で挿入されるこの生体不活性ゲルは、高度な伝導性があり、水溶液であっても水溶液でなくてもよい。ゲルは硬質ではなく、患者の身体に適合し得るので、埋め込まれるゲルは、送出しの容易さ、侵襲性の低さ、及び患者の安心感を含めて多数の利点をもたらす。上記のように、注入ゲル路の明らかな利点は、電極から標的の神経への高度な伝導性の経路であり、この経路は周りの組織よりもはるかに伝導性がある。これにより、エネルギーの散逸が減じられ、電極と標的の神経との間のエネルギー移動の効率が増加する。
【0085】
導電性ゲルは、電極と標的の神経との間に延びる。導電性ゲルを使用する1つの利点は、電極は標的の神経の一平面にのみ接近し得るのに対し、変形可能でかつ流動可能な導電性ゲルは、標的の神経を覆うことができることである。結果として、導電性ゲルは、360度すべての角度で標的の神経と電気的及び物理的接触をなし、それにより、標的の神経への変調波形又は神経刺激信号の印加性を向上させることができる。一実施形態において、導電性ゲルは、標的の神経と実質的に接触する場所から、外側の皮膚層により近い場所へ延びてもよい。1つ以上の実施形態において、任意の外形をなす複数の導電性ゲルのポケット又は路が使用されてよい。
【0086】
1つの好適な導電性ゲルについて上で説明したが、様々な他のゲルもまた好適となる。多数の熱硬化性ヒドロゲル及び熱可塑性ヒドロゲルが同様に使用され得る。熱硬化性ヒドロゲルの例には、ポリHEMAとコポリマーの架橋した変種、N−置換アクリルアミド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(グリセリルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−アクリルアミド)、並びに、それらと、親水性及び疎水性コモノマー、架橋剤、他の改質剤との組み合わせが挙げられる。熱可塑性ヒドロゲルの例には、HYPANなどのアクリル誘導体、ビニルアルコール誘導体、親水性ポリウレタン(HPU)及びスチレン/PVPブロックコポリマーが挙げられる。
【0087】
上述の内容は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の他の及び更なる実施形態が、本発明の基本的範囲から逸脱することなく考案され得る。
【0088】
〔実施の態様〕
(1) 頂面と底面とを有する基板と、
少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、前記基板の前記頂面の上にあり互いに電気的に相互接続されている構成部品と、
前記少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための、前記基板上に配置されており、前記基板の前記底面にて露出されている少なくとも1つの電極と、
を備える、神経刺激パッチ。
(2) 前記基板を覆う防水通気性上部カバーを更に備える、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
(3) 前記基板を囲み、前記上部カバーを前記基板と結合する支持フランジを更に備える、実施態様2に記載の神経刺激パッチ。
(4) 前記支持フランジが、前記支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有する、実施態様3に記載の神経刺激パッチ。
(5) 前記上部カバーの一部分が前記支持フランジの前記頂面に適合する、実施態様4に記載の神経刺激パッチ。
(6) 前記支持フランジが、前記支持フランジの裏面から前記支持フランジの前記頂面に延びる排出開口部を更に備え、前記排出開口部が、前記パッチの内側から前記パッチの外側に水分を排出するために、前記上部カバーと連通している、実施態様5に記載の神経刺激パッチ。
(7) 前記構成部品及び前記基板の前記頂面を少なくとも部分的に被覆する封入材を更に備え、前記支持フランジが前記封入材を囲む、実施態様3に記載の神経刺激パッチ。
(8) 前記封入材が透明である、実施態様7に記載の神経刺激パッチ。
(9) 前記上部カバーが前記封入材を覆っており、前記上部カバーが少なくとも部分的に半透明である、実施態様8に記載の神経刺激パッチ。
(10) 前記基板の上にある前記構成部品が、前記パッチを作動させるために電力源及び前記電力源に結合されたスイッチを備える、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
【0089】
(11) 前記スイッチが、1回のみ作動されるように適合されたスイッチを含む、実施態様10に記載の神経刺激パッチ。
(12) 前記構成部品のうちの1つが、前記パッチが作動されていることを示す光信号を発生させるための発光素子を備える、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
(13) 前記構成部品のうちの1つが光センサーを備え、その光センサーが、前記少なくとも1つの神経刺激信号に関連付けられたパラメータを制御するための信号を受信するように適合されている、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
(14) 前記構成部品が、
前記基板の前記頂面の上にあり、第1の周波数を有する第1の波形を発生させるように適合されている第1の波形発生器と、
前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する搬送波形を発生させるように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合されており、前記第1の波形及び前記搬送波形を変調して変調波形を発生させるように適合された変調器であって、前記少なくとも1つの電極が、前記変調波形を印加するために前記変調器に電気的に結合されている、変調器と、
を備える、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
(15) 前記構成部品が、
前記第1の波形と異なり、かつ位相が異なる、第3の周波数を有する第3の波形を発生させるように適合された第3の波形発生器を更に備え、
前記変調器が、前記第3の波形発生器に電気的に結合されており、前記搬送波形、第1及び第3の波形を変調して前記変調波形を発生させるように適合されており、前記第1の波形が、第1の標的の神経を刺激するように適合されており、前記第3の波形が、第2の標的の神経を刺激するように適合されている、実施態様14に記載の神経刺激パッチ。
(16) 神経刺激パッチにおいて、
頂面と底面とを有する回路基板と、
少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、前記回路基板の前記頂面の上にある複数の内蔵構成部品と、
前記内蔵構成部品に通電するための、前記回路基板の前記頂面の上にある電力源と、
前記回路基板内に配置されており、前記回路基板の前記底面にてアクセス可能であり、前記少なくとも1つの神経刺激信号を印加するために前記内蔵構成部品に電気的に相互接続されている電極と、
前記回路基板の上にある防水通気性カバーと、
前記回路基板に結合されており、前記回路基板を囲んでいる支持フランジであって、前記支持フランジが、前記支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有し、前記支持フランジが、前記支持フランジの前記傾斜する頂面にてアクセス可能な複数の排出開口部を有し、前記排出開口部が、水分を前記パッチから排出するために、前記防水通気性上部カバーと連通している、支持フランジと、
を備える、神経刺激パッチ。
(17) 前記パッチを表面に固定するための、前記電極の上にある導電性接着パッドを更に備える、実施態様16に記載の神経刺激パッチ。
(18) 前記導電性接着パッドが接着性ヒドロゲルパッドを含む、実施態様17に記載の神経刺激パッチ。
(19) 前記内蔵構成部品及び前記基板の前記頂面を覆う透明な封入材料を更に備え、前記支持フランジが前記透明な封入材料を囲む、実施態様16に記載の神経刺激パッチ。
(20) 前記内蔵構成部品が、
前記回路基板の前記頂面の上にあり、第1の周波数を有する第1の波形を発生させるように適合されている第1の波形発生器と、
前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する搬送波形を発生させるように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合されており、前記第1の波形及び前記搬送波形を変調して変調波形を発生させるように適合された変調器であって、前記電極のうちの少なくとも1つが、前記変調波形を印加するために、前記変調器に電気的に結合されている、変調器と、
を備える、実施態様16に記載の神経刺激パッチ。
【0090】
(21) 頂面と底面とを有する基板と、
少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、前記基板の前記頂面の上にあり互いに電気的に相互接続されている内蔵構成部品と、
前記少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための、前記基板の中に内蔵されており前記基板の前記底面にて露出されている電極と、
前記基板及び前記内蔵構成部品の上にある防水通気性カバーと、
前記基板を囲み、前記防水通気性カバーを前記基板と結合する支持フランジであって、前記支持フランジが、前記支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有し、前記カバーの少なくとも一部分が、前記支持フランジの前記傾斜する頂面に適合する、支持フランジと、
を備える、神経刺激パッチ。
(22) 前記支持フランジが、前記支持フランジの裏面から前記支持フランジの前記傾斜する頂面に延びる複数の排出孔を備え、前記排出孔が、前記パッチの内側から前記パッチの外側に水分を排出するために、前記防水通気性材料と連通している、実施態様21に記載の神経刺激パッチ。
(23) 前記内蔵構成部品の上にある透明な封入材料を更に備え、前記支持フランジが前記透明な封入材を囲む、実施態様21に記載の神経刺激パッチ。
(24) 前記内蔵構成部品が、電力源と、1回型の作動スイッチと、発光素子と、光センサーと、を備え、前記防水通気性カバーが、前記1回型の作動スイッチと位置合わせされた第1の開口部と、前記発光素子と位置合わせされた第2の開口部と、前記光センサーと位置合わせされた第3の開口部と、を備える、実施態様23に記載の神経刺激パッチ。
(25) 前記電極を被覆する導電性接着パッドと、前記パッチを表面に取り付けるための、前記防水通気性カバーの周囲の裏面部分を被覆する接着層と、を更に備える、実施態様21に記載の神経刺激パッチ。
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は一般に、神経及び体部位を刺激することに関する。より具体的には、本発明は、治療効果を達成するように神経及び体部位を刺激するために使用される神経刺激パッチに関する。
【0002】
〔関連技術の説明〕
神経は、人体の末梢神経系の一部である。神経は、皮膚及び体器官から中枢神経系まで往復して感覚信号を伝達する。神経は、損耗、身体的外傷、感染、及び/又は神経を囲む血管の障害が原因で、損傷を受けることがある。これらの機能的欠陥は、痛み、しびれ、脱力感を、また場合によっては麻痺状態を伴うことがある。神経の損傷によって生じる他の問題には、尿及び便の失禁が含まれ得る。
【0003】
上記の問題を扱うために、様々な方策が開発されてきた。例えば、尿失禁の治療は、より高頻度に排尿すること及び保護下着を着用することなどの行動修正を伴うことがある。ある社会的状況においては、しかしながら、人は、頻繁に排尿する又は保護下着を着用するという習慣に従うことができないこともある。別の対処法は、処方薬の服用を含めた薬物療法を伴う。しかしながら、この方法論は結果として、副作用又は薬物相互作用を生じることがあり、それによって最終的に中断が必要となる。
【0004】
上記の状態を扱う別の技法は、標的の神経の近くに配置される電子医療装置を使用して神経を刺激することを伴う。そのような電子医療装置の1つが、埋込型パルス発生器(IPG)と一般に呼ばれるものである。IPGは通常、1つ以上の電極と、電気パルス発生器と、電池と、ハウジングとを含む。電気パルス発生器は、標的の神経を刺激するように適合された電気信号を発生する。電極は発生器から信号を受け取ると、電池からエネルギーを引き出し、標的の神経を刺激するのに好適な強度の電界を発生させる。
【0005】
IPGは、神経を刺激するにはある程度効果的であることが判明しているが、外科的手技の間に患者の体の内部に埋め込まれなければならないため、極めて侵襲的である。IPGはまた、相当な量の電力を消費するが、これは、電極間の電気インピーダンスが増加すること、又は、電極とIPGとの間の電気インピーダンスが増加することに起因し得るものである。これは、電極の移動、1つ以上の電極の封入、及び電極又は体組織の物質特性の変化など、いくつかの要素に起因して生じ得るものである。電極の物質特性の変化は、電極の表面に体液が存在することにより化学変化が生じること、電流が組織を頻繁に通過すること、及び、日常生活の間に自然に損耗が生じることを含めて、多数の要因に起因して生じ得るものである。
【0006】
また、より高度な電池電力の消費が、「刺激の脱感作」と呼ばれる現象によって生じることがあり、この現象により、人体は、印加された外部電荷に対して抵抗を呈することによって、その印加された外部電荷に反応する。人体は、標的の神経の刺激閾値を増加させることによって、印加された外部電荷に抵抗し、それにより、初期の刺激レベルは非効果的となる。この問題を克服するには、より強大な電荷が発生されなければならず、それによって、更に多くの電池電力が消費される。これにより、電池の交換及び/又は再充電を頻繁に行うことが必要となる。
【0007】
いくつかの神経刺激装置において、発生した電界は広範囲に広がり、標的の神経と共に、標的でない筋肉及び神経に影響を与えることが観測されている。電界が広範囲に広がることにより、標的の神経における電気信号の強度が相当に低下する。標的の神経を適切に刺激するために、電気信号の強度は相当に増加されなければならない。これにより、装置はより大きな電力を電池から引き出すことが必要となる。
【0008】
より有効でかつ非侵襲的な方式で神経を刺激しようとする多くの尽力がなされてきた。例えば、上記の状態を扱うための非侵襲的技法が、本発明の譲受人に譲渡された、2005年6月7日に出願された米国特許出願公開第2005/0277998号、及び2006年1月31日に出願された同第2006/0195153号において開示されており、それらの開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。具体的には、それらの1つ以上の実施形態において、米国特許出願公開第2005/0277998号は、非侵襲的経皮神経刺激装置を教示しており、その装置は、搬送波信号とパルス包絡線とを含んだ、制御された振幅変調波形を発生させ送信する。搬送波形は、組織のインピーダンスに起因する減衰を克服するのに十分な周波数のものとなるように設計される。パルス包絡線は、特定の神経を刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状の情報を含んでいる。
【0009】
図1及び2は、第1の層22を含む通常の神経刺激装置20を示しており、第1の層22は頂面24と底面26とを有している。第1の層22の底面26は、開口部30A、30Bを有する接着層28によって被覆されており、開口部30A、30Bは、接着層28を貫いて延び、活性集積電極32A及び帰還集積電極32Bを収容する。接着層28は、電極32A、32Bの形状に適合しかつ電極を患者の皮膚の表面に直接接触させる孔を含む。装置20は、対応する電極32A、32Bを被覆する電解質パッド34A、34Bを含む。電極32A、32Bは第1の層22に直接固定されてもよく、あるいは、プラスチックなどの任意の好適な材料から構成された第2の層によって適所に保持されてもよい。集積電極は、刺激電極の電解質に接続するための、金メッキされた又は他の耐食性の電着金属パッドであってよい。この装置は、可撓性の電子基板又はフレキシブル基板の第3の層36を含み、この第3の層36は、米国特許出願公開第2005/0277998号に記載された電子要素のすべてを収容しており、電極32A、32Bに電気的に結合されている。フレキシブル基板36は、電池の接続を完全なものにするように、かつ電子構成部品をより小さな空間に入れるように、電池の上で折り重ねられる部分を有している。第4の層は、電池シール又はリング40によって定位置に保持され得る、任意の寸法及び形状の薄膜電池38であり、上部カバー42は、絆創膏(bandages)に広く使用されているプラスチック被覆などの任意の好適な被覆である。
【0010】
図2を参照すると、神経刺激装置20は、最上層の一部分の下にあるフォトダイオード44を有しており、このフォトダイオード44は、極めて低消費電力の通信受信器として使用され得る。このフォトダイオードは、小型で、廉価であり、非活動時の電力消費がゼロであり、REリンク(RE link)と比べてエネルギー及び空間効率の大いに高いものである。装置20は、電池38A、38Bによって給電される電極32A、32Bを含み、電池38A、38Bは電池シール40A、40Bで囲まれている。2つの刺激電極32A、32Bは一方の側に片寄っており、結果として、装置は幾分D字形状となっている。上部カバー42は、洗濯、入浴、及びシャワーなどの通常の活動の間、内部の構成部品を保護するために、防水性となっている。
【0011】
上記の進歩にもかかわらず、体部位及び神経を刺激する改善された装置及び方法が依然として求められている。特に、より小型であり、より小さな面積(footprint)を有し、より経済的であり、より少数の部品を有し、組み立てがより容易である選択的神経刺激パッチが依然として求められている。また、標的の神経及び体部位を効果的に刺激する一方で、標的でない神経及び体部位は刺激しない改善された神経刺激装置が依然として求められている。更に、より侵襲性が低く、より小さな電力で効果的に動作し、それによって電源を交換及び/又は再充電する必要を最小限にする神経刺激装置が依然として求められている。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明は、神経及び体部位を刺激するためのシステム、装置、及び方法に関する。一実施形態において、小型の選択的神経刺激パッチが、標的の神経及び体部位を刺激するために、身体を効果的に通過する神経刺激信号を発生させ印加する。一実施形態において、神経刺激信号は、波形が身体を通過する効率を向上させるために変調され得る波形である。この効率により、結果として、標的の神経を刺激する一方で標的でない神経は刺激せず、消費する電池電力がより少なく、再充電されるまでより長期間にわたって動作し得る装置が得られる。
【0013】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、頂面と底面とを有する、回路基板などの基板と、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、基板の頂面上にある、互いに電気的に相互接続されている能動及び受動構成部品などの構成部品と、少なくとも神経刺激信号を印加するための、基板の上に配置され基板の底面にて露出されている少なくとも1つの電極とを含む。神経刺激パッチは望ましくは、商標ゴアテックスとして販売されている材料など、基板を覆う防水通気性上部カバーと、基板を囲み、上部カバーを基板と結合する支持フランジとを含む。
【0014】
本発明の一実施形態において、支持フランジは、支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有し、上部カバーの一部分は、支持フランジの頂面に適合する。支持フランジは、支持フランジの裏面から支持フランジの頂面に延びる排出開口部を有してもよい。排出開口部は望ましくは、パッチの内側からパッチの外側に水分を排出するために、上部カバーと連通している。
【0015】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、基板上の構成部品及び基板の頂面を少なくとも部分的に被覆する封入材を含み、それにより、支持フランジは封入材を囲む。一実施形態において、封入材は透明であり、したがって、光が封入材層の中に、また封入材層の外に進むことができる。封入材を覆う上部カバーの少なくとも一部分が、少なくとも部分的に半透明であるか、少なくとも部分的に透明であるか、あるいは透明であってよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、基板上にある構成部品には、パッチを作動させるための電池などの電力源、及びその電力源に結合されたスイッチが含まれる。スイッチは、1回限り作動されるように適合された1回使用型のスイッチであってもよい。構成部品にはまた、パッチが作動されていることを示す光信号を発生させるための、LEDなどの発光素子と、少なくとも1つの神経刺激信号と関連付けられたパラメータを制御するための信号を受信するように適合された、フォトダイオードなどの光センサーとが含まれ得る。一実施形態において、光信号がフォトダイオードに向けられ、感光信号(sense light signals)が、パッチの神経刺激出力を調節するために使用される。
【0017】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、頂面と底面とを有する回路基板と、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、回路基板の頂面上にある複数の内蔵構成部品と、内蔵構成部品に通電するための、回路基板の頂面上にある電力源と、回路基板内に配置された電極とを含む。電極は、回路基板の底面にてアクセス可能であり、少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための内蔵構成部品と電気的に相互接続される。選択的神経刺激パッチは望ましくは、回路基板を覆う防水通気性カバーと、回路基板に結合され、回路基板を囲む支持フランジであって、支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有する、支持フランジとを含む。支持フランジは可撓性であってもよく、支持フランジのその傾斜する頂面にてアクセス可能な複数の排出開口部を有してもよく、排出開口部は、水分をパッチから排出するために、防水通気性上部カバーと連通する。
【0018】
一実施形態において、神経刺激パッチは、パッチを表面に固定するための、電極上にある接着性ヒドロゲルパッドなどの導電性接着パッドを含む。導電性接着パッドは交換可能であり、それにより、パッチを一時的に表面から取り外し、次いで交換するかあるいは表面上に再配置することが可能である。
【0019】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチは、頂面と底面とを有する基板と、少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、基板の頂面上にある互いに電気的に相互接続されている内蔵構成部品と、少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための、基板の中に内蔵され基板の底面にて露出されている電極とを含む。このパッチは望ましくは、基板及び内蔵構成部品を覆う防水通気性カバーと、基板を囲み、防水通気性カバーを基板と結合する支持フランジとを含む。支持フランジは好ましくは、支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有し、それにより、カバーの少なくとも一部分が、支持フランジのその傾斜する頂面に適合する。
【0020】
本発明の一実施形態において、透明な封入材料が内蔵構成部品の上にあり、支持フランジがその透明な封入材料を囲む。内蔵構成部品には、電力源、1回型の作動スイッチ、発光素子、及び光センサーを挙げることができる。一実施形態において、防水通気性カバーは、1回型の作動スイッチと位置合わせされる第1の開口部と、発光素子と位置合わせされる第2の開口部と、光センサーと位置合わせされる第3の開口部とを有する。このパッチは、パッチを表面に取り付けるための、電極を被覆する導電性接着パッドと、防水通気性カバーの周囲の裏面部分を被覆する接着層とを含んでもよい。接着パッド及び接着層により、パッチを表面から一時的に取り外し、次いで後に表面に再び取り付けることが可能になり得る。一実施形態において、接着パッドは、新しい接着パッドと交換されてもよい。
【0021】
本発明は、いかなる特定の動作理論によっても限定されるものではないが、電極を基板に内蔵することにより、神経刺激パッチの寸法及び面積が最小になると考えられる。結果として、神経刺激パッチは、全体としての縦断面がより低く、患者の皮膚表面などの表面に対して面積がより小さなものとなる。
【0022】
本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチは、1つ以上の電極と、1つ以上の波形発生器と、1つ以上の変調器と、電池とを含み得る。波形発生器は好ましくは、標的の神経を選択的に刺激し、かつパッチと標的の神経との間の組織を透過することが可能な波形を発生させる。電池は、神経刺激パッチに好ましい電力源であり、波形発生器は電池から電力を引き出す。変調器は、波形発生器からの波形を変調して変調波形を生成し、その変調波形を電極に送信する。変調器から電気信号を受信すると、電極は望ましくは、標的の神経を刺激するための電界を発生させる。
【0023】
本発明の一実施形態において、電池は非再充電式電池である。本発明の別の実施形態において、電池は再充電式電池であり、その充電式電池は、誘導結合を用いて、共通の磁界を通してエネルギーを伝送することによって、又は、電力源を再充電するための任意の他の既知の技術を用いることによって、無線周波数信号を使用して再充電されてもよい。
【0024】
本発明は、いかなる特定の動作理論によっても限定されるものではないが、各神経は、神経の構成単位であるニューロンに起因する固有の物理的特性を有すると考えられる。直径、長さ、及び髄鞘形成など、ニューロンの物理的特性により、神経における静電容量及び電気信号の伝導速度が決まる。したがって、各神経は、特定の周波数を有する波形を印加することによって、選択的に刺激され得る。
【0025】
通常、標的の神経の興奮周波数は、10Hz〜40Hzの範囲内にある。そのような低周波を有する電気信号は、電極の封入又は時間に伴う電極の移動によって生じ得る、電極と標的の神経との間の組織によってもたらされる組織インピーダンスに打ち勝つことができない。本発明の選択的神経刺激パッチは、搬送波信号とパルス包絡線とから構成された、制御された振幅変調波形を伝送する。搬送波形は、組織インピーダンスに打ち勝つのに十分な周波数のものとなるように設計される。パルス包絡線は、特定の神経を刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状の情報を含んでいる。神経組織を活性化するために変調信号が使用される一方で、高インピーダンス組織(皮下的又は経皮的)を通過させるために高周波搬送波信号が使用され得る。
【0026】
本発明の1つ以上の実施形態において、選択的神経刺激パッチは、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2005/0277998号(2005年6月7日に出願された米国出願第11/146,522号)及び同第2006/0195153号(2006年1月31日に出願された米国出願第11/343,627号)に記載された装置及び技法を使用して、標的の神経を刺激するための変調波形を発生させるように適合されており、これらの特許出願公開の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。この波形は望ましくは、搬送波形をパルス包絡線で変調させることによって発生される。振幅、周波数などの搬送波形の特性は、組織インピーダンス及び標的の神経の刺激閾値に打ち勝つように選択される。パルス包絡線は、標的の神経を選択的に刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状を有する波形である。この波形は、電気信号の強度の損失を最小にして、効率的に組織に透過して標的の神経に到達し、それにより電池電力を節約することが可能であり、電池電力はそれ以外の方法では、標的の神経を低周波信号で刺激する数回の試行で使用されることになる。更に、標的の神経のみが刺激され、標的でない神経は刺激されない。
【0027】
一実施形態において、神経又は体部位を刺激するための選択的神経刺激パッチが、第1の周波数を有する第1の波形を発生させるように適合された第1の波形発生器と、第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する搬送波形を発生させるように適合された第2の波形発生器と、第1及び第2の波形発生器に電気的に結合されており、第1の波形及び搬送波形を変調して変調波形を発生させるように適合された変調器と、変調波形を印加するための、変調器に電気的に結合された電極とを含む。このパッチは、波形発生器及び変調器に電力を供給するための、電池などの電力源を含む。一実施形態において、第1及び第2の波形発生器、変調器、電池、並びに電極はすべて、回路基板などの単一の基板に設けられる。好ましい一実施形態において、第1の波形は、標的の神経又は標的の体部位を刺激するように適合された周波数を有する。第1の波形は、実質的に10Hz〜40Hzの範囲内にある周波数を有してもよく、搬送波形は、実質的に10KHz〜400KHzの範囲内にある周波数を有してもよい。
【0028】
好ましい一実施形態において、選択的神経刺激パッチは、バイオフィードバックデータを受信するように、またバイオフィードバックデータに応答して第1及び第2の波形発生器の動作を制御するように適合されたマイクロプロセッサを含んでもよい。また、このパッチは望ましくは、バイオフィードバックデータを受信するように適合された受信装置を含み、その受信装置は、マイクロプロセッサと通信してマイクロプロセッサにバイオフィードバックデータを供給する。この神経刺激パッチはまた、受信装置と通信する少なくとも1つのセンサーを含んでもよく、その少なくとも1つのセンサーは、膀胱圧など、哺乳類の1つ以上の生理学的状態を感知するように適合されている。感知された1つ以上の生理学的状態を伝送するために、伝送器が少なくとも1つのセンサーと結合されてもよい。伝送器は無線伝送器であってもよい。
【0029】
本発明の1つ以上の実施形態について、女性の神経刺激及び女性の泌尿系に関連して説明しているが、本発明が、男性、小児、及び成人の神経刺激、並びに、男性、小児、及び成人の泌尿系における使用に容易に適合され得ることは理解されよう。更に、本明細書で開示する本発明の原理、機器、及び方法は、冠状動脈又は肺機能などの他の分野における機能性の評価及び治療にも応用性を有し得るものである。更にまた、本明細書で説明する本発明の原理、機器、及び方法は、分娩及び出産の間の神経の刺激など、様々な他の神経を刺激すること、又は、所与の神経束の分岐点を選択的に刺激して種々の患者の状態に選択的に対処することへの応用性を有し得るものである。加えて、本明細書で説明した技法は、腹圧性尿失禁、肛門及び大便失禁、性的機能不全、間質性膀胱炎、限定するものではないが骨盤痛などの慢性疼痛、夜間多尿症、並びに、限定するものではないが胃ペーシングなどの胃腸障害という状態に寄与するかあるいは影響を与える神経系の様々な構成要素に応用され得る。更に、本発明は、ホルモンを分泌する腺、物理療法に伴う二頭筋刺激などの大きな筋群など、神経以外の体部位を刺激するためにも使用され得る。
【0030】
本発明のこれらの及び他の好ましい実施形態について、以下でより詳しく説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の上記の特徴が子細に理解され得るように、上に簡潔に要約した本発明の実施形態のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態が添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本発明の範囲に包含される典型的な実施形態のみを示すものであることに留意されたい。したがって、図面は限定するものとは見なされず、本発明は、他の同等に効果的な実施形態があることを認め得るものである。
【図1】従来の神経刺激パッチの分解図。
【図2】組立て後の図1の神経刺激パッチ。
【図3】本発明の一実施形態による、基板と、成形カバーと、防水通気性上部カバーとを有する選択的神経刺激パッチの分解図。
【図4】図3に示す基板の上面斜視図。
【図5】基板の底面が上に向いた、図3の基板の正面図。
【図6】本発明の一実施形態による、部品が互いに組み立てられた後の、図3に示す基板及び成形カバーの上面図。
【図7A】図3に示す防水通気性上部カバーの上面図。
【図7B】図7Aに示す上部カバーの裏面図。
【図8A】本発明の一実施形態による、基板とその基板を囲む支持フランジとを含む神経刺激パッチの斜視図。
【図8B】本発明の一実施形態による神経刺激パッチの底面図。
【図9A】本発明の一実施形態による神経刺激パッチの横断面図。
【図9B】図8Aに示す神経刺激パッチの別の横断面図。
【図10】本発明の一実施形態による神経刺激パッチの裏面図。
【図11】本発明の更に別の実施形態による神経刺激パッチ。
【図12】図11に示す神経刺激パッチによって発生された例示的な波形。
【図13】本発明の更に別の実施形態による神経刺激パッチ。
【図14】図13に示す神経刺激パッチによって発生された例示的な波形。
【図15】本発明の更に別の実施形態による神経刺激パッチ。
【図16】図15に示す神経刺激パッチによって発生された例示的な波形。
【図17】本発明の更なる実施形態による神経刺激パッチ。
【0032】
〔詳細な説明〕
本明細書にて開示する本発明は、その用途又は使用法において、添付の図面及び説明に示す部品の構造及び構成の細部に限定されるものではない。本発明の例示的な実施形態は、他の実施形態、変形形態、及び修正形態に実装されても、あるいは組み込まれてもよく、また、様々な方式で遂行されても、あるいは実行されてもよい。例えば、本発明の一実施形態について、女性の神経刺激に関連して説明するが、この実施形態が男性及び小児への使用に容易に適合され得ることは理解されよう。また、本明細書で説明する本発明の原理、機器、及び方法は、分娩及び出産の間の神経の刺激など、様々な他の神経を独立に若しくは同時に刺激すること、又は、所与の神経束の分岐点を選択的に刺激して種々の患者の状態に選択的に対処することへの応用性を有し得るものである。したがって、本発明は、例えば、腹圧性尿失禁、肛門及び大便失禁、疼痛、性的機能不全、間質性膀胱炎、限定するものではないが骨盤痛などの慢性疼痛、夜尿症、並びに、限定するものではないが胃ペーシングなどの胃腸障害の状態うちの1つ以上に同時に、選択的に治療を施すか、あるいは影響を与えるために使用され得る。最終的に、本明細書で説明する本発明はまた、ホルモンを分泌する腺、物理療法に伴う二頭筋刺激などの大きな筋群など、神経以外の体部位を刺激するためにも使用され得る。
【0033】
本明細書で使用する見出しは、単に編集を目的としたものであり、説明又は特許請求の範囲を限定するために使用することを意図したものではない。本願の全体を通じて使用されるとき、「してもよい(may)」という語は、義務の意味(すなわち必須を意味する)ではなく、許可の意味で使用されている(すなわち、あることを行う可能性を有することを意味する)。同様に、「含む(include、including、及びincludes)」という語は、あるものを含むが、それらに限定はされないことを意味する。理解を容易にするために、各図に共通する同様の要素を示すために、可能な限り、同様の参照符号が使用されている。
【0034】
図3を参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチ100が、頂面104と底面106とを有する、回路基板などの基板102を有している。回路基板102は、電気信号を発生するように適合された構成部品を装着されており、それらの電気信号は、身体に加えられて、1つ以上の選択された神経を刺激し得る。一実施形態において、回路基板102は、能動的構成部品及び受動的構成部品を有しており、それらの構成部品は、選択された神経を刺激するために、電気信号を発生させ、その信号を変調し、その信号を身体に加える。
【0035】
選択的神経刺激パッチ100は、パッチのエネルギー源を提供する、電池などの電力源108を含んでいる。一実施形態において、電力源108は、好ましくは、基板の頂面104の上に固定されており、導体110の下にある。パッチ100は望ましくは、導体110と電力源108の頂面との間に設けられた導電性接着剤(図示せず)を含む。一実施形態において、導体110は、作動されると回路基板102上の構成部品に電力源108を持続的に接続する使い捨ての又は1回使用型のスイッチの一部である。最初に、導体110は好ましくは、電力源108から離間され分離されている。導体110が電力源の頂面に向かって押し付けられると、導体は電力源に(導電性接着剤を介して)接着して、回路基板及び回路基板に取り付けられた構成部品に電力を供給する。導体110は、好ましくは可撓性である。一実施形態において、この導体はスパイラル導体である。
【0036】
選択的神経刺激パッチ100は、好ましくは、回路基板102の上に組み付けられる成形上部キャップ112を含む。成形上部キャップ112は、以下でより詳細に説明するように、好ましくは透明であり、そのため、光信号が成形上部キャップを通過することができる。成形上部キャップ112の一方の端部は、望ましくは、成形上部キャップ112の中に形成された弱化領域114を有しており、この弱化領域114は、電池108の上部に導体110を押し付けるために、押し下げが可能となっている。他の実施形態において、成形上部キャップ112は、上部キャップの長さ全体にわたって、均一な厚さを有していてもよい。成形上部キャップ112は、好ましくは、下にある回路基板102の形状に適合する。一実施形態において、上部キャップ112は、射出成形技法を用いて基板102の上に形成される。成形上部キャップは、硬化性の封入材料を含んでいてもよい。別の実施形態において、成形上部キャップ112は、回路基板に組み付けられる別個の部品として形成されてもよい。
【0037】
図3を参照すると、選択的神経刺激パッチ100はまた、上部キャップ112及び回路基板102を覆う上部カバー116を有している。一実施形態において、上部カバー116は、商標ゴアテックスとして販売されている材料などの防水通気性材料でできている。上部カバー116は望ましくは、導体110と位置合わせされる第1の開口部118と、基板上に設けられたLEDと位置合わせされる第2の開口部120と、パッチ100によって発生される出力信号又は波形のパラメータを調節するためのフォトダイオードなどの光スイッチと位置合わせされる第3の開口部122とを有している。
【0038】
選択的神経刺激パッチ100はまた、回路基板102の底面106にてアクセス可能な電極(図示せず)と、それぞれの電極の上にある接着性導電性パッド124A、124Bとを含む。一実施形態において、電極は基板に配置され、基板の底面にてアクセス可能である。
【0039】
図4及び5を参照すると、本発明の一実施形態において、回路基板102は、頂面104と底面106とを含む。電池などの電力源108が、頂面104の上に、かつ導体110の下に配置されている。導電性接着剤126が、導体110と電池108の頂面との間に設けられている。導体110が、電池108の頂面に向かって下向きに押し付けられると、回路基板が作動される、つまり「オンにされる」。導電性接着剤は、好ましくは、導体110と電池108との持続的な電気相互接続を維持し、その結果、選択的神経刺激パッチは常に作動された状態を維持する。
【0040】
図4を参照すると、回路基板は好ましくは、頂面104の上にある発光ダイオード(LED)128を有している。回路基板102が作動されると、LED 128は、パッチが動作していることを示す光を発する。LED 128によって発せられた光は、連続的な光線又は断続的な光線を生成することができる。回路基板102はまた、その頂面104の上にある光センサー130を有している。フォトダイオードなどの光センサー130は、神経刺激パッチによって発生された出力波形又は信号を調節するために、入射した光信号に応答する。
【0041】
図5を参照すると、本発明の一実施形態において、回路基板102は、その底面106にてアクセス可能な一対の電極132A、132Bを含む。これらの電極は望ましくは、刺激パッチの寸法を減じるために、回路基板に組み込まれている。図1及び2に示すパッチなどの先行技術のパッチにおいて、電極は回路基板から離間しており、それにより、パッチの全体的寸法及び面積が増加している。本発明は、電極132A、132Bを回路基板の中に組み込み、電極を基板102の底面106にてアクセス可能にすることによって、パッチの寸法及び面積を最小化しようと試みるものである。図5において、接着性導電性パッド124Aが第1の電極132Aの上にある。以下でより詳細に説明するように、接着性導電性パッドは、接着性ヒドロゲルパッドであってもよく、電極132A、132Bと患者の皮膚との間に確実な電気信号経路を形成するように適合されている。
【0042】
図6を参照すると、本発明の一実施形態において、基板に取り付けられた構成部品を保護するために、成形上部キャップ112が回路基板102の上にある。成形上部キャップ112は好ましくは透明であり、そのため、光信号は成形上部キャップ112を通過することができる。一実施形態において、LED 128によって発生された光は、透明な上部キャップ112を通過することができ、そのため、パッチ100の作動状態が観測され得る。加えて、回路基板102に取り付けられた構成部品によって発生される波形又は信号を調節するために、透明な上部キャップ112を通じて光要素130へと光信号が透過されてもよい。成形上部キャップ112は、基板102の上にその場で形成されることができ、あるいは、基板から離れて形成され、次いで基板102に組み付けられてもよい。一実施形態において、成形上部キャップ112は、導体110の上に位置合わせされる、より薄いあるいは弱化された領域114を有する、弱化された領域114は、選択的神経刺激パッチ100を作動させるために、電池108の上部に導体110を押し付けるように押し下げられてもよい。
【0043】
図7A及び7Bを参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチは、回路基板及び成形上部キャップを覆う上部カバー116を含む。上部カバー116は好ましくは、商標ゴアテックスとして販売されている材料などの可撓性の防水通気性材料でできている。当業者には周知のように、ゴアテックス材料は、通常はナイロン又はポリエステルの布地に接合されたウレタンコーティングを有する薄い多孔質フルオロポリマー膜でできている。この膜は、1平方インチ当たり約90億個の孔を有し、各孔は水滴と比べて約20,000分の1の大きさであり、液体水に対して膜を不浸透性にする一方で、より小さな水蒸気は依然として通過させる。結果として、ゴアテックスは、通気性があり、防水性があり、更には防風性のある材料となっている。外側の布地は、撥水剤で処理されてもよい。布地の縫製の間に生じたピンホールを通じた水漏れを防止するために、継ぎ目が封止されてもよい。ウレタンコーティングは、保護層を提供すると共に、異物(すなわち体の油分)が積層体を湿潤させ、膜を通じて水分を運ぶのを防止する。したがって、上部カバー116は、水がパッチに進入するのを防止すると共に、水蒸気及び水分をパッチから流出させる。一実施形態において、上部カバー116は、持ち上がった中央平坦部134と、その中央平坦部134を囲む実質的に平坦な外縁部136と、中央平坦部134と外縁部136との間に延びる傾斜した遷移領域138とを有している。一実施形態において、中央平坦部134は、中央平坦部134を貫いて延びる1つ以上の開口部を有している。第1の開口部118は好ましくは電池の上にある可撓性導体と位置合わせされ、第2の開口部120は好ましくはLEDと位置合わせされ、第3の開口部122は好ましくはフォトダイオードなどの光センサーと位置合わせされる。
【0044】
図7Bを参照すると、本発明の一実施形態において、上部カバー116の裏面は、1つ以上の接着層を上に設けられている。図7Bにおいて、第1の接着層140は、中央平坦部134の裏面を被覆し、第1の接着層140を貫いて延びる開口部を有しており、それらの開口部は、上部カバー116に形成された開口部118、120、122と実質的に位置合わせされる。第2の接着層142は、上部カバー116の裏面の周縁部136を被覆している。第1の接着層140は好ましくは、回路基板を覆う上部キャップに上部カバー116を接着し、第2の接着層140は好ましくは、患者の皮膚表面などの表面に上部カバー116を接着する。
【0045】
図8A及び8Bを参照すると、選択的神経刺激パッチ100は望ましくは、回路基板102を囲む支持フランジ144を含む。支持フランジ140は好ましくは、傾斜頂面146を有しており、この傾斜頂面146は、上部カバー116(図7A)の傾斜した遷移領域138を支持するように適合されている。一実施形態において、支持フランジ144は可撓性である。支持フランジ140は望ましくは、支持フランジ140の傾斜頂面146と底面150との間に延びる複数の排出開口部148を有している。排出開口部148により、望ましくは、水分(例えば汗)がパッチ100から流出することが可能となる。図8Aを参照すると、支持フランジ144はまた、基板102の頂面の上に導入される封入材料を制御し付形するための型として機能してもよい。支持フランジは、封入材料が硬化されるまで、封入材料の流れを制御し制限してもよい。封入材料が硬化されると、その封入材料は基板の上にある構成部品を保護する。
【0046】
図8Bを参照すると、支持フランジ144は、上部カバー116の傾斜した遷移領域138と位置合わせされるように、上部カバー116の裏面に組み付けられている。支持フランジ144は、回路基板102を囲み、回路基板を上部カバー116に結合している。支持フランジは好ましくは、上部カバー116の平坦部と外縁部との間に位置している。
【0047】
図9A及び9Bは、本発明の好ましい一実施形態による神経刺激パッチ100の横断面図を示している。パッチ100は、支持フランジ144によって囲まれた回路基板102を含んでおり、支持フランジ144は、基板102の周辺部の周りに延びている。一実施形態において、支持フランジ144は、基板102の頂面の上にある構成部品154を被覆する封入材料152の型として機能する。封入材料152は好ましくは、エポキシなどの誘電材料である。光信号が封入材層を出入りするのを可能するために、封入材料は透明であってもよい。支持フランジ144は、上部カバー116の傾斜した遷移領域138を支持する傾斜頂面146を有している。パッチはまた、望ましくは、電力源108と、電力源ホルダー156と、電力源カバー158とを含む。本発明の一実施形態において、第2の電池接点160が基板102の上に設けられてもよく、また、最初に間隙162が電力源108の底面と第2の電池接点160との間に存在してもよい。この実施形態において、電力源108は、第2の電池接点160に向かって押し下げられて、神経刺激パッチ100を作動させることができる。
【0048】
図9Bを参照すると、支持フランジ144は望ましくは、パッチから水分を排出するために、支持部ランジ144を貫いて延びる孔を有している。上部カバー116は好ましくは、水分が孔148を通過してパッチから流出するのを可能にする通気性材料でできている。パッチは好ましくは、基板102の底面にてアクセス可能な第1の電極の上にある第1の導電性接着パッド124Aと、基板102の底面にてアクセス可能な第2の電極の上にある第2の導電性接着パッド124Bとを含んでいる。第1及び第2の導電性接着パッド124A、124Bは好ましくは、電極と患者の皮膚との確実な電気的相互接続を形成している。接着性導電性パッチ124A、124Bには、接着性ヒドロゲルパッチを挙げることができる。
【0049】
図10は、図9A及び9Bに示す神経刺激パッチ100の裏面を示しており、支持フランジは取り外されている。回路基板102は、第1の接着層134を使用して、上部カバー116の平坦領域の裏面に接着されている。第2の接着層142は、上部カバーを患者の皮膚表面などの表面に取り付けるために、上部カバー116の裏面の周縁部136の上にある。電極と患者の皮膚との確実な電気的相互接続を形成するために、またパッチを表面に取り付けるために、パッチは、それぞれの電極(図示せず)を被覆する導電性接着パッド124A、124Bを含む。
【0050】
上記のように、神経刺激パッチが体内の神経と筋肉との双方を刺激するために使用され得ることが知られている。従来の神経刺激パッチに伴う1つの問題は、印加された電気信号が広範囲に広がる傾向があり、標的の筋肉及び神経だけでなく、標的でない筋肉及び神経にも作用するということである。更に、この信号の散逸に対処するために、印加電流レベルは、標的の部位における電流密度が適切となるように、相当に増加されなければならない。電気信号の印加に伴う別の難題は、多くの神経が、10Hz〜40Hz程度の低周波信号によって刺激されることである。しかしながら、そのような低周波信号は、体組織を通過して標的の神経に達することができない。これらの難題のうちの多くが本発明によって克服されており、それについて、これから以下でより詳細に説明することにする。
【0051】
本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチは、219KHzの疑似正弦波、振幅変調波形を使用し、包絡線の幅及び繰返し率は、それぞれ200ms及び20Hzから調節可能である。出力振幅は望ましくは、シリアルポートへの光リンクを使用して、2.5ボルト〜10ボルト、約1ボルトの8ステップに設定される。出力電圧は、符号化された赤外線信号によってパッチに光学的にリンクする制御器を使用して、ユーザーによって設定されてもよい。
【0052】
本発明の一実施形態において、刺激出力の波形パラメータの大部分は予め設定され、刺激電極は、構成部品の残りの直接下に配置される。パッチは好ましくは、回路に給電する1回型の作動スイッチを有している。選択的神経刺激パッチは、作動されると、電池が枯渇するまで連続的に動作するように適合されている。電極は、好ましくは回路基板の中に内蔵されており、金メッキされても、急速に酸化することのない貴金属層で被覆されてもよい。このパッチは、パッチの内部及び電極の周りに水分が蓄積するのを防止するために、また、入浴又はシャワーの間に水が侵入するのを防止するために、防水通気性上部カバーを含む。一実施形態において、フォトダイオードが上部カバーの一区分の下に設けられ、低電力通信受信器として使用される。
【0053】
本発明の一実施形態において、本明細書で開示する選択的神経刺激パッチは、粘着性のヒドロゲル電極と、可撓性の上部カバーの縁部にある帯状の周辺部接着剤とを使用して、皮膚に取り付けられるように適合されている。粘着性のヒドロゲルを使用することにより、電極を所定の位置に保持するために、別々の接着剤を有する必要性が排除されている。これらの二重目的型の接着材料は、水分の変化に対して比較的許容性があり、電極を皮膚に長期間にわたって効果的に取り付けるものである。選択的神経刺激パッチと皮膚との境界面では、水性の比較的圧縮性のない電解質材料の使用が必要となることがあり、その電解質材料は、EGG電極で使用されるものなどの半流動体のヒドロゲル、又は、TENS電極で使用されるものなどの半固体のヒドロゲルであり得る。一実施形態において、電極上のヒドロゲルは円柱として構成され、それらの円柱は、回路基板上の電極(例えば金メッキされた接点)の上方で中心に置かれる。円柱の直径により、刺激電極の有効接触面積が決まる。一実施形態において、ヒドロゲル円柱は、寸法において、回路基板上の電極領域と実質的に同様であるが、金属接点を被覆するのに十分な大きさである。一実施形態において、神経刺激パッチは、それぞれの中心が2.54cm(1インチ)離れた、2つの1.07cm(0.420インチ)径の金メッキされた接点を有する。
【0054】
本発明の好ましい一実施形態において、ヒドロゲルパッドは、ある程度の厚さを有しており、その厚さは、通気性、保管寿命、及び局所表面の輪郭への適合性において助けとなるものである。厚さが過度になると、ゲルが追い出される可能性が高くなり、また装置の全高が増加し得るため、ヒドロゲルパッドを過度に厚くすることはできない。パッチの高さは低い方が好ましいので、ヒドロゲルは可能な限り薄くされるべきである。一実施形態において、ゲルは1.52cm(約0.6インチ)厚である。一実施形態において、2つの接点の最短の縁部同士の間隙は1.34cm(0.525インチ)であり、それによって、汗によって生じた塩橋に抗するのに十分な幅の空間がもたらされる。本発明の一実施形態において、電極は並んで配置される。別の実施形態において、電極は同心である。
【0055】
使用中、ヒドロゲルパッドは、パッチが不安定になった場合、患者によって交換されてもよい。更に、ユーザーは、装置を時々使用するだけでもよい。一実施形態において、パッチは、取り外され、後に再配置されるかあるいは表面に再び置かれてもよい。
【0056】
本発明の選択的神経刺激パッチは、使用前に長期間にわたって保管されるように設計されている。したがって、パッチが意図的に作動されるまで、電池と回路とが時期尚早に接触しないように、パッチが構成されていることが重要である。したがって、パッチは望ましくは、1回作動式の密封されたスイッチ機構を有している。そのスイッチ機構は、磁石(パッケージに含まれている)の存在下で常時「オフ」となるリードスイッチ、常時オフから常時オン状態に機械的に切り換えられ得るオーバーセンタースイッチ機構、初期の接触が導電性接着剤によって維持される、上述のスイッチに似たスイッチ、又は、エンドユーザーによって意図的に押されるまで、通常の回路の成立を防止する電池接点の構成を含めて、いくつかの設計を有することができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、パッチは、電池に押し付けることによって作動され、これにより、電池は、回路基板の頂面に配置された接点と持続的に接触するように、環状の電池ホルダー内で下方に0.127mm〜0.254mm(0.005インチ〜0.010インチ)移動し、それによって装置を作動させる、つまり「電源オン」にする。パッチの作動は好ましくは、回路を作動させ、電池が枯渇し神経刺激パッチが機能しなくなるまで回路を動作させる、1回限りの不可逆工程である。
【0058】
先行技術の神経刺激パッチに伴う1つの問題は、パッチの縁部が他の物体に引っ掛かることがあり、その結果、パッチが患者から引き離され得ることである。これらの問題を回避するために、本発明は、皮膚からパッチの全厚まで傾斜して遷移させており、それにより、衣類又は対向する物体に引っ掛かる可能性がより低くなったパッチを提供している。一実施形態において、パッチは、回路基板の周辺に滑り嵌めされる、可撓性の遷移支持フランジを含んでおり、傾斜によって皮膚へと遷移している。排出孔又は送り穴が支持フランジを貫いて延びており、通気性上部カバーを通じて、閉じ込められた水分に流出経路が与えられている。支持フランジは、細りのない(no-pinch)柔軟な縁部をパッチに設けること、ひっかかりを防止する傾斜した周辺部を生じることを含めたいくつかの機能を実施するものであり、その傾斜した周辺部は上部カバーをも支持し、上部カバーは、パッチの上部の平坦な面から皮膚へと遷移し、また上部カバーは、一体の薄型エンクロージャを提供し、その薄型エンクロージャは、長期間にわたる保管と後の使用の間、電子部品を封入し水分及び腐食から保護する封入材料を収容するためのものである。
【0059】
本発明の一実施形態において、封入材料は半硬質のエポキシであり、そのエポキシは、LEDからの光が見えるように、また外部コントローラからのIR光信号がフォトダイオードに到達するように、透明又は半透明となっている。一実施形態において、可撓性の上部カバー材料は、IR又は可視光を通すことができる。別の実施形態において、上部カバーは、その上部カバー内に形成された孔を有しており、その孔は、本明細書で説明する光構成部品に到達するように光を通すことが可能である。
【0060】
本発明の1つ以上の実施形態において、選択的神経刺激パッチは、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2005/0277998号(2005年6月7日に出願された米国出願第11/146,522号)及び同第2006/0195153号(2006年1月31日に出願された米国出願第11/343,627号)に記載された装置及び技法を使用して、標的の神経を刺激するための変調波形を発生させるように適合されており、これらの特許出願公開の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。この波形は望ましくは、搬送波形をパルス包絡線で変調させることによって発生される。振幅、周波数などの搬送波形の特性は、組織のインピーダンス及び標的の神経の刺激閾値に打ち勝つように選択される。パルス包絡線は、標的の神経を選択的に刺激するように設計された特定のパルス幅、振幅、及び形状を有する波形である。この波形は、電気信号の強度の損失を最小にして、効率的に組織を透過して標的の神経に到達し、それにより電池電力を節約することが可能であり、電池電力はそれ以外の方法では、標的の神経を低周波信号で刺激する数回の試行で使用されることになる。更に、標的の神経のみが刺激され、標的でない神経は刺激されない。
【0061】
図11を参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチ200が回路基板202を含んでおり、この回路基板202は、神経及び体部位を刺激するための電気信号を発生するように操作され得る。パッチ100は、リチウム電池などの好適な電力源208と、第1の波形発生器264と、第2の波形発生器266と、を含む。第1及び第2の波形発生器264、266は、電池208に電気的に結合されており、電池208によって給電される。波形発生器264、266は、テキサス州ダラス(Dallas)のテキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)によってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。第1の波形発生器264は、体内の神経を刺激することが知られている周波数を有する第1の波形268を発生させる。一実施形態において、その周波数は、約10Hz〜30Hzの範囲内にある。別の実施形態において、その周波数は、約10Hz〜40Hzの範囲内にある。上記のように、そのような低周波信号(例えば10Hz〜40Hz)は、それ自体では、体組織を通過して標的の神経を効果的に刺激することができない。これらの問題を克服するために、本発明の神経刺激パッチ200は、より高い周波数を有する第2の波形270を発生させる第2の波形発生器266を含んでもよい。第2の波形は、約10KHz〜400KHzの周波数を有している。第2の波形270は第1の波形268と共に、テキサスインスツルメンツ社によって販売されている、呼称On−Semi MC1496を有する変調器などの振幅変調器272に加えられる。
【0062】
変調器272は、回路基板202の底面にてアクセス可能な電極232に伝送される変調波形274を発生させる。図11は1つの電極232のみを示しているが、本発明の好ましい実施形態が、2つ以上の電極を有していてもよい。電極232は、変調波形274を標的の神経に加えて、その標的の神経を刺激する。図11及び12を参照すると、第1の波形268は好ましくは、約10Hz〜40Hzの周波数を有する方形波であり、第2の波形270は好ましくは、10KHz〜400KHzの周波数を有する正弦波信号である。上記の周波数範囲は、単に例示的なものであり、したがって、他の周波数範囲が利用されてもよく、また本発明の範囲に依然として含まれる。当業者には容易に理解されるように、第2の波形(搬送波)270を用いた第1の波形268の変調は、結果として、図12に示す外形を有する変調波又は信号274を生じる。
【0063】
本発明の一実施形態において、電極は、選択された体部位(例えば膀胱)に関連付けられる1つ以上の標的の神経(図示せず)に変調波形信号を加えるように適合される。変調波形は、体組織を通じて容易に伝播することが可能な高周波搬送波形と、選択された体部位に対する標的の神経を刺激するように適合された低周波信号とを含む。図12を参照すると、本発明は、動作のいかなる理論にも限定されるものではないが、変調信号274を発生させることで、低周波波形268を標的の神経に効果的に搬送する搬送波形270の高周波性により、神経刺激波形268が組織を通じて伝播することが可能となると考えられる。
【0064】
本発明の一実施形態において、動作の基礎原理は、体内の神経が、隣接するニューロンに影響を与えることなく選択的に刺激の標的にされ得ることである。当業者には周知のように、神経系組織内に見られる興奮性細胞の電気化学的活動の結果として、生体電気性電位が生じる。これらの興奮性細胞は、2つの電気的状態、つまり静止電位又は活動電位にて存在する。適切な刺激が与えられて、細胞が活動又は閾電位に到達し、この時に神経が「発火」し、活動電位が、細胞膜に沿って減衰しない一定の伝導速度で伝わるまで、細胞は静止電位状態を維持する。活動電位のこの全か無かの反応により、細胞の膜電位は、特徴的な反復サイクルを経ることになり、その反復サイクルにおいて、電位はまず、負の静止電位から正の活動電位に移行し、次いですべて約1ms以内に再び低下して負の休止電位に戻る。刺激が閾電位を超える限り、応答は、刺激の大きさにかかわらず依然として同じである。
【0065】
興奮性細胞膜が(適切な刺激から)活動電位の反応を有する場合、第2の刺激に反応する能力は相当に変化する。活動電位の初期の脱分極部分の間、細胞膜は、刺激の強度にかかわらず、更なる刺激に反応することができない。この期間は絶対不応期と呼ばれる。絶対不応期の直後に、相対不応期と呼ばれる期間が続く。相対不応期の間、細胞膜は、強度の刺激にのみ反応することができる。絶対不応期及び相対不応期が存在することにより、結果として、細胞が繰返し放電され得る上限周波数が生じる。したがって、ニューロンは、周波数に依存する装置と見なされ得る。ニューロンの周波数依存成分は、ニューロンの全静電容量に依存し、全静電容量はニューロンごとに異なり、誘電媒体の長さ、直径、被覆(髄鞘形成)、及び透過性の関数となる。換言すれば、いかなる誘電媒体に対しても、ニューロンの長さ若しくは直径か、又は髄鞘形成のいずれかが異なれば、全静電容量は異なるものとなる。
【0066】
人体のニューロンは、直径、長さ、及び髄鞘形成において大いに異なるので、これらのニューロンの静電容量及び伝導速度(動作周波数)も同様に異なる。隣接するニューロンの物理的特性の差異を用いると、選択された神経が、隣接するニューロンに影響を与えることなく、刺激の標的にされ得る。つまり、隣接するニューロンの周波数応答(静電容量)を特徴付け、刺激の周波数を、重複のない領域に合わせることによって、選択的な神経刺激が達成され得る。例えば、ニューロンAは0Hz〜20Hzの動作周波数帯域を有し、ニューロンBは20Hz〜30Hzの動作周波数範囲を有するという、隣接する2つのニューロンに対し、ニューロンBは、ニューロンAに影響を与えることなく、選択的に刺激され得る。更に、上で議論したようにいかなる量の刺激でもニューロンBを発火させることのないニューロンBの絶対不応期の間に刺激が加えられる場合、又は、相対不応期の間に刺激作用を生じさせるのに必要な大きさに刺激が満たない場合、ニューロンAは、重複する周波数範囲においても選択的に刺激され得る。更に本明細書で説明するように、これらの原理は、体内の2つ以上の神経の選択的刺激を達成するために適用され得る。
【0067】
図13を参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチ300が回路基板302を含み、この回路基板302は、標的の神経を刺激するための電気信号を発生させる構成部品を設けられている。神経刺激パッチ300は、リチウムイオン電池などの好適な電力源308と、第1の波形368を生成する第1の波形発生器364と、第2の波形370を生成する第2の波形発生器366と、第3の波形382を生成する第3の波形発生器380と、を含む。第1、第2、及び第3の波形発生器364、366、及び380は好ましくは、電池308に電気的に結合されており、電池308によって給電される。これらの波形発生器は、テキサス州ダラス(Dallas)のテキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)によってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。第1の波形発生器364、第2の波形発生器366、及び第3の波形発生器226の出力は、振幅変調器372に加えられ、振幅変調器372は、これら3つの波形を変調信号パッケージ374へと変調する。「信号パッケージ」という用語は、本明細書において、任意の方式で互いに変調された2つ以上の個々の信号からなる単一の出力信号を表すために使用されている。
【0068】
図13及び14を参照すると、第1の波形発生器364は、約10Hz〜30Hzの範囲の周波数で刺激されることが既知である陰部神経など、第1の選択された体部位を刺激することが既知である周波数を有する第1の波形368又は信号を発生させる。上記のように、そのような低周波信号を、標的の神経を刺激するのに十分な電流密度で特定の標的の神経に到達するように身体組織に通すことは困難であることが判明している。この問題に対処するために、第2の波形発生器366は、より高い周波数の搬送波形370を発生させ、搬送波形370は第1の波形368と共に、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)から販売されているOn−Semi MC1496変調器などの振幅変調器372に加えられる。第1の波形368は好ましくは、約10Hz〜30Hzの周波数を有する方形波であり、第2の波形370は好ましくは、10KHz〜400KHzの周波数を有する正弦波信号である。第2の波形(搬送波形)370を用いて第1の波形368を変調することにより、結果として、概ね図14に示す外形を有する変調波形又は信号374が得られる。図14に示す信号は、単に説明を目的としたものであり、本明細書に記載する例示的な信号を忠実に表現することを意図したものではない。
【0069】
動作中、変調器372によって発生された変調信号374は電極332に伝送される。次に、電極332は変調信号374を標的の神経に印加する。当業者には容易に理解されるように、変調信号374を使用すると、搬送波形の高周波性によって低周波信号が標的の神経に感知され(かつ反応され)得るので、標的の神経が効率的に刺激される。
【0070】
図14を参照すると、変調信号374が、周期的な不活性期384を有することが認められる。神経刺激パッチ(図13)を使用して1つの標的の神経のみを選択的に刺激するのではなく、変調信号374の周期的な不活性期384は、第2の標的の神経又は他の体部位を刺激するように適合された第2の変調信号を発生させるために利用され得る。図13及び14を参照すると、このことを達成するために、第3の波形発生器380は第3の波形382を発生させており、第3の波形382は、第1の波形368とは異なり、かつ第2の神経又は体部位を刺激するように特定的に選択された周波数を有している。例示的な第3の波形382が図14に示されている。第3の波形382は望ましくは、第1の変調信号374と干渉するのを回避するために、第1の波形368とは位相が異なっている。更に、本発明の一実施形態において、第1及び第2の神経を刺激する周波数範囲が重複する場合、第1の神経が第2の変調信号に反応しないようにするために、第1の神経の不応期の間に第3の波形382が発生されるかあるいは印加されることができる。
【0071】
第1及び第3の波形発生器364、380は好ましくは、互いに位相の異なるそれぞれの波形368、382を発生させ、その結果、搬送波形370と組み合わされると、波形368、382は、信号パッケージ386(図14)の別個の分離した部分に沿って現れ、第1及び第3の波形の各々は、様々な神経及び体部位を特定的に標的にするように選択された周波数を有する。例えば、第1の波形368は、陰部神経の自律要素分岐点(autonomic element branches)に影響を及ぼすことが知られる20Hzの周波数を有してもよく(過活動膀胱に作用するため)、また、第3の波形382は、陰部神経の体性運動分岐点(somatomotor branch)に影響を及ぼすことが知られる10Hzの周波数を有してもよい(間質性膀胱炎(intersticial cystitis)の治療に有用である)。周波数範囲に重複が存在する限り、第3の波形382は、第1の神経の不応期の間に印加されてもよい。
【0072】
上述のシステム及び方法により、変調信号パッケージの個々の成分は、様々な神経、様々な神経枝、様々な筋肉、又は選択された他の体部位を選択的に標的とするように使用され得る。つまり、疼痛管理、過活動膀胱、大便失禁、間質性膀胱炎、及び他の任意の骨盤底障害に伴う症状など、複数の様々な症状を緩和するように設計された刺激信号を、単一の神経刺激パッチで提供することができる。
【0073】
好適な変調信号及び/又は信号パッケージが得られるように、適切な信号が様々な方式で操作され得ることが、当業者には理解されよう。例えば、図13及び14を参照すると、本発明の一実施形態において、第4の波形発生器390が含められてもよく、この第4の波形発生器390は、第2の搬送波形370とは異なる周波数を有する第4の搬送波形392を発生させる。このことは、第1及び第2の神経又は体部位の刺激において信号が様々な種類又は量の組織を通過することが要求される場合、望ましいものとなり得る。図示のように、単一の振幅変調器を使用する実施形態において、第4の搬送波形392は好ましくは、変調信号374に影響を与えるのを回避するために、第1の波形368の不活性期間の間にのみ加えられる。
【0074】
図15及び16の実施形態において、第1の波形468及び第2の搬送波470が第1の振幅変調器472Aに供給されて、第1の変調波形474Aが発生され得る。第3の波形482及び第4の搬送波形492が第2の振幅変調器472Bに供給されて、第2の変調波形474Bが発生され得る。これらの第1及び第2の変調波形は、第3の振幅変調器494によって更に変調されて、電極432を通じて伝送され得る変調信号パッケージ496が生成され得る。本発明の一実施形態において、第1及び第2の変調信号474A、474Bは、別々の第1及び第2の電極(図示せず)を通じて印加され得る。本発明の1つ以上の他の実施形態において、変調波形が不活性期間を有する場合、更なる信号がこれらの不活性期間に挿入されて、他の神経、筋肉、又は体部位が標的とされてもよい。
【0075】
図17を参照すると、本発明の一実施形態において、選択的神経刺激パッチ500は望ましくは、1つ以上のバイオフィードバック機構を有している。バイオフィードバック機構は望ましくは、系にフィードバックを与え、系の不変的操作とは対照的に、系の選択的操作を可能にする。結果として、神経刺激は必要なときにのみ生じ得る。
【0076】
パッチ500は、回路基板502と、電池などの電力源508と、第1の波形568を発生させる第1の波形発生器564と、第2の波形570を発生させる第2の波形発生器566と、を含む。第1及び第2の波形発生器564、566は、電池508に電気的に結合されており、電池508によって給電される。波形発生器564、566は、テキサス州ダラス(Dallas)のテキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)によってモデル番号NE555として販売されているものなど、任意の好適なタイプであってよい。第1の波形発生器564は、体内の神経を刺激することが知られている周波数を有する第1の波形568を発生させる。一実施形態において、その周波数は、約10Hz〜30Hzの範囲内にある。別の実施形態において、その周波数は、約10Hz〜40Hzの範囲内にある。上記のように、そのような低周波信号(例えば10Hz〜40Hz)は、それ自体では、体組織を通過して標的の神経を効果的に刺激することができない。この問題を克服するために、選択的神経刺激パッチ500は、より高い周波数(例えば10KHz〜400KHz)を有する第2の波形570を発生させる第2の波形発生器566を有しており、この第2の波形570は第1の波形566と共に、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)から販売されている呼称On−Semi MC1496を有する変調器など、振幅変調器572に印加される。
【0077】
変調器572は、電極532に伝送される変調波形574を発生させる。次に電極532は、変調波形574を標的の神経(図示せず)に印加して、その標的の神経を刺激する。一実施形態において、選択的神経刺激パッチ500は、第3の波形582を発生させる第3の波形発生器580と、第4の波形592を発生させる第4の波形発生器590とを含んでもよい。
【0078】
神経刺激パッチ500はまた、1つ以上のセンサー装置598を含む。センサー装置は、体内に埋込み可能であってもよい。センサー装置598は好ましくは、選択された生体生理学的特性を感知する少なくとも1つのセンサー600と、以下でより詳しく説明するように、センサー600によって収集されたデータ又は情報を、更に処理するために再び体外に伝送するデータ伝送装置602とを含む。伝送器602は、データを無線で伝送してもよい。
【0079】
一実施形態において、信号伝送器602は、より大きな信号制御システム604の一部であり、その信号制御システム604は、カリフォルニア州サニーヴェール(Sunnyvale)のマキシムセミコンダクターズ社(Maxim Semiconductors)によるMAX1472などの受信装置606を更に含み、受信装置606は、電池508に電気的に結合され、電池508によって給電される。受信装置606は、1つ以上のセンサー装置598からデータを受信し、このデータをマイクロコントローラ608に供給する。マイクロコントローラは好ましくは、データを受信し分析するように、また、このデータに基づいて第1及び第2の波形発生器564、566に入力を供給し、それによって、神経刺激パッチによる信号伝送を制御するようにプログラムされている。バイオフィードバックセンサー600は、膀胱内など体内に埋め込まれる圧力センサーであってもよい。当業者には周知のように、膀胱内の圧力を継続的に測定すると、膀胱収縮の存在及び規模が明らかとなり得る。そのような圧力測定により、(結果として膀胱内の圧力がゆっくりと規律的に上昇する正常な膀胱収縮と比較して)痙性膀胱の筋活動が明らかとなった場合、フィードバック信号が受信装置606に、続いてマイクロコントローラ608に伝送されることができる。受信されたフィードバック信号に応答して、マイクロコントローラ608は、波形発生器564、566を制御することにより、電極532が変調信号を伝送するようにする。変調信号が標的の神経(例えば陰部神経)によって受け取られることで膀胱筋が刺激されて、痙攣性の筋収縮が実質的に排除される。
【0080】
一実施形態において、バイオフィードバック装置598は、電力源、1つ以上のセンサー構成部品、及び電子インターフェイスを含めて複数の電子構成部品を含んでもよく、それらの電子構成部品の各々は、当該技術分野において周知の方式で、互いに電気的に結合され、プリント回路基板上に機械的に装着される。1つ以上のセンサー構成部品は、体内の所定の生理学的特性を感知し、そのような特性を表す信号又はデータを電気的インターフェイスに伝送する。このシステムは、感知した生理学的特性と相関するデータを記憶するデータ記憶要素を含んでもよいが、患者の体から外にデータを伝送する伝送器を更に含んでもよく、したがって、その伝送器は、上述のように変調信号の発生を制御するために使用され得る。バイオフィードバック装置は、折畳み可能なハウジング又はケージで実質的に囲まれてもよい。
【0081】
本発明の好ましい一実施形態において、バイオフィードバック装置は好ましくは、電極の動作を制御するために使用される連続的なフィードバックを供給するために、長期間にわたって身体(例えば膀胱)の中に残される。連続的なフィードバックが使用されない場合、本明細書で説明する埋込み型センサーは、それでもやはり、正確な診断及び/又は適切な治療の提供に有用なデータを取得するために使用され得る。本発明の一実施形態において、装置は1日〜2日間にわたって膀胱内に残され、圧力測定が1/2秒毎に行われ得る。後に、圧力変化の種類及び頻度が分析され、体の機能を評価するためのフィードバックが提供され得る。例えば、時間をかけて小嚢の圧力を測定すると、排尿の回数及び頻度が明らかとなることがあり、過活動膀胱又は膀胱の過剰な張り(overfilling)が示唆され得る。一実施形態において、センサー要素は、拡張スリープモードで動作するように設計され、一定の時間間隔で「起床」して圧力などを測定する。十分なデータが収集されると、装置はその後に、カテーテルを膀胱に挿入して埋込み可能な装置を回収すること、又は、膀胱鏡の操作チャネル又は他の好適な器具を使用して装置を回収することなどによって、膀胱から取り出され得る。カテーテル又は膀胱鏡が膀胱の中に挿入され、装置が把持され、カテーテル又は膀胱鏡のチャネルの中に再び引き込まれ、その後に身体から取り出される。
【0082】
図17を参照すると、バイオフィードバックデータを利用する実施形態において、受信器606は、複数のバイオフィードバック装置598からフィードバックデータを受信することができる。これらの実施形態において、上に示し説明したものに類似した第2の埋込み型バイオフィードバックセンサーが、別の身体の穴(例えば膣管)に挿入されてもよい。第2のバイオフィードバックセンサーは、「タンポンに似た」装置又はケーシングに封入されてもよく、その装置又はケーシングは、タンポンに類似した、巻かれた又は束ねられた木綿で作られたものである。一実施形態において、第2の埋込み型バイオフィードバック装置は腹圧を感知し、第1の埋込み型バイオフィードバック装置は膀胱圧を感知する。結果として、膀胱圧を腹圧から減じることによって、排尿筋圧(すなわち、膀胱組織の壁の筋肉の内張りの圧力)が決定され得る。当業者には周知のように、排尿筋圧の上昇は、患者がいきむ、咳をする、くしゃみをする、笑うなどするときに起こり、これらの圧力の検出は、様々な膀胱及び下部尿道の病態の診断において臨床的に重要である。例えば、排尿筋圧が増加する頻度により、切迫尿失禁を評価するのに有意味なデータが得られる。
【0083】
本発明の一実施形態において、神経刺激パッチを含むシステムが、第1の埋込み型バイオフィードバックセンサーと、第2の埋込み型バイオフィードバックセンサーとを有している。埋込み型バイオフィードバックセンサーの一方は、埋込み型バイオフィードバックセンサーにデータを伝送し、その埋込み型バイオフィードバックセンサーは次いで、データの両セットを受信器606(図17)に無線で伝送する。
【0084】
本発明の一実施形態において、電極から標的の神経又は体部位への刺激エネルギーの伝導性は、電極から標的の神経又は体部位に完全に又は部分的に延び得る導電路を配置することによって増大され得る。導電路は、デンマークのコンチュラ社(Contura)によるアクアミド(Aquamid)(登録商標)ゲル注射剤などの架橋ポリアクリルアミドゲルであってもよい。注射されるかあるいは別の方法で挿入されるこの生体不活性ゲルは、高度な伝導性があり、水溶液であっても水溶液でなくてもよい。ゲルは硬質ではなく、患者の身体に適合し得るので、埋め込まれるゲルは、送出しの容易さ、侵襲性の低さ、及び患者の安心感を含めて多数の利点をもたらす。上記のように、注入ゲル路の明らかな利点は、電極から標的の神経への高度な伝導性の経路であり、この経路は周りの組織よりもはるかに伝導性がある。これにより、エネルギーの散逸が減じられ、電極と標的の神経との間のエネルギー移動の効率が増加する。
【0085】
導電性ゲルは、電極と標的の神経との間に延びる。導電性ゲルを使用する1つの利点は、電極は標的の神経の一平面にのみ接近し得るのに対し、変形可能でかつ流動可能な導電性ゲルは、標的の神経を覆うことができることである。結果として、導電性ゲルは、360度すべての角度で標的の神経と電気的及び物理的接触をなし、それにより、標的の神経への変調波形又は神経刺激信号の印加性を向上させることができる。一実施形態において、導電性ゲルは、標的の神経と実質的に接触する場所から、外側の皮膚層により近い場所へ延びてもよい。1つ以上の実施形態において、任意の外形をなす複数の導電性ゲルのポケット又は路が使用されてよい。
【0086】
1つの好適な導電性ゲルについて上で説明したが、様々な他のゲルもまた好適となる。多数の熱硬化性ヒドロゲル及び熱可塑性ヒドロゲルが同様に使用され得る。熱硬化性ヒドロゲルの例には、ポリHEMAとコポリマーの架橋した変種、N−置換アクリルアミド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(グリセリルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−アクリルアミド)、並びに、それらと、親水性及び疎水性コモノマー、架橋剤、他の改質剤との組み合わせが挙げられる。熱可塑性ヒドロゲルの例には、HYPANなどのアクリル誘導体、ビニルアルコール誘導体、親水性ポリウレタン(HPU)及びスチレン/PVPブロックコポリマーが挙げられる。
【0087】
上述の内容は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の他の及び更なる実施形態が、本発明の基本的範囲から逸脱することなく考案され得る。
【0088】
〔実施の態様〕
(1) 頂面と底面とを有する基板と、
少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、前記基板の前記頂面の上にあり互いに電気的に相互接続されている構成部品と、
前記少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための、前記基板上に配置されており、前記基板の前記底面にて露出されている少なくとも1つの電極と、
を備える、神経刺激パッチ。
(2) 前記基板を覆う防水通気性上部カバーを更に備える、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
(3) 前記基板を囲み、前記上部カバーを前記基板と結合する支持フランジを更に備える、実施態様2に記載の神経刺激パッチ。
(4) 前記支持フランジが、前記支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有する、実施態様3に記載の神経刺激パッチ。
(5) 前記上部カバーの一部分が前記支持フランジの前記頂面に適合する、実施態様4に記載の神経刺激パッチ。
(6) 前記支持フランジが、前記支持フランジの裏面から前記支持フランジの前記頂面に延びる排出開口部を更に備え、前記排出開口部が、前記パッチの内側から前記パッチの外側に水分を排出するために、前記上部カバーと連通している、実施態様5に記載の神経刺激パッチ。
(7) 前記構成部品及び前記基板の前記頂面を少なくとも部分的に被覆する封入材を更に備え、前記支持フランジが前記封入材を囲む、実施態様3に記載の神経刺激パッチ。
(8) 前記封入材が透明である、実施態様7に記載の神経刺激パッチ。
(9) 前記上部カバーが前記封入材を覆っており、前記上部カバーが少なくとも部分的に半透明である、実施態様8に記載の神経刺激パッチ。
(10) 前記基板の上にある前記構成部品が、前記パッチを作動させるために電力源及び前記電力源に結合されたスイッチを備える、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
【0089】
(11) 前記スイッチが、1回のみ作動されるように適合されたスイッチを含む、実施態様10に記載の神経刺激パッチ。
(12) 前記構成部品のうちの1つが、前記パッチが作動されていることを示す光信号を発生させるための発光素子を備える、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
(13) 前記構成部品のうちの1つが光センサーを備え、その光センサーが、前記少なくとも1つの神経刺激信号に関連付けられたパラメータを制御するための信号を受信するように適合されている、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
(14) 前記構成部品が、
前記基板の前記頂面の上にあり、第1の周波数を有する第1の波形を発生させるように適合されている第1の波形発生器と、
前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する搬送波形を発生させるように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合されており、前記第1の波形及び前記搬送波形を変調して変調波形を発生させるように適合された変調器であって、前記少なくとも1つの電極が、前記変調波形を印加するために前記変調器に電気的に結合されている、変調器と、
を備える、実施態様1に記載の神経刺激パッチ。
(15) 前記構成部品が、
前記第1の波形と異なり、かつ位相が異なる、第3の周波数を有する第3の波形を発生させるように適合された第3の波形発生器を更に備え、
前記変調器が、前記第3の波形発生器に電気的に結合されており、前記搬送波形、第1及び第3の波形を変調して前記変調波形を発生させるように適合されており、前記第1の波形が、第1の標的の神経を刺激するように適合されており、前記第3の波形が、第2の標的の神経を刺激するように適合されている、実施態様14に記載の神経刺激パッチ。
(16) 神経刺激パッチにおいて、
頂面と底面とを有する回路基板と、
少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、前記回路基板の前記頂面の上にある複数の内蔵構成部品と、
前記内蔵構成部品に通電するための、前記回路基板の前記頂面の上にある電力源と、
前記回路基板内に配置されており、前記回路基板の前記底面にてアクセス可能であり、前記少なくとも1つの神経刺激信号を印加するために前記内蔵構成部品に電気的に相互接続されている電極と、
前記回路基板の上にある防水通気性カバーと、
前記回路基板に結合されており、前記回路基板を囲んでいる支持フランジであって、前記支持フランジが、前記支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有し、前記支持フランジが、前記支持フランジの前記傾斜する頂面にてアクセス可能な複数の排出開口部を有し、前記排出開口部が、水分を前記パッチから排出するために、前記防水通気性上部カバーと連通している、支持フランジと、
を備える、神経刺激パッチ。
(17) 前記パッチを表面に固定するための、前記電極の上にある導電性接着パッドを更に備える、実施態様16に記載の神経刺激パッチ。
(18) 前記導電性接着パッドが接着性ヒドロゲルパッドを含む、実施態様17に記載の神経刺激パッチ。
(19) 前記内蔵構成部品及び前記基板の前記頂面を覆う透明な封入材料を更に備え、前記支持フランジが前記透明な封入材料を囲む、実施態様16に記載の神経刺激パッチ。
(20) 前記内蔵構成部品が、
前記回路基板の前記頂面の上にあり、第1の周波数を有する第1の波形を発生させるように適合されている第1の波形発生器と、
前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する搬送波形を発生させるように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合されており、前記第1の波形及び前記搬送波形を変調して変調波形を発生させるように適合された変調器であって、前記電極のうちの少なくとも1つが、前記変調波形を印加するために、前記変調器に電気的に結合されている、変調器と、
を備える、実施態様16に記載の神経刺激パッチ。
【0090】
(21) 頂面と底面とを有する基板と、
少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、前記基板の前記頂面の上にあり互いに電気的に相互接続されている内蔵構成部品と、
前記少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための、前記基板の中に内蔵されており前記基板の前記底面にて露出されている電極と、
前記基板及び前記内蔵構成部品の上にある防水通気性カバーと、
前記基板を囲み、前記防水通気性カバーを前記基板と結合する支持フランジであって、前記支持フランジが、前記支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有し、前記カバーの少なくとも一部分が、前記支持フランジの前記傾斜する頂面に適合する、支持フランジと、
を備える、神経刺激パッチ。
(22) 前記支持フランジが、前記支持フランジの裏面から前記支持フランジの前記傾斜する頂面に延びる複数の排出孔を備え、前記排出孔が、前記パッチの内側から前記パッチの外側に水分を排出するために、前記防水通気性材料と連通している、実施態様21に記載の神経刺激パッチ。
(23) 前記内蔵構成部品の上にある透明な封入材料を更に備え、前記支持フランジが前記透明な封入材を囲む、実施態様21に記載の神経刺激パッチ。
(24) 前記内蔵構成部品が、電力源と、1回型の作動スイッチと、発光素子と、光センサーと、を備え、前記防水通気性カバーが、前記1回型の作動スイッチと位置合わせされた第1の開口部と、前記発光素子と位置合わせされた第2の開口部と、前記光センサーと位置合わせされた第3の開口部と、を備える、実施態様23に記載の神経刺激パッチ。
(25) 前記電極を被覆する導電性接着パッドと、前記パッチを表面に取り付けるための、前記防水通気性カバーの周囲の裏面部分を被覆する接着層と、を更に備える、実施態様21に記載の神経刺激パッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂面と底面とを有する基板と、
少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、前記基板の前記頂面の上にあり互いに電気的に相互接続されている構成部品と、
前記少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための、前記基板上に配置されており、前記基板の前記底面にて露出されている少なくとも1つの電極と、
を備える、神経刺激パッチ。
【請求項2】
前記基板を覆う防水通気性上部カバーを更に備える、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項3】
前記基板を囲み、前記上部カバーを前記基板と結合する支持フランジを更に備える、請求項2に記載の神経刺激パッチ。
【請求項4】
前記支持フランジが、前記支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有する、請求項3に記載の神経刺激パッチ。
【請求項5】
前記上部カバーの一部分が前記支持フランジの前記頂面に適合する、請求項4に記載の神経刺激パッチ。
【請求項6】
前記支持フランジが、前記支持フランジの裏面から前記支持フランジの前記頂面に延びる排出開口部を更に備え、前記排出開口部が、前記パッチの内側から前記パッチの外側に水分を排出するために、前記上部カバーと連通している、請求項5に記載の神経刺激パッチ。
【請求項7】
前記構成部品及び前記基板の前記頂面を少なくとも部分的に被覆する封入材を更に備え、前記支持フランジが前記封入材を囲む、請求項3に記載の神経刺激パッチ。
【請求項8】
前記封入材が透明である、請求項7に記載の神経刺激パッチ。
【請求項9】
前記上部カバーが前記封入材を覆っており、前記上部カバーが少なくとも部分的に半透明である、請求項8に記載の神経刺激パッチ。
【請求項10】
前記基板の上にある前記構成部品が、前記パッチを作動させるために電力源及び前記電力源に結合されたスイッチを備える、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項11】
前記スイッチが、1回のみ作動されるように適合されたスイッチを含む、請求項10に記載の神経刺激パッチ。
【請求項12】
前記構成部品のうちの1つが、前記パッチが作動されていることを示す光信号を発生させるための発光素子を備える、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項13】
前記構成部品のうちの1つが光センサーを備え、その光センサーが、前記少なくとも1つの神経刺激信号に関連付けられたパラメータを制御するための信号を受信するように適合されている、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項14】
前記構成部品が、
前記基板の前記頂面の上にあり、第1の周波数を有する第1の波形を発生させるように適合されている第1の波形発生器と、
前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する搬送波形を発生させるように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合されており、前記第1の波形及び前記搬送波形を変調して変調波形を発生させるように適合された変調器であって、前記少なくとも1つの電極が、前記変調波形を印加するために前記変調器に電気的に結合されている、変調器と、
を備える、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項15】
前記構成部品が、
前記第1の波形と異なり、かつ位相が異なる、第3の周波数を有する第3の波形を発生させるように適合された第3の波形発生器を更に備え、
前記変調器が、前記第3の波形発生器に電気的に結合されており、前記搬送波形、第1及び第3の波形を変調して前記変調波形を発生させるように適合されており、前記第1の波形が、第1の標的の神経を刺激するように適合されており、前記第3の波形が、第2の標的の神経を刺激するように適合されている、請求項14に記載の神経刺激パッチ。
【請求項1】
頂面と底面とを有する基板と、
少なくとも1つの神経刺激信号を発生させるための、前記基板の前記頂面の上にあり互いに電気的に相互接続されている構成部品と、
前記少なくとも1つの神経刺激信号を印加するための、前記基板上に配置されており、前記基板の前記底面にて露出されている少なくとも1つの電極と、
を備える、神経刺激パッチ。
【請求項2】
前記基板を覆う防水通気性上部カバーを更に備える、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項3】
前記基板を囲み、前記上部カバーを前記基板と結合する支持フランジを更に備える、請求項2に記載の神経刺激パッチ。
【請求項4】
前記支持フランジが、前記支持フランジの外周に向かって下向きに傾斜する頂面を有する、請求項3に記載の神経刺激パッチ。
【請求項5】
前記上部カバーの一部分が前記支持フランジの前記頂面に適合する、請求項4に記載の神経刺激パッチ。
【請求項6】
前記支持フランジが、前記支持フランジの裏面から前記支持フランジの前記頂面に延びる排出開口部を更に備え、前記排出開口部が、前記パッチの内側から前記パッチの外側に水分を排出するために、前記上部カバーと連通している、請求項5に記載の神経刺激パッチ。
【請求項7】
前記構成部品及び前記基板の前記頂面を少なくとも部分的に被覆する封入材を更に備え、前記支持フランジが前記封入材を囲む、請求項3に記載の神経刺激パッチ。
【請求項8】
前記封入材が透明である、請求項7に記載の神経刺激パッチ。
【請求項9】
前記上部カバーが前記封入材を覆っており、前記上部カバーが少なくとも部分的に半透明である、請求項8に記載の神経刺激パッチ。
【請求項10】
前記基板の上にある前記構成部品が、前記パッチを作動させるために電力源及び前記電力源に結合されたスイッチを備える、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項11】
前記スイッチが、1回のみ作動されるように適合されたスイッチを含む、請求項10に記載の神経刺激パッチ。
【請求項12】
前記構成部品のうちの1つが、前記パッチが作動されていることを示す光信号を発生させるための発光素子を備える、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項13】
前記構成部品のうちの1つが光センサーを備え、その光センサーが、前記少なくとも1つの神経刺激信号に関連付けられたパラメータを制御するための信号を受信するように適合されている、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項14】
前記構成部品が、
前記基板の前記頂面の上にあり、第1の周波数を有する第1の波形を発生させるように適合されている第1の波形発生器と、
前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する搬送波形を発生させるように適合された第2の波形発生器と、
前記第1及び第2の波形発生器に電気的に結合されており、前記第1の波形及び前記搬送波形を変調して変調波形を発生させるように適合された変調器であって、前記少なくとも1つの電極が、前記変調波形を印加するために前記変調器に電気的に結合されている、変調器と、
を備える、請求項1に記載の神経刺激パッチ。
【請求項15】
前記構成部品が、
前記第1の波形と異なり、かつ位相が異なる、第3の周波数を有する第3の波形を発生させるように適合された第3の波形発生器を更に備え、
前記変調器が、前記第3の波形発生器に電気的に結合されており、前記搬送波形、第1及び第3の波形を変調して前記変調波形を発生させるように適合されており、前記第1の波形が、第1の標的の神経を刺激するように適合されており、前記第3の波形が、第2の標的の神経を刺激するように適合されている、請求項14に記載の神経刺激パッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2011−502707(P2011−502707A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534095(P2010−534095)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/082435
【国際公開番号】WO2009/064641
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/082435
【国際公開番号】WO2009/064641
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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